(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008811
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】車両用シート装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
B60N 2/14 20060101AFI20240112BHJP
B60N 2/06 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
B60N2/14
B60N2/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027374
(22)【出願日】2023-02-24
(31)【優先権主張番号】63/358,575
(32)【優先日】2022-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/422,545
(32)【優先日】2022-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】香取 孝宜
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087BA02
3B087BA07
3B087BC19
(57)【要約】
【課題】回転装置及び伸縮装置を有する車両用シート装置において、回転動作を円滑に行う。
【解決手段】車両用シート装置1は、シートクッション11及びシートバック12を有し、シートクッションが水平方向に進退する伸縮装置13を有する、シート本体3と、フロア5とシートクッションとの間に設けられ、シートクッションを上下方向に延びる第1軸線を中心として回転可能に支持する回転装置2と、伸縮装置及び回転装置を制御する制御装置220と、使用者によって操作され、回転装置を回転させるための回転指令を制御装置に出力するための回転操作スイッチ262とを有する。制御装置は、回転操作スイッチからの信号に基づいて回転装置の回転制御を実行すると共に、回転制御に応じて伸縮装置の伸縮制御を実行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用シート装置であって、
シートクッション及びシートバックを有し、前記シートクッションが水平方向に進退する伸縮装置を有する、シート本体と、
フロアと前記シートクッションとの間に設けられ、前記シートクッションを上下方向に延びる第1軸線を中心として回転可能に支持する回転装置と、
前記伸縮装置及び前記回転装置を制御する制御装置と、
使用者によって操作され、前記回転装置を回転させるための回転指令を前記制御装置に出力するための回転操作スイッチとを有し、
前記制御装置は、前記回転操作スイッチからの信号に基づいて前記回転装置の回転制御を実行すると共に、前記回転制御に応じて前記伸縮装置の伸縮制御を実行する車両用シート装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記伸縮制御によって前記伸縮装置の水平方向への突出量を予め設定された上限突出量以下に収縮させた後に、前記回転装置の前記回転制御を開始する請求項1に記載の車両用シート装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記伸縮装置の突出量を予め設定された上限突出量以下に収縮させる前記伸縮制御を開始すると同時に、前記回転装置の前記回転制御を開始する請求項1に記載の車両用シート装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記回転装置の前記回転制御が完了する前に、前記伸縮制御によって前記伸縮装置の突出量を前記上限突出量以下に収縮させる請求項3に記載の車両用シート装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記回転装置の回転角と前記伸縮装置の上限突出量との関係を規定したマップに基づいて、各回転角における前記伸縮装置の突出量が前記上限突出量以下になるように、前記回転制御及び前記伸縮制御を実行する請求項1に記載の車両用シート装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記シート本体が車両の前方を向く初期位置から車外側に回転するときに、前記回転制御に応じた前記伸縮制御を実行しない請求項1に記載の車両用シート装置。
【請求項7】
前記伸縮装置と、前記車両内の構造体との接近状態を検出する近接センサを更に有し、
前記制御装置は、前記近接センサからの信号に基づいて前記伸縮装置と前記構造体との距離が所定の下限値以上になるように前記伸縮制御を行う請求項1に記載の車両用シート装置。
【請求項8】
前記フロアには、一対のロアレールが設けられ、
前記ロアレールのそれぞれには、スライド移動可能にアッパレールが支持され、
一対の前記アッパレールは、一対のクロスメンバのそれぞれによって連結され、
前記回転装置は、前記クロスメンバのそれぞれに結合されたベースプレートと、前記ベースプレートに回転可能に支持された回転板と、前記回転板に結合された面が上下を向く板状の固定ブラケットとを有し、
前記固定ブラケットの上面に前記シートクッションが結合されている請求項1~7のいずれか1つの項に記載の車両用シート装置。
【請求項9】
前記固定ブラケットの下面に照明装置が設けられ、
前記制御装置は、前記回転制御の実行中に前記照明装置を点灯させる請求項8に記載の車両用シート装置。
【請求項10】
一対の前記クロスメンバは、連結部材によって互いに結合され、
前記連結部材の下面に照明装置が設けられ、
前記制御装置は、前記回転制御の実行中に前記照明装置を点灯させる請求項8に記載の車両用シート装置。
【請求項11】
前記ベースプレート及び前記回転板は、上下に延び、両端が開口した支持筒に回転可能に支持され、
前記伸縮装置は、前記シートクッションのフレームに前後にスライド移動可能に設けられた可動部材と、圧縮空気の供給を受けて膨張し、前記可動部材を移動させる空気袋と、チューブを介して前記空気袋に前記圧縮空気を供給するコンプレッサとを有し、
前記チューブが前記支持筒を通過している請求項8に記載の車両用シート装置。
【請求項12】
前記回転装置は、前記ベースプレートに対する前記回転板の回転を選択的に禁止する回転ロック装置を有し、
前記回転ロック装置は、前記ベースプレートの下面から下方に突出したホルダと、前記ホルダに回動可能に支持され、前記ベースプレートを貫通して前記回転板に係合するロック爪とを有し、
前記ホルダは、前記ベースプレートに形成された開口を通過して前記ベースプレートの上方に延びる端壁部を有し、
前記ロック爪は、前記端壁部に第2軸線を中心として回動可能に支持され、
前記回転板は、前記ベースプレートの上面に軸受を介して支持され、
前記第2軸線は、上下方向において、前記軸受と同じ高さに配置されている請求項8に記載の車両用シート装置。
【請求項13】
前記回転板には、前記ロック爪が選択的に係合可能なロック孔が形成され、
前記ベースプレートには挿通孔が形成され、
前記ロック爪は、ロック位置と解除位置との間で回動し、
前記ロック爪は、前記ロック位置において前記挿通孔を通過して前記ロック孔に突入し、前記解除位置において前記挿通孔及び前記ロック孔から離れ、
前記ロック爪と前記ホルダとの間には、前記ロック爪を前記ロック位置に向けて付勢する付勢部材が設けられ、
前記付勢部材は、前記第1軸線を中心とした径方向に延び、
上下方向から見て、前記付勢部材の前記第1軸線側の端部は前記第2軸線を延長した仮想線と重なりを有する請求項12に記載の車両用シート装置。
【請求項14】
前記回転板の下面には前記第1軸線を中心とするギヤが設けられ、
前記第2軸線は、前記ギヤよりも前記第1軸線を中心とする径方向外方に配置されている請求項12に記載の車両用シート装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シート装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、フロアに対して鉛直軸回りに回転可能な車両用シート装置を開示している。車両用シート装置は、フロアに設けられたスライド装置と、スライド装置とシートクッションとの間に回転装置とを有する。回転装置は、スライド装置に支持されたベースプレートと、ベースプレートに回転可能に支持されると共に、シートクッションに結合された回転板と、ベース部に対して回転部を回転させる回転アクチュエータとを有する。
【0003】
特許文献2は、シートクッションの前端部に伸縮装置を有する車両用シート装置を開示している。伸縮装置が前方に伸長することによって、シートクッションが前方に拡張する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-132093号公報
【特許文献2】特開2022-144716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車両用シート装置に回転装置と伸縮装置とを適用することが考えられる。しかし、伸縮装置が伸長した状態では、伸縮装置が車両内の構造体と干渉し、回転装置の回転が阻害される場合がある。
【0006】
本発明は、以上の背景に鑑み、回転装置及び伸縮装置を有する車両用シート装置において、回転動作を円滑に行うことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様は、車両用シート装置(1)であって、シートクッション(11)及びシートバック(12)を有し、前記シートクッションが水平方向に進退する伸縮装置(13)を有する、シート本体(3)と、フロア(5)と前記シートクッションとの間に設けられ、前記シートクッションを上下方向に延びる第1軸線を中心として回転可能に支持する回転装置(2)と、前記伸縮装置及び前記回転装置を制御する制御装置(220)と、使用者によって操作され、前記回転装置を回転させるための回転指令を前記制御装置に出力するための回転操作スイッチ(262)とを有し、前記制御装置は、前記回転操作スイッチからの信号に基づいて前記回転装置の回転制御を実行すると共に、前記回転制御に応じて前記伸縮装置の伸縮制御を実行する。
【0008】
