(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088107
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】射出成形方法及び射出成形機
(51)【国際特許分類】
B29C 45/76 20060101AFI20240625BHJP
B29C 45/56 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
B29C45/76
B29C45/56
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203114
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000227054
【氏名又は名称】日精樹脂工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088579
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 茂
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】榊 里美
(72)【発明者】
【氏名】村田 博文
(72)【発明者】
【氏名】依田 穂積
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206AA36
4F206AP064
4F206AQ03
4F206AR074
4F206JA03
4F206JA07
4F206JL02
4F206JM02
4F206JM04
4F206JN25
4F206JN34
4F206JP13
4F206JP18
4F206JQ83
(57)【要約】
【課題】 型隙間を高い精度により正確に設定し、成形品の品質及び均質性を高めるとともに、低コスト性やメンテナンス性を高め、金型制御のためのコストダウンを図る。
【解決手段】 型締装置Mcにより、型開位置Xoにある可動型Dmを、型閉鎖位置Xzまで前進移動させることにより当該型閉鎖位置XzをゼロポイントPoとして設定するゼロポイント設定制御機能部Fsと、このゼロポイントPoから可動型Dmを、設定する型隙間Lgに対応するストローク分Lgsを後退移動させることにより当該型隙間Lgを設定する型隙間設定制御機能部Fgと、型隙間Lgが設定された金型Dに対して成形材料Rを射出充填する射出充填制御機能部Fiと、を有する成形機コントローラ2を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
型締装置により、可動型と固定型間に所定の型隙間を設けた金型に対して、射出装置により、成形材料を射出充填して成形を行う射出成形方法において、前記型締装置により、型開位置にある前記可動型を、型閉鎖位置まで前進移動させることにより当該型閉鎖位置をゼロポイントとして設定し、このゼロポイントから前記可動型を、設定する前記型隙間に対応するストローク分を後退移動させることにより当該型隙間を設定し、この後、前記型隙間が設定された前記金型に対して成形材料を射出充填する射出充填処理を行うことを特徴とする射出成形方法。
【請求項2】
前記型隙間の設定は、成形サイクルのショット毎に行うことを特徴とする請求項1記載の射出成形方法。
【請求項3】
前記成形材料は、熱硬化性樹脂材料を適用することを特徴とする請求項1記載の射出成形方法。
【請求項4】
前記金型に対する成形材料の射出充填処理後は、前記可動型を加圧する圧縮処理を行うことを特徴とする請求項1記載の射出成形方法。
【請求項5】
型締装置により、可動型と固定型間に所定の型隙間を設けた金型に対して、射出装置により、成形材料を射出充填する制御を行う成形機コントローラを備える射出成形機において、前記型締装置により、型開位置にある前記可動型を、型閉鎖位置まで前進移動させることにより当該型閉鎖位置をゼロポイントとして設定するゼロポイント設定制御機能部と、このゼロポイントから前記可動型を、設定する前記型隙間に対応するストローク分を後退移動させることにより当該型隙間を設定する型隙間設定制御機能部と、前記型隙間が設定された前記金型に対して成形材料を射出充填する射出充填制御機能部と、を有する成形機コントローラを備えることを特徴とする射出成形機。
【請求項6】
前記型締装置は、タイバー機構部により進退自在に支持され、かつ前記可動型を支持する可動盤と、前記タイバー機構部により進退自在に支持され、かつ前記可動型の型締めを行う型締駆動機構部を内蔵した型締盤と、この型締盤に一体に設け、当該型締盤を前記タイバー機構部の所定位置に固定可能なチャック機構部とを備えることを特徴とする請求項5記載の射出成形機。
【請求項7】
前記型隙間設定機能部は、前記可動型を後退移動させる前記ストローク分の後退移動量を検出するエンコーダを備えることを特徴とする請求項5記載の射出成形機。
【請求項8】
