(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088187
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】フレキシブル基板、電子機器
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20240625BHJP
【FI】
H05K1/02 B
H05K1/02 J
H05K1/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203239
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【弁理士】
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】市原 多香士
(72)【発明者】
【氏名】神野 達志
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 友弘
【テーマコード(参考)】
5E338
【Fターム(参考)】
5E338AA01
5E338AA12
5E338BB55
5E338BB56
5E338CC04
5E338CD13
5E338EE21
5E338EE60
(57)【要約】
【課題】複数の導電パターンの幅が均一でない場合でも、斜め折りの発生を抑制する技術を提供する。
【解決手段】基材610は、第1端部から第2端部に延びる。第1導電パターン630は、基材610の表面において第1端部側から第2端部側にわたって形成される。第2導電パターン(3.3V)632と第2導電パターン(1.8V)634は、基材610の表面において第1端部側から第2端部側にわたって形成され、かつ第1導電パターン630よりも幅広の形状を有する。基材610は、第1端部と第2端部との間の位置において基材610を横断する折曲げ線Cに沿って折曲げ可能である。第2導電パターン(3.3V)632と第2導電パターン(1.8V)634の内部には、折曲げ線Cに交差し、かつ第1端部と第2端部との間の距離よりも短いスリット640が配置される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端部から第2端部に延びる基材と、
前記基材の表面において前記第1端部側から前記第2端部側にわたって形成される第1導電パターンと、
前記基材の表面において前記第1端部側から前記第2端部側にわたって形成され、かつ前記第1導電パターンよりも幅広の形状を有する第2導電パターンとを備え、
前記基材は、前記第1端部と前記第2端部との間の位置において前記基材を横断する折曲げ線に沿って折曲げ可能であり、
前記第2導電パターンの内部には、前記折曲げ線に交差し、かつ前記第1端部と前記第2端部との間の距離よりも短いスリットが配置されるフレキシブル基板。
【請求項2】
第1端部から第2端部に延びる基材と、
前記基材の表面において前記第1端部側から前記第2端部側にわたって形成される第1導電パターンと、
前記基材の表面において前記第1端部側から前記第2端部側にわたって形成され、かつ前記第1導電パターンよりも幅広の形状を有する第2導電パターンとを備え、
前記基材は、前記第1端部と前記第2端部との間の位置において前記基材を横断する折曲げ線に沿って折曲げ可能であり、
前記第2導電パターンは、前記折曲げ線に交差する部分において幅が細くなるフレキシブル基板。
【請求項3】
前記基材は、前記第1端部と前記第2端部との間の部分において湾曲し、
前記基材は、湾曲した部分に前記折曲げ線を有し、
前記第1導電パターンは、前記基材の湾曲した形状に沿って湾曲し、
前記第2導電パターンは、前記折曲げ線を挟む一部区間において直線形状を有する請求項1または2に記載のフレキシブル基板。
【請求項4】
請求項1または2に記載のフレキシブル基板と、
前記フレキシブル基板の前記第1端部に接続される第1基板と、
前記フレキシブル基板の前記第2端部に接続される第2基板と、
