(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088153
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】土寄せ板および土寄せ板を備える農作業機
(51)【国際特許分類】
A01B 37/00 20060101AFI20240625BHJP
A01B 35/04 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
A01B37/00
A01B35/04 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203191
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000171746
【氏名又は名称】株式会社ササキコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100086184
【弁理士】
【氏名又は名称】安原 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【弁理士】
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(72)【発明者】
【氏名】久保 陽拓
(72)【発明者】
【氏名】野村 拓未
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 滉介
【テーマコード(参考)】
2B034
【Fターム(参考)】
2B034AA03
2B034BB09
2B034BC06
2B034EA16
(57)【要約】 (修正有)
【課題】適正量の土壌を走行跡に土を戻して圃場面を均すことができる農作業機に係る土寄せ板を提供する。
【解決手段】走行機体の後方に位置して農作業を行う農作業機1に備え、前進する走行機体によって形成される走行跡に対する側方部に配置し、走行跡の内側に向かって土壌を移動させる土寄せ板(第1土寄せ板42)であって、土寄せ板は第1面421と、第1面421から連続した面を形成し、第1面421の面方向の外側端部より突出した突出部423を有する第2面422と、を備え、突出部423の下端部から第2面422の下端部に至って形成する外縁部425は、突出部423の外側の下端部から第2面422の下端部を結んだ直線より上方に向かって窪むように形成し、外縁部425より下方で土壌が通過できる通過領域424と、を備えたことを特徴とする土寄せ板。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体の後方に位置して農作業を行う農作業機に備え、前進する前記走行機体によって形成される走行跡に対する側方部に配置し、前記走行跡の内側に向かって土壌を移動させる土寄せ板であって、
前記土寄せ板は第1面と、
前記第1面から連続した面を形成し、前記第1面の面方向の外側端部より突出した突出部を有する第2面と、
を備えたことを特徴とする土寄せ板。
【請求項2】
前記突出部の下端部から前記第2面の下端部に至って形成する外縁部は、前記突出部の外側の下端部から前記第2面の下端部を結んだ直線より上方に向かって窪むように形成し、前記外縁部より下方で土壌が通過できる通過領域と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の土寄せ板。
【請求項3】
前記突出部は前記第1面より上方で前記走行跡から遠ざかる方向に向かって突出している、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の土寄せ板。
【請求項4】
前記突出部の少なくとも上部は土壌面より上方に位置する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の土寄せ板。
【請求項5】
第1面は主に土中に埋没させた状態で配置し、
第2面は主に土壌面から上方に突出させた状態で配置する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の土寄せ板。
【請求項6】
前記走行機体の後方に位置して回転駆動することで土壌を砕土する砕土部と、
前記砕土部の前方に前記土寄せ板を位置させた、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の土寄せ板。
【請求項7】
走行機体の後方に位置して農作業を行う農作業機において、前進する前記走行機体によって形成される走行跡に対する側方部に土寄せ板を配置し、
前記土寄せ板は、前記走行跡の内側に向かって土壌を移動させるとともに、
第1面と、
前記第1面から連続した面を形成し、前記第1面の面方向の外側端部より突出した突出部を有する第2面と、を備えたことを特徴とする農作業機。
【請求項8】
前記突出部の下端部から前記第2面の下端部に至って形成する外縁部は、前記突出部の外側の下端部から前記第2面の下端部を結んだ直線より上方に向かって窪むように形成し、前記外縁部より下方で土壌が通過できる通過領域と、を備えた土寄せ板を有することを特徴とする請求項7に記載の農作業機。
【請求項9】
前記突出部は前記第1面より上方で前記走行跡から遠ざかる方向に向かって突出している土寄せ板を有することを特徴とする請求項7又は請求項8のいずれかに記載の農作業機。
【請求項10】
前記突出部の少なくとも上部は土壌面より上方に位置する土寄せ板を有することを特徴とする請求項7又は請求項8のいずれかに記載の農作業機。
【請求項11】
第1面は主に土中に埋没させた状態で配置し、
第2面は主に土壌面から上方に突出させた状態で配置する土寄せ板を有することを特徴とする請求項7又は請求項8のいずれかに記載の農作業機。
【請求項12】
前記走行機体の後方に位置して回転駆動することで土壌を砕土する砕土部と、
前記砕土部の前方に前記土寄せ板を位置させた土寄せ板を有することを特徴とする請求項7又は請求項8のいずれかに記載の農作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は土寄せ板および土寄せ板を備える農作業機に関する。更に詳細には、土寄せ板によって、予め大まかに平坦に均した土を砕土部で整地する農作業機の土寄せ板および土寄せ板を備える農作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
走行機体の進行方向後方に位置し、農作業を行う農作業機として特許文献1が知られている。この農作業機は、走行機体の後輪に対応する土寄せ板を配置し、走行機体の後輪の通過によって形成される走行跡を除去するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
圃場である水田において、走行機体の進行に伴って走行機体走行部が土壌を通過し、走行部の側方に土壌を押し退けることによって、走行跡が発生する。押し退けた土を走行跡に戻すと、走行跡を除去できる。走行跡は車輪や履帯等の走行部の構成、走行機体の走行速度等によって異なる。特許文献1の農作業機を用いて、走行跡に進行方向側方の広範囲に押し退けた土壌を戻して圃場面を均そうとする場合に、土質、走行機体の走行部の構成、作業速度等によっては、所望の作業成果を出せないことがある。
【0005】
従来の土寄せ板は、設置位置、内容によっては、課題を有した。例えば、従来の土寄せ板を単純に大きくすると、不都合を生じた。