前記成形機コントローラは、前記射出充填制御機能部による射出充填処理後に前記可動型を加圧して圧縮処理を行う圧縮制御機能部を備えることを特徴とする請求項5記載の射出成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動型と固定型間に所定の型隙間を設けた金型に、成形材料を射出充填して成形を行う射出成形方法及び射出成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、型締装置により、可動型と固定型間に所定の型隙間を設けた金型に対して、射出装置により、成形材料を射出充填して成形を行う射出成形機(射出成形方法)は、既に本出願人が提案した特許文献1の射出成形機等で知られている。
【0003】
同文献1に記載の射出成形機は、射出充填時に金型における可動型と固定型間に所定の隙間(パーティング開量)が生じ、かつ良品成形可能な成形射出圧力と成形型締力を求めて設定するとともに、成形型締力により型締装置を型締し、かつ成形射出圧力をリミット圧力として設定した射出装置を駆動して金型に樹脂を射出充填する特定の成形方式により成形を行う機能を備えており、また、パーティング開量(型隙間)を検出する手段には、金型に付設することにより、可動型と固定型の相対位置を検出する位置検出器を用いて構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した特許文献1の射出成形機をはじめ、従来における射出成形機(射出成形方法)は、次のような解決すべき課題も存在した。
【0006】
第一に、この種の射出成形機では、成形材料、即ち、流動化した溶融樹脂を、僅かな型隙間を設けた状態の金型に射出充填するため、設定する型隙間の精度は成形品質に直接影響する。従来は、この型隙間を設定する場合、特許文献1のような、金型に付設する位置検出器或いは金型の近傍に設置したエンコーダ等の位置センサを利用して設定していたため、成形機や金型の温度の影響を受けやすく、特に、成形材料として熱硬化性樹脂材料を成形する場合、金型温度は、160-180℃程度に設定されることから、金型に金属膨張を生じやすく、型隙間を精度よく設定できない課題があり、結果的に、成形品の品質及び均質性の低下を招きやすい難点があった。
【0007】
第二に、金型自身或いはその近傍に、金型の付属部品(専用部品)となる位置検出器や位置センサを付設する必要があるため、コスト面やメンテナンス面で不利になる。加えて高い制御精度が要求される制御系が必要になるとともに、検出データの温度補正処理等が必要になるなど、制御系の構成が煩雑化し、制御面のコストアップを招きやすい。結局、部品点数を削減し、コストダウンを図る観点からも更なる改善の余地が残されていた。
【0008】
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決した射出成形方法及び射出成形機の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る射出成形方法は、上述した課題を解決するため、型締装置Mcにより、可動型Dmと固定型Dc間に所定の型隙間Lgを設けた金型Dに対して、射出装置Miにより、成形材料Rを射出充填して成形を行うに際し、型締装置Mcにより、型開位置Xoにある可動型Dmを、型閉鎖位置Xzまで前進移動させることにより当該型閉鎖位置XzをゼロポイントPoとして設定し(S2-S8)、このゼロポイントPoから可動型Dmを、設定する型隙間Lgに対応するストローク分Lgsを後退移動させることにより当該型隙間Lgを設定し(S9-S11)、この後、型隙間Lgが設定された金型Dに対して成形材料Rを射出充填する射出充填処理(S12-S14)を行うことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る射出成形機Mは、上述した課題を解決するため、型締装置Mcにより、可動型Dmと固定型Dc間に所定の型隙間Lgを設けた金型Dに対して、射出装置Miにより、成形材料Rを射出充填する制御を行う成形機コントローラ2を備える射出成形機Mを構成するに際して、型締装置Mcにより、型開位置Xoにある可動型Dmを、型閉鎖位置Xzまで前進移動させることにより当該型閉鎖位置XzをゼロポイントPoとして設定するゼロポイント設定制御機能部Fsと、このゼロポイントPoから可動型Dmを、設定する型隙間Lgに対応するストローク分Lgsを後退移動させることにより当該型隙間Lgを設定する型隙間設定制御機能部Fgと、型隙間Lgが設定された金型Dに対して成形材料Rを射出充填する射出充填制御機能部Fiと、を有する成形機コントローラ2を備えることを特徴とする。
【0011】
