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特開2024-88115アレイ基板、表示装置及びアレイ基板の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088115
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】アレイ基板、表示装置及びアレイ基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/786 20060101AFI20240625BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240625BHJP
   H01L 29/41 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
H01L29/78 616T
G09F9/30 337
G09F9/30 338
G09F9/30 348A
H01L29/44 S
H01L29/78 612C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203131
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 龍児
(72)【発明者】
【氏名】市川 雅士
(72)【発明者】
【氏名】近間 義雅
(72)【発明者】
【氏名】寺内 崇
【テーマコード(参考)】
4M104
5C094
5F110
【Fターム(参考)】
4M104AA01
4M104AA03
4M104AA08
4M104AA09
4M104BB02
4M104BB04
4M104BB14
4M104BB16
4M104BB18
4M104CC01
4M104DD62
4M104DD65
4M104EE17
4M104FF06
4M104FF13
4M104GG09
4M104GG14
4M104HH13
5C094AA42
5C094AA43
5C094BA03
5C094DA13
5C094DA15
5C094DB04
5C094EA04
5C094FA03
5C094FB05
5C094GB10
5F110AA16
5F110AA26
5F110BB02
5F110CC07
5F110DD02
5F110EE02
5F110EE03
5F110EE04
5F110EE06
5F110EE14
5F110EE30
5F110FF02
5F110FF03
5F110GG01
5F110GG02
5F110GG15
5F110GG19
5F110GG26
5F110GG32
5F110HK02
5F110HK03
5F110HK04
5F110HK06
5F110HK21
5F110HM02
5F110HM03
5F110HM05
5F110NN23
5F110NN24
5F110NN44
5F110QQ02
5F110QQ16
(57)【要約】
【課題】第1には、ソース電極及びドレイン電極の各側面の傾斜角を制御し、第2には、歩留まりを改善し、フォトレジスト膜を露光・現像するプロセスを削減する。
【解決手段】アレイ基板21は、第1導電膜からなるゲート電極24Aと、第1導電膜の上層側に配される第1絶縁膜32と、第1絶縁膜32の上層側に配される半導体膜からなる半導体部24Dと、半導体膜の上層側に配される第2導電膜からなるソース電極24Bと、第2導電膜のうち、ソース電極24Bとは別の部分からなるドレイン電極24Cと、第2導電膜のうち、ソース電極24B及びドレイン電極24Cとは別の部分からなるソース配線27と、第1絶縁膜32の上層側に配されて透光性を有する第3導電膜からなる画素電極25と、第2導電膜及び第3導電膜の上層側に配される第2絶縁膜33と、を備え、ソース配線27は、側面27Aの傾斜角が第1角度θ1とされ、ソース電極24B及びドレイン電極24Cの各側面24B1,24C1の傾斜角が第1角度θ1よりも小さい第2角度θ2とされる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電膜からなるゲート電極と、
前記第1導電膜の上層側に配される第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜の上層側に配される半導体膜からなり、少なくとも一部が前記ゲート電極と重畳して配される半導体部と、
前記半導体膜の上層側に配される第2導電膜からなり、前記半導体部の一部と重畳して配されるソース電極と、
前記第2導電膜のうち、前記ソース電極とは別の部分からなり、前記ソース電極と間隔を空けた位置にて前記半導体部の一部と重畳して配されるドレイン電極と、
前記第2導電膜のうち、前記ソース電極及び前記ドレイン電極とは別の部分からなり、前記ソース電極に連なるソース配線と、
前記第1絶縁膜の上層側に配されて透光性を有する第3導電膜からなり、前記ドレイン電極に接続され、前記ソース配線との間に間隔を空けて配される画素電極と、
前記第2導電膜及び前記第3導電膜の上層側に配される第2絶縁膜と、を備え、
前記ソース配線は、側面の傾斜角が第1角度とされ、
前記ソース電極及び前記ドレイン電極の各側面の傾斜角が前記第1角度よりも小さい第2角度とされるアレイ基板。
【請求項2】
請求項1記載のアレイ基板と、
前記アレイ基板に対して対向配置される対向基板と、を備える表示装置。
【請求項3】
半導体膜を成膜し、
前記半導体膜の上層側に第1導電膜を成膜し、
前記第1導電膜の上層側にフォトレジスト膜を成膜し、前記フォトレジスト膜を露光・現像して第1レジスト部と前記第1レジスト部よりも膜厚が小さい第2レジスト部とを形成し、
前記第1レジスト部及び前記第2レジスト部をマスクとして前記第1導電膜及び前記半導体膜をエッチングし、前記半導体膜からなる半導体部と、前記第1導電膜からなり前記半導体部と重畳する電極部と、前記第1導電膜からなり前記電極部に連なる配線と、を設け、
前記第2レジスト部を除去し、
前記第1レジスト部をマスクとして前記第1導電膜をエッチングし、前記半導体部の一部と重畳して前記配線に連なる第1電極と、前記第1電極と間隔を空けた位置にて前記半導体部の一部と重畳する第2電極と、を設け、
前記第1導電膜の上層側に第1絶縁膜を成膜し、
前記第1レジスト部及び前記第2レジスト部をマスクとして前記第1導電膜をエッチングし、または前記第1レジスト部をマスクとして前記第1導電膜をエッチングして、前記配線の側面の傾斜角を第1角度とし、
前記第1レジスト部をマスクとして前記第1導電膜をエッチングして、前記第1電極及び前記第2電極の各側面の傾斜角を前記第1角度よりも小さい第2角度とするアレイ基板の製造方法。
【請求項4】
前記第1レジスト部及び前記第2レジスト部をマスクとして前記第1導電膜をエッチングして、前記配線の側面の傾斜角を前記第1角度とする請求項3記載のアレイ基板の製造方法。
【請求項5】
前記第1レジスト部及び前記第2レジスト部をマスクとして前記第1導電膜をエッチングした後に、前記配線を炭素系ガスと酸素系ガスとの少なくとも一方を含む雰囲気に曝す請求項4記載のアレイ基板の製造方法。
【請求項6】
前記第1レジスト部及び前記第2レジスト部をマスクとして前記第1導電膜をエッチングして、前記配線の側面の傾斜角を前記第1角度よりも小さい第3角度とし、
前記第1レジスト部をマスクとして前記第1導電膜をエッチングして、前記配線の側面の傾斜角を前記第1角度とする請求項3記載のアレイ基板の製造方法。
【請求項7】
前記第1レジスト部及び前記第2レジスト部をマスクとして、前記第1導電膜をエッチングした後に、前記配線を炭素系ガスと酸素系ガスとの少なくとも一方を含む雰囲気に曝す請求項6記載のアレイ基板の製造方法。
【請求項8】
半導体膜を成膜し、前記半導体膜をパターニングして半導体部を設け、
前記半導体膜の上層側に第1導電膜を成膜し、
前記第1導電膜の上層側にフォトレジスト膜を成膜し、前記フォトレジスト膜を露光・現像して第1レジスト部と前記第1レジスト部よりも膜厚が小さい第2レジスト部とを形成し、
前記第1レジスト部及び前記第2レジスト部をマスクとして前記第1導電膜をエッチングし、前記第1導電膜からなり前記半導体部と重畳する電極部と、前記第1導電膜からなり前記電極部に連なる配線と、を設け、
前記第2レジスト部を除去し、
前記第1レジスト部をマスクとして前記第1導電膜をエッチングし、前記半導体部の一部と重畳して前記配線に連なる第1電極と、前記第1電極と間隔を空けた位置にて前記半導体部の一部と重畳する第2電極と、を設け、
前記第1導電膜の上層側に第1絶縁膜を成膜し、
前記第1レジスト部及び前記第2レジスト部をマスクとして前記第1導電膜をエッチングし、または前記第1レジスト部をマスクとして前記第1導電膜をエッチングして、前記配線の側面の傾斜角を第1角度とし、
前記第1レジスト部をマスクとして前記第1導電膜をエッチングして、前記第1電極及び前記第2電極の各側面の傾斜角を前記第1角度よりも小さい第2角度とするアレイ基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、アレイ基板、表示装置及びアレイ基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表示装置に備わるアレイ基板及びその製造方法の一例として特許文献1~特許文献4に記載されたものが知られている。特許文献1には、アレイ基板としてTFT基板が記載されている。特許文献1に記載のTFT基板は、ガラス基板と直接接触する表示装置用Cu合金膜が、Ti、AlおよびMgよりなる群から選択される1種以上を合計で0.1~10.0原子%含有する。
【0003】
特許文献2には、アレイ基板の製造方法としてTFTアレイ基板の製造方法が記載されている。特許文献2に記載のTFTアレイ基板の製造方法では、まず、主成分金属に、主成分金属より酸化物の生成エネルギーが低い添加金属が添加された第2の金属膜を成膜する。そして、第2の金属膜を酸化させて金属酸化物を形成し、第2の金属膜の表面に酸化層を形成する。次に、酸化層上にフォトレジストを形成して、第1のドライエッチング条件により、酸化層をエッチングする。そして、第1のドライエッチング条件の場合と比較して、主成分金属の金属酸化物に対する選択比が高い第2のドライエッチング条件により、下層の第2の金属膜をエッチングする。
【0004】
特許文献3には、アレイ基板として半導体装置の製造方法が記載されている。特許文献3に記載の半導体装置の製造方法では、多階調マスクを用いることで1つのフォトレジスト層を1枚のマザーガラス基板から遠ざかる方向に向かって断面積が連続的に減少するテーパ形状を有するフォトレジスト層を形成する。1本の配線を形成する際、1枚のフォトマスクを用い、金属膜を選択的にエッチングすることで、場所によって側面形状(具体的には基板主平面に対する角度)が異なる1本の配線を得る。特許文献4には、アレイ基板としてTFT基板が記載されている。特許文献4に記載のTFT基板では、ゲート電極の側壁のテーパ角度と、ゲート電極と同一レイヤーとされる配線の側壁のテーパ角度と、が異なっている。ゲート電極のエッチングと配線のエッチングとを異なるエッチングプロセスにより行い、ゲート電極のエッチングにおいては、レジストマスクの基板面全体に対する被覆率を45%以上とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-65317号公報
【0006】
【特許文献2】特開2009-267296号公報
【0007】
【特許文献3】特開2022-171733号公報
【0008】
