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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088221
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】モータステータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/46 20060101AFI20240625BHJP
   H02K 3/02 20060101ALI20240625BHJP
   H02K 3/50 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
H02K3/46 B
H02K3/02
H02K3/50 A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203284
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】519209037
【氏名又は名称】富田電機股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】張金鋒
(72)【発明者】
【氏名】朱智盟
(72)【発明者】
【氏名】呉智正
(72)【発明者】
【氏名】張辰輝
【テーマコード(参考)】
5H603
5H604
【Fターム(参考)】
5H603BB01
5H603BB12
5H603CA01
5H603CA05
5H603CB02
5H603CC05
5H603CC07
5H603CC17
5H603CD21
5H603CE00
5H603CE02
5H604BB01
5H604BB14
5H604CC01
5H604CC05
5H604CC15
5H604PB03
5H604QB03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】小さいサイズと、電力を増大できる最大のコイル充填率とを有するモータステータを提供する。
【解決手段】モータステータが、環状のステータコア10と、環状のステータコアの内側面において離間している複数の歯部分20とを有し、歯部分は、歯部分の各々の2つの側面の各々に形成されたスロット15を有する。歯部分の各々は、コイル巻回を有し、コイル30の一部が、歯部分の各々の2つのスロット内に位置付けられている。コイルの各々は、ボビンの周りに内側から外側に複数回巻き付けられた金属ワイヤによって形成されている。ボビンは、内側ガイドフレームと外側ガイドフレームとを有し、これらはともに、垂直に配置された底部プレートと側部プレートとを有する構造を有し、それによって、コイルは、モータステータを小型化させるようにボビンに取り付けできる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータステータであって、
環状のステータコアと、
前記環状のステータコアの内側面において離間しているとともに、前記環状のステータコアの中心に向かって突出した複数の歯部分とを備え、
前記歯部分の各々は、前記歯部分の2つの側面の各々に形成されたスロットを有し、
前記歯部分の各々は、前記歯部分の周りに巻回されたコイルを有し、
前記コイルの一部が、前記歯部分の各々の前記2つのスロット内に位置付けられており、
前記コイルの各々と前記歯部分の各々との間にボビンが設けられており、
前記コイルの各々は、前記ボビンの周りに金属ワイヤを複数回巻回することによって形成され、
前記金属ワイヤの厚さは、一端から他端に徐々に減少することを特徴とする、
モータステータ。
【請求項2】
前記ボビンは、内側ガイドフレームと外側ガイドフレームとを有することを特徴とする、請求項1に記載のモータステータ。
【請求項3】
前記内側ガイドフレーム及び前記外側ガイドフレームはともに、底部プレートと、前記底部プレートから一方の側に向かって突出した、前記底部プレート上に配置された側部プレートとを有し、前記側部プレートは前記底部プレートと垂直に配置されていることを特徴とする、請求項2に記載のモータステータ。
【請求項4】
前記内側ガイドフレーム及び前記外側ガイドフレームはともに、T字形の断面形状であることを特徴とする、請求項2に記載のモータステータ。
【請求項5】
前記コイルは前記ボビンに取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載のモータステータ。
【請求項6】
前記コイルの各々における隣接するターンの各々は、互いに取り付けられており、前記コイルの各々における前記各ターンの断面積は同じであることを特徴とする、請求項1に記載のモータステータ。
【請求項7】
3つの導電素子と1つの中立素子とを有する3相バスバーが前記環状のステータコア内に設けられており、前記各導電素子は、プレートと、接続端と、4つの溶接端とを有し、前記溶接端は、前記コイルのうちの1つの前記金属ワイヤの端のうちの1つにそれぞれ接続されていることを特徴とする、請求項1に記載のモータステータ。