この態様によれば、制御装置が回転制御に応じて伸縮制御を実行するため、回転装置の回転時に伸縮装置が車両内の構造体に干渉することが避けられる。これにより、車両用シート装置は、回転動作を円滑に行うことができる。
【0009】
上記の態様において、前記制御装置は、前記伸縮制御によって前記伸縮装置の水平方向への突出量を予め設定された上限突出量以下に収縮させた後に、前記回転装置の前記回転制御を開始してもよい。
【0010】
この態様によれば、伸縮装置が収縮した後に回転装置が回転を始めるため、伸縮装置と車両内の構造体との干渉を確実に避けることができる。
【0011】
上記の態様において、前記制御装置は、前記伸縮装置の突出量を予め設定された上限突出量以下に収縮させる前記伸縮制御を開始すると同時に、前記回転装置の前記回転制御を開始してもよい。
【0012】
この態様によれば、回転装置が迅速に回転を開始することができる。
【0013】
上記の態様において、前記制御装置は、前記回転装置の前記回転制御が完了する前に、前記伸縮制御によって前記伸縮装置の突出量を前記上限突出量以下に収縮させてもよい。
【0014】
この態様によれば、伸縮装置と車両内の構造体との干渉を避けつつ、回転装置を回転させることができる。
【0015】
上記の態様において、前記制御装置は、前記回転装置の回転角と前記伸縮装置の上限突出量との関係を規定したマップに基づいて、各回転角における前記伸縮装置の突出量が前記上限突出量以下になるように、前記回転制御及び前記伸縮制御を実行してもよい。
【0016】
この態様によれば、前記回転装置の各回転角において、伸縮装置と車両内の構造体との干渉を確実に避けることができる。
【0017】
上記の態様において、前記制御装置は、前記シート本体が車両の前方を向く初期位置から車外側に回転するときに、前記回転制御に応じた前記伸縮制御を実行しなくてもよい。
【0018】
この態様によれば、シート本体は車外側に向けて伸縮装置を突出させることができる。これにより、使用者は車両への乗り降りが容易になる。
【0019】
上記の態様において、前記伸縮装置と、前記車両内の構造体との接近状態を検出する近接センサ(270)を更に有し、前記制御装置は、前記近接センサからの信号に基づいて前記伸縮装置と前記構造体との距離が所定の下限値以上になるように前記伸縮制御を行ってもよい。
【0020】
この態様によれば、前記回転装置の各回転角において、伸縮装置と車両内の構造体との干渉を確実に避けることができる。また、伸縮装置と車両内に一時的に置かれた物品との干渉も避けることができる。
【0021】
上記の態様において、前記フロアには、一対のロアレール(37)が設けられ、前記ロアレールのそれぞれには、スライド移動可能にアッパレール(38)が支持され、一対の前記アッパレールは、一対のクロスメンバ(57)のそれぞれによって連結され、前記回転装置は、前記クロスメンバのそれぞれに結合されたベースプレート(56)と、前記ベースプレートに回転可能に支持された回転板(71)と、前記回転板に結合された面が上下を向く板状の固定ブラケット(72)とを有し、前記固定ブラケットの上面に前記シートクッションが結合されてもよい。
【0022】
この態様によれば、シート本体をフロアにスライド移動可能かつ回転可能に支持することができる。
【0023】
上記の態様において、前記固定ブラケットの下面に照明装置(251)が設けられ、前記制御装置は、前記回転制御の実行中に前記照明装置を点灯させてもよい。
【0024】
この態様によれば、照明装置によってシート本体が回転していることを注意喚起することができる。照明装置はフロアを照らすため、使用者に煩わしさを与えることが抑制される。
【0025】
上記の態様において、一対の前記クロスメンバは、連結部材(253)によって互いに結合され、前記連結部材の下面に照明装置(251)が設けられ、前記制御装置は、前記回転制御の実行中に前記照明装置を点灯させてもよい。
【0026】
この態様によれば、照明装置によってシート本体が回転していることを注意喚起することができる。照明装置はフロアを照らすため、使用者に煩わしさを与えることが抑制される。
【0027】
上記の態様において、前記ベースプレート及び前記回転板は、上下に延び、両端が開口した支持筒(87)に回転可能に支持され、前記伸縮装置は、前記シートクッションのフレームに前後にスライド移動可能に設けられた可動部材(201)と、圧縮空気の供給を受けて膨張し、前記可動部材を移動させる空気袋(213)と、チューブ(218)を介して前記空気袋に前記圧縮空気を供給するコンプレッサ(217)とを有し、前記チューブが前記支持筒を通過してもよい。
【0028】
この態様によれば、コンプレッサをフロア上に配置することができる。また、チューブが回転装置の回転軸付近を通過しているため、回転装置が回転してもチューブが揺動することが抑制される。
【0029】
上記の態様において、前記回転装置は、前記ベースプレートに対する前記回転板の回転を選択的に禁止する回転ロック装置(54)を有し、前記回転ロック装置は、前記ベースプレートの下面から下方に突出したホルダ(122)と、前記ホルダに回動可能に支持され、前記ベースプレートを貫通して前記回転板に係合するロック爪(121)とを有し、前記ホルダは、前記ベースプレートに形成された開口(126)を通過して前記ベースプレートの上方に延びる端壁部(124)を有し、前記ロック爪は、前記端壁部に第2軸線(B)を中心として回動可能に支持され、前記回転板は、前記ベースプレートの上面に軸受(78)を介して支持され、前記第2軸線は、上下方向において、前記軸受と同じ高さに配置されてもよい。
【0030】
この態様によれば、第2軸線が軸受と同じ高さに配置されるため、上下方向において回転装置を小型化することができる。
【0031】
上記の態様において、前記回転板には、前記ロック爪が選択的に係合可能なロック孔(132)が形成され、前記ベースプレートには挿通孔(131)が形成され、前記ロック爪は、ロック位置と解除位置との間で回動し、前記ロック爪は、前記ロック位置において前記挿通孔を通過して前記ロック孔に突入し、前記解除位置において前記挿通孔及び前記ロック孔から離れ、前記ロック爪と前記ホルダとの間には、前記ロック爪を前記ロック位置に向けて付勢する付勢部材(134)が設けられ、前記付勢部材は、前記第1軸線を中心とした径方向に延び、上下方向から見て、前記付勢部材の前記第1軸線側の端部は前記第2軸線又は前記第2軸線を延長した仮想線と重なりを有してもよい。
【0032】
この態様によれば、ロック爪、ホルダ、及び付勢部材を、第1軸線を中心とした径方向においてコンパクトに配置することができる。
【0033】
上記の態様において、前記回転板の下面には前記第1軸線を中心とするギヤ(116)が設けられ、前記第2軸線は、前記ギヤよりも前記第1軸線を中心とする径方向外方に配置されてもよい。
【0034】
この態様によれば、ロック爪が回動するときに、ロック爪とギヤとの干渉を避けることができる。
【0035】
本発明の他の態様は、車両用シート装置(1)の制御方法であって、前記車両用シート装置は、シートクッション(11)及びシートバック(12)を有し、前記シートクッションが水平方向に伸縮する伸縮装置(13)を有する、シート本体(3)と、フロア(5)と前記シートクッションとの間に設けられ、前記シートクッションを上下方向に延びる第1軸線を中心として回転可能に支持する回転装置(2)と、前記伸縮装置及び前記回転装置を制御する制御装置(220)と、使用者によって操作され、前記回転装置を回転させるための回転指令を前記制御装置に出力するための回転操作スイッチ(262)とを有し、前記制御装置が前記回転操作スイッチからの信号に基づいて前記回転装置の回転制御を実行すると共に、前記回転制御に応じて前記伸縮装置の伸縮制御を実行してもよい。
【0036】
この態様によれば、制御装置が回転制御に応じて伸縮制御を実行するため、回転装置の回転時に伸縮装置が車両内の構造体に干渉することが避けられる。これにより、車両用シートは、回転動作を円滑に行うことができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明のある態様は、車両用シート装置(1)であって、シートクッション(11)及びシートバック(12)を有し、前記シートクッションが水平方向に進退する伸縮装置(13)を有する、シート本体(3)と、フロア(5)と前記シートクッションとの間に設けられ、前記シートクッションを上下方向に延びる第1軸線を中心として回転可能に支持する回転装置(2)と、前記伸縮装置及び前記回転装置を制御する制御装置(220)と、使用者によって操作され、前記回転装置を回転させるための回転指令を前記制御装置に出力するための回転操作スイッチ(262)とを有し、前記制御装置は、前記回転操作スイッチからの信号に基づいて前記回転装置の回転制御を実行すると共に、前記回転制御に応じて前記伸縮装置の伸縮制御を実行する。
【0038】
この態様によれば、制御装置が回転制御に応じて伸縮制御を実行するため、回転装置の回転時に伸縮装置が車両内の構造体に干渉することが避けられる。これにより、車両用シート装置は、回転動作を円滑に行うことができる。
【0039】
上記の態様において、前記制御装置は、前記伸縮制御によって前記伸縮装置の水平方向への突出量を予め設定された上限突出量以下に収縮させた後に、前記回転装置の前記回転制御を開始してもよい。
【0040】
この態様によれば、伸縮装置が収縮した後に回転装置が回転を始めるため、伸縮装置と車両内の構造体との干渉を確実に避けることができる。
【0041】
上記の態様において、前記制御装置は、前記伸縮装置の突出量を予め設定された上限突出量以下に収縮させる前記伸縮制御を開始すると同時に、前記回転装置の前記回転制御を開始してもよい。
【0042】
この態様によれば、回転装置が迅速に回転を開始することができる。
【0043】
上記の態様において、前記制御装置は、前記回転装置の前記回転制御が完了する前に、前記伸縮制御によって前記伸縮装置の突出量を前記上限突出量以下に収縮させてもよい。
【0044】
この態様によれば、伸縮装置と車両内の構造体との干渉を避けつつ、回転装置を回転させることができる。
【0045】
上記の態様において、前記制御装置は、前記回転装置の回転角と前記伸縮装置の上限突出量との関係を規定したマップに基づいて、各回転角における前記伸縮装置の突出量が前記上限突出量以下になるように、前記回転制御及び前記伸縮制御を実行してもよい。