【特許文献4】特開2007-19336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記した特許文献1によれば、表示装置用Cu合金膜とガラス基板との密着性が良好になる効果が得られる、とのことである。上記した特許文献2によれば、生産性が向上し、かつ寸法精度が良好になる効果が得られる、とのことである。しかしながら、特許文献1,2は、いずれも配線や電極の側面のテーパ角を制御する技術を開示するものではない。
【0010】
上記した特許文献3,4は、いずれもTFTを構成するゲート電極の金属膜をエッチングする技術に関するものであり、ソース電極及びドレイン電極の金属膜をエッチングする技術に関するものではない。
【0011】
上記した特許文献3では、金属膜を1回エッチングすることで、場所によって側面形状が異なる1本の配線を得るようにしている。しかしながら、特許文献3では、エッチングによって得られる配線の側面形状がレジストマスクの仕上がりに大きく依存している。このため、配線の側面形状に係る再現性が乏しく、歩留まりが芳しくない、という問題がある。
【0012】
上記した特許文献4では、第1のエッチング用のレジスト層を露光・現像するプロセスと、第2のエッチング用のレジスト層を露光・現像するプロセスと、を要する。このため、製造に要する設備が多く必要になるとともに、タクトタイムが長くなるという問題があった。
【0013】
本明細書に記載の技術は、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、第1には、ソース電極及びドレイン電極の各側面のテーパ角を制御し、第2には、歩留まりを改善し、フォトレジスト膜を露光・現像するプロセスを削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(1)本明細書に記載の技術に関わるアレイ基板は、第1導電膜からなるゲート電極と、前記第1導電膜の上層側に配される第1絶縁膜と、前記第1絶縁膜の上層側に配される半導体膜からなり、少なくとも一部が前記ゲート電極と重畳して配される半導体部と、前記半導体膜の上層側に配される第2導電膜からなり、前記半導体部の一部と重畳して配されるソース電極と、前記第2導電膜のうち、前記ソース電極とは別の部分からなり、前記ソース電極と間隔を空けた位置にて前記半導体部の一部と重畳して配されるドレイン電極と、前記第2導電膜のうち、前記ソース電極及び前記ドレイン電極とは別の部分からなり、前記ソース電極に連なるソース配線と、前記第1絶縁膜の上層側に配されて透光性を有する第3導電膜からなり、前記ドレイン電極に接続され、前記ソース配線との間に間隔を空けて配される画素電極と、前記第2導電膜及び前記第3導電膜の上層側に配される第2絶縁膜と、を備え、前記ソース配線は、側面の傾斜角が第1角度とされ、前記ソース電極及び前記ドレイン電極の各側面の傾斜角が前記第1角度よりも小さい第2角度とされる。
【0015】
(2)本明細書に記載の技術に関わる表示装置は、上記(1)に記載のアレイ基板と、前記アレイ基板に対して対向配置される対向基板と、を備える。
【0016】
(3)本明細書に記載の技術に関わるアレイ基板の製造方法は、半導体膜を成膜し、前記半導体膜の上層側に第1導電膜を成膜し、前記第1導電膜の上層側にフォトレジスト膜を成膜し、前記フォトレジスト膜を露光・現像して第1レジスト部と前記第1レジスト部よりも膜厚が小さい第2レジスト部とを形成し、前記第1レジスト部及び前記第2レジスト部をマスクとして前記第1導電膜及び前記半導体膜をエッチングし、前記半導体膜からなる半導体部と、前記第1導電膜からなり前記半導体部と重畳する電極部と、前記第1導電膜からなり前記電極部に連なる配線と、を設け、前記第2レジスト部を除去し、前記第1レジスト部をマスクとして前記第1導電膜をエッチングし、前記半導体部の一部と重畳して前記配線に連なる第1電極と、前記第1電極と間隔を空けた位置にて前記半導体部の一部と重畳する第2電極と、を設け、前記第1導電膜の上層側に第1絶縁膜を成膜し、前記第1レジスト部及び前記第2レジスト部をマスクとして前記第1導電膜をエッチングし、または前記第1レジスト部をマスクとして前記第1導電膜をエッチングして、前記配線の側面の傾斜角を第1角度とし、前記第1レジスト部をマスクとして前記第1導電膜をエッチングして、前記第1電極及び前記第2電極の各側面の傾斜角を前記第1角度よりも小さい第2角度とする。
【0017】
(4)また、上記アレイ基板の製造方法は、上記(3)に加え、前記第1レジスト部及び前記第2レジスト部をマスクとして前記第1導電膜をエッチングして、前記配線の側面の傾斜角を前記第1角度としてもよい。
【0018】
(5)また、上記アレイ基板の製造方法は、上記(4)に加え、前記第1レジスト部及び前記第2レジスト部をマスクとして前記第1導電膜をエッチングした後に、前記配線を炭素系ガスと酸素系ガスとの少なくとも一方を含む雰囲気に曝してもよい。
【0019】
(6)また、上記アレイ基板の製造方法は、上記(3)に加え、前記第1レジスト部及び前記第2レジスト部をマスクとして前記第1導電膜をエッチングして、前記配線の側面の傾斜角を前記第1角度よりも小さい第3角度とし、前記第1レジスト部をマスクとして前記第1導電膜をエッチングして、前記配線の側面の傾斜角を前記第1角度としてもよい。
【0020】
(7)また、上記アレイ基板の製造方法は、上記(6)に加え、前記第1レジスト部及び前記第2レジスト部をマスクとして、前記第1導電膜をエッチングした後に、前記配線を炭素系ガスと酸素系ガスとの少なくとも一方を含む雰囲気に曝してもよい。
【0021】
(8)本明細書に記載の技術に関わるアレイ基板の製造方法は、半導体膜を成膜し、前記半導体膜をパターニングして半導体部を設け、前記半導体膜の上層側に第1導電膜を成膜し、前記第1導電膜の上層側にフォトレジスト膜を成膜し、前記フォトレジスト膜を露光・現像して第1レジスト部と前記第1レジスト部よりも膜厚が小さい第2レジスト部とを形成し、前記第1レジスト部及び前記第2レジスト部をマスクとして前記第1導電膜をエッチングし、前記第1導電膜からなり前記半導体部と重畳する電極部と、前記第1導電膜からなり前記電極部に連なる配線と、を設け、前記第2レジスト部を除去し、前記第1レジスト部をマスクとして前記第1導電膜をエッチングし、前記半導体部の一部と重畳して前記配線に連なる第1電極と、前記第1電極と間隔を空けた位置にて前記半導体部の一部と重畳する第2電極と、を設け、前記第1導電膜の上層側に第1絶縁膜を成膜し、前記第1レジスト部及び前記第2レジスト部をマスクとして前記第1導電膜をエッチングし、または前記第1レジスト部をマスクとして前記第1導電膜をエッチングして、前記配線の側面の傾斜角を第1角度とし、前記第1レジスト部をマスクとして前記第1導電膜をエッチングして、前記第1電極及び前記第2電極の各側面の傾斜角を前記第1角度よりも小さい第2角度とする。
【発明の効果】
【0022】
本明細書に記載の技術によれば、第1には、ソース電極及びドレイン電極の各側面のテーパ角を制御し、第2には、歩留まりを改善し、フォトレジスト膜を露光・現像するプロセスを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施形態1に係る液晶表示装置に備わる液晶パネルの平面図
図2】実施形態1に係る液晶パネルの概略的な断面図
図3】実施形態1に係る液晶パネルに備わるアレイ基板の表示領域における画素配列を示す平面図
図4】実施形態1に係る液晶パネルの図3のiv-vi線断面図
図5】実施形態1に係るアレイ基板の図3のv-v線断面図
図6】実施形態1に係るアレイ基板の非表示領域におけるゲート回路部に備わる第2TFTを示す平面図
図7】実施形態1に係るアレイ基板の図6のvii-vii線断面図
図8】実施形態1に係るアレイ基板の図6のvii-viii線断面図
図9】実施形態1に係るアレイ基板の製造方法に含まれる第3工程の露光工程を経てフォトマスクを介してフォトレジスト膜を露光した状態を示す図3のv-v線断面図
図10】実施形態1に係るアレイ基板の製造方法に含まれる第3工程の露光工程を経てフォトマスクを介してフォトレジスト膜を露光した状態を示す図6のvii-vii線断面図
図11】実施形態1に係るアレイ基板の製造方法に含まれる第3工程の露光工程を経てフォトマスクを介してフォトレジスト膜を露光した状態を示す図6のvii-viii線断面図
図12】実施形態1に係るアレイ基板の製造方法に含まれる第3工程の現像工程及び焼成工程を経てフォトレジスト膜を現像し、焼成した状態を示す図3のv-v線断面図
図13】実施形態1に係るアレイ基板の製造方法に含まれる第3工程の現像工程及び焼成工程を経てフォトレジスト膜を現像し、焼成した状態を示す図6のvii-vii線断面図
図14】実施形態1に係るアレイ基板の製造方法に含まれる第3工程の現像工程及び焼成工程を経てフォトレジスト膜を現像し、焼成した状態を示す図6のvii-viii線断面図
図15】実施形態1に係るアレイ基板の製造方法に含まれる第3工程の第1エッチング工程及びアッシング工程を経て半導体膜及び第2金属膜をエッチングした状態を示す図3のv-v線断面図
図16】実施形態1に係るアレイ基板の製造方法に含まれる第3工程の第1エッチング工程及びアッシング工程を経て半導体膜及び第2金属膜をエッチングした状態を示す図6のvii-vii線断面図
図17】実施形態1に係る実施形態1に係るアレイ基板の製造方法に含まれる第3工程の第1エッチング工程及びアッシング工程を経て半導体膜及び第2金属膜をエッチングした状態を示す図6のvii-viii線断面図
図18】実施形態1に係る実施形態1に係る実施形態1に係るアレイ基板の製造方法に含まれる第3工程の第2エッチング工程を経て第2金属膜をエッチングした状態を示す図3のv-v線断面図
図19】実施形態1に係る実施形態1に係る実施形態1に係るアレイ基板の製造方法に含まれる第3工程の第2エッチング工程を経て第2金属膜をエッチングした状態を示す図6のvii-vii線断面図
図20】実施形態2に係るアレイ基板の製造方法に含まれる第3工程の現像工程を経てフォトレジスト膜を現像した状態を示す図5と同じ断面図
図21】実施形態2に係るアレイ基板の製造方法に含まれる第3工程の第1エッチング工程及び曝露工程を経て半導体膜及び第2金属膜をエッチングした状態を示す図5と同じ断面図
図22】実施形態2に係るアレイ基板のうち、図21の要部を拡大した断面図
図23】実施形態2に係るアレイ基板の製造方法に含まれる第3工程のアッシング工程及び第2エッチング工程を経て第2金属膜をエッチングした状態を示す図5と同じ断面図
図24】実施形態3に係るアレイ基板の製造方法に含まれる第3工程の第1エッチング工程及び曝露工程を経て半導体膜及び第2金属膜をエッチングした状態を示す図5と同じ断面図
図25】実施形態3に係るアレイ基板のうち、図24の要部を拡大した断面図
図26】実施形態3に係るアレイ基板の製造方法に含まれる第3工程のアッシング工程及び第2エッチング工程を経て第2金属膜をエッチングした状態を示す図5と同じ断面図
図27】実施形態4に係るアレイ基板の製造方法に含まれる第4工程の現像工程を経てフォトレジスト膜を現像した状態を示す図5と同じ断面図
図28】実施形態4に係るアレイ基板の製造方法に含まれる第4工程の第1エッチング工程及びアッシング工程を経て第2金属膜をエッチングした状態を示す図5と同じ断面図
【発明を実施するための形態】
【0024】
<実施形態1>
実施形態1を図1から図19によって説明する。本実施形態では、液晶表示装置10について例示する。なお、各図面の一部にはX軸、Y軸及びZ軸を示しており、各軸方向が各図面で示した方向となるように描かれている。また、図2図4図5図7から図15の上側を表側とし、同図下側を裏側とする。