一方、発明の好適な態様により、型隙間Lgの設定は、成形サイクルのショット毎に行うことが望ましいとともに、成形材料Rには、熱硬化性樹脂材料を適用することが望ましい。また、金型Dに対する成形材料Rの射出充填処理後は、可動型Dを加圧する圧縮処理(S15-S17)を行うことができる。他方、型締装置Mcは、タイバー機構部4により進退自在に支持され、かつ可動型Dmを支持する可動盤5と、タイバー機構部4により進退自在に支持され、かつ可動型Dmの型締めを行う型締駆動機構部6を内蔵した型締盤7と、この型締盤7に一体に設け、当該型締盤7をタイバー機構部4の所定位置に固定可能なチャック機構部8とを備えて構成できる。また、型隙間設定制御機能部Fgには、可動型Dmを後退移動させるストローク分Lgsを検出するエンコーダE2を用いることができる。さらに、成形機コントローラ2には、射出充填制御機能部Fiによる射出充填処理後に可動型Dmを加圧して圧縮処理を行う圧縮制御機能部Fpを設けることができる。
【発明の効果】
【0012】
このような本発明に係る射出成形方法及び射出成形機Mによれば、次のような顕著な効果を奏する。
【0013】
(1) 型締装置Mcにより、型開位置Xoにある可動型Dmを、型閉鎖位置Xzまで前進移動させることにより当該型閉鎖位置XzをゼロポイントPoとして設定し、このゼロポイントPoから可動型Dmを、設定する型隙間Lgに対応するストローク分Lgsを後退移動させることにより当該型隙間Lgを設定し、この後、型隙間Lgが設定された金型Dに対して成形材料Rを射出充填する射出充填処理(S13)を行うようにしたため、僅かな型隙間Lgを設けた状態の金型Dに射出充填する場合であっても、型隙間Lgを高い精度により正確に設定することが可能となり、成形品の品質及び均質性を飛躍的に高めることができる。
【0014】
(2) 金型D自身或いはその近傍に、金型Dの付属部品(専用部品)となる位置検出器や位置センサを付設する必要がないため、低コスト性及びメンテナンス性を高めることができる。しかも、高い制御精度が要求される制御系が不要になるとともに、検出データを温度補正処理するなどの処理機能が不要になるため、制御系の簡略化を含む金型制御のためのコストダウンを図ることができる。
【0015】
(3) 好適な態様により、型隙間Lgの設定を、成形サイクルのショット毎に行うようにすれば、ショット間で生じる型隙間Lgのバラツキを回避できるため、成形品質及び均質性を確保する観点から最も望ましい態様として実施できる。
【0016】
(4) 好適な態様により、成形材料Rに、熱硬化性樹脂材料を適用すれば、金型温度が160-180℃程度に設定される場合であっても、金型Dにおける金属膨張に左右されることなく、型隙間Lgを精度よく設定できるため、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂材料を用いる成形品に対して最適な射出成形方法(射出成形機M)として提供することができる。
【0017】
(5) 好適な態様により、射出成形方法の実施に際し、金型Dに対する成形材料Rの射出充填処理(S13)後に、圧縮制御機能部Fpにより、可動型Dmを加圧して圧縮処理(S15,S16,S17)を行うようにすれば、成形材料Rの正確な射出充填量に対して圧縮処理を行うことができるため、品質及び均質の高い圧縮成形を行う観点からも最適な射出成形方法として提供できる。
【0018】
(6) 好適な態様により、型締装置Mcを、タイバー機構部4により進退自在に支持され、かつ可動型Dmを支持する可動盤5と、タイバー機構部4により進退自在に支持され、かつ可動型Dmの型締めを行う型締駆動機構部6を内蔵した型締盤7と、この型締盤7に一体に設け、当該型締盤7をタイバー機構部4の所定位置に固定可能なチャック機構部8とを備えて構成すれば、本発明に係る射出成形方法を容易かつ確実に実施できるなど、実施の容易性及び実施の確実性を確保できる。
【0019】
(7) 好適な態様により、型隙間設定制御機能部Fgに、可動型Dmを後退移動させるストローク分Lgsを検出するエンコーダE2を用いれば、常に正確なゼロポイントPoから型隙間Lgを設定できるため、エンコーダE2であっても精度の高い型隙間Lgを容易かつ低コストに設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の好適実施形態に係る射出成形方法の処理手順を説明するためのフローチャート、
【
図2】同射出成形方法の実施に用いる射出成形機の構成図、
【
図3】同射出成形機の要部を抽出して示す具体的回路図、
【
図4】同射出成形機の型締装置の
図3中一点鎖線円A部におけるチャック機構部の拡大断面図、
【
図5】同射出成形機の成形機コントローラにおけるディスプレイの一部を示す設定画面図、
【
図7】同射出成形機の他の状態を示す模式的構成図、
【
図8】同射出成形機の他の状態を示す模式的構成図、
【
図9】同射出成形機の他の状態を示す模式的構成図、
【
図10】同射出成形機の他の状態を示す模式的構成図、
【
図11】同射出成形機の他の状態を示す模式的構成図、
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0022】
まず、本実施形態に係る射出成形方法を実施できる射出成形機Mの構成について、
図2-