【請求項8】
各金属ワイヤの幅が、一端から他端に徐々に増大しており、それによって、前記各コイルの断面形状は台形であることを特徴とする、請求項1に記載のモータステータ。
【請求項9】
前記コイルの各々は、前記歯部分の各々の2つのスロットの容量の80%を占有することを特徴とする、請求項1に記載のモータステータ。
【請求項10】
前記歯部分の各々は、楔バックル構造によって前記環状のステータコアに固定されていることを特徴とする、請求項1に記載のモータステータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、モータステータに関し、より詳細には、サイズが小さく、コイル充填率を最大限に高めることによって電力を増大できるモータステータに関する。
【背景技術】
【0002】
ここ数年のモータ技術の急速な発展に起因して、モータの開発は、小型かつ高電力設計の傾向にある。したがって、この傾向に対応するために、ステータ構造を再設計する必要がある。一般的に、ステータにおけるコイル充填率が高くなるほど、生成される磁界が強くなり、電力出力が高くなる。
【0003】
現在の技術的発展を考慮すると、コイルの巻回密度が低く、ステータ構造におけるコイル巻回を増大させるために、対応するスロットを拡大しなければならず、これは、モータの全体的なサイズ及び重量の増大につながる。したがって、モータをより小さいサイズに維持すると同時により高い電力で出力する方法が、現在の技術において改善される必要がある課題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した欠点に基づいて、本開示の目的は、モータステータ、特に、小さいサイズと、電力を増大できる最大のコイル充填率とを有するモータステータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の目的に従って、モータステータであって、環状のステータコアと、環状のステータコアの内側面において離間しているとともに、環状のステータコアの中心に向かって突出した複数の歯部分とを備え、歯部分の各々は、歯部分の2つの側面の各々に形成されたスロットを有し、歯部分の各々はコイル巻回を有し、コイルの一部が、歯部分の各々の2つのスロット内に位置付けられている、モータステータが提供される。ここで、コイルの各々と歯部分の各々との間にボビンが設けられており、コイルの各々は、ボビンの周りに金属ワイヤを複数回巻回することによって形成され、金属ワイヤの厚さは、一端から他端に徐々に減少する。
【0006】
ここで、ボビンは、内側ガイドフレームと外側ガイドフレームとを有し、これらはともに、底部プレートと、底部プレートから一方の側に向かって突出した、底部プレート上に配置された側部プレートとを有し、側部プレートは底部プレートと垂直に配置されている。
【0007】
好ましくは、内側及び外側ガイドフレームはともに、T字形の断面形状である。
【0008】
好ましくは、コイルはボビンに取り付けられている。
【0009】
好ましくは、コイルの各々における隣接するターンの各々は、互いに取り付けられており、コイルの各々における各ターンの断面積は同じである。
【0010】
好ましくは、3つの導電素子と1つの中立素子とを有する、3相バスバーも環状のステータコア内に設けられており、各導電素子は、プレートと、接続端と、4つの溶接端とを有し、溶接端は、コイルのうちの1つの金属ワイヤの端のうちの1つにそれぞれ接続されている。
【0011】
好ましくは、各コイルの断面形状は、台形である。
【0012】
好ましくは、各金属ワイヤの幅が、一端から他端に徐々に増大しており、それによって、各コイルの断面プロファイルは台形の形状である。
【0013】
好ましくは、コイルの各々は、歯部分の各々の2つのスロットの容量の80%を占有する。
【0014】
好ましくは、歯部分の各々は、楔バックル構造によって環状のステータコアに固定されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本開示の一実施形態の概略図である。
図2】本開示の一実施形態の断面図である。
図3図2の部分拡大図である。
図4】本開示の実施形態の歯部分、ボビン及びコイルの構成要素の分解図である。
図5】本開示の実施形態の構成要素の分解図である。
図6】本開示のコイルの上面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示によって達成される実施態様、構造及び効果の特定の様態を明確に説明するために、以下の実施形態を提供し、図面を用いて説明する。
【0017】
以下の記載は、内側としての、モータステータ100の円の中心付近の環状のステータコア10の表面を基にしている。
上及び下、左及び右等の向きの記載は、当業者の共通の知識に従うように、構成要素の相対的な関係を示すために専ら使用される。