【0025】
液晶表示装置10は、図1に示すように、横長の方形状をなしていて画像を表示可能な液晶パネル(表示装置)11と、液晶パネル11に対して表示に利用するための光を照射するバックライト装置(照明装置)と、を少なくとも備える。バックライト装置は、液晶パネル11に対して裏側(背面側)に配置され、白色の光を発する光源(例えばLED等)や光源からの光に光学作用を付与することで面状の光に変換する光学部材等を有する。液晶パネル11は、画面の中央側部分が、画像が表示される表示領域AAとされる。液晶パネル11は、画面における表示領域AAを取り囲む枠状(額縁状)の外周側部分が、画像が表示されない非表示領域(表示領域AA外の領域)NAAとされる。図1において一点鎖線により囲った範囲が表示領域AAである。
【0026】
液晶パネル11に関し、図1に加えて図2を参照して説明する。液晶パネル11は、図1及び図2に示すように、一対の基板20,21を貼り合わせてなる。一対の基板20,21のうち表側が対向基板(第2基板)20とされ、裏側がアレイ基板(第1基板)21とされる。対向基板20及びアレイ基板21は、いずれもガラス基板の内面側に各種の膜が積層形成されてなる。一対の基板20,21間には、電界印加に伴って光学特性が変化する物質である液晶分子を含む液晶層22が介在して配される。一対の基板20,21の外周端部間には、液晶層22をシールするシール部23が介在して設けられている。シール部23は、液晶層22を取り囲むよう方形の枠状に形成されている。なお、両基板20,21の外面側には、それぞれ偏光板14が貼り付けられている。
【0027】
アレイ基板21は、図1及び図2に示すように、対向基板20よりも大型となっていてその一部が対向基板20に対して側方に突き出す突き出し部21Aとなっている。突き出し部21Aは、対向基板20により覆われずに露出している。突き出し部21Aは、全域が非表示領域NAAであり、各種信号を供給するためのドライバ12及びフレキシブル基板13が実装されている。ドライバ12は、内部に駆動回路を有するLSIチップからなる。ドライバ12は、アレイ基板21の突き出し部21Aに対してCOG(Chip On Glass)実装されている。ドライバ12は、表示領域AAに対してY軸方向の片側に隣り合うよう配されており、フレキシブル基板13と表示領域AAとの間に挟み込まれる配置となっている。ドライバ12は、平面形状が横長の方形状とされる。ドライバ12は、突き出し部21AにおいてX軸方向について間隔を空けた位置に2つ配されている。ドライバ12は、フレキシブル基板13によって伝送される各種信号を処理する。フレキシブル基板13は、絶縁性及び可撓性を有する基材上に多数本の配線パターンを形成した構成とされる。フレキシブル基板13は、一端側がアレイ基板21に、他端側が外部のコントロール基板(信号供給源)に、それぞれ接続されている。コントロール基板から供給される各種信号は、フレキシブル基板13を介して液晶パネル11に伝送される。
【0028】
アレイ基板21の非表示領域NAAには、図1に示すように、表示領域AAをX軸方向について両側から挟み込む形で一対のゲート回路部(GDM(Gate Driver Monolithic)回路部)15が設けられている。ゲート回路部15は、Y軸方向に沿って延在する帯状の範囲に設けられている。ゲート回路部15は、後述するゲート配線26に走査信号を供給するためのものであり、アレイ基板21にモノリシックに設けられている。ゲート回路部15は、走査信号を所定のタイミングで出力するシフトレジスタ回路や走査信号を増幅するためのバッファ回路等を有する。ゲート回路部15を構成するシフトレジスタ回路やバッファ回路等には、様々な回路素子が備えられているが、その中には少なくとも第2TFT16が含まれる。第2TFT16の詳しい構成については、後に改めて説明する。
【0029】
次に、液晶パネル11における表示領域AAの構成について図3及び図4を用いて説明する。アレイ基板21の表示領域AAにおける内面側には、図3に示すように、第1TFT(第1スイッチング素子、画素TFT)24及び画素電極25が少なくとも設けられている。第1TFT24及び画素電極25は、複数ずつX軸方向及びY軸方向に沿って間隔を空けて並んでマトリクス状(行列状)に設けられている。これら第1TFT24及び画素電極25の周りには、互いに直交(交差)するゲート配線(走査配線)26及びソース配線(画像配線、信号配線)27が配設されている。ゲート配線26は、X軸方向に沿って延在し、Y軸方向に画素電極25を挟むよう間隔を空けて複数が並んで配される。ソース配線27は、Y軸方向に沿って延在し、X軸方向に画素電極25を挟むよう間隔を空けて複数が並んで配される。第1TFT24は、ゲート配線26及びソース配線27に接続されている。画素電極25は、ゲート配線26とソース配線27とに取り囲まれた領域に配されている。画素電極25は、ソース配線27に対してX軸方向について間隔を空けた位置で、ゲート配線26に対してY軸方向について間隔を空けた位置に配されている。画素電極25は、平面形状が例えば略長方形状とされる画素電極本体25Aと、画素電極本体25AからY軸方向に沿って片側に突出するコンタクト部25Bと、を有する。
【0030】
アレイ基板21の表示領域AAにおける内面側には、図4に示すように、共通電極28が設けられている。共通電極28は、画素電極25よりも上層側に位置しており、表示領域AAのほぼ全域にわたって配されている。これにより、共通電極28は、表示領域AAに配される全ての画素電極25に対して重畳する。共通電極28のうち、複数の画素電極25に対して重畳する部分には、複数のスリット28Aがそれぞれ開口形成されている。共通電極28には、共通電位(基準電位)とされる共通電位信号が供給されている。第1TFT24の駆動に伴って画素電極25がソース配線27に伝送される画像信号に基づく電位に充電されると、画素電極25と共通電極28との間には電位差が生じる。すると、共通電極28におけるスリット28Aの開口縁と画素電極25との間には、アレイ基板21の板面に沿う成分に加えて、アレイ基板21の板面に対する法線方向の成分を含むフリンジ電界(斜め電界)が生じる。従って、このフリンジ電界を利用することで液晶層22に含まれる液晶分子の配向状態を制御することができ、この液晶分子の配向状態に基づいて所定の表示がなされる。つまり、本実施形態に係る液晶パネル11は、動作モードがFFS(Fringe Field Switching)モードとされている。
【0031】
対向基板20の表示領域AAにおける内面側には、図4に示すように、アレイ基板21に備わる各画素電極25と重畳する位置に多数個のカラーフィルタ29が設けられている。カラーフィルタ29は、赤色(R),緑色(G),青色(B)を呈する3色がX軸方向に沿って繰り返し交互に並ぶ配置とされるとともに、それらがY軸方向に沿って延在することで、全体としてストライプ状に配列されている。対向基板20の表示領域AAにおける内面側には、隣り合うカラーフィルタ29間を仕切ることで混色を防ぐなどのために遮光部(ブラックマトリクス)30が設けられている。遮光部30は、非表示領域NAAにも設けられている。遮光部30は、表示領域AAではゲート配線26及びソース配線27と重畳するよう格子状をなしているものの、非表示領域NAAではベタ状をなしている。カラーフィルタ29及び遮光部30の上層側には、オーバーコート膜31が形成される。オーバーコート膜31は、対向基板20において表示領域AAと非表示領域NAAとに跨る範囲にわたって概ねベタ状に設けられている。オーバーコート膜31は、例えばアクリル樹脂(例えばPMMA等)等の有機材料からなり、自身よりも下層側に生じた段差を平坦化するのに機能する。なお、対向基板20及びアレイ基板21の表示領域AAにおける各最内面には、液晶層22に含まれる液晶を配向させるための配向膜がそれぞれ設けられている。
【0032】
ここで、アレイ基板21の内面側に積層形成された各種の膜について図5を参照しつつ説明する。アレイ基板21には、図5に示すように、下層側(ガラス基板側)から順に第1金属膜(第1導電膜)、第1絶縁膜32、半導体膜39、第2金属膜(第1導電膜、第2導電膜)40、第1透明電極膜(第2導電膜、第3導電膜)、第2絶縁膜33、第2透明電極膜、配向膜が積層形成されている。
【0033】
第1金属膜及び第2金属膜40は、それぞれ銅、チタン、アルミニウム、モリブデン、タングステン等の中から選択される1種類の金属材料からなる単層膜または異なる種類の金属材料からなる積層膜や合金とされることで導電性及び遮光性を有している。第1金属膜は、ゲート配線26等を構成する。第2金属膜40は、ソース配線27等を構成する。第1絶縁膜32及び第2絶縁膜33は、それぞれ窒化ケイ素(SiN)、酸化ケイ素(SiO)等の無機材料からなる。第1絶縁膜32は、下層側の第1金属膜と、上層側の半導体膜39、第2金属膜40及び第1透明電極膜と、を絶縁状態に保つ。第2絶縁膜33は、下層側の半導体膜39、第2金属膜40及び第1透明電極膜と、上層側の第2透明電極膜と、を絶縁状態に保つ。半導体膜39は、材料としてアモルファスシリコンを用いた薄膜からなる。半導体膜39は、例えばリン(P)等のn型不純物を高濃度にドーピングしたアモルファスシリコン(nSi)からなるドーピング半導体膜を含む。第1透明電極膜及び第2透明電極膜は、透明電極材料(例えばITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)など)からなる。第1透明電極膜は、画素電極25等を構成する。第2透明電極膜は、共通電極28等を構成する。配向膜は、例えばポリイミド等の有機材料からなる。
【0034】
第1TFT24の構成について説明する。第1TFT24は、図3及び図5に示すように、第1金属膜からなる第1ゲート電極24Aを有する。第1ゲート電極24Aは、X軸方向に沿って延在するゲート配線26の途中からY軸方向に沿って延出する部分からなる。つまり、第1ゲート電極24Aは、ゲート配線26を部分的に拡幅して形成されている。第1ゲート電極24Aは、X軸方向についての寸法が、後述する第1半導体部24Dの長さ寸法と同等である。第1ゲート電極24Aは、ゲート配線26に供給される走査信号に基づいて第1TFT24を駆動する。第1TFT24は、第2金属膜40からなる第1ソース電極24Bを有する。第1ソース電極24Bは、Y軸方向に沿って延在するソース配線27の途中からX軸方向に沿って延出する部分からなる。つまり、第1ソース電極24Bは、ソース配線27を部分的に拡幅して形成されている。第1ソース電極24Bは、第1ゲート電極24Aの一部と重畳し、第1半導体部24Dにおける一方の端部に接続される。
【0035】
第1TFT24は、図3及び図5に示すように、第2金属膜40からなる第1ドレイン電極24Cを有する。第1ドレイン電極24Cは、第1ソース電極24Bとの間にX軸方向に間隔を空けた位置に配される。第1ドレイン電極24Cは、平面に視てX軸方向に沿って延在する横長形状をなしている。第1ドレイン電極24Cのうちの一方の端部が、第1半導体部24Dにおける他方の端部に接続される。第1ドレイン電極24Cのうちの他方の端部が、画素電極25のコンタクト部25Bに接続される。画素電極25は、第2金属膜40に対して絶縁膜を介さずに上層側に位置する第1透明電極膜からなるので、コンタクト部25Bが第1ドレイン電極24Cに対して直接接する。第1TFT24は、半導体膜39からなる第1半導体部24Dを有する。第1半導体部24Dは、X軸方向に沿って延在しており、平面に視て横長の方形状をなす。第1半導体部24Dは、第1絶縁膜32を介して第1ゲート電極24Aに対して重畳する。第1半導体部24Dは、X軸方向についての一方の端部が、第1ソース電極24Bに、他方の端部が第1ドレイン電極24Cに、それぞれ接続されている。ゲート配線26から第1ゲート電極24Aに供給される走査信号に基づいて第1TFT24がオン状態にされると、ソース配線27に供給される画像信号(データ信号)は、第1ソース電極24Bから第1半導体部24Dを介して第1ドレイン電極24Cへと供給される。その結果、画素電極25は、画像信号に基づいた電位に充電される。
