(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088219
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】安全管理システムおよび安全管理方法
(51)【国際特許分類】
B23Q 11/00 20060101AFI20240625BHJP
B25J 19/06 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
B23Q11/00 D
B25J19/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203282
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【弁理士】
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】安藤 富雄
(72)【発明者】
【氏名】小関 真一
【テーマコード(参考)】
3C011
3C707
【Fターム(参考)】
3C011AA15
3C011AA16
3C707BS10
3C707KS11
3C707KV12
3C707MS06
3C707MS27
(57)【要約】
【課題】加工機の非定常作業を行う作業者の安全に寄与する技術を提供する。
【解決手段】安全管理システムは、加工機10の危険区域に基づく排斥区域への作業者の進入を検出する検出部32と、作業者を排斥区域から排斥させる排斥処理を実施するための排斥部と、排斥部を制御して、検出部32によって作業者の進入が検出された場合に排斥処理を実施する制御部34と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工機の危険区域に基づく排斥区域への作業者の進入を検出する検出部と、
前記作業者を前記排斥区域から排斥させる排斥処理を実施するための排斥部と、
前記排斥部を制御して、前記検出部によって前記作業者の進入が検出された場合に前記排斥処理を実施する制御部と、
を備える安全管理システム。
【請求項2】
前記排斥部はロボットである請求項1に記載の安全管理システム。
【請求項3】
前記ロボットは、前記加工機による工作に関連する作業を実施するロボットである請求項2に記載の安全管理システム。
【請求項4】
前記排斥部は、エアを吐出する吐出部であり、
前記排斥処理は、前記作業者に向けてエアを吐出する処理である請求項1に記載の安全管理システム。
【請求項5】
前記吐出部は、パルス状にエアを吐出する請求項4に記載の安全管理システム。
【請求項6】
前記検出部は、前記作業者の行動パターンを検出し、
前記制御部は、行動パターンから前記排斥区域の境界位置を出力するように機械学習された学習済みモデルを用いて前記排斥区域の境界位置を特定する請求項1に記載の安全管理システム。
【請求項7】
加工機の危険区域に基づく排斥区域への作業者の進入を検出するステップと、
前記作業者の進入が検出された場合に、前記作業者を前記排斥区域から排斥させるための排斥処理を実施するステップと、
を含む安全管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全管理システムおよび安全管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、危険区域に人が接近した場合に警告音を出したり警告灯を点灯させたりして危険区域に近づかないよう注意喚起する技術を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、プレス機、成形機、断裁機、レーザ加工機、印刷機械等の加工機では、その危険区域への近接が禁止されるが、メンテナンス作業等の非定常作業では危険区域への近接は避けられない。非定常作業では、危険区域に対する作業は、加工機の駆動を停止した状態で行う。しかしながら、作業者の中には、作業が進むにつれて危険区域の危険性の認識が希薄になり、加工機の駆動を停止せずに危険区域に対する作業を行ってしまう者もいる。これは非常に危険である。
【0005】
本発明はこうした状況においてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、加工機の非定常作業を行う作業者の安全に寄与する技術の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の安全管理システムは、加工機の危険区域に基づく排斥区域への作業者の進入を検出する検出部と、作業者を排斥区域から排斥させる排斥処理を実施するための排斥部と、排斥部を制御して、検出部によって作業者の進入が検出された場合に排斥処理を実施する制御部と、を備える
【0007】
本発明の別の態様は、安全管理方法である。この方法は、加工機の危険区域に基づく排斥区域への作業者の進入を検出するステップと、作業者の進入が検出された場合に、作業者を排斥区域から排斥させるための排斥処理を実施するステップと、を含む。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラム等の間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、加工機の危険区域の近傍で非定常作業を行う作業者の安全に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】危険区域を有する加工機の非定常作業について説明する図である。
