(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088101
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】ジョイナー
(51)【国際特許分類】
E04F 13/08 20060101AFI20240625BHJP
E04F 19/06 20060101ALI20240625BHJP
E04B 1/94 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
E04F13/08 Y
E04F19/06 E
E04B1/94 H
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203095
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】305003542
【氏名又は名称】旭トステム外装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】中村 大
【テーマコード(参考)】
2E001
2E110
【Fターム(参考)】
2E001DB02
2E001DE01
2E001FA04
2E001FA09
2E001FA52
2E001FA63
2E001GA58
2E001HB01
2E001HB02
2E001NA05
2E001NA07
2E001NB01
2E001NC01
2E001ND11
2E001ND12
2E110AA02
2E110AA09
2E110AA28
2E110AB04
2E110AB22
2E110BA12
2E110CC02
2E110CC04
2E110CC25
2E110DC02
2E110DC04
2E110DC12
2E110DD03
2E110DD12
2E110EA06
2E110GA33W
2E110GB01Z
2E110GB44Z
2E110GB54Z
(57)【要約】
【課題】サイディングの劣化を抑制でき、かつ建物の好ましい耐火性が得られるジョイナーを提供すること。
【解決手段】サイディングが取り付けられる建物の外壁において、サイディングの継ぎ目に配置されるジョイナーであって、建物の躯体に固定される基部と、基部から突出するように形成され、隣接するサイディングの端面間に配置される凸部と、を備え、凸部は、サイディングの端面に少なくとも一部が当接して配置される一対の面と、一対の面と連続して形成され建物の外部側に配置される外面と、を有し、一対の面と外面とにより内部空間が形成され、一対の面には、内部空間に気体が流通可能な孔が形成され、基部は、不燃材料により構成され内部空間と躯体との間を遮蔽するように配置される遮蔽部を有する、ジョイナー。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイディングが取り付けられる建物の外壁において、前記サイディングの継ぎ目に配置されるジョイナーであって、
前記建物の躯体に固定される基部と、
前記基部から突出するように形成され、隣接する前記サイディングの端面間に配置される凸部と、を備え、
前記凸部は、前記サイディングの端面に少なくとも一部が当接して配置される一対の面と、前記一対の面と連続して形成され前記建物の外部側に配置される外面と、を有し、前記一対の面と前記外面とにより内部空間が形成され、
前記一対の面には、前記内部空間に気体が流通可能な孔が形成され、
前記基部は、不燃材料により構成され前記内部空間と前記躯体との間を遮蔽するように配置される遮蔽部を有する、ジョイナー。
【請求項2】
複数の前記サイディングと前記躯体との間にはそれぞれ通気層が形成されており、
前記孔は、複数の前記通気層と、前記内部空間とを連通するように配置される、請求項1に記載のジョイナー。
【請求項3】
前記遮蔽部は、鋼板により構成される、請求項1又は2に記載のジョイナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ジョイナーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の外壁であるサイディングを配置する態様として、凸部を有するジョイナーを建物躯体に鉛直方向に固定し、これに沿ってサイディングを配置する態様が知られている。また、サイディングと建物躯体との間には、水分の滞留を防止し、サイディングの劣化を抑制するための通気層が設けられる。
【0003】
