(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088226
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
B65D 41/34 20060101AFI20240625BHJP
【FI】
B65D41/34 100
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203290
(22)【出願日】2022-12-20
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-05-08
(71)【出願人】
【識別番号】516011486
【氏名又は名称】扶桑産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100211052
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 大輔
(72)【発明者】
【氏名】西野 公宏
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB01
3E084AB10
3E084BA01
3E084CA01
3E084DA01
3E084DB13
3E084FC12
3E084GA01
3E084GB01
3E084KA13
3E084LA01
3E084LA17
3E084LB02
3E084LB07
3E084LC01
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】リングを残すことなく開封状態を識別可能な容器を提供する。
【解決手段】
一態様に係る容器は、軸線方向に延在する円筒状の口部を有する容器本体と、口部に着脱自在に装着されるキャップであり、口部を上部から覆う天壁部と口部を側方から囲む側壁部とを含む、該キャップと、を備え、口部は、径方向の外側に突出する突起部を有し、側壁部は、キャップを口部に対して周方向の一方に回転させたときに突起部に接触する段差面と、突起部に段差面が押圧され側壁部が弾性変形したときに段差面に沿って破断される脆弱部とを有する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向に延在する円筒状の口部を有する容器本体と、
前記口部に着脱自在に装着されるキャップであり、前記口部を上部から覆う天壁部と前記口部を側方から囲む側壁部とを含む、該キャップと、
を備え、
前記口部は、径方向の外側に突出する突起部を有し、
前記側壁部は、前記キャップを前記口部に対して周方向の一方に回転させたときに前記突起部に接触する段差面と、前記段差面が前記突起部に押圧され前記側壁部が弾性変形したときに前記段差面に沿って破断される脆弱部とを有する、容器。
【請求項2】
前記側壁部は、前記周方向に連結された複数の分離片を含み、
前記複数の分離片の各々の肉厚は、前記周方向の一端側から他端側に向かうにつれて薄くなっており、
前記複数の分離片の各々の前記一端側の端面が前記段差面を構成する、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記突起部は、前記段差面に接触する接触面を有し、
前記段差面は、前記接触面に対して傾斜している、請求項1に記載の容器。
【請求項4】
前記側壁部は、前記段差面よりも前記天壁部側に設けられ、前記径方向の内側に突出する嵌合凸部を有し、
前記口部の外周面には、セット位置と閉位置との間で前記軸線方向に延在し、前記キャップに前記軸線方向に沿った差込方向に力が加えられたときに前記嵌合凸部をセット位置から閉位置に案内する第1ガイド溝と、前記閉位置と前記閉位置に対して前記周方向にオフセットされた開位置との間で延在し、前記キャップを前記口部に対して前記周方向の一方に回転させたときに前記嵌合凸部を前記閉位置から前記開位置に案内する第2ガイド溝と、前記セット位置と前記閉位置との間に設けられ、前記セット位置から前記閉位置への前記嵌合凸部の移動を許容し、前記閉位置から前記セット位置への前記嵌合凸部の移動を規制する引抜規制部と、が形成されている、請求項1に記載の容器。
【請求項5】
前記第2ガイド溝の深さは、前記閉位置から前記開位置に近づくにつれて浅くなっている、請求項4に記載の容器。
【請求項6】
前記口部は、前記嵌合凸部を前記セット位置に案内するガイド面を更に有する、請求項4に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、容器に関する。
【背景技術】
【0002】
