(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088220
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 10/00 20180101AFI20240625BHJP
【FI】
G16H10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203283
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】522494282
【氏名又は名称】Lasiina株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】野正 竜太郎
(72)【発明者】
【氏名】前田 智恵子
(72)【発明者】
【氏名】黒須 一博
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA13
(57)【要約】
【課題】軽失禁に悩むユーザにとって有用となりうる情報提供を可能とする。
【解決手段】情報処理装置は、ユーザが装着可能な吸収性物品に設けられる軽失禁検出手段の測定データを取得する測定データ取得部と、ユーザに対応付けて測定データを記憶する測定データ記憶部と、測定データ記憶部に記憶された測定データ、及び、ユーザが摂取した少なくとも液体の量の情報を含む飲食情報に基づいて、ユーザの排尿に係る予測情報を生成する予測情報生成部と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが装着可能な吸収性物品に設けられる軽失禁検出手段の測定データを取得する測定データ取得部と、
ユーザに対応付けて前記測定データを記憶する測定データ記憶部と、
前記測定データ記憶部に記憶された前記測定データ、及び、ユーザが摂取した少なくとも液体の量の情報を含む飲食情報に基づいて、ユーザの排尿に係る予測情報を生成する予測情報生成部と、を備える、情報処理装置。
【請求項2】
ユーザに対応付けて、前記測定データとともに前記予測情報を記憶する記憶処理部を備える、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記予測情報をユーザに通知する予測情報出力部を備える、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記予測情報は、尿意を感じるまでの時間及び排尿量である、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記予測情報に基づいて、前記吸収性物品に係る推奨情報を生成する推奨情報生成部を備える、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
複数種類の前記吸収性物品についての商品データを記憶する商品データ記憶部を備え、
前記推奨情報生成部は、前記予測情報、及び、前記商品データ記憶部に記憶された前記商品データに基づいて、前記推奨情報を生成する、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記推奨情報は、ユーザに対して推奨される前記吸収性物品の種類を含む、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記予測情報と同時に前記推奨情報をユーザに通知する、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項9】
ユーザ端末及びサーバコンピュータのうちのいずれか一方又は両方の組み合わせより実現される、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
ユーザが装着可能な吸収性物品に設けられる軽失禁検出手段の測定データを取得し、
ユーザに対応付けて前記測定データを記憶し、
ユーザが摂取した少なくとも液体の量の情報を含む飲食情報を生成し、
前記測定データ及び前記飲食情報に基づいて、ユーザの排尿に係る予測情報を生成する処理を含む、コンピュータにより実行される情報処理方法。
【請求項11】
ユーザが装着可能な吸収性物品に設けられる軽失禁検出手段の測定データを取得し、
ユーザに対応付けて前記測定データを記憶し、
ユーザが摂取した少なくとも液体の量の情報を含む飲食情報を生成し、
前記測定データ及び前記飲食情報に基づいて、ユーザの排尿に係る予測情報を生成する処理をコンピュータに実行させる、情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
尿の広がりをインピーダンスを用いて測定可能な排尿センサを設けた吸収性物品を利用して、ユーザの総排尿量と吸収性物品の尿吸収容量との関係を比較することで、ユーザの介護スケジュールを提案するシステムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来技術は、吸収性物品の装着者(ユーザ)として要介護者を想定した技術であり、軽失禁に悩むユーザにとって有用な情報を提供可能とすることが難しい。
【0005】
そこで、本開示は、軽失禁に悩むユーザにとって有用となりうる情報提供を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの側面では、ユーザが装着可能な吸収性物品に設けられる軽失禁検出手段の測定データを取得する測定データ取得部と、ユーザに対応付けて前記測定データを記憶する測定データ記憶部と、前記測定データ記憶部に記憶された前記測定データ、及び、ユーザが摂取した少なくとも液体の量の情報を含む飲食情報に基づいて、ユーザの排尿に係る予測情報を生成する予測情報生成部と、を備える、情報処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、軽失禁に悩むユーザにとって有用となりうる情報提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態による情報送信システムのシステム構成を概略的に示す図である。
【
図2】軽失禁検出手段付きの吸収性物品の一例を概略的に示す平面図である。
【
図3】サーバのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】ユーザ端末のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図5】ユーザ端末及びサーバのそれぞれの各種機能の一例を示す機能ブロック図である。
【
図6】ユーザ端末からサーバへの送信データの説明図である。
【
図8】ユーザデータ記憶部内のデータの一例の説明図である。
【
図9】測定データ記憶部内のデータの一例の説明図である。
【
図10】アンケート回答情報の一例の説明図である。
【
図11】測定データに基づく個別吸収量及び吸収量の積算値の算出方法の説明図である。
【
図12】軽失禁イベント情報の一例の説明図である。
【
図13】予測情報記憶部内のデータの一例の説明図である。
【
図14】推奨情報記憶部内のデータの一例の説明図である。
【
図15】商品データ記憶部内のデータの一例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら各実施例について詳細に説明する。
【0010】
(全体構成)
図1は、一実施形態による情報処理システム1のシステム構成を概略的に示す図である。
図2は、軽失禁検出手段付きの吸収性物品7の一例を概略的に示す平面図である。
【0011】
情報処理システム1は、以下で説明するように、ユーザに装着されている吸収性物品7に対する測定データに基づいて、ユーザの排尿(特に軽失禁を想定する;以下同様)に係る予測情報(「排尿予測情報」とも称する)を生成する機能(「排尿予測情報生成機能」とも称する)、及び、ユーザに対するパッドに係る推奨情報(「パッド推奨情報」とも称する)を生成する機能(「パッド推奨情報生成機能」とも称する)を備える。