土寄せ作業時に、土の抵抗があると、土寄せ板上部に土が盛り上がって土が溜まってしまうことがあり、土寄せ板上部に上がってくる土を減らす必要が生ずる。
機体がゆっくりと走行すると、タイヤから押し退けられた土は遠くに行かないが、早く走ると、遠くに山盛り状に土を盛り上げ、土寄せ板に、土が溜まってしまう。
他方、土寄せ板の幅方向を短くすると、土寄せ板の土寄せ作用を弱めてしまう課題を有した。
【0006】
本発明は上記課題に着眼してなされたものであり、適正量の土壌を走行跡に土を戻して圃場面を均すことができる土寄せ板および土寄せ板を備える農作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、
走行機体の後方に位置して農作業を行う農作業機に備え、前進する前記走行機体によって形成される走行跡に対する側方部に配置し、前記走行跡の内側に向かって土壌を移動させる土寄せ板であって、
前記土寄せ板は第1面と、
前記第1面から連続した面を形成し、前記第1面の面方向の外側端部より突出した突出部を有する第2面と、
を備えたことを特徴とする土寄せ板、
に係る。
【0008】
この発明は、更に、
前記突出部の下端部から前記第2面の下端部に至って形成する外縁部は、前記突出部の外側の下端部から前記第2面の下端部を結んだ直線より上方に向かって窪むように形成し、前記外縁部より下方で土壌が通過できる通過領域と、
を備えたことを特徴とする土寄せ板、
に係る。
【0009】
この発明は、更に、
前記突出部は前記第1面より上方で前記走行跡から遠ざかる方向に向かって突出している、
ことを特徴とする土寄せ板、
に係る。
【0010】
この発明は、更に、
前記突出部の少なくとも上部は土壌面より上方に位置する、
ことを特徴とする土寄せ板、
に係る。
【0011】
この発明は、更に、
第1面は主に土中に埋没させた状態で配置し、
第2面は主に土壌面から上方に突出させた状態で配置する、
ことを特徴とする土寄せ板、
に係る。
【0012】
この発明は、更に、
前記走行機体の後方に位置して回転駆動することで土壌を砕土する砕土部と、
前記砕土部の前方に前記土寄せ板を位置させた、
ことを特徴とする土寄せ板、
に係る。
【0013】
この発明は、
走行機体の後方に位置して農作業を行う農作業機において、前進する前記走行機体によって形成される走行跡に対する側方部に土寄せ板を配置し、
前記土寄せ板は、前記走行跡の内側に向かって土壌を移動させるとともに、
第1面と、
前記第1面から連続した面を形成し、前記第1面の面方向の外側端部より突出した突出部を有する第2面と、を備えたことを特徴とする農作業機、
に係る。
【0014】
この発明は、更に、
前記突出部の下端部から前記第2面の下端部に至って形成する外縁部は、前記突出部の外側の下端部から前記第2面の下端部を結んだ直線より上方に向かって窪むように形成し、前記外縁部より下方で土壌が通過できる通過領域と、を備えた土寄せ板を有することを特徴とする農作業機、
に係る。
【0015】
この発明は、更に、
前記突出部は前記第1面より上方で前記走行跡から遠ざかる方向に向かって突出している土寄せ板を有することを特徴とする農作業機、
に係る。
【0016】
この発明は、更に、
前記突出部の少なくとも上部は土壌面より上方に位置する土寄せ板を有することを特徴とする農作業機、
に係る。
【0017】
この発明は、更に、
第1面は主に土中に埋没させた状態で配置し、
第2面は主に土壌面から上方に突出させた状態で配置する土寄せ板を有することを特徴とする農作業機、
に係る。
【0018】
この発明は、更に、
前記走行機体の後方に位置して回転駆動することで土壌を砕土する砕土部と、
前記砕土部の前方に前記土寄せ板を位置させた土寄せ板を有することを特徴とする農作業機、
に係る。
【発明の効果】
【0019】
この発明は、適正量の土壌を走行跡に土を戻して圃場面を均すことができる農作業機に係る土寄せ板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】この発明の実施例に係る農作業機の正面図である。延長作業体が展開状態の農作業機全体である。第1土寄せ板は負荷を受けて回動した状態をあらわす。
【
図2】この発明の実施例に係る農作業機の側面図である。延長作業体が展開状態の農作業機の全体を示す。第1土寄せ板は負荷を受けて回動した状態をあらわす。
【
図3】この発明の実施例に係る農作業機の平面図である。延長作業体が展開状態の農作業機の全体を示す。第1土寄せ板は負荷を受けて回動した状態をあらわす。
【
図4】この発明の実施例に係る第1土寄せ板の第1面の法面方向正面から見た図であって、第1土寄せ板の単体正面図である。
【
図5】この発明の実施例に係る第1土寄せ板の第1面の面方向から見た第1土寄せ板の単体側面図である。
【
図6】この発明の実施例に係る第1土寄せ板の平面拡大図である第1土寄せ板の単体平面図である。実線で示す第1土寄せ板は負荷を受けて回動した状態をあらわす。
【
図7】この発明の実施例に係る第1土寄せ板の旋回軸回りの平面から見た断面図である。
図6に実線で示す第1土寄せ板が負荷を受けて回動した状態をあらわす。
【
図8】この発明の実施例に係る第1土寄せ板の旋回軸回りの平面から見た断面図である。
図6に二点鎖線で示す第1土寄せ板が負荷を受けて無い状態をあらわす。
【
図9】この発明の実施例に係る第1土寄せ板を取り付ける旋回軸の中央断面図である。
【
図10】この発明の実施例に係る農作業機の走行跡と土寄せ板との位置関係を示す正面図である。砕土部は図示省略してある。
【
図11】この発明の実施例に係る第1土寄せ板が負荷を受ける前の状態であって、第2土寄せ板と重合しない状態の平面図である。
【
図12】この発明の実施例に係る第1土寄せ板が負荷を受ける前の状態であって、第2土寄せ板と重合しない状態の正面図である。
【
図13】この発明の実施例に係る第1土寄せ板が負荷を受けた状態であって、第2土寄せ板と重合した状態の平面図である。
【
図14】この発明の実施例に係る第1土寄せ板が負荷を受けた状態であって、第2土寄せ板と重合した状態の正面図である。
【
図15】この発明の実施例に係る、取付位置を変更して、第1土寄せ板が負荷を受ける前の状態であって、第2土寄せ板と重合した状態の平面図である。
【
図16】この発明の実施例に係る、取付位置を変更して、第1土寄せ板が負荷を受ける前の状態であって、第2土寄せ板と重合した状態の平面図である。
【
図17】この発明の実施例に係る、取付位置を変更して、第1土寄せ板が負荷を受けた状態であって、第2土寄せ板と重合した状態の平面図である。
【
図18】この発明の実施例に係る、取付位置を変更して、第1土寄せ板が負荷を受けた状態であって、第2土寄せ板と重合した状態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
この発明の第1実施例に係る農作業機1について図面にしたがって説明する。
この発明の実施例の概要について説明する。
この発明の実施例では、水田での代掻き作業を行う農作業機1に、第1土寄せ板42、第2土寄せ板43、第3土寄せ板44からなる土寄せ板を備える。
農作業機1は走行機体であるトラクタ等の後方に配置し、農作業機1が備える
図1、
図2に図示する砕土部3によって土塊を砕土する。砕土部3の後方には整地体5からなる整地部を配することによって、土壌を整地する。砕土部3の前方には、
図1、
図2に図示する土寄せ板を配置する。
【0022】
土寄せ板(第1土寄せ板42、第2土寄せ板43、第3土寄せ板44)は、