【0046】
この態様によれば、前記回転装置の各回転角において、伸縮装置と車両内の構造体との干渉を確実に避けることができる。
【0047】
上記の態様において、前記制御装置は、前記シート本体が車両の前方を向く初期位置から車外側に回転するときに、前記回転制御に応じた前記伸縮制御を実行しなくてもよい。
【0048】
この態様によれば、シート本体は車外側に向けて伸縮装置を突出させることができる。これにより、使用者は車両への乗り降りが容易になる。
【0049】
上記の態様において、前記伸縮装置と、前記車両内の構造体との接近状態を検出する近接センサ(270)を更に有し、前記制御装置は、前記近接センサからの信号に基づいて前記伸縮装置と前記構造体との距離が所定の下限値以上になるように前記伸縮制御を行ってもよい。
【0050】
この態様によれば、前記回転装置の各回転角において、伸縮装置と車両内の構造体との干渉を確実に避けることができる。また、伸縮装置と車両内に一時的に置かれた物品との干渉も避けることができる。
【0051】
上記の態様において、前記フロアには、一対のロアレール(37)が設けられ、前記ロアレールのそれぞれには、スライド移動可能にアッパレール(38)が支持され、一対の前記アッパレールは、一対のクロスメンバ(57)のそれぞれによって連結され、前記回転装置は、前記クロスメンバのそれぞれに結合されたベースプレート(56)と、前記ベースプレートに回転可能に支持された回転板(71)と、前記回転板に結合された面が上下を向く板状の固定ブラケット(72)とを有し、前記固定ブラケットの上面に前記シートクッションが結合されてもよい。
【0052】
この態様によれば、シート本体をフロアにスライド移動可能かつ回転可能に支持することができる。
【0053】
上記の態様において、前記固定ブラケットの下面に照明装置(251)が設けられ、前記制御装置は、前記回転制御の実行中に前記照明装置を点灯させてもよい。
【0054】
この態様によれば、照明装置によってシート本体が回転していることを注意喚起することができる。照明装置はフロアを照らすため、使用者に煩わしさを与えることが抑制される。
【0055】
上記の態様において、一対の前記クロスメンバは、連結部材(253)によって互いに結合され、前記連結部材の下面に照明装置(251)が設けられ、前記制御装置は、前記回転制御の実行中に前記照明装置を点灯させてもよい。
【0056】
この態様によれば、照明装置によってシート本体が回転していることを注意喚起することができる。照明装置はフロアを照らすため、使用者に煩わしさを与えることが抑制される。
【0057】
上記の態様において、前記ベースプレート及び前記回転板は、上下に延び、両端が開口した支持筒(87)に回転可能に支持され、前記伸縮装置は、前記シートクッションのフレームに前後にスライド移動可能に設けられた可動部材(201)と、圧縮空気の供給を受けて膨張し、前記可動部材を移動させる空気袋(213)と、チューブ(218)を介して前記空気袋に前記圧縮空気を供給するコンプレッサ(217)とを有し、前記チューブが前記支持筒を通過してもよい。
【0058】
この態様によれば、コンプレッサをフロア上に配置することができる。また、チューブが回転装置の回転軸付近を通過しているため、回転装置が回転してもチューブが揺動することが抑制される。
【0059】
上記の態様において、前記回転装置は、前記ベースプレートに対する前記回転板の回転を選択的に禁止する回転ロック装置(54)を有し、前記回転ロック装置は、前記ベースプレートの下面から下方に突出したホルダ(122)と、前記ホルダに回動可能に支持され、前記ベースプレートを貫通して前記回転板に係合するロック爪(121)とを有し、前記ホルダは、前記ベースプレートに形成された開口(126)を通過して前記ベースプレートの上方に延びる端壁部(124)を有し、前記ロック爪は、前記端壁部に第2軸線(B)を中心として回動可能に支持され、前記回転板は、前記ベースプレートの上面に軸受(78)を介して支持され、前記第2軸線は、上下方向において、前記軸受と同じ高さに配置されてもよい。
【0060】
この態様によれば、第2軸線が軸受と同じ高さに配置されるため、上下方向において回転装置を小型化することができる。
【0061】
上記の態様において、前記回転板には、前記ロック爪が選択的に係合可能なロック孔(132)が形成され、前記ベースプレートには挿通孔(131)が形成され、前記ロック爪は、ロック位置と解除位置との間で回動し、前記ロック爪は、前記ロック位置において前記挿通孔を通過して前記ロック孔に突入し、前記解除位置において前記挿通孔及び前記ロック孔から離れ、前記ロック爪と前記ホルダとの間には、前記ロック爪を前記ロック位置に向けて付勢する付勢部材(134)が設けられ、前記付勢部材は、前記第1軸線を中心とした径方向に延び、上下方向から見て、前記付勢部材の前記第1軸線側の端部は前記第2軸線を延長した仮想線と重なりを有してもよい。
【0062】
この態様によれば、ロック爪、ホルダ、及び付勢部材を、第1軸線を中心とした径方向においてコンパクトに配置することができる。
【0063】
上記の態様において、前記回転板の下面には前記第1軸線を中心とするギヤ(116)が設けられ、前記第2軸線は、前記ギヤよりも前記第1軸線を中心とする径方向外方に配置されてもよい。
【0064】
この態様によれば、ロック爪が回動するときに、ロック爪とギヤとの干渉を避けることができる。
【0065】
本発明の他の態様は、車両用シート装置(1)の制御方法であって、前記車両用シート装置は、シートクッション(11)及びシートバック(12)を有し、前記シートクッションが水平方向に伸縮する伸縮装置(13)を有する、シート本体(3)と、フロア(5)と前記シートクッションとの間に設けられ、前記シートクッションを上下方向に延びる第1軸線を中心として回転可能に支持する回転装置(2)と、前記伸縮装置及び前記回転装置を制御する制御装置(220)と、使用者によって操作され、前記回転装置を回転させるための回転指令を前記制御装置に出力するための回転操作スイッチ(262)とを有し、前記制御装置が前記回転操作スイッチからの信号に基づいて前記回転装置の回転制御を実行すると共に、前記回転制御に応じて前記伸縮装置の伸縮制御を実行してもよい。
【0066】
この態様によれば、制御装置が回転制御に応じて伸縮制御を実行するため、回転装置の回転時に伸縮装置が車両内の構造体に干渉することが避けられる。これにより、車両用シートは、回転動作を円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【
図11】ロック爪の第1~第4ロック孔への係合状態を示す説明図
【
図12】ベース側剥離抑制ユニット及び回転側剥離抑制ユニットの斜視図
【
図13】ベース側剥離抑制ユニット及び回転側剥離抑制ユニットの側面図
【
図19】車両用シート装置の制御系を示すブロック図
【
図23】制御装置が実行する伸縮制御の手順を示すフロー図
【
図24】制御装置が実行する回転制御の手順を示すフロー図
【発明を実施するための形態】
【0068】
以下、図面を参照して、本発明に係る車両用シートの実施形態について説明する。車両用シートは、例えばセダン型やワンボックス型の公知の自動車に適用される。本実施形態に係る車両用シートが適用される車両は、自動運転車両であるとよい。
【0069】
図1に示すように、車両用シート装置1は、回転装置2を有する。また、車両用シート装置1は、シート本体3と、スライド装置4とを有する。回転装置2は、スライド装置4を介してフロア5に設けられている。シート本体3は、シートクッション11と、シートバック12とを有する。シートクッション11は、使用者の臀部を下方から支持する。シートバック12は、シートクッション11の後部から上方に延びている。シートバック12は、使用者の背部を後方から支持する。
【0070】
シートクッション11は、水平方向に伸縮する伸縮装置13を有する。
【0071】
シートクッション11は、骨格をなすシートクッションフレーム14と、シートクッションフレーム14に支持されるパッドと、パッドの表面を覆う表皮材とを有する。シートクッションフレーム14は、前後に延びる左右のシートクッションサイドメンバ18と、左右に延び、左右のシートクッションサイドメンバ18の前端に結合された前メンバ19と、左右に延び、左右のシートクッションサイドメンバ18の後端に結合された後メンバ21とを有する。前メンバ19と後メンバ21との間には、使用者の臀部を支持する可撓性の支持部材22が架け渡されている。支持部材22は、複数の金属製のワイヤと、各ワイヤに結合された可撓性の樹脂板とを有するとよい。
図1に示すように、シートクッション11の左右の側部には、サイドカバー23が設けられている。サイドカバー23は、シートクッションサイドメンバ18に支持され、パッド及び表皮材の端末を隠蔽する。サイドカバー23は樹脂材料によって形成されているとよい。
【0072】
伸縮装置13は、前メンバ19に設けられている。伸縮装置13は、シートクッション11の前端部を前方に伸縮させる。伸縮装置13の構成については後述する。
【0073】
図1に示すように、シートバック12は、骨格をなすシートバックフレーム25と、シートバックフレーム25に支持されるパッドと、パッドの表面を覆う表皮材とを有する。シートバックフレーム25は、上下に延びる左右のシートバックサイドメンバ29と、左右に延び、左右のシートバックサイドメンバ29の上端に結合された上メンバ31と、左右に延び、左右のシートバックサイドメンバ29の下端に結合された下メンバ32と、上メンバ31と下メンバ32の間を左右に延び、左右のシートバックサイドメンバ29に結合された中間メンバ33とを有する。左右のシートバックサイドメンバ29、上メンバ31、下メンバ32、及び中間メンバ33は、金属板を折り曲げ成形することによって形成されている。左右のシートバックサイドメンバ29、中間メンバ33、及び下メンバ32には、使用者の背部を支持する可撓性の支持部材34が架け渡されている。支持部材34は、複数の金属製のワイヤによって形成されているとよい。左右のシートバックサイドメンバ29の下端は、リクライニング装置35を介して対応するシートクッションサイドメンバ18の後端に結合されている。
【0074】
図1及び