ジョイナーの凸部(突条部)の内部空間と外部とを連通する通水用の孔を形成する技術が開示されている(特許文献1参照)。これによると、もしサイディングの継ぎ目から雨水が浸入したとしても、雨水を孔から突条部内に侵入させて、突条部内(内部空間)に入った雨水を内部空間内において下方へと導いて外部に排出することができる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されたジョイナーは、通気層同士が孔により連通するため、通気層に接するサイディングが乾燥しやすくなり、湿分によるサイディングの劣化を抑制することができる、という効果も奏されると考えられる。しかし、仮に火災が発生した場合に、ジョイナーの凸部に形成された孔部から凸部の内部空間に炎が浸入する可能性がある。この場合、炎が直接、建物躯体に接触することから、建物の耐火性を低下させてしまう。従って、特許文献1に開示されたジョイナーは、特に住宅密集地等、高い耐火(防火)構造が求められる地域の建物に対しては使用できないという課題がある。
【0006】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであり、サイディングの劣化を抑制でき、かつ建物の好ましい耐火性が得られるジョイナーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、サイディングが取り付けられる建物の外壁において、前記サイディングの継ぎ目に配置されるジョイナーであって、前記建物の躯体に固定される基部と、前記基部から突出するように形成され、隣接する前記サイディングの端面間に配置される凸部と、を備え、前記凸部は、前記サイディングの端面に少なくとも一部が当接して配置される一対の面と、前記一対の面と連続して形成され前記建物の外部側に配置される外面と、を有し、前記一対の面と前記外面とにより内部空間が形成され、前記一対の面には、前記内部空間に気体が流通可能な孔部が形成され、前記基部は、不燃材料により構成され、前記内部空間と前記躯体との間を遮蔽するように配置される遮蔽部を有する、ジョイナーに関する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態のジョイナーの建物への配置状態を示す図である。
【
図2】第1実施形態のジョイナーを示す斜視図である。
【
図4】建物に配置された第1実施形態のジョイナーを示す断面図である。
【
図5】
図3に相当する、第2実施形態のジョイナーを示す断面図である。
【
図6】
図3に相当する、第3実施形態のジョイナーを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1実施形態>
本実施形態に係るジョイナー1が適用される、建物の外壁構造の概要について図面を参照して以下に説明する。
図1に示すように、本実施形態に係るジョイナー1は、隣接するサイディング2の継ぎ目に配置される。詳細には、ジョイナー1は、水平方向に隣接するサイディング2の間に、鉛直方向に延びるように配置される。鉛直方向に隣接する複数のサイディング2は、固定金具3により接続されて固定される。
【0010】
図4は、ジョイナー1、並びに水平方向に隣接するサイディング2a及び2bを含む水平方向の断面図である。
図4に示すように、ジョイナー1は、ビス5により建物の躯体100に固定される。サイディング2a及び2bは、ジョイナー1の凸部11に対して、端面が一部当接するように配置される。サイディング2aの端面と2bの端面との間の、凸部11に当接しない箇所には、シーリング材4が充填される。サイディング2a及び2bと、躯体100との間には、それぞれ通気層101a及び101bが形成される。ジョイナー1の詳細については後述する。
【0011】
躯体100は、建物の柱等の構造部や胴縁等の下地材を含む。躯体100は、防水シート等を含んでいてもよい。
【0012】
サイディング2は、セメントを主成分とする材料により形成される窯業系サイディング材である。窯業系サイディング材は、例えば、セメント等の水硬性膠着材にシリカ等の無機充填剤、パルプ、合成繊維等の繊維質材料等を配合し、成形した後に養生硬化させて作製される。
【0013】
固定金具3は、躯体100に固定され、サイディング2と係合することで、サイディング2を躯体100に固定する。1つの固定金具3に対し、鉛直方向に隣接するサイディング2が互いに係合して固定される。
【0014】
シーリング材4は、公知のシーリング工法に用いられる材料を用いることができる。例えば、ウレタンやシリコン等のシール材を用いることができる。シーリング材4は、サイディング2の継ぎ目に充填され硬化されることで形成される。
【0015】
本実施形態に係るジョイナー1は、
図2に示すように、内部空間13が形成された略角筒状の凸部11と、凸部11の一面側に形成される略平板状の基部12と、を有する。凸部11の一部には、孔10が形成される。本実施形態において、ジョイナー1は1枚の鋼板をプレス加工することで形成されており、凸部11と、基部12とは一体に形成される。これにより、ジョイナー1の製造コストを抑制できる。
【0016】
凸部11は、
図3及び
図4に示すように、サイディング2a及び2bの端面に少なくとも一部が当接して配置される一対の面111a及び111bと、該一対の面と連続して形成され建物の外部側に配置される外面112と、を有する。凸部11の内部には、上記3つの面により囲われた内部空間13が形成される。