【0012】
情報処理システム1は、ユーザ端末21と、サーバ31と、測定装置41と、を含む。
【0013】
ユーザ端末21とサーバ31とは、ネットワーク4を介して通信可能に接続される。
【0014】
ネットワーク4は、情報機器どうしをつなぐ通信回線であり、例えば、インターネット、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、無線通信網、有線ネットワーク、又はこれらの任意の組み合わせなどを含んでもよい。
【0015】
ユーザ端末21は、ユーザが所持する端末である。ユーザ端末21は、通信機能を有する。ユーザ端末21は、例えば携帯端末であり、この場合、ユーザ端末21は、例えば、スマートフォンや携帯電話、タブレット端末であるが、ウエアラブル端末(例えばスマートウオッチ等)等であってもよい。また、ユーザ端末21は、固定端末(例えばパーソナルコンピュータ)であってもよい。
【0016】
なお、ユーザは、典型的には、複数(多数)存在しうるが、各ユーザに係るユーザ端末21の処理は実質的に同じであるので、以下の説明では、特に言及しない限り、ユーザとは、或る一のユーザ(例えば軽失禁の悩みを有するユーザ)を指す。
【0017】
(測定装置)
測定装置41は、吸収性物品7に対応付けられる。吸収性物品7は、任意であるが、軽失禁用のパッドが好適である。軽失禁用のパッドは、複数種類の製品があり、多様な軽失禁用のパッドに設けられてもよい。軽失禁用のパッドは、内層に、綿状パルプや合成パルプ、高分子吸水材等のような吸収体を含み、液体を吸収可能である。
【0018】
測定装置41は、センシング部410と、通信モジュール420とを含む。
【0019】
センシング部410は、軽失禁検出手段として吸収性物品7と一体的に設けられる。センシング部410は、軽失禁に起因した状態変化を検出する。センシング部410は、導電性を有する物質(例えば導電性のインク)からなる電極であってよく、吸収性物品7の内層(例えば非肌面側に近い層)に設けられてもよい。本実施例では、一例として、センシング部410は、
図2に示すように、吸収性物品7の幅方向の中心に対して両側で、長手方向に延在する2本の略線状の形態である。すなわち、センシング部410は、対の略線状の電極を含む。
【0020】
吸収性物品7における対の略線状の電極間の領域に、排尿がなされると、排尿に起因して、対の略線状の電極における電流の流れやすさに変化が発生する。このようにして、センシング部410を介して、吸収性物品7に吸収される排尿に起因した状態変化に係る測定データを得ることができる。
【0021】
なお、センシング部410における軽失禁に係る体液(尿)の検出方法は、任意であり、上述したような電気的な特性の変化を利用する方法に代えて又は加えて、湿気や臭気の変化を検出する方法が利用されてもよい。以下では、測定データに係る測定値は、排尿量に相関する任意のパラメータに係る測定値である。また、本実施例では、一例として、測定値に係るパラメータは、その大きさ(「測定値レベル」とも称する)が排尿量の増加に伴い増加するパラメータであるとする。
【0022】
通信モジュール420は、センシング部410に電気的に接続される。例えば、通信モジュール420は、センシング部410にコネクタ412や配線414を介して接続されてよい。
【0023】
通信モジュール420は、通信機能を有し、センシング部410を介して得られる上述した測定データをサーバ31に送信する。なお、測定装置41は、本実施例ではユーザ端末21を介してサーバ31に測定データ等を送信するが、ユーザ端末21を介さずにサーバ31に測定データ等を送信してもよい。
【0024】
(サーバのハードウェア構成)
サーバ31は、1つ以上のサーバコンピュータにより形成されてよい。サーバ31は、測定装置41から送信されるユーザの測定データ等に基づいて、ユーザの排尿に係る予測情報等を生成する。
【0025】
図3は、サーバ31のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0026】
図3に示す例では、サーバ31は、制御部101、主記憶部102、補助記憶部103、ドライブ装置104、ネットワークI/F部106、及び入力部107を含む。
【0027】
制御部101は、主記憶部102や補助記憶部103に記憶されたプログラムを実行する演算装置であり、入力部107や記憶装置からデータを受け取り、演算、加工した上で、記憶装置などに出力する。
【0028】
主記憶部102は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などである。主記憶部102は、制御部101が実行する基本ソフトウェアであるOS(Operating System)やアプリケーションソフトウェア(単に「アプリ」又は「アプリケーション」と省略する場合がある)などのプログラムやデータを記憶又は一時保存する記憶装置である。
【0029】
補助記憶部103は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などであり、アプリなどに関連するデータを記憶する記憶装置である。
【0030】
ドライブ装置104は、記録媒体105、例えばフレキシブルディスクからプログラムを読み出し、記憶装置にインストールする。
【0031】
記録媒体105は、所定のプログラムを格納する。この記録媒体105に格納されたプログラムは、ドライブ装置104を介してサーバ31にインストールされる。インストールされた所定のプログラムは、サーバ31により実行可能となる。
【0032】
ネットワークI/F部106は、ネットワーク4を介して接続されたユーザ端末21等とのインターフェースである。
【0033】
入力部107は、カーソルキー、数字入力及び各種機能キー等を備えたキーボード、マウスやタッチパッド等を有する。
【0034】
なお、
図3に示す例において、以下で説明する各種処理等は、プログラムをサーバ31に実行させることで実現することができる。また、プログラムを記録媒体105に記録し、このプログラムが記録された記録媒体105をサーバ31に読み取らせて、以下で説明する各種処理等を実現させることも可能である。なお、記録媒体105は、様々なタイプの記録媒体を用いることができる。例えば、記録媒体105は、CD(Compact Disc)-ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等のように情報を光学的、電気的あるいは磁気的に記録する記録媒体、ROM、フラッシュメモリ等のように情報を電気的に記録する半導体メモリ等であってよい。
【0035】
(ユーザ端末のハードウェア構成)
図4は、ユーザ端末21のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0036】
図4に示す例では、ユーザ端末21は、制御部201、主記憶部202、補助記憶部203、ドライブ装置204、ネットワークI/F部206、入力部207、及び出力装置208を含む。
【0037】
制御部201は、主記憶部202や補助記憶部203に記憶されたプログラムを実行する演算装置であり、入力部207や記憶装置からデータを受け取り、演算、加工した上で、記憶装置などに出力する。
【0038】
主記憶部202は、ROMやRAMなどである。主記憶部202は、制御部201が実行する基本ソフトウェアであるOSやアプリなどのプログラムやデータを記憶又は一時保存する記憶装置である。
【0039】
補助記憶部203は、HDDやSSDなどであり、アプリなどに関連するデータを記憶する記憶装置である。
【0040】
ドライブ装置204は、記録媒体205、例えばフレキシブルディスクからプログラムを読み出し、記憶装置にインストールする。