【
図2】危険区域を有する加工機の非定常作業について説明する図である。
【
図3】実施の形態に係る安全管理システムを示す図である。
【
図4】
図3の排斥区域とその周辺を示す平面図である。
【
図5】変形例に係る安全管理システムを示す図である。
【
図6】非定常作業における作業者の行動パターンの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。
【0012】
図1、2は、危険区域を有する加工機の非定常作業について説明する図である。
図1は、加工機とともに産業ロボットを用いるケースを示し、
図2は、加工機とともに協働ロボットを用いるケースを示す。
【0013】
加工機10は、危険区域12を有する加工機であり、例えばプレス機、成形機、断裁機、レーザ加工機、印刷機械である。危険区域12は、そこでの作業が重篤な事故に繋がるおそれがある区域をいう。加工機10は、安全規則等において、あるいはメーカーにより、その駆動を停止しない状態での危険区域12における作業が禁止もしくは危険区域12において作業しないことが推奨されている。したがって逆にいえば、加工機10は、その駆動を停止しない状態での作業が禁止もしくは作業しないことが推奨されている危険区域12を有する加工機であると捉えることもできる。
【0014】
制限区域14は、安全のために、加工機10を利用するユーザの進入が原則禁止される区域である。制限区域14は、柵で囲われていてもよい。なお、適宜のセンサを設け、当該センサによって通常時(非メンテナンス時)における制限区域14へのユーザの進入が検出された場合、加工機10の駆動を緊急(強制)停止してもよい。
【0015】
ロボット16は、加工機10による工作に関連する作業を実施するためのロボットである。
【0016】
図1のロボット16は、産業ロボットである。産業ロボットは、人に危害を加えるおそれが高いため、必ず制限区域14内に設置される。なお一般に、産業ロボットの危険度は、加工機10の危険度に比べて遙かに低い。
【0017】
図2のロボット16は、協働ロボットである。協働ロボットは、人に危害を加えるおそれが極めて小さいため、制限区域14外に設置されうる。協働ロボットは、産業ロボットのように重量物を持てないが、制限区域14に設置されうるため、制限区域14を小さくすることが可能である。
【0018】
ロボット16は、ロボットアーム(マニピュレータ)16aと、ロボットアーム16aの先端に接続されたロボットハンド(エンドエフェクタ)16bと、を含む。ロボットアーム16aは、動作区域24内において、ロボットハンド16bを所望の位置に移動させることができる。ロボットアーム16aの構成は特に限定されないが、例えば垂直多関節型ロボットや水平多関節型ロボットであってもよい。ロボット16は、例えば、ロボットハンド16bが加工機10による工作対象のワーク18を把持し、ロボットアーム16aがワーク18ごとロボットハンド16bを移動させることで、ワーク18を加工機10に供給する。
【0019】
作業者20は、加工機10に対する非定常作業、例えば加工機10の調整や修理などのメンテナンス作業を実行する作業者であり、例えば加工機10の保守担当者やサービスマンである。作業者20による非定常作業には、加工機10の駆動が停止した状態において、作業者20の一部分(例えば腕)または全身が危険区域12に進入した状態で実行する作業が含まれる。
【0020】
メンテナンス作業等の非定常作業では、調整や修理のぐあいを調べるための試運転として、加工機10を一時的に駆動させる場合がある。この場合、作業者20は、危険区域12から出てから加工機を駆動(試運転)させ、駆動を停止させてから危険区域12に入って調整や修理を再開する。しかしながら、作業者20によっては、作業を行うにつれて危険の認識が希薄になり、加工機10の駆動を停止させずに危険区域12に進入してしまう者もいる。
【0021】
そこで本実施の形態では、危険区域12に基づく排斥区域22であって危険区域12を包含する排斥区域22を定義する。そして加工機10が駆動している状態において作業者20が危険区域12に進入しそうな場合に、詳しくは排斥区域22に作業者20が進入した場合に、後述の安全管理システムにより、作業者20を排斥区域22の外へと積極的に排斥する排斥処理を実施する。また、加工機10が駆動している状態において作業者20が排斥区域22に進入した場合に、例えば作業者20が或る程度深く排斥区域22に進入した場合に、加工機10の駆動を緊急停止してもよい。
【0022】
図3は、実施の形態に係る安全管理システム1を示す図である。安全管理システム1は、検出部30と、吐出部(第1排斥部)32と、ロボット(第2排斥部)16と、制御部34と、を備える。
図4は、
図3の排斥区域22とその周辺を示す平面図である。この例ではロボット16は、協働ロボットであり、制限区域14の外に設置されている。つまり、
図3、4は、
図2のケースに対応する。
【0023】
加工機10は、一面を除いてその周囲が壁で囲まれている。したがって、加工機10の危険区域12はその壁の内側に位置する。
【0024】
検出部30は、排斥区域22への作業者20の進入を検出する。本実施の形態の検出部30はさらに、排斥区域22への作業者20の進入の深さ(進入深度)を検出可能である。
【0025】
