(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088188
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】回路装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240625BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20240625BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
H02J7/00 B
H01M10/44 P
H01M10/48 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203240
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104710
【弁理士】
【氏名又は名称】竹腰 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 一
(74)【代理人】
【識別番号】100124682
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100166523
【弁理士】
【氏名又は名称】西河 宏晃
(72)【発明者】
【氏名】二ノ宮 正也
(72)【発明者】
【氏名】松田 欣也
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503EA08
5G503GA13
5H030AA03
5H030AS20
5H030FF41
(57)【要約】
【課題】バッテリーが過充電されることによる不具合を抑制できる回路装置等の提供。
【解決手段】回路装置1は、充電回路10と放電回路20を含む。充電回路10は、電源ノードNINからの電源電圧VINに基づいてバッテリー2に充電電流ICHを供給する。放電回路20は充電回路10の出力側に設けられ、充電電流ICHの供給がオフであるときに電源ノードNINから充電回路10の出力側にリークするリーク電流を、放電する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源ノードからの電源電圧に基づいてバッテリーに充電電流を供給する充電回路と、
前記充電回路の出力側に設けられる放電回路と、
を含み、
前記放電回路は、
前記充電電流の供給がオフであるときに前記電源ノードから前記充電回路の出力側にリークするリーク電流を、放電することを特徴とする回路装置。
【請求項2】
請求項1に記載の回路装置おいて、
前記放電回路は、
前記バッテリーの満充電が検知された後に前記リーク電流を放電することを特徴とする回路装置。
【請求項3】
請求項1に記載の回路装置おいて、
前記充電回路と前記バッテリーとの間に設けられ、前記バッテリーから前記充電回路への逆流を防止する逆流防止回路を含み、
前記放電回路は、前記逆流防止回路の入力側ノードに接続されることを特徴とする回路装置。
【請求項4】
請求項3に記載の回路装置おいて、
前記逆流防止回路は、
前記入力側ノードと充電ノードの間に設けられるトランジスターを含み、
前記トランジスターは、
前記入力側ノードから前記充電ノードへの方向を順方向とする寄生ダイオードを有することを特徴とする回路装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の回路装置おいて、
前記放電回路は、
前記リーク電流を放電することで、前記充電回路の出力側の電圧をバッテリー電圧以下に設定することを特徴とする回路装置。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の回路装置おいて、
前記放電回路は、
前記充電回路の出力側とグランドノードの間に直列に設けられる抵抗回路及びスイッチを含むことを特徴とする回路装置。
【請求項7】
請求項6に記載の回路装置おいて、
前記抵抗回路の抵抗値は、
前記充電回路がオフであり、前記バッテリーが満充電であり、動作温度が最大動作温度であり、前記電源ノードに電源電圧が印加されているとき、前記充電回路の出力の電圧が前記バッテリーの満充電時の電圧以下となる抵抗値に設定されていることを特徴とする回路装置。
【請求項8】
請求項6に記載の回路装置おいて、
前記抵抗回路は、
可変抵抗回路であることを特徴とする回路装置。
【請求項9】
請求項8に記載の回路装置おいて、
前記充電回路の出力側の電圧と前記バッテリーの電圧とをモニターするモニター回路と、
前記モニター回路のモニター結果に基づいて前記可変抵抗回路の抵抗値を設定する制御回路と、
を含むことを特徴とする回路装置。
【請求項10】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の回路装置おいて、
前記放電回路は、
前記充電回路の出力とグランドノードの間に設けられる電流源回路を含むことを特徴とする回路装置。
【請求項11】
請求項10に記載の回路装置おいて、
前記電流源回路が流す電流の電流値は、
前記充電回路がオフであり、前記バッテリーが満充電であり、動作温度が最大動作温度であり、前記電源ノードに電源電圧が印加されているとき、前記充電回路の出力の電圧が前記バッテリーの満充電時の電圧以下となる前記電流値に設定されていることを特徴とする回路装置。
【請求項12】
請求項10に記載の回路装置おいて、
前記電流源回路は、
可変電流源回路であることを特徴とする回路装置。
【請求項13】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の回路装置おいて、
前記放電回路は、
スイッチを含み、
前記スイッチと充電回路に含まれる可変抵抗回路とは、
前記充電回路の出力側のノードとグランドノードの間に直列に設けられることを特徴とする回路装置。
【請求項14】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の回路装置おいて、
前記充電回路は、
前記電源ノードと前記充電回路の出力との間に設けられるトランジスターと、
前記トランジスターのゲート電圧を制御するアンプ回路と、
を含み、
前記充電電流の供給がオフであるとき、前記トランジスターはオフであり、前記放電回路は、オフである前記トランジスターを介して前記電源ノードから前記充電回路の出力へリークする前記リーク電流を、放電することを特徴とする回路装置。
【請求項15】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の回路装置おいて、
前記充電回路は、
第1充電電流を生成する第1充電回路と、
前記第1充電電流より小さい第2充電電流を生成する第2充電回路と、
を含むことを特徴とする回路装置。
【請求項16】
請求項15に記載の回路装置おいて、
前記放電回路は、
前記第1充電回路及び前記第2充電回路がディセーブル状態のとき、前記リーク電流を放電することを特徴とする回路装置。
【請求項17】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の回路装置と、
前記バッテリーと、
を含むことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路装置及び電子機器等に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、二次電池の充電制御手法が開示されている。当該制御手法においては、バス電圧とバッテリー電圧の電位差を一定にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された充電制御手法において、充電電圧とバッテリー電圧の差を小さく、かつ、充電電流を増やそうとすると、充電制御回路のオン抵抗を小さくする必要がある。しかし、オン抵抗を小さくすると、充電制御回路をオフにしたときのリーク電流が増え、当該リーク電流が満充電状態の二次電池に流れ込むと二次電池が過充電になるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、電源ノードからの電源電圧に基づいてバッテリーに充電電流を供給する充電回路と、前記充電回路の出力側に設けられる放電回路と、を含み、前記放電回路は、前記充電電流の供給がオフであるときに前記電源ノードから前記充電回路の出力側にリークするリーク電流を、放電する回路装置に関係する。