【0036】
また、ソース配線27の下層側には、図4及び図5に示すように、半導体膜39からなる第1積層部34が積層されている。第1積層部34は、ソース配線27よりも幅広とされる。第1積層部34は、絶縁体であり、電気的な機能(画像信号を伝送する機能)を発揮することはない。ソース配線27の下層側に第1積層部34が積層される理由は、後に詳しく説明するように、アレイ基板21の製造に際して半導体膜39及び第2金属膜40を一括してパターニングするため、である。
【0037】
次に、ゲート回路部15に備わるシフトレジスタ回路またはバッファ回路を構成する第2TFT16について図6及び図7を参照して説明する。第2TFT16は、図6及び図7に示すように、第2ゲート電極16A、第2ソース電極16B、第2ドレイン電極16C及び第2半導体部16Dを有する。第2ゲート電極16Aは、第1金属膜からなる。第2ゲート電極16Aは、平面に視てX軸方向に沿って延在する横長の方形状をなしており、X軸方向についての両端部がそれぞれ第1配線L1に接続されている。第1配線L1は、ゲート回路部15を構成する。
【0038】
第2ソース電極16B及び第2ドレイン電極16Cは、いずれも第2金属膜40からなる。第2ソース電極16Bは、図6及び図7に示すように、第2TFT16に対して図6に示す下側に配される第2配線(配線)L2に接続されている。第2配線L2は、ゲート回路部15を構成する。第2ソース電極16Bは、第2配線L2からY軸方向に沿って図6に示す上向きに延出する。第2ソース電極16Bは、X軸方向に間隔を空けた位置に3つが配される。第2配線L2は、第2金属膜40からなる。第2ドレイン電極16Cは、第2TFT16に対して図6に示す上側に配される第3配線L3に接続されている。第3配線L3は、ゲート回路部15を構成する。第2ドレイン電極16Cは、第3配線L3からY軸方向に沿って下向きに延出する。第2ドレイン電極16Cは、X軸方向に間隔を空けた位置に2つが配される。第2ドレイン電極16Cは、X軸方向に間隔を空けて配される2つのソース電極16Bに対してX軸方向について中間となる位置に配されている。第3配線L3は、第2金属膜40からなる。このように、第2ソース電極16B及び第2ドレイン電極16Cは、X軸方向について間隔を空けて交互に並んで配されている。また、第2配線L2の下層側には、図6及び図8に示すように、半導体膜39からなる第2積層部35が積層されている。第2積層部35は、第2配線L2よりも幅広とされる。同様に、第3配線L3の下層側には、図6に示すように、半導体膜39からなる第3積層部36が積層されている。第3積層部36は、第3配線L3よりも幅広とされる。第2積層部35及び第3積層部36は、絶縁体であり、電気的な機能を発揮することはない。第2配線L2及び第3配線L3の下層側に第2積層部35及び第3積層部36がそれぞれ積層される理由は、アレイ基板21の製造に際して半導体膜39及び第2金属膜40を一括してパターニングするため、である。
【0039】
第2半導体部16Dは、図6及び図7に示すように、平面に視てX軸方向に沿って延在する横長の方形状をなしている。第2半導体部16Dは、第2ゲート電極16Aに対して重畳しており、第2ゲート電極16Aよりも平面に視た大きさが小さい。第2半導体部16Dは、全ての第2ソース電極16B及び第2ドレイン電極16Cを横切るよう配されており、全ての第2ソース電極16B及び第2ドレイン電極16Cに対して接続されている。従って、第2ゲート電極16Aに供給される信号に基づいて第2TFT16がオン状態にされると、第2半導体部16Dのうち、X軸方向に間隔を空けて配される第2ソース電極16Bと第2ドレイン電極16Cとの間に挟まれる部分にそれぞれチャネルが生じるようになっている。これにより、第2ソース電極16Bと第2ドレイン電極16Cとの間で電荷が移動されるようになっている。なお、第2半導体部16Dには、同じ半導体膜39からなる第2積層部35及び第3積層部36が連ねられている。
【0040】
本実施形態に係るソース配線27は、図4及び図5に示すように、側面27Aが底面27Bに対して傾斜しており、その傾斜角が第1角度θ1とされる。第1角度θ1は、例えば60°~90°の範囲程度とされる。ソース配線27は、Y軸方向に沿って直線的に延在していることから、Y軸方向に沿う一対の側面27Aが、いずれも底面27Bに対して第1角度θ1をなすよう傾斜している。
【0041】
これに対し、第1ソース電極24Bは、図5に示すように、側面24B1が底面24B2に対して傾斜しており、その傾斜角が第1角度θ1よりも小さい第2角度θ2とされる。同様に、第1ドレイン電極24Cは、側面24C1が底面24C2に対して傾斜しており、その傾斜角が第2角度θ2とされる。第2角度θ2は、例えば15°~60°の範囲程度とされる。第1ソース電極24Bの側面24B1には、図3及び図5に示すように、第1ドレイン電極24Cと対向する側面24B1Aと、この側面24B1Aを挟む配置となる一対の側面24B1B,24B1Cと、の3つが含まれているが、これら3つの側面24B1A~24B1Cが、いずれも底面24B2に対して第2角度θ2をなすよう傾斜している。第1ドレイン電極24Cの側面24C1には、第1ソース電極24Bと対向する側面24C1Aと、この側面24C1Aを挟む配置となる一対の側面24C1B,24C1Cと、側面24C1Aとは反対側の側面24C1Dと、の4つが含まれているが、このうちの3つの側面24C1A~24C1Cが、いずれも底面24C2に対して第2角度θ2をなすよう傾斜している。
【0042】
本実施形態では、ソース配線27の側面27Aの傾斜角が、第2角度θ2よりも大きい第1角度θ1とされているので、図4に示すように、ソース配線27と画素電極25との間の間隔が狭くても、ソース配線27が画素電極25に短絡する事態が生じ難くなる。これにより、液晶パネル11の高精細化が進行した場合に好適となる。一方、第1ソース電極24B及び第1ドレイン電極24Cの各側面24B1,24C1の傾斜角が第1角度θ1よりも小さい第2角度θ2とされているので、図5に示すように、第1ソース電極24B及び第1ドレイン電極24Cに対する第2絶縁膜33のカバレッジが改善される。特に、第2角度θ2が60°よりも小さくされることで、第1ソース電極24B及び第1ドレイン電極24Cに逆テーパ形状(庇状に突き出す部分)が生じ難くなるので、第1ソース電極24B及び第1ドレイン電極24Cに対する第2絶縁膜33のカバレッジがより改善される。これにより、第2絶縁膜33を水分等が通過し難くなるから、第1ソース電極24B、第1ドレイン電極24C及び第1半導体部24Dに悪影響が生じ難くなり、第2TFT24の動作信頼性が向上する。
【0043】
ゲート回路部15を構成する第2配線L2は、図8に示すように、側面L2Aが底面L2Bに対して傾斜しており、その傾斜角が第1角度θ1とされる。第2ソース電極16Bは、図7に示すように、側面16B1が底面16B2に対して傾斜しており、その傾斜角が第1角度θ1よりも小さい第2角度θ2とされる。第2ソース電極16Bの側面16B1には、図6及び図7に示すように、第2ドレイン電極16Cと対向する側面16B1Aと、この側面16B1Aとは反対側に配される側面16B1Bと、の少なくとも2つが含まれているが、第2ドレイン電極16Cと対向する側面16B1Aが、底面16B2に対して第2角度θ2をなすよう傾斜している。第2ドレイン電極16Cは、側面16C1が底面16C2に対して傾斜しており、その傾斜角が第2角度θ2とされる。第2ドレイン電極16Cの側面16C1は、いずれも第2ソース電極16Bと対向しており、いずれも側面16C1も底面16C2に対して第2角度θ2をなすよう傾斜している。なお、第2配線L2と同じ第2金属膜40からなる第3配線L3の側面も、第2配線L2の側面L2Aと同じ傾斜角を持つ傾斜形状とされる。
【0044】
本実施形態は以上のような構造であり、続いて液晶パネル11の製造方法を説明する。液晶パネル11の製造方法には、対向基板20を製造する対向基板製造工程(CF基板製造工程)と、アレイ基板21を製造するアレイ基板製造工程と、製造された対向基板20とアレイ基板21とを貼り合わせる貼り合わせ工程と、が含まれている。以下では、このうちのアレイ基板製造工程について説明する。
【0045】
アレイ基板製造工程には、第1金属膜を成膜してパターニングする第1工程と、第1絶縁膜32を成膜する第2工程と、半導体膜39及び第2金属膜40を成膜してこれらをパターニングする第3工程と、第1透明電極膜を成膜してパターニングする第4工程と、第2絶縁膜33を成膜する第5工程と、第2透明電極膜を成膜してパターニングする第6工程と、配向膜を成膜する第7工程と、が含まれる。このうち、第3工程に関して図9から図19を用いて以下に詳しく説明する。図9図12図15及び図18には、図5と同じ断面構成が示されている。図10図13図16及び図19には、図7と同じ断面構成が示されている。図11図14及び図17には、図8と同じ断面構成が示されている。
【0046】
なお、上記した「パターニング」という文言は、一般的なフォトリソグラフィ法に基づく膜の加工を意味する。具体的には、加工対象膜上にフォトレジスト膜を成膜し、所定のパターンを有するフォトマスクを介して露光装置によりフォトレジスト膜を露光してからフォトレジスト膜を現像し、現像されたフォトレジスト膜を介してエッチングを行うことで、加工対象膜の加工、すなわちパターニングが行われる。
【0047】
第2工程を経て第1絶縁膜32が成膜された後、第3工程が行われる。第3工程では、図9から図11に示すように、第1絶縁膜32の上層側に半導体膜39、第2金属膜40及びフォトレジスト膜21Rが続けてベタ状に成膜される。その後、露光装置と、フォトマスク21Pと、を用いてフォトレジスト膜21Rが露光される(露光工程)。第3工程で用いられるフォトレジスト膜21Rは、ポジ型の感光性レジスト材料からなる。ここで、フォトマスク21Pについて説明する。フォトマスク21Pは、十分に高い透光性を有する透明な基材21P1と、基材21P1の主面に形成される遮光膜21P2と、基材21P1の主面に形成されて一部が遮光膜21P2上に積層される半透過膜21P3と、を備える。つまり、フォトマスク21Pは、いわゆるハーフトーンマスクである。遮光膜21P2は、露光装置の光源からの露光光を遮光し、露光光の透過率がほぼ0%とされる。半透過膜21P3は、露光装置の光源からの露光光を所定の透過率でもって透過する。半透過膜21P3は、露光光の透過率が、遮光膜21P2における露光光の透過率よりも高く、例えば10%~70%程度とされている。
【0048】