図5に示すように、スライド装置4は、前後に延びる左右のロアレール37と、各ロアレール37に前後にスライド移動可能に支持された左右のアッパレール38とを有する。各ロアレール37は、前後のフット39を介してフロア5に結合されている。各ロアレール37と対応するアッパレール38との間にはスライドロック装置(不図示)が設けられている。左右のスライドロック装置は、左右に延びるスライド操作レバー41によって互いに接続されている。使用者は、スライド操作レバー41を操作することによって、ロアレール37に対してアッパレール38をスライド移動可能にすることができる。
【0075】
図1~
図5に示すように、回転装置2は、フロア5とシートクッション11との間に設けられ、フロア5に対してシートクッション11を回転可能に支持する。回転装置2は、ベース部51と、回転部52と、回転アクチュエータ53と、回転ロック装置54とを有する。
【0076】
ベース部51は、フロア5側に設けられている。本実施形態では、ベース部51は、スライド装置4を介してフロア5に設けられている。ベース部51は、面が上下を向く、円形状のベースプレート56を有する。ベースプレート56は、前後一対のクロスメンバ57を介して、左右のアッパレール38に支持されている。各クロスメンバ57は、左右に延び、両端において左右のアッパレール38に結合されている。前側のクロスメンバ57の左右の両端は、左右において対応するアッパレール38の前端に結合されている。後前側のクロスメンバ57の左右の両端は、左右において対応するアッパレール38の後端に結合されている。
【0077】
図2及び
図3に示すように、前後のクロスメンバ57は、前後に互いに距離をおいて配置されている。ベースプレート56及び前後のクロスメンバ57は、金属板によって形成されているとよい。各クロスメンバ57の横断面は、下方に向けて開口した溝形に形成されているとよい。各クロスメンバ57の左右の端部57Aの前後幅は、中央部57Bの前後幅に比べて大きく形成されている。左右の端部57Aは、上下方向を向く上面を有する。中央部57Bには、複数の補強構造59が形成されている。複数の補強構造59は、ビードであるとよい。補強構造59は左右方向に延びているとよい。また、補強構造59は、中央部57Bの中央から左右外方かつ後方に傾斜して延びていてもよい。
【0078】
図3及び
図5に示すように、前後のクロスメンバ57とベースプレート56とはボルト及びナットによって締結されているとよい。前後のクロスメンバ57は、ベースプレート56によって互いに結合されている。ベースプレート56の前部は第1結合点58A、第2結合点58B、第3結合点58Cにおいて前側のクロスメンバ57に結合されている。第1結合点58Aは、ベースプレート56の前端かつ左右方向における中央に設けられている。第2結合点58Bは、第1結合点58Aよりも後方かつ左方に配置されている。第3結合点58Cは、第1結合点58Aよりも後方かつ右方に配置されている。
【0079】
ベースプレート56の後部は第4結合点58D、第5結合点58E、第6結合点58Fにおいて前側のクロスメンバ57に結合されている。第4結合点58Dは、ベースプレート56の後端かつ左右方向における中央に設けられている。第5結合点58Eは、第4結合点58Dよりも前方かつ左方に配置されている。第6結合点58Fは、第4結合点58Dよりも前方かつ右方に配置されている。
【0080】
図5~
図8に示すように、ベースプレート56の中央部には、下方に向けて膨出した第1膨出部61が形成されている。第1膨出部61は、有底の円筒形に形成されている。第1膨出部61の中央には、厚み方向に貫通する円形の第1軸受孔62が形成されている。第1軸受孔62は、上下に延びる軸線A(第1軸線)を中心としている。第1軸受孔62の縁部には、上方又は下方に突出した環状の縁壁63が形成されているとよい。
【0081】
図2~
図8に示すように、ベースプレート56の外周縁には、円環状の固定部材66が結合されている。固定部材66は、ベースプレート56の外周縁に沿って延び、かつ上方に延びた円筒形の筒壁67と、筒壁67の上端から径方向内方に延出した内側フランジ68と、筒壁67の下端に設けられた複数の結合片69とを有する。内側フランジ68は、環状に形成され、面が上下を向いている。複数の結合片69は、組付け時に折り曲げられてベースプレート56の下面側に延出する。ベースプレート56の外周縁は、上下方向において内側フランジ68と結合片69との間に配置される。ベースプレート56の前部及び後部に設けられた複数の結合片69は、上下方向においてベースプレート56と対応するクロスメンバ57との間に挟持されているとよい。複数の結合片69は、ベースプレート56に溶接されている。また、固定部材66は、複数の部材を組み合わせて形成されてもよい。筒壁67と内側フランジ68との境界部には、複数の補強構造が設けられてもよい。補強構造は、例えば凹部やリブ等であるとよい。
【0082】
図2、
図5~
図8に示すように、回転部52は、シートクッション11に設けられ、かつベース部51に回転可能に支持されている。回転部52は、ベースプレート56の上面に回転可能に支持された回転板71を有する。また、回転部52は、回転板71とシートクッションフレーム14とを結合する固定ブラケット72を有する。回転板71及び固定ブラケット72は金属板によって形成されている。
【0083】
回転板71は、面が上下を向く円板状に形成されている。回転板71の中央には、厚み方向に貫通する円形の第2軸受孔75が形成されている。第2軸受孔75は、軸線Aを中心としている。第2軸受孔75の縁部には、上方又は下方に突出した環状の縁壁76が形成されているとよい。
【0084】
図5及び
図6に示すように、回転板71は、ベースプレート56の上面に軸受78を介して支持されている。軸受78は、軸線Aを中心とした環状に形成されている。軸受78は、ベースプレート56の外周部の上面と、回転板71の外周部の下面との間に配置されている。軸受78は、スラスト軸受であるとよい。本実施形態では、軸受78はボールベアリングである。ボールベアリングは、複数のボールと、複数のボールを回転可能に支持する環状のリテーナとを有する。ベースプレート56の外周部の上面には、軸受78の下部を受容する第1軸受溝81が形成されている。回転板71の外周部の下面には、軸受78の上部を受容する第2軸受溝82が形成されている。回転板71の中央部とベースプレート56の第1膨出部61との間には、空間84が形成されている。
【0085】
図8に示すように、固定部材66は、回転板71の外周部の上方に延出している。具体的には、固定部材66の内側フランジ68が回転板71の外周部を上方に延出している。内側フランジ68には摺動部材85が設けられている。摺動部材85は、内側フランジ68の内周縁に当接して上下方向に延びる縦壁部85Aと、縦壁部85Aの下端から内側フランジ68の下面に沿って軸線Aを中心とした径方向外方に延びる下壁部85Bと、縦壁部85Aの上端から内側フランジ68の上面に沿って軸線Aを中心とした径方向外方に延びる上壁部85Cとを有する。回転板71の外周部は、摺動部材85の下壁部85Bを介して内側フランジ68に摺接している。軸線Aを中心とした径方向において、下壁部85Bが上壁部85Cよりも長く形成されている。これにより、回転板71と摺動部材85の下壁部85Bとの摺接面積を大きくすることができる。これにより、摺動部材85によって、回転板71の縁部を安定性良く支持することができる。
【0086】
固定部材66は、摺動部材85を介して回転板71をベースプレート56側に押圧するとよい。摺動部材85は、回転板71の第2軸受溝82より外周側の部分に摺接している。摺動部材85は、回転板71の外周縁に摺接しているとよい。摺動部材85は、金属よりも摩擦係数が小さい樹脂材料によって形成されている。摺動部材85は、複数の部材に分割されてもよい。
【0087】
図5及び
図6に示すように、第1軸受孔62及び第2軸受孔75には、上下に延びる支持筒87が挿入されている。支持筒87は、上下両端が開口した円筒である。支持筒87は、金属によって形成されている。支持筒87の外周には外方に膨出した環状リブ88が形成されている。回転板71の第2軸受孔75の縁部には、筒状のブッシュ91が装着されている。ブッシュ91は、支持筒87の環状リブ88より上側の部分に支持されている。ブッシュ91の上方には脱落防止リング92が設けられている。支持筒87の上端は、加締められることによって拡径部93を形成している。ブッシュ91及び脱落防止リング92は環状リブ88と拡径部93とによって挟持されている。これにより、支持筒87に対する回転板71の上下方向における位置が定まっている。支持筒87は、ブッシュ91を介して回転板71の第2軸受孔75に回転可能に支持されている。
【0088】
ベースプレート56の第1軸受孔62は、環状リブ88より下方に配置されている。支持筒87の環状リブ88より下方の部分は、第1軸受孔62に回転可能に支持されていてもよく、第1軸受孔62に溶接されていてもよい。支持筒87によって、ベースプレート56及び回転板71は軸線A上に配置される。
【0089】
図8に示すように、回転板71の第2軸受溝82の内側の部分には、上方に膨出した環状の凸部95が形成されている。凸部95は軸線Aを中心として環状に形成されている。凸部95には、上方に延びる複数のボルト96が設けられている。ボルト96は、スタッドボルトであってよい。
【0090】
図5及び
図8に示すように、固定ブラケット72は、面が上下を向く板状に形成されている。固定ブラケット72は、上方から見て四角形に形成されているとよい。固定ブラケット72の中央には下方に凹む凹部101が形成されている。凹部101の中央には、上下に貫通する開口部102が形成されている。凹部101の底部には、複数のボルト96が通過する複数の締結孔103が形成されている。各ボルト96にナット104が装着されることによって、回転板71と固定ブラケット72とは互いに締結されている。上方から見て、固定ブラケット72は回転板71よりも大きく形成されている。固定ブラケット72は、前後のクロスメンバ57と上下方向において対向している。
【0091】
固定ブラケット72は、ボルト及びナット等の締結具によって左右のシートクッションサイドメンバ18に結合される。固定ブラケット72とシートクッションサイドメンバ18との間にはロードセルが介装されてもよい。
【0092】
回転アクチュエータ53は、ベースプレート56に対して回転板71を回転させる。
図3及び
