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  • 特開-洗浄装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088195
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240625BHJP
   B08B 3/10 20060101ALI20240625BHJP
   B08B 3/04 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
H01L21/304 642F
B08B3/10 Z
B08B3/04 Z
H01L21/304 642A
H01L21/304 648K
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203254
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】594201700
【氏名又は名称】株式会社マブチ・エスアンドティー
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(72)【発明者】
【氏名】林 賢一
【テーマコード(参考)】
3B201
5F157
【Fターム(参考)】
3B201AA46
3B201AB03
3B201AB44
3B201BB02
3B201BB05
3B201BB92
3B201BB98
5F157AB03
5F157AB13
5F157AB34
5F157BB04
5F157BB07
5F157BB09
5F157BB79
5F157CF02
5F157CF04
5F157CF60
5F157CF66
5F157CF92
5F157DB02
(57)【要約】
【課題】ファインバブルを用いて洗浄対象物を洗浄するための洗浄装置において、洗浄対象物の下側で発生させたファインバブルを用いて洗浄対象物を効率的に洗浄することが可能な洗浄装置を提供する。
【解決手段】洗浄装置1は、洗浄対象物2を洗浄するための洗浄液が貯留される洗浄槽3と、洗浄槽3の中の洗浄液に浸かる洗浄対象物2の下側でファインバブルを発生させるファインバブル発生機構5と、洗浄対象物2の上側で洗浄液が上昇する方向に洗浄液の流れを発生させる上昇流発生機構6とを備えている。上昇流発生機構6は、ファインバブル発生機構5が発生させたファインバブルが上昇して洗浄対象物2を通過する方向に洗浄液の流れを発生させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄対象物を洗浄するための洗浄液が貯留される洗浄槽と、前記洗浄槽の中の前記洗浄液に浸かる前記洗浄対象物の下側でファインバブルを発生させるファインバブル発生機構と、前記洗浄対象物の上側で前記洗浄液が上昇する方向に前記洗浄液の流れを発生させる上昇流発生機構とを備え、
前記上昇流発生機構は、前記ファインバブル発生機構が発生させた前記ファインバブルが上昇して前記洗浄対象物を通過する方向に前記洗浄液の流れを発生させることを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
前記上昇流発生機構は、前記洗浄対象物の上側に配置され上下方向を回転の軸方向として回転する回転体と、前記回転体の回転中心となる回転軸と、前記回転軸を回転させる駆動機構とを備え、
前記回転体には、前記回転体の下端面で開口する前記洗浄液の吸入口と、前記回転軸の径方向における前記回転体の外側面で開口するとともに前記吸入口よりも前記回転軸の径方向の外側に配置される複数の前記洗浄液の吐出口とが形成され、
前記回転体が回転すると、前記吸入口から吸入されて複数の前記吐出口から排出される前記洗浄液の流れが発生することを特徴とする請求項1記載の洗浄装置。
【請求項3】
上面および下面が開口する箱状に形成され前記洗浄対象物が収容される洗浄対象物収容部を備え、
前記ファインバブル発生機構は、前記ファインバブルを放出するノズルと、上面が開口する箱状に形成されるとともに前記洗浄対象物の下側に配置され前記ノズルから放出された前記ファインバブルが入るファインバブル収容部とを備え、
上下方向から見たときに、前記ファインバブル収容部の外形は、前記洗浄対象物収容部の外形よりも大きくなっており、前記ファインバブル収容部の上端は、前記洗浄対象物収容部の下端よりも上側に配置されているか、または、上下方向において前記洗浄対象物収容部の下端と同じ位置に配置されていること、