を備える電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フレキシブル基板に関し、特に折り曲げられるフレキシブル基板、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の小型化に伴って、折り曲げて収納可能なフレキシブル基板の需要が高まっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フレキシブル基板では、可撓性を有する基材の表面に複数の導電パターンが形成される。そのため、基材を折り曲げるときに複数の導電パターンも折り曲げられる。一般的に、導電パターンの幅が広くなるほど曲がりにくくなる。基材に形成される複数の導電パターンの幅が均一でない場合、曲がりやすい部分と曲がりにくい部分とが存在する。曲がりやすい部分と曲がりにくい部分とが存在すると、基材に斜め折りが生じやすくなる。基材の斜め折りにより、フレキシブル基板の端部がコネクタに挿入されにくくなる。
【0005】
本開示はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の導電パターンの幅が均一でない場合でも、斜め折りの発生を抑制する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のある態様のフレキシブル基板は、第1端部から第2端部に延びる基材と、基材の表面において第1端部側から第2端部側にわたって形成される第1導電パターンと、基材の表面において第1端部側から第2端部側にわたって形成され、かつ第1導電パターンよりも幅広の形状を有する第2導電パターンとを備える。基材は、第1端部と第2端部との間の位置において基材を横断する折曲げ線に沿って折曲げ可能であり、第2導電パターンの内部には、折曲げ線に交差し、かつ第1端部と第2端部との間の距離よりも短いスリットが配置される。
【0007】
本開示の別の態様もまた、フレキシブル基板である。このフレキシブル基板は、第1端部から第2端部に延びる基材と、基材の表面において第1端部側から第2端部側にわたって形成される第1導電パターンと、基材の表面において第1端部側から第2端部側にわたって形成され、かつ第1導電パターンよりも幅広の形状を有する第2導電パターンとを備える。基材は、第1端部と第2端部との間の位置において基材を横断する折曲げ線に沿って折曲げ可能であり、第2導電パターンは、折曲げ線に交差する部分において幅が細くなる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、複数の導電パターンの幅が均一でない場合でも、斜め折りの発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態に係る電子機器の構造を示す分解斜視図である。
【
図2】
図1の電子機器を前側から見た場合の正面図である。
【
図3】
図1のアンテナモジュールの構造を示す正面図である。
【
図4】
図4(a)-(d)は、電子機器に取り付けたフレキシブル基板の構造を示す図である。
【
図5】
図5(a)-(b)は、
図4(d)の湾曲部の構造を示す拡大図である。
【
図6】
図6(a)-(c)は、
図4(d)の湾曲部の別の構造を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示を具体的に説明する前に、概要を述べる。本実施の形態は、筐体内に複数の基板を備える電子機器に関する。電子機器の一例は、車両等に搭載可能な車載機器等である。筐体内に複数の基板が備えられる場合、複数の基板間を電気的に接続する必要がある。一方、車載機器等の電子機器では小型化が求められるので、筐体内の空間が小さくなる。筐体内の空間が小さい状況下において、複数の基板を電気的に接続する場合、折曲げ可能なフレキシブル基板の使用が望ましい。
【0011】
前述のごとく、フレキシブル基板に形成される複数の導電パターンの幅が均一でない場合、フレキシブル基板を折り曲げる際に斜め折りが生じやすくなる。斜め折りにより、フレキシブル基板の端部がコネクタに挿入されにくくなる。導電パターンの幅が均一でない場合であっても、斜め折りの発生を抑制することが求められる。本実施例に係るフレキシブル基板には、所定の幅の導電パターン(以下、「第1導電パターン」という)と、第1導電パターンの幅よりも広い幅の導電パターン(以下、「第2導電パターン)という)とが形成されており、第2導電パターンにおいて折曲げ線を跨ぐ領域にはスリットが設けられる。このような構成により、第2導電パターンの幅が太くても、スリットにより折り曲げやすくなるので、斜め折りの発生が抑制される。
【0012】
なお、以下の説明において、「平行」、「直交」は、完全な平行、直交だけではなく、誤差の範囲で平行、直交からずれている場合も含むものとする。また、「略」は、おおよその範囲で同一であるという意味である。