【0006】
また本開示の他の態様は、上記に記載の回路装置と、前記バッテリーと、を含む電子機器に関係する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】本実施形態の充電回路及び逆流防止回路の回路構成例。
【
図4】電源ノードに流れ込む電流値及び充電ノードに流れ込む電流値の温度依存性の一例。
【
図5】放電回路により接続ノードの電荷を放電させた場合の効果を説明する図。
【
図8】第2詳細例を適用した場合の処理を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲の記載内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが必須構成要件であるとは限らない。
【0009】
1.回路装置
図1は本実施形態の回路装置1の構成例である。回路装置1は、充電回路10と放電回路20を含む。充電回路10は、電源ノードNINの供給される電源電圧VINに基づいて、充電電流ICHを生成し、出力側ノードNCSRに充電電流ICHを供給する。電源電圧VINは、例えば回路装置1の外部の電源から供給される。そして、充電電流ICHにより、回路装置1の外部にバッテリー端子TBATを介して接続されるバッテリー2が充電される。ここで、バッテリー2は二次電池であり、例えばリチウムイオン二次電池、ニッケル水素蓄電池又はニッケルカドミウム蓄電池等である。そして電源電圧VINは、例えば5V~4Vであり、バッテリー電圧VBATは、例えば4.3V~3.6Vである。
【0010】
放電回路20は、充電回路10から出力側ノードNCSRに流れるリーク電流をグランドノードに放電する。グランドノードは低電位側電源ノードであり、VSSノードと呼ぶこともできる。例えば、充電回路10がオフになっている場合には、充電回路10の出力側である出力側ノードNCSRに充電電流ICHは供給されないが、充電回路がオフになっているときのリーク電流が出力側ノードNCSRに流れる場合がある。放電回路20は、このリーク電流をグランドノードに放電する。このようにして、放電回路20により、出力側ノードNCSRの電圧VCSRが充電回路10からのリーク電流によって上昇することが抑制される。従って、放電回路20により出力側ノードNCSRに流れる電荷の放電が行われることで、バッテリー2が充電回路10からのリーク電流により過充電されることを防止できる。ここで、放電回路20によって出力側ノードNCSRの電荷がグランドノードに放電されることによる電流を放電電流IDCという。なお放電回路20は充電回路10の出力側に設けられていればよく、例えば後述の
図3に示すノードNCS1に設けられていてもよい。この場合にはノードNSC1が充電回路10の出力側ノードになる。
【0011】
即ち本実施形態の回路装置1は、充電回路10と放電回路20を含む。充電回路10は、電源ノードNINからの電源電圧VINに基づいてバッテリー2に充電電流ICHを供給する。放電回路20は充電回路10の出力側に設けられ、充電電流ICHの供給がオフであるときに電源ノードNINから充電回路10の出力側にリークするリーク電流を、放電する。
【0012】
特許文献1に開示された充電制御手法においては、充電電圧とバッテリー電圧の差を小さく、かつ、充電電流を増やそうとした場合、充電回路のオン抵抗を小さくすることが望ましい。しかし、オン抵抗を小さくすると、充電回路をオフにしたときのリーク電流が増加し、リーク電流が満充電状態にあるバッテリーに流れ込み、バッテリーが過充電になるおそれがある。充電回路のオン抵抗は、例えば充電回路を構成するトランジスターのチャネル幅Wを大きくし、チャネル長Lを小さくすることでトランジスターのオン抵抗を小さくすることで、減らすことができる。或いはトランジスターの閾値を下げることによっても、充電回路のオン抵抗を減らすことができる。しかし、このように充電回路を構成するトランジスターのオン抵抗を小さくした場合、充電回路をオフした際のリーク電流は増加することになる。そして、このリーク電流はバッテリーが満充電になり、充電回路をオフした場合においても、バッテリーを充電し続けることに繋がり、バッテリーを過充電し、バッテリーに不具合を生じさせるおそれがある。
【0013】
この点、本実施形態の回路装置1によれば、放電回路20により、バッテリー2を充電する充電電流ICHの供給される出力側ノードNCSRの電圧VCSRが例えばバッテリー電圧VBAT以下になるように調整され、バッテリー2が過充電されることを抑制できる。例えば、上述したように、バッテリー2の満充電電圧が4.3Vに設定されている場合、出力側ノードNCSRの電圧VCSRが4.3Vを超えないように制御することで、バッテリー2の過充電を抑制できる。
【0014】
また本実施形態では、放電回路20は、バッテリーの満充電が検知された後にリーク電流を放電する。
【0015】
このようにすればバッテリー電圧VBATが所定の満充電電圧になったことが検知されたときに、放電回路20は充電回路10からのリーク電流を放電することができる。従って、バッテリー2がまだ満充電に満たないときには、所定の満充電電圧まで定電流で充電でき、充電が完了したときに過充電が発生しないようにする制御が実現できる。
【0016】
また本実施形態では、放電回路20は、リーク電流を放電することで、充電回路10の出力側の電圧VCSRをバッテリー電圧VBAT以下に設定する。
【0017】
このようにすれば、充電回路10からのリーク電流を放電することで、出力側ノードNCSRの電圧VCSRがバッテリー電圧VBATよりも上昇することが防止される。従って、出力側ノードNCSRの電圧VCSRをバッテリー電圧VBAT以下に維持でき、バッテリー2が過充電されてしまうのを防止できる。なお、本実施形態で、放電回路20がリーク電流を放電することで充電回路10の出力側の電圧VCSRをバッテリー電圧VBAT以下に設定する場合には、電圧VCSRをバッテリー電圧VBAT未満に設定する場合も含む。
【0018】
図2は本実施形態の回路装置1の詳細な構成例である。
図2に示す構成例は、
図1で説明した回路装置1とは、逆流防止回路30と制御回路50を有している点が異なる。逆流防止回路30は、充電回路10とバッテリー2との間に設けられる。この場合に充電回路10の出力側ノードNCSRは逆流防止回路30の入力側ノードとなる。
【0019】
制御回路50は、回路装置1における充電制御、放電制御をはじめとする種々の制御を行う。制御回路50は、回路装置1の各ノードの電位をモニターするモニター回路40を含む。制御回路50は、例えば充電ノードNBATの電位が満充電電圧になったとモニター回路40が判定した場合に、後述する逆流防止回路30に対して、バッテリー2から出力側ノードNCSRに電荷が逆流することにより、バッテリー2が放電されることを抑制するように指示をする。またモニター回路40は、充電回路10の出力側の電圧VCSRとバッテリー電圧VBATをモニターする。そして制御回路50は、モニター回路40のモニター結果に基づいて放電回路20の放電電流IDCを制御する。例えば制御回路50は、モニター回路40のモニター結果に基づいて、電圧VCSRがバッテリー電圧VBAT以下になるように放電電流IDCを制御する。この放電電流IDCの制御は、例えば後述するように放電回路20の可変抵抗回路の抵抗値の設定などにより実現される。このように制御回路50による制御によって、回路装置1の放電制御が実現される。
【0020】
図3は本実施形態の回路装置1における充電回路10及び逆流防止回路30の回路構成の一例を示す図である。
図3に示すように充電回路10は、電流源回路12とアンプ回路OPA1とトランジスターTA1と抵抗RCS1、RS1とを含む。アンプ回路は演算増幅器と呼ぶこともできる。
【0021】
電流源回路12は、
