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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088137
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】車載器
(51)【国際特許分類】
   H01H 13/14 20060101AFI20240625BHJP
   G07C 7/00 20060101ALI20240625BHJP
   H01H 13/83 20060101ALI20240625BHJP
   H01H 9/18 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
H01H13/14 Z
G07C7/00
H01H13/83
H01H9/18 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203164
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】荒▲瀬▼ 和基
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼森 徹示
(72)【発明者】
【氏名】澤村 慧
(72)【発明者】
【氏名】浦崎 秀司
(72)【発明者】
【氏名】正治 一将
(72)【発明者】
【氏名】中野 省吾
【テーマコード(参考)】
3E138
5G052
5G206
【Fターム(参考)】
3E138AA07
3E138DA07
3E138DB10
3E138EA01
3E138MA01
3E138MF01
5G052AA35
5G052BB01
5G052JA03
5G052JB01
5G206AS32H
5G206AS32Q
5G206AS35H
5G206AS35Q
5G206BS02H
5G206BS03Q
5G206CS11N
5G206GS21
5G206HU02
5G206HU12
5G206HW83
5G206QS02
(57)【要約】
【課題】押し間違いの可能性の低減を図ることが可能な車載器を提供する。
【解決手段】車載器は、乗員に対して提供する情報を表示する表示部50、及び表示部50に隣接した位置に設けられる複数の押し釦40を筐体Hの前面部31に備えたものであって、複数の押し釦40は、間隔を有して筐体Hの幅方向に並んで配置されると共に、それぞれが幅方向よりも、当該幅方向に直交する上下方向に長い形状とされ、表示部50は、複数の押し釦40の間隔に応じた間隔を有して情報表示可能とされている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員に対して提供する情報を表示する表示部、及び前記表示部に隣接した位置に設けられる複数の押し釦を筐体の前面部に備えた車載器であって、
前記複数の押し釦は、間隔を有して前記筐体の幅方向に並んで配置されると共に、それぞれが前記幅方向よりも、当該幅方向に直交する上下方向に長い形状とされ、
前記表示部は、前記複数の押し釦の間隔に応じた間隔を有して情報表示可能とされている
ことを特徴とする車載器。
【請求項2】
前記複数の押し釦は、それぞれが前記表示部側に向かって幅狭となる幅狭部を有した形状とされている
ことを特徴とする請求項1に記載の車載器。
【請求項3】
前記複数の押し釦は、それぞれが前記前面部を含む平面に対して上向き方向への角度を有した押下面を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の車載器。
【請求項4】
前記複数の押し釦は、前記筐体内側において、弾性変形可能な連結部を介して互いに連結されて一体化されている
ことを特徴とする請求項1に記載の車載器。
【請求項5】
前記複数の押し釦は、前記筐体の前記前面部と、前記筐体内部に配置され前記表示部における表示制御を行う表示基板とに挟まれて位置しており、前記前面部と前記表示基板とが前後方向へネジ締めがされることで、前記複数の押し釦の基板押当部が前記表示基板に接触し、前記複数の押し釦の当り面が前記筐体の前記前面部に接触する
ことを特徴とする請求項1に記載の車載器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載され、筐体内に制御基板を備えた運行記録計、ドライブレコーダ、及びタクシーメータ等の車載器が知られている(例えば特許文献1参照)。この車載器は、運転者等に情報提供するための表示部、及び、表示部に隣接した位置に設けられた複数の押し釦を前面部に備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-197776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような特許文献1に記載の車載器は、多くの場合に運転者が操作する一方、運転席の真正面には設置できないことが多い。このため、車載器がセンターコンソール付近に設置される場合には、手を斜め下方向に伸ばして操作する必要があり、前面部に正対して真っ直ぐに押し釦を押下することができない関係上、押し間違いが生じ易い。特に、車載器は、扁平箱型に構成されることが多く、この扁平箱型に対応して押し釦が幅方向に長い長方形等にされた場合には、隣接する押し釦同士で間隔が狭くなって、押し間違いが生じ易い。