【0013】
図1は、電子機器1000の構造を示す分解斜視図である。
図2は、電子機器1000を前側から見た場合の正面図である。
図1に示すように、x軸、y軸、z軸からなる直交座標系が規定される。x軸、y軸は互いに直交する。z軸は、x軸およびy軸に垂直であり、電子機器1000の高さ方向に延びる。また、x軸、y軸、z軸のそれぞれの正の方向は、
図1における矢印の方向に規定され、負の方向は、矢印と逆向きの方向に規定される。ここでは、x軸の正方向を「前方」、「前側」、x軸の負方向を「後方」、「後側」、y軸の正方向を「右方」、「右側」、y軸の負方向を「左方」、「左側」、z軸の正方向を「上方」、「上側」、z軸の負方向を「下方」、「下側」ということもある。そのため、x軸は前後方向に延び、y軸は左右方向に延び、z軸は上下方向に延びるといえる。
【0014】
筐体100は、中空の箱形形状を有する。筐体100の内部には、電子機器1000の各種機能を実行するための回路(図示せず)が配置される。筐体100の前側には開口110が設けられ、開口110は、板形形状を有する前板200により覆われる。前板200の前側の面の中央部分には、アンテナモジュール300を前側から固定可能な窪みである固定部210が設けられる。前板200における固定部210の上側には、前板200を貫通した貫通孔220が設けられる。アンテナモジュール300の構造については後述するが、アンテナモジュール300は貫通孔220を塞がない形状を有する。アンテナモジュール300の前側には通信用基板400が取り付けられる。通信用基板400には、無線LANとBluetooth(登録商標)による通信を実行するための回路(図示せず)が実装される。通信用基板400がアンテナモジュール300に取り付けられると、通信用基板400は前板200の貫通孔220を塞ぐ。通信用基板400の前側の面には第1コネクタ410が配置される。また、通信用基板400は、前側から前側カバー500により覆われる。
【0015】
2.4GHz/5GHz対応のデュアルバンドアンテナは、Bluetooth(登録商標)用の2.4GHz帯域の通信と、無線LAN用の2.4GHz/5GHz帯域の通信とに使用される。これまでは、Bluetooth(登録商標)と5GHz帯域の無線LANに対するアンテナと、2.4GHz帯域と5GHz帯域の無線LANに対するアンテナとが、互いに離されて別々に搭載されている。このような構成の場合、アンテナ単体は変形しやすい板状の部品であるとともに、輸送が2梱包でなされる。また、各アンテナを取り付けた後にケーブルの配線作業が必要になるとともに、取付が終わらないとアンテナ性能の評価が困難である。さらに、各アンテナを筐体の前側に取り付ける場合、ケーブルを固定するための取付爪を筐体に設けなければならない。取付爪を切出し加工により筐体に設けることによって、筐体には貫通孔が発生する。貫通孔により、車室内にて生じる妨害電波が筐体の内部の回路に影響を与えうる。
【0016】
本実施の形態では、2つのアンテナを樹脂板に実装するとともに、各アンテナに接続されるケーブルがアンテナまたは樹脂板に取り付けられるアンテナモジュール300を提供する。モジュール化により、アンテナの強度が増すとともに、輸送が1梱包になる。また、アンテナモジュール300を筐体100に取り付けた後のケーブルの配線作業が不要になる。アンテナモジュール300単体でのアンテナの性能評価が可能になる。さらに、ケーブルが樹脂板に取り付けられることによって筐体100に貫通孔がなくなるので、筐体100の内部の回路が車室内にて生じる妨害電波の影響を受にくくなる。
【0017】
図3は、アンテナモジュール300の構造を示す正面図である。樹脂板310は、上下方向よりも左右方向に長い形状を有する。樹脂板310は、前板200の固定部210(
図1)に前側から取付可能である。樹脂板310の前側の面における右側の端部には第1アンテナ350aが設けられる。第1アンテナ350aと通信用基板400(
図1)は、第1ケーブル360aにより接続される。具体的には、第1ケーブル360aの両端には第1ケーブル接続部362aと第1ケーブル端子364aが設けられており、第1ケーブル接続部362aが第1アンテナ350aに接続され、第1ケーブル端子364aが通信用基板400に接続される。第1ケーブル360aは、第1ケーブル接続部362aと第1ケーブル端子364aとの間において第1取付爪370aに取り付けられる。
