(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088208
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】電子部品
(51)【国際特許分類】
H01F 37/00 20060101AFI20240625BHJP
H01F 27/22 20060101ALI20240625BHJP
H01F 27/28 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
H01F37/00 G
H01F37/00 S
H01F37/00 C
H01F27/22
H01F27/28 176
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203269
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000217491
【氏名又は名称】ダイヤゼブラ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池辺 隆史
【テーマコード(参考)】
5E043
5E050
【Fターム(参考)】
5E043DA01
5E043DB01
5E050JA03
(57)【要約】
【課題】低コストで良好な放熱性が実現された電子部品の提供。
【解決手段】本電子部品2は、環状の発熱要素24と、底22及び側壁20を有し前記発熱要素24を格納する絶縁性のケース6と、前記底22から上方に延び前記発熱要素24を通る柱8と、前記ケース6に充填された熱伝導性の充填体9とを備える。前記柱8が、絶縁性の筒部27と、前記筒部27の中に位置し前記充填体9よりも高い熱伝導率を有するバー28とを備えている。好ましくは、前記充填体9が、前記筒部27と前記バー28との間に存在している。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状の発熱要素と、底及び側壁を有し前記発熱要素を格納する絶縁性のケースと、前記底から上方に延び前記発熱要素を通る柱と、前記ケースに充填された熱伝導性の充填体とを備え、
前記柱が、絶縁性の筒部と、前記筒部の中に位置し前記充填体よりも高い熱伝導率を有するバーとを備えている、電子部品。
【請求項2】
前記充填体が、前記筒部と前記バーとの間に存在している、請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
上下方向において、前記柱が前記ケースの上端の位置まで延びている、請求項1又は2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記バーが、前記底と接触している、請求項1又は2に記載の電子部品。
【請求項5】
前記柱が、前記ケースの底から延び上方に向けて径が徐々に小さくなる錐台状の下部と、前記下部から先端まで実質的に一定の径で延びる上部とを備えている、請求項1又は2に記載の電子部品。
【請求項6】
前記発熱要素がコイルを含む、請求項1又は2に記載の電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、電子部品を開示する。
【背景技術】
【0002】
トロイダルコイル及びトランス等のコイルを有する電子部品は、使用時に大きな発熱を伴うことがある。このような発熱性の電子部品では、樹脂組成物又は金属からなるケースに、実際に熱を発生する「発熱要素」を格納し、さらに熱伝導性に優れた樹脂をケース内に充填した構造を呈している場合が多い。発熱性の電子部品の一例が、特開2011-210791公報で報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コイル等、中央に大きな孔を有する環状の発熱要素では、充填用の樹脂の使用量は大きくなる。熱伝導性に優れた樹脂は高価であるため、コスト低減のため、できるだけ充填用の樹脂の使用量を抑えたいとの要求がある。特にケースが樹脂組成物からなる電子部品では、充填用の樹脂の使用量を抑えつつ、良好な放熱性を実現することが重要となる。
【0005】
本発明者の意図するところは、低コストで良好な放熱性が実現された、電子部品の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本電子部品は、環状の発熱要素と、底及び側壁を有し前記発熱要素を格納する絶縁性のケースと、前記底から上方に延び前記発熱要素を通る柱と、前記ケースに充填された熱伝導性の充填体とを備える。前記柱が、絶縁性の筒部と、前記筒部の中に位置し前記充填体よりも高い熱伝導率を有するバーとを備えている。