図6に示すように、回転アクチュエータ53は、ベースプレート56の下面に取り付けられている。回転アクチュエータ53は、軸線Aの前方に配置されている。回転アクチュエータ53は、電動モータ111と、減速機構112とを有する。回転アクチュエータ53は、ウォーム減速機を有しない。本実施形態では、減速機構112は電動モータ111の出力軸113に結合されたピニオン115と、回転板71に結合されたギヤ116とを有する。ピニオン115及びギヤ116は平歯車である。ギヤ116は、軸線Aを中心としたギヤである。ギヤ116は回転板71の下面にスペーサ117を介して結合され、空間84内に配置されている。ギヤ116の歯数はピニオン115の歯数よりも多い。
【0093】
回転アクチュエータ53は、ベースプレート56の下面に結合されている。回転アクチュエータ53は、ブラケットを介してベースプレート56の下面に結合されてもよい。回転アクチュエータ53の出力軸113は、減速機構112から上方に延びている。出力軸113は、ベースプレート56に形成された貫通孔119を通過して空間84内に延びている。出力軸113に結合されたピニオン115は空間84内に配置され、ギヤ116と噛み合っている。電動モータ111及び減速機構112は、ベースプレート56より下方に配置されている。
【0094】
回転ロック装置54は、ベースプレート56に対する回転板71の回転を選択的に禁止する。
図3及び
図7~
図10に示すように、回転ロック装置54は、ベースプレート56の下面に取り付けられている。回転ロック装置54は、ベースプレート56の下面から下方に突出したホルダ122と、ホルダ122に回動可能に支持され、ベースプレート56を貫通して回転板71に係合するロック爪121とを有する。ロック爪121は、回転板71に係合したロック位置と、回転板71から離れた解除位置との間で変位する。ロック爪121及びホルダ122は、金属板によって形成されている。
【0095】
ホルダ122は、ホルダ122は、回転板71の回転軸線である軸線Aを中心とした周方向に延びる周壁部123と、周壁部123の両端から軸線Aを中心とした径方向内側に延びる一対の端壁部124とを有する。ホルダ122は、ベースプレート56の下面に沿って延在し、かつベースプレート56の下面に結合された底板125を有する。底板125は、第1膨出部61の下面に沿って延びている。周壁部123と一対の端壁部124とは、底板125から下方に突出している。一対の端壁部124は、底板125に結合されている。周壁部123は、底板125に結合されていてもよい。周壁部123と、一対の端壁部124とは、金属板を折曲することによって形成されている。周壁部123と、一対の端壁部124とは、複数の金属板を組み合わせて形成されてもよい。
【0096】
底板125及び第1膨出部61には上下方向に貫通する一対の開口126が形成されている。一対の開口126は、端壁部124のそれぞれと対応する位置に形成されている。各端壁部124は、対応する開口126を通過してベースプレート56の上方に延びる延長部124Aを有する。各延長部124Aの上端は、空間84内に配置されている。各延長部124Aの上端は、ギヤ116よりも上方に延びている。
【0097】
ロック爪121は、端壁部124のそれぞれに回動可能に支持された一対のアーム部121Aと、一対のアーム部121Aの先端部を繋ぐ梁部121Bと、梁部121Bから突出した爪部121Cとを有する。各アーム部121Aは、対応する延長部124Aに軸線B(第2軸線)を中心として回動可能に支持されている。軸線Bは、ロック爪121の回動軸線をなす。軸線Bは、ベースプレート56より上方に配置されており、ギヤ116より上方に配置されてもよい。一対のアーム部121Aは、対応する開口126を通過して空間84内からベースプレート56の下方に延びている。一対のアーム部121Aは、対応する端壁部124に沿って延び、対応する端壁部124に摺接している。梁部121Bは、ベースプレート56の下方に配置され、水平方向に延びている。また、梁部121Bは、軸線Aを中心とした周方向に延びている。爪部121Cは、梁部121Bの長手方向における中央に設けられている。各アーム部121Aは、延長部124Aに支持されたアーム基端部121Eと、アーム基端部121Eから屈曲して延びたアーム先端部121Fとを有する。一対のアーム先端部121Fに梁部121Bが結合されている。
【0098】
軸線Bは、水平方向に延びている。軸線Bは、上下方向において、軸受78と同じ高さに配置されている。すなわち、軸線Bは、軸受78の上端より下方かつ軸受78の下端より上方に配置されている。軸線Bは、環状の軸受78の内側に配置されている。軸線Bが軸受58と同じ高さに配置されるため、上下方向において回転装置2を小型化することができる。軸線Bは、ギヤ116よりも軸線Aを中心とする径方向外方に配置されている。これにより、ロック爪121が回動するときに、ロック爪121とギヤ116との干渉を避けることができる。
【0099】
ベースプレート56及び底板125には、上下方向に貫通する挿通孔131が形成されている。挿通孔131は、軸線Aを中心とした周方向に延びている。回転板71には、ロック爪121が選択的に係合可能な複数のロック孔132が形成されている。各ロック孔132は、軸線Aを中心とした周方向に延びている。複数のロック孔132は、軸線Aを中心とした回転対称位置に複数設けられている。ベースプレート56に対して回転板71が所定の回転位置にあるときに、挿通孔131は複数のロック孔132の1つと対向する。ロック爪121は、ロック位置において挿通孔131を通過してロック孔132に突入し、解除位置において挿通孔131及びロック孔132から離れる。
【0100】
図3に示すように、回転ロック装置54は、軸線Aの左方に配置されている。回転アクチュエータ53は、軸線Aの右方に配置されている。回転アクチュエータ53と回転ロック装置54とは、軸線Aを中心とした点対称位置に配置されている。上下方向から見て、回転ロック装置54及び回転アクチュエータ53は、前後のクロスメンバ57の間に配置されている。
【0101】
回転板71が初期位置にあるときに、シート本体3が前方を向く。
図2に示すように、複数のロック孔132は、第1~第4ロック孔132A~132Dを含む。回転板71が初期位置にあるときに、第1ロック孔132Aは軸線Aの左方に配置され、第2ロック孔132Bは、軸線Aの前方に配置され、第3ロック孔132Cは軸線Aの右方に配置され、第4ロック孔132Dは軸線Aの後方に配置されている。各ロック孔132は、軸線Aを中心として互いに90度間隔で配置されている。回転板71が初期位置にあるときに、第1ロック孔132Aは、挿通孔131と上下方向において対向する。
【0102】
図7に示すように、ロック爪121の爪部121Cが挿通孔131を通過して複数のロック孔132のいずれかに嵌合することによって、ベースプレート56に対する回転板71の回転が規制される。
【0103】
爪部121Cが挿通孔131及び複数のロック孔132のいずれかに突入したロック位置と、爪部121Cが挿通孔131及びロック孔132から下方に離れた解除位置との間で、ロック爪121は回動する。すなわち、ロック爪121は、回転板71に係合したロック位置と、回転板71から離れた解除位置との間で変位する。ロック爪121とホルダ122との間には、ロック爪121をロック位置に向けて付勢する付勢部材134が設けられている。本実施形態では付勢部材134は引張コイルばねである。付勢部材134は、アーム部121Aと、周壁部123とに接続されているとよい。付勢部材134の軸線A側の端部は軸線B又は軸線Bを延長した仮想線と重なりを有するとよい。これにより、ロック爪121、ホルダ122、及び付勢部材134を、軸線Aを中心とした径方向においてコンパクトに配置することができる。
【0104】
ロック爪121がロック位置にあるときに、梁部121Bと、各アーム先端部121Fとがベースプレート56の下面に沿って延びている。このとき、各アーム基端部121Eは、開口126を通過して上下に延びている。ロック爪121が解除位置にあるときに、梁部121Bと、各アーム先端部121Fとは、ベースプレート56の下面から下方に離れている。また、爪部121Cの先端がベースプレート56より下方に位置する。
【0105】
図10に示すように、ロック爪121は、コントロールケーブル141によって手動操作レバーに接続されている。コントロールケーブル141は、管状のアウタケーシング143と、アウタケーシング143に変位可能に受容されたインナケーブル144とを有する。アウタケーシング143の一端は、ホルダ122のケーシング係止部145に係止されている。ケーシング係止部145は、底板125から下方に突出している。アウタケーシング143の他端はシートクッションフレーム14又はサイドカバー23に係止されている。インナケーブル144の一端は、ロック爪121の梁部121Bに設けられたケーブル係止部146に係止されている。インナケーブル144の他端は、手動操作レバー(不図示)に係止されている。手動操作レバーはシートクッションフレーム14又はサイドカバー23に回動可能に支持されているとよい。
【0106】
使用者が手動操作レバーを引くと、コントロールケーブル141によって、ロック爪121がロック位置から解除位置に引かれる。これにより、回転部52がベース部51に対して回転可能になる。使用者が手動操作レバーの操作を止めると、付勢部材134の付勢力によってロック爪121が解除位置からロック位置に移動する。すなわち、回転ロック装置54は、使用者の手動操作によってロック状態と解除状態との間で変化する。
【0107】
回転ロック装置54は、ロック爪121をロック位置から解除位置に移動させるロック解除アクチュエータ151を有する。ロック解除アクチュエータ151は、電動モータ152と、電動モータ152の駆動力を減速して伝達する減速機構153と、減速機構153の出力軸に設けられたアーム154とを有する。アーム154は、ロック爪121に係合している。ロック爪121の一方のアーム先端部121Fには、下方に突出した当接部121Gが設けられている。アーム154は当接部121Gを押圧することによって、ロック爪121をロック位置から解除位置に移動させる。
【0108】