図4を参照して説明する。
【0023】
図2において、Mは射出成形機であり、機台Mbの上面に設置した射出装置Miと型締装置Mcを備える。
【0024】
射出装置Miは、機台Mb上に進退移動可能に設置し、前端に射出ノズル11nを、後部にホッパー11hをそれぞれ有する加熱筒11を備える。加熱筒11の内部にはスクリュ12を挿入するとともに、加熱筒11の後端にはスクリュ駆動部13を配設する。スクリュ駆動部13は、片ロッドタイプの射出ラム15を内蔵する射出シリンダ14を備え、射出ラム15の前方に突出するラムロッド15rはスクリュ12の後端に結合する。また、射出ラム15の後端には、射出シリンダ14に取付けたスクリュ回転モータ(オイルモータ)16のシャフトがスプライン結合する。17は、射出装置Miを進退移動させて金型Dに対するノズルタッチ又はその解除を行う射出装置移動シリンダを示す。
【0025】
型締装置Mcは、基本構造として、タイバー機構部4により進退自在に支持され、かつ可動型Dmを支持する可動盤5と、タイバー機構部4により進退自在に支持され、かつ可動型Dmの型締めを行う型締駆動機構部6を内蔵した型締盤7と、この型締盤7に一体に設け、当該型締盤7をタイバー機構部4の所定位置に固定可能なチャック機構部8とを備える。
【0026】
より具体的には、
図2及び
図3に示すように、機台Mbの上面に離間して固定した第一固定盤21と第二固定盤22を備える。この第一固定盤21と第二固定盤22間の四隅には四本の平行に配したタイバー4m…をそれぞれ架設する。そして、各タイバー4m…により、可動盤5と型締盤7がスライド変位可能に支持される。これにより、前固定盤21に固定型Dcが支持されるとともに、可動盤5に可動型Dmが支持され、この固定型Dcと可動型Dmにより金型Dが構成される。
【0027】
また、
図3に示すように、型締盤7には、型締駆動機構部6を内蔵する。型締駆動機構部6は、片ロッドタイプの型締シリンダ6cにより構成し、前方に突出した型締ラム6crの先端を可動盤5の裏面に固定する。このように、型締駆動機構部6に、型締シリンダ6cを用いれば、型締シリンダ6cを含む後述する油圧回路3を利用できるため、射出充填時における成形材料Rに対する油圧回路3の衝撃緩衝性により、成形品質を高めることができる。なお、23,23は、後固定盤22と可動盤5間に架設した左右一対の片ロッドタイプの型開閉シリンダを示す。
【0028】
さらに、型締盤7の裏面(第二固定盤22側)にはチャック機構部8を配設する。チャック機構部8は、各タイバー4m…に対応した四つのチャック部8m…により構成する。この場合、一つのタイバー4m(他のタイバー4m…も同じ)は、
図4に示すように、外周面上に、リング状の凹溝部25sを形成するとともに、この凹溝部25s…を軸方向に沿って一定間隔置きに設けて構成する。
【0029】
一つのチャック部8m(他のチャック部8m…も同じ)は、上下に二分割したチャック半体部(ハーフナット)8muと8mdを備え、このチャック半体部8muと8mdによりタイバー4mを挟むことにより固定可能に構成した。例示の場合、
図4に示すように、型締盤7の裏面にガイドレール機構を有する係合部7rを設け、この係合部7rに、各チャック半体部8muと8mdを昇降可能に係合させるとともに、リンク機構により相互に反対方向へ変位可能に構成した。また、一方のチャック半体部8muに対してチャックシリンダ24を結合してチャック半体部8muと8mdを昇降変位可能に構成するとともに、各チャック半体部8muと8mdの内周面には、タイバー4mの外周面に設けた凹溝部25s…に嵌合するリング状の凸条部25p…を形成するとともに、タイバー4mの外周面に設けた凸条部25t…に嵌合するリング状の凹溝部25q…を形成した。
【0030】
これにより、
図4中、チャックシリンダ24のピストンラムを突出させれば、実線断面で示すチャック半体部8mu,8mdの位置、即ち、チャックポジションXsに変位するため、凸条部25t…と凹溝部25q…が係止して型締盤7を固定するとともに、チャックシリンダ24のピストンラムを引込めれば、仮想線で示すチャック半体部8mu,8mdの位置、即ち、チャック解除ポジションXrに変位するため、凸条部25t…と凹溝部25q…が離間することにより型締盤7の軸方向への移動を許容する。なお、例示したチャック部8mの構成は一例であり、例えば、四つのチャック部8m…を備えるため、チャック半体部8md…の内周面を平坦にし、チャック半体部8mu…の内周面のみに凸条部25p…を設けてもよく、基本的には、同一機能を有する公知の各種機構により置換可能である。
【0031】
このように、型締装置Mcとして、タイバー機構部4により進退自在に支持され、かつ可動型Dmを支持する可動盤5と、タイバー機構部4により進退自在に支持され、かつ可動型Dmの型締めを行う型締駆動機構部6(型締シリンダ6c)を内蔵した型締盤7と、この型締盤7に一体に設け、当該型締盤7をタイバー機構部4の所定位置に固定可能なチャック機構部8とを備えて構成すれば、本発明に係る射出成形方法を容易かつ確実に実施できるなど、実施の容易性及び実施の確実性を確保できる。