【0018】
樹脂板310の前側の面における左側の端部には第2アンテナ350bが設けられる。第2アンテナ350bと通信用基板400(
図1)は、第2ケーブル360bにより接続される。具体的には、第2ケーブル360bの両端には第2ケーブル接続部362bと第2ケーブル端子364bが設けられており、第2ケーブル接続部362bが第2アンテナ350bに接続され、第2ケーブル端子364bが通信用基板400に接続される。第2ケーブル360bは、第2ケーブル接続部362bと第2ケーブル端子364bとの間において第2取付爪370bに取り付けられる。
【0019】
アンテナモジュール300によってアンテナがモジュール化されるので、電子機器1000における配線作業は、通信用基板400と筐体100内の基板(図示せず)とを接続するためになされる。
図4(a)-(d)は、電子機器1000に取り付けたフレキシブル基板600の構造を示す。
図4(a)は、筐体100の内部から前側に向かって見た場合の構造を示す。筐体100の内部には、x-y平面に広がる基板150が配置される。基板150の上側の面には、電子機器1000の処理を実行するための回路(図示せず)が実装されるとともに、第2コネクタ160が配置される。前述のごとく、筐体100の前側には前板200が配置され、前板200の前側には貫通孔220を塞ぐように通信用基板400が配置される。通信用基板400と基板150はフレキシブル基板600により接続される。通信用基板400を「第1基板」と呼ぶ場合、基板150は「第2基板」と呼ばれる。
【0020】
図4(b)は、
図4(a)の状態におけるフレキシブル基板600を示す。フレキシブル基板600の基材610は、柔軟性を有する樹脂フィルムであり、第1端部620から第2端部622に延びる。第1端部620は、通信用基板400の第1コネクタ410に接続され、第2端部622は、基板150の第2コネクタ160に接続される。第1端部620が第1コネクタ410に接続された状態において基材610は、通信用基板400に沿って上側に向かって延び、180°折曲げ部612において下側に向くように折り曲げられる。折り曲げられた基材610は、貫通孔220を通って、下側かつ後側に向かって延び、180°折曲げ部614において上側に向かうように折り曲げられる。折り曲げられた基材610は、上側かつ後側に向かって延び、90°折曲げ部616において後側に向かうように折り曲げられ、基板150の上側面に沿って後側に延びる。基材610の後端である第2端部622は第2コネクタ160に接続される。このようにフレキシブル基板600は、通信用基板400と基板150との間の空間に収納される必要があるので、180°折曲げ部612と180°折曲げ部614で約180°折り曲げられ、90°折曲げ部616で約90°折り曲げられる。
【0021】
図4(c)は、
図4(a)の状態の上面図である。通信用基板400の第1コネクタ410に第1端部620が接続され、基板150の第2コネクタ160に第2端部622が接続される。ここで、第1コネクタ410と第2コネクタ160とは左右方向にずれる。
図4(d)は、フレキシブル基板600を折り曲げる前の構造を示す上面図である。第1コネクタ410と第2コネクタ160とが左右方向にずれて配置されるので、基材610は、第1端部620と第2端部622との間の湾曲部618と湾曲部619において湾曲する。2つの湾曲を有する基材610では、寸法精度によって、第1端部620と第2端部622にずれが生じる可能性がある。また、3回の折曲げを有する基材610では、第1端部620と第2端部622にずれが生じる可能性がある。
【0022】
図5(a)-(b)は、湾曲部618の構造を示す拡大図である。基材610の第1端部620と第2端部622との間の位置における湾曲部618には、基材610を横断する折曲げ線Cが配置される。基材610は、折曲げ線Cに沿って折曲げ可能である。湾曲部618に含まれた折曲げ線Cに沿って基材610を折り曲げた部分が、
図4(c)の180°折曲げ部614に相当する。また、
図4(d)の湾曲部619において基材610を折り曲げた部分が、
図4(c)の180°折曲げ部612に相当する。
【0023】