図6で後述するように基準電圧VREFに基づく第1出力電流IS1を出力する。第1出力電流IS1は電流源回路12により生成される電流源電流である。第1出力電流IS1はアンプ回路OPA1の非反転入力端子とP型のトランジスターTA1のドレイン側のノードNCS1に供給される。そして第1出力電流IS1に基づいて、アンプ回路OPA1、P型のトランジスターTA1、抵抗RS1、RCS1により、充電電流ICHが生成される。
【0022】
トランジスターTA1のソースは電源ノードNINに接続され、ドレインはノードNCS1に接続される。電源ノードNINには電源電圧VINが供給される。抵抗RCS1の一端がノードNCS1に接続され、他端がノードNCSI1に接続される。抵抗RS1の一端がノードNCS1に接続され、他端が出力側ノードNCSRに接続される。アンプ回路OPA1の非反転入力端子はノードNCSI1に接続され、反転入力端子は出力側ノードNCSRに接続され、出力側ノードNCSRはP型のトランジスターTA1のゲートに接続される。アンプ回路OPA1は、第1イネーブル信号EN1がローレベルのとき、イネーブルになる。これにより、充電電流ICH=(RCS1/RS1)×IS1が出力側ノードNCSRに供給され、充電電流ICHとして充電ノードNBATに供給される。
【0023】
逆流防止回路30は、P型トランジスターTB1とN型トランジスターTB2と抵抗RBを含む。P型トランジスターTB1のソースは充電ノードNBATに接続され、ドレインは出力側ノードNCSRに接続される。N型トランジスターTB2のソースはグランドノードに接続され、ドレインはP型トランジスターTB1のゲートに接続される。抵抗RBの一端は充電ノードNBATに接続され、他端はP型トランジスターTB1のゲートに接続される。
【0024】
まず、バッテリー2への充電が行われる場合には、
図2で説明した制御回路50がN型トランジスターTB2を制御信号SDBによりオンにする。これにより、P型トランジスターTB1もオンになり、出力側ノードNCSRから充電ノードNBATへ充電電流ICHが流れ、バッテリー2の充電が行われる。そしてバッテリー2の充電を停止する場合、制御回路50はN型トランジスターTB2を制御信号SDBによりオフにする。これにより、P型トランジスターTB1もオフになり、逆流防止回路30はバッテリー2から充電回路10への電荷の逆流を防止する。
【0025】
即ち本実施形態の回路装置1は、充電回路10とバッテリー2との間に設けられ、バッテリー2から充電回路10への逆流を防止する逆流防止回路30を含む。そして放電回路20は、逆流防止回路30の入力側ノードに接続される。
図3では充電回路10の出力側ノードNCSRが逆流防止回路30の入力側ノードになる。
【0026】
このようにすれば、充電回路10とバッテリー2との間に設けられる逆流防止回路30が、バッテリー2から出力側ノードNCSRに電荷が流れることを抑制できる。
【0027】
また本実施形態では、充電回路10は、電源ノードNINと充電回路10の出力との間に設けられるトランジスターTA1と、トランジスターTA1のゲート電圧を制御するアンプ回路OPA1を含む。充電回路10の供給がオフであるとき、トランジスターTA1はオフであり、放電回路20は、オフであるトランジスターTA1を介して電源ノードNINから充電回路10の出力へリークするリーク電流を、放電する。
【0028】
このようにすれば、アンプ回路OPA1がトランジスターTA1のゲート電圧を制御し、トランジスターTA1のオン、オフを制御できるようになる。そして、トランジスターTA1がオフになるように制御され、トランジスターTA1のリーク電流が発生した場合には、放電回路20によってリーク電流をグランドノードに放電できる。
【0029】
また本実施形態では、逆流防止回路30は、逆流防止回路30の入力側ノードと充電ノードNBATの間に設けられるP型トランジスターTB1を含む。逆流防止回路30の入力側ノードは充電回路10の出力側ノードNCSRである。そしてP型トランジスターTB1は、充電回路10の入力側ノードから充電ノードNBATへの方向を順方向とする寄生ダイオードを有する。例えば寄生ダイオードはP型トランジスターTB1のソースであるP型不純物領域とN型の基板又はウェルとの間のダイオードである。
【0030】
このようにすれば、充電回路10からの充電電流ICHについては出力側ノードNCSRから充電ノードNBATに流し、充電停止して逆流防止回路が有効になった状態でも、バッテリー2に溜まった電荷については充電ノードNBATから出力側ノードNCSRにリークしないように制御することができる。従って、満充電後にバッテリー2の電荷が放電されてバッテリー電圧VBATが低下してしまうのを抑制できる。
【0031】
図4は本実施形態の回路装置1でバッテリー2の充電を行う場合において、電源ノードNINに流れ込む電流IVINと、充電ノードNBATに流れ込む電流IVBATをいくつかの温度で測定した際の電流値の一例を示す。
図4では、電源電圧VINが6V、バッテリー電圧VBATが1.8Vであるときの各電流の測定値の一例が示されており、上段から温度が85度、60度、40度、25度での電流値になっている。ここで、電流IVINは電源ノードNINに流れ込むリーク電流であり、充電停止時において電流は電源ノードNINから充電回路10の出力側ノードNCSRに向かって流れるため、電流IVINの電流値は負の値になっている。そして、電流IVBATは、バッテリー2に流れ込むリーク電流であり、充電時における電流IVBATの電流値は正の値になっている。
図4に示すように、電流IVIN、電流IVBATの各電流値は、例えばトランジスターの閾値の温度依存性等の要因により高温になるほど大きくなっている。そして、いずれの温度でも電流IVINと電流IVBATの値は等しくなっている。即ち、充電時においては、電源ノードNINから流れ出した電荷が、ほぼ全てバッテリー2へと流れ込んでいることがわかる。
【0032】
図5はバッテリー2の充電停止時において、出力側ノードNCSRに12.5kΩの抵抗値の抵抗を設けた場合における電流IVINと電流IVBATの電流値の一例を示す。即ち、
図5に示すデータは、充電回路10から供給される充電電流ICHの一部を放電回路によってグランドに放電した場合の各電流の電流値の一例である。
【0033】
図5の左側の2列には、電源電圧VINが6V、バッテリー電圧VBATが1.8Vであるときの各電流が示されており、電流IVINの電流値に対して電流IVBATの電流値の大きさは非常に小さな負の値になっている。即ち、
図5の左側の2列に示す電源電圧VINが6V、バッテリー電圧VBATが1.8Vであるときは、バッテリー2に流れ込む電流はなくなり、バッテリー2から流出する電流が僅かに発生している。
【0034】
そして、
図5の右側の2列には、電源電圧VINが同じく6Vで、バッテリー電圧VBATが4.35Vであるときの各電流が示されている。即ち、バッテリー2が例えば満充電に達した状態における電流IVINと電流IVBATの値の一例を示している。電流IVINについては、
図5の左側の2列に示すバッテリー電圧VBATが1.8Vであるときと変わらないが、電流IVBATについては、
図5の左側から2列目に示す電流IVBATに比べて電流値は増えている。このように、バッテリー2が満充電になっている場合に、バッテリー電圧VBATが1.8Vであるときと比べて、電流IVBATの絶対値が増えているのは、バッテリー2が満充電に達した状態では、バッテリー2から電荷の漏れが発生していることに対応する。
【0035】
本実施形態では放電回路20に設けられる抵抗の値は、充電回路10において充電を制御するトランジスターTA1のリーク電流が最も発生しやすい条件におけるシミュレーション結果などに基づいて設定される。放電回路20に設けられる抵抗は後述の
図6の抵抗RDに対応する。具体的には、放電回路20の抵抗の値は、充電回路10のトランジスターTA1のリーク電流が最も発生しやすい条件において、充電電流ICHが流れる出力側ノードNCSRの電圧VCSRが、バッテリー電圧VBATを超えないような抵抗値に設定される。
【0036】
2.詳細な構成例
図6は本実施形態の第1詳細例の回路図である。第1詳細例は、