遮光膜21P2は、図9から図11に示すように、表示領域AAにおいて各第1半導体部24Dと重畳する島状の範囲にそれぞれ配され、非表示領域NAAにおいて各第2半導体部16Dと重畳する島状の範囲にそれぞれ配されている。遮光膜21P2は、各半導体部16D,24Dとは非重畳となる部分が第1開口21P2Aとされる。遮光膜21P2は、各半導体部16D,24Dと重畳する一部ずつが第2開口21P2Bとされる。第2開口21P2Bは、表示領域AAにおいて各第1TFT24において第1ソース電極24Bと第1ドレイン電極24Cとの間となる部分(チャネルの範囲)と重畳する位置に配され、非表示領域NAAにおいて各第2TFT16において第2ソース電極16Bと第2ドレイン電極16Cとの間となる部分(チャネルの範囲)と重畳する位置に配されている。半透過膜21P3は、表示領域AAにおいて各第1半導体部24Dと重畳する島状の範囲にそれぞれ配され、非表示領域NAAにおいて各第2半導体部16Dと重畳する島状の範囲にそれぞれ配されている。半透過膜21P3は、遮光膜21P2の全域に対して重畳するとともに各第2開口21P2Bに対しても重畳して配されている。つまり、半透過膜21P3は、第1開口21P2Aとは非重畳となる範囲に配されている。フォトマスク21Pは、遮光膜21P2の形成範囲が光を遮る遮光領域とされ、第1開口21P2Aの形成範囲(半透過膜21P3の非形成範囲)が光を透過する透過領域とされ、第2開口21P2Bの形成範囲が光を半透過する半透過領域とされる。半透過領域の透過光量は、透過領域の透過光量よりも少ない。
【0049】
第3工程において、露光装置の光源から発せられた露光光が、上記のような構成のフォトマスク21Pを介してフォトレジスト膜21Rに対して照射されると、フォトレジスト膜21Rは、遮光膜21P2と重畳する範囲が非露光とされ、第1開口21P2A及び第2開口21P2Bと重畳する範囲がそれぞれ露光される。フォトレジスト膜21Rのうち、第1開口21P2Aと重畳する範囲は、全深さにわたって露光されている。フォトレジスト膜21Rのうち、第2開口21P2Bと重畳する範囲は、第1開口21P2Aと重畳する範囲よりも露光量が少ないため、上側部分が露光されるものの下側部分は殆ど露光されない。
【0050】
露光に続いて現像が行われると、図12から図14に示すように、フォトレジスト膜21Rのうちの露光部分は、露光量に応じた厚さ分が除去される(現像工程)。フォトレジスト膜21Rのうち、第1開口21P2Aと重畳する範囲は、全深さにわたって除去されるものの、第2開口21P2Bと重畳する範囲は、上側部分が除去されて下側部分が残存する。一方、フォトレジスト膜21Rのうちの非露光部分は、除去されずに残存する。以上により、フォトマスク21Pを用いたフォトレジスト膜21Rのパターニングがなされる。パターニングされたフォトレジスト膜21Rは、第1レジスト部21R1と、第1レジスト部21R1よりも膜厚が小さい第2レジスト部21R2と、を有する。第1レジスト部21R1は、表示領域AAにおいて各第1半導体部24Dと重畳する島状の範囲にそれぞれ配され、非表示領域NAAにおいて各第2半導体部16Dと重畳する島状の範囲にそれぞれ配されている。第2レジスト部21R2は、表示領域AAにおいて各第1TFT24において第1ソース電極24Bと第1ドレイン電極24Cとの間となる部分(チャネルの範囲)と重畳する位置に配され、非表示領域NAAにおいて各第2TFT16において第2ソース電極16Bと第2ドレイン電極16Cとの間となる部分(チャネルの範囲)と重畳する位置に配されている。
【0051】
第3工程では、現像工程を終えたフォトレジスト膜21Rを焼成する(焼成工程、ポストベーク工程)。この焼成工程は、一般的な焼成温度よりも低い焼成温度で行われる。具体的には、一般的な焼成温度が120度~150度の範囲である場合は、100度~110度の範囲となる低い焼成温度でもって焼成(低温ベーク)を行う。これにより、フォトレジスト膜21Rを構成する第1レジスト部21R1の外周端部分は、図12から図14に示すように、アレイ基板21の主面に対してほぼ垂直の傾斜角となるよう形成される。なお、上記した「一般的な焼成温度」は、フォトレジスト膜21Rに含まれる材料の種類や材料の配合比率等に応じて異なるものであり、上記した温度範囲(120度~150度)以外にもなり得る。
【0052】
第3工程では、フォトレジスト膜21Rを構成する第1レジスト部21R1及び第2レジスト部21R2をマスクとして第2金属膜40及び半導体膜39をエッチングする(第1エッチング工程)。このエッチングは、ドライエッチングとされる。すると、図15から図17に示すように、第2金属膜40及び半導体膜39のうち、第1レジスト部21R1及び第2レジスト部21R2により被覆されずに露出した部分が選択的に除去され、第1レジスト部21R1及び第2レジスト部21R2により被覆されて露出しない部分が選択的に残存する。半導体膜39の残存部分によって第1半導体部24D、第2半導体部16D、第1積層部34、第2積層部35及び第3積層部36が構成される。第2金属膜40の残存部分によって第1半導体部24Dと重畳する第1電極部(電極部)37と、第2半導体部16Dと重畳する第2電極部(電極部)38と、が構成されるとともに、第1電極部37に連なるソース配線27と、第2電極部38に連なる第2配線L2及び第3配線L3と、が構成される。このようにしてソース配線27、第2配線L2及び第3配線L3が設けられる。ソース配線27及び第2配線L2の各側面27A,L2Aは、各底面27B,L2Bに対する傾斜角が第1角度θ1となっている。第1電極部37は、第1ソース電極24B及び第1ドレイン電極24Cを含んでおり、これらを繋げたような構成となっている。第2電極部38は、第2ソース電極16B及び第2ドレイン電極16Cを含んでおり、これらを繋げたような構成となっている。
【0053】
以上のようにして設けられたソース配線27及び第2配線L2は、側面27A,L2Aの傾斜角が、第2角度θ2よりも大きい第1角度θ1とされているので、例えば非表示領域NAAにおいてソース配線27が複数間隔を空けて配列されたり、第2配線L2が複数間隔を空けて配列されたりした場合等において、複数のソース配線27の配列間隔や複数の第2配線L2の配列間隔が狭くても、隣り合うソース配線27同士が短絡したり、隣り合う第2配線L2同士が短絡したりする事態が生じ難くなる。
【0054】
ここで、第1電極部37及び第2電極部38の各側面37A,38Aの傾斜角は、第2金属膜40をエッチングする際にマスクとされる第1レジスト部21R1の外周端部分の形状に依存する。本実施形態では、第1レジスト部21R1の外周端部分が、アレイ基板21の主面に対してほぼ垂直の傾斜角とされているから、第1電極部37及び第2電極部38の各側面37A,38Aは、第1角度θ1の傾斜角をなす。
【0055】
上記のようにして第2金属膜40及び半導体膜39をエッチングした後に、フォトレジスト膜21Rをアッシングし、図15及び図16に示すように、第2レジスト部21R2を除去する(アッシング工程)。このとき、フォトレジスト膜21Rの残存部分である第1レジスト部21R1のうち、除去された第2レジスト部21R2側の側面は、アレイ基板21の主面に対する傾斜角が、外周端部分の傾斜角よりも小さくなっている。
【0056】
その後、フォトレジスト膜21Rを構成する第1レジスト部21R1をマスクとして第2金属膜40をエッチングする(第2エッチング工程)。このエッチングは、ドライエッチングとされる。すると、図18及び図19に示すように、第2金属膜40のうち、第1レジスト部21R1により被覆されずに露出した部分が選択的に除去され、第1レジスト部21R1により被覆されて露出しない部分が選択的に残存する。このとき、半導体膜39のうち、第1レジスト部21R1により被覆されずに露出した部分が所定深さ(ドーピング半導体膜の全深さ寸法よりも大きい深さ)にわたって除去される。これにより、第1電極部37は、図18に示すように、X軸方向についての中央側部分が除去されて両端側部分が残存し、1つずつの第1ソース電極24B及び第1ドレイン電極24Cが設けられる。第2電極部38は、X軸方向についての中央側の4つの部分が間欠的に除去されて5つの部分が間欠的に残存し、3つの第2ソース電極16Bと2つの第2ドレイン電極16Cとが設けられる。
【0057】
ここで、第1ソース電極24B、第1ドレイン電極24C、第2ソース電極16B及び第2ドレイン電極16Cの各側面24B1,24C1,16B1,16C1の傾斜角は、第2金属膜40をエッチングする際にマスクとされる第1レジスト部21R1のうち、アッシング工程にて除去された第2レジスト部21R2側の側面の形状に依存する。本実施形態では、第1レジスト部21R1のうち、アッシング工程にて除去された第2レジスト部21R2側の側面の、アレイ基板21の主面に対する傾斜角が、外周端部分の傾斜角よりも小さいから、第1ソース電極24B、第1ドレイン電極24C、第2ソース電極16B及び第2ドレイン電極16Cの各側面24B1,24C1,16B1,16C1は、第1角度θ1よりも小さい第2角度θ2の傾斜角をなす。このようにして設けられた第1ソース電極24B及び第1ドレイン電極24Cの各側面24B1,24C1は、各底面24B2,24C2に対する傾斜角が、第1角度θ1よりも小さい第2角度θ2となっている。第2ソース電極16B及び第2ドレイン電極16Cの各側面16B1,16C1は、各底面16B2,16C2に対する傾斜角が、第1角度θ1よりも小さい第2角度θ2となっている。第2エッチング工程を終えたら、フォトレジスト膜21Rを剥離し、フォトレジスト膜21Rを除去する。上記のようにして第3工程を終えたら、続いて第4工程を行い、第2金属膜40の上層側に第2絶縁膜33を成膜する(図4図5図7及び図8を参照)。
【0058】
以上のようにして設けられた第2ソース電極16B及び第1ソース電極24Bと、第2ドレイン電極16C及び第1ドレイン電極24Cと、は、各側面24B1,24C1の傾斜角が第1角度θ1よりも小さい第2角度θ2とされているので、第2金属膜40の上層側に成膜される第2絶縁膜33の、第2ソース電極16B及び第1ソース電極24Bと、第2ドレイン電極16C及び第1ドレイン電極24Cと、に対するカバレッジが改善される。これにより、第2絶縁膜33を水分等が通過し難くなるから、第2ソース電極16B及び第1ソース電極24Bと、第2ドレイン電極16C及び第1ドレイン電極24Cと、第2半導体部16D及び第1半導体部24Dと、に悪影響が生じ難くなり、各TFT16,24の動作信頼性の向上が図られる。
【0059】
本実施形態では、第2金属膜40に対するエッチングを2回行うことで、側面27A,L2Aの傾斜角が第1角度θ1とされる配線であるソース配線27及び第2配線L2と、各側面24B1,24C1の傾斜角が第2角度θ2とされる第2ソース電極16B及び第1ソース電極24Bと、第2ドレイン電極16C及び第1ドレイン電極24Cと、を設けるようにしている。従って、従来のように1回のエッチングによって側面形状が異なる1本の配線を得るのに比べると、ソース配線27及び第2配線L2と、各電極16B,16C,24B,24Cと、の側面形状に係る再現性が高くなり、歩留まりを改善することができる。また、従来のように1回のエッチングによって側面形状が異なる1本の配線を得る手法では、エッチング方法がドライエッチングに限定されるため、適用可能な金属材料が限定されるものの、本実施形態によれば、エッチング方法の自由度が高いので、第2金属膜40の金属材料を選択する上での自由度が高くなるまた、従来のようにフォトレジスト膜を露光・現像するプロセスを2回行う場合に比べると、フォトレジスト膜21Rを露光・現像するプロセスが1回で済む。これにより、製造に要する設備が少なく済むとともに、タクトタイムを短くすることができる。
【0060】