【0041】
記録媒体205は、所定のプログラムを格納する。この記録媒体205に格納されたプログラムは、ドライブ装置204を介してユーザ端末21にインストールされる。インストールされた所定のプログラムは、ユーザ端末21により実行可能となる。
【0042】
ネットワークI/F部206は、ネットワーク4を介して接続されたサーバ31等とのインターフェースである。また、ネットワークI/F部206は、測定装置41とのインターフェースを含んでよい。ユーザ端末21と測定装置41との間の接続は、ネットワーク4とは異なるネットワークによる接続であってもよいし、ネットワーク4を介した接続であってもよい。例えば、測定装置41は、Bluetooth(登録商標)のような無線通信技術を利用して、ユーザ端末21に接続されてもよい。
【0043】
入力部207は、カーソルキー、数字入力及び各種機能キー等を備えたキーボード、マウスやタッチパッド等を有する。なお、入力部207は、出力装置208のディスプレイ装置に設けられるタッチパネルにより実現されてもよい。
【0044】
出力装置208は、液晶ディスプレイや、有機ELディスプレイ等のディスプレイ装置や、スピーカー等の音声出力装置等を含んでよい。
【0045】
なお、
図4に示す例において、以下で説明する各種処理等は、プログラム(アプリ)をユーザ端末21に実行させることで実現することができる。また、プログラムを記録媒体205に記録し、このプログラムが記録された記録媒体205をユーザ端末21に読み取らせて、以下で説明する各種処理等を実現させることも可能である。なお、記録媒体205は、様々なタイプの記録媒体を用いることができる。例えば、記録媒体205は、CD-ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等のように情報を光学的、電気的あるいは磁気的に記録する記録媒体、ROM、フラッシュメモリ等のように情報を電気的に記録する半導体メモリ等であってよい。
【0046】
(情報処理システム)
次に、
図5以降を参照して、上述した情報処理システム1の構成例を順に説明していく。
【0047】
以下では、サーバ31が情報処理装置の一例を実現するが、後述するように、一のユーザ端末21が情報処理装置の一例を実現してもよいし、サーバ31とユーザ端末21とが連携して情報処理装置の一例を実現してもよい。
【0048】
図5は、ユーザ端末21及びサーバ31のそれぞれの各種機能(特に、排尿予測情報生成機能及びパッド推奨情報生成機能に関連した各種機能)の一例を示す機能ブロック図である。
図6は、ユーザ端末21からサーバ31への送信データの説明図である。
図7は、測定データの一例を示す図である。
図8は、ユーザデータ記憶部312内のデータの一例の説明図である。
図9は、測定データ記憶部320内のデータの一例の説明図である。
図10は、アンケート回答情報の一例の説明図である。
図11は、測定データに基づく個別吸収量及び吸収量の積算値の算出方法の説明図である。
図12は、軽失禁イベント情報の一例の説明図である。
図13は、予測情報記憶部322内のデータの一例の説明図である。
図14は、推奨情報記憶部325内のデータの一例の説明図である。
図15は、商品データ記憶部326内のデータの一例の説明図である。なお、
図8等において、表内の“***”は何らかの情報が入っていることを表し、“・・・”は同様の態様で連続する場合があることを表す省略記号を表す。
【0049】
(ユーザ端末の機能構成)
ユーザ端末21は、測定データ取得部210と、測定データ送信部212と、飲食情報生成・送信部213と、行動関連情報生成・送信部214と、アンケート回答送信部215と、予測情報出力部216と、推奨情報出力部217と、を含む。
【0050】
測定データ取得部210から推奨情報出力部217の各機能は、
図4に示したユーザ端末21の制御部201が、記憶装置(例えば補助記憶部203)内のプログラムを実行することで実現できる。以下では、一例として、ユーザ端末21には、専用のアプリケーション(「予測情報生成アプリ」と称する)が実装されており、ユーザ端末21の制御部201が予測情報生成アプリを実行することで、測定データ取得部210から推奨情報出力部217の各機能が実現されるものとする。なお、ユーザは、予測情報生成アプリをユーザ端末21にダウンロードする際に、ユーザID等の初期登録を行うものとする。なお、予測情報生成アプリは、ユーザ端末21にインストールされるネイティブアプリの形態に代えて、Webアプリの形態であってもよい。
【0051】
測定データ取得部210は、測定装置41から上述した測定データを取得する。
図7では、横軸に時間を取り、縦軸に測定データの測定値レベル(測定値の大きさ)を取り、測定値レベルの変化態様(時系列波形)が模式的に示されている。測定データは、例えば
図7に示すような時系列データであってよいし、当該時系列データから抽出された特徴量のデータであってもよい。
【0052】
測定データ送信部212は、測定データ取得部210により取得された測定データをサーバ31に送信する。この場合、測定データ送信部212は、測定データを、ユーザIDに紐付けて送信してよい。なお、測定データは、加工等の処理を受けることなくサーバ31に送信されてもよいし、圧縮処理等の処理を経てサーバ31に送信されてもよい。
【0053】
図6(A)には、ユーザ端末21からサーバ31に送信される一例による送信データ600の説明図として、送信データ600に含まれてよい各種情報が示されている。この場合、送信データは、ユーザID、パッドID、種別情報(
図6には、「パッド種別」と表記)、測定データ、時間情報、飲食情報、行動関連情報、及び外部環境情報を含む。
【0054】
パッドIDは、ユーザ端末21において吸収性物品7ごとに付与されるIDであってよく、吸収性物品7を交換するごとに新規に発行される。
【0055】
種別情報は、現在装着中の吸収性物品7の種別(複数種類の製品のうちの、一の種類)を表す情報である。吸収性物品7の種別は、新たな吸収性物品7の装着の際に、当該新たな吸収性物品7に付与されてよい二次元バーコードをユーザ端末21が読み取ることで、ユーザ端末21側で取得されてもよいし、ユーザにより入力されてもよい。
【0056】
二次元バーコードは、吸収性物品7の包装、例えば、外箱や個包装、または、吸収性物品7自体に付することができる。この場合、新たな吸収性物品7の装着の際に、ユーザ端末21による二次元バーコードの読み取りがされなかったり、ユーザによる新たな入力が行われなかったりする場合には、継続して同じ種別の吸収性物品7が使用されていると看做してもよい。
【0057】
なお、二次元バーコードに代えて、吸収性物品7の種別を識別可能な任意の画像を用いてもよい。また、吸収性物品7に種別を自動識別可能としてもよい。この場合、例えば、吸収性物品7に種別を示す識別信号を送信可能なチップを埋め込み、通信モジュール420をセンシング部410に電気的に接続したときに、通信モジュール420に対してチップから識別信号を送信するようにしてもよい。通信モジュール420が取得した識別信号(種別)は、最終的にサーバ31に送信される。
【0058】
あるいは、吸収性物品7の種別は、予め登録されていてもよい(
図8の製品情報参照)。この場合、吸収性物品7の種別情報は、送信データに含められなくてもよい。
【0059】
時間情報は、測定データや飲食情報が取得された時刻を表す。測定データは、
図7に示すような時系列のデータであってもよく、この場合、時間情報は、測定データの開始時刻と終了時刻を表してよい。なお、或るデータレコードにおいて対応するデータや情報がない項目は空(NULL)とされてよい。例えば、測定データが取得された場合には飲食情報は空(NULL)とされてよい。
【0060】
飲食情報、行動関連情報、及び外部環境情報は、後述する。
【0061】