【発明の効果】
【0007】
本電子部品は、環状の発熱要素を通る柱を備えている。この柱が発熱要素の中央の孔の一部を埋めるため、充填体の量が削減できる。さらにこの柱は、内部に充填体よりも高い熱伝導率を有するバーを備えている。このバーは、電子部品の良好な放熱性に寄与する。この電子部品は、低コストで良好な放熱性が実現されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る電子部品が示された、斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1の電子部品のIII-III線に沿った断面図である。
【
図4】
図4は、
図1の電子部品のケース及び柱が示された斜視図である。
【
図5】
図5は、
図3の一部が拡大されて示された、断面図である。
【
図6】
図6は、
図1の電子部品が電子機器に固定された状態が示された、断面図である。
【
図7】
図7は、他の実施形態に係る電子部品のケース及び柱が示された、断面図である。
【
図8】
図8は、さらに他の実施形態に係る電子部品のケース及び柱が示された、断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態が詳細に説明される。
【0010】
図1は、一実施形態に係る電子部品2が示された斜視図である。
図1において、矢印Xはこの電子部品2の前方を表す。この逆方向が後方である。矢印Yはこの電子部品2の右方向を表す。この逆方向が左方向である。矢印Zはこの電子部品2の上方を表す。この逆方向が下方である。
図2は、
図1の電子部品2の分解斜視図である。
図3は、
図1のIII-III線に沿った断面図である。
図1-3で示されるように、この電子部品2は、トロイダルコイル4とケース6と柱8とを備える。
図3に示されるように、この電子部品2は、ケース6内部に充填された、充填体9をさらに備える。なお
図2では、充填体9は省略されている。
【0011】
図2に示されるように、トロイダルコイル4は、コア10とワイヤ12と天板14とを備える。
図2では全体は見えていないが、コア10は環状を呈している。即ち、
図3で示されるように、コア10は中央に上下(コア10の軸方向)に貫通する孔15を備えている。コア10は、表面が樹脂組成物で覆われた磁性体よりなる。好ましい磁性体として、フェライト、ダスト及び珪素鋼が例示される。ワイヤ12は、コア10の外周に螺旋状に巻かれている。ワイヤ12は、典型的には銅からなる。なお
図3では、コア10とワイヤ12は、簡略化されて示されている。
図3では、コア10及びワイヤ12は、一つの断面として示されている。
【0012】
図1に示されるように、天板14はケース6の外側に位置している。この実施形態では、天板14の全体が、ケース6の外側に位置している。天板14の一部がケース6内に位置していてもよい。
図2に示されるように、天板14は、コア10の上面に載せられている。天板14は、蓋部18と端子16とを備えている。この実施形態では、蓋部18は、平面視において円形である。蓋部18は、後述するケース6の開口を覆う。蓋部18の中央には、孔34が設けられている。
【0013】
端子16は、蓋部18の上面に位置している。蓋部18の上面に、複数の端子16が存在している。端子16は、ワイヤ12と電気的に接続している。外部から、端子16を介してワイヤ12に通電される。コア10に巻かれたワイヤ12に通電されることで、トロイダルコイル4は発熱する。トロイダルコイル4は、発熱体である。発熱体のうち、実際に発熱を引き起こす部分は発熱要素と称される。この実施形態では、コア10及びワイヤ12は発熱要素24である。この発熱要素24は、中央に孔15を備える環状を呈している。
【0014】
図2で示されるように、ケース6は、側壁20と底22とを有している。ケース6は、内部に空間を有する。この空間内に、発熱要素24が格納されている。この実施形態では、
図2で示されるように、ケース6は円筒状である。ケース6は、上面に開口19を有する。ケース6は、絶縁性である。この実施形態では、ケース6は樹脂組成物よりなる。ケース6の好ましい材質として、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)及びPET(ポリエチレンテレフタレート)が例示される。なお、本明細書では、物質が「絶縁性」であるとは、当該物質の電気伝導率が10