図1図6を参照する。環状のステータコア10と、環状のステータコア10の内側面において離間しているとともに、環状のステータコア10の中心に向かって突出した複数の歯部分20と、歯部分20の各々の2つの側面の各々に形成されたスロット15とを備える、モータステータ100が示されている。歯部分20の各々は、その周りに巻回されたコイル30を有し、コイル30の一部が、歯部分20の各々の2つのスロット15内に位置付けられており、歯部分20の各々は、楔バックル構造21によって環状のステータコア10に固定されている。
【0018】
ここで、コイル30の各々と歯部分20の各々との間にボビン40が設けられており、コイル30の各々は、ボビン40の周りに金属ワイヤ31を内側から外側に複数回巻回することによって形成され、コイル30が形成された後、金属ワイヤ31の端は上方に延在する。この実施形態では、金属ワイヤ31は、平坦な銅ワイヤである。別の実施形態では、金属ワイヤ31は、最初にコイル30に形成され、次にボビン40上に設置できる。
【0019】
図3を参照する。金属ワイヤ31は、内側から外側に複数回巻回されてコイル30を形成している。金属ワイヤ31の厚さTは、一端30aから他端30bに徐々に減少しており、一方で、幅Wは、一端30aから他端30bに徐々に増大しており、これによって、各コイルの断面積が同じになっている(すなわち、各ターン(T1,T2,T3...Tn)の幅Wを乗じた厚さTの値は同じである)。これによって、コイル30を通って電流が流れるときの不均一な電流分布を回避する。
一方、別の実施形態では、コイルが、コイルの各ターン(T1,T2,T3...Tn)に関して同じ厚さを有し、コイルの異なるターン(T1,T2,T3...Tn)に関して異なる厚さを有し、コイルの異なるターン(T1,T2,T3...Tn)の厚さが徐々に減少することも可能である。
【0020】
さらに、ボビン40は、内側ガイドフレーム41と外側ガイドフレーム42とを含む。これらはともに、底部プレート41a、42aと、底部プレート41a、42aに設けられた側部プレート41b、42bとを有し、側部プレート41b、42bは、一方の側に向かって突出することで、底部プレート41a、42a及び側部プレート41b、42bは垂直に配置されている。これによって、内側ガイドフレーム41及び外側ガイドフレーム42の断面プロファイルは、全てT字形状となる(図2及び図4を参照のこと)。
この実施形態では、側部プレート41b、42bの構造に起因して、底部プレート41a、42aは、コイル30をボビン40に取り付けできるように垂直に配置される。加えて、ボビン40の設置は、コイル30の配置を容易にし、それによって、隣接するコイル30の各ターン(T1,T2,T3...Tn)を、互いに取り付けて、コイル30の巻回の密度を増大できる。
この実施形態では、各コイル30は、歯部分20の各々の2つのスロット15の容量の80%を占有する。これによって、スロット15の容積利用を増大させるとともに、当該分野の従来技術におけるようにより多くのコイルを歯部分の周りに巻回する必要がなく、モータステータ100を最小化することを可能にする。
【0021】
他方で、モータの単位体積当たりの電力密度を計算するときには、(環状のステータコア10及びコイル30のサイズを含む)モータステータ100全体のサイズを考慮するべきであり、これによって、コイル30がボビン40に取り付けられると、本開示のコイル30の巻回密度はより高くなり、コイル30のサイズは従来技術と比較して低減される。これによって、モータステータ100の全体的なサイズを低減でき、かつ単位体積当たりの電力密度は増大される。加えて、コイル30のサイズが低減されると、金属ワイヤ31において使用される銅の量も低減でき、これによって製造コストを低減できる。
【0022】
さらに、モータステータ100は、環状のステータコア10の一方の側に設けられた3相バスバー50も有する。3相バスバー50は、3つの導電素子50aと1つの中立素子54とを有し、導電素子50aの各々は、プレート52と、接続端51と、4つの溶接端53とを有する。
接続端51は、プレート52から上側に向かって延在し、4つの溶接端53は、一端においてコイル30の金属ワイヤ31のうちの1つに接続されており、溶接端53に接続されていない金属ワイヤ31の他端は、中立素子54に接続されている。3相バスバー50のプレート52、接続端51及び溶接端53の配置、並びに、3相バスバー50とコイル30との間の接続の構造は、当該技術分野において十分に確立されているため、詳述する必要がない。
【0023】
本開示は、主に、体積を最小限に抑える効果を達成するために、スロット15内のコイル30の占有率を増大させるように、ボビン40に取り付けられたコイル30を有し、互いに取り付けられる隣接するコイル30の各ターン(T1,T2,T3...Tn)を有することに関する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6