図3に示す回路装置1を2系統の充電回路に適用した例であり、
図3に示す回路装置1と主に充電回路10の構成が異なっている。
図3で説明した充電回路10においては、アンプ回路OPA1とトランジスターTA1と抵抗RCS1、RS1が、出力側ノードNCSRに充電電流ICHを供給する充電回路として機能していた。
図6に示す第1詳細例においては、充電回路10はアンプ回路OPA1とトランジスターTA1と抵抗RCS1、RS1に加えて、アンプ回路OPA2とトランジスターTA2と抵抗RCS2、RS2を有している。第1詳細例において、アンプ回路OPA1とトランジスターTA1と抵抗RCS1、RS1を含むユニットが第1充電回路16であり、例えば高電流の充電電流を出力側ノードNCSRに供給する。そして、アンプ回路OPA2とトランジスターTA2と抵抗RCS2、RS2を含むユニットが第2充電回路18であり、例えば低電流の充電電流を出力側ノードNCSRに供給する。
図6に示す第1詳細例では、第1充電回路16の供給する高電流の充電電流を第1充電電流ICH1といい、第2充電回路18の供給する低電流の充電電流を第2充電電流ICH2という。なお、
図7以降で後述する詳細例についても、同様に第1充電回路16の供給する充電電流を第1充電電流ICH1といい、第2充電回路18の供給する充電電流を第2充電電流ICH2という。
【0037】
第1詳細例の第1充電回路16と電流源回路12については、
図3で説明した充電回路10の動作と同様になっている。また第1詳細例の第2充電回路18と電流源回路12についても、基本的な動作は
図3で説明した充電回路10の動作と同様になっている。即ち、第1充電回路16の供給する充電電流を第1充電電流ICH1は、
図3で説明した充電電流ICHと同じように、(RCS1/RS1)×IS1と表される。
図6に示すように、P型のトランジスターTA2のソースは電源ノードNINに接続され、ドレインはノードNCS2に接続される。抵抗RCS2の一端はノードNCS2に接続され、他端はノードNCSI2に接続される。抵抗RS2の一端はノードNCS2に接続され、他端は出力側ノードNCSRに接続される。アンプ回路OPA2の非反転入力端子はノードNCSI2に接続され、反転入力端子は出力側ノードNCSRに接続され、接続ノードはP型のトランジスターTA2のゲートに接続される。アンプ回路OPA2は、第2イネーブル信号EN2がローレベルのとき、イネーブルになり、第2充電電流ICH2を電流IVBATとして充電ノードNBATに供給する。第2充電電流ICH2は、電流源回路12から出力される第2出力電流IS2を、RCS2/RS2で求められる増幅率で増幅した電流値(RCS2/RS2)×IS2になる。
【0038】
電流源回路12については
図3で概要を説明したが、
図6に詳細な回路構成例を示す。電流源回路12は、基準電圧VREFに基づいて、電流源制御値QDAにより設定される出力電流を第1充電回路16と第2充電回路18に供給する。
図6に示すように電流源回路12は、アンプ回路OPFと論理回路ANDGとP型のトランジスターTFと抵抗RG1~RG13とN型のトランジスターTG1~TG13とを含む。
【0039】
アンプ回路OPFは、主にP型のトランジスターTFのオン電流の制御などを担う。アンプ回路OPFは、論理回路ANDGが出力する信号QGによって制御され、反転入力端子と非反転入力端子の入力信号に基づいて、トランジスターTFのゲートに信号を出力する。ここでアンプ回路OPFは、前述したアンプ回路OPA1、OPA2と同様に、入力される信号QGがローレベルのときにイネーブルになる。論理回路ANDGには、第1イネーブル信号EN1と第2イネーブル信号EN2が入力され、論理回路ANDGから、これらの論理積の演算結果が信号QGとして出力される。そしてアンプ回路OPFは、入力される信号QGがローレベルのとき、動作イネーブルになり、アンプ回路OPFの反転入力端子に入力された基準電圧VREFと非反転入力端子に入力されるノードNS3の電圧VS3が同じ電圧になるように、トランジスターTFのゲートに印加される電圧を制御する。これによって、トランジスターTFのドレイン側のノードNS3の電圧VS3は、アンプ回路OPFが動作イネーブルの状態にあるときには、基準電圧VREFに維持される。即ち、第1イネーブル信号EN1と第2イネーブル信号EN2の少なくともいずれか一方がローレベルになっている場合には、アンプ回路OPA1、OPA2のいずれか一方は動作イネーブルになっており、この場合に論理回路ANDGにおける論理積の演算結果である信号QGもローレベルになっており、アンプ回路OPFは動作イネーブルになる。そしてアンプ回路OPA1、OPA2のいずれか一方が動作イネーブルになっている場合には、アンプ回路OPFは動作イネーブルになる。従って、トランジスターTFのドレインノードであるノードNS3が基準電圧VREFに設定され、可変抵抗回路14の抵抗値に応じた電流を生成できるようになる。
【0040】
具体的には、トランジスターTFのソースはノードNQに接続され、ドレインはノードNS3に接続される。アンプ回路OPFの非反転入力端子はノードNS3に接続され、アンプ回路OPFの出力ノードはトランジスターTFのゲートに接続される。そして可変抵抗回路14は、抵抗RG1~RG13とN型のトランジスターTG1~TG13を含む。抵抗RG1の一端はノードNS3に接続され、他端はトランジスターTG1のドレインに接続される。トランジスターTG1のソースはグランドノードに接続される。同様に、抵抗RG2~RG13の一端はノードNS3に接続され、他端はトランジスターTG2~TG13のドレインに接続される。トランジスターTG2~TG13のソースはグランドノードに接続される。以下、電流源制御値QDAのビット信号を制御ビット信号と呼ぶ。トランジスターTG1のゲートには、電流源制御値QDAの制御ビット信号QDA[0]が入力される。同様に、トランジスターTG2~TG13のゲートには、電流源制御値QDAの制御ビット信号QDA[1]~QDA[12]が入力される。
【0041】
アンプ回路OPFは、第1充電回路16、第2充電回路18の少なくともいずれか一方が充電電流を供給していれば、動作イネーブルであり、ノードNS3の電圧はVS3=VREFになる。抵抗RG1とトランジスターTG1を電流源回路12の第1電流源と呼ぶ。電流源制御値QDAの制御ビット信号QDA[0]が1のときトランジスターTG1がオンになり、第1電流源がVREF/RG1の電流を流す。同様に、抵抗RG2~RG13とトランジスターTG2~TG13を電流源回路12の第2~第13電流源と呼ぶ。電流源制御値QDAの制御ビット信号QDA[1]~QDA[12]が1のときトランジスターTG2~TG13はオンになり、第2~第13電流源がVREF/RG2~VREF/RG13の電流を流す。トランジスターTFに流れる電流IQは、電流源制御値QDAの制御ビット信号QDA[0]~QDA[12]のうち1である制御ビット信号に対応した電流源が流す電流の合計になる。なお、ここでは電流源回路12に含まれる電流源の数を13としたが、電流源回路12に含まれる電流源の数は2以上の整数であればよい。
【0042】
トランジスターTE1とトランジスターTE2は、例えばP型トランジスターである。トランジスターTE1のソースはノードNCSI1に接続され、ドレインはノードNQに接続される。トランジスターTE2のソースはノードNCSI2に接続され、ドレインはノードNQに接続される。第1イネーブル信号EN1がローレベルのとき、トランジスターTE1はオンになり、トランジスターTFに流れる電流IQが第1出力電流IS1としてノードNCSI1に流れる。第2イネーブル信号EN2がローレベルのとき、トランジスターTE2はオンであり、トランジスターTFに流れる電流IQが第2出力電流IS2としてノードNCSI2に流れる。
【0043】
このようにして、電流源回路12は第1イネーブル信号EN1と第2イネーブル信号EN2に基づいてアンプ回路OPFの動作が制御され、各充電回路には、制御ビット信号QDAに基づいて設定される可変抵抗値に対応した電流が第1出力電流IS1、第2出力電流IS2として供給されるようになる。そして、第1充電回路16では第1出力電流IS1に基づいて前述したように、(RCS1/RS1)×IS1により定められる第1充電電流ICH1が生成され、第2充電回路18では第2出力電流IS2に基づいて、(RCS2/RS2)×IS2により定められる第2充電電流ICH2が生成され、これらの電流がバッテリー2に供給されるようになる。