脱着可能なキャップを有する容器が広く利用されている。例えば、下記特許文献1には、ボトル容器本体と、ボトル容器の口部に装着されるキャップと、連結片を介してキャップの下端に設けられた不正開封防止リングとを備えるボトル容器が記載されている。キャップの開封時にキャップを捻ると、連結片が破断してキャップが開封される。このボトル容器では、連結片が破断されていないことを確認することで当該ボトル容器が未開封であることを識別することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の容器では、ボトルを開封したときに連結片が破断され、不正開封防止リングが容器本体に残る。この種のリングが容器本体に残っていると、容器本体をリサイクルする際に容器本体からリングを取り外す工程が必要となり、リサイクルの工程数が増加する。
【0005】
そこで、本開示は、リングを残すことなく開封状態を識別可能な容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様に係る容器は、軸線方向に延在する円筒状の口部を有する容器本体と、口部に着脱自在に装着されるキャップであり、口部を上部から覆う天壁部と口部を側方から囲む側壁部とを含む、該キャップと、を備え、口部は、径方向の外側に突出する突起部を有し、側壁部は、キャップを口部に対して周方向の一方に回転させたときに突起部に接触する段差面と、突起部に段差面が押圧され側壁部が弾性変形したときに段差面に沿って破断される脆弱部とを有する。
【0007】
上記態様に係る容器は、キャップを回転させたときにキャップの段差面が突起部に押圧され側壁部が弾性変形する。このときに、段差面に沿って脆弱部が破断され、キャップが開栓される。したがって、キャップの脆弱部が破断しているか否かを確認することで、容器の開封状態を識別することができる。
【0008】
一態様では、側壁部は、周方向に連結された複数の分離片を含み、複数の分離片の各々の肉厚は、周方向の一端側から他端側に向かうにつれて薄くなっており、複数の分離片の各々の一端側の端面が段差面を構成してもよい。本態様では、突起部に段差面が押圧されたときに、側壁部が弾性変形して段差面に沿って破断され易くなる。
【0009】
一態様では、突起部は、段差面に接触する接触面を有し、段差面は、接触面に対して傾斜していてもよい。段差面を接触面に対して傾斜させることにより、側壁部が弾性変形したときに脆弱部に力が作用しやすくなる。したがって、脆弱部を確実に破断させることができる。
【0010】
一態様では、側壁部は、段差面よりも天壁部側に設けられ、径方向の内側に突出する嵌合凸部を有し、口部の外周面には、セット位置と閉位置との間で軸線方向に延在し、キャップに軸線方向に沿った差込方向に力が加えられたときに嵌合凸部をセット位置から閉位置に案内する第1ガイド溝と、閉位置と閉位置に対して周方向にオフセットされた開位置との間で延在し、キャップを口部に対して周方向の一方に回転させたときに嵌合凸部を閉位置から開位置に案内する第2ガイド溝と、セット位置と閉位置との間に設けられ、セット位置から閉位置への嵌合凸部の移動を許容し、閉位置からセット位置への嵌合凸部の移動を規制する引抜規制部と、が形成されていてもよい。キャップに差込方向に力を加えると、キャップの嵌合凸部が第1ガイド溝に沿ってセット位置から閉位置に案内され、キャップが閉じられる。このとき、引抜規制部によって嵌合凸部が閉位置からセット位置に移動することが規制されるので、意図しないキャップの引き抜きが防止される。一方、キャップを周方向の一方に回転させると、キャップの嵌合凸部が第2ガイド溝に沿って閉位置から開位置に案内され、キャップが開栓される。
【0011】
一態様では、第2ガイド溝の深さは、閉位置から開位置に近づくにつれて浅くなっていてもよい。第2ガイド溝の深さが開位置に近づくにつれて浅くなっていることで、嵌合凸部が開位置に到達したときに、嵌合凸部が第2ガイド溝から外れ、キャップが開栓される。
【0012】
一態様では、口部は、嵌合凸部をセット位置に案内するガイド面を更に有していてもよい。嵌合凸部をセット位置に案内するガイド面を有することで、キャップに差込方向に力を加えたときに、嵌合凸部をガイド位置に容易に移動させることができる。よって、キャップを容易に装着することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の種々の態様によれば、リングを容器本体に残すことなく容器本体の開封状態を識別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】容器本体とキャップとを分離して示す容器の斜視図である。
【
図6】
図1のA-A線に沿った容器の断面図である。
【
図7】容器を開封する手順について説明する図である。
【
図8】キャップを取り外すときの嵌合凸部の動きを示す図である。
【
図9】キャップを装着するときの嵌合凸部の動きを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本開示の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は繰り返さない。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0016】
図1は、一実施形態に係る容器1を示す側面図である。