以上説明したように本実施形態のアレイ基板21は、第1金属膜(第1導電膜)からなる第1ゲート電極(ゲート電極)24Aと、第1金属膜の上層側に配される第1絶縁膜32と、第1絶縁膜32の上層側に配される半導体膜39からなり、少なくとも一部が第1ゲート電極24Aと重畳して配される第1半導体部(半導体部)24Dと、半導体膜39の上層側に配される第2金属膜(第2導電膜)40からなり、第1半導体部24Dの一部と重畳して配される第1ソース電極(ソース電極)24Bと、第2金属膜40のうち、第1ソース電極24Bとは別の部分からなり、第1ソース電極24Bと間隔を空けた位置にて第1半導体部24Dの一部と重畳して配される第1ドレイン電極(ドレイン電極)24Cと、第2金属膜40のうち、第1ソース電極24B及び第1ドレイン電極24Cとは別の部分からなり、第1ソース電極24Bに連なるソース配線27と、第1絶縁膜32の上層側に配されて透光性を有する第1透明電極膜(第3導電膜)からなり、第1ドレイン電極24Cに接続され、ソース配線27との間に間隔を空けて配される画素電極25と、第2金属膜40及び第1透明電極膜の上層側に配される第2絶縁膜33と、を備え、ソース配線27は、側面27Aの傾斜角が第1角度θ1とされ、第1ソース電極24B及び第1ドレイン電極24Cの各側面24B1,24C1の傾斜角が第1角度θ1よりも小さい第2角度θ2とされる。
【0061】
第1ゲート電極24Aに信号が供給されると、第1半導体部24Dにチャネルが生じることで、ソース配線27から第1ソース電極24Bに供給される信号が第1ドレイン電極24Cに供給される。画素電極25は、第1ドレイン電極24Cに供給される信号に基づく電位に充電される。第1ソース電極24B及び第1ドレイン電極24Cの各側面24B1,24C1の傾斜角を制御し、ソース配線27の側面27Aの傾斜角とは異ならせることができる。
【0062】
ソース配線27の側面27Aの傾斜角が、第2角度θ2よりも大きい第1角度θ1とされているので、ソース配線27と画素電極25との間の間隔が狭くても、ソース配線27が画素電極25に短絡する事態が生じ難くなる。
【0063】
第1ソース電極24B及び第1ドレイン電極24Cの各側面24B1,24C1の傾斜角が第1角度θ1よりも小さい第2角度θ2とされているので、第1ソース電極24B及び第1ドレイン電極24Cに対する第2絶縁膜33のカバレッジが改善される。これにより、第2絶縁膜33を水分等が通過し難くなるから、第1ソース電極24B、第1ドレイン電極24C及び第1半導体部24Dに悪影響が生じ難くなり、動作信頼性の向上が図られる。
【0064】
本実施形態に係る液晶パネル(表示装置)11は、上記記載のアレイ基板21と、アレイ基板21に対して対向配置される対向基板20と、を備える。このような液晶パネル11によれば、ソース配線27と画素電極25との間の間隔を狭くすることができるから、高精細化を図る上で好適となる。また、第2絶縁膜33を水分等が通過し難くなることで、動作信頼性が向上する。
【0065】
本実施形態に係るアレイ基板21の製造方法は、半導体膜39を成膜し、半導体膜39の上層側に第2金属膜(第1導電膜)40を成膜し、第2金属膜40の上層側にフォトレジスト膜21Rを成膜し、フォトレジスト膜21Rを露光・現像して第1レジスト部21R1と第1レジスト部21R1よりも膜厚が小さい第2レジスト部21R2とを形成し、第1レジスト部21R1及び第2レジスト部21R2をマスクとして第2金属膜40及び半導体膜39をエッチングし、半導体膜39からなる半導体部である第2半導体部16D及び第1半導体部24Dと、第2金属膜40からなり半導体部である第2半導体部16D及び第1半導体部24Dと重畳する電極部である第1電極部37及び第2電極部38と、第2金属膜40からなり電極部である第1電極部37及び第2電極部38に連なる配線であるソース配線27及び第2配線L2と、を設け、第2レジスト部21R2を除去し、第1レジスト部21R1をマスクとして第2金属膜40をエッチングし、半導体部である第2半導体部16D及び第1半導体部24Dの一部と重畳して配線であるソース配線27及び第2配線L2に連なる第1電極である第2ソース電極16B及び第1ソース電極24Bと、第1電極である第2ソース電極16B及び第1ソース電極24Bと間隔を空けた位置にて半導体部である第2半導体部16D及び第1半導体部24Dの一部と重畳する第2電極である第2ドレイン電極16C及び第1ドレイン電極24Cと、を設け、第2金属膜40の上層側に第2絶縁膜(第1絶縁膜)33を成膜し、第1レジスト部21R1及び第2レジスト部21R2をマスクとして第2金属膜40をエッチングし、または第1レジスト部21R1をマスクとして第2金属膜40をエッチングして、配線であるソース配線27及び第2配線L2の側面27A,L2Aの傾斜角を第1角度θ1とし、第1レジスト部21R1をマスクとして第2金属膜40をエッチングして、第1電極である第2ソース電極16B及び第1ソース電極24B及び第2電極である第2ドレイン電極16C及び第1ドレイン電極24Cの各側面24B1,24C1の傾斜角を第1角度θ1よりも小さい第2角度θ2とする。
【0066】
第1レジスト部21R1及び第2レジスト部21R2をマスクとして第2金属膜40及び半導体膜39をエッチングすると、半導体部である第2半導体部16D及び第1半導体部24Dと、電極部である第1電極部37及び第2電極部38と、配線であるソース配線27及び第2配線L2と、が設けられる。その後、第2レジスト部21R2を除去してから第1レジスト部21R1をマスクとして第2金属膜40をエッチングすると、第1電極である第2ソース電極16B及び第1ソース電極24Bと、第2電極である第2ドレイン電極16C及び第1ドレイン電極24Cと、が設けられる。
【0067】
配線であるソース配線27及び第2配線L2は、側面27A,L2Aの傾斜角が、第2角度θ2よりも大きい第1角度θ1とされているので、例えば配線であるソース配線27及び第2配線L2が複数間隔を空けて配列される場合等において、配線であるソース配線27及び第2配線L2の配列間隔が狭くても、配線であるソース配線27及び第2配線L2同士が短絡する事態が生じ難くなる。第1電極である第2ソース電極16B及び第1ソース電極24Bと、第2電極である第2ドレイン電極16C及び第1ドレイン電極24Cと、は、各側面24B1,24C1の傾斜角が第1角度θ1よりも小さい第2角度θ2とされているので、第2金属膜40の上層側に成膜される第2絶縁膜33の、第1電極である第2ソース電極16B及び第1ソース電極24Bと、第2電極である第2ドレイン電極16C及び第1ドレイン電極24Cと、に対するカバレッジが改善される。これにより、第2絶縁膜33を水分等が通過し難くなるから、第1電極である第2ソース電極16B及び第1ソース電極24Bと、第2電極である第2ドレイン電極16C及び第1ドレイン電極24Cと、半導体部である第2半導体部16D及び第1半導体部24Dと、に悪影響が生じ難くなり、動作信頼性の向上が図られる。
【0068】
このように、第2金属膜40に対するエッチングを2回行うことで、側面27A,L2Aの傾斜角が第1角度θ1とされる配線であるソース配線27及び第2配線L2と、各側面24B1,24C1の傾斜角が第2角度θ2とされる第1電極である第2ソース電極16B及び第1ソース電極24Bと、第2電極である第2ドレイン電極16C及び第1ドレイン電極24Cと、を設けるようにしている。従って、従来のように1回のエッチングによって側面形状が異なる1本の配線を得るのに比べると、配線であるソース配線27及び第2配線L2と、各電極16B,16C,24B,24Cと、の側面形状に係る再現性が高くなり、歩留まりを改善することができる。また、従来のようにフォトレジスト膜を露光・現像するプロセスを2回行う場合に比べると、フォトレジスト膜21Rを露光・現像するプロセスが1回で済む。これにより、製造に要する設備が少なく済むとともに、タクトタイムを短くすることができる。
【0069】
また、第1レジスト部21R1及び第2レジスト部21R2をマスクとして第2金属膜40をエッチングして、配線であるソース配線27及び第2配線L2の側面27A,L2Aの傾斜角を第1角度θ1とする。第1レジスト部21R1及び第2レジスト部21R2をマスクとして第2金属膜40をエッチングすると、配線であるソース配線27及び第2配線L2の側面27A,L2Aの傾斜角が第1角度θ1となる。第1レジスト部21R1をマスクとして第2金属膜40をエッチングすると、第1電極である第2ソース電極16B及び第1ソース電極24Bと、第2電極である第2ドレイン電極16C及び第1ドレイン電極24Cと、の各側面24B1,24C1の傾斜角が第2角度θ2となるのに対し、配線であるソース配線27及び第2配線L2の側面27A,L2Aの傾斜角は第1角度θ1のままとされる。
【0070】
<実施形態2>
実施形態2を図20から図23によって説明する。この実施形態2では、アレイ基板21の製造方法に含まれる第3工程を変更した場合を示す。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0071】
本実施形態に係る第3工程では、実施形態1にて説明した焼成工程が省略されている。このため、露光工程及び現像工程を終えたフォトレジスト膜121Rを構成する第1レジスト部121R1の外周端部分は、図20に示すように、実施形態1に記載の第1レジスト部21R1の外周端部分(図12を参照)に比べると、アレイ基板21の主面に対する傾斜角が小さい。
【0072】
このようなフォトレジスト膜121Rをマスクとして第1エッチング工程が行われる。本実施形態に係る第1エッチング工程では、ウェットエッチングを行う。このウェットエッチングで使用されるエッチング液としては、後述する第2エッチング工程で用いられるエッチング液に比べると、第2金属膜40に対するエッチングレートが低いものが選択される。このようなエッチング液を用いて第1エッチング工程が行われると、図21に示すように、表示領域AAにおいては第1電極部137及び第1電極部137に連なるソース配線127が設けられる。また、非表示領域NAAにおいては、第2電極部38、第2配線L2及び第3配線L3が設けられる(図16及び図17を参照)。第1エッチング工程を経て設けられたソース配線127及び第1電極部137の各側面127A,137Aは、各底面127B,137Bに対する傾斜角が第1角度θ1となっている。
【0073】
第1エッチング工程を終えたら、第2金属膜40からなるソース配線127、第1電極部137、第2電極部38、第2配線L2及び第3配線L3を炭素系ガスと酸素系ガスとの少なくとも一方を含む雰囲気に曝す(曝露工程)。この曝露工程にて炭素系ガスを用いる場合、炭素系ガスとして四フッ化炭素(CF)、六フッ化硫黄(SF)、トリフルオロメタン(CHF)、パーフルオロシクロブタン(C)等が用いられる。曝露工程にて酸素系ガスを用いる場合、酸素等が用いられる。また、曝露工程では、炭素系ガスや酸素系ガス以外にも、アルゴンガス等を付加的に用いることが可能である。
【0074】
曝露工程が行われ、ソース配線127、第1電極部137、第2電極部38、第2配線L2及び第3配線L3が炭素系ガスと酸素系ガスとの少なくとも一方を含む雰囲気に曝されると、図22に示すように、ソース配線127、第1電極部137、第2電極部38、第2配線L2及び第3配線L3の表面に変質層TRが生じる。なお、図22では、変質層TRの形成範囲を網掛け状にして図示する。この変質層TRは、ソース配線127、第1電極部137、第2電極部38、第2配線L2及び第3配線L3の全高さ範囲にわたって生じている。変質層TRは、雰囲気に炭素系ガスが含まれる場合は、炭素を含む層(炭化層)となる。変質層TRは、雰囲気に酸素系ガスが含まれる場合は、酸化を含む層(酸化層)となる。いずれにしても変質層TRは、その後に行われるエッチング時に減肉され難い傾向とされる。