【0044】
即ち本実施形態では、充電回路10は、第1充電電流ICH1を生成する第1充電回路16と、第1充電電流ICH1より小さい第2充電電流ICH2を生成する第2充電回路18と、を含む。
【0045】
このようにすれば、異なる電流値を生成する2つの充電回路を有する2系統の回路装置1において、各充電電流の供給を停止しているときに発生したリーク電流を、放電回路20を介してグランドノードに放電することができる。
【0046】
即ち本実施形態では、放電回路20は、第1充電回路16及び第2充電回路18がディセーブル状態のとき、リーク電流を放電する。
【0047】
このようにすれば、第1充電回路16及び第2充電回路18がディセーブル状態になり、バッテリー2に第1充電電流ICH1及び第2充電電流ICH2のいずれの充電電流も供給されない状態で、バッテリー2が第1充電回路16又は第2充電回路18からのリーク電流により過充電されることを抑制できる。
【0048】
2系統の充電回路を有する回路装置1においても、高充電電流でバッテリー2を充電できる回路を実現するためには、充電を制御するP型のトランジスターTA1、TA2や逆流防止をするP型トランジスターTB1のオン抵抗を減らして、バッテリー2に効率的に電圧を印加できるようにする必要がある。トランジスターのオン抵抗を減らす手法としては、例えばトランジスターのチャネル長Lを小さくしたり、チャネル幅Wを大きくしたりする手法が挙げられる。しかし、このようにした場合、P型のトランジスターTA1、TA2等のトランジスターをオフしたときのリーク電流は増加し、バッテリー2を過充電することに繋がり、バッテリー2に不具合をもたらすおそれがある。そこで、本実施形態のように放電回路20を設けることで、充電回路のP型のトランジスターTA1、TA2のオン抵抗を減らしたことにより増加するリーク電流を放電回路20に放電させ、バッテリー2が過充電されることを防ぐことができる。このように本実施形態の回路装置1は、例えば補聴器のような高レート充電回路に適応した2系統の充電回路におけるリーク対策として用いることができる。
【0049】
また
図6では放電回路20の具体的な構成例が示されている。放電回路20は抵抗RDとトランジスターTDを含む。また放電回路20は論理回路ANDを含むことができる。抵抗RDは抵抗回路に対応し、トランジスターTDはスイッチに対応する。抵抗RDの抵抗値は
図4、
図5のように、より、過充電にならない抵抗値に設定される。
【0050】
図7は本実施形態の第2詳細例の回路図である。第2詳細例は、第1詳細例と同様に2系統の充電回路の構成に本実施形態を適用した例である。第2詳細例は、第1詳細例と放電回路20の構成が異なっている、放電回路20は抵抗回路22を有している。抵抗回路22は、抵抗値の異なる2以上の抵抗RD0~RDnが並列に設けられ、スイッチであるN型トランジスターTD0~TDnにより全体の抵抗値の大きさが制御できるようになっている。
【0051】
具体的には、抵抗RD0~RDnが並列に設けられており、各抵抗の一端は出力側ノードNCSRに接続され、他端はトランジスターTD0~TDnのドレインに接続されている。そしてトランジスターTD0~TDnのソースはグランドに接続されている。ここで、抵抗RD0、RD1、・・・、RDnの抵抗値は、それぞれ、AΩ、A/2Ω、・・・、A/2nΩになっている。即ち、抵抗RD0、RD1、・・・、RDnの順に抵抗値が小さくなっており、放電できる電流も大きくなる。そして、各抵抗RD0~RDnのグランドノード側には、それぞれN型トランジスターTD1、TD2、・・・、TDnが設けられている。そして、N型トランジスターTD1、TD2、・・・、TDnの各トランジスターのゲートは論理回路AND0、AND1、・・・、ANDnにより制御されるようになっている。即ち、各トランジスターが抵抗RD0~RDnを制御するスイッチとして設けられている。例えば、論理回路AND0は、第1イネーブル信号EN1と第2イネーブル信号EN2と信号D0の論理積の演算をし、スイッチであるN型トランジスターTD0のゲートに出力する。同様に、論理回路AND1は、第1イネーブル信号EN1と第2イネーブル信号EN2と信号D1の論理積を、論理回路AND2は、第1イネーブル信号EN1と第2イネーブル信号EN2と信号D2の論理積の演算をし、それぞれスイッチであるN型トランジスターTD1、TD2のゲートに出力する。そして、論理回路ANDnは、第1イネーブル信号EN1と第2イネーブル信号EN2と信号Dnの論理積を演算し、N型トランジスターTDnのゲートに出力する。このように信号D0~Dnの組み合わせにより、抵抗RD0~RDnのうち、いずれの抵抗に電流を流すかについて設定することができる。このため抵抗値の異なる抵抗RD0~RDnの組み合わせにより、抵抗回路22全体の抵抗値を変化させることができる。
【0052】
即ち本実施形態では、放電回路20は、充電回路10の出力側とグランドノードの間に直列に設けられる抵抗回路22及びスイッチを含む。
【0053】
このようにすれば、充電回路10の出力からのリーク電流は、放電回路20の抵抗回路22に設けられた抵抗を介して、グランドノードに放電できる。またスイッチのオン、オフにより抵抗回路22のいずれの抵抗を選択するかについて設定することができ、グランドノードに放電する放電電流IDCの大きさを制御することができる。なお、抵抗回路22は、
図6の抵抗RDであっても良い。
【0054】
即ち本実施形態では、抵抗回路22は、可変抵抗回路である。
【0055】
このようにすれば、抵抗回路22の抵抗値を変えることで、出力側ノードNCSRの電荷をグランドノードに放電する放電量を変化させることができる。従って、出力側ノードNCSRの電圧や動作温度などに応じて、出力側ノードNCSRからグランドノードに放電させる放電量を制御できるようになる。
【0056】
即ち本実施形態では、抵抗回路22の抵抗値は、充電回路がオフであり、バッテリー2が満充電であり、動作温度が最大動作温度であり、電源ノードNINに電源電圧VINが印加されているとき、充電回路10の出力の電圧がバッテリーの満充電時の電圧以下となる抵抗値に設定されている。
【0057】
図5で説明したように、温度が高くなるほど電流IVINの絶対値は大きる。このように高温になるほど、充電回路10からのリーク電流は増加する。また
図5で、バッテリー電圧VBATが1.8Vのときよりも、4.35Vになり、満充電電圧に近づいたときのほうがバッテリー2から流れ出る電荷に対応する電流IVBATも増える。そこでバッテリー2が満充電に達しており、動作温度が最大で、電源ノードNINに電源電圧が印加された最もリーク電流の増加した状態で、抵抗回路22の抵抗値を出力側ノードNCSRの電圧VCSRをバッテリー電圧VBATよりも低くできる抵抗値に設定する。このようにすれば、最もリーク電流の大きくなる場合においても、リーク電流によって出力側ノードNCSRの電位が上昇し、これによってバッテリー2が過充電されることを防止できる。
【0058】
このようにすれば、放電回路20の抵抗回路22の抵抗値は、充電回路10からのリークによる過充電が最も発生し易い状況においても、出力側ノードNCSRの電圧VCSRをバッテリーの満充電時のバッテリー電圧VBAT以下に維持できるように設定される。従って、バッテリー2の過充電を防止できるようになる。
【0059】
図8は、第2詳細例における充電、放電の処理例を示すフローチャートである。
図8の処理は例えば
図2の制御回路50等により制御される。まず、ステップS1で充電を開始する。具体的には、
図7に示す第2詳細例における第1充電回路16又は第2充電回路18によりバッテリー2の充電が開始される。
【0060】
次にステップS2でバッテリー2が満充電電圧以上になったか否かを判定する。具体的には、充電ノードNBATのバッテリー電圧VBATが満充電電圧以上になっているか否かの判定を行う。当該判定は、