図1に示すように、容器1は、容器本体2と、当該容器本体2に着脱自在に装着されるキャップ3とを備える。容器本体2は、例えば飲料、ゼリー、アイス等の内容物を収容する。以下の説明では、容器1を使用する者を「使用者」という。典型的には、使用者は、容器本体2の内容物を消費する消費者である。
【0017】
図2は、容器本体2とキャップ3とを分離して示す斜視図である。
図2に示すように、容器本体2は、口部4を有する。口部4は、容器本体2の上部に設けられ、容器本体2に収容された内容物の飲み口として利用される。口部4は、例えば樹脂製のスパウトである。口部4は、軸線AXを中心軸線とする円筒状を呈し、軸線AXに沿った方向(以下、「軸線方向」という。)に延在している。口部4は、容器本体2に収容された内容物を抽出する注出口5を有する。口部4は、容器本体2と一体的に形成されていてもよいし、容器本体2に別体として取り付けられていてもよい。
【0018】
キャップ3は、口部4に対して着脱可能に構成されている。キャップ3は、口部4に取り付けられたときに注出口5を閉鎖し、容器本体2の注出口5から内容物が漏れ出ることを防止する。一方、キャップ3が口部4から取り外されたときに、容器本体2から内容物の注出が可能となる。
【0019】
図3は、一実施形態に係るキャップ3の側面図である。
図4は、キャップ3の下方からの斜視図である。
図3に示すように、キャップ3は、天壁部7及び側壁部8を有する。天壁部7は、円盤状を呈し、キャップ3が口部4に装着されたときに口部4を上部から覆って注出口5を閉鎖する。側壁部8は、軸線CLを中心軸線とする円筒状を呈し、天壁部7の周縁に接続されている。キャップ3の軸線CLが容器本体2の軸線AXに一致するようにキャップ3が口部4に装着されたときに、側壁部8は、口部4を側方から囲み、口部4に係合する。天壁部7及び側壁部8は、樹脂材料によって一体的に成形されている。
【0020】
側壁部8は、側壁下部10及び側壁上部11を有する。側壁下部10及び側壁上部11は、一体的に形成されている。
図4に示すように、側壁下部10は、側壁部8の軸線CL周りに延在する略円環状を呈し、キャップ3の周方向に連結された複数の分離片12を含む。
図4に示す実施形態では、4つの分離片12が周方向に連結され、略円環状の側壁下部10を形成している。複数の分離片12の各々は、一端12a及び他端12bを有し、一端12aと他端12bとの間で軸線CL周りの周方向に延在している。
【0021】
複数の分離片12の各々の肉厚は、周方向の一端12a側から他端12b側に向かうにつれて徐々に薄くなっている。軸線CLから側壁下部10の外周面までのキャップ3の径方向の距離は、周方向において一定である。一方、側壁部8の径方向において、軸線CLと分離片12の一端12aとの間の距離は、軸線CLと分離片12の他端12bとの間の距離よりも小さくなっている。複数の分離片12のうち一つの分離片12の一端12aは、複数の分離片12のうち当該一つの分離片12に隣接する分離片12の他端12bに連結されている。上記のように複数の分離片12が連結されることにより、一つの分離片12の一端12aと当該一つの分離片12に隣接する分離片12の他端12bとの間には、段差面13が形成される。すなわち、分離片12の一端12a側の端面が段差面13を構成する。
図4に示すように、段差面13は、側壁部8の内部に配置され、側壁部8の周方向に向けられている。
【0022】
分離片12の他端12bは、最も肉厚が小さくなっている。したがって、分離片12の他端12bは、分離片12の他の部分に比べて他の部分よりも強度の弱い脆弱部14を構成する。脆弱部14は、複数の分離片12の境界に配置されているともいえる。脆弱部14は、段差面13に沿って形成され、キャップ3の開封の起点となる。
【0023】
側壁上部11は、側壁下部10よりも天壁部7側に配置されている。側壁上部11は、基部15、フランジ部16及び嵌合凸部17を含む。基部15は、軸線CLを中心軸線とする円筒状を呈している。基部15の外径は、側壁下部10の外径よりも小さくなっていてもよい。基部15の上端は天壁部7に連結され、基部15の下端は側壁下部10に連結されている。フランジ部16は、基部21の外周面から径方向の外側に突出している。
【0024】
嵌合凸部17は、段差面13よりも天壁部7側に設けられ、基部15の内周面から径方向の内側に突出している。
図4に示す実施形態では、側壁上部11には、キャップ3の周方向に沿って配列された複数の嵌合凸部17が設けられている。嵌合凸部17は、軸線CLに実質的に直交する平面に沿って形成された上面18と、上面18から下方(天壁部7から離れる方向)に向かうにつれて径方向の外側に位置するように傾斜する傾斜面19と、を有している。嵌合凸部17は、口部4に形成された後述する引抜規制部35と協働して、キャップ3の引き抜きを規制する。
【0025】
図5は、一実施形態に係る口部4の側面図である。口部4は、下筒部20及び上筒部30を有する。以下の説明では、下筒部20から上筒部30に向かう方向を「上方」といい、上筒部30から下筒部20に向かう方向を「下方」という。