-6S/m以下であることを指す。ここで「S」は抵抗「Ω(オーム)」の逆数(ジーメンス)を表し、mは距離(メートル)を表す。
【0015】
ケース6は、胴部26と突起部30とを備える。胴部26は、筒状を呈する。突起部30は、胴部26の下側の端に位置する。ケース6の半径方向において、突起部30は、胴部26から外側に突出している。この実施形態では、二つの突起部30が設けられている。三つ以上の突起部30が設けられていてもよい。それぞれの突起部30には、取付孔32が設けられている。胴部26と突起部30とは、一体として形成されている。胴部26と突起部30とが別々に形成されていてもよい。
【0016】
柱8は、ケース6の底22に位置している。柱8は、ケース6の底22から上方に延びている。この実施形態では、柱8は、下部23と上部25とを備える。下部23は、ケース6の底22から延び上方に向けて径が徐々に小さくなっている。下部23は、錐台状を呈する。
図3の断面において、下部23の側面は湾曲している。上部25は、下部23から実質的に一定の径で、上方に延びている。この実施形態では、下部23は円錐台状であり、下部23は円筒状である。すなわち上下方向に垂直な断面において、柱8は円形を呈する。この実施形態では、柱8は、上下方向において、ケース6の上端の位置まで延びている。
【0017】
図2及び3に示されるように、柱8は、筒部27とバー28とを備えている。
図4は、バー28と、バー28が外された柱8と、ケース6とが示された斜視図である。
図5には、
図3の一部が拡大されて示されている。
【0018】
筒部27は、内部に空間29を有している。この実施形態では、内部空間29は、筒部27の上面からケース6の底22まで延びている。筒部27の上面は、開口している。筒部27は、絶縁性である。この実施形態では、筒部27は樹脂組成物よりなる。筒部27の好ましい材質として、PBT、PPS及びPETが例示される。この実施形態では、筒部27は、ケース6と一体として形成されている。筒部27とケース6とが、別々に形成されてもよい。
【0019】
バー28は、筒部27の内部空間29に位置している。この実施形態では、バー28と筒部27との間には、隙間が存在する。バー28の外径は、筒部27の内部空間29の径よりも小さい。
図3で示されるようにこの実施形態では、バー28は、内部空間29において、ケース6の底22と接触している。バー28は、高い熱伝導率を有する。バー28の熱伝導率は、充填体9の熱伝導率より高い。具体的には、バー28の熱伝導率は、10W/m・K以上である。ここで「W」は電力(ワット)を表し、mは距離(メートル)を表し、Kは温度(ケルビン)を表す。この実施形態では、バー28は金属よりなる。バー28の好ましい材質として、アルミニウム合金が例示される。
【0020】
充填体9は、ケース6の内部の隙間を埋める。充填体9は、発熱要素24、ケース6及び柱8の間の隙間を埋める。さらにこの実施形態では、
図5に示されるように、充填体9は、柱8の内部空間29において、筒部27とバー28との間に存在している。充填体9は、絶縁性でかつ熱伝導性である。この実施形態では、充填体9は熱硬化性樹脂からなる。充填体9として、常温で硬化する樹脂が使用されてもよい。ケース6内の隙間の隅々まで樹脂で埋めるために、充填体9の材質として、粘度が低い樹脂が選択される。好ましい充填体9として、エポキシ樹脂が例示される。なお、本明細書では、物質が「熱伝導性」であるとは、当該物質の熱伝導率が0.5W/m・K以上であることを指す。
【0021】
この電子部品2の製造では、ケース6、ケース6と一体的に形成された筒部27、バー28及びトロイダルコイル4が準備される。
図4で示されるように、バー28が筒部27の内部空間29に挿入される。柱8が発熱要素24の孔15を通るように、発熱要素24がケース6に入れられ、併せて、天板14がケース6の上面に載せられる。これにより、ケース6内に、発熱要素24が格納される。天板14の蓋部18の孔34から、液状の熱硬化性樹脂が流し込まれる。熱硬化性樹脂は、発熱要素24、ケース6及び柱8の間の隙間に充填される。熱硬化性樹脂は、筒部27とバー28との間にも充填される。熱硬化性樹脂は、加熱され硬化される。これにより、充填体9が形成される。これにて電子部品2が得られる。
【0022】
得られた電子部品2は、電子機器に搭載される。
図6は、電子部品2が電子機器の筐体38に搭載された状態が示された、断面図である。
図6で示された電子部品2の断面は、
図3と同様に、