図3に図示するように、平面視において、走行機体によって形成する走行跡A(轍)の境界から外側にかけて配置させる。土寄せ板は、平面視において、走行跡Aに近づくにつれて後方に傾斜させ、進行とともに土寄せ板に衝突する土壌を走行跡Aに向かって移動させる。土壌の移動により、砕土部3で砕土前の土壌を大まかに均平にできるので、適正な砕土とその後の整地をより精度よく行うことができる。
【0023】
本願で説明する走行跡Aとは、走行機体の走行部によって土壌を踏み固めて進行方向に向かって凹筋状に形成した轍、あるいは、走行機体の走行部によって土壌を押し退けることによって進行方向に向かって凹筋状に形成した轍のことを言う。また、境界とは走行機体によって形成した走行跡Aと、そうでない部分の進行方向と交差する幅方向の境目のことを言う。
走行跡Aの内側とは凹筋状の轍の中央側に向かう側をいい、走行跡Aの外側とは、進行方向と交差する幅方向の轍から離れる側であって、轍とは異なる側の部分をいう。なお、実施例で言及する土壌は水分を多量に含んだ土壌であり、泥土とも呼ばれる。
【0024】
走行跡Aは、走行機体の通過によって形成される。元々の走行跡Aの部分にあった土壌は、移動によって、形成される走行跡Aの脇の部分に元々存在する土壌と一体化して密度を高めた状態となって留まり、移動する土壌の他の一部は、既に存在する土壌によって上方に押され、土壌の基準面より上方に盛り上がることがある。この盛り上がった土壌によって盛土Eを形成する。
図10に図示するようにこの走行機体が形成する盛土E1および走行跡Aの形状は、走行機体が有する車輪や履帯等の走行部の構成、走行機体の走行速度等によって異なる。なお、説明において言及する基準面とは、凹凸を有する土壌面の平均高さを示す仮想の水平面、あるいは、水分を多量に含んだ土壌に現れる水面のことを指す。
図6、
図11、
図13、
図15、
図16に図示するFは、土壌の通過経路である。
図6に図示するBは、土壌の流れである。土壌の流れBは前進移動する土寄せ板(例えば
図6に例示する第2土寄せ板43)によって、土寄せ板の前方から相対的に移動してくる土壌を捕捉し、強制的に土壌の移動方向を変更することで形成される。土壌の流れBは、土寄せ板の前面で捕捉し、土寄せ板の前方の面で強制的に進路変更する土壌の流れと、土寄せ板の前面で捕捉されずに、土寄せ板を通過したことによって形成する土壌の流れからなる。後者の土壌の流れは、土寄せ板の後面に回り込むように進路を形成することがある。この土壌の進路で形成される経路を通過経路Fという。
【0025】
盛土E(E1、E2)について説明する。
例えば、走行機体が高速度で通過した場合の盛土Eは、走行跡Aから進行方向に対する左右方向に向かって、高さが低いものの広範囲に散ってしまう。反対に走行機体が低速度で通過した場合の盛土Eは、散る範囲が小さくなるものの高さが高くなることがある。また、低粘土の土質では自ら流れることによって盛土Eが発生しにくいものの、高粘土の土質では高く大きな盛土Eが発生しやすい傾向にある。本発明の土寄せ板(第1土寄せ板42、第2土寄せ板43、第3土寄せ板44)は、このような多条件の土壌で発生した、走行跡Aおよび盛土Eを適正に均して、後工程である砕土や整地の精度を向上させることが可能である。
盛土Eは、走行機体の通過によって形成する場合の他に、走行機体の通過前から既に盛り上がったように形成されている場合もある。盛土Eは、走行機体の通過によって形成した盛土E1と、既に盛り上がったように形成された盛土E2とがある。説明する盛土Eは、盛土E1と盛土E2のうち少なくともいずれか一方が含まれ、両方を含んでいることもある。
【0026】
1は、農作業機である。
11は、中央作業体である。中央作業体11は、農作業機1の中央に位置して、代掻き作業を行う。
11Lは、延長作業体左である。延長作業体左11Lは、中央作業体11の進行方向左側に位置して中央作業体11と折り畳み可能に取り付け、代掻き作業を行なう。
11Rは、延長作業体右である。延長作業体右11Rは、中央作業体11の進行方向右側に位置して中央作業体11と折り畳み可能であり、代掻き作業を行なう。
【0027】
2は、フレームである。フレーム2は、パイプフレーム22を有する。パイプフレーム22は、農作業機1の骨格をなすフレームであり、進行方向に対する左右方向に長手方向を有する。
20は、装着部である。201は、トップリンクピンである。202は、ロアリンクピンである。装着部20は、トップリンクピン201と、ロアリンクピン202を有する。
装着部20は、これらにより、農作業機1をけん引するトラクタに取り付ける。
【0028】
21は、入力ケース、211は、入力軸である。入力軸211は、入力ケース21に取り付け、トラクタのPTO軸に接続して、トラクタの駆動力を取り出す。入力ケース21はパイプフレーム22の長手方向に対する中央部に配置する。
212は、トップマストである。トップマスト212は、パイプフレーム22上に設ける。トップマスト212は、先端にトップリンクピン201を設ける。
213は、ロワプレートである。ロワプレート213は、パイプフレーム22に取り付ける。ロワプレート213先端には、ロアリンクピン202を取り付ける。
23は、伝動ケースである。伝動ケース23は、パイプフレーム22の端部に設け、入力ケース21に設けた入力軸211からの駆動力を受領するとともに後述の砕土部3に出力する。
【0029】
24は、サポートフレームである。サポートフレーム24は、パイプフレーム22の両端部の、入力ケース21に対して左右対称の位置に設け、パイプフレーム22より下方で後述するロータ軸31を保持する。伝動ケース23は、左右いずれか一方のサポートフレーム24に近接して設けていて、実施例においては進行方向左側のサポートフレーム24に取り付けている。
25は、支点部である。支点部25はパイプフレーム22の両端部にそれぞれ設け、延長作業体左11L及び延長作業体右11Rの折り畳み回動支点部である。一方の支点部25には延長作業体左11Lに設けたカバー体左4Lから上部に突出させた支点フレーム左41Lを、他方の支点部25には延長作業体右11Rに設けたカバー体右4Rから上部に突出させた支点フレーム右41Rを、それぞれ回動可能に連結している。
【0030】
3は、砕土部である。砕土部3は、走行機体の後方に位置して回転駆動することで土壌を砕土する。
砕土部3は、フレーム2の下方に設けて回転駆動可能であり、圃場を砕土する。砕土部3は、走行機体であるトラクタ等の後部に装着した農作業機1に備え、走行機体の後方に位置する。走行機体であるトラクタ等の前進とともに砕土部3が備える耕耘爪32を回転駆動させて土を砕土する。
3Lは、延長砕土部左である。延長砕土部左3Lは、砕土部3の進行方向左側の延長作業体左11Lに回転可能に取り付け、延長作業体左11Lと一体になって折り畳み可能である。3Rは、延長砕土部右である。延長砕土部右3Rは、砕土部3の進行方向右側の延長作業体右11Rに回転可能に取り付け、延長作業体右11Rと一体になって折り畳み可能である。
【0031】
31は、ロータ軸である。ロータ軸31は、伝動ケース23とサポートフレーム24のそれぞれの下部に掛け渡された回転軸であり、伝動ケース23からの駆動力で回転する。
31Lは、延長側ロータ軸左である。延長側ロータ軸左31Lは、ロータ軸31の進行方向左側に設ける。31Rは、延長側ロータ軸右である。延長側ロータ軸右31Rは、ロータ軸31の進行方向右側に設ける。延長側ロータ軸左31L、延長側ロータ軸右31Rは、ロータ軸31に連結することで、伝動ケース23からの駆動力で回転する。
【0032】