電動モータ152及び減速機構153は、ホルダ122及びベースプレート56の少なくとも一方に支持されているとよい。電動モータ152に電力が供給されることによって電動モータ152が駆動すると、付勢部材134の付勢力に抗してアーム154が回動し、アーム154がロック爪121をロック位置から解除位置に移動させる。電動モータ152への電力供給が停止することによって電動モータ152が停止すると、付勢部材134の付勢力によってロック爪121が解除位置からロック位置に移動する。このとき、当接部121Gに押されてアーム154及び電動モータ152が回転する。
【0109】
コントロールケーブル141によってロック爪121がロック位置から解除位置に移動するときには、ロック爪121がアーム154から離れるため、ロック解除アクチュエータ151が抵抗にならない。
【0110】
図2及び
図7に示すように、回転板71の上面であって、第1ロック孔132Aに対応する部分には補強板155が結合されている。補強板155は、回転板71に溶接されているとよい。補強板155は、上下を向く面を有し、軸線Aを中心とした周方向に延びている。補強板155の厚みは、回転板71の厚みよりも厚く形成されている。これにより、補強板155によって回転板71の第1ロック孔132Aの周囲の断面係数及び断面二次モーメントが増加する。
【0111】
補強板155には、第1ロック孔132Aと対向する貫通孔155Aが形成されている。貫通孔155Aの軸線Aを中心とした周方向における両端部は、第1ロック孔132Aの軸線Aを中心とした周方向における両端部の間に配置されている。すなわち、軸線Aを中心とした周方向において、貫通孔155Aは第1ロック孔132Aよりも短く形成されている。貫通孔155Aの軸線Aを中心とした径方向における幅は、第1ロック孔132Aの軸線Aを中心とした径方向における幅と等しく形成されているとよい。
【0112】
図11に示すように、爪部121Cは、先端に向けて幅が狭くなるテーパ形状を有する。これにより、爪部121Cはロック孔132に突入し易くなっている。また、爪部121Cが第1ロック孔132Aに突入したときに、爪部121Cは貫通孔155Aの軸線Aを中心とした周方向における両端部に当接する。このとき、爪部121Cは第1ロック孔132Aの軸線Aを中心とした周方向における両端部に当接しない。回転板71が基準回転位置にあるとき、すなわちシート本体3が前方を向くときに、ロック爪121が補強板155の貫通孔155Aに係合するため、シート本体3は前方を向くときにより強固に回転が規制される。
図11の右図に示すように、第2~第4ロック孔132B~132Dには、補強板155が設けられていないため、第2~第4ロック孔132B~132Dに対する爪部121Cの挿入量が大きくなる。他の実施形態では、第2~第4ロック孔132B~132Dにも補強板155が設けられてもよい。
【0113】
図2、
図12、及び
図13に示すように、前後のクロスメンバ57の上面には複数のベース側剥離抑制ユニット161が設けられている。複数のベース側剥離抑制ユニット161は軸線Aを中心とした周方向に等間隔で配置されているとよい。本実施形態では、前側のクロスメンバ57の左右の端部57Aのそれぞれと、後側のクロスメンバ57の左右の端部57Aのそれぞれとに複数のベース側剥離抑制ユニット161が設けられている。4つのベース側剥離抑制ユニット161は、軸線Aを中心として90度間隔で配置されている。
【0114】
各ベース側剥離抑制ユニット161は、クロスメンバ57に結合された底板162と、底板162に設けられた第1ベース側フック163及び第2ベース側フック164と、底板162に設けられたローラ支持壁165と、ローラ支持壁165に回転可能に支持されたローラ166とを有する。
【0115】
底板162は、端部57Aの上面に沿って配置され、端部57Aに溶接又はボルト締結等によって結合されている。底板162は、軸線Aを中心とした周方向に延びている。第1ベース側フック163は、底板162の外周縁に沿って設けられ、軸線Aを中心とした周方向に延びている。第1ベース側フック163は、底板162から上方に突出し、下方に向けて開口している。
【0116】
ローラ支持壁165は、底板162の内周縁に沿って設けられ、軸線Aを中心とした周方向に延びている。ローラ支持壁165の周方向における端部には、ローラ支持壁165及び底板162と直交し、かつローラ支持壁165及び底板162に結合された一対の補強壁167が設けられているとよい。底板162、第1ベース側フック163、ローラ支持壁165、及び一対の補強壁167は、連続した金属板を折曲することによって形成されているとよい。
【0117】
ローラ支持壁165には、軸線Aを中心とした径方向外方に延びるローラ軸171が結合されている。ローラ軸171にはローラ166が回転可能に支持されている。ローラ軸171のローラ支持壁165側と相反する端部には、ローラ軸171よりも径が大きい拡頭部173が設けられている。拡頭部173とローラ166との間には、ローラ166を、軸線Aを中心とした径方向内方に付勢する付勢部材175が設けられている。付勢部材175は、ウェーブワッシャや皿ばねであるとよい。
【0118】
図14に示すように、ローラ166はテーパローラであり、径方向外方に向けて外径が大きくなっている。各ローラ166は固定ブラケット72の下面に接触している。複数のローラ166は、上下方向において、固定ブラケット72と、前側のクロスメンバ57及び後側のクロスメンバ57との間に介装されている。
図2に示すように、複数のローラ166は、軸線Aを中心とした仮想円C上に配置されている。軸線Aに沿った方向から見て仮想円Cの全てが固定ブラケット72と重なる位置に配置されている。これにより、回転板71がベースプレート56に対して回転しても、複数のローラ166は常に固定ブラケット72に当接することができる。
【0119】
図14に示すように、固定ブラケット72の下面には、軸線Aを中心とした環状の当接面181が形成されている。各ローラ166は当接面181に当接する。当接面181は、軸線Aを中心とした径方向内方に向けて下方に傾斜している。
【0120】
図12及び
図13に示すように、第2ベース側フック164は、底板162の上面に結合されている。軸線Aを中心とした径方向において、第2ベース側フック164は、第1ベース側フック163とローラ166との間に配置されている。第2ベース側フック164は、底板162から上方に延びる軸部164Aと、軸部164Aの上端に設けられ、軸部164Aよりも軸線Aを中心とした径方向において幅が広い頭部164Bとを有する。
【0121】
図12及び
図13に示すように、固定ブラケット72の下面には複数の回転側剥離抑制ユニット183が設けられている。複数の回転側剥離抑制ユニット183は軸線Aを中心とした周方向に等間隔で配置されているとよい。本実施形態では、固定ブラケット72の前左部、前右部、後左部、及び後右部の4か所に複数の回転側剥離抑制ユニット183が設けられている。4つの回転側剥離抑制ユニット183は、軸線Aを中心とした仮想円上に配置され、互いに90度間隔で配置されている。各回転側剥離抑制ユニット183は固定ブラケット72の下面に結合された上板184と、上板184から下方に突出した回転側フック185と、係止片186とを有する。
【0122】
上板184は、固定ブラケット72の下面に沿って配置され、固定ブラケット72の下面に溶接又はボルト締結等によって結合されている。上板184は、軸線Aを中心とした周方向に延びている。回転側フック185は、上板184の外周縁に沿って設けられ、軸線Aを中心とした周方向に延びている。回転側フック185は、上板184から下方に突出し、上方に向けて開口している。
【0123】
係止片186は、上板184の内周縁に沿って設けられ、軸線Aを中心とした周方向に延びている。係止片186は、上板184の内周縁から下方に延びた後、屈曲して軸線Aを中心とした径方向内方に延びている。
【0124】
シートクッション11が車両の前方を向くときの回転部52の回転位置を基準回転位置とする。回転部52が基準回転位置にあるときに、各ベース側剥離抑制ユニット161の第1ベース側フック163と各回転側剥離抑制ユニット183の回転側フック185とが上下に間隔をおいて対向する。また、各ベース側剥離抑制ユニット161の第2ベース側フック164と各回転側剥離抑制ユニット183の係止片186とが上下に間隔をおいて対向する。第1ベース側フック163と回転側フック185と間隔は、第2ベース側フック164と係止片186との間隔よりも小さく形成されている。これにより、シート本体3に荷重が加わったときには、各ベース側剥離抑制ユニット161の第1ベース側フック163と各回転側剥離抑制ユニット183の回転側フック185とが互いに係合し、ベース部51に対する回転部52の剥離が抑制される。また、シート本体3に更に荷重が加わったときには、各第2ベース側フック164と係止片186とが互いに係合し、ベース部51に対する回転部52の剥離が抑制される。
【0125】
回転部52が基準回転位置から右方向に90度(+90度)、左方向に90度(-90度)、左方向に180度(-180度)に回転した位置においても各ベース側剥離抑制ユニット161の第1ベース側フック163と各回転側剥離抑制ユニット183の回転側フック185とが互いに対向し、かつ第2ベース側フック164と係止片186とが対向する。
【0126】
次に、伸縮装置13について説明する。
図1及び
図15に示すように、伸縮装置13は、前メンバ19に設けられ、前後方向に伸縮する。伸縮装置13は、前メンバ19に前後方向に移動可能に支持された可動部材201と、可動部材201を前メンバ19に対して前後方向に移動させる伸縮アクチュエータ202とを有する。可動部材201は、前メンバ19に対して前方に突出した突出位置と、突出位置に対して後方に後退した格納位置との間で変位する。
【0127】
前メンバ19は、板金部材によって形成され、主面が上下を向いている。前メンバ19は、左右方向に延びると共に、前後に幅を有する。前メンバ19の左右方向における中央部には、下方に向けて凹み、前後方向に延びる溝部205が形成されている。溝部205は、底壁及び底壁の側部に設けられた一対の側壁によって形成されている。溝部205は、前メンバ19の前端に開口している。左右の側壁は、左右のベース部の左右方向における内端から下方に延びている。左右の側壁は、左右方向を向く板状に形成されている。
【0128】