詳しくは検出部30は、制限区域14への加工機10のユーザの進入を検出するための第1センサ41と、排斥区域22への作業者20の第1進入深度の進入を検出するための第2センサ42と、排斥区域22への作業者20の第2進入深度(>第1進入深度)の進入を検出するための第3センサ43と、を含む。
【0026】
図示の例の第1センサ41、第2センサ42および第3センサ43は、いずれもライトカーテンであり、それぞれ投光ユニットおよび受光ユニットを含み、投光ユニットから放たれる複数の平行な光線のうちの少なくとも一部が受光ユニットに届いていない場合、投光ユニットと受光ユニットとの間に光線を遮る物体があること、すなわち作業者20が進入していることを検出する。
【0027】
吐出部32は、図示しないエア供給源から供給されるエアを吐出する。吐出部32は、好ましくは、排斥区域22、例えば加工機10に設けられ、排斥区域22内から排斥区域22外に向かってエアを吐出するように配置および構成される。
【0028】
吐出部32は、ロボット16、例えばロボットアーム16aに配置されてもよい。なお、吐出部32は、図示のように排斥区域22およびロボット16の両方に配置されてもよいし、排斥区域22にのみ配置されてもよいし、ロボット16にのみ配置されてもよい。また、排斥区域22に吐出部32が配置される場合において、その数は特に限定されない。同様に、ロボット16に吐出部32が配置される場合において、その数は特に限定されない。
【0029】
制御部34は、安全管理システム1を統括的に制御する。制御部は、ハードウェア資源とソフトウェア資源の協働、またはハードウェア資源のみにより実現できる。ハードウェア資源として、CPU(Central Processing Unit)やメモリをはじめとする素子や回路を利用できる。ソフトウェア資源として、オペレーティングシステム、アプリケーション等のプログラムを利用できる。
【0030】
制御部34は、通常時(非メンテナンス時)には、検出部30による検出結果にもとづいて、加工機10の緊急停止処理を制御する。詳しくは制御部34は、加工機10が駆動している状態において第1センサ41がユーザを検出すると、加工機10の駆動を緊急停止する。
【0031】
また、制御部34は、非定常作業時には、検出部30による検出結果にもとづいて、排斥処理を制御する。例えば、作業者20の指示によって通常時のモードから非定常作業時のモードに切り替えられてもよい。
【0032】
詳しくは制御部34は、加工機10が駆動している状態において第2センサ42が作業者20を検出し、第3センサ43が作業者20を検出していない場合、排斥処理として、図示しないエア供給源を制御して吐出部32から作業者20に向けてエアを吐出する。これにより、加工機10の駆動を停止しない状態で危険区域12に近づいた(すなわち排斥区域22に進入した)こと、言い換えると危険な行為を行っていることを作業者20に認識させることができる。
【0033】
制御部34は、吐出部32からパルス状にエアを吐出してもよい。パルス状にエアを吐出することで、一定流量でエアを吐出する場合に比べて作業者20の注意を引くことができ、危険な行為を行っていることを作業者20により確実に認識させることができる。また、加工機10またはその周囲にエア供給源がない場合、排斥処理としてエアを吐出するための専用のエア供給源を用意する必要があるが、パルス状にエアを吐出することで、一定流量でエアを吐出する場合に比べてエアの吐出量を少なくでき、エア供給源を出力の小さい安価なものにできる。
【0034】
制御部34は、吐出部32からのエアの吐出パターンを、排斥区域22への作業者20の進入深度に応じて変化させてもよい。吐出パターンを変化させることで、危険な行為を行っていることを作業者20により確実に認識させることができる。詳しくは制御部34は、進入深度が浅いときは非パルス状に吐出部32からエアを吐出し、進入深度が深くなるとパルス状に吐出部32からエアを吐出してもよい。また制御部34は、パルス状に吐出部32からエアを吐出する場合において、進入深度に応じてパルス周期とパルス幅を変化させてもよい。制御部34は例えば、進入深度が深くなるにつれて、パルス周期を短くしてもよい。また制御部34は、吐出部32から吐出するエアの吐出圧力を変化させてもよく、例えば進入深度が深くなるにつれて吐出圧力を高くしてもよい。
【0035】
制御部34は、加工機10が駆動している状態において第3センサ43が作業者20を検出した場合、排斥処理として、ロボット16を制御してロボット16により作業者20を排斥区域22外に排斥したり、吐出部32から作業者20に向けて作業者20がそれ以上は危険区域12に近寄れない程度の強いエアを吐出したりする。つまり、より強制的な排斥処理を実行する。さらに制御部34は、加工機10の駆動を緊急停止してもよい。
【0036】
例えば制御部34は、排斥区域22内から排斥区域22外に向かってロボットアーム16aで作業者20を押すことによって作業者20を排斥区域22外に押し出し(すなわち排斥)してもよい。
【0037】
また例えば制御部34は、ロボットハンド16bで作業者20をつかまえ(保持し)、その状態でロボットアーム16aを動かしてロボットハンド16bひいては作業者20を排斥区域22内から排斥区域22外に移動(すなわち排斥)させてもよい。この場合、ロボットハンド16bは、複数本の指または爪でワーク等を把持するための把持ハンドであってもよく、複数本の指または爪で腕や服を掴むことで作業者20をつかまえてもよい。またロボットハンド16bは、真空パッドなどの吸着部材でワーク等を吸着するための吸着ハンドであってもよく、吸着部材で作業者20をすることで作業者20をつかまえてもよい。