【0032】
他方、3は油圧回路であり、主要部として、油圧駆動源となる可変吐出型油圧ポンプ3p及び各種切換及び制御を行うバルブ回路32を備えるとともに、本発明に従って、型締シリンダ6cに接続するメータアウト回路9を備える。このように、射出装置Mi及び型締装置Mcを、油圧ポンプ3pを含む油圧回路3により駆動すれば、油圧に基づく衝撃吸収性を利用できるため、本発明に係る射出成形方法を最適な形態により実施することができるとともに、特に、射出充填時における成形材料Rに対する衝撃を緩衝して成形品質の向上に寄与できる。
【0033】
油圧ポンプ3pは、
図3に示すように、ポンプ部35とこのポンプ部35を回転駆動するサーボモータ36を備える。なお、37はサーボモータ36の回転数を検出するロータリエンコーダを示す。ポンプ部35は、斜板型ピストンポンプにより構成するポンプ機体38を内蔵する。したがって、ポンプ部35は、斜板42を備え、斜板42の傾斜角(斜板角)を大きくすれば、ポンプ機体38におけるポンプピストンのストロークが大きくなり、吐出流量が増加するとともに、斜板角を小さくすれば、同ポンプピストンのストロークが小さくなり、吐出流量が減少する。この結果、斜板角を所定の角度に設定すれば、吐出流量(最大容量)が所定の大きさに固定される固定吐出流量を設定することが可能になる。斜板42には、コントロールシリンダ43及び戻しスプリング44を付設するとともに、コントロールシリンダ43は、切換バルブ(電磁バルブ)45を介してポンプ部35(ポンプ機体38)の吐出口に接続する。これにより、コントロールシリンダ43を制御することにより斜板42の角度(斜板角)を変更することができる。
【0034】
また、ポンプ部35の吸入口は、オイルタンク39に接続するとともに、吐出口は、バルブ回路32の一次側に接続する。バルブ回路32の二次側は、前述した射出シリンダ14,スクリュ回転モータ16,射出装置移動シリンダ17,型締シリンダ6c,型開閉シリンダ23…,チャックシリンダ24…をはじめ、不図示のエジェクタシリンダ等の他の各種アクチュエータに接続する。したがって、バルブ回路32には、これらの各アクチュエータにそれぞれ接続する切換バルブ(電磁バルブ)を備える。なお、各切換バルブは、それぞれ一又は二以上のバルブ部品をはじめ、必要な付属油圧部品等により構成され、少なくとも、上述した射出シリンダ14,スクリュ回転モータ16,射出装置移動シリンダ17,型締シリンダ6c,型開閉シリンダ23…,チャックシリンダ24…をはじめ、不図示のエジェクタシリンダ等の他の各種アクチュエータに対する作動油の供給,停止,排出に係わる切換機能を有している。これにより、サーボモータ36の回転数を可変制御すれば、可変吐出型油圧ポンプ3pの吐出流量及び吐出圧力を可変することができる。
【0035】
さらに、
図3に示すように、型締シリンダ6cの油室(後油室)6mに接続した作動油ライン48には、メータアウト回路9の流入側を接続し、このメータアウト回路9の流出側は、オイルタンク39に接続する。メータアウト回路9は、逆止弁51,52、方向制御弁(電磁バルブ)53、リリーフ弁(背圧制御弁)54を備え、
図3に示すように接続して構成する。
【0036】
これにより、本実施形態の場合、射出充填工程では、メータアウト回路9を用いた背圧制御のみで型締装置Mcに対する制御が可能となる。即ち、メータアウト回路9の機能により、金型D内における成形材料Rの圧力は、設定された背圧Pb〔kN〕以下のときはその圧力に維持されるとともに、背圧Pb〔kN〕を越えたときはリリーフ弁54の機能により背圧Pb〔kN〕に維持される。
【0037】
このように、型締シリンダ6cに接続したメータアウト回路9を設けて構成すれば、比較的簡易な油圧回路3を追加するのみでメータアウト回路9を実現できるため、容易かつ低コストに実施できるとともに、背圧制御を容易かつ確実に行える利点がある。また、射出装置Mi及び型締装置Mcに対して、共通の油圧ポンプ3pにより駆動することができる。即ち、射出充填時の型締装置Mcに対し背圧制御のみで実施可能になり、油圧ポンプによる駆動力が不要になるため、本来、射出充填時に必要となる射出装置Mi側と型締装置Mc側に必要な二台の油圧ポンプの型締装置Mc側の油圧ポンプが不要になり、大幅なコスト削減に寄与できる。
【0038】
他方、2は成形機コントローラを示す。この成形機コントローラ2には、コントローラ本体61及びディスプレイ62が含まれる。前述したサーボモータ36は、コントローラ本体61のサーボアンプ出力ポートに接続するとともに、バルブ回路32はコントローラ本体61の制御信号出力ポートに接続する。一方、ロータリエンコーダ37から得るエンコーダパルスは、コントローラ本体61のサーボアンプに接続する。なお、55はバルブ回路32の一次側に接続した油圧を検出する圧力センサであり、この圧力センサ55の検出結果は、成形機コントローラ2のコントローラ本体61に付与される。