図2で説明したモニター回路40が充電ノードNBATの電圧をモニターすることで判定できる。そして、バッテリー電圧VBATが満充電電圧以上になっている場合には、ステップS3に進み、バッテリー電圧VBATが満充電電圧以上になっていない場合には、満充電電圧以上になるまでステップS2の判定処理を繰り返し行う。
【0061】
ステップS3で充電制御を停止する。具体的には、前述したように第1イネーブル信号EN1、第2イネーブル信号EN2がともにハイレベルになり、アンプ回路OPA1、OPA2がディセーブル状態になる。これにより、第1充電回路16のトランジスターTA1と第2充電回路18のトランジスターTA2がオフになり、バッテリー2への第1充電電流ICH1や第2充電電流ICH2の供給が停止する。
【0062】
ステップS4では、制御回路50は抵抗値が一番大きい放電用の抵抗を接続する。
図7で説明したように、第2詳細例では放電回路20は抵抗回路22を有している。そして抵抗回路22の中で一番抵抗値の大きい抵抗である抵抗RD0について、N型トランジスターTD0をオンすることで、出力側ノードNCSRとグランドノードが抵抗RD0を介して接続され、放電電流IDCは抵抗RD0を介してグランドノード放電されるようになる。即ち放電動作を開始する場合には、制御回路50は、まず抵抗回路22の一番大きな抵抗を選択し、放電電流IDCを一番小さな電流値になるように設定する。
【0063】
ステップS5a、S5bでは、モニター回路40は、出力側ノードNCSRの電圧VCSRが、バッテリー電圧VBAT以下になっているか否かの判定を行う。ステップS4において、制御回路50が抵抗回路22で一番抵抗値の大きい抵抗RD0を選択し、放電電流IDCは一番小さな電流値に設定している。ステップS5aでは、ステップS4で選択された一番小さな電流値の放電電流IDCにより、出力側ノードNCSRの電圧VCSRがバッテリー電圧VBAT以下に減少していれば、制御回路50は本処理を終了させる。そして、出力側ノードNCSRの電圧VCSRがバッテリー電圧VBAT以下に減少していない場合には、ステップS5bで制御回路50は抵抗回路22全体の抵抗値を減らして放電電流IDCを大きくする制御を行う。具体的には、制御回路50はステップS4で一番抵抗値の大きい抵抗RD0が選択されていたのを、ステップS5bの処理で例えば2番目に抵抗の大きいRD1に変更する。これにより放電電流IDCの電流値はステップS4で設定された電流値の2倍に増やすことができる。また抵抗RD1~RDnの任意の組み合わせを選択することで、ステップS4で設定された放電電流IDCの電流値を細かく微調整することができる。このようにして、制御回路50は、ステップS5bの放電抵抗値を減らす処理とステップS5aの判定処理を、出力側ノードNCSRの電圧VCSRがバッテリー電圧VBAT以下になるまで繰り返し、VBAT≧VCSRの関係になったときに本処理を終了する。
【0064】
即ち本実施形態の回路装置1は、モニター回路40と制御回路50を含む。モニター回路40は、充電回路10の出力側の電圧VCSRとバッテリー電圧VBATとをモニターし、制御回路50は、モニター回路40のモニター結果に基づいて可変抵抗回路である抵抗回路22の抵抗値を設定する。
【0065】
このようにすれば、モニター回路40により充電回路10の出力側の電圧VCSRとバッテリー電圧VBATをモニターし、制御回路50により充電回路10の出力の電圧VCSRがバッテリー電圧VBATよりも高い場合に抵抗回路22の抵抗値を小さくし、出力側ノードNCSRからグランドノードに放電させる電荷の量を変化させることで、出力側ノードNCSRの電圧を調整することができる。
【0066】
図8において、ステップS4、S5a、S5bに示す放電電流IDCの調整の仕方については種々の手法がある。
図8の例では、初めに放電電流IDCを最も小さな電流値に設定し、信号D0~Dnについて1ビットずつ変化させて徐々に放電電流IDCを増やしているが、例えば放電電流IDCを初めに最も大きな電流値に設定し、信号D0~Dnについて1ビットずつ変化させて徐々に減らしていってもよい。即ち、ステップS4で抵抗値が一番小さい放電用の抵抗である抵抗RDnのみを選択する。そしてステップS5a、S5bで徐々に放電抵抗の値を増やして、放電電流IDCを減らしていく。
【0067】
また信号D0~Dnについて数ビットずつ変化させることにより、放電電流IDCの調整を行う手法もある。この場合、抵抗回路22の抵抗値を短時間で変化させることができ、ステップS5aで電圧VCSRがバッテリー電圧VBAT以上になるまでに要する時間が短縮される。そしてステップS5aで電圧VCSRがバッテリー電圧VBAT以上になったところで、信号D0~Dnについて1ビットずつ微調整をする。このようにすれば、短い時間で放電電流IDCを適正値に設定することができる。以上のような放電電流IDCの調整方法によって、温度変化やプロセスばらつきに対応した放電電流IDCを選ぶことができる。
【0068】
図9は本実施形態の第3詳細例の回路図である。第3詳細例は、
図6に示す第1詳細例と放電回路20の構成が異なっている。具体的には、第3詳細例では放電回路20は制御部24と電流源回路26を含んでいる。そして、第3詳細例では電流源回路26が生成する定電流の値を調整することで、バッテリー電圧VBATと出力側ノードNCSRの電圧VCSRがVBAT≧VCSRの関係になるように制御される。電流源回路26は、制御部24の出力する信号DQに基づいて定電流IDCを発生させる。制御部24には、第1イネーブル信号EN1、第2イネーブル信号EN2及び信号DI1が入力される。そして制御部24は、第1イネーブル信号EN1、第2イネーブル信号EN2がハイレベルになったときに、イネーブルになり、制御部24からの信号DQに基づいて電流源回路26が定電流を生成する。そして、電流源回路26が生成する定電流の値は、制御部24に入力される信号DI1により調整される。このように第3詳細例では、電流源回路26の定電流の値を制御部24に入力される信号DI1により制御することができる。なお、制御部24に入力される信号DI1は例えば2ビット以上の信号である。この信号DI1は例えば
図2の制御回路50が出力する。
【0069】
即ち本実施形態では、放電回路20は、充電回路10の出力とグランドノードの間に設けられる電流源回路26を含む。
【0070】
このようにすれば、充電回路10がオフになっているときに充電回路10の出力側にリークしたリーク電流を、電流源回路26によってグランドノードに放電することができる。
【0071】
また本実施形態では、電流源回路26が流す電流の電流値は、充電回路10がオフであり、バッテリー2が満充電であり、動作温度が最大動作温度であり、電源ノードNINに電源電圧VINが印加されているとき、充電回路10の出力の電圧がバッテリー2の満充電時の電圧以下となる電流値に設定されている。
【0072】
上述したように、温度が高くなるほど充電回路10からのリーク電流は増加し、またバッテリー電圧VBATが満充電電圧に近づくとバッテリー2から流れ出る電荷である電流IVBATも増える。そこで電流源回路26に、このような条件の電流を流すことで、最大温度のときでも、満充電後に、充電回路10の出力電圧が、バッテリー電圧VBAT以下になることが保証され、充電回路10の出力からバッテリー2に電流が流れて過充電されるのを防止できる。
【0073】
また本実施形態では、電流源回路26は、可変電流源回路である。
【0074】
このようにすれば、制御部24からの信号DQにより電流源回路26に流れる電流が制御されることで、放電電流IDCが制御される。このため、出力側ノードNCSRの電圧VCSRをバッテリー電圧VBAT以下になるように、電流源回路26に流れる定電流の電流値を調整できる。
【0075】
図10は本実施形態の第4詳細例の回路図である。第4詳細例は、
図6に示す第1詳細例と放電回路20の構成が異なっている。具体的には、第4詳細例では放電回路20は抵抗RDを有しておらず、トランジスターTDはP型トランジスターになっている。そして、P型のトランジスターTDのドレインは充電回路10の電流源回路12に設けられる可変抵抗回路14に接続されている。例えば電流源回路12の可変抵抗回路の一部が可変抵抗回路14となっている。また論理回路ANDの出力とトランジスターTDのゲートの間にインバーターが設けられている。