【0017】
上記一対の面には、孔10が形成される。孔10は、
図4に示すように、通気層101a及び101bと内部空間13とを連通するように配置されることが好ましい。これにより、複数の通気層が孔10によって通気可能に連通するため、上記通気層に雨水等が流入した場合に、より早く通気層の内部を乾燥させることができる。これによって、サイディング2の劣化を抑制することができる。孔10の数は特に限定されないが、上記一対の面の、1つの通気層に当接する領域に対して、少なくとも1つの孔10が形成されることが好ましい。
【0018】
基部12は、
図3に示すように、延出部121及び122と、遮蔽部123と、を有する。本実施形態において、延出部121及び122と、遮蔽部123とは一体に形成され、一部材中のそれぞれ異なる領域に相当する。
【0019】
延出部121及び122は、躯体100に当接して配置される面である。延出部121及び122は、上記凸部11の一対の面の外面112側とは反対の一端側から、上記一対の面に対して略直角をなし、それぞれ凸部11から離隔するように延びる面である。本実施形態において、延出部121は一対の面111aと連続して形成され、端部が折り返されて形成される。延出部122は、後述する遮蔽部123を介して延出部121と連続して形成され、当接する一対の面111bとは連続していない。延出部121及び122と、遮蔽部123とを上記構成とすることで、ジョイナー1を1枚の鋼板をプレス加工することで形成することが可能になる。延出部121及び122には、不図示の孔が形成され、該孔に対してビス5が挿通されることで、ジョイナー1が躯体100に固定される。
【0020】
遮蔽部123は、内部空間13と躯体100との間を遮蔽するように配置される面である。遮蔽部123は、上記一方の一対の面111aの一端側から、上記一対の面111aに対して略直角をなし、上記他方の一対の面111bの一端側まで延びて、上記一対の面111a及び111b、並びに外面112と共に内部空間13を囲うように配置される。遮蔽部123は、本実施形態において、延出部121及び122と一体に形成される。即ち、遮蔽部123は、不燃材料である鋼板により形成される。これによって、仮に火災が発生した場合に、凸部11の孔10から内部空間13に炎が浸入したとしても、炎が躯体100に直接接触することがない。また、遮蔽部123は不燃材料である鋼板により形成されることから遮蔽部123自体が燃焼することがない。そして、鋼板は高い熱伝導率を有しているため、遮蔽部123に伝達される熱は迅速に外部に放熱される。これによって、凸部11に孔10が形成されている場合であっても、建物の耐火性を向上させることができる。
【0021】
以下、本開示の他の実施形態について説明する。上記第1実施形態と同様の構成については、図面に同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0022】
<第2実施形態>
図5は、本実施形態に係るジョイナー1aを示す断面図であり、
図3に相当する断面図である。
図5に示すように、ジョイナー1aの延出部122a以外の構成はジョイナー1と同様である。
【0023】
延出部122aは、凸部11の一対の面111bと連続して形成される延出片と、遮蔽部123と連続して形成される延出片とが密着するように重ね合わされて構成される。上記延出片同士は、プレス加工等により密着するように形成することができる。
【0024】
<第3実施形態>
図6は、本実施形態に係るジョイナー1bを示す断面図であり、
図3に相当する断面図である。
図6に示すように、ジョイナー1bの延出部121b及び122b、並びに遮蔽部123b以外の構成はジョイナー1と同様である。
【0025】
延出部121b及び122bは、凸部11の上記一対の面と連続して形成される箇所と、後述する遮蔽部123bと連続して形成される箇所とが密着して形成される。
図6では、遮蔽部123bと連続する下側の部材の端部が折り曲げられることで、2つの箇所が密着して固定されるが、上記一対の面と連続して形成される箇所の端部を折り曲げて、上記2つの箇所を密着して固定させてもよい。
【0026】
遮蔽部123bを構成する部材は、
図6に示すように、凸部11を構成する部材とは別体として構成される。遮蔽部123bを構成する部材を別体として構成することで、ジョイナー1bを構成する材料の選択肢を広げることができる。例えば、凸部11を構成する部材と、遮蔽部123bを構成する部材として、例えば鋼板を含めた種々の金属材料(例えば、アルミニウム材等)を組み合わせることが可能になる。
【0027】
以上、本開示の好ましい実施形態について説明したが、本開示は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0028】
1、1a、1b ジョイナー、10 孔、11 凸部、12 基部、123 遮蔽部、13 内部空間、2、2a、2b サイディング、100 躯体、101a、101b 通気層