(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088201
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】結束装置
(51)【国際特許分類】
B65B 27/08 20060101AFI20240625BHJP
G07D 11/13 20190101ALI20240625BHJP
【FI】
B65B27/08 A
G07D11/13
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203261
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】向井 和弘
【テーマコード(参考)】
3E052
3E141
【Fターム(参考)】
3E052AA23
3E052BA10
3E052CA15
3E052CB05
3E052CB07
3E052DB02
3E052HA07
3E052JA14
3E052LA14
3E141AA02
3E141EA06
3E141EA07
(57)【要約】
【課題】紙葉類端のめくれを防止し結束媒体の品質向上を図ることが可能な結束装置を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、結束装置は、紙葉類の束を積層状態に保持する保持機構と、一方の面に接着剤層が形成された結束帯を送り出す帯フィーダと、送り出された前記結束帯を前記束に巻き付ける帯ワインダと、前記帯フィーダに設けられ、前記結束帯の接着剤層を押圧して平滑化するプレス機構と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類の束を積層状態に保持する保持機構と、
一方の面に接着剤層が形成された結束帯を送り出す帯フィーダと、
送り出された前記結束帯を前記束に巻き付ける帯ワインダと、
前記帯フィーダに設けられ、前記結束帯の接着剤層を押圧して平滑化するプレス機構と、
を備える結束装置。
【請求項2】
前記プレス機構は、前記接着剤層に当接する第1プレスローラと、前記結束帯を挟んで前記第1プレスローラに対向する第2プレスローラと、前記第1プレスローラおよび前記第2プレスローラに押圧力を印加する押圧機構と、を含んでいる、請求項1に記載の結束装置。
【請求項3】
前記第1プレスローラは、金属ローラで構成され、前記第2プレスローラは、ゴムローラで構成されている、請求項2に記載の結束装置。
【請求項4】
前記帯フィーダは、前記結束帯を挟んで搬送する搬送ローラ対と、前記結束帯の搬送方向において前記プレス機構の下流側に設けられたカッターと、を含んでいる、請求項2に記載の結束装置。
【請求項5】
前記帯フィーダは、前記第1プレスローラと一方の搬送ローラとを互いに同期して回転し、前記第2プレスローラと他方の搬送ローラとを互いに同期して回転する駆動機構を備えている、請求項4に記載の結束装置。
【請求項6】
前記プレス機構を所定期間動作させ、前記結束帯の所定区間部位における前記接着剤層を平滑化するコントローラを更に備えている、請求項1に記載の結束装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、紙葉類の結束装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紙葉類の束を結束する結束装置において、紙葉類の束に結束帯を巻き付けて結束する処置が行われる。通常、結束帯は、熱溶着性ののりが塗布されたのり面を有し、結束帯を巻付けた状態でのりを熱で溶かして溶着することで結束状態に保持される。
結束帯によってはのり面が平滑ではなく微小な突起が残っている場合がある。このような結束帯を紙葉類束に巻き付けた際、のり面の微小な突起が束の角部に接触し、紙葉類端をめくり上げてしまう場合がある。めくれ上がった紙葉類端は、反対側に折れ曲がり、結束媒体の傷となり、結束媒体の品質低下を招く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5415302号公報
【特許文献2】特許第4837048号公報
【特許文献3】特開2010-155644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明の実施形態の課題は、紙葉類端のめくれを防止し結束媒体の品質向上を図ることが可能な結束装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、結束装置は、紙葉類の束を積層状態に保持する保持機構と、一方の面に接着剤層が形成された結束帯を送り出す帯フィーダと、送り出された前記結束帯を前記束に巻き付ける帯ワインダと、前記帯フィーダに設けられ、前記結束帯の接着剤層を押圧して平滑化するプレス機構と、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、実施形態に係る結束装置を模式的に示す側面図。
【
図3】
図3は、前記結束装置の帯フィーダを模式的に示す側面図。
【
図4】
図4は、前記結束装置に結束動作を示す模式図。
【
図5】
図5は、前記結束装置に結束動作を示す模式図。
【
図6】
図6は、前記結束装置に結束動作を示す模式図。
【
図7】