測定データ送信部212は、測定データ取得部210が測定装置41を介して取得している測定データをリアルタイムにサーバ31に送信してもよいし、測定データ取得部210が測定装置41を介して取得した測定データを所定の記憶領域に格納した上で、オフラインで測定データをサーバ31に送信してもよい。
【0062】
なお、上述したように測定装置41がユーザ端末21を介さずにサーバ31に測定データを送信するような変形例も可能であり、かかる変形例の場合、測定データ取得部210及び測定データ送信部212は省略されてもよい。
【0063】
飲食情報生成・送信部213は、ユーザに係る飲食情報を生成し、生成した飲食情報をサーバ31に送信する。飲食情報は、吸収性物品7を装着したユーザの飲食に関連する情報である。飲食情報は、ユーザが摂取した飲み物や食べ物の種類やそれぞれの量、並びに、飲食した時刻を含んでよい。
【0064】
飲食情報は、飲み物のみについての情報でもよく、或いは、飲み物と食べ物との両方についての情報でもよい。飲食情報の対象を飲み物のみにする場合には、飲料のみ(液体のみ)にしてもよいし、汁物料理(固形物を含む液体)も更に加えるようにしてもよい。飲食情報は、液体の量のみについての情報でもよい。飲食情報の対象を液体の量のみにする場合には、飲み物(液体のみ)についての量のみにしてもよいし、汁物料理(固形物を含む液体)のうちの液体の量も更に加えるようにしてもよい。
【0065】
飲み物の種類として、飲料としては例えば水、茶、ジュース、アルコールなどが挙げられ、また、汁物料理としては例えばみそ汁、スープ、つゆやスープに入った麺類などが挙げられる。また、食べ物の種類は、料理一品ごとそれぞれが情報として記録されるようにしてもよく、或いは、例えば和食、洋食、麺類などのように料理の分類が情報として記録されるようにしてもよい。
【0066】
飲食情報のうち摂取した飲み物や食べ物の種類については、例えば、ユーザ端末21の入力部207を介して、文字入力されてもよく、或いは、予め設定されて出力装置208に表示される一覧の中から選択されてもよい。一覧の中から選択される場合、飲み物や食べ物の種類が予め設定されたうえで、例えば補助記憶部203に記憶される。また、過去に文字入力された飲み物や食べ物の種類が一覧として出力装置208に表示され、一覧の中から選択されたり、一覧の中に無い場合には文字入力されたりするようにしてもよい。
【0067】
飲食情報のうち摂取した飲み物や食べ物それぞれの量については、例えば、ユーザ端末21の入力部207を介して、「cc」や「mL」を単位として数値が文字入力されてもよく、或いは、予め設定されて出力装置208に表示される一覧の中から選択されてもよい。一覧としては、例えば、「コップ小」「コップ中」「コップ大」などが表示されることが考えられる。一覧の中から選択される場合、飲み物や食べ物の量の程度が予め設定されたうえで、例えば補助記憶部203に記憶される。飲み物や食べ物の量に関する、例えば小、中、大はユーザの感覚でよい。なお、排尿予測情報はユーザごとに計算、生成が行われるので、ユーザごとの感覚に基づく量で統一されていれば、排尿予測情報の生成において問題はない。
【0068】
飲食情報は、或いは、画像認識によって作成されるようにしてもよい。この場合は、ユーザ端末21が撮像機能を備え、摂取する食べ物や飲み物を撮像して取得される画像に対して画像処理が施されて、摂取した飲み物や食べ物の種類やそれぞれの量が認識される。なお、画像認識によって量が認識される場合は、例えば「cc」や「m3」を伴って表される絶対的な量、嵩でなくてもよく、所定の基準に基づく量、嵩の程度でもよい。
【0069】
飲食情報のうち飲食した時刻は、例えば、ユーザによってユーザ端末21に対して飲食情報の作成の操作が開始された際に、ユーザ端末21が備えている時刻機能から時刻が取得されてもよく、或いは、ユーザ端末21の入力部207を介して文字入力などがされてもよい。
【0070】
行動関連情報生成・送信部214は、ユーザに係る行動関連情報を生成し、生成した行動関連情報をサーバ31に送信する。行動関連情報は、吸収性物品7を装着したユーザの行動に関連する情報である。行動関連情報は、移動履歴や行き先を特定する情報、滞在時間等を含んでよい。行動関連情報は、ユーザの姿勢(立位、座位、背臥位等)を表す姿勢情報を含んでもよい。
【0071】
行動関連情報は、例えば、ユーザ端末21に備わる各種センサ(例えばGPS(Global Positioning System)等に基づく位置センサや加速度センサ等)により取得される位置情報や加速度情報に基づいて生成されてよい。この場合、行動関連情報は、ユーザ端末21の位置情報の履歴、位置情報の変化態様(例えば移動速度)等を含んでよい。
【0072】
行動関連情報生成・送信部214は、行動関連情報に加えて、外部環境情報を生成し、生成した外部環境情報をサーバ31に送信してもよい。外部環境情報は、ユーザを取り巻く外部環境に関する情報であり、気温、湿度、天気等を含んでよい。
【0073】
外部環境情報は、ユーザ端末21に備わる各種センサや外部データ(例えば外部から入手可能な気象情報)に基づいて取得されてもよい。なお、変形例では、外部環境情報は、サーバ31側で取得されてもよい。サーバ31は、一のユーザに係る行動関連情報と、外部から入手可能な気象情報とに基づいて、当該一のユーザの周辺環境を特定できるためである。
【0074】
アンケート回答送信部215は、一の吸収性物品7の装着終了時(例えば交換による装着終了時)にユーザ入力に基づいて、所定アンケートに対する回答情報を生成し、生成した回答情報をサーバ31に送信する。所定アンケートは、今回使用した吸収性物品7に対する使用感等に関するアンケートであってよい。所定アンケートは、例えば、むれ、かぶれ、下着への漏れ、におい、ずれ、めくれ、余力(吸収性物品7の表示吸収目安に対する余力)等に関するアンケートであってよい。
【0075】
図6(B)には、ユーザ端末21のアンケート回答送信部215からサーバ31に送信される一例による送信データ602の説明図として、送信データ602に含まれてよい各種情報が示されている。所定アンケートに対する回答情報は、
図6に示される、ユーザIDや、使用した吸収性物品7に係るパッドIDとともにサーバ31に送信されてよい。
【0076】
予測情報出力部216は、後述するようにサーバ31から送信されるユーザの排尿に係る予測情報(即ち、排尿予測情報)を出力(別言すると、通知)する。排尿予測情報は、出力装置208を介して出力(別言すると、通知)されてよい。
【0077】
推奨情報出力部217は、後述するようにサーバ31から送信されるパッドに係る推奨情報(即ち、パッド推奨情報)を出力(別言すると、通知)する。パッド推奨情報は、出力装置208を介して出力(別言すると、通知)されてよい。
【0078】
(サーバの機能構成)
サーバ31は、ユーザデータ管理部310、ユーザデータ記憶部312、測定データ取得部314、記憶処理部316、軽失禁イベント検出部317、軽失禁イベント情報生成部318、総吸収量情報生成部319、測定データ記憶部320、予測情報生成部321、予測情報記憶部322、推奨情報生成部323、推奨情報記憶部325、商品データ管理部324、商品データ記憶部326、及び通知生成部327を含む。
【0079】
ユーザデータ管理部310、測定データ取得部314、記憶処理部316、軽失禁イベント検出部317、軽失禁イベント情報生成部318、総吸収量情報生成部319、予測情報生成部321、推奨情報生成部323、商品データ管理部324、及び通知生成部327の各機能は、
図3に示したサーバ31の制御部101が、記憶装置(例えば主記憶部102等)内のプログラムを実行することで実現できる。ユーザデータ記憶部312、測定データ記憶部320、予測情報記憶部322、推奨情報記憶部325、及び商品データ記憶部326は、