あるいは、上下方向から見たときに、前記ファインバブル収容部の外形は、前記洗浄対象物収容部の外形と同じになっており、前記ファインバブル収容部の上端は、上下方向において前記洗浄対象物収容部の下端と同じ位置に配置されていることを特徴とする請求項2記載の洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファインバブルを用いて洗浄対象物を洗浄するための洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マイクロバブルを用いて半導体ウエハ等の洗浄対象物を洗浄するための洗浄装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の洗浄装置は、上方が開口する洗浄槽を備えている。洗浄槽の底部には、多孔板からなる支持板が固定されている。支持板の上側には、保持用カセットに保持された多数枚の半導体ウエハが配置されている。支持板と洗浄槽の底面との間には、マイクロバブルを含む洗浄液を噴射する複数の噴射ノズルが設置されている。複数の噴射ノズルは、たとえば、上向きに洗浄液を噴射するように設置されている。洗浄槽は、皿状の回収ボックスの中に設置されており、洗浄槽からオーバーフローする洗浄液は、回収ボックスに回収される。特許文献1に記載の洗浄装置では、半導体ウエハから除去された異物がマイクロバブルと一緒に浮上して洗浄槽から流れ出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第7125280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者は、ファインバブルを用いて半導体ウエハ等の洗浄対象物を洗浄するための洗浄装置を開発している。すなわち、本願発明者は、マイクロバブルまたはウルトラファインバブルを用いて洗浄対象物を洗浄するための洗浄装置を開発している。本願発明者は、開発中の洗浄装置において、特許文献1に記載の洗浄装置と同様に洗浄対象物の下側でファインバブルを発生させることを検討している。しかしながら、浮力の小さいマイクロバブルは洗浄液の中でゆっくり浮上するため、開発中の洗浄装置において、洗浄対象物の下側で発生させたマイクロバブルを用いて洗浄対象物を効率的に洗浄することは困難であることが本願発明者の検討によって明らかになった。また、浮力が生じないウルトラファインバブルは洗浄液の中で停滞するため、開発中の洗浄装置において、洗浄対象物の下側で発生させたウルトラファインバブルを用いて洗浄対象物を効率的に洗浄することは困難であることが本願発明者の検討によって明らかになった。
【0005】
なお、本願発明者は、特許文献1に記載の洗浄装置と同様に、ファインバブルを含む洗浄液をノズルが上向きに噴射するように洗浄対象物の下側にノズルを設置して、ファインバブルを効果的に浮上させることも検討した。しかしながら、一般的なノズルを用いてファインバブルを発生させる場合には、ファインバブルを含む洗浄液をノズルが上向きに噴射するように洗浄対象物の下側にノズルを設置しても、ファインバブルが効果的に浮上する程度まで、ファインバブルを含む洗浄液のノズルからの噴射圧を高めることは困難であることが本願発明者の検討によって明らかになった。
【0006】
そこで、本発明の課題は、ファインバブルを用いて洗浄対象物を洗浄するための洗浄装置において、洗浄対象物の下側で発生させたファインバブルを用いて洗浄対象物を効率的に洗浄することが可能な洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の洗浄装置は、洗浄対象物を洗浄するための洗浄液が貯留される洗浄槽と、洗浄槽の中の洗浄液に浸かる洗浄対象物の下側でファインバブルを発生させるファインバブル発生機構と、洗浄対象物の上側で洗浄液が上昇する方向に洗浄液の流れを発生させる上昇流発生機構とを備え、上昇流発生機構は、ファインバブル発生機構が発生させたファインバブルが上昇して洗浄対象物を通過する方向に洗浄液の流れを発生させることを特徴とする。
【0008】
本発明の洗浄装置では、洗浄液が上昇する方向に洗浄液の流れを発生させる上昇流発生機構は、ファインバブル発生機構が発生させたファインバブルが上昇して洗浄対象物を通過する方向に洗浄液の流れを発生させている。そのため、本発明では、洗浄対象物の下側で発生させたファインバブルが洗浄対象物を通過するようにファインバブルを効果的に浮上させることが可能になる。したがって、本発明では、洗浄対象物から除去された異物をファインバブルと一緒に効率的に浮上させることが可能になり、その結果、洗浄対象物の下側で発生させたファインバブルを用いて洗浄対象物を効率的に洗浄することが可能になる。