32は、耕耘爪である。耕耘爪32は、ロータ軸31及び延長側ロータ軸左31L及び延長側ロータ軸右31Rのそれぞれの周囲に複数取り付け、ロータ軸31および延長側ロータ軸左31L及び延長側ロータ軸右31Rの回転により駆動し、圃場を耕耘する。
33は、ドッグクラッチである。ドッグクラッチ33は砕土部3の両端部の伝動ケース23及びサポートフレーム24の近傍のそれぞれに設ける。
ドッグクラッチで、ロータ軸31と延長側ロータ軸左31L及び延長側ロータ軸右31Rの回転駆動を入切する。
【0033】
4は、カバー体である。カバー体4は、砕土部3の上部を覆う。4Lは、カバー体左である。4Rは、カバー体右である。カバー体左4Lは、延長砕土部左3Lの上部を覆う。
カバー体右4Rは、延長砕土部右3Rの上部を覆う。カバー体4及びカバー体左4L及びカバー体右4Rは、砕土部3及び延長砕土部左3L及び延長砕土部右3Rによって砕土あるいは耕耘された土が周囲へ飛散することを防ぐ。
41Lは、左支点フレームである。左支点フレーム41Lは、農作業機1の延長作業体左11Lを支点部25に対して回動自在に取り付けるためのカバー体左4Lの上部に突出した部材であり、カバー体左4Lと一体となったアームである。
41Rは、右支点フレームである。右支点フレーム41Rは、農作業機1の延長作業体右11Rを支点部25に対して回動自在に取り付けるためのカバー体左4Rの上部に突出した部材であり、カバー体右4Rと一体となったアームである。
【0034】
土寄せ板について説明する。
第1土寄せ板42、第2土寄せ板43、第3土寄せ板44からなる土寄せ板は、走行機体の後方に位置して農作業を行う農作業機1に備え、前進する走行機体によって形成される走行跡Aに対する側方部に配置し、前記走行跡Aの内側に向かって土壌を移動させる。
実施例では、走行機体の後方に位置するとともに、回転駆動することで土壌を砕土する砕土部3の前方に土寄せ板(第1土寄せ板42、第2土寄せ板43、第3土寄せ板44)を位置させた。
【0035】
第1土寄せ板42は、砕土部3の前方且つカバー体4の下方に位置し、走行する走行機体である農作業機1によって圃場に形成される一つの轍の幅に対する一方側に配置した面を、機体幅に対する内側に向かうにつれて後方側に傾斜させる。
第1土寄せ板42は、農作業機1の中央作業体11が有する砕土部3の両端部前方に設置する。実施例における第1土寄せ板42は、走行機体の後方に左右に並んで形成される2本の走行跡Aのそれぞれに対応するように、農作業機1の2か所に設ける。より具体的には、第1土寄せ板42は、一方の走行跡である左側の走行跡Aの左側の境界付近に位置させ、他方の走行跡である右側の走行跡Aの右側の境界付近に位置させるように配置する。
第1土寄せ板42は、
図1に示す正面視および
図3に示す平面視において、サポートフレーム24よりやや内側に位置させる。
【0036】
第1土寄せ板42は、第1土寄せ板42の下部に位置する第1面421と、第1面421から上方側に連続した面を形成し、第1面421の面方向の外側端部より突出した突出部423を有し、第1土寄せ板42の上部に位置する第2面422とを備える。第1土寄せ板42の側端部に位置する突出部423は、走行跡Aに対する内側ではなく、外側に向かった位置に配置する。
第1面421は主に土中に埋没させた状態で配置し、設定する。第2面422は主に土壌面(基準面)から上方に突出させた状態で配置、設定する。乾いた圃場でも、泥水の圃場でも同様である。
平面視での第1土寄せ板42は、走行跡Aに近づくにつれて後方に傾斜させた状態で配置させる。これによって、相対的に前方から移動してくる土壌を、走行跡Aの外側から内側に向かうように、第1土寄せ板42の第1面421および第2面422の前面に沿って移動させる。
【0037】
第1面421は、土中に埋没させた状態では、土中内を前進進行することによって、相対的に前方から移動してくる土壌が衝突した場合に、走行跡Aに向かうように第1面421の前面に沿って土壌を移動させる。
第2面422は、第1面421から連続した上方に形成する。第2面422の少なくとも上部は土壌面(基準面)から上方に突出させている。ここで、土壌面(基準面)とは、泥土の水面または凹凸を有する土壌面の平均高さを示す仮想の水平面であり、実施例で示す基準面は水面を想定して説明する。第2面422は、前進進行することによって、相対的に前方から移動してくる基準面から上方にある土壌を、走行跡Aの外側から内側に向かうように、第2面422に沿って移動させる。
【0038】
この発明の実施例では、第2面422は、
図5に図示するように、第2面422の上部を第1面421に対してやや前方(走行機体の走行部であるタイヤ方向)に傾斜するように設けている。このようにすることで、第1面421に沿って移動中の土壌が上方に移動したとしても、第2面422の前方に落下させることによって、第1土寄せ板42の上方を乗り越えて後方に移動することを防止する。そして、第2面422に沿って土壌を走行跡Aに向かうようにさせる、または、第2面422に沿って土壌を走行跡Aに向かう途中で、第2面422の上部の前方側への傾斜によって、第1土寄せ板42の前方に落下させる。そして、落下した土壌は土中に埋没するので、第1面421によって土壌を走行跡Aに向かって再度移動させる。第2面422が第1面421の延長上にある垂直面であると、第2面422の上部に向かってせり上がった土壌が、さらに第1面421から盛り上がった土壌によって押しあげられる。そして、第2面422の上部に位置する土が、第2面422の上部より高い位置に達すると、第2面422の後方側に落下してしまう。つまり、第1土寄せ板42で捕捉したはずの土壌が、効率的に走行跡Aに向かうことができなくなるのである。
第2面422の上部の前方側への傾斜によって、土壌が第2面422側にせり上がったのちに、第1面421の前方に落下して第1面421に沿って走行跡Aに向かって移動しながら、再度第2面422側にせり上がることを繰り返しながら、走行跡Aに向かうこともできる。
さらさらの土の場合は比較的上記したような第1土寄せ板42を乗り越える問題を生じないが、粘土状、流れが悪い土の場合は特に問題を生じやすい。第2面422によって、上記の問題を解消させることができる。
【0039】
突出部423は、第2面422に設ける。突出部423は走行跡Aから遠ざかる側である第1土寄せ板42の外側に設け、第2面422と連続して設ける。第2面422の外側端部は、第1面421の外側端部より、遠ざかる側である第1土寄せ板42の外側に向かって突出している。
突出部423を有する第2面422によって、第1面421より進行方向から見た場合の、左右に広い範囲の基準面より上方の土壌である盛土Eを、走行跡Aに向かって移動させることができる。第1土寄せ板42の使用時において、突出部423は完全に土中に埋没することなく、突出部423の少なくとも上部は土壌面(基準面)より上方に突出している。
図10に図示するように、土壌面に形成された走行機体によらず、既に形成された盛土E2を、突出部423を含む第2面422で走行跡Aに向かって移動させることができる。図示はしていないが、
図10において、走行機体の通過によって形成した盛土E1の土壌面(基準面)より上方に盛り上がった頂点部が、第1土寄せ板42の外側である突出部423付近に形成された場合も、突出部423を含む第2面422で走行跡Aに向かって移動させることができる。
【0040】
外縁部425は、第1土寄せ板42の外側の側端部であって、突出部423の走行跡Aから遠ざかる側である外側の下端部から、第1面421の走行跡Aから遠ざかる側である外側の下端部に形成する。外縁部425は、