図1のIII-III線に沿った断面である。これは、ケース6の突起部30が存在する位置における、断面である。電子部品2は、ケース6の底面が筐体38に接触するように配置されている。ネジ40が、取付孔32を通して筐体38のネジ穴に挿入されている。このネジ40により、電子部品2が筐体38に固定される。回路基板42が、電子部品2の上側に載せられている。天板14の端子16が、この回路基板42の所定の端子と接続している。この実施形態では、回路基板42の端子はスルーホールとして実現されており、トロイダルコイル4の端子16が、このスルーホールに挿入されている。これにより回路基板42からトロイダルコイル4に通電され、電子部品2が動作する。
【0023】
電子部品2は、電子機器の放熱器に載せられていてもよい。電子部品2が、電子機器の他の放熱効果が高い部分に載せられていてもよい。
【0024】
以下では、本実施形態の作用効果が説明される。
【0025】
本実施形態の電子部品2は、ケース6の底22から延び、環状の発熱要素24を通る柱8を備えている。この柱8が発熱要素24の中央の孔15の一部を埋めるため、充填体9の量が削減できる。これは、コストの低減に寄与する。さらにこの柱8は、内部に充填体9よりも熱伝導率が高いバー28を備えている。このバー28は、電子部品2の良好な放熱性に寄与する。この電子部品2は、良好な放熱性が実現されている。
【0026】
この実施形態では、バー28と発熱要素24との間に、絶縁性の筒部27が存在する。多くの金属は、電気伝導率及び熱伝導率が高い。バー28の材料として電気伝導率が高い金属を使用しても、発熱要素24とバー28とがショートすることはない。この電子部品2では、熱伝導率が高い金属を、バー28の材料として使用することができる。この電子部品2では、良好な放熱性が実現されている。
【0027】
この実施形態では、筒部27とバー28との隙間は、充填体9により埋められている。この電子部品2の製造においては、ケース6と発熱要素24の隙間に樹脂を充填する際に、併せて筒部27とバー28との隙間にも樹脂を充填することができる。これにより、筒部27とバー28とが固定される。この電子部品2では、筒部27とバー28とを固定する工程を、別に設ける必要はない。この電子部品2では、製造が容易である。
【0028】
この実施形態では、バー28は、筒部27の内部空間29内において、ケース6の底22と接触している。
図6で示されるように、電子部品2は、底面が筐体38に接触するように配置される。バー28をケース6の底22と接触させることで、バー28と筐体38との距離は近くなる。バー28から筐体38へ、効果的に放熱ができる。この電子部品2は、良好な放熱性が実現されている。
【0029】
この実施形態では、柱8は、錐台状の下部23を有している。下部23は、ケース6の底面に近いほど、径が大きくなる。
図3で示されるように、環状である発熱要素24の内周面と下面の角は、一般に丸みを帯びた形状を呈している。下部23の径を、ケース6の底面に近いほど大きくしても、この下部23は発熱要素24を配置する際に、邪魔にはならない。下部23の径を、ケース6の底面に近いほど大きくすることで、充填体9の量を減らすことができる。これは、コストの低減に寄与する。
【0030】
この実施形態では、柱8は、上下方向において、ケース6の上端の位置まで延びている。柱8をケース6の上端まで延ばすことで、充填体9の量を効果的に減らすことができる。これは、コストの低減に寄与する。
【0031】
図7は、他の実施形態に係る電子部品50の、ケース52と柱54とが示された断面図である。
図7では省略されているが、この電子部品50は、トロイダルコイルをさらに備える。この電子部品50のトロイダルコイル及びケース52は、それぞれ
図1のトロイダルコイル4及びケース6と同じである。
【0032】
柱54は、ケース52の底に位置している。柱54は、ケース52の底から上方に延びている。
図7において、両矢印Hcは、ケース52の底から計測したケース52の上端までの上下方向の距離を表す。両矢印Hpは、ケース52の底から計測した柱54の上端までの上下方向の距離を表す。この実施形態では、柱54は、上下方向において、ケース52の上端の位置まで延びていない。すなわち、距離Hpは距離Hcよりも小さい。
【0033】
柱54は、筒部56とバー58とを備えている。筒部56は、内部に空間60を有している。筒部56の上面は、開口している。筒部56は、絶縁性である。
図7において、両矢印Hmは、ケース52の底から計測したバー58の上端までの上下方向の距離を表す。距離Hmは、距離Hp以下である。
【0034】