【0039】
コントローラ本体61は、CPU及び内部メモリ等のハードウェアを内蔵するコンピュータ機能を備える。したがって、内部メモリには、各種制御処理(シーケンス制御)を実行するため制御プログラム(ソフトウェア)を格納するとともに、各種データ(データベース)類を記憶するデータメモリが含まれる。
【0040】
したがって、コントローラ本体61は制御プログラムの実行により、少なくとも本実施形態に係る射出成形方法を実現するための、少なくとも、ゼロポイント設定制御機能部Fs,型隙間設定制御機能部Fg,射出充填制御機能部Fiを有する基本的な制御機能部を備えるとともに、より望ましい具体的な制御機能部として、圧縮制御機能部Fpを備えている。この場合、ゼロポイント設定制御機能部Fsは、型締装置Mcにより、型開位置Xoにある可動型Dmを、型閉鎖位置Xzまで前進移動させることにより当該型閉鎖位置XzをゼロポイントPoとして設定する機能を備えるとともに、型隙間設定制御機能部Fgは、ゼロポイント設定制御機能部Fsにより検出されたゼロポイントPoから、設定する型隙間Lgに対応するストローク分Lgsだけ、可動型Dmを後退移動させることにより当該型隙間Lgを設定する機能を備える。さらに、射出充填制御機能部Fiは、型隙間Lgが設定された金型Dに対して成形材料Rを射出充填する機能を備えるとともに、圧縮制御機能部Fpは、射出充填制御機能部Fiによる射出充填処理後に可動型Dmを加圧して圧縮処理を行う機能を備える。
【0041】
一方、
図2に示すように、機台Mbの上面には、型締盤位置検出エンコーダ(位置センサ)E1を設置する。このエンコーダE1により、型締盤7の前後方向の位置(移動位置)が検出され、検出された型締盤7の位置データはコントローラ本体61に付与される。また、型締盤7の外面には、可動盤位置検出エンコーダ(位置センサ)E2を設置する。このエンコーダE2により、可動盤5の前後方向の位置(移動位置)が検出され、検出された可動盤5の位置データはコントローラ本体61に付与される。したがって、可動型Dmを後退移動させるストローク分Lgsを検出する型隙間設定制御機能部Fgには、このエンコーダE2(E1)が用いられる。
【0042】
また、ディスプレイ62は、各種表示を行うことができるとともに、タッチパネルが付設され、このタッチパネルにより各種設定操作及び選択操作等を行うことができる。
図5に、本実施形態に係る射出成形方法の実施に使用する設定画面、特に、型開閉画面Vmを表示した状態を示す。この型開閉画面Vmには、「圧縮」スイッチ63が設けられているため、この「圧縮」スイッチ63をONにすることにより、本実施形態に係る射出成形方法に使用する設定画面Vsをウィンドウ表示することができる。この設定画面Vsには、圧縮のON/OFF選択キー64,射出前の可動盤5の待機位置〔mm〕を設定する待機位置設定部65a,圧縮の開始位置〔mm〕を設定する圧縮位置設定部65b,射出中の型締保持圧力(背圧)〔kN〕を設定する型締背圧設定部65c,待機位置に移行しなかった場合の充填未達時間Ts〔秒〕を設定する充填未達時間設定部65d,圧縮開始時間Ti〔秒〕を設定する圧縮開始時間設定部65e,1次型締の圧縮圧力〔kN〕を設定する1次型締圧力設定部65f,2次型締の圧縮圧力〔kN〕を設定する2次型締圧力設定部65g,2次型締への切換時間〔s〕を設定する切換時間設定部65hを備える。なお、66は設定画面Vsの「閉じる」キーを示す。
【0043】
次に、射出成形機Mを用いた本実施形態に係る射出成形方法について、主に、
図6-
図11を参照しつつ
図1に示すフローチャートに従って順次説明する。
【0044】
本実施形態に係る射出成形方法の実施に際しては、最初に、設定処理を行う(ステップS1)。この設定処理では、通常の各種成形条件の設定を行うとともに、
図5に示した設定画面Vsを用いて、本実施形態に係る射出成形方法に関連する上述した各種項目の設定を行う。
【0045】
今、型締装置Mcの可動型Dm(型締盤7)は、
図6に示す型開位置Xoにあるものとする(ステップS2)。この型開位置Xoは、チャックシリンダ24…を駆動制御してチャック部8m…をチャック解除ポジションXrに切換えるとともに、型締シリンダ6cを駆動制御して可動盤5を後退位置(第二固定盤22側)に移動させ、かつ型開閉シリンダ23…を駆動制御して可動盤5及び型締盤7を後退移動させた位置となる。なお、型締盤7及び可動盤5の位置は、型締盤位置検出用エンコーダE1及び可動盤位置検出用エンコーダE2により検出される。
【0046】
生産時には、型開閉シリンダ23…を駆動制御し、可動盤5及び型締盤7を、型開位置Xoから
図7に示すチャック位置Xcまで高速で前進移動させる(ステップS3)。そして、チャック位置Xcに達したならチャックシリンダ24…を駆動制御してチャック部8m…をチャックポジションXsに切換えて型締盤7をタイバー4m…に固定する(ステップS4)。なお、
図7中、Laは、型開位置Xoからチャック位置Xcまでの型締盤7の移動ストロークを示す。