【0009】
また、本発明では、洗浄液が上昇する方向に洗浄液の流れを発生させる上昇流発生機構が洗浄対象物の上側で洗浄液の流れを発生させているため、たとえば、洗浄対象物の下側に設置される羽根を回転させることによって洗浄対象物の下側で洗浄液が上昇する方向に洗浄液の流れを発生させる場合と比較して、洗浄対象物を通過する前にファインバブルが破裂するのを抑制することが可能になる。
【0010】
本発明において、上昇流発生機構は、洗浄対象物の上側に配置され上下方向を回転の軸方向として回転する回転体と、回転体の回転中心となる回転軸と、回転軸を回転させる駆動機構とを備え、回転体には、回転体の下端面で開口する洗浄液の吸入口と、回転軸の径方向における回転体の外側面で開口するとともに吸入口よりも回転軸の径方向の外側に配置される複数の洗浄液の吐出口とが形成され、回転体が回転すると、吸入口から吸入されて複数の吐出口から排出される洗浄液の流れが発生することが好ましい。このように構成すると、異物と一緒に浮上したファインバブルは、洗浄対象物の上側に配置される回転体の径方向の外側に移動する。したがって、異物と一緒に浮上したファインバブルが回転体の径方向の外側に移動した後に破裂して洗浄液の中で異物が降下しても、降下する異物が洗浄対象物に再付着するのを抑制することが可能になる。
【0011】
本発明において、洗浄装置は、上面および下面が開口する箱状に形成され洗浄対象物が収容される洗浄対象物収容部を備え、ファインバブル発生機構は、ファインバブルを放出するノズルと、上面が開口する箱状に形成されるとともに洗浄対象物の下側に配置されノズルから放出されたファインバブルが入るファインバブル収容部とを備え、上下方向から見たときに、ファインバブル収容部の外形は、洗浄対象物収容部の外形よりも大きくなっており、ファインバブル収容部の上端は、洗浄対象物収容部の下端よりも上側に配置されているか、または、上下方向において洗浄対象物収容部の下端と同じ位置に配置されていること、あるいは、上下方向から見たときに、ファインバブル収容部の外形は、洗浄対象物収容部の外形と同じになっており、ファインバブル収容部の上端は、上下方向において洗浄対象物収容部の下端と同じ位置に配置されていることが好ましい。
【0012】
このように構成すると、ノズルから放出されたファインバブルを洗浄対象物の真下に効率的に集めることが可能になる。したがって、洗浄対象物の下側で発生させたファインバブルを用いて洗浄対象物をより効率的に洗浄することが可能になる。また、このように構成すると、異物と一緒に浮上したファインバブルが回転体の径方向の外側に移動した後に破裂して洗浄液の中で異物が降下しても、降下する異物はファインバブル収容部の中に入りにくくなる。したがって、降下した異物がファインバブルと一緒に再浮上しにくくなり、その結果、降下した異物が洗浄対象物に再付着するのを効果的に抑制することが可能になる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明では、ファインバブルを用いて洗浄対象物を洗浄するための洗浄装置において、洗浄対象物の下側で発生させたファインバブルを用いて洗浄対象物を効率的に洗浄することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態にかかる洗浄装置の構成を説明するための概略図である。
図2】(A)は、図1に示す回転体の縦断面図であり、(B)は、図1に示す回転体の底面図である。
図3】本発明の他の実施の形態にかかる上昇流発生機構の構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
(洗浄装置の構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる洗浄装置1の構成を説明するための概略図である。図2(A)は、図1に示す回転体18の縦断面図であり、図2(B)は、図1に示す回転体18の底面図である。
【0017】