【0076】
第4詳細例では、放電電流IDCの電流値の調整は、
図7の抵抗回路22に代えて、充電回路10内の可変抵抗回路14を有効利用して行われる。そして、放電回路20が可変抵抗回路14を使って、放電電流IDCの電流値の調整をしているときには充電回路10はディセーブル状態になっている。即ち、放電回路20は、充電回路10のうち可変抵抗回路14のみを、放電電流IDCの電流値の調整のために用いている。まず、第1イネーブル信号EN1と第2イネーブル信号EN2がともにハイレベルになったとき、論理回路ANDはハイレベルの信号を出力し、当該出力信号がインバーターにより反転され、ローレベルの信号がP型のトランジスターTDのゲートに入力される。このローレベルの信号によりトランジスターTDはオンし、出力側ノードNCSRが可変抵抗回路14に接続される。可変抵抗回路14に含まれる抵抗RG1~RG13は、
図6において説明したように、それぞれ制御ビット信号QDA[0]~[12]により接続、非接続のいずれかに設定され、これにより放電電流IDCを所望の電流値に制御することができる。このように、第4詳細例では、放電回路20内の抵抗素子ではなく、充電回路10内の電流源回路12に設けられる抵抗素子を用いて放電電流の電流値の制御が行われる。なお、ここでは可変抵抗回路14の抵抗のすべてを利用したが、可変抵抗回路の一部を利用しても良い。
【0077】
第4詳細例において、放電回路20のトランジスターTDがスイッチになり、論理回路ANDとインバーターによって制御される。また、充電回路10の出力側ノードNCSRから流れる放電電流IDCは、まず放電回路20に流れ、放電回路20から充電回路10の可変抵抗回路14へ流れ、グランドノードに放電される。
【0078】
即ち本実施形態では、放電回路20は、スイッチを含み、スイッチと充電回路10に含まれる可変抵抗回路14とは、充電回路10の出力側のノードとグランドノードの間に直列に設けられる。
【0079】
このようにすれば、
図7で説明した第2詳細例のように、放電回路20の中に抵抗回路22を別個に設けなくても、充電回路10において第1出力電流IS1、第2出力電流IS2を生成するために設けられた可変抵抗回路14を、放電電流IDCの電流値を調整するための抵抗素子として兼用することができる。従って、回路装置1の小型化することができる。
【0080】
図11は本実施形態の第5詳細例の回路図である。第5詳細例は、第1詳細例等と比較して放電回路20の放電電流IDCの電流値の調整の手法が異なっている。第5詳細例では、放電電流IDCの電流値は、充電回路10の電流源回路12を用いて調整される。
図10で説明した第4詳細例では、放電電流IDCの電流値の調整は、電流源回路12の可変抵抗回路14を用いて行われていたが、第5詳細例では、電流源回路12に含まれるアンプ回路OPF、トランジスターTF、論理回路ANDGも用いて行われる点が異なっている。
【0081】
第5詳細例の放電回路20は、第4詳細例と同様に論理回路AND、インバーター、P型のトランジスターTDを含む。そして、第5詳細例では、トランジスターTDのドレインは充電回路10のノードNQに接続されている。このため、放電回路20の放電電流IDCは、電流源回路12のトランジスターTFを経由し、ノードNS3を介して可変抵抗回路14に流れる。また、第5詳細例では電流源回路12の論理回路ANDGには第1イネーブル信号EN1、第2イネーブル信号EN2の他に信号DI2も入力される。信号DI2は放電回路20が動作イネーブルのとき、ローレベルになる。従って、第1イネーブル信号EN1、第2イネーブル信号EN2がハイレベルになり、充電回路10がディセーブルの状態において、信号DI2がローレベルになることで、論理回路ANDGはローレベルの信号を出力する。このため、論理回路ANDGからローレベルの信号QGがアンプ回路OPFに入力され、充電回路10の中の電流源回路12がイネーブルになる。ここで充電回路10の電流源回路12の基本的な動作については、
図6で説明した第1詳細例の場合と同様であるが、第5詳細例においては、電流源回路12は放電回路20へ流す放電電流IDCの値を調整するために動作する。このように第5詳細例では、放電回路20の流す放電電流IDCの電流値は、電流源回路12のアンプ回路OPFや可変抵抗回路14により制御されるようになる。第5詳細例は、第3詳細例と同様に電流源回路12を用いて、充電ノードNBATの電圧をバッテリー2の満充電電圧以下に維持する手法である。そして、第5詳細例は、第3詳細例に加えて、充電回路10の電流源回路12を利用できるので、回路規模を小さくできる。
【0082】
図12は本実施形態の第6詳細例の回路図である。第6詳細例は、
図10で説明した本実施形態の第4詳細例と基本的には同様の回路構成になっている。第4詳細例と異なるのは、放電電流IDCの電流経路が、NCSRのノードではなく、ノードNCS1に接続されている点である。この場合にはノードNCS1が充電回路10の出力側ノードになる。このようにしても第4詳細例と同様に、放電回路20によって、出力側ノードであるノードNCS1に流れる電荷をグランドノードに放電することができる。このように本実施形態では、放電回路20は、充電回路10の出力側ノードとして、NCSRのノードに接続されていてもよいし、NCS1のノードに接続されていてもよい。なお
図12で説明した放電回路20の出力側ノードの変更は、第4詳細例以外の構成例においても適用することができる。また、ノードNCS2のノードに放電回路20を接続しても同様の効果が得られる。
【0083】
また
図1、
図2に示すように、本実施形態の電子機器100は、上述の回路装置1とバッテリー2を含むことができる。このようにすれば、電子機器100においても、上述したリーク電流によるバッテリー2の過充電を抑制できる。
【0084】
以上に説明したように本実施形態の回路装置は、充電回路と放電回路を含む。充電回路は、電源ノードからの電源電圧に基づいてバッテリーに充電電流を供給する。放電回路は充電回路の出力側に設けられ、充電電流の供給がオフであるときに電源ノードから充電回路の出力側にリークするリーク電流を、放電する。
【0085】
本実施形態によれば、充電時にはバッテリーに充電電流が供給されることでバッテリーの充電が行われ、充電が停止されたときには、充電回路からのリーク電流を放電回路の放電電流により放電することによって、出力側ノードの電圧がバッテリー電圧を超えることが抑制される。従って、バッテリーが充電回路からのリーク電流によって過充電されることを防止できる。
【0086】
また本実施形態では、放電回路は、バッテリーの満充電が検知された後にリーク電流を放電してもよい。
【0087】
このようにすればバッテリー電圧が所定の満充電電圧になったことが検知されたときに、放電回路は充電回路からのリーク電流を放電することができる。従って、バッテリーがまだ満充電に満たないときには、所定の満充電電圧まで定電流で充電でき、充電が完了したときに過充電が発生しないようにする制御が実現できる。
【0088】
また本実施形態の回路装置は、充電回路とバッテリーとの間に設けられ、バッテリーから充電回路への逆流を防止する逆流防止回路を含んでもよい。そして放電回路は、逆流防止回路の入力側ノードに接続されていてもよい。
【0089】
このようにすれば、充電回路とバッテリーとの間に設けられる逆流防止回路により、バッテリーから充電回路の出力側ノードに、充電電流と逆方向の電流が流れるのを抑制できる。
【0090】
また本実施形態では、逆流防止回路は、逆流防止回路の入力側ノードと充電ノードの間に設けられるP型のトランジスターを含む。逆流防止回路の入力側ノードは充電回路の出力側ノードである。そして逆流防止回路は、P型のトランジスター、充電回路の入力側ノードから充電ノードへの方向を順方向とする寄生ダイオードを有していてもよい。
【0091】
このようにすれば、充電回路からの充電電流については出力側ノードから充電ノードに流し、バッテリーに溜まった電荷については充電ノードから出力側ノードにリークしないように、寄生ダイオードにより制御できるようになる。
【0092】