図4に図示するように、突出部423の外側の下端部から第1面421の外側の下端部を結んだ仮想の直線426から上方に向かって窪むように形成した部位である。実施例では、湾曲させた円弧状に形成しているが、複数の線分を組み合わせて形成してもよいし、円弧を含む湾曲線と線分を組み合わせて形成してもよい。この外縁部425によって、第2面422の突出部423と第1面421との間に土壌が通過できる領域である通過領域424が形成される。
外縁部425の下方の窪んだ通過領域424を土壌が通過できる。
【0041】
通過領域424は、凹状となり、突出部423の下方であって基準面より下方の土中に形成される。突出部423の下方に通過領域424を構成することで、突出部423の下方に位置する土壌は、第1土寄せ板42に沿って走行跡Aに移動することなく、そのまま進行方向後方に相対的に移動する。すなわち、進行方向に対して通過領域424と重複する部分の土壌は、第1土寄せ板42によって捕捉されることなく、第1土寄せ板42の前面に沿って走行跡Aに向かって移動しない。
図4、
図10に図示するように、第1面421の相対的な幅を第2面422よりも小さくし、第1面421と第2面422に設けた突出部423との幅方向の差を大きくすることができる。外縁部425を凹状に窪ませることで、通過領域424を大きく形成することができ、通過領域424を通過する土壌の量を多く確保できる。
【0042】
突出部423と通過領域424あるいは外縁部425の相乗効果について説明する。
通過領域424を通過しないで走行跡Aに向かう土移動である、土中に位置する第1面421で移動させる土壌量は、通過領域424も第1面421として構成した場合と比較して少量となる。したがって、土壌が第1面421に沿いながら走行跡Aに向かって移動する際に、土壌面(基準面)である泥土の水面より上方である第1面421の上方に位置する第2面422に向かってせり上がる量を減少させることができる。そして、通過領域424上方の突出部423によって、土壌の基準面直下の土壌、および、基準面より上方の盛土Eを走行跡Aに向かうように移動させる。すなわち、土壌が第1面421の前面に沿って移動する距離を短くできるので、移動に要する時間も短縮され、第2面422に向かってせり上がる量を減少させることができる。
【0043】
この発明の実施例の構成によって、基準面より下方に位置する第1面421による土壌の移動では、走行跡Aを埋めるには土壌量が不足する場合においても、突出部423による土壌面上部および盛土Eの土移動で、不足分を補充しながら走行跡Aを埋める。盛土E(E1、E2)を含む土壌表層の土壌を移動させるので、土壌を効率的に均すことができる。
さらに、第1面421から第2面422に向かう上方に土壌がせり上がる量を減少させることにより、第1面421および第2面422で走行跡Aに向かう土壌の流れBを阻害することを減少させ、効率的な土移動を可能にする。第1土寄せ板42の構成によって、走行跡から離れた場所で上方に盛り上がった盛土E1や、既に形成された盛土E2を捕捉可能としている。走行機体の走行速度に関係なく、広い範囲の盛土Eを均すとともに、盛土Eの土壌を走行跡Aに移動させることができる。
【0044】
図6において、実線であらわすのは第1土寄せ板42が前方から相対的に移動してくる土壌の負荷を受けて回動した状態であり、二点鎖線であらわす第1土寄せ板42は、低負荷時の回動する前の第1土寄せ板42の位置である。
図7は、この発明の実施例に係る第1土寄せ板42の旋回軸61回りの平面から見た断面図であって、
図6において、実線で示す第1土寄せ板42が負荷を受けて回動した状態をあらわす。
図8は、この発明の実施例に係る第1土寄せ板42の旋回軸61回りの平面から見た断面図である。
図6において、実線で示す第1土寄せ板42が負荷を受けて無い状態をあらわす。第1土寄せ板42の負荷を受けて旋回軸61回りに回動する機構の説明は後述する。
【0045】
この発明の実施例では、
図4に図示するように外縁部425に隣接する第1面421の下端部は傾斜状に設けた傾斜部427を有している。傾斜部427の形状によって、第1面421で移動する土壌量の特性を決めることができる。傾斜部427は例示の形状によらず、傾斜部427の形状や角度を変更することで、第1面421での土壌の移動の特性を自由に調整することができる。また、傾斜部427も外縁部425に含んで、傾斜部427の下部も通過領域424とすることもできる。実施例での傾斜部427は直線状に構成しているが、湾曲線で形成してもよいし、円弧を含む湾曲線と線分を組み合わせて形成してもよい。
第1面421および第2面422は単純な平面で構成したように説明したが、第1面421および第2面422は2次元および3次元状に湾曲してもよいし、平面あるいは湾曲面に凹凸状部をさらに形成してもよい。
【0046】
図10に図示するように、第1土寄せ板42は、進行方向から見た場合の走行跡Aの境界付近であって、走行機体の進行方向に対する幅方向外側の走行跡Aの境界付近に配置する。第1土寄せ板42の走行跡A外側の側方端部は、走行跡A内側の側方端部より前進方向側に位置させている。すなわち、
図11、
図13、
図15、
図17に図示するように平面視における第1土寄せ板42は、走行跡A内側に向かうにつれて後方に傾斜するように配置している。この配置によって、第1土寄せ板42を前進させて、土壌が第1土寄せ板42に向かって相対的に移動して、第1土寄せ板42に到達したときに土壌の流れBを第1土寄せ板42の面に沿って向かうように土壌の移動方向を変更する。そしてこの土壌は、第1土寄せ板42の面に沿いながら走行跡Aの内側に向かって移動することで、走行跡Aに土壌を補給することができる。
【0047】
第1土寄せ板42は、走行機体の進行方向の幅に対する外側の走行跡Aの境界付近に配置させたものとして説明する。実施例において、第1土寄せ板42の走行跡A内側の側方端部は、走行跡Aの境界に対して内側に位置させている。このように配置することで、第1土寄せ板42で移動させた土壌を確実に走行跡Aに補給することができる。また、実施例での第1土寄せ板42は、中央作業体11のサポートフレーム24または伝動ケース23より内側に配置している。この配置によって、土壌を補給された走行跡Aは大まかに平らに均され、第1土寄せ板42の後部に位置する砕土部3によって、元々走行跡Aがあった部分も含めて耕耘および砕土がされる。
【0048】
43は、第2土寄せ板である。第2土寄せ板43は、
図10乃至
図18に図示するように、砕土部3の前方且つカバー体4の下方に位置し、第1土寄せ板42が配置される一つの轍の一方側に配置する板状部材である。さらに、第2土寄せ板43は第1土寄せ板よりも走行跡Aから離れる方向である外側に位置させ、配置した面を、平面視において、機体幅である農作業機1幅に対する内側に向かうにつれて後方側に傾斜させる。
第2土寄せ板43は、第1土寄せ板42よりも農作業機1の機体幅外側であるカバー体4の端部側に設置する。実施例での第2土寄せ板43は、カバー体4の両端部に配置する伝動ケース23またはサポートフレーム24の前方に位置させている。
第1土寄せ板42と第2土寄せ板43とは、走行する走行機体である農作業機1によって圃場に形成される一つの轍に対して同じ境界側に設置する。
第2土寄せ板43は第1土寄せ板42よりも小さな面積で構成し、この面積の大部分を土中に埋没させた状態で使用する。第2土寄せ板43は第1土寄せ板42で捕捉されずに、走行跡A側に移動できなかった土壌を移動させることができる。