本形態の洗浄装置1は、ファインバブルを用いて洗浄対象物である半導体ウエハ2(以下、「ウエハ2」とする。)を洗浄するための装置である。すなわち、洗浄装置1は、直径が1μm以上100μm未満のマイクロバブルまたは直径が1μm未満のウルトラファインバブルを用いてウエハ2を洗浄するための装置である。洗浄装置1では、たとえば、スライシング、べべリング、ラッピングまたはポリッシング後のウエハ2に付着した研削材、研磨材、研削粉または研磨粉等がウエハ2から除去される。ウエハ2は、たとえば、ガラスやシリコンで形成されている。また、ウエハ2は、たとえば、直径8インチの円板状に形成されている。
【0018】
洗浄装置1は、ウエハ2を洗浄するための洗浄液が貯留される洗浄槽3と、洗浄槽3が固定される本体フレーム4と、洗浄槽3の中でファインバブルを発生させるためのファインバブル発生機構5と、洗浄槽3の中の洗浄液が上昇する方向に洗浄液の流れを発生させるための上昇流発生機構6と、ウエハ2が収容される洗浄対象物収容部としてのウエハキャリア7と、ウエハキャリア7を支持する支持フレーム8とを備えている。洗浄液は、たとえば、純水または市水(水道水)等の水である。また、洗浄液は、たとえば、オゾンが溶解したオゾン水であっても良い。ただし、洗浄液は、水以外の洗浄用の液体であっても良い。
【0019】
洗浄槽3は、上面が開口する直方体の箱状に形成されている。洗浄槽3の上端側には、洗浄槽3から洗浄液を排出するための排出用の配管(図示省略)が繋がる継手9が取り付けられている。継手9は、洗浄液の液面よりも若干下側に配置されている。また、継手9は、洗浄液の液面と同じ位置に配置されていても良い。洗浄槽3からは、継手9を介して洗浄液が排出される。ウエハキャリア7は、上面および下面が開口する直方体の箱状に形成されている。上下方向から見たときのウエハキャリア7の外形は、たとえば、正方形状となっている。ウエハキャリア7の中には、多数枚のウエハ2が収容されている。ウエハキャリア7に収容される多数枚のウエハ2は、水平方向において一定の間隔をあけた状態で配列されている。支持フレーム8は、本体フレーム4の上端部に固定されている。ウエハキャリア7は、支持フレーム8に着脱可能に取り付けられている。具体的には、ウエハキャリア7は、支持フレーム8に吊り下げられており、支持フレーム8に対してウエハキャリア7を持ち上げると、支持フレーム8からウエハキャリア7を取り外すことができる。
【0020】
ファインバブル発生機構5は、洗浄槽3の中で洗浄液に漬かるウエハ2の下側(具体的には、ウエハキャリア7に収容される多数枚のウエハ2の下側)でファインバブルを発生させる。ファインバブル発生機構5は、ファインバブルを放出するノズル12と、ノズル12から放出されたファインバブルが入る箱状のファインバブル収容部13と、ノズル12とファインバブル収容部13とを繋ぐ配管14とを備えている。ノズル12、ファインバブル収容部13および配管14は、ウエハキャリア7に収容される多数枚のウエハ2よりも下側に配置されている。また、ノズル12の少なくとも一部、ファインバブル収容部13および配管14は、洗浄槽3の中に配置されている。
【0021】
ファインバブル収容部13は、上面が開口する直方体の箱状に形成されている。上下方向から見たときのファインバブル収容部13の外形は、たとえば、正方形状となっている。ファインバブル収容部13は、ウエハキャリア7の真下に配置されている。すなわち、ファインバブル収容部13は、ウエハキャリア7に収容される多数枚のウエハ2の下側に配置されている。上下方向から見たときに、ファインバブル収容部13の中心とウエハキャリア7の中心とが一致している。
【0022】
上下方向から見たときに、ファインバブル収容部13の外形は、ウエハキャリア7の外形よりも大きくなっている。具体的には、上下方向から見たときに、ファインバブル収容部13の外形は、ウエハキャリア7の外形よりも若干大きくなっている。ファインバブル収容部13の上端は、ウエハキャリア7の下端よりも上側に配置されており、ウエハキャリア7の下端は、ファインバブル収容部13の中に配置されている。あるいは、ファインバブル収容部13の上端は、上下方向においてウエハキャリア7の下端と同じ位置に配置されている。また、上下方向から見たときに、ファインバブル収容部13の外形は、ウエハキャリア7の外形と同じになっていても良い。この場合には、ファインバブル収容部13の上端は、上下方向においてウエハキャリア7の下端と同じ位置に配置されている。
【0023】