【0038】
続いて実施の形態の効果について説明する。本実施の形態によれば、加工機10が駆動している状態において排斥区域22への作業者20の進入が検出された場合、作業者20を排斥区域22の外へと積極的に排斥する排斥処理が実行される。これにより、危険な行為を行っていることを作業者20により確実に認識させることができる。また、より確実に、危険区域12への作業者20の進入を抑止できる。
【0039】
また、本実施の形態によれば、加工機10による工作に関連する作業を実施するロボット16が排斥処理を実行する。これにより、排斥処理をするための専用のロボットを備える場合と比べてコストを低減できる。
【0040】
以上、本発明について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0041】
(変形例1)
実施の形態では、検出部30が第1センサ41、第2センサ42および第3センサ43を含む場合について説明したが、これには限定されない。検出部30は、排斥区域22への作業者20の進入を検出できればよく、好ましくはさらに進入深度を検出できればよく、1つまたは複数の適宜のセンサを含んで構成されうる。
【0042】
例えば検出部30は、排斥区域22への作業者20の進入の有無、進入深度、さらには作業者20の3次元の位置を検出可能に構成されてもよい。この場合、検出部30は、例えばTOFカメラを含んで構成されてもよい。作業者20の3次元の位置を検出できることにより、より的確に、ロボットハンド16bで作業者20をつかまえることができる。
【0043】
(変形例2)
図5は、変形例に係る安全管理システム1を示す図である。
図5は、
図3に対応する。
図5では、ロボット16の表示を省略している。
【0044】
本変形例では、安全管理システム1は、吐出部32が吐出するエア(風)を受けてなびく少なくとも1つの風受け部40をさらに備える。風受け部40は、
図5の例のようにシート状であってもよいし、筒状すなわち吹流しであってもよい。風受け部40は、特に限定されないが、吐出部32の吐出口の周縁に固定されてもよい。風受け部40は、エアを受けてなびいている状態において排斥区域22の境界に届く長さ(大きさ)、例えば一部が排斥区域22の外に突出する長さに形成されてもよい。
【0045】
本変形例によれば、風受け部40がエアになびくことで、加工機10の駆動を停止しない状態で危険区域12に近づいた(すなわち排斥区域22に進入した)こと、言い換えると危険な行為を行っていることを、作業者20に視覚的に認識させることができる。また風受け部40がエアになびくことで、排斥区域22に進入する作業者20に風受け部40が接触し、これにより排斥区域22からの作業者の退場を促すことができる。
【0046】
(変形例3)
図6は、非定常作業における作業者20の行動パターンの一例を示す図である。
図6において、横軸は時間であり、縦軸は危険区域12までの距離である。グラフ50は作業者20_1の非定常作業時の行動パターンを示し、グラフ52は作業者20_2の非定常作業時の行動パターンを示す。作業者20_1は、徐々に危険区域12に近づいていっている。作業者20_2は、突発的に危険区域12に近づくことがある。この例のように、非定常作業時の行動パターンは、作業者20ごとで異なりうる。
【0047】
そこで本変形例では、実施の形態とは異なり、排斥区域22の境界位置を、すなわち危険区域12の境界から排斥区域22の境界までの距離を、作業者20の行動パターンに応じて決定する。
【0048】
例えば、検出部30が作業者20の位置(例えば危険区域12までの距離)を検出可能なセンサを含み、制御部34は、当該センサの出力から排斥区域22とその外側との境界位置を出力するように機械学習された学習済みモデルを用いて決定してもよい。学習済みモデルは、公知の任意の機械学習方法を用いて構成されればよく、例えばDNN(ディープラーニングネットワーク)、CNN(畳み込みニューラルネットワーク)、GAN(Generative Adversarial Networks)を用いて構成されてもよい。モデルは、作業者20による最初の所定時間の作業時に学習されればよい。この場合、排斥区域22の境界位置は、作業者20ごとで異なりうる。なお、このような細かな検出距離認識にはTOF(タイムオブフライ)カメラやマシンビジョンでの画像検出、LiDARに代表されるレーザセンサ、静電容量式センサ等が有効である。
【0049】
また、実施の形態とは異なり、加工機10の駆動を強制停止する進入深度を、作業者20の行動パターンから決定してもよい。例えば、検出部30が作業者20の位置(すなわち行動パターン)を検出可能なセンサを含み、制御部34は、当該センサの出力から加工機10の駆動を強制停止する進入深度を出力するように機械学習された学習済みモデルを用いて決定してもよい。学習済みモデルは、公知の任意の機械学習方法を用いて構成されればよく、例えばGANを用いて構成されればよい。モデルは、作業者20による最初の所定時間の作業時に学習されればよい。この場合、加工機10の駆動を強制停止する進入深度は、作業者20ごとで異なりうる。
【符号の説明】
【0050】
1 安全管理システム、 16 ロボット、 30 検出部、 34 制御部。