【0075】
曝露工程を終えた後、アッシング工程が行われ、その後に第2エッチング工程が行われる。本実施形態に係る第2エッチング工程では、ウェットエッチングを行う。このウェットエッチングで使用されるエッチング液としては、上記した第1エッチング工程で用いられるエッチング液に比べると、第2金属膜40に対するエッチングレートが高いものが選択される。このようなエッチング液を用いて第2エッチング工程が行われると、図23に示すように、表示領域AAにおいては第1ソース電極124B及び第1ドレイン電極124Cが設けられる。また、非表示領域NAAにおいては、第2ソース電極16B及び第2ドレイン電極16Cが設けられる(図18及び図19を参照)。第2エッチング工程を経て設けられた第1ソース電極124B及び第1ドレイン電極124Cの各側面124B1,124C1は、各底面124B2,124C2に対する傾斜角が第1角度θ1よりも小さい第2角度θ2となっている。この第2エッチング工程では、ソース配線127、第2配線L2及び第3配線L3の各側面127A,L2Aが第1レジスト部121R1により覆われないため、オーバーエッチングされることが懸念される。その点、ソース配線127、第2配線L2及び第3配線L3の各側面127A,L2Aには、変質層TRが生じているので、第2エッチング工程が行われても、各側面127A,L2Aがオーバーエッチング(減肉)され難く、形状変化が生じ難くなっている。これにより、各側面127A,L2Aの傾斜角が第1角度θ1に維持され易くなっている。
【0076】
以上説明したように本実施形態によれば、第1レジスト部121R1及び第2レジスト部121R2をマスクとして第2金属膜40をエッチングした後に、配線であるソース配線127及び第2配線L2を炭素系ガスと酸素系ガスとの少なくとも一方を含む雰囲気に曝す。配線であるソース配線127及び第2配線L2が炭素系ガスを含む雰囲気に曝されると、配線であるソース配線127及び第2配線L2の表面に炭素を含む変質層TRが生じる。配線であるソース配線127及び第2配線L2が酸素系ガスを含む雰囲気に曝されると、配線であるソース配線127及び第2配線L2の表面に酸素を含む変質層TRが生じる。この変質層TRは、第1レジスト部121R1をマスクとして第2金属膜40をエッチングする際に減肉し難い傾向にある。従って、第1レジスト部121R1をマスクとして第2金属膜40をエッチングしても、配線であるソース配線127及び第2配線L2の側面127A,L2Aの傾斜角が第1角度θ1に維持され易い。
【0077】
<実施形態3>
実施形態3を図24から図26によって説明する。この実施形態3では、上記した実施形態1,2からアレイ基板21の製造方法に含まれる第3工程を変更した場合を示す。なお、上記した実施形態1,2と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0078】
本実施形態に係る第3工程では、実施形態2と同様に、実施形態1にて説明した焼成工程が省略されている。このため、露光工程及び現像工程を終えたフォトレジスト膜221Rを構成する第1レジスト部221R1の外周端部分は、図24に示すように、実施形態1に記載の第1レジスト部21R1の外周端部分(図12を参照)に比べると、アレイ基板21の主面に対する傾斜角が小さい。
【0079】
このようなフォトレジスト膜221Rをマスクとして第1エッチング工程が行われる。本実施形態に係る第1エッチング工程では、ドライエッチングを行う。第1エッチング工程が行われると、図24に示すように、表示領域AAにおいては第1電極部237及び第1電極部237に連なるソース配線227が設けられる。また、非表示領域NAAにおいては、第2電極部38、第2配線L2及び第3配線L3が設けられる(図16及び図17を参照)。第1エッチング工程を経て設けられたソース配線227及び第1電極部237の各側面227A,237Aは、各底面227B,237Bに対する傾斜角が第1角度θ1よりも小さい第3角度θ3となっている。第3角度θ3は、例えば10°~60°の範囲程度とされる。第3角度θ3は、第2角度θ2と同一であってもよいが、異なっていてもよい。
【0080】
第1エッチング工程を終えたら、実施形態2と同様の曝露工程を行う。曝露工程が行われると、図25に示すように、ソース配線227、第1電極部237、第2電極部38、第2配線L2及び第3配線L3の表面に変質層TRが生じる。なお、図25では、変質層TRの形成範囲を網掛け状にして図示する。本実施形態では、変質層TRは、ソース配線227、第1電極部237、第2電極部38、第2配線L2及び第3配線L3の表面のうち、上側の過半部分に生じるものの、下端部には生じることがない。このように変質層TRが限定的な範囲に生じる理由は、各側面227A,237Aの傾斜角が第1角度θ1よりも小さい第3角度θ3となっているためである。
【0081】
曝露工程を終えた後、アッシング工程が行われ、その後に第2エッチング工程が行われる。本実施形態に係る第2エッチング工程では、ウェットエッチングを行う。このウェットエッチングで使用されるエッチング液としては、第2金属膜40に対するエッチングレートが、実施形態2の第2エッチング工程で用いられるエッチング液と同等のものが選択される。このようなエッチング液を用いて第2エッチング工程が行われると、図26に示すように、表示領域AAにおいては第1ソース電極224B及び第1ドレイン電極224Cが設けられる。また、非表示領域NAAにおいては、第2ソース電極16B及び第2ドレイン電極16Cが設けられる(図18及び図19を参照)。第2エッチング工程を経て設けられた第1ソース電極224B及び第1ドレイン電極224Cの各側面224B1,224C1は、各底面224B2,224C2に対する傾斜角が第1角度θ1よりも小さい第2角度θ2となっている。この第2エッチング工程では、ソース配線227、第2配線L2及び第3配線L3の各側面227A,L2Aが、第1レジスト部221R1により覆われないため、エッチング液に曝される。ソース配線227、第2配線L2及び第3配線L3の各側面227A,L2Aのうち、上側部分には変質層TRが生じているものの、下端部には変質層TRが生じていない。従って、第2エッチング工程が行われると、ソース配線227、第2配線L2及び第3配線L3の各側面227A,L2Aは、上側部分がエッチング液によって減肉され難いものの、下端部がエッチング液によって減肉され易くなっている。その結果、ソース配線227、第2配線L2及び第3配線L3の各側面227A,L2Aの傾斜角は、第3角度θ3から第3角度θ3よりも大きい第1角度θ1へと変化する。
【0082】
以上説明したように本実施形態によれば、第1レジスト部221R1及び第2レジスト部221R2をマスクとして第2金属膜40をエッチングして、配線であるソース配線227及び第2配線L2の側面227A,L2Aの傾斜角を第1角度θ1よりも小さい第3角度θ3とし、第1レジスト部221R1をマスクとして第2金属膜40をエッチングして、配線であるソース配線227及び第2配線L2の側面227A,L2Aの傾斜角を第1角度θ1とする。第1レジスト部221R1及び第2レジスト部221R2をマスクとして第2金属膜40をエッチングすると、配線であるソース配線227及び第2配線L2の側面227A,L2Aの傾斜角が第1角度θ1よりも小さい第3角度θ3となる。第1レジスト部221R1をマスクとして第2金属膜40をエッチングすると、第1電極である第2ソース電極16B及び第1ソース電極224Bと、第2電極である第2ドレイン電極16C及び第1ドレイン電極224Cと、の各側面224B1,224C1の傾斜角が第2角度θ2となるのに対し、配線であるソース配線227及び第2配線L2の側面227A,L2Aの傾斜角は第3角度θ3から第1角度θ1に変化する。
【0083】
また、第1レジスト部221R1及び第2レジスト部221R2をマスクとして、第2金属膜40をエッチングした後に、配線であるソース配線227及び第2配線L2を炭素系ガスと酸素系ガスとの少なくとも一方を含む雰囲気に曝す。電極部である第1電極部237及び第2電極部38と、配線であるソース配線227及び第2配線L2と、が炭素系ガスを含む雰囲気に曝されると、電極部である第1電極部237及び第2電極部38と、配線であるソース配線227及び第2配線L2と、の表面に炭素を含む変質層TRが生じる。配線であるソース配線227及び第2配線L2が炭素系ガスを含む雰囲気に曝されると、配線であるソース配線227及び第2配線L2の表面に炭素を含む変質層TRが生じる。配線であるソース配線227及び第2配線L2が酸素系ガスを含む雰囲気に曝されると、配線であるソース配線227及び第2配線L2の表面に酸素を含む変質層TRが生じる。この変質層TRは、第1レジスト部221R1をマスクとして第2金属膜40をエッチングする際に減肉し難い傾向にある。ここで、配線であるソース配線227及び第2配線L2の側面27A,L2Aの傾斜角が第1角度θ1よりも小さい第3角度θ3とされているので、変質層TRは、配線であるソース配線227及び第2配線L2の側面227A,L2Aのうち、上側部分に主に生じ、下端部には生じ難い傾向にある。従って、第1レジスト部221R1をマスクとして第2金属膜40をエッチングすると、配線であるソース配線227及び第2配線L2の側面227A,L2Aのうち、変質層TRが生じた上側部分は、減肉し難いものの、下端部は、減肉し易くなっている。これにより、配線であるソース配線227及び第2配線L2の側面227A,L2Aの傾斜角が第3角度θ3から第1角度θ1へと変化する。
【0084】
<実施形態4>
実施形態4を図27または図28によって説明する。この実施形態4では、上記した実施形態1からアレイ基板21の製造方法を変更した場合を示す。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0085】
本実施形態に係るアレイ基板21の製造方法には、第1金属膜を成膜してパターニングする第1工程と、第1絶縁膜332を成膜する第2工程と、半導体膜39を成膜してパターニングする第3工程と、第2金属膜40を成膜してパターニングする第4工程と、第1透明電極膜を成膜してパターニングする第5工程と、第2絶縁膜33を成膜する第6工程と、第2透明電極膜を成膜してパターニングする第7工程と、配向膜を成膜する第8工程と、が含まれる。このうち、第3工程及び第4工程に関して説明する。
【0086】
第2工程を経て第1絶縁膜332が成膜された後、第3工程が行われる。第3工程では、第1絶縁膜332の上層側に半導体膜39及びフォトレジスト膜が続けてベタ状に成膜される。所定のパターンを有するフォトマスクを介して露光装置によりフォトレジスト膜を露光してからフォトレジスト膜を現像し、現像されたフォトレジスト膜を介してエッチングが行われると、第1半導体部324D、第2半導体部16D、第1積層部34、第2積層部35及び第3積層部36が設けられる(図4図6から図8を参照)。
【0087】