また、ファインバブル発生機構5は、ノズル12に洗浄液を供給する洗浄液の供給部(図示省略)を備えている。また、ファインバブル発生機構5は、必要に応じてノズル12に圧縮空気の気体を供給する気体の供給部(図示省略)を備えている。ノズル12は、ファインバブルを含む洗浄液を放出する。すなわち、洗浄槽3には、ノズル12から洗浄液が供給される。ノズル12は、たとえば、水平方向にファインバブルを含む洗浄液を放出する。配管14の一端は、ノズル12の先端部に繋がり、配管14の他端は、ファインバブル収容部13の側面に繋がっている。ノズル12から放出されるファインバブルは、ファインバブル収容部13の中に入って、ファインバブル収容部13の中に溜まる。
【0024】
上昇流発生機構6は、ウエハ2の上側(具体的には、ウエハキャリア7に収容される多数枚のウエハ2の上側)で洗浄液が上昇する方向に洗浄液の流れを発生させる。上昇流発生機構6は、洗浄液に含まれるファインバブルを上昇させる。上昇流発生機構6は、上下方向(鉛直方向)を回転の軸方向として回転する回転体18と、回転体18の回転中心となる回転軸19と、回転軸19を回転させる駆動機構20とを備えている。回転体18および回転軸19は、ウエハキャリア7に収容される多数枚のウエハ2の上側に配置されている。
【0025】
回転体18は、たとえば、フッ素樹脂によって形成されている。回転体18は、軸方向の長さが短い扁平な底付きの円筒状に形成される本体部18aと、回転軸19が固定される円筒状の回転軸固定部18bとから構成されている。本体部18aは、本体部18aの軸方向と上下方向とが一致するように配置されている。本体部18aは、洗浄液の中に配置されている。本体部18aは、底付きの円筒状に形成される本体部18aの下端面が開口するように配置されている。回転軸固定部18bは、本体部18aの上端面に繋がっている。本体部18aの軸心と回転軸固定部18bの軸心とは一致している。回転軸固定部18bの外径は、回転体18の外径よりも小さくなっている。回転軸固定部18bの内周側には、回転軸19の下端部が固定されている。
【0026】
上下方向から見たときに、本体部18aの外径(直径)は、正方形状をなすウエハキャリア7の各辺の長さよりも大きくなっている。すなわち、上下方向から見たときに、回転体18の外径は、ウエハキャリア7の各辺の長さよりも大きくなっている。また、上下方向から見たときに、回転体18の外径は、正方形状をなすファインバブル収容部13の各辺の長さとほぼ等しいか若干大きくなっている。
【0027】
本体部18aの下端面の開口は、洗浄液の吸入口18cとなっている。すなわち、回転体18には、回転体18の下端面で開口する洗浄液の吸入口18cが形成されている。吸入口18cの内径(直径)は、上下方向から見たときに、ウエハキャリア7に収容される多数枚のウエハ2の全てがちょうど入る大きさとなっている。すなわち、吸入口18cの内径は、上下方向から見たときに、ウエハキャリア7に収容される多数枚の全てのウエハ2の占有面積がちょうど入る大きさとなっている。
【0028】
また、本体部18aには、回転体18および回転軸19の径方向(以下、この方向を「径方向」とする。)で本体部18aを貫通する複数の貫通穴が形成されている。この貫通穴は、洗浄液の吐出口18dとなっている。すなわち、回転体18には、径方向における回転体18の外側面(外周面)で開口する複数の洗浄液の吐出口18dが形成されている。吐出口18dは、吸入口18cよりも径方向の外側に配置されている。吐出口18dは、たとえば、本体部18aの軸心を中心とする45°ピッチで8箇所に形成されている。
【0029】
回転軸19は、回転軸19の軸方向と上下方向とが一致するように配置されている。回転軸19の表面には、たとえば、フッ素樹脂がコーティングされている。上述のように、回転軸19の下端部は、回転体18の上端部を構成する回転軸固定部18bに固定されている。回転軸19の上端部は、図示を省略する軸受けに回転可能に保持されている。この軸受けは、本体フレーム4の上端側に固定される軸受け保持部材に取り付けられている。駆動機構20は、モータ(図示省略)と、モータの動力を回転軸19に伝達する動力伝達機構(図示省略)とを備えている。モータは、サーボモータである。モータは、本体フレーム4の上端側に固定されるモータ保持部材に取り付けられている。動力伝達機構は、たとえば、モータの出力軸に固定されるプーリと、回転軸19に固定されるプーリと、2個のプーリに架け渡されるベルトとを備えている。
【0030】
洗浄装置1では、回転体18が回転すると、回転体18の吸入口18cから吸入されて複数の吐出口18dから排出される洗浄液の流れが発生する(図1の一点鎖線の矢印参照)。そのため、ファインバブル収容部13の中にファインバブルが溜まっている状態で回転体18が回転すると、ファインバブル収容部13の中のファインバブルが上昇して、ウエハキャリア7に収容される多数枚のウエハ2を通過する方向に洗浄液の流れが発生する(図1の一点鎖線の矢印参照)。