可動部材201は、ガイドレールによって前メンバ19に前後方向に移動可能に支持されているとよい。伸縮アクチュエータ202は、溝部205の内側に配置されている。伸縮アクチュエータ202は、溝部205に配置されたケーシング211と、ケーシング211内に配置された駆動部材212と、駆動部材212の突出側及び格納側のそれぞれに配置され、圧縮空気の供給を受けて膨張する空気袋213とを有する。
【0129】
ケーシング211は、箱形に形成され、底壁の上面に固定されている。
図16~
図18に示すように、駆動部材212は、面が前後を向く板形に形成され、ケーシング211内を左右に延びている。空気袋213は、駆動部材212の前面とケーシング211の前壁との間に配置された前側空気袋213Aと、駆動部材212の後面とケーシング211の後壁との間に配置された後側空気袋213Bとを有する。
【0130】
図19に示すように、前側空気袋213A及び後側空気袋213Bは、制御弁216を介して、圧縮空気を発生するコンプレッサ217に接続されている。制御弁216は、排気口を有する。制御弁216は、前側空気袋213Aとコンプレッサ217とを接続し、かつ後側空気袋213Bを排気口に接続する突出モードと、後側空気袋213Bとコンプレッサ217とを接続し、かつ前側空気袋213Aを排気口に接続する格納モードと、前側空気袋213A及び後側空気袋213Bを排気口及びコンプレッサ217のいずれにも接続しないホールドモードとを取り得る。制御弁216及びコンプレッサ217は後述する制御装置220によって制御される。
【0131】
制御弁216と、コンプレッサ217、前側空気袋213A、及び後側空気袋213Bとは、圧縮空気が通過する複数のチューブ218によって接続されているとよい。制御弁216及びコンプレッサ217は、フロア5に設けられているとよい。この場合、制御弁216と、前側空気袋213A及び後側空気袋213Bとを接続するチューブ218は、回転装置2の支持筒87を通過しているとよい。また、コンプレッサ217がフロア5に設けられ、制御弁216がシートクッション11の下面又は固定ブラケット72の上面に設けられてもよい。この場合、コンプレッサ217と制御弁216とを接続するチューブ218は、回転装置2の支持筒87を通過しているとよい。この態様によれば、コンプレッサ217をフロア5上に配置することができる。また、チューブ218が回転装置2の軸線X付近を通過しているため、回転装置2が回転してもチューブ218が揺動することが抑制される。
図21に示すように、コンプレッサ217は、ベースプレート56の下面に設けられてもよい。
【0132】
図16に示すように可動部材201は、伸縮アクチュエータ202の上方に配置され、伸縮アクチュエータ202に結合された支持板部225を有する。支持板部225は、面が上下を向く板状に形成されている。支持板部225は、伸縮アクチュエータ202のケーシング211の上壁の上面に摺動可能に載置されている。駆動部材212は、ケーシング211の上壁に形成された前後に延びる長孔を通過して上方に突出し、支持板部225に結合されている。
【0133】
図15に示すように、可動部材201は、支持板部225の突出側の端部から前メンバ19の突出側を下方に延びる縦板部227を有する。すなわち、縦板部227は、支持板部225の前端から前メンバ19の前方を下方に延びている。縦板部227は、左右方向から見て、前方に凸となる円弧状に湾曲している。支持板部225及び縦板部227は、金属板を折り曲げ成形することによって形成されているとよい。支持板部225及び縦板には、補強リブが設けられているとよい。
【0134】
コンプレッサ217が駆動され、制御弁216が圧縮空気を前側空気袋213Aに供給すると共に、後側空気袋213Bから圧縮空気を排出すると、前側空気袋213Aが圧縮空気の供給を受けて膨張すると共に、後側空気袋213Bが空気を排出して収縮する。その結果、駆動部材212、及び駆動部材212に結合された可動部材201が格納側に移動する。コンプレッサ217が駆動され、制御弁216が圧縮空気を後側空気袋213Bに供給すると共に、前側空気袋213Aから圧縮空気を排出すると、後側空気袋213Bが圧縮空気の供給を受けて膨張すると共に、前側空気袋213Aが空気を排出して収縮する。その結果、駆動部材212、及び駆動部材212に結合された可動部材201が突出側に移動する。コンプレッサ217が停止し、制御弁216が前側空気袋213A及び後側空気袋213Bとの接続を遮断すると、前側空気袋213A及び後側空気袋213B内に圧縮空気が維持される。その結果、駆動部材212、及び駆動部材212に結合された可動部材201の位置が維持される。
【0135】
図16に示すように、伸縮装置13は、表皮巻取機構230を有する。表皮巻取機構230は、可動部材201の支持板部225の下面から下方に延びた左右のブラケット231と、各ブラケット231に回動可能に支持された左右のリンクアーム232と、左右のリンクアーム232の先端間に架け渡された支持軸234と、左右のリンクアーム232を初期位置に付勢するばね235と有する。
【0136】
左右のブラケット231は、ケーシング211と溝部205の側壁との間に配置されている。各リンクアーム232の上端は、左右方向に延びる回動軸線を中心として回動可能に対応するブラケット231に支持されている。溝部205の底壁には、上下に貫通し、前後方向に延びたスリット233が形成されている。各リンクアーム232の上部232Aは、スリット233を通過して、溝部205の下方に突出している。各リンクアーム232の下部232Bは、上部232Aに対して後方に延びている。各リンクアーム232の下部232B及び支持軸234は、溝部205より下方に配置されている。
【0137】
図16及び
図18に示すように、各リンクアーム232は、巻取位置と送出位置との間で回動する。
図16に示すように、リンクアーム232が巻取位置にあるとき、上部232Aは回動軸線から下方に延び、かつ下部が上部232Aの下端から後方に延びている。このとき、支持軸234は回動軸線よりも後方に位置する。リンクアーム232が送出位置にあるとき、上部232Aは回動軸線から前方かつ後方に延び、かつ下部が上部232Aの下端から下方に延びている。このとき、支持軸234は回動軸線の下方に位置する。
図18に示すように、各リンクアーム232が巻取位置から送出位置に回動することによって、支持軸234は前方に移動する。
【0138】
シートクッション11の前部を構成するパッド237は、可動部材201の支持板部225の上方及び縦板部227の前方を通過して延びている。シートクッション11の前部を構成する表皮材238は、パッド237の外面に沿って設けられている。表皮材238の端部は、縦板部227の下端から後方に延び、支持軸234に巻き掛けられ、支持軸234から前方に延びて底壁の前端に設けられた表皮係止部241に係止されている。表皮材238の縁部には、表皮係止部241に係止されるフックが設けられているとよい。表皮材238は、支持軸234の下方、後方、及び上方を通過してループ状に延びている。
【0139】
図16及び
図17に示すように、可動部材201が格納位置から突出位置に移動するとき、可動部材201と共に支持軸234が突出側(前方)に移動する。また、
図18に示すように、表皮材238に支持軸234が引っ張られることによって、各リンクアーム232がばね235の付勢力に抗して送出位置側に回動するため、支持軸234が更に突出側(前方)に移動する。これにより、支持軸234と表皮係止部241との距離が短くなる。これにより、表皮材238が支持軸234から可動部材201側に送り出される。これにより、表皮材238の張力が調整される。すなわち、可動部材201が表皮材238に引っ張られることなく、円滑に突出側に移動することができる。一方、可動部材201が突出位置から格納位置に移動するとき、可動部材201と共に支持軸234が格納側(後方)に移動する。また、ばね235の付勢力によって各リンクアームが巻取位置側に回動するため、支持軸234が更に格納側(後方)に移動する。これにより、支持軸234と表皮係止部241との距離が長くなる。これにより、表皮材238が支持軸234から表皮係止部241側に引き込まれる。これにより、表皮材238の張力が調整され、表皮材238が弛緩することが抑制される。
【0140】
図19に示すように、回転装置2の回転アクチュエータ53、回転ロック装置54のロック解除アクチュエータ151、及び伸縮装置13の伸縮アクチュエータ202は、制御装置220によって制御される。制御装置220は、電子制御装置であり、マイクロプロセッサ(MPU)、不揮発性メモリ、揮発性メモリ、及びインターフェースを有する演算装置である。制御装置220は、不揮発性メモリに記憶されたプログラムをマイクロプロセッサが実行することによって、各種のアプリケーションを実現する。制御装置220は、シート本体3が設けられる車両に設けられるとよい。
【0141】
また、制御装置220は、複数の照明装置251の発光状態を制御してもよい。
図20に示すように、複数の照明装置251は、例えば固定ブラケット72の下面に設けられているとよい。複数の照明装置251は、固定ブラケット72の下面において軸線Xの周方向に配列されているとよい。また、
図21に示すように、前後のクロスメンバ57が左右一対の前後に延びる連結部材253に結合され、各連結部材253の下面に照明装置251が設けられてもよい。また、
図22に示すように、回転装置2の周囲にロアカバー255及びアッパカバー256が設けられ、照明装置251はロアカバー255及びアッパカバー256の少なくとも一方に設けられてもよい。ロアカバー255は、ベースプレート56、前後のクロスメンバ57、及び左右のアッパレール38に周囲に配置されているとよい。アッパカバー256は、回転板71、固定ブラケット72、の周囲に配置されているとよい。ロアカバー255及びアッパカバー256は、軸線Aを中心として相対回転可能に配置されている。照明装置251は、例えばロアカバー255の下端部に設けられているとよい。
【0142】
図19に示すように、制御装置220には、使用者が車両用シート装置1を操作するための伸縮操作スイッチ261及び回転操作スイッチ262が接続されている。伸縮操作スイッチ261は、伸張ボタンと収縮ボタンとを有し、伸張ボタン及び収縮ボタンの操作状態に応じた伸縮指令を制御装置220に出力する。伸縮指令は、伸長指令及び収縮指令を含む。回転操作スイッチ262は、左回転ボタンと右回転ボタンとを有し、左回転ボタン及び右回転ボタンの操作状態に応じた回転指令を制御装置220に出力する。回転指令は、左回転指令及び右回転指令を含む。