第3工程の後に第4工程が行われると、先行してパターニングされた半導体膜39の上層側に第2金属膜40及びフォトレジスト膜321Rが続けてベタ状に成膜される。その後、実施形態1にて説明した第3工程に含まれる露光工程、現像工程、焼成工程が順次に行われると、図27に示すように、第1レジスト部321R1及び第2レジスト部321R2が設けられる。その後、実施形態1にて説明した第3工程に含まれる第1エッチング工程が行われると、第2金属膜40がエッチングされて、ソース配線27、第1電極部337、第2電極部38、第2配線L2及び第3配線L3が設けられる。その後、実施形態1にて説明した第3工程に含まれるアッシング工程が行われると、図28に示すように、第2レジスト部321R2が除去される。その後、実施形態1にて説明した第3工程に含まれる第2エッチング工程が行われると、第1ソース電極24B、第1ドレイン電極24C、第2ソース電極16B及び第2ドレイン電極16Cが設けられる(図18を参照)。ソース配線27及び第2配線L2の各側面27A,L2Aの傾斜角が第1角度θ1となる(図4及び図8を参照)。第1ソース電極24B、第1ドレイン電極24C、第2ソース電極16B及び第2ドレイン電極16Cの各側面24B1,24C1,16B1,16C1の傾斜角が第1角度θ1よりも小さい第2角度θ2となる(図5及び図7を参照)。
【0088】
以上説明したように本実施形態に係るアレイ基板21の製造方法は、半導体膜39を成膜し、半導体膜39をパターニングして半導体部である第2半導体部16D及び第1半導体部324Dを設け、半導体膜39の上層側に第2金属膜40(第1導電膜)を成膜し、第2金属膜40の上層側にフォトレジスト膜321Rを成膜し、フォトレジスト膜321Rを露光・現像して第1レジスト部321R1と第1レジスト部321R1よりも膜厚が小さい第2レジスト部321R2とを形成し、第1レジスト部321R1及び第2レジスト部321R2をマスクとして第2金属膜40をエッチングし、第2金属膜40からなり半導体部である第2半導体部16D及び第1半導体部324Dと重畳する電極部である第1電極部337及び第2電極部38と、第2金属膜40からなり電極部である第1電極部337及び第2電極部38に連なる配線であるソース配線27及び第2配線L2と、を設け、第2レジスト部321R2を除去し、第1レジスト部321R1をマスクとして第2金属膜40をエッチングし、半導体部である第2半導体部16D及び第1半導体部24Dの一部と重畳して配線であるソース配線27及び第2配線L2に連なる第1電極である第2ソース電極16B及び第1ソース電極24Bと、第1電極である第2ソース電極16B及び第1ソース電極24Bと間隔を空けた位置にて半導体部である第2半導体部16D及び第1半導体部324Dの一部と重畳する第2電極である第2ドレイン電極16C及び第1ドレイン電極24Cと、を設け、第2金属膜40の上層側に第2絶縁膜(第1絶縁膜)33を成膜し、第1レジスト部321R1及び第2レジスト部321R2をマスクとして第2金属膜40をエッチングし、または第1レジスト部321R1をマスクとして第2金属膜40をエッチングして、配線であるソース配線27及び第2配線L2の側面27A,L2Aの傾斜角を第1角度θ1とし、第1レジスト部321R1をマスクとして第2金属膜40をエッチングして、第1電極である第2ソース電極16B及び第1ソース電極24B及び第2電極である第2ドレイン電極16C及び第1ドレイン電極24Cの各側面24B1,24C1の傾斜角を第1角度θ1よりも小さい第2角度θ2とする。
【0089】
第1レジスト部321R1及び第2レジスト部321R2をマスクとして第2金属膜40をエッチングすると、電極部である第1電極部337及び第2電極部38及び配線であるソース配線27及び第2配線L2が設けられる。その後、第2レジスト部321R2を除去してから第1レジスト部21R1をマスクとして第2金属膜40をエッチングすると、第1電極である第2ソース電極16B及び第1ソース電極24B及び第2電極である第2ドレイン電極16C及び第1ドレイン電極24Cが設けられる。
【0090】
配線であるソース配線27及び第2配線L2は、側面27A,L2Aの傾斜角が、第2角度θ2よりも大きい第1角度θ1とされているので、例えば配線であるソース配線27及び第2配線L2が複数間隔を空けて配列される場合等において、配線であるソース配線27及び第2配線L2の配列間隔が狭くても、配線であるソース配線27及び第2配線L2同士が短絡する事態が生じ難くなる。第1電極である第2ソース電極16B及び第1ソース電極24Bと、第2電極である第2ドレイン電極16C及び第1ドレイン電極24Cと、は、各側面24B1,24C1の傾斜角が第1角度θ1よりも小さい第2角度θ2とされているので、第2金属膜40の上層側に成膜される第2絶縁膜33の、第1電極である第2ソース電極16B及び第1ソース電極24Bと、第2電極である第2ドレイン電極16C及び第1ドレイン電極24Cと、に対するカバレッジが改善される。これにより、第2絶縁膜33を水分等が通過し難くなるから、第1電極である第2ソース電極16B及び第1ソース電極24Bと、第2電極である第2ドレイン電極16C及び第1ドレイン電極24Cと、半導体部である第2半導体部16D及び第1半導体部324Dと、に悪影響が生じ難くなり、動作信頼性の向上が図られる。
【0091】
このように、第2金属膜40に対するエッチングを2回行うことで、側面27A,L2Aの傾斜角が第1角度θ1とされる配線であるソース配線27及び第2配線L2と、各側面24B1,24C1の傾斜角が第2角度θ2とされる第1電極である第2ソース電極16B及び第1ソース電極24Bと、第2電極である第2ドレイン電極16C及び第1ドレイン電極24Cと、を設けるようにしている。従って、従来のように1回のエッチングによって側面形状が異なる1本の配線を得るのに比べると、配線であるソース配線27及び第2配線L2と、各電極16B,16C,24B,24Cと、の側面形状に係る再現性が高くなり、歩留まりを改善することができる。また、従来のようにフォトレジスト膜を露光・現像するプロセスを2回行う場合に比べると、フォトレジスト膜321Rを露光・現像するプロセスが1回で済む。これにより、製造に要する設備が少なく済むとともに、タクトタイムを短くすることができる。
【0092】
<他の実施形態>
本明細書が開示する技術は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されず、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
【0093】
(1)実施形態1~3に記載したアレイ基板21の製造方法に含まれる第3工程において、ハーフトーンマスクを用いずにフォトレジスト膜21R,121R,221Rを露光することも可能である。具体的には、第3工程において、半導体膜39及び第2金属膜40を順次に成膜してから、第2金属膜40の上層側にITO等からなる透明電極膜を成膜する。その後、透明電極膜をパターニングし、透明電極膜の開口部分が、第1ソース電極24B,124B,224Bと第1ドレイン電極24C,224C,224Cとの間となる部分と、第2ソース電極16Bと第2ドレイン電極16Cとの間となる部分と、に重畳する配置とする。つまり、透明電極膜の開口部分を、実施形態1~3に記載した第2レジスト部21R2,121R2,221R2と重畳する配置とする。このように透明電極膜をパターニングした後、半導体膜39、第2金属膜40及び透明電極膜をウェットエッチングする。このウェットエッチングでは、第2金属膜40のエッチングレートが透明電極膜のエッチングレートよりも高いエッチング液を用いる。このようなエッチング液を用いてウェットエッチングが行われると、第2金属膜40のうち、透明電極膜により覆われた部分は、オーバーエッチングされ易く、透明電極膜により覆われない部分は、オーバーエッチングされ難くなる。その結果、透明電極膜により覆われた部分であるソース配線27,127,227、第2配線L2及び第3配線L3の各側面27A,127A,227A,L2Aの傾斜角が第1角度θ1となり、透明電極膜により覆われない部分である第1ソース電極24B,124B,224B、第1ドレイン電極24C,224C,224C、第2ソース電極16B及び第2ドレイン電極16Cの各側面24B1,124B1,224B1,24C1,124C1,224C1,16B1,16C1の傾斜角が第1角度θ1よりも小さい第2角度θ2となる。
【0094】
(2)上記した(1)と同様に、実施形態4に記載したアレイ基板21の製造方法に含まれる第4工程において、ハーフトーンマスクを用いずにフォトレジスト膜321Rを露光することも可能である。具体的な手法は、上記した(1)に記載の通りである。
【0095】
(3)第2TFT16の具体的な構成は、図示以外にも適宜に変更可能である。例えば、第2TFT16に備わる第2ソース電極16Bの数や第2ドレイン電極16Cの数を変更することが可能である。それ以外にも、例えば第2ソース電極16Bと第2ドレイン電極16Cとの配置を図示とは入れ替えることも可能である。
【0096】
(4)アレイ基板21を構成する膜の積層順の変形例としては、例えば半導体膜39の上層側に第1透明電極膜が配され、第1透明電極膜の上層側に第2金属膜40が配されてもよい。
【0097】
(5)第1角度θ1、第2角度θ2及び第3角度θ3の具体的な数値は、上記以外にも適宜に変更可能である。
【0098】
(6)フォトマスク21Pとしては、ハーフトーンマスク以外にもグレートーンマスクを用いることも可能である。
【0099】
(7)フォトレジスト膜21R,121R,221R,321Rは、ポジ型以外にもネガ型であってもよい。
【0100】
(8)各TFT16,24の構成は、ボトムゲート型以外にもトップゲート型、ダブルゲート型等でもよい。
【0101】
(9)半導体膜39の材料は、酸化物半導体材料等でもよい。
【0102】
(10)液晶パネル11の平面形状は、横長の長方形、縦長の長方形、正方形、円形、半円形、長円形、楕円形、台形などでもよい。
【0103】
(11)液晶パネル11の表示モードは、IPSモード等でもよい。
【0104】
(12)実施形態4に記載の技術を、実施形態2,3に適宜に組み合わせることも可能である。
【0105】
(13)液晶パネル11は、タッチパネル機能を内蔵していてもよい。
【0106】
(14)液晶パネル11以外にも、自発光式の表示装置である有機EL表示装置でもよい。
【0107】
(15)液晶表示装置10は、ヘッドマウントディスプレイ、シースルーディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ、プロジェクター、テレビ受信装置、タブレット型端末、スマートフォン等の機器に用いることが可能である。特に、ヘッドマウントディスプレイは、要求される精細度が極めて高いことから、有用である。
【符号の説明】
【0108】
11…液晶パネル(表示装置)、16D…第2半導体部(半導体部)、16B…第2ソース電極(第1電極)、16C…第2ドレイン電極(第2電極)、21…アレイ基板、21R,121R,221R,321R…フォトレジスト膜、21R1,121R1,221R1,321R1…第1レジスト部、21R2,121R2,221R2,321R2…第2レジスト部、24A…第1ゲート電極(ゲート電極)、24B,124B,224B…第1ソース電極(ソース電極、第1電極)、24B1,124B1,224B1…側面、24C,224C,224C…第1ドレイン電極(ドレイン電極、第2電極)、24C1,124C1,224C1…側面、24D,324D…第1半導体部(半導体部)、25…画素電極、27,127,227…ソース配線(配線)、27A,127A,227A…側面、32,332…第1絶縁膜、33…第2絶縁膜(第1絶縁膜)、37,137,237,337…第1電極部(電極部)、38…第2電極部(電極部)、39…半導体膜、40…第2金属膜、L2…第2配線(配線)、L2A…側面、TR…変質層、θ1…第1角度、θ2…第2角度、θ3…第3角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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