図7は、前記結束装置に結束動作を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下図面を参照しながら、実施形態に係る紙葉類の結束装置ついて説明する。
なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更であって容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略あるいは簡略化することがある。
【0008】
(実施形態)
図1は、実施形態に係る結束装置を模式的に示す側面図、
図2は、結束媒体の一例を示す斜視図である。
始めに、結束装置の結束対象物となる結束媒体について説明する。
図2に示すように、結束媒体の一例として、紙葉類、例えば、紙幣の束20を用いる。束20は、小帯B1で結束された百枚の紙幣の把21を十把重ねたもので、例えば、2本の結束帯(大帯)B2で十字結束される。
【0009】
図1に示すように、結束装置10は、結束帯B2を束20に巻き付けて結束する装置である。結束装置10は、紙幣の束20を積層状態に保持する保持機構24と、束20に向けて結束帯B2を送り出す帯フィーダ30と、送り出された結束帯B2を束20に巻き付ける帯ワインダ40と、結束帯B2の端部を束20に押し付けるための帯フラッパ50と、結束帯B2の端部を結束帯に溶着するためのヒータ52と、これらの動作を制御するコントローラ56と、を備えている。
【0010】
保持機構24は、互いに対向する下テーブル25aおよび上テーブル25bと、これらのテーブル25a、25bを昇降駆動する駆動機構26と、を備え、下テーブル25aと上テーブル25bとの間に束20を挟んで積層状態に保持する。
帯フィーダ30は、結束帯B2が巻かれた帯リール31と、結束帯B2の搬送路に沿って配置された2組の搬送ローラ対32a、32bと、2組の搬送ローラ対32a、32bの間に設けられたプレスローラ対34a、34bを有するプレス機構60と、搬送方向において、搬送ローラ32a、32b対の下流側に設けられたカッター36と、を有している。
【0011】
帯ワインダ40は、帯フィーダ30から送り出された結束帯B2の先端部を把持する帯キャッチャ42と、帯キャッチャ42を束20の周囲に沿って移動させる回動機構44と、を含んでいる。
帯フラッパ50は、束20の最上面に沿って移動可能に設けられ、巻付けられた結束帯B2を束20に押し付ける。ヒータ52は、結束帯B2の端部を加熱することにより、結束帯B2を溶着する。
【0012】
図3は、結束帯および帯フィーダを模式的に示す側面図である。
図示のように、結束帯B2は、一方の面、例えば、上面(裏面)に設けられた接着剤層Adを有している。一例では、接着剤層Adは、結束帯B2の上面に塗布された熱溶着性の接着剤、例えば、熱溶着性ののり、で形成されている。通常、接着剤層Adは、表面に微細な突起が点在している。
帯フィーダ30の2組の搬送ローラ対32a、32bは、結束帯B2の搬送方向Aに間隔を置いて配置されている。各組の搬送ローラ32aおよび32bは、搬送路を間に挟んで互いに対向している。各搬送ローラ対32a、32bは、数g程度の圧力で結束帯B2を挟んで結束帯B2を搬送する。
【0013】
プレスローラ対34a、34bは、2組の搬送ローラ対32a、32bの間に配置され、搬送路を間に挟んで互いに対向している。プレスローラ34a、34bは、それぞれ金属ローラで構成され、結束帯B2の表面の全幅および裏面の全幅に当接可能な外周面をそれぞれ有している。なお、接着剤層Adに接触するプレスローラ(第1プレスローラに相当)34bは金属ローラであることが望ましいが、接着剤層Adと反対側に位置するプレスローラ(第2プレスローラに相当)34aは、金属ローラに限らず、ゴムローラとしても良い。
一方のプレスローラ、例えば、プレスローラ34bは、他方のプレスローラ34aに対して接離する方向に移動可能に設けられている。また、プレス機構60は、プレスローラ34a、34bに押圧力を印加する押圧機構38を備えている。一例では、押圧機構38として、プランジャ・ソレノイド機構を用いている。プランジャはプレスローラ34bの枢軸に連結されている。ソレノイドによりプランジャを駆動することで、プレスローラ34bを他方のプレスローラ34aの側に押圧し、プレスローラ対34a、34bに所望のプレス圧力(押圧力)を印加する。プレス圧力は、例えば、数キロg~数10キロg程度に設定される。
【0014】
帯フィーダ30は、搬送ローラ対32a、32bおよびプレスローラ対34a、34bを同期して駆動する駆動機構を含んでいる。駆動機構は、一方の搬送ローラ32bとプレスローラ34bとの間、およびプレスローラ34bと他方の搬送ローラ32bとの間に、それぞれ掛け渡された駆動ベルトTB1、TB2と、一方の搬送ローラ32aとプレスローラ34aとの間、およびプレスローラ34aと他方の搬送ローラ32aとの間に、それぞれ掛け渡された駆動ベルトTB3、TB4と、ローラを回転する図示しないモータと、を有している。3つのローラ32b、34bのうちの少なくとも1つを回転駆動することにより、2つの搬送ローラ32bおよびプレスローラ34bが同期して同一方向(
図3では反時計回り)に回転駆動される。同様に、3つのローラ32a、34aのうちの少なくとも1つを回転駆動することにより、2つの搬送ローラ32aおよびプレスローラ34aが同期して同一方向(
図3では時計回り)に回転駆動される。
【0015】