【0143】
制御装置220には、回転装置2の回転状態を検出する回転センサ265と、伸縮装置13の伸縮位置を検出する伸縮センサ267とが接続されている。回転センサ265は、回転アクチュエータ53の電動モータ111の回転角を検出するロータリエンコーダや、前後のクロスメンバ57と固定ブラケット72との相対位置を検出する近接センサ等の公知のセンサであるとよい。伸縮センサ267は、前メンバ19に対する可動部材201の位置を検出するストロークセンサや、近接センサ等の公知のセンサであるとよい。
【0144】
制御装置220は、伸縮装置13を伸縮させる伸縮制御と、回転装置2を回転させる回転制御とを実行する。
【0145】
制御装置220は、
図23に示す伸縮制御手順に基づいて伸縮装置13を制御する。制御装置220は、伸縮操作スイッチ261から伸縮指令を受けたときに、伸縮制御を開始する。制御装置220は、最初に、伸縮センサ267からの信号に基づいて、現在の伸縮装置13の突出量を取得する(S1)。伸縮装置13の突出量は、可動部材201が格納位置にあるときに0であり、可動部材201が突出側に移動するにつれて値が増加する。次に、伸縮指令が伸長指令であるか否かを判定する(S2)。
【0146】
伸縮指令が伸長指令である場合(S2の判定結果がYes)、制御装置220は、回転センサ265からの信号に基づいて回転装置2の現在の回転角を取得する(S3)。次に、制御装置220は、回転装置2の回転角に基づいて、伸縮装置13の第1上限突出量を決定する(S4)。制御装置220は、回転角と第1上限突出量との関係が規定された第1上限突出量マップを参照して、回転角に基づいて第1上限突出量を決定するとよい。回転装置2が各回転角にあるときに、伸縮装置13が車両用シート装置1の周囲に存在するセンターコンソールやドア等の構造体と干渉しないように、第1上限突出量が設定されている。
【0147】
次に、制御装置220は、現在の伸縮装置13の突出量が第1上限突出量未満であるか否かを判定する(S5)。現在の伸縮装置13の突出量が第1上限突出量未満である場合(S5の判定結果がYes)、制御装置220は、伸縮装置13を所定量伸長させるべく、コンプレッサ217及び制御弁216の伸長制御を実行する(S6)。伸長制御によって、コンプレッサ217が駆動され、後側空気袋213Bに圧縮空気が供給され、かつ前側空気袋213Aから圧縮空気が排出される。その結果、可動部材201が突出側に移動して、伸縮装置13が伸長する。
【0148】
現在の伸縮装置13の突出量が第1上限突出量未満でない場合(S5の判定結果がNo)、制御装置220は、伸縮装置13の伸長状態を維持するべく、コンプレッサ217及び制御弁216の保持制御を実行する(S7)。保持制御によって、コンプレッサ217は停止状態に維持され、制御弁216は前側空気袋213A及び後側空気袋213Bとの接続を遮断する。これにより、前側空気袋213A及び後側空気袋213Bの大きさが維持され、可動部材201の位置が保持される。
【0149】
伸縮指令が収縮指令である場合(S2の判定結果がNo)、制御装置220は、伸縮装置13を所定量収縮させるべく、コンプレッサ217及び制御弁216の収縮制御を実行する(S8)。収縮制御によって、コンプレッサ217が駆動され、前側空気袋213Aに圧縮空気が供給され、かつ後側空気袋213Bから圧縮空気が排出される。その結果、可動部材201が格納側に移動して、伸縮装置13が収縮する。
【0150】
制御装置220は、
図24に示す回転制御手順に基づいて回転装置2を制御する。制御装置220は、回転操作スイッチ262から回転指令を受けたときに、回転制御を開始する。制御装置220は、最初に、回転センサ265からの信号に基づいて回転装置2の現在の回転角を取得する(S11)。次に、回転操作スイッチ262から回転指令に基づいて、回転指令が左回転指令であるか否かを判定する(S12)。
【0151】
回転指令が左回転指令である場合(S12の判定結果がYes)、制御装置220は現在の回転角に-90度することによって目標回転角を設定する(S13)。
【0152】
次に、制御装置220は、現在の回転角と目標回転角とに基づいて、伸縮装置13の第2上限突出量を設定する(S14)。第2上限突出量は、0~90度の範囲、90~180度の範囲、0~-90度の範囲、-90~-180度の範囲の各範囲に対して設定されているとよい。第2上限突出量は、各回転角の範囲において第1上限突出量の最小値以下に設定されているとよい。現在の回転角及び目標回転角と、第2上限突出量との関係は予めマップに定められているとよい。
【0153】
次に、制御装置220は、伸縮センサ267からの信号に基づいて、現在の伸縮装置13の突出量を取得する(S15)。次に、制御装置220は、現在の伸縮装置13の突出量が第2上限突出量以下であるか否かを判定する(S16)。
【0154】
現在の伸縮装置13の突出量が第2上限突出量以下である場合(S16の判定結果がYes)、制御装置220は、現在の回転角が目標回転角になるまで左回転制御を実行する(S17)。
【0155】
現在の伸縮装置13の突出量が第2上限突出量より大きい場合(S16の判定結果がNo)、制御装置220は、伸縮装置13の現在の突出量が第2上限突出量になるまで収縮制御を実行する(S18)。伸縮装置13の現在の突出量が第2上限突出量になった後に、制御装置220は、現在の回転角が目標回転角になるまで左回転制御を実行する(S17)。
【0156】
回転指令が右回転指令である場合(S12の判定結果がNo)、制御装置220は現在の回転角に+90度することによって目標回転角を設定する(S19)。
【0157】
次に、制御装置220は、現在の回転角と目標回転角とに基づいて、伸縮装置13の第2上限突出量を設定する(S20)。
【0158】
次に、制御装置220は、伸縮センサ267からの信号に基づいて、現在の伸縮装置13の突出量を取得する(S21)。次に、制御装置220は、現在の伸縮装置13の突出量が第2上限突出量以下であるか否かを判定する(S22)。
【0159】
現在の伸縮装置13の突出量が第2上限突出量以下である場合(S22の判定結果がYes)、制御装置220は、現在の回転角が目標回転角になるまで右回転制御を実行する(S23)。
【0160】
現在の伸縮装置13の突出量が第2上限突出量より大きい場合(S22の判定結果がNo)、制御装置220は、伸縮装置13の現在の突出量が第2上限突出量になるまで収縮制御を実行する(S24)。伸縮装置13の現在の突出量が第2上限突出量になった後に、制御装置220は、現在の回転角が目標回転角になるまで右回転制御を実行する(S23)。
【0161】
上記の実施形態では、制御装置220は、回転操作スイッチ262からの信号に基づいて回転装置2の回転制御を実行すると共に、回転制御に応じて伸縮装置13の伸縮制御を実行する。この態様によれば、制御装置220が回転制御に応じて伸縮制御を実行するため、回転装置2の回転時に伸縮装置13が車両内の構造体に干渉することが避けられる。これにより、車両用シート装置1は、回転動作を円滑に行うことができる。
【0162】
制御装置220は、伸縮制御によって伸縮装置13の水平方向への突出量を予め設定された第2上限突出量以下に収縮させた後に、回転装置2の回転制御を開始する。この態様によれば、伸縮装置13が収縮した後に回転装置2が回転を始めるため、伸縮装置13と車両内の構造体との干渉を確実に避けることができる。
【0163】
制御装置220は、伸縮装置13の突出量を予め設定された第2上限突出量以下に収縮させる伸縮制御を開始すると同時に、回転装置2の回転制御を開始してもよい。すなわち、伸縮装置13の突出量が第2上限突出量以下になる前に、制御装置220は回転装置2の回転制御を開始してもよい。この態様によれば、回転装置2が迅速に回転を開始することができる。この場合、制御装置220は、回転装置2の回転制御が完了する前に、伸縮制御によって伸縮装置13の突出量を第2上限突出量以下に収縮させるとよい。
【0164】
制御装置220は、回転装置2の回転角と伸縮装置13の第2上限突出量との関係を規定したマップに基づいて、各回転角における伸縮装置13の突出量が上限突出量以下になるように、回転制御及び伸縮制御を実行する。この態様によれば、回転装置2の各回転角において、伸縮装置13と車両内の構造体との干渉を確実に避けることができる。
【0165】
制御装置220は、回転制御の実行中に照明装置251を点灯させるとよい。この態様によれば、照明装置251によってシート本体3が回転していることを注意喚起することができる。照明装置251はフロア5を照らすため、使用者に煩わしさを与えることが抑制される。
【0166】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、制御装置220は、伸縮制御によって伸縮装置13を最も収縮した状態(初期状態)まで収縮させた後に、回転装置2の回転制御を開始してもよい。また、制御装置220は、伸縮装置13を最も収縮した状態(初期状態)まで収縮させる伸縮制御を開始すると同時に、回転装置2の回転制御を開始してもよい。
【0167】
また、伸縮装置13には、伸縮装置13と、車両内の構造体との接近状態を検出する近接センサが設けられてもよい。制御装置220は、近接センサからの信号に基づいて伸縮装置13と構造体との距離が所定の下限値以上になるように伸縮制御を行うとよい。
【符号の説明】
【0168】
1 :車両用シート装置
2 :回転装置
3 :シート本体
4 :スライド装置
5 :フロア
11 :シートクッション
12 :シートバック
13 :伸縮装置
37 :ロアレール
38 :アッパレール
53 :回転アクチュエータ
54 :回転ロック装置
56 :ベースプレート
57 :クロスメンバ
71 :回転板
72 :固定ブラケット
87 :支持筒
151 :ロック解除アクチュエータ
201 :可動部材
202 :伸縮アクチュエータ
213 :空気袋
213A :前側空気袋
213B :後側空気袋
216 :制御弁
217 :コンプレッサ
218 :チューブ
220 :制御装置
251 :照明装置
253 :連結部材
255 :ロアカバー
256 :アッパカバー
261 :伸縮操作スイッチ
262 :回転操作スイッチ
265 :回転センサ
267 :伸縮センサ