【0047】
次いで、
図2に示すゼロポイント設定制御機能部Fsにより型締シリンダ6cを駆動制御し、
図8に示すように、可動盤5を前進移動させる。この前進移動は、可動型Dmが型閉鎖位置Xzまで行う(ステップS5)。即ち、可動型Dmが固定型Dcに当接する位置まで前進移動させる。そして、可動型Dmが型閉鎖位置Xzに達したなら可動型Dmの移動を停止させる(ステップS6,S7)。これにより、この型閉鎖位置XzがゼロポイントPoとして設定される(ステップS8)。なお、
図8中、Lzは上述したチャック位置Xcから型閉鎖位置Xzまでの可動型Dmの移動ストロークを示す。
【0048】
この後、
図2に示す型隙間設定制御機能部Fgにより型締シリンダ6cを駆動制御し、
図9に示すように、可動盤5を後退移動させる。この後退移動は、可動型DmがゼロポイントPo(型閉鎖位置Xz)から、設定する型隙間Lgに対応するストローク分Lgsを後退移動させる。即ち、型閉鎖位置Xzから、予め設定した待機位置Xwまで後退移動させる(ステップS9)。そして、可動型Dmが待機位置Xwに達したなら可動型Dmの後退移動を停止させる(ステップS10,S11)。これにより、正確な型隙間Lgが設定される。なお、この後退移動させるストローク分Lgsの後退移動量は、可動盤位置検出エンコーダ(位置センサ)E2により検出される。このように、型隙間設定制御機能部Fgに、可動型Dmを後退移動させるストローク分Lsを検出するエンコーダE2を用いれば、常に正確なゼロポイントPoから型隙間Lgを設定できるため、エンコーダE2であっても精度の高い型隙間Lgを容易かつ低コストに設定することができる。
【0049】
これにより、型締装置Mc側における射出開始の準備が完了するため、メータアウト回路9の方向制御弁53をメータアウトON側に切換える(ステップS12)。
【0050】
他方、射出装置Miでは、スクリュ回転モータ16の駆動制御によりスクリュ12が回転し、ホッパー11hに供給された成形材料Rがスクリュ12の前方に蓄積されているため、成形機コントローラ2は、射出装置移動シリンダ17の駆動制御により、射出装置Miを
図9に示すノズルタッチ位置まで前進移動させる。これにより、射出装置Mi側における射出開始の準備が完了するため、
図2に示す射出充填制御機能部Fiにより、スクリュ12を、
図10に示すストロークLrだけ前進移動させることにより、型隙間Lgが設定された金型Dに対して成形材料Rを射出充填する射出充填処理を行う(ステップS13)。
【0051】
この場合、射出開始により、スクリュ12が前進し、成形材料Rは射出ノズル11nを通して金型Dのキャビティ内、即ち、可動型Dmと固定型Dc間の型隙間Lgに充填される。なお、射出開始の直前は、可動型Dmと固定型Dc間には型隙間Lgが存在し、射出圧力は0の状態にあるとともに、型締力も0の状態となる。したがって、可動盤5の前後の圧力差が0となる平衡状態にあり、可動盤5は停止した状態にある。
【0052】
なお、実施形態の成形材料Rには、熱硬化性樹脂材料を適用した。熱硬化性樹脂材料の成形には、通常、金型Dの加熱温度が160-180℃程度に設定されるが、このような金型温度の設定であっても、型隙間Lgに対する上記の設定方法により、金型Dにおける金属膨張に左右されることなく、型隙間Lgを精度よく設定できるため、本発明は、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂材料を用いる成形品に対して最適な射出成形方法(射出成形機M)として提供することができる。
【0053】
熱硬化性樹脂材料の場合、成形材料Rとしては比較的低流動性成形材料となるが、初期の型締力は0の状態にあるため、成形材料Rは、比較的スムースに金型Dのキャビティ内に射出充填される。射出充填処理の進行により、金型D内の成形材料Rの圧力が上昇するとともに、型締盤7はチャック部8m…のチャックポジションXsにより位置が固定されているため、可動盤5が徐々に後退する。この際、メータアウト回路9の機能により、設定された背圧Pb〔kN〕に維持される。
【0054】
そして、可動盤5が、
図10に示す設定された圧縮開始位置Xpに達したなら射出充填処理を終了させる終了処理を行う。この際、スクリュ12は最前進位置の近傍まで前進する。
図10中、Pbは型締ラム6crに付加された背圧〔kN〕を示す。したがって、この場合、可動盤5が圧縮開始位置Xpに達することが射出終了条件となる。
【0055】
この後、圧縮開始時間設定部65eにより設定した圧縮開始時間Ti〔秒〕になったなら可動型Dmにより金型内Dの成形材料Rを加圧する圧縮処理を開始する(ステップS14,S15)。この場合、圧縮開始時間は「0」も含まれる。圧縮処理は、
図2に示す圧縮制御機能部Fpにより、メータアウト回路9をOFFに切換え、型締シリンダ6cを駆動制御することにより、
図11に示すように、所定の加圧力Ppにより可動盤5を前方(第一固定盤21側)へ加圧する。