図5(a)は、本開示の比較対象となる構造を示す。基材610の表面には、第1端部620側から第2端部622側にわたって複数の導電パターンが銅箔等により形成される。複数の導電パターンは並んで配置される。複数の導電パターンは、第1導電パターン730、第2導電パターン(3.3V)732、第2導電パターン(1.8V)734を含む。第2導電パターン(3.3V)732は、3.3Vの電圧の印加のために使用され、第2導電パターン(1.8V)734は、1.8Vの電圧の印加のために使用される。第2導電パターン(3.3V)732と第2導電パターン(1.8V)734は、第1導電パターン730よりも幅広の形状を有する。導電パターンの幅が広くなるほど、使用される銅箔の量が多くなるので、導電パターンの硬度が高くなる。
【0024】
そのため、第2導電パターン(3.3V)732の硬度と第2導電パターン(1.8V)734の硬度は第1導電パターン730の硬度よりも高くなる。このような硬度差によって、基材610を折曲げ線Cに沿って折り曲げる際に、折曲げ線Cからずれるように折れ曲がることによって斜め折りが発生しやすくなる。
【0025】
また、第1導電パターン730、第2導電パターン(3.3V)732、第2導電パターン(1.8V)734は、基材610の形状にしたがって延び、基材610の湾曲した形状に沿って湾曲する。湾曲部618において導電パターンが湾曲している場合、折曲げ線Cで折り曲げる際に斜め折りがさらに発生しやすくなる。
【0026】
図5(b)は、本開示の構造を示す。基材610、折曲げ線Cは
図5(a)と同一である。複数の導電パターンは、第1導電パターン630、第2導電パターン(3.3V)632、第2導電パターン(1.8V)634を含む。第1導電パターン630は第1導電パターン730に対応し、第2導電パターン(3.3V)632は第2導電パターン(3.3V)732に対応し、第2導電パターン(1.8V)634は第2導電パターン(1.8V)734に対応する。そのため、第2導電パターン(3.3V)632と第2導電パターン(1.8V)634は、第1導電パターン630よりも幅広の形状を有する。
【0027】
斜め折りの発生を抑制するために、第2導電パターン(3.3V)632と第2導電パターン(1.8V)634のそれぞれの内部には、折曲げ線Cに交差するスリット640が複数配置される。スリット640は銅箔等により形成されない部分であり、銅箔等よりも硬度の低い部分である。第2導電パターン(3.3V)632と第2導電パターン(1.8V)634にスリット640が配置されることによって、スリット640が配置されない場合よりも第2導電パターン(3.3V)632と第2導電パターン(1.8V)634の硬度が低下する。これにより、第1導電パターン630から第2導電パターン(1.8V)634の硬度差が小さくなる。硬度差が小さくなることによって、斜め折りの発生が抑制される。
【0028】
一方、スリット640の存在により第2導電パターン(3.3V)632と第2導電パターン(1.8V)634の電気抵抗が増加する。ここで、スリット640の長さは、第1端部620と第2端部622との間の距離よりも短い、例えば第1端部620と第2端部622との間の距離の10分の1以下にされる。スリット640の長さが制限されることによって、第2導電パターン(3.3V)632と第2導電パターン(1.8V)634の電気抵抗の増加が抑制される。
【0029】
第1導電パターン630は、第1導電パターン730と同様に、基材610の湾曲した形状に沿って湾曲する。一方、第2導電パターン(3.3V)632と第2導電パターン(1.8V)634は、折曲げ線Cを挟む一部区間において直線形状を有し、折曲げ線Cを略直角に跨ぐ。一部区間の長さは、スリット640の長さ以上にされる。第2導電パターン(3.3V)632と第2導電パターン(1.8V)634が折曲げ線Cに対して傾いていないので、斜め折りの発生が抑制される。湾曲部619における第1導電パターン630、第2導電パターン(3.3V)632、第2導電パターン(1.8V)634が
図5(d)と同様の構造であってもよい。
【0030】
図6(a)-(c)は、湾曲部618の別の構造を示す拡大図である。
図6(a)-(c)は
図5(b)と同様に示される。
図6(a)は、
図5(b)と比較してスリット640の数が異なる。
図6(b)の第2導電パターン(1.8V)634は、スリット640を有さず、折曲げ線Cに交差する部分、例えば前述の一部区間に幅細部642を配置する。幅細部642は、他の部分と比較して幅が細くなっている部分である。第2導電パターン(3.3V)632に幅細部642が配置されてもよい。その際、スリット640が配置されなくてもよい。