この実施形態では、柱54は、上下方向においてケース52の上端の位置まで延びていないため、バー58の高さも抑えられている。これにより、バー58の材料に熱伝導率の高い金属を使用しても、電子部品50の質量の増加が抑えられている。
【0035】
コストの低減及び優れた放熱性の観点から、距離Hpは距離Hcの0.5倍以上が好ましく、0.7倍以上がさら好ましい。電子部品50の質量を制限するとの観点から、距離Hpは距離Hcの0.95倍以下が好ましい。
【0036】
図8は、他の実施形態に係る電子部品70の、ケース72と柱74とが示された断面図である。
図8では省略されているが、この電子部品70は、トロイダルコイルをさらに備える。この電子部品70のトロイダルコイル及びケース72は、それぞれ
図1のトロイダルコイル4及びケース6と同じである。
【0037】
柱74は、ケース72の底に位置している。柱74は、ケース72の底から上方に延びている。この柱74の外から見た形状は、
図2の柱8の形状と同じである。
【0038】
図8に示されるように、柱74は、筒部76とバー78とを備えている。筒部76は、上面から下方に延びるネジ孔80を有している。この実施形態では、ネジ孔80は、ケース72の底まで延びている。筒部76は、絶縁性である。
【0039】
バー78は、筒部76のネジ穴に対応したネジとなっている。
図8に示されるように、バー78は、筒部76のネジ孔80に挿入されている。これにより、バー78が筒部76に取り付けられる。このとき、バー78はケース72の底と接触している。この実施形態では、バー78と筒部76との間には、隙間は存在しない。
【0040】
この電子部品では、バー78がネジとなり、筒部76の内部空間がネジ穴となっているため、バー78と筒部76とを、簡易に堅固に固定することができる。
【0041】
バー78を筒部76に取り付ける方法は、上記に限られない。例えばバー78が、筒部76の内部空間に、圧入されてもよい。
【0042】
上述の実施形態では、柱は、上下方向に垂直な断面において円形を呈している。柱の断面形状は、円形でなくてもよい。柱の断面形状は、楕円形であってもよく、多角形であってもよい。
【0043】
上述の実施形態では、ケースの内部には、発熱体としてトロイダルコイルが格納されていた。発熱体は、トロイダルコイルに限られない。発熱体が、リアクトル又はトランスであってもよい。発熱体が、その他の素子であってもよい。
【0044】
以上説明されたとおり、この電子部品では、低コストで良好な放熱性が実現されている。このことから、本実施形態の優位性は明らかである。
【0045】
[開示項目]
以下の項目は、好ましい実施形態の開示である。
【0046】
[項目1]
環状の発熱要素と、底及び側壁を有し前記発熱要素を格納する絶縁性のケースと、前記底から上方に延び前記発熱要素を通る柱と、前記ケースに充填された熱伝導性の充填体とを備え、
前記柱が、絶縁性の筒部と、前記筒部の中に位置し前記充填体よりも高い熱伝導率を有するバーとを備えている、電子部品。
【0047】
[項目2]
前記充填体が、前記筒部と前記バーとの間に存在している、項目1に記載の電子部品。
【0048】
[項目3]
上下方向において、前記柱が前記ケースの上端の位置まで延びている、項目1又は2に記載の電子部品。
【0049】
[項目4]
前記バーが、前記底と接触している、項目1から3のいずれかに記載の電子部品。
【0050】
[項目5]
前記柱が、前記ケースの底から延び上方に向けて径が徐々に小さくなる錐台状の下部と、前記下部から先端まで実質的に一定の径で延びる上部とを備えている、項目1から4のいずれかに記載の電子部品。
【0051】
[項目6]
前記発熱要素がコイルを含む、項目1から5のいずれかに記載の電子部品。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上説明された電子部品は、種々の電子機器に適用されうる。
【符号の説明】
【0053】
2、50、70・・・電子部品
4・・・トロイダルコイル(発熱体)
6、52、72・・・ケース
8、54、74・・・柱
9・・・充填体
10・・・コア
12・・・ワイヤ
14・・・天板
15・・・発熱要素の孔
16・・・端子
18・・・蓋部
19・・・ケースの開口
20・・・側壁
22・・・底
23・・・下部
24・・・発熱要素
25・・・上部
26・・・胴部
27、56、76・・・筒部
28、58、78・・・バー
29、60・・・内部空間
30・・・突起部
32・・・取付孔
34・・・天板の孔
38・・・筐体
40・・・ネジ
42・・・回路基板
80・・・ネジ孔