【0005】
さらに、このような車載器において、それぞれの押し釦に隣接する表示部の各位置に、それぞれの押し釦を押下すると、どのような動作や状態移行等が行われるかを表示する場合には、より押し間違いが生じ易くなってしまう。すなわち、運転者は、斜め下方向等に位置する表示部の表示内容を参照しつつ、該当の押し釦を押下する必要がある。このため、運転者は、視線が斜め向きであると共に表示内容と押し釦との複数箇所を視認しながら、正対しない方向に手を伸ばして操作する必要があり、より押し間違いが生じ易くなる。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、押し間違いの可能性の低減を図ることが可能な車載器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る車載器は、乗員に対して提供する情報を表示する表示部、及び前記表示部に隣接した位置に設けられる複数の押し釦を筐体の前面部に備えた車載器であって、前記複数の押し釦は、間隔を有して前記筐体の幅方向に並んで配置されると共に、それぞれが前記幅方向よりも、当該幅方向に直交する上下方向に長い形状とされ、前記表示部は、前記複数の押し釦の間隔に応じた間隔を有して情報表示可能とされている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、押し間違いの可能性の低減を図ることが可能な車載器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る車載器を示す前方斜視図である。
図2図1に示した車載器の正面図である。
図3図1に示した表ケースユニットを示す裏面図である。
図4図1に示した車載器の一部を拡大した正面図である。
図5図2に示した表ケースユニットの側方を示す一部拡大図である。
図6】複数の押し釦を含む押し釦ユニットを示す前方斜視図である。
図7】複数の押し釦を含む押し釦ユニットを示す後方斜視図である。
図8】押し釦ユニットから表ケースを取り除いたときの構成を示す下面図である。
図9】押し釦ユニットから表ケースを取り除いたときの構成を示す前方斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾点が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用されていることはいうまでもない。
【0011】
図1は、本実施形態に係る車載器を示す前方斜視図である。図1に示す車載器1は、例えば車両のセンターコンソールに形成された凹部に嵌め込まれて車両搭載されるものであって、本実施形態においてはデジタルタコグラフの機能部とドライブレコーダの機能部とを有した機器として構成されたものである。前者機能部は、車両走行時等における運行記録を行う機能部であり、車両に設置された各種センサからの信号に基づいて車速、加減速度、及びエンジン回転数等の情報を記録するものである。後者機能部は、映像記録を行う機能部であって、少なくとも急加減速や事故の衝撃に相当する加速度があった前後の映像解析に利用されるものである。なお、後者機能部は、常時映像記録するものが好ましいが、急加減速前後等のみの映像を記録するものであってもよい。また、車載器1は、デジタルタコグラフの機能部とドライブレコーダの機能部とを備えるものに限らず、いずれか一方のみの機能部を備えるものであってもよい。また、車載器1は、上記機能部に限らず、タクシーメータの機能部や、有料道路等の自動料金収受機能部等、他の機能部のみを備えるもの等であってもよい。
【0012】
このような車載器1は、内部に上記機能部の制御基板(不図示)を収納した筐体Hを備えている。筐体Hは、上ケース10、下ケース20、及び表ケース30を有している。上ケース10は、筐体Hの上側を構成する部品であって、例えばアルミニウム等の放熱性に優れる部材によって構成されている。下ケース20は、上ケース10の下側に組み付けられる部品であって、筐体Hの下側を構成する。表ケース30は、筐体Hの表側(前側)に設けられるものである。表ケース30には、他の構成が組み付けられて表ケースユニットY1とされている。
【0013】
図2は、図1に示した表ケースユニットY1の正面図である。図3は、図1に示した表ケースユニットY1を示す裏面図であり、図4は、図1に示した車載器1の一部を拡大した正面図である。なお、図2に示す正面図においては、表示制御されて表示部(後述の符号50)に所定の画像が表示された状態を示している。図2及び図3に示すように、表ケースユニットY1は、表ケース30に加えて、複数(6つ)の押し釦40、表示部50、及び表示基板60を備えている。