図6に示すように、第2土寄せ板43は第1土寄せ板42近傍の土壌の流れBのうち、第1土寄せ板42の通過領域424を通過して、第1土寄せ板42の後方側に移動した土壌の流れBを適正に整え、走行跡A側への土壌の移動経路である通過経路Fを形成する。通過経路Fは第1土寄せ板42と第2土寄せ板43との間、つまり、第1土寄せ板42の後部であって第2土寄せ板43の前方に形成される。
【0049】
土寄せ体である第2土寄せ板43は、走行跡Aである轍の境界から外側に向かってやや離れた場所に位置させて、轍に土を移動させて、轍の跡を消して、平坦に均す。実施例での第2土寄せ板43は、単純な板形状としているが、第2土寄せ板43の上部をやや前方に傾斜するように折り曲げて、第2土寄せ板43の前方に沿って移動する土が、第2土寄せ板43に乗り上げて後方に移動することを防ぐように構成してもよい。
第2土寄せ板43は、
図3、
図10乃至
図18に図示するように、サポートフレーム24に固定する。
【0050】
第2土寄せ板43は、
図10、
図12、
図14、
図16、
図18に図示するように、進行方向から見た場合の走行跡Aの境界付近であって、走行機体の進行方向に対する幅方向外側の第1土寄せ板42と同じ側の走行跡Aの境界付近に配置する。さらに、第1土寄せ板42に対して、走行跡Aの外側にずらして位置させる。第2土寄せ板43の外側の側方端部は、走行跡A内側の側方端部より前進方向側に位置させている。すなわち、平面視における第2土寄せ板43は、走行跡A内側に向かうにつれて後方に傾斜するように配置している。
第2土寄せ板43は、走行跡A内側に向かうにつれて後方に傾斜することによって、土壌が第2土寄せ板43に向かって相対的に移動して、第2土寄せ板43に到達したときに土壌の流れBを第2土寄せ板43の面に沿って向かうように土壌の移動方向を変更する。
そしてこの土壌は、第2土寄せ板43の面に沿いながら走行跡Aの内側に向かって移動し、走行跡Aに向かって土壌を補給することができる。
【0051】
第2土寄せ板43は、砕土部3の左右両端部に位置するサポートフレーム24および、サポートフレーム24が備える伝動ケース23の前方に配置する。ここで、サポートフレーム24および伝動ケース23は回転部材を有する砕土部3を支える部位であって、進行方向前後部分を含む近傍には砕土部3の耕耘爪32が到達できない未耕部分である未耕領域Dとなる。耕耘爪32が到達する部分は耕耘領域Cであり作業領域Cとも呼ぶことがある。未耕となる土壌である未耕領域Dの多くは土塊を含み、この土塊がそのままサポートフレーム24および伝動ケースに到達すると、砕土部3で砕土されることなく、サポートフレーム24および伝動ケースの近傍を通過し、整地されることとなる。すると、一見して均平になっているような土壌でも、その内部に土塊が存在することとなり、後工程の作業である定植作業あるいは田植作業が適正に行えない等の影響が出る場合がある。
【0052】
第2土寄せ板43は、
図10、
図12、
図14、
図16、
図18に図示するように、砕土部3の耕耘領域Cではない部である未耕領域Dの前方に配置することで、未耕となる土塊を砕土部3に誘導し、砕土部3で砕土させることができる。そして、第2土寄せ板43は、第1土寄せ板42より作用する面積を小さく設けている。これにより、不要に多くの土壌を走行跡Aに向かって移動させることがなく、必要にして最小限の土壌を砕土部3および走行跡Aに供給することができる。第2土寄せ板43は上記により、走行跡Aへの土壌の補給と未耕部分の土壌の砕土を促進する役割を担う。
【0053】
44は、第3土寄せ板である。第3土寄せ板44は、砕土部3の前方且つカバー体4の下方に位置し、轍の他方側に配置するとともに第2土寄せ板43より進行方向に対する左右側の外側に位置した面を、機体幅である農作業機1幅に対する内側に向かうにつれて後方側に傾斜させる。
第3土寄せ板44は、農作業機1のカバー体4の中央側であり、第1土寄せ板42及び第2土寄せ板43よりも、農作業機1の機体幅に対して進行方向に対する内側に設置する。
第3土寄せ板44は、第1土寄せ板42及び第2土寄せ板43に対して、走行する走行機体で圃場に形成される一つの轍の幅を挟んで、対向させて設置する。つまり、一つの轍の一方側の境界付近に配置する第1土寄せ板42及び第2土寄せ板43とは、対向する他方側の境界付近に第3土寄せ板44を配置する。
【0054】
第3土寄せ板44の前端は第1土寄せ板42の前端より後方に位置する。第3土寄せ板44は、第1土寄せ板42に対してやや後方に設けており、前方に位置する走行機体との間隔に余裕を持たせるようにしている。
第1土寄せ板42及び第2土寄せ板43及び第3土寄せ板44のそれぞれの前端はカバー体4の前端より前方に突出している。カバー体4の機体の幅方向に対する中央付近に第3土寄せ板44が、カバー体4の機体の幅方向に対する端部に第1土寄せ板42及び第2土寄せ板43がそれぞれ配置されてある。土が、カバー体4の前端部より後方に位置する砕土部3に到達する前に、土の流れを決めて、予め轍溝である走行跡Aへ土を送ることができる。
【0055】
5は、整地体である。整地体5は、農作業機1の作業時においてカバー体4の後部に取り付ける。農作業機1の進行に伴い、砕土部3の後方に位置して砕土後の圃場を整地する。
5Lは、左整地体である。左整地体5Lは、カバー体左4Lの後部に取り付け、整地体5の作業時に進行方向に対する左側端部を構成する。
5Rは、右整地体である。右整地体5Rは、カバー体右4Rの後部に取り付け、整地体5の作業時に進行方向に対する右側端部を構成する。
【0056】
521は、ヒンジである。ヒンジ521は、ヒンジ521に嵌められた支点軸を介して、整地体5及び整地体左5L及び整地体左5Rのそれぞれの前方側部分である、第1整地体51及び左第1整地体51L及び右第1整地体51Rをカバー体4及びカバー体左4L及びカバー体右4Rに対して上下回動する回動支点として取り付ける。
【0057】
56は、第2整地体である。第2整地体56は、農作業機1の側面図をあらわす
図2に図示するように、農作業機1に取り付けた第1整地体51の後端側で整地する。
56Lは、左第2整地体である。左第2整地体56Lは、進行方向左側に位置するカバー体左4Lの後方を整地する。
56Rは、右第2整地体である。右第2整地体56Rは、進行方向右側に位置するカバー体右4Rの後方を整地する。
522はヒンジである。ヒンジ522は、第1整地体51及び左第1整地体51L及び右第1整地体51Rの後端部にそれぞれ設けた回動支点であり、第2整地体56、左第2整地体56L、右第2整地体56Rを第1整地体51及び左第1整地体51L及び右第1整地体51Rに対して上下に回動可能にする。
【0058】
土寄せ体である第1土寄せ板42、第2土寄せ板43、第3土寄せ板44は、走行機体であるトラクタの進行方向の後方且つ前記砕土部3の進行方向の前方側に配置し、トラクタによって形成された走行跡Aに、土を移動させて走行跡Aを消すことが可能である。土寄せ体で予め大まかに均した土壌を砕土部3で砕土し、この砕土した土壌を整地体5で均平に整地することができる。
【0059】
第1土寄せ板42の回動機構について説明する。
61は、旋回軸である。62は、ボスである。旋回軸61は、ボス62の筒内径に設け、軸方向への上下移動及び軸周りへの旋回動作が可能である。旋回軸61によって、旋回軸61に対する前方側に一体的に設けた第1土寄せ板42をほぼ水平方向に旋回可能にさせる。第1土寄せ板42の旋回によって、進行方向前方から見たときの第1土寄せ板42の前方投影面積を変化させることができる。実施例での旋回軸61及びボス62はカバー体4の両端部側の前部に配置する。