図3に示したサーバ31の記憶装置(例えば補助記憶部103)により実現できる。
【0080】
ユーザデータ管理部310は、情報処理システム1の各ユーザに係る各種基本情報を管理する。本実施例では、一例として、ユーザデータ管理部310は、ユーザデータ記憶部312内のユーザデータを管理(生成や更新)する。例えば、ユーザデータ管理部310は、新たなユーザの初期登録の際、ユーザデータ記憶部312内のユーザデータに、当該新たなユーザに係る各種基本情報を追加する。また、ユーザデータ管理部310は、登録済のユーザに係る各種基本情報の更新や変更等を行う。
【0081】
ユーザデータ記憶部312には、情報処理システム1の各ユーザに係るユーザデータが記憶される。
図8に示す例では、ユーザデータ記憶部312内のユーザデータは、ユーザIDに対応付けられる態様で、ユーザ名、認証情報、年齢、性別、製品情報等を含む。製品情報は、ユーザが使用している吸収性物品7の種別(複数種類の製品のうちの、一の種類)を表す情報であってよい。なお、認証情報は、予測情報生成アプリのログインの際のパスワード等の情報を含んでよい。
【0082】
測定データ取得部314は、上述したユーザ端末21から送信される送信データ600(
図6参照)を受信することで、送信データ600内の測定データを取得する。測定データ取得部314は、受信した測定データに対して、後述する予測情報生成部321や推奨情報生成部323による算出用の前処理を実行してもよい。かかる前処理は、フィルタリング処理等を含んでよい。
【0083】
記憶処理部316は、上述したユーザ端末21から送信される送信データ600(
図6参照)を受信すると、ユーザデータ記憶部312内のユーザデータと関連付けたうえで、送信データ600を測定データ記憶部320に記憶してよい。
【0084】
図9に示す例では、測定データ記憶部320内のデータは、パッドIDごとに、種別情報(
図9には、「パッド種別」と表記)と、測定データと、時間情報と、飲食情報と、行動関連情報と、総吸収量情報とを含む。測定データ記憶部320内のデータのうちの、総吸収量情報以外のデータ又は情報は、送信データ600内の同データ又は同情報に対応してよく、総吸収量情報は、後述する総吸収量情報生成部319により生成される。
【0085】
また、記憶処理部316は、上述したユーザ端末21から送信される送信データ602(
図6参照)を受信すると、ユーザデータ記憶部312内のユーザデータと関連付けたうえで、送信データ602(「アンケート回答情報」とも称する)を測定データ記憶部320に記憶してよい。
図10に示す例では、アンケート回答情報は、パッドIDごとに、蒸れ、かぶれ、下着への漏れ、におい、ズレ、めくれ、表示吸収目安に対する余力、及び取替理由を含む。なお、表示吸収目安に対する余力は、ユーザの目視による判断に基づいてよい。
【0086】
また、記憶処理部316は、後述する予測情報生成部321がユーザの排尿に係る予測情報(即ち、排尿予測情報)を生成すると、生成された排尿予測情報を予測情報記憶部322に記憶する。排尿予測情報の内容は、予測情報生成部321に関連して後述する。
【0087】
また、記憶処理部316は、後述する推奨情報生成部323がパッドに係る推奨情報(即ち、パッド推奨情報)を生成すると、生成されたパッド推奨情報を推奨情報記憶部325に記憶する。パッド推奨情報の詳細は、推奨情報生成部323に関連して後述する。
【0088】
軽失禁イベント検出部317は、測定データ記憶部320内の測定データに基づいて、吸収性物品7における体液の吸収イベントを検出する。本明細書では、吸収性物品7における体液の吸収イベントは、ユーザの軽失禁イベントに起因して生じることを想定しており、従って、以下では、吸収イベントを、軽失禁イベントとも称する。
【0089】
ところで、測定データは、軽失禁イベントに起因した液体(具体的には、尿)に応じた特有の変化が発生する。軽失禁イベント検出部317は、かかる変化に基づいて、軽失禁イベントを検出できる。例えば、
図7に示した測定データの場合、測定データに係る測定値レベルは、軽失禁イベントごとに、
図7に示すような特有の変化を示す。具体的には、軽失禁イベントが発生すると、急激に立ち上がり、その後減少して、変動が比較的少ない値に収束する。この際、収束する値は、当該軽失禁イベントが発生する前の値よりも有意に大きい。このようにして、測定データに係る測定値レベルは、軽失禁イベントごとに、急激な立ち上がりピークを伴いつつ、増加していく。この場合、軽失禁イベント検出部317は、急激な立ち上がりピークに基づいて、軽失禁イベントを検出できる。
【0090】
軽失禁イベント情報生成部318は、軽失禁イベント検出部317が一の軽失禁イベントを検出すると、当該一の軽失禁イベントに係る軽失禁イベント情報を生成する。
図12に示す例では、軽失禁イベント情報は、軽失禁イベントIDごとに、パッドID、日時情報、場所情報、外部環境情報、個別吸収量情報、吸収位置情報、及び態様情報を含む。軽失禁イベント情報は、ユーザデータ記憶部312内のユーザデータと関連付けられたうえで、測定データ記憶部320に記憶される。
【0091】
この場合、パッドIDは、軽失禁イベントの際に利用していた吸収性物品7に付与されたパッドIDに対応し、日時情報及び場所情報は、軽失禁イベントの発生日時及び発生場所(例えば自宅や、外出先、職場)を表し、外部環境情報は、軽失禁イベントの発生時の外部環境を表す。パッドID、日時情報、場所情報、外部環境情報は、上述した送信データ600(
図6参照)内の、対応する同情報に対応してよい。具体的には例えば、日時情報は送信データ600の時間情報に基づいてよく、場所情報は送信データ600の行動関連情報に基づいてよい。
【0092】
個別吸収量情報は、軽失禁イベントごとの吸収性物品7における体液の吸収量(「個別吸収量」とも称する)を表す。
【0093】
ところで、測定データは、吸収性物品7における体液の吸収量(軽失禁イベントに起因した液体(尿)の量)に応じた特有の変化が発生する。従って、個別吸収量は、測定データに基づいて算出できる。すなわち、測定データに係る測定値レベルは、軽失禁イベントごとに、特有の変化を示す。軽失禁イベント情報生成部318は、かかる変化に基づいて、吸収性物品7における体液の吸収量を算出できる。なお、
図7には、軽失禁イベントの発生タイミングが、EVT11からEVT15で示されている。
【0094】
具体的には、軽失禁イベントが発生すると、
図7に示すように、測定データに係る測定値レベルが急激に立ち上がり、その後減少して、変動が比較的少ない値に収束する。この際、収束する値は、当該軽失禁イベントが発生する前の値よりも有意に大きい。このようにして、測定データに係る測定値レベルは、軽失禁イベントごとに、急激な立ち上がりピークを伴いつつ、増加していく。
【0095】
軽失禁イベントごとの測定データに係る測定値レベルの増加態様は、各軽失禁イベントにおける体液の吸収量(軽失禁イベントに起因した液体(尿)の量)に相関する。このような相関関係は、吸収性物品7の種別ごとに、試験結果に基づいて導出できる。軽失禁イベント情報生成部318は、このような相関関係に基づいて、軽失禁イベントごとの個別吸収量を算出してよい。なお、相関関係は、吸収性物品7の種別ごとに異なりうるので、種別情報ごとに適合されてよい。
【0096】
軽失禁イベント情報生成部318は、試験結果に基づく測定値レベルの増加態様及び液体の吸収量を機械学習によって解析して、測定値レベルの変化パターンの学習を行って当該の吸収性物品についての推計モデルを作成し、作成された推計モデルを用いて、軽失禁イベントごとの個別吸収量を算出するようにしてもよい。
【0097】