図6(c)は、
図5(b)における複数のスリット640が1つにまとめられる。
【0031】
本開示の実施の形態によれば、第1導電パターン630よりも幅広の第2導電パターン(3.3V)632、第2導電パターン(1.8V)634には、折曲げ線Cに交差するスリット640が配置されるので、複数の導電パターンの硬度を近くできる。また、複数の導電パターンの硬度が近くなるので、複数の導電パターンの幅が均一でない場合でも、斜め折りの発生を抑制できる。また、スリット640を第1端部620と第2端部622との間の距離よりも短くするので、電気抵抗の増加を抑制できる。また、第1導電パターン630よりも幅広の第2導電パターン(3.3V)632または第2導電パターン(1.8V)634には幅細部642が配置されるので、複数の導電パターンの硬度を近くできる。また、第1導電パターン630は、基材610の湾曲した形状に沿って湾曲し、第2導電パターン(3.3V)632と第2導電パターン(1.8V)634は、折曲げ線Cを挟む一部区間において直線形状を有するので、斜め折りの発生を抑制できる。
【0032】
本開示の一態様の概要は、次の通りである。本開示のある態様のフレキシブル基板(600)は、第1端部(620)から第2端部(622)に延びる基材(610)と、基材(610)の表面において第1端部(620)側から第2端部(622)側にわたって形成される第1導電パターン(630)と、基材(610)の表面において第1端部(620)側から第2端部(622)側にわたって形成され、かつ第1導電パターン(630)よりも幅広の形状を有する第2導電パターン(632、634)とを備える。基材(610)は、第1端部(620)と第2端部(622)との間の位置において基材(610)を横断する折曲げ線Cに沿って折曲げ可能であり、第2導電パターン(632、634)の内部には、折曲げ線Cに交差し、かつ第1端部(620)と第2端部(622)との間の距離よりも短いスリット(640)が配置される。
【0033】
本開示の別の態様もまた、フレキシブル基板(600)である。このフレキシブル基板(600)は、第1端部(620)から第2端部(622)に延びる基材(610)と、基材(610)の表面において第1端部(620)側から第2端部(622)側にわたって形成される第1導電パターン(630)と、基材(610)の表面において第1端部(620)側から第2端部(622)側にわたって形成され、かつ第1導電パターン(630)よりも幅広の形状を有する第2導電パターン(632、634)とを備える。基材(610)は、第1端部(620)と第2端部(622)との間の位置において基材(610)を横断する折曲げ線Cに沿って折曲げ可能であり、第2導電パターン(632、634)は、折曲げ線Cに交差する部分において幅が細くなる。
【0034】
基材(610)は、第1端部(620)と第2端部(622)との間の部分において湾曲し、基材(610)は、湾曲した部分に折曲げ線Cを有してもよい。第1導電パターン(630)は、基材(610)の湾曲した形状に沿って湾曲し、第2導電パターン(632、634)は、折曲げ線Cを挟む一部区間において直線形状を有してもよい。
【0035】
フレキシブル基板(600)と、フレキシブル基板(600)の第1端部(620)に接続される第1基板(400)と、フレキシブル基板(600)の第2端部(622)に接続される第2基板(150)と、を備えてもよい。
【0036】
以上、本開示を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0037】
100 筐体、 110 開口、 150 基板、 160 第2コネクタ、 200 前板、 210 固定部、 220 貫通孔、 300 アンテナモジュール、 310 樹脂板、 350 アンテナ、 360 ケーブル、 362 ケーブル接続部、 364 ケーブル端子、 370 取付爪、 400 通信用基板、 410 第1コネクタ、 500 前側カバー、 600 フレキシブル基板、 610 基材、 612,614 180°折曲げ部、 616 90°折曲げ部、 618 湾曲部、 619 湾曲部、 620 第1端部、 622 第2端部、 624 第1領域、 626 第2領域、 630 第1導電パターン、 632 第2導電パターン(3.3V)、 634 第2導電パターン(1.8V)、 636 直線部、 640 スリット、 642 幅細部、 1000 電子機器、 C 折曲げ線。