第1土寄せ板42は旋回軸61の進行方向に対する左右方向に対する取り付け位置を選択することで、第1土寄せ板42の幅方向に対する旋回支点を変更することができる。第1土寄せ板42は旋回軸61周りに旋回することで、旋回軸61から進行方向左右幅に対する一方側と旋回軸61から進行方向左右幅に対する他方側の、旋回軸61を挟んだ第1土寄せ板42の左右両側の面積を変化させることができる。
旋回軸61はボス62によって、第1土寄せ板42上下方向に移動可能にさせるとともに、第1土寄せ板42を上下方向に対する任意の位置で固定可能である。
【0060】
この発明の実施例の場合、第1土寄せ板42をほぼ水平方向に旋回させる鉛直方向に向けて配置した旋回軸61を有している。この旋回軸61によって、土壌が第1土寄せ板42の前方から相対的に移動して、第1土寄せ板42に到達したとき発生する後方側への負荷によって旋回するように設けている。
この発明の実施例の場合、負荷が大きくなると、第1土寄せ板42の前方側に位置する端部が後方に向かうように旋回する。すると、第1土寄せ板42は、平面視における土壌が走行跡Aに向かう角度を変更することができる。
【0061】
71は弾性部材である。弾性部材71は、旋回軸61によって旋回可能な第1土寄せ板42を一方の旋回方向に付勢する。
図5に図示する65は、旋回軸61の上下位置調整用の孔、66は旋回軸61を上下方向に対して保持する保持部材である。上下位置調整用の孔65は、旋回軸61の軸方向に複数設けた貫通孔である。保持部材66、66は、ボス62を上下で挟むように旋回軸61と同軸に設けた筒部を有し、ボス62が旋回軸61の上下方向へ移動することを規制する。保持部材66、66はカバー体4に取り付けて固定する。67は、ボルトからなる固定部材、68は、カバー部材である。固定部材67をボス62及び孔65に貫通させることよって、旋回軸61の上下位置を固定し位置決めする。つまり、ボス62は、保持部材66、66の上下間に配置し、且つ、旋回軸61を貫通させ、さらに、固定部材67でボス62及び孔65を貫通させることによって、ボス62自身の上下位置も位置しながら旋回軸61の上下位置も固定する。上下位置も固定された状態であっても、旋回軸61は水平方向への回動が可能に構成する。
【0062】
この発明の実施例の土寄せ板(第1土寄せ板42)は鉛直方向の旋回軸61によって、水平方向に設定された範囲内で旋回可能に設けている。土寄せ板(第1土寄せ板42)は前方からの負荷が大きくなると、土寄せ板(第1土寄せ板42)の前方投影面積が大きくなるように旋回する。
さらに、土寄せ板(第1土寄せ板42)は、弾性部材71によって旋回方向に付勢されていて、負荷が小さくなると土寄せ板の前方投影面積が小さくなるように旋回する。すなわち、弾性部材71は、第1土寄せ板42を第1土寄せ板42の前方投影面積が小さくなる方向に付勢する。
【0063】
旋回軸61の前方には土寄せ体である第1土寄せ板42が固定されていて、旋回軸61は第1土寄せ板42の実質的な旋回軸61となっている。旋回軸61は保持部材66、66に対して、上下方向へのスライドと軸周りへの旋回が可能である。旋回軸61を保持部材66、66から引き抜くことで第1土寄せ板42の着脱が可能である。保持部材66、66の筒部は上部側に配置したものを上部カラー661、下部側に配置したものを下部カラー662ということもある。
旋回軸61には複数の上下位置調整用孔65を設け、上部カラー661及び下部カラー662に旋回軸61を貫通させたのち、上下位置を選択してボス62で固定することで、旋回軸61の上下移動を規制することができる。そのため、土寄せ体(第1土寄せ板42)の上下位置を調整可能である。
【0064】
弾性部材71は、上部カラー661及び下部カラー662の上下間であって、ボス62の下方に位置させる。実施例では、弾性部材71は巻きばねを用いている。ボス62の下方には弾性部材71の周囲を覆うようカバー部材68が固定されている。弾性部材71は下部カラー662を有する保持部材66とカバー部材68に架け渡す。弾性部材71は固定部材67及びボス62及び旋回軸61を介して土寄せ体(第1土寄せ板42)を一方側に旋回させるように付勢する。実施例では、巻きばねで示したが、一方側に旋回させるように配置した圧縮ばね、引張ばね、流体圧を使用した弾性部材71でもよい。なお、カバー部材68は保持部材66と接触することによって、旋回軸61周りの旋回範囲を規制されている。つまり、ボス62は回動が規制されており、ボス62に固定部材67で固定する旋回軸61も回動を規制されていることによって、第1土寄せ板42の回動も規制されている。
【0065】
第1土寄せ板42と第2土寄せ板43の位置関係について説明する。
第1土寄せ板42が負荷を受け、第1土寄せ板42の前端である走行跡Aから離れる側の外側の端部が後方に旋回した場合を想定して
図7、
図8、
図10、
図13、
図14にしたがって説明する。
図10、
図12、
図14、
図16、
図18に図示するCは、作業領域(耕耘領域)、Dは未耕領域である。
このときの第2土寄せ板43の前端である走行跡Aから離れる側の外側の端部は、平面視および側面視において、第1土寄せ板42の後端である走行跡Aに近い側の内側の端部と、進行方向前後位置においてほぼ同じか、やや後方に位置するように配置する。
そして、平面視および正面視で、第1土寄せ板42の前端と第2土寄せ板43の前端が進行方向に対する幅方向において一致、あるいは、第2土寄せ板43の前端が第1土寄せ板42の前端より、ややずれた位置に配置する。このようにすることで、第2土寄せ板43が第1土寄せ板42に対して進行方向に対する幅方向で、全部または少なくとも一部が正面視で重合するように設ける。
第2土寄せ板43は、進行方向から見た場合の左右位置が第1土寄せ板42と重なる位置にすなわち重合させて配置し、且つ、第1土寄せ板42とは前後位置を間隔をあけて配置することによって、走行跡Aに向かって土壌を移動させる
【0066】
また、第2土寄せ板43は第1土寄せ板42と異なり、土寄せ面のほぼ全部が土中に埋没した状態で使用される。これに対し、第1土寄せ板42は上部が土壌面から上方に突出した状態で使用される。
実施例での第1土寄せ板42は土中に埋没するように設けた第1面421と、第1面421から連続した上方側に設け、土壌から上方に向かって突出した第2面422を有している。第2面422は第1面421の走行跡Aから離れた側の側方端部より側方に突出させるように設ける。第1土寄せ板42の前端が後方に旋回した場合の正面視において、第1土寄せ板42の一部である第2面422は、第2土寄せ板43と左右方向が重複するように設けている。
【0067】
第1土寄せ板42と第2土寄せ板43の配置にした場合の土壌の流れBを説明する。
第1土寄せ板42は走行跡Aの境界付近に位置させ、前進することで走行跡Aの外側に位置する。第1土寄せ板42は前進するにともなって、走行機体の左右方向に押し退けた土壌を捕捉する。第1面421は土中の土壌を捕捉して、第1面421に沿って走行跡Aに向かって案内するように土壌を移動させる。また、
図10に図示するように、第2面422及び第2面に形成した突出部423は基準面である土壌面から一部が盛り上がった、走行機体が形成する盛土E1部分を捕捉して、第2面422に沿って走行跡Aに走行跡Aに向かって案内するように土壌を移動させる。E2は、走行機体によらず、既に形成された盛土である。第2面422は盛土E2も捕捉可能に構成されている。
【0068】