【0031】
すなわち、上昇流発生機構6は、ファインバブル発生機構5が発生させたファインバブルが上昇してウエハ2を通過する方向に洗浄液の流れを生じさせる。ファインバブル収容部13から上昇してウエハ2を通過した洗浄液は、その後、吸入口18cを通過してから吐出口18dを通過して回転体18の径方向の外側に流れる。ファインバブルがウエハ2を通過するときには、ファインバブルが、ウエハ2に付着した異物(パーティクル)に吸着して異物をウエハ2から剥離して除去する。ウエハ2から除去された異物はファインバブルと一緒に洗浄液の液面まで浮上する。洗浄液の液面まで浮上した異物は、継手9を通過して洗浄槽3の外部に排出される。すなわち、洗浄液の液面よりも若干下側に継手9を配置して、洗浄液の液面まで浮上した異物が洗浄液と一緒に洗浄槽3の中で循環しないようにしている。なお、異物に吸着したファインバブルが上昇中に破裂しても、異物は、洗浄液と一緒に回転体18の径方向の外側に流れる。
【0032】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、上昇流発生機構6は、ファインバブル発生機構5が発生させたファインバブルが上昇してウエハ2を通過する方向に洗浄液の流れを発生させている。そのため、本形態では、ウエハ2の下側で発生させたファインバブルがウエハ2を通過するようにファインバブルを効果的に浮上させることが可能になる。したがって、本形態では、ウエハ2から除去された異物をファインバブルと一緒に効率的に浮上させることが可能になり、その結果、ウエハ2の下側で発生させたファインバブルを用いてウエハ2を効率的に洗浄することが可能になる。
【0033】
また、本形態では、洗浄液が上昇する方向に洗浄液の流れを発生させる上昇流発生機構6がウエハ2の上側で洗浄液の流れを発生させているため、たとえば、ファインバブル収容部13の中に設置される羽根を回転させることによって(すなわち、ウエハ2の下側に設置される羽根を回転させることによって)ウエハ2の下側で洗浄液が上昇する方向に洗浄液の流れを発生させる場合と比較して、ウエハ2を通過する前にファインバブルが破裂するのを抑制することが可能になる。
【0034】
本形態では、回転体18に、回転体18の下端面で開口する洗浄液の吸入口18cと、径方向における回転体18の外側面で開口するとともに吸入口18cよりも径方向の外側に配置される洗浄液の吐出口18dとが形成されており、回転体18が回転すると、吸入口18cを通過した後、吐出口18dを通過して回転体18の径方向の外側に流れる洗浄液の流れが発生する。そのため、本形態では、異物と一緒に浮上したファインバブルは、ウエハ2の上側に配置される回転体18の径方向の外側に移動する。
【0035】
したがって、本形態では、異物と一緒に浮上したファインバブルが回転体18の径方向の外側に移動した後に破裂して洗浄液の中で異物が降下しても、降下する異物がウエハ2に再付着するのを抑制することが可能になる。また、本形態では、上下方向から見たときに、回転体18の外径が、正方形状をなすウエハキャリア7の各辺の長さよりも大きくなっているため、異物と一緒に浮上したファインバブルが回転体18の径方向の外側に移動した後に破裂して洗浄液の中で異物が降下しても、降下する異物がウエハ2に再付着するのを効果的に抑制することが可能になる。
【0036】
本形態では、吸入口18cの内径は、上下方向から見たときに、ウエハキャリア7に収容される多数枚のウエハ2の全てがちょうど入る大きさとなっている。そのため、本形態では、ウエハキャリア7に収容される多数枚のウエハ2の全てにファインバブルを効率的に当てることが可能になる。したがって、本形態では、ファインバブルを用いてウエハ2をより効率的に洗浄することが可能になる。
【0037】
本形態では、ファインバブル発生機構5は、上面が開口する箱状に形成されるとともにウエハ2の下側に配置されノズル12から放出されたファインバブルが入るファインバブル収容部13を備えている。そのため、本形態では、ノズル12から放出されたファインバブルをウエハ2の真下に効率的に集めることが可能になる。したがって、本形態では、ウエハ2の下側で発生させたファインバブルを用いてウエハ2をより効率的に洗浄することが可能になる。
【0038】