また本実施形態では、放電回路は、リーク電流を放電することで、充電回路の出力側の電圧をバッテリー電圧以下に設定してもよい。
【0093】
このようにすれば、充電回路からのリーク電流を放電することで、充電ノードの電圧がバッテリー電圧よりも上昇することが防止される。従って、充電ノードの電圧をバッテリー電圧以下に維持でき、バッテリーが過充電されるのを防止できる。
【0094】
また本実施形態では、放電回路は、充電回路の出力側とグランドノードの間に直列に設けられる抵抗回路及びスイッチを含んでもよい。
【0095】
このようにすれば、充電回路の出力からのリーク電流は、スイッチがオフからオンになることで、放電回路の抵抗回路に設けられた抵抗を介してグランドノードに放電できるようになる。
【0096】
また本実施形態では、抵抗回路の抵抗値は、充電回路がオフであり、バッテリーが満充電であり、動作温度が最大動作温度であり、電源ノードに電源電圧が印加されているとき、充電回路の出力の電圧がバッテリーの満充電時の電圧以下となる抵抗値に設定することができる。
【0097】
このようにすれば、放電回路に設けられた抵抗回路の抵抗値は、充電回路からのリークによる過充電が最も発生し易い状況においても、充電回路の出力側ノードの電圧をバッテリーの満充電時の電圧以下に維持できるように設定される。従って、バッテリーの過充電を防止できるようになる。
【0098】
また本実施形態では、抵抗回路は、可変抵抗回路にすることができる。
【0099】
このようにすれば、可変抵抗回路である抵抗回路の抵抗値を変えることで、充電回路の出力側ノードの電荷の放電量を可変にすることができる。従って、接続ノードの電圧や動作温度などに応じて、出力側ノードから放電させる放電量を制御できるようになる。
【0100】
また本実施形態の回路装置は、モニター回路と制御回路を含むことができる。モニター回路は、充電回路の出力側の電圧とバッテリーの電圧とをモニターし、制御回路は、モニター回路のモニター結果に基づいて可変抵抗回路の抵抗値を設定してもよい。
【0101】
このようにすれば、モニター回路により充電回路の出力側の電圧とバッテリー電圧をモニターし、充電回路の出力の電圧がバッテリーの電圧よりも高い場合には、制御回路により、抵抗回路の抵抗値を小さくして、出力側ノードから放電させる電荷の量を増やすことで、出力側ノードの電圧を調整することができる。
【0102】
また本実施形態では、放電回路は、充電回路の出力とグランドノードの間に設けられる電流源回路を含んでもよい。
【0103】
このようにすれば、充電回路がオフになっているときに充電回路の出力側にリークしたリーク電流を、電流源回路によってグランドノードに放電することができる。
【0104】
また本実施形態では、電流源回路が流す電流の電流値は、充電回路がオフであり、バッテリーが満充電であり、動作温度が最大動作温度であり、電源ノードに電源電圧が印加されているとき、充電回路の出力の電圧がバッテリーの満充電時の電圧以下となる電流値に設定されていてもよい。
【0105】
このような条件の電流を電流源回路に流すことで、最大温度のときでも、満充電後に、充電回路の出力電圧が、バッテリー電圧以下になることが保証されて、充電回路の出力からバッテリーに電流が流れて過充電されるのを防止できる。
【0106】
また本実施形態では、電流源回路は、可変電流源回路であってもよい。
【0107】
このようにすれば、接続ノードの電圧をバッテリー電圧以下になるように、電流源回路に流れる定電流の電流値を調整することができる。
【0108】
このようにすれば、制御部からの信号により電流源回路に流れる電流が制御されることで、放電電流が制御される。このため、出力側ノードの電圧をバッテリー電圧以下になるように、電流源回路に流れる定電流の電流値を調整できる。
【0109】
また本実施形態では、放電回路は、スイッチを含んでいてもよく、スイッチと充電回路に含まれる可変抵抗回路とは、充電回路の出力側のノードとグランドノードの間に直列に設けることができる。
【0110】
このようにすれば、放電回路の中に抵抗回路を別個に設けなくても、充電回路において出力電流を生成するために設けられた可変抵抗回路を、放電電流の電流値を調整するための抵抗回路として兼用することができる。
【0111】
また本実施形態では、充電回路は、電源ノードと充電回路の出力との間に設けられるトランジスターと、トランジスターのゲート電圧を制御するアンプ回路を含んでもよい。そして充電電流の供給がオフであるとき、トランジスターはオフであり、放電回路は、オフであるトランジスターを介して電源ノードから充電回路の出力へリークするリーク電流を、放電してもよい。
【0112】
このようにすれば、アンプ回路がトランジスターのゲート電圧を制御し、トランジスターのオン、オフを制御できるようになる。そして、トランジスターがオフになるように制御され、トランジスターのリーク電流が発生した場合には、放電回路によってリーク電流を放電できるようになる。
【0113】
また本実施形態では、充電回路は、第1充電電流を生成する第1充電回路と、第1充電電流より小さい第2充電電流を生成する第2充電回路と、を含んでもよい。
【0114】
このようにすれば、異なる電流値を生成する2つの充電回路を有する2系統の回路装置において、各充電電流の供給を停止しているときに発生したリーク電流を放電回路を介して放電することができる。
【0115】
また本実施形態では、放電回路は、第1充電回路及び第2充電回路がディセーブル状態のとき、リーク電流を放電してもよい。
【0116】
このようにすれば、第1充電回路及び第2充電回路がディセーブル状態になり、バッテリーに充電電流が供給されない状態において、バッテリーが第1充電回路又は第2充電回路からのリーク電流により過充電されることを抑制できる。
【0117】
また本実施形態の電子機器は、上記の回路装置と、バッテリーを含んでもよい。
【0118】
このようにすれば、リーク電流によるバッテリーの過充電を抑制できる電子機器を実現できる。
【0119】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本開示の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本開示の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本開示の範囲に含まれる。また回路装置、電子機器の構成・動作等も本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0120】
1…回路装置、2…バッテリー、10…充電回路、12…電流源回路、14…可変抵抗回路、16…第1充電回路、18…第2充電回路、20…放電回路、22…抵抗回路、24…制御部、26…電流源回路、30…逆流防止回路、40…モニター回路、50…制御回路、100…電子機器、140…電流源回路、AND…論理回路、AND0、AND1、AND2…論理回路、ANDG…論理回路、ANDn…論理回路、D0、D1、D2…信号、DI1、DI2…信号、DQ…信号、Dn…信号、EN1…第1イネーブル信号、EN2…第2イネーブル信号、ICH…充電電流、ICH1…第1充電電流、ICH2…第2充電電流、IQ…電流、IS1…第1出力電流、IS2…第2出力電流、IVBAT…電流、IVIN…電流、L…チャネル長、NBAT…充電ノード、NCS1、NCS2、NCSI1、NCSI2…ノード、NCSR…出力側ノード、NIN…電源ノード、NQ、NS3…ノード、OPA1…アンプ回路、OPA2…アンプ回路、OPF…アンプ回路、QDA…電流源制御値、QG…信号、RB…抵抗、RCS1、RCS2…抵抗、RD…抵抗、RD0~RD13…抵抗、RG1~RG13…抵抗、RS1、RS2…抵抗、S1~S4、S5a…ステップ、S5b…ステップ、TA1、TA2…トランジスター、TB1、TB2…トランジスター、TBAT…バッテリー端子、TD…トランジスター、TD0~TDn…N型トランジスター、TE1、TE2…トランジスター、TF…トランジスター、TG1~TG13…トランジスター、VBAT…バッテリー電圧、VCSR…電圧、VIN…電源電圧、VREF…基準電圧、VS3…電圧、W…チャネル幅