【0014】
複数の押し釦40は、図2に示すように、表ケース30の前面部31のうち、幅方向一側(向かって右側)の下部に設けられている。複数の押し釦40は、互いに間隔を有して幅方向に並んで配置されている。間隔は、少なくとも押下面(後述する符号42)の最大幅よりも大きいものとされている。
【0015】
また、複数の押し釦40は、図2に示すように、幅方向よりも上下方向(表ケース30の前面部31を含む平面において幅方向に直交する方向)に長くされた縦長形状とされている。特に、本実施形態において複数の押し釦40は、図4に示すように、隣接配置される表示部50側に幅狭となる幅狭部41を有して、縦長の略三角形状とされている。このような幅狭部41を有する押し釦40においては、表示部50のうち特定箇所を指し示す効果を発揮でき、表示内容の視認性の向上等を図ることができる。なお、複数の押し釦40は、縦長の略三角形状に限られるものではない。特に、複数の押し釦40により表示部50の特定箇所を指し示す効果を発揮したい場合、複数の押し釦40は、幅狭部41を有していればよく、台形、菱形、及び水滴形状等であってもよいし、左右対称でなくともよい。
【0016】
図5は、図2に示した表ケースユニットY1の側方を示す一部拡大図である。複数の押し釦40は、運転者等によって押下操作される押下面42を有している。この押下面42は、図5に示すように、前面部31を含む平面に対して上向きとなる面とされている。上向き方向への角度θは、2度以上9度以下が好ましく、5度が最も好ましい。このような上向きの押下面42を構成することで、やや上から操作する場合において、押下する力を受け止め易くなり、より小さな力で釦操作させることができる。ひいては、過度な力による指の滑りを防止することにもつながり、手の滑りによって隣接する押し釦40を操作してしまう可能性の低減を図ることができる。
【0017】
再度図2を参照する。表示部50は、表示基板60によって表示制御されるものであって、運転者等に情報提供するものである。この表示部50は、図2に示すように、複数の押し釦40の間隔に対応した表示を行うようになっている。詳細に説明すると、表示部50は、向かって左から「MODE」「空車」「一般道」「専用道」「ID更新」「次へ」という文字表示を行っており、複数の押し釦40によって指し示される箇所にこれら文字表示を1つずつ表示するようになっている。これにより、複数の押し釦40のうち、どの押し釦40を操作したときに、どのような制御が実行されるか等を分かり易く提示することができる。
【0018】
図6は、複数の押し釦40を含む押し釦ユニットを示す前方斜視図であり、図7は、複数の押し釦40を含む押し釦ユニットを示す後方斜視図である。図6及び図7に示すように、複数の押し釦40は一体化されて押し釦ユニットY2とされている。
【0019】
押し釦ユニットY2は、本体部となる複数の押し釦40に加えて、複数の弾性部EP1~EP7と、複数のスイッチ接触部SC1~SC6と、複数の規制部RP1~RP6と、複数の基板押当部SP1~SP3と、複数のカバー押当部CP1~CP4とを備えている。
【0020】
第1~第7弾性部EP1~EP7は、幅方向に延びて形成されたものであって、複数の押し釦40を連結する弾性部となるものである。複数の押し釦40は、第1~第7弾性部EP1~EP7のうち両端に位置する第1及び第7弾性部EP1,EP7を除く第2~第6弾性部(連結部)EP2~EP6によって連結されている。第2、第4及び第6弾性部EP2,EP4,EP6は、平面視して略M字形状とされている。また、第3及び第5弾性部EP3,EP5は、平面視して逆向きの略U字形状とされている。第2~第6弾性部EP2~EP6は、M字やU字といった幅方向に真っ直ぐ延びることなく屈曲した形状となっている。第2~第6弾性部EP2~EP6は、屈曲形状によって弾性機能を効果的に発揮する。押し釦ユニットY2は、このような弾性部EP2~EP6を備えることから、特定の押し釦40が押下操作された場合に、隣り合う押し釦40の操作が実行されてしまうことが防止されている。なお、第1及び第7弾性部EP1,EP7は、L字底辺が上に向くようにされた逆向きの略L字形状とされている。
【0021】
第1~第6スイッチ接触部SC1~SC6は、複数の押し釦40それぞれの裏面において前後方向に延びる棒状部材である。これらスイッチ接触部SC1~SC6は、複数の押し釦40が押下操作された際に、表示基板60に設けられる後述のスイッチ部SWに接触して押下することとなる。
【0022】