突出部423の下方であって、走行跡Aから離れる側の外縁部425側方の土壌は、通過領域424を通過してそのまま第1土寄せ板42に対する相対的な進行方向後方に移動する。このうち一部の土壌は、第1土寄せ板42の直後に回り込むように移動することがあるため、第1土寄せ板42を通過後の土壌の流れBが乱れ、乱流状となる場合がある。乱流は、周囲の土壌を巻き込むように流れを形成し、土壌を抉ることがあり、圃場面に凹部を形成する要因になり得る。また、乱流は周囲の土壌を巻き込みながら移動させる場合があり、意図せずに多量の土壌を移動させる場合がある。
【0069】
図10に図示するように、第2土寄せ板43は、正面視において、第1土寄せ板42に対して少なくとも左右幅の一部が重複するように配置している。第1土寄せ板42を通過した土壌は、第2土寄せ板43によって、案内されるように走行跡A側に移動することができる。このとき、第2土寄せ板43の配置によって第1土寄せ板42を通過後の土壌の流れBの乱れの程度が抑制され、周囲の土壌を抉ることなく走行跡A側に移動可能となる。さらに、乱流を抑制することで意図しない量の土壌の移動も抑制できる。
第1土寄せ板42と第2土寄せ板43の間の土壌が移動する経路を通過経路Fと呼び、通過経路Fの形成によって、適正量の土壌が走行跡Aに移動できる。したがって、砕土部3で砕土前の土壌が適正に均される。
【0070】
さらに、第2土寄せ板43は第1土寄せ板42より小さく設けているので、過剰に土を走行跡A側に移動させることがないので、砕土前の土壌を適正に均すことを向上させる。また、第2土寄せ板43は土中に埋まった状態に配置しているので、土中の通過経路での流れを整えながらも、表層の土壌の流れBに影響を与えない。つまり、第2土寄せ板43は、走行跡A側に向かう土壌量を必要にして十分な面積としながら、土壌の流れBを整える構成とすることで、過剰な土の移動を抑制しつつ、土壌を抉らずに均すことができるのである。土壌である泥土は、表層に水分が多く分布していることから、土中のみで作用することで、効果的に土壌を移動させることができる。
【0071】
第1土寄せ板42の第2面422の下方の通過領域424を通過した土壌は、土中内の土壌であって土塊等が含まれていることがある。耕耘領域Cではない部分の前方に配置した第2土寄せ板43は、土壌を捕捉することで走行跡Aに向かって土壌を移動させる。第2土寄せ板43の案内を終えた後の土壌は、後部に位置する砕土部3によって、砕土される。つまり、第2土寄せ板43によって、通過領域424を通過した土塊が、耕耘領域Cではない部分に向かうことなく、耕耘領域Cである作業領域Cに向かって移動することができる。砕土部3で砕土後の土壌は、整地体によって均一に整地され、作業が完了となる。
【0072】
第1土寄せ板42、第2土寄せ板43によって、砕土部3が砕土前の土壌に形成された走行跡Aを解消して適正な状態にしつつも、作業領域Cではない未耕領域Dの前方に位置する土塊を砕土可能とすることで作業体を有する農作業機1が通過後の土壌は、均一に整地することができる。
【0073】
他の位置関係について、
図11、
図12に図示するように第1土寄せ板42が負荷を受けずに、第1土寄せ板42の前端が後方に旋回しない場合について説明する。
走行速度が遅い場合、第1土寄せ板42は前面から見たときの前方投影面積が小さくなるように旋回した状態である。このとき、第1土寄せ板42と第2土寄せ板43は、正面視において、
図12に図示するように左右方向で重複していない状態で、通過経路を形成する。
第1土寄せ板42にかかる負荷が小さい、すなわち、走行速度が遅い場合は、走行機体が通過する際に走行跡Aから、進行方向に対する幅方向に移動する土壌の移動範囲が小さい。このため、第1土寄せ板42は前方投影面が小さな状態でも、十分に土壌を走行跡Aに移動させることができる。
【0074】
他方、第2土寄せ板43は作業領域Cではない前方に配置しているので、土中の土塊を砕土部3に向かって移動させることができる。また、走行速度が遅い場合は、第1土寄せ板42の側方を通過した泥流の乱れは、走行速度が速い場合と比較して大きく乱れない。第1土寄せ板42の前端部が前方に移動し、第2土寄せ板43とで形成する通過経路が大きくなっても、土壌の乱流を抑制できる。
すなわち、速度が小さいことによって第1土寄せ板42での乱流の発生も小さくなるので、乱流を起因とする土壌の抉れを抑制できる。第2土寄せ板43は、未耕領域前方の土塊を砕土部3に到達させることができるので、土壌を均すとともに、砕土を促すことができる。
そして、走行速度を速くして負荷が大きくなったら、
図13及び
図14に示すように、第1土寄せ板42が旋回軸まわりに旋回することで、前方投影面積を拡大させ、第2土寄せ板43と重複する状態となる。
【0075】
図15は、この発明の実施例に係る、取付位置を
図11に図示するより図中右側に変更して、第1土寄せ板42が負荷を受ける前の状態であって、第2土寄せ板43と重合した状態の平面図である。第2土寄せ板43は、進行方向から見た場合の前後位置が第1土寄せ板42と重なる位置にすなわち重合させて配置する。
図16は、取付位置を
図12に図示するより図中右側に変更して、第2土寄せ板と重合した状態の正面図である。
図17は、この発明の実施例に係る、取付位置を
図13に図示するより図中右側に変更して、第1土寄せ板が負荷を受けた状態であって、第2土寄せ板と重合した状態の平面図である。
図18は、取付位置を
図14に図示するより図中右側に第2土寄せ板と重合した状態の正面図である。
図14、
図16、
図18に図示するように、正面から見た場合、
図12と異なり、第1土寄せ板42は、第2土寄せ板43と重なっている。
図15、
図16および、
図17、
図18に図示するように、第1土寄せ板42と第2土寄せ板43は、速度や負荷に依らず、予め進行方向左右に対して重複した状態を形成させることも可能である。
【0076】
この発明の実施例の場合
図15、
図16に図示するように、負荷が小さい場合の第1土寄せ板42に対して、第2土寄せ板43の一部が進行方向に対する左右方向で重複させて、通過経路を形成している。この場合、第1土寄せ板42の側方を通過した泥流の乱れは、大きく乱れないものの、第2土寄せ板43との間に形成される通過経路によって、泥流の乱れをさらに抑制できる。つまり、より一層、砕土前の土壌を均すことができる。
【0077】
そして、走行速度が大きくなり、第1土寄せ板42が受ける負荷が大きくなると、
図17、
図18に図示するように、第1土寄せ板42の前端部が後方に移動する。このとき、左右方向における第2土寄せ板43のすべては、第1土寄せ板42に重なるように配置する。
すなわち、速度や負荷によらず、第2土寄せ板43は第1土寄せ板42に対して、正面視における左右方向の少なくとも一部が重複する状態である。第2土寄せ板43は第1土寄せ板42の第1面421の側方の通過領域424を通過する土壌を捕捉して、走行跡A側に移動させる。第2土寄せ板43と第1土寄せ板42との間に通過経路Fは形成されているので土壌の乱流を抑制でき、結果として、乱流を起因とする土壌の抉れを、抑制できる。また、第2土寄せ板43は、未耕領域D前方の土塊を砕土部3に到達させることができるので、土壌を均すとともに砕土を促すことに変わりはない。
【符号の説明】
【0078】
1 農作業機(走行機体)
3 砕土部
32 耕耘爪
42 第1土寄せ板
43 第2土寄せ板
61 旋回軸
71 弾性部材
421 第1面
422 第2面
423 突出部
424 通過領域
426 仮想の直線
A 走行跡
B 土壌の流れ