図11中、Lpは加圧力Ppにより型締ラム6crが変位した圧縮量を示す。
【0056】
例示の圧縮処理は、
図5に示すように、1次型締圧力〔kN〕と2次型締圧力〔kN〕により設定される。したがって、圧縮処理時には、最初に、1次型締圧力による1次圧縮処理が行われる(ステッS16)。そして、切換時間〔秒〕に達したなら2次型締圧力に切換えられる(ステップS17)。実施形態として、このような圧縮処理を行うようにすれば、成形材料Rの正確な射出充填量に対して圧縮処理を行うことができるため、品質及び均質の高い圧縮成形を行うことができる最適な射出成形方法として提供することができる。
【0057】
この後、圧縮処理が終了すれば、型開きを行い、成形品のエジェクタ処理を行う(ステップS18)。さらに、次の生産が継続する場合には、同様の成形処理を行う(ステップS19,S2…)。
【0058】
このように、本実施形態に係る射出成形方法において、上述した型隙間Lgの設定は、成形サイクルのショット毎に行うようにした。これにより、ショット間で生じる型隙間Lgのバラツキを回避できるため、成形品質及び均質性を確保する観点から最も望ましい態様として実施することができる。
【0059】
よって、このような本実施形態に係る射出成形方法(射出成形機M)によれば、基本的な手法として、型締装置Mcにより、型開位置Xoにある可動型Dmを、型閉鎖位置Xzまで前進移動させることにより当該型閉鎖位置XzをゼロポイントPoとして設定し、このゼロポイントPoから可動型Dmを、設定する型隙間Lgに対応するストローク分Lgsを後退移動させることにより当該型隙間Lgを設定し、この後、型隙間Lgが設定された金型Dに対して成形材料Rを射出充填する射出充填処理を行うようにしたため、僅かな型隙間Lgを設けた状態の金型Dに射出充填する場合であっても、型隙間Lgを高い精度により正確に設定することが可能となり、成形品の品質及び均質性を飛躍的に高めることができる。また、金型D自身或いはその近傍に、金型Dの付属部品(専用部品)となる位置検出器や位置センサを付設する必要がないため、コスト面やメンテナンス面で有利となる。しかも、高い制御精度が要求される制御系が不要になるとともに、検出データを温度補正処理するなどの処理機能が不要になるため、制御系の簡略化を含む金型D制御のためのコストダウンを図ることができる。
【0060】
以上、好適実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,数値等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
【0061】
例えば、型隙間Lgの設定は、成形サイクルのショット毎に行うことが望ましいが、例えば、例示の実施形態では、ゼロポイントPoを検出し、検出したゼロポイントPoを直接使用して型隙間Lgを設定した場合を示したが、検出したゼロポイントPoを登録し、次のショット又は以降の複数のショットに使用する場合を排除するものではない。また、成形材料Rには、熱硬化性樹脂材料を適用することが最適であり、熱硬化性樹脂材料の種類は問わないとともに、熱可塑性樹脂材料などの他の成形材料の適用を排除するものではない。なお、射出成形機の駆動方式として油圧駆動方式を用いた場合を例示したが、電動駆動方式など、他の駆動方式であっても同様に実施することができる。一方、金型Dに対する成形材料Rの射出充填処理後に、可動型Dを加圧する圧縮処理を行う例を示したが、強制的な圧縮処理を行うことなく、自然圧縮を行うことにより冷却する場合など、他の成形方式による射出成形を排除するものではない。他方、型締装置Mcとして、タイバー機構部4により進退自在に支持され、かつ可動型Dmを支持する可動盤5と、タイバー機構部4により進退自在に支持され、かつ可動型Dmの型締めを行う型締駆動機構部6を内蔵した型締盤7と、この型締盤7に一体に設け、当該型締盤7をタイバー機構部4の所定位置に固定可能なチャック機構部8とを備えて構成した型締装置を示したが、同様に実施できる他の型締装置Mcの使用を排除するものではない。また、型隙間設定制御機能部Fgに、エンコーダE2を用いた場合を示したが、位置を検出できる他の各種位置センサを利用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明に係る射出成形方法及び射出成形機は、各種成形材料を流動化し、金型に射出充填して成形を行う各種の射出成形機及び射出成形機に用いる射出成形方法として利用することができる。
【符号の説明】
【0063】
2:成形機コントローラ,4:タイバー機構部,5:可動盤,6:型締駆動機構部,7:型締盤,8:チャック機構部,(S12-S14)射出充填処理,(S15-S17)圧縮処理,M射出成形機,Mc型締装置,Mi射出装置,D金型,Dm可動型,Dc固定型,Lg型隙間,Lgsストローク分,Xo型開位置,Xz型閉鎖位置,R成形材料,Poゼロポイント,E2エンコーダ,Fsゼロポイント設定制御機能部,Fg型隙間設定制御機能部,Fi射出充填制御機能部,Fp圧縮制御機能部