図8は、押し釦ユニットY2から表ケース30を取り除いたときの構成を示す下面図である。図7に示すように、第1~第6規制部RP1~RP6は、複数の押し釦40それぞれの裏面下方側において前後方向に延びる板状部材である。これら規制部RP1~RP6は、押し釦40が過剰に押し込まれることを防止するものである。図8に示すように、規制部RP1~RP6(図8において第3及び第4規制部RP3,RP4のみを図示)は、押し釦40が押下操作されていない状態において、表示基板60に対して所定の隙間Sを有して配置されている。この隙間Sは、押し釦40を押下したときにスイッチ部SWを押下するのに充分であり、且つ、押下面42に強い衝撃が加わったとしてもスイッチ部SWを保護できる程度に設定されている。このため、第1~第6規制部RP1~RP6は、複数の押し釦40それぞれの操作に支障ない状態でスイッチ部SWの保護を図ることとなる。
【0023】
図7に示す第1~第3基板押当部SP1~SP3は、第2、第4及び第6弾性部EP2,EP4,EP6に一体的に設けれた筒部材である。第1~第3基板押当部SP1~SP3は、略M字形状となる第2、第4及び第6弾性部EP2,EP4,EP6のM字中央部に連結されて後方に向かって延びている。図8に示すように第1~第3基板押当部SP1~SP3(図8においては第2基板押当部SP2のみ図示)は、先端(後方側)が表示基板60に当接する構成となっている。
【0024】
図9は、押し釦ユニットY2から表ケース30を取り除いたときの構成を示す前方斜視図である。図6及び図7に示すように、第1~第4カバー押当部CP1~CP4は、第1、第3、第5及び第7弾性部EP1,EP3,EP5,EP7に一体的に設けられた棒部材である。第1~第4カバー押当部CP1~CP4は、逆U字形状又は逆L形状の第1、第3、第5及び第7弾性部EP1,EP3,EP5,EP7の最頂部から上方に向かって延びている。この第1~第4カバー押当部CP1~CP4(図9においては第2カバー押当部CP2のみ図示)は、図9に示すように、表示部50の表面を構成するカバー部材51(例えばアクリルカバー)に当接している。
【0025】
さらに、図6に示すように、複数の押し釦40は、それぞれ第1~第6当り面CS1~CS6を備えている。各当り面CS1~CS6は、複数の押し釦40を正面視した場合に、押下面42よりも周方向に広がる部位である。ここで、表ケース30の前面部31に形成される複数の押し釦40の開口部O1~O6(図2参照)は、押下面42の面積よりも広く、押下面42に当り面CS1~CS6を加えた面積よりも小さい。さらに、第1~第6当り面CS1~CS6は、押し釦40が押下操作されていない状態において、前面部31の裏面側に接触している。
【0026】
以上のような押し釦ユニットY2は、第1~第6当り面CS1~CS6が前面部31に接触すると共に、第1~第3基板押当部SP1~SP3が表示基板60に接触する。特に、第1~第6当り面CS1~CS6や第1~第3基板押当部SP1~SP3は、図3に示すように、表示基板60が前面部31側にネジNによってネジ締めされることで、より強固な接触状態となる。このため、複数の押し釦40は、両者に挟持されることとなり、車両振動によるガタつきが抑制されている。加えて、第1~第4カバー押当部CP1~CP4についてもカバー部材51に接触することから、一層ガタつきが抑制されることとなる。
【0027】
次に、本実施形態に係る車載器1について押し釦40の操作時における作用を説明する。まず、本実施形態に係る車載器1は、センターコンソール等、運転者にとって下方側となる位置に設けられているとする。
【0028】
運転者は、車載器1に所定の操作を行わせるべく、押し釦40を押下操作しようとする。このとき、運転者は、表示部50の複数の押し釦40の間隔に対応して表示される各表示内容を確認し、どの押し釦40を押下するか選択する。ここで、押し釦40は幅狭部41を有して表示部50の表示内容を指し示すことから視認性が向上しており、運転者は表示内容と押し釦40との対応を取り易くなっている。
【0029】
確認後、運転者は、選択した押し釦40を押下操作すると、押し釦40の裏面側に延びるスイッチ接触部SC1~SC6によって表示基板60上のスイッチ部SWが操作される。このとき、押し釦40の押下面42は上向きとなっていることから、押し釦40よりも上側から押下操作が行われた場合に、押下する力を適切に受け止め易くなる。この結果、押下面42に対する指の滑りを抑制して、隣接する押し釦40を押下してしまう可能性を低減することとなる。
【0030】
加えて、複数の押し釦40は、上下方向に長い縦長形状とされている。よって、隣り合う押し釦40との間隔を広げることとなり、誤って隣り合う押し釦40が押下されてしまう可能性を軽減させることとなる。特に押し釦40は幅狭部41を有することから、表示部50側においては一層間隔を広げることとなり、隣接する押し釦40を押下してしまう可能性を低減することとなる。
【0031】