この場合、軽失禁イベント情報生成部318は、機械学習として、学習データを用いて、推計モデルに含まれるパラメータの値を推定、更新する学習処理を実行し、入力データに対応する推計値を出力する推計モデル(「学習済みモデル」と称する)を作成する処理を行う。本実施例では、試験結果としての測定値レベルの増加態様と液体の吸収量との組合せデータが学習データとして機械学習に用いられ、測定値レベルの増加態様が入力されると液体の吸収量(即ち、軽失禁イベントごとの個別吸収量)の推計値を出力するための学習済みモデルのパラメータが推定、更新される。
【0098】
機械学習のアルゴリズムは、特定の種類に限定はされないものの、教師データあり型で連続値の推定に適したアルゴリズムが用いられてよく、具体的には例えば、ニューラルネットワークやランダムフォレストが用いられてよい。
【0099】
態様情報は、どのような態様で軽失禁が発生したかを表す情報である。態様情報は、“ちょろちょろ”や“ある程度まとまって(ドバっと)”といった具合に、ユーザの感覚に基づく情報であってよい。この場合、態様情報は、上述した送信データ602(アンケート回答情報)に基づいて生成されてもよい。あるいは、態様情報は、ユーザからのアンケート回答情報に基づくことなく、個別吸収量の算出値に応じて生成されてもよい。例えば、個別吸収量の算出値が所定閾値よりも小さい軽失禁イベントの場合に、比較的少量の軽失禁態様を表す態様情報が対応付けられてもよく、個別吸収量の算出値が所定閾値よりも大きい軽失禁イベントの場合に、比較的多量の軽失禁態様を表す態様情報が対応付けられてもよい。
【0100】
総吸収量情報生成部319は、測定データ記憶部320内の測定データに基づいて、パッドIDごとに、吸収性物品7における体液の吸収量の積算値を算出し、当該積算値を表す総吸収量情報を生成(更新)する。具体的には、総吸収量情報生成部319は、パッドIDごとに、軽失禁イベント情報生成部318により算出される個別吸収量を積算することで、吸収性物品7における体液の吸収量の積算値を算出する。すなわち、総吸収量情報生成部319は、測定データ記憶部320内の測定データに基づいて軽失禁イベント検出部317が一の軽失禁イベントを検出すると、当該一の軽失禁イベントに関して軽失禁イベント情報生成部318が算出した個別吸収量を前回までの積算値(初期値は0)に積算することで、吸収量の積算値を算出する。
【0101】
なお、測定データが比較的短い更新周期で更新される場合、軽失禁イベント検出部317により比較的短い時間間隔で軽失禁イベントが検出されるので、総吸収量情報生成部319は、
図9に示した総吸収量情報を比較的短い更新周期で更新できる。この場合、
図9に示した総吸収量情報は、実質的に現時点における吸収性物品7における体液の吸収量の積算値を表すことができる。
【0102】
図11には、横軸に時間を取り、縦軸を測定データに係る測定値レベルとした
図7に示した測定データ1008とともに、縦軸を吸収量とした吸収量の積算値の時系列1010が模式的に示されている。ここで、吸収量の積算値は即ち排尿量の積算値であるので、
図11では「排尿量」と表記している。
図11において、軽失禁イベントの発生タイミングは、EVT11からEVT15で示されている。
【0103】
軽失禁イベント検出部317における検出結果、軽失禁イベント情報生成部318及び総吸収量情報生成部319において生成された各種情報のうち、必要なものは、適宜、記憶処理部316により測定データ記憶部320に記憶、更新され、予測情報生成部321における排尿予測情報の生成や推奨情報生成部323におけるパッド推奨情報の生成に利用される。
【0104】
(排尿予測情報生成機能)
予測情報生成部321は、ユーザごとに、測定データ記憶部320内のデータ(
図9参照)及び軽失禁イベント情報(
図12参照)に基づいて、各ユーザの排尿に係る予測情報(即ち、排尿予測情報)を生成する。
【0105】
本実施例では、予測情報生成部321は、測定データ記憶部320に記憶されたデータ(
図9参照)及び軽失禁イベント情報(
図12参照)に基づいて、ユーザの今後の排尿の見込みである排尿予測情報として、ユーザが尿意を感じるまでの時間(言い換えると、軽失禁イベントが発生するまでの時間)を少なくとも算出し、さらに、次に尿意を感じた際の排尿量(言い換えると、軽失禁イベントに起因する液体(尿)の量)も算出するようにしてもよい。
【0106】
また、記憶処理部316は、予測情報生成部321により生成された排尿予測情報を、予測情報記憶部322に適宜、記憶する。
【0107】
図13に示す例では、予測情報記憶部322内のデータ(排尿予測情報)は、ユーザIDごとに、尿意を感じるまでの時間と、当該尿意を感じるまでの時間に基づく次回の尿意を感じる時刻(
図13には「次回尿意時刻」と表記)と、次に尿意を感じた際の排尿量とを含む。
【0108】
予測情報生成部321は、過去の排尿実績及び飲食実態などを基に、将来の、ユーザが尿意を感じるまでの時間や排尿量を算出する。予測情報生成部321は、本実施例では、軽失禁イベント情報及び飲食情報に基づいて、ユーザが尿意を感じるまでの時間や排尿量を予測して排尿予測情報を生成する。予測情報生成部321は、行動関連情報と外部環境情報とのうちの少なくとも一方を更に考慮するようにしてもよい。
【0109】
ここで、或る軽失禁イベントが発生した時刻を「〈N〉番目排尿時刻」とするとともに、当該〈N〉番目排尿時刻からみて時系列で直後の軽失禁イベントが発生した時刻を「〈N+1〉番目排尿時刻」とする。そして、軽失禁イベント情報には、〈N〉番目排尿時刻(具体的には、日時情報)と〈N+1〉番目排尿時刻(具体的には、日時情報)との組合せが連続的に複数含まれており、さらに、〈N+1〉番目排尿時刻における排尿の排尿量(具体的には、個別吸収量情報)が含まれている。また、飲食情報には、〈N〉番目排尿時刻から〈N+1〉番目排尿時刻までの間にユーザが摂取した飲み物や食べ物の種類やそれぞれの量が含まれている。
【0110】
そこで、予測情報生成部321は、例えば、〈N〉番目排尿時刻と〈N+1〉番目排尿時刻との間の飲食情報を用いて、飲食実態(即ち、飲食情報における、ユーザが摂取した飲み物や食べ物の種類やそれぞれの量)と〈N〉番目排尿時刻から〈N+1〉番目排尿時刻までの経過時間(単位は例えば分や時間)との間の関係を表す予測モデルを作成する。予測情報生成部321は、すなわち、例えば、前回の排尿時刻(〈N〉番目排尿時刻に対応する)及び当該前回の排尿時刻以降の飲食実態が入力されると次に尿意を感じるまでの経過時間(〈N〉番目排尿時刻から〈N+1〉番目排尿時刻までの経過時間に対応する)の予測値を出力する予測モデルを作成する。なお、作成された予測モデルを使用する際には、〈N+1〉番目排尿時刻は将来の時刻である。
【0111】
予測情報生成部321は、さらに、例えば、〈N〉番目排尿時刻と〈N+1〉番目排尿時刻との間の飲食情報を用いて、飲食実態(即ち、飲食情報における、ユーザが摂取した飲み物や食べ物の種類やそれぞれの量)と〈N+1〉番目排尿時刻における排尿の排尿量(即ち、軽失禁イベントに起因する液体(尿)の量;単位は例えばccやmL)との間の関係を表す予測モデルも作成するようにしてもよい。予測情報生成部321は、すなわち、例えば、前回の排尿(〈N〉番目排尿時刻における排尿に対応する)以降の飲食実態が入力されると次に尿意を感じた際の排尿量(〈N+1〉番目排尿時刻における排尿の排尿量に対応する)の予測値を出力する予測モデルも作成するようにしてもよい。
【0112】
予測モデルの作成及び作成された予測モデルの使用においてどのような時間範囲の飲食実態を考慮するかは、上記の例のように〈N〉番目排尿時刻から〈N+1〉番目排尿時刻までの飲食実態を考慮することには限定されない。例えば、〈N〉番目排尿時刻よりも過去の時点からの飲食実態も考慮するようにしてもよく、或いは、〈N〉番目排尿時刻よりも後の時点からの飲食実態のみを考慮するようにしてもよい。
【0113】