搬送ローラ対32a、32bの間、および、プレスローラ対34a、34bの間に結束帯B2を挟んだ状態でこれらのローラ対を駆動することにより、結束帯B2は搬送方向Aに送り出される。この際、押圧機構38によりプレスローラ34bに所望のプレス圧力を印加することにより、結束帯B2は、プレスローラ対34a、34bにより両面側から加圧、プレスされる。これにより、結束帯B2の接着剤層Adは、プレスローラ34bにより押し潰されて平滑化される。すなわち、接着剤層Adは、微細な突起が潰れて、平坦な表面を有する層となる。例えば、接着剤層Adの表面粗さが10μmである場合、プレスローラ対34a、34bでプレスすることにより、表面粗さ1μm程度に接着剤層Adを平滑化することができる。
なお、プレスローラ対34a、34bは、常時、結束帯B2にプレス圧を印加しても良いし、あるいは、所定の一定区間のみ結束帯B2にプレス圧を印加する構成としてもよい。
【0016】
前述したように、カッター36は、搬送方向Aにおいて、搬送ローラ対32a、32bおよびプレスローラ対34a、34bの下流側に所定の間隔を置いて配置されている。言い換えると、プレスローラ対34a、34bは、搬送方向Aについて、カッター36の上流側に所定の間隔を置いて配置されている。
搬送ローラ対32a、32bにより搬送される結束帯B2は、カッター36を通して束20の上に送り出される。カッター36は、結束帯B2が所定長さ送り出された時点で、結束帯B2をカットする。
【0017】
次に、結束装置10の結束動作について説明する。
図4、
図5、
図6、
図7は、それぞれ結束装置10の結束動作を示す模式図である。
図1に示したように、結束装置10は、コントローラ56の制御の下、保持機構24により未結束の束20を保持した状態で、帯フィーダ30により帯リール31から引き出された結束帯B2を束20の最上面の上に送り出す。結束帯B2の延出端部を保持アーム54で束20に押し付けて保持するとともに、帯キャッチャ42により結束帯B2を把持する。なお、結束帯B2の延出端部は、接着剤層Adと反対側の面が束20に接触する向きに保持される。
続いて、
図4に示すように、帯キャッチャ42を束20の周囲に沿って移動させ、例えば、
図4において、時計方向に移動させ、結束帯B2を引き出しながら束20に巻き付ける。この際、結束帯B2は、保持アーム54で保持された位置で反転され、接着剤層Adが束20に接触する向きで束20に巻き付けられる。
巻付け動作の間、帯フィーダ30は、所定の速度で結束帯B2を連続して送り出す。
【0018】
図5に示すように、結束帯B2を束20の上面、右側面、下面、左側面の順で巻付けた後、帯キャッチャ42の移動を停止する。結束帯B2は、所定長さ送り出された段階で、カッター36によりカットされている。また、コントローラ56は、帯フィーダ30により結束帯B2を送り出す過程で、所定期間、プレスローラ対34a、34bにより結束帯B2をプレス加工し、結束帯B2の所定長さ領域部分において接着剤層Adを平滑化する。ここでは、束20の上面と左側面とが交差する角部C1に重なる所定長さ領域部分において、結束帯B2の接着剤層Adを予めプレスローラ対34a、34bにより平滑化しておく。
【0019】
続いて、
図6に示すように、帯キャッチャ42の把持を解除した状態で、帯フラッパ50を束20の上面に沿って角部C1の側から他端の角部近傍まで移動させ、結束帯B2の終端側の端部を束20の上面に沿って巻き付け、結束帯B2の巻始め側の端部に重ねて押し付けた状態に保持する。この状態で、保持アーム54を束20から引き抜く。
次いで、
図7に示すように、結束帯B2の重なり部分をヒータ52で加熱し、接着剤層Adを溶融することで、結束帯B2の終端部を下層の結束帯B2に溶着する。以上により、結束帯B2の結束動作が終了する。
その後、束20の向きを90度変えた状態に保持し、上記と同様の結束動作により2本目の結束帯B2で束20を結束する。
【0020】
以上のように構成された本実施形態に係る結束装置10によれば、プレスローラ対34a、34bにより結束帯B2の接着剤層Adをプレス加工して平滑化することにより、結束帯B2を束20に巻き付ける際、接着剤層Adが紙幣の縁に引っ掛かることがなく、紙幣のめくれ発生を防止することができる。これにより、外観品質が向上した束20、すなわち、結束媒体を提供することが可能となる。
以上のことから、本実施形態によれば、紙葉類端のめくれを防止し結束媒体の品質向上を図ることが可能な結束装置が得られる。
【0021】
本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
例えば、前述した実施形態においては、結束帯のうち、所望の部位、束の角部に巻付く部位のみをプレスローラ対でプレス加工して接着剤層を平滑化する構成としているが、これに限らず、結束帯の全長に亘って、接着剤層をプレスして平滑化する構成としても良い。
結束装置における各構成要素の形状、寸法、材質等は、実施形態に限らず、適宜、変更可能である。紙葉類は、紙幣に限定されることなく、有価証券等の他の紙葉類にも適用可能である。
【符号の説明】
【0022】
10…結束装置、20…束、21…把、24…保持機構、30…帯フィーダ、
32a、32b…搬送ローラ、34a、34b…プレスローラ、36…カッター、
38…押圧機構、40…帯ワインダ、42…帯キャッチャ、50…帯フラッパ、
52…ヒータ、B2…結束帯、Ad…接着剤層