ここで、複数の押し釦40は弾性変形可能な第2~第6弾性部EP2~EP6によって一体化されている。このため、運転者が特定の押し釦40を押下した場合に、押下した力は、第2~第6弾性部EP2~EP6の弾性変形によって吸収され、隣接する押し釦40についてもスイッチ部SWが操作されてしまうことが防止される。特に、第2、第4及び第6弾性部EP2,EP4,EP6には、第1~第3基板押当部SP1~SP3が接続されている。また、第1、第3、第5及び第7弾性部EP1,EP3,EP5,EP7には、第1~第4カバー押当部CP1~CP4が接続されている。これら各部SP1~SP3,CP1~CP4は、後方に位置する表示基板60やカバー部材51に接触状態となっている。このため、いずれかの押し釦40が押下操作されたとしても、各弾性部EP1~EP7は、後方への移動が規制され、弾性変形することとなる。よって、押下した力は隣接する押し釦40に伝達されることなく、隣接する押し釦40についてもスイッチ部SWが操作されてしまうことが防止される。
【0032】
また、複数の押し釦40のいずれかに対して強い衝撃が加わったとする。この場合、押し釦ユニットY2の第1~第6規制部RP1~RP6が表示基板60に接触することとなる。この結果、強い衝撃によりスイッチ部SWが過剰に押下されることなく、スイッチ部SWの保護も図られる。
【0033】
さらに、上記各部SP1~SP3,CP1~CP4が後方に位置する表示基板60やカバー部材51に接触状態であると共に、複数の押し釦40の当り面CS1~CS6が表ケース30の前面部31に接触状態となっている。このため、複数の押し釦40は、前後方向の部材によって挟持された状態となり、車両振動によるガタつきも抑制される。
【0034】
このようにして、本実施形態に係る車載器1によれば、複数の押し釦40はそれぞれ上下方向に長い形状とされている。このため、幅方向に長い長方形等の押し釦と比較して押し釦40同士の間隔を確保し易く、たとえ車載器1がセンターコンソール等、運転席の真正面以外に設けられていたとしても、押し間違いを生じ難くすることができる。特に、表示部50は、複数の押し釦40の間隔に応じた間隔を有して情報表示可能とされている。このため、各押し釦40について押下した場合にどのような動作や状態移行等が行われるかを表示し、より押し間違いが発生し易くなる構成であったとしても、上記の如く、間隔が確保され易くなることから、押し間違いが効果的に抑制される。従って、押し間違いの可能性の低減を図ることができる車載器1を提供することができる。
【0035】
また、複数の押し釦40は、それぞれが表示部50側に向かって幅狭となる幅狭部41を有した形状とされているため、幅狭部41によって表示部50の特定箇所を指し示すことができ、押し釦40について押下した場合にどのような動作や状態移行等が行われるかを、より分かり易く提示することができる。加えて、幅狭部41を備えることから、単なる縦長の長方形等と比較すると、幅狭とした分、隣り合う押し釦40との間隔をより広げることとなり、一層押し間違いの可能性の低減を図ることができる。
【0036】
また、複数の押し釦40は、それぞれが前面部31に対して上向き方向への角度を有した押下面42を有するため、例えば車載器1がセンターコンソール等、運転者にとってやや下側に設置される場合に、押下操作を受け止める方向に押下面42が向くこととなり、より滑り難く且つより小さな力で釦操作を可能とすることができる。
【0037】
また、複数の押し釦40は、筐体Hの内側において一体化されて押し釦ユニットY2を構成している。このため、車載器1の製造時における組付においては、一体化された押し釦ユニットY2を組み付ければよく、複数の押し釦40がバラバラな場合と比較すると組付作業性の向上を図ることができる。ここで、複数の押し釦40を一体化した場合には、特定の押し釦40を押下した場合に、隣り合う押し釦40も操作されてしまう懸念があるが、弾性変形可能な弾性部EP2~EP6を介して互いに連結されているため、特定の押し釦40に作用した力は隣り合う押し釦40に伝達され難く、誤操作の可能性を低減させることができる。従って、組付作業性の向上を図りつつ、誤操作の可能性を低減させることができる。
【0038】
また、複数の押し釦40は、ネジNによるネジ締めによって表示基板60と筐体Hの前面部31とに接触することから、これらに挟持状態となり、複数の押し釦40が車両走行時における振動によってガタついて異音の原因となってしまう可能性を低減させることができる。
【0039】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、可能な範囲で適宜他の技術を組み合わせてもよい。さらに、可能な範囲で公知又は周知の技術を組み合わせてもよい。
【0040】
例えば、上記実施形態において押し釦ユニットY2は前面部31と平行方向に屈曲する弾性部EP1~EP7を備えているが、屈曲方向はこれに限らず、例えば前後方向に屈曲してもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 :車載器
31 :前面部
40 :複数の押し釦
41 :幅狭部
42 :押下面
50 :表示部
60 :表示基板
CS1~CS6 :当り面
EP2~EP6 :弾性部(連結部)
H :筐体
SP1~SP3 :基板押当部
Y2 :押し釦ユニット
θ :角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9