また、本形態では、上下方向から見たときに、ノズル12から放出されたファインバブルが入るファインバブル収容部13の外形は、ウエハキャリア7の外形よりも若干大きくなっており、ファインバブル収容部13の上端は、ウエハキャリア7の下端よりも上側に配置されているか、または、上下方向においてウエハキャリア7の下端と同じ位置に配置されている。あるいは、本形態では、上下方向から見たときに、ファインバブル収容部13の外形は、ウエハキャリア7の外形と同じになっており、ファインバブル収容部13の上端は、上下方向においてウエハキャリア7の下端と同じ位置に配置されている。
【0039】
そのため、本形態では、異物と一緒に浮上したファインバブルが回転体18の径方向の外側に移動した後に破裂して洗浄槽3の中で異物が降下しても、降下した異物がファインバブル収容部13の中に入りにくくなる。したがって、本形態では、降下した異物がファインバブルと一緒に再浮上しにくくなり、その結果、降下した異物がウエハ2に再付着するのを効果的に抑制することが可能になる。
【0040】
(他の実施の形態)
上述した形態において、上昇流発生機構6は、回転体18、回転軸19および駆動機構20に代えて、遠心ポンプや軸流ポンプ等のポンプ23を備えていても良い(図3参照)。この場合には、ポンプ23が駆動すると、ファインバブル収容部13の中のファインバブルが上昇して、ウエハキャリア7に収容される多数枚のウエハ2を通過する方向に洗浄液の流れが発生する。すなわち、この場合であっても、上昇流発生機構6は、ファインバブル発生機構5が発生させたファインバブルが上昇してウエハ2を通過する方向に洗浄液の流れを生じさせる。
【0041】
また、この場合には、ポンプ23は、図3(A)に示すように、洗浄槽3の中でウエハ2の上側(具体的には、ウエハキャリア7に収容される多数枚のウエハ2の真上)に配置されていても良いし、図3(B)に示すように、洗浄槽3の外部に配置されていても良い。図3に示す例では、ウエハ2から除去された異物は、ファインバブルおよび洗浄液と一緒にポンプ23に吸引されて、洗浄槽3の外部に排出される。図3(A)に示す例では、ポンプ23に排水用の配管24が接続されている。図3(B)に示す例では、洗浄槽3の中の、ウエハキャリア7に収容される多数枚のウエハ2の真上に、吸引口が形成される吸引口形成部材25が配置されており、吸引口形成部材25とポンプ23とが配管26を介して接続されている。図3に示す例でも、上昇流発生機構6は、ウエハ2の上側で洗浄液が上昇する方向に洗浄液の流れを生じさせている。なお、図3に示す例では、継手9が不要になる。
【0042】
上述した形態では、円筒状に形成される本体部18aの下端面の1個の開口が吸入口18cとなっているが、本体部18aに、本体部18aの下端面で開口する複数の吸入口と、径方向における本体部18aの外側面で開口する複数の吐出口と、複数の吸入口のそれぞれと複数の吐出口のそれぞれとを繋ぐ複数の流路とが形成されていても良い。この場合には、流路は、流路の途中で屈曲または湾曲するように形成されており、流路の縦断面の形状は、たとえば、L形状となっている。
【0043】
上述した形態において、上下方向から見たときに、ファインバブル収容部13の外形は、ウエハキャリア7の外形より小さくなっていても良い。また、上述した形態において、ファインバブル収容部13の上端は、ウエハキャリア7の下端より下側に配置されていても良い。さらに、上述した形態において、ノズル12は、上側に向かってファインバブルを含む洗浄液を放出するように配置されていても良い。また、上述した形態において、ファインバブル発生機構5は、ファインバブル収容部13および配管14を備えていなくても良い。また、上述した形態において、ファインバブル発生機構5は、ノズル12以外の手段を用いてファインバブルを発生させても良い。
【0044】
上述した形態において、洗浄装置1で洗浄される洗浄対象物は、ウエハ2以外の物であっても良い。たとえば、洗浄装置1で洗浄される洗浄対象物は、レンズやプリズム等の光学部品、または、光学部品の製造途中の部材であっても良い。この場合であっても、洗浄装置1では、光学部品等に付着した研削材、研磨材、研削粉または研磨粉等が光学部品等から除去される。
【符号の説明】
【0045】
1 洗浄装置
2 ウエハ(半導体ウエハ、洗浄対象物)
3 洗浄槽
5 ファインバブル発生機構
6 上昇流発生機構
7 ウエハキャリア(洗浄対象物収容部)
12 ノズル
13 ファインバブル収容部
18 回転体
18c 吸入口
18d 吐出口
19 回転軸
20 駆動機構
図1
図2
図3