そして、予測情報生成部321は、作成された予測モデルを用いて、前回の軽失禁イベントが発生した時点から排尿予測情報を生成する時点までの飲食情報を用いて、前回の軽失禁イベントから次に尿意を感じるまでの時間を算出する。予測情報生成部321は、さらに、作成された予測モデルを用いて、前回の軽失禁イベントが発生した時点から排尿予測情報を生成する時点までの飲食情報を用いて、次に尿意を感じた際の排尿量も算出するようにしてもよい。
【0114】
なお、前回の軽失禁イベント以降の飲食情報がユーザによって追加されるたびに、予測情報生成部321は、追加された飲食情報の内容を加えたうえで、次に尿意を感じるまでの時間や次に尿意を感じた際の排尿量を算出し直す。また、ユーザが意図的な排尿(言い換えると、軽失禁ではない通常の排尿)を行った場合には、排尿予測情報の生成処理はリセットされる。この場合、例えば、意図的な排尿が行われた報告がユーザ端末21の入力部207を介して入力されると、サーバ31へと当該報告が送られて、予測情報生成部321は、報告が送られてきた時点(言い換えると、現在の時点)を前回の軽失禁イベントが発生した時点とするとともに飲食実態をクリアして何も飲食されていない状態とする。
【0115】
ここで、軽失禁イベント情報などに基づいて予測される、次に尿意を感じるまでの時間は次に軽失禁イベントが発生するまでの時間であるともいえ、次に尿意を感じた際の排尿量は次の軽失禁イベントに起因する液体(尿)の量であるともいえる。また、次に尿意を感じるまでの時間は、前回の軽失禁イベントが発生した時刻(又は、意図的な排尿が行われた時刻)を基準として次に尿意を感じるまでの時間であるので、次に尿意を感じるまでの時間に基づいて次に尿意を感じる時刻が算出される。次に尿意を感じる時刻のことを「次回尿意時刻」と称する。
【0116】
予測情報生成部321は、過去の排尿実績及び飲食実態を機械学習によって解析して、ユーザの排尿パターンの学習を行って当該のユーザについての予測モデルを作成し、作成された予測モデルを用いて、ユーザが尿意を感じるまでの時間や次に尿意を感じた際の排尿量を予測して排尿予測情報を生成するようにしてもよい。
【0117】
この場合、予測情報生成部321は、機械学習として、学習データを用いて、予測モデルに含まれるパラメータの値を推定、更新する学習処理を実行し、入力データに対応する予測値を出力する予測モデル(「学習済みモデル」と称する)を作成する処理を行う。
【0118】
具体的には、過去の排尿実績としての軽失禁イベント情報及び飲食実態としての飲食情報が学習データとして機械学習に用いられ、例えば、前回の排尿時刻(〈N〉番目排尿時刻に対応する)及び当該前回の排尿時刻以降の飲食実態が入力されると次に尿意を感じるまでの時間(〈N〉番目排尿時刻から〈N+1〉番目排尿時刻までの経過時間に対応する)の予測値を出力するための学習済みモデルのパラメータが推定、更新されたり、また、前回の排尿(〈N〉番目排尿時刻における排尿に対応する)以降の飲食実態が入力されると次に尿意を感じた際の排尿量(〈N+1〉番目排尿時刻における排尿の排尿量に対応する)の予測値を出力するための学習済みモデルのパラメータが推定、更新されたりする。
【0119】
なお、作成された学習済みモデルを使用する際には、〈N+1〉番目排尿時刻は将来の時刻である。また、学習済みモデルの作成及び作成された学習済みモデルの使用においてどのような時間範囲の飲食実態を考慮するかは、上記の例のように〈N〉番目排尿時刻から〈N+1〉番目排尿時刻までの飲食実態を考慮することには限定されない。例えば、〈N〉番目排尿時刻よりも過去の時点からの飲食実態も考慮するようにしてもよく、或いは、〈N〉番目排尿時刻よりも後の時点からの飲食実態のみを考慮するようにしてもよい。
【0120】
機械学習のアルゴリズムは、特定の種類に限定はされないものの、教師データあり型で連続値の推定に適したアルゴリズムが用いられてよく、具体的には例えば、ニューラルネットワークやランダムフォレストが用いられてよい。
【0121】
予測情報生成部321は、好ましくは、同一属性の期間ごとに、軽失禁イベント情報などに基づいて、予測モデル(学習済みモデルを含む)を作成するとともに尿意を感じるまでの時間や排尿量を算出するようにしてもよい。期間の属性は、冬期、夏期といった、季節に係る属性であってもよい。あるいは、期間の属性は、外部環境情報に基づく属性であってもよい。この場合、期間の属性は、気温が低い期間、気温が高い期間、天気が晴れの期間等を含んでよい。あるいは、期間の属性は、行動関連情報に基づく属性であってもよい。この場合、期間の属性は、自宅にいる期間、外出中の期間、仕事中の期間、通勤途中の期間、家事中の期間等を含んでよい。これにより、期間の属性ごとに排尿予測情報を生成できるので、排尿予測情報の信頼性を高めることができる。
【0122】
なお、予測情報生成部321は、尿意を感じるまでの時間や排尿量の算出値の傾向(例えば期間ごとの変化態様)を、分析結果として更に生成してもよい。例えば、尿意を感じるまでの時間が短くなってきているか長くなってきているか、また、排尿量が少なくなってきているか多くなってきているかなどの傾向を、分析結果として更に生成してもよい。この場合、予測情報生成部321は、好ましくは、上述した同一属性の期間ごとの尿意を感じるまでの時間や排尿量の算出値に基づいて、ユーザの排尿に係る傾向を分析してもよい。これにより、期間の属性ごとに傾向を分析できるので、排尿予測情報の信頼性を高めることができる。
【0123】
なお、予測情報生成部321による排尿予測情報の生成タイミングは、好ましくは、飲食情報が作成された後に速やかに若しくは比較的短い時間内であり、少なくとも、飲食情報が作成された後に次回尿意時刻が到来する前である。
【0124】
通知生成部327は、予測情報生成部321によって排尿予測情報が生成されると、生成された排尿予測情報とともに当該排尿予測情報の出力指示を、対応するユーザに係るユーザ端末21に送信する。この場合、ユーザ端末21の予測情報出力部216は、出力指示に応答して排尿予測情報を出力(別言すると、通知)し、例えば、出力装置208としてのディスプレイ装置に表示する。
【0125】
以上のように、本実施例によれば、軽失禁に悩むユーザにとって有用となりうる情報として、ユーザに排尿予測情報が提供される。このため、ユーザは、排尿予測情報に基づいて軽失禁に備えることが可能となり、例えば、次回尿意時刻における行動を検討したり、次回尿意時刻が到来する前に意図的に排尿するようにしたり、予想される軽失禁に適したパッドを選択したりすることが可能となる。
【0126】
(パッド推奨情報生成機能)
推奨情報生成部323は、ユーザごとに、測定データ記憶部320内のデータ(
図9参照)、予測情報記憶部322内の排尿予測情報(
図13参照)、及び商品データ記憶部326内の商品データ(
図15参照)に基づいて、各ユーザに対するパッドに係る推奨情報(即ち、パッド推奨情報)を生成する。
【0127】
また、記憶処理部316は、推奨情報生成部323により生成されたパッド推奨情報を、推奨情報記憶部325に適宜、記憶する。
【0128】
図14に示す例では、推奨情報記憶部325内のデータ(パッド推奨情報)は、ユーザIDごとに、推奨されるパッド種別(
図14には「推奨種別」と表記)と、他の提示情報とを含む。
【0129】
商品データ管理部324は、商品データ記憶部326に記憶される商品データである、各種パッドに関するデータを管理する。例えば、商品データ管理部324は、新たに商品化されたパッドに関する商品データを商品データ記憶部326に記憶する。また、商品データ管理部324は、すでに商品化されているパッドの商品データに変更があった場合、商品データ管理部324の商品データを更新する。
【0130】
商品データ記憶部326には、各種パッドに関するデータである商品データが記憶される。商品データには、パッドの性能、販売地域、価格等を含めることができる。
【0131】
図15に示す例では、これらのデータに対応して、商品データ記憶部326内に、パッドの種別を特定する種別情報(
図15には、「パッド種別」と表記)ごとに、当該パッドの性能を示す性能情報(性能情報A、性能情報B、・・・)と、販売地域情報と、価格情報とを含むデータを格納している。性能情報には、当該パッドに対するメーカーや他の機関等による測定や試験に基づく性能情報のほか、測定データ記憶部320に記憶されたアンケート回答情報に基づいて導かれた性能情報を含めることができる。なお、性能情報には、当該パッドの吸収量(表示吸収目安)が含まれる。当該パッドの吸収量(表示吸収目安)は、漏れなどの問題が生じない目安ないし設計値としての最大吸収量である。
【0132】
推奨情報生成部323は、ユーザごとに、測定データ記憶部320内のデータ(
図9参照)、予測情報記憶部322内の排尿予測情報(
図13参照)、及び商品データ記憶部326内の商品データ(
図15参照)に基づいて、各ユーザに対するパッド推奨情報を生成する。
【0133】
パッド推奨情報には、予測情報生成部321によって生成された排尿予測情報に基づく次回尿意時刻における排尿(即ち、次の排尿)の排尿量も考慮したうえでの、ユーザに適したパッド種別、すなわち推奨されるパッド種別を提示する情報(
図14の「推奨種別」)が含まれる。
【0134】
推奨されるパッド種別は、測定データ記憶部320内のデータ、及び予測情報記憶部322内の排尿予測情報に基づき、商品データ記憶部326に記憶された商品データの中から、性能情報に従って選択される。推奨されるパッド種別は、1つでもよく、複数でもよい。また、パッド推奨情報により、ユーザが現在使用していないパッド種別を推奨することができるが、推奨されるパッド種別の中に、ユーザが現在使用しているパッド種別を含めてもよい。なお、当該ユーザが現在使用しているパッドは、測定データ記憶部320内のデータ(
図9の「パッド種別」)に基づいて把握される。
【0135】
例えば、測定データ記憶部320内のデータのうち「総吸収量情報」(
図9参照)及び予測情報記憶部322内の排尿予測情報のうち「排尿量」(
図13参照)に基づき、商品データ記憶部326内の商品データのうち「性能情報(性能情報A、性能情報B、・・・)」(
図15参照)を参照して、当該ユーザが現在装着中の吸収性物品7のパッドにおける総吸収量に排尿量を加えた値が、当該パッドの種別に対応付けて想定されているパッドの吸収量に関する所定の閾値を超える場合や、当該パッドの種別に対応付けられているパッドの吸収量(表示吸収目安、最大吸収量)を超える場合などに、推奨情報生成部323は、商品データ記憶部326内の商品データから選択されたパッド種別を出力する。すなわち、推奨情報生成部323は、当該ユーザが現在装着中の吸収性物品7のパッドでは吸収量が不足すると判断し、したがって吸収性物品7の交換が必要であると判断し、商品データ記憶部326に記憶された商品データの性能情報に従って、予測情報記憶部322内の排尿予測情報における排尿量より少なくとも吸収量の大きなパッド種別を選択して出力する。そして、ユーザがパッド推奨情報に従って吸収性物品7を交換することにより、今後の特に軽失禁イベントに備えて適切な吸収量が確保されることになる。
【0136】
上記のように、推奨されるパッド種別は、商品データ記憶部326に記憶された商品データの中から選択される。ここで、推奨されるパッド種別は、商品データ記憶部326に記憶された性能情報だけでなく、商品データ記憶部326に記憶された販売地域情報を加味して決定してもよい。例えば、測定データ記憶部320内の行動関連情報に基づいて、ユーザの行動範囲が特定できる。このため、推奨されるパッド種別を、この行動範囲の地域で販売されているパッド種別に限定してもよい。
【0137】
パッド推奨情報において、使用時間帯や、使用の形態に対応付けてパッド種別を推奨することができる。例えば、ユーザが活動している時間帯や、ユーザの睡眠の時間帯など、異なる時期帯に対して異なるパッドを推奨することができる。また、ユーザがパッドを使用する形態として、外出時における使用や自宅における使用などの異なる使用形態に対して異なるパッドを推奨することができる。
【0138】
パッド推奨情報には、推奨されるパッド種別以外の情報(
図14の「他の提示情報」)を含めることができる。
【0139】
具体的には、パッド推奨情報には、他の提示情報として、特定のパッド種別を推奨する理由を含めることができる。例えば、現在装着中の吸収性物品7のパッドの吸収量が不足する可能性を示す情報を含めてもよい。これにより、ユーザは、吸収性物品7の交換が推奨される意義を理解することができる。
【0140】
パッド推奨情報には、他の提示情報として、商品データ記憶部326内の商品データのうち「価格情報」(
図15参照)に基づいて、パッドにかかるコスト等に関連する情報を含めることができる。
【0141】
パッド推奨情報には、他の提示情報として、推奨されたパッドの使用方法、その他、推奨されたパッド種別に関連する情報や、パッド種別に関わりなく適用される使用方法、その他の情報を含めることができる。
【0142】
なお、推奨情報生成部323によるパッド推奨情報の生成タイミングは、好ましくは、排尿予測情報が生成された後に速やかに若しくは比較的短い時間内であり、少なくとも、排尿予測情報が生成された後に次回尿意時刻が到来する前である。
【0143】
通知生成部327は、推奨情報生成部323によってパッド推奨情報が生成されると、生成されたパッド推奨情報とともに当該パッド推奨情報の出力指示を、対応するユーザに係るユーザ端末21に送信する。この場合、ユーザ端末21の推奨情報出力部217は、出力指示に応答してパッド推奨情報を出力(別言すると、通知)し、例えば、出力装置208としてのディスプレイ装置に表示する。なお、パッド推奨情報の出力(例えば、ユーザ端末21における表示)は、今後の特に軽失禁イベントに備えて吸収性物品7の交換が推奨されることも意味する。
【0144】
パッド推奨情報は、次回尿意時刻における排尿(即ち、次の排尿)にユーザが的確に対応し得るようにするため、排尿予測情報と同時に通知されることが好ましい。
【0145】
以上のように、本実施例によれば、軽失禁に悩むユーザにとって有用となりうる情報として、ユーザにパッド推奨情報が提供される。このため、ユーザは、パッド推奨情報に基づいて軽失禁に備えることが可能となり、例えば、吸収性物品7を交換することが可能となり、その際に、予想される軽失禁に適したパッドを選択して吸収性物品7を交換することが可能となる。
【0146】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明の具体的な構成態様は上記の実施例に限定されるものではなく、上記の実施例に、本発明の要旨を逸脱しない範囲の変形や変更などが加えられた態様も本発明に含まれる。また、上記の実施例の構成要素の全部又は複数を組み合わせることも可能である。
【0147】
例えば、上述した実施例において、各ユーザに係る測定データは、プライバシーを考慮した匿名のユーザのデータとして、医療機関での研究等に利用されてもよいし、吸収性物品7の開発等に利用されてもよい。
【符号の説明】
【0148】
1 情報処理システム
4 ネットワーク
7 吸収性物品
21 ユーザ端末
31 サーバ
41 測定装置
210 測定データ取得部
212 測定データ送信部
213 飲食情報生成・送信部
214 行動関連情報生成・送信部
215 アンケート回答送信部
216 予測情報出力部
217 推奨情報出力部
310 ユーザデータ管理部
312 ユーザデータ記憶部
314 測定データ取得部
316 記憶処理部
317 軽失禁イベント検出部
318 軽失禁イベント情報生成部
319 総吸収量情報生成部
320 測定データ記憶部
321 予測情報生成部
322 予測情報記憶部
323 推奨情報生成部
324 商品データ管理部
325 推奨情報記憶部
326 商品データ記憶部
327 通知生成部
410 センシング部
412 コネクタ
414 配線
420 通信モジュール