図5に示すように、下筒部20は、軸線AXを中心軸線とする略円筒状を呈する基部21と、当該基部21の外周面から径方向の外側に突出する突起部22を有する。
図5に示す実施形態では、下筒部20は、口部4の周方向に配列された複数の突起部22を備えている。
【0026】
図6は、
図1のA-A線に沿った容器1の断面図である。
図6に示すように、キャップ3を口部4に対して軸線AXの周方向の一方(
図6では、反時計回り。以下、「開栓方向」という)に回転させたときに、キャップ3の複数の段差面13は、複数の突起部22にそれぞれ接触する。複数の突起部22の各々は、口部4の周方向に向けられ、段差面13に接触する接触面23を有する。複数の突起部22は、キャップ3を開栓方向に回転させたときにキャップ3の段差面13に接触して意図しないキャップ3の開栓を防止する。なお、
図6に示すように、キャップ3の段差面13は、突起部22の接触面23に対して傾斜していてもよい。
【0027】
図5に示すように、上筒部30は、軸線方向において、下筒部20よりも注出口5側に配置されている。上筒部30は、軸線AXを中心軸線とする円筒形状を有する基部31と、基部31の外周面に設けられたガイド部32とを有している。ガイド部32は、基部31の外周面から口部4の径方向に突出している。ガイド部32は、キャップ3をスムーズに着脱できるようにキャップ3の嵌合凸部17を案内する。
【0028】
図5に示すように、ガイド部32は、複数の第1ガイド溝33、複数の第2ガイド溝34及び複数の引抜規制部35を有している。複数の第1ガイド溝33、複数の第2ガイド溝34及び複数の引抜規制部35は、口部4の周方向に配列されている。複数の第1ガイド溝33、複数の第2ガイド溝34及び複数の引抜規制部35は、複数の嵌合凸部17の位置に対応した位置に形成されている。なお、ガイド部32は、第1ガイド溝33、第2ガイド溝34及び引抜規制部35を少なくとも1つずつ有していればよい。
【0029】
第1ガイド溝33は、ガイド部32の外周面よりも径方向の内側に窪んでいる。第1ガイド溝33の底面は、基部31に対して面一になっている。第1ガイド溝33は、セット位置P1と閉位置P2との間で軸線方向に延在している。セット位置P1は、口部4にキャップ3を装着するときに、キャップ3の嵌合凸部17がセットされる位置である。閉位置P2は、セット位置P1の下方に配置されている。キャップ3の嵌合凸部17が閉位置P2に配置されたときに、キャップ3の天壁部7が口部4を上部から覆い、注出口5が閉鎖される。容器1が未開封のときにキャップ3の嵌合凸部17は、閉位置P2に配置される。
【0030】
第2ガイド溝34は、ガイド部32の外周面よりも径方向の内側に窪んでいる。第2ガイド溝34の底面は、第1ガイド溝33の底面と面一になっている。第2ガイド溝34は、閉位置P2と開位置P3との間で延在している。開位置P3は、閉位置P2よりも上方で、且つ、口部4の周方向において閉位置P2に対してオフセットされた(ずれた)位置に配置されている。すなわち、第2ガイド溝34は、斜め上方に延在している。キャップ3の嵌合凸部17が開位置P3に配置されたときに、キャップ3が口部4から取り外される。
【0031】
第2ガイド溝34は、キャップ3を口部4に対して開栓方向に回転させたときに、嵌合凸部17を閉位置P2から開位置P3に案内する。第2ガイド溝34の深さ(口部4の径方向におけるガイド部32の外周面から第2ガイド溝34の底面まで距離)は、閉位置P2から開位置P3に近づくにつれて浅くなっている。キャップ3の嵌合凸部17が開位置P3に配置されたときに、嵌合凸部17と第2ガイド溝34との嵌合が解除され、キャップ3が口部4から取り外される。なお、口部4の周方向において、開位置P3は、閉位置P2に対して180°以下、90°以下、又は、45°以下の角度だけオフセットされた位置であってもよい。この場合には、キャップ3を開栓方向に180°以下の小さな回転角だけ回転させることで、口部4からキャップ3を取り外すことができる。
【0032】
引抜規制部35は、セット位置P1と閉位置P2との間に設けられ、第1ガイド溝33の底面から径方向の外側に突出している。引抜規制部35は、下方に向かうにつれて径方向の外側に位置するように傾斜する傾斜面36と、傾斜面36の下端に接続し、軸線AXに実質的に直交する平面に沿って延在する下面37を有している。
【0033】
キャップ3の嵌合凸部17が閉位置P2に配置されている場合には、引抜規制部35の下面37は嵌合凸部17の上面18に対面して配置される。したがって、キャップ3に上方へ引き抜く力が加えられた場合には、嵌合凸部17の上面18が引抜規制部35の下面37に接触し、閉位置P2からセット位置P1へ嵌合凸部17の移動が規制される。一方、キャップ3の嵌合凸部17がセット位置P1に配置された状態でキャップ3に下方(差込方向)へ差し込む力が加えられた場合には、嵌合凸部17の傾斜面19が引抜規制部35の傾斜面36に対して摺動し、嵌合凸部17が引抜規制部35を乗り越えて閉位置P2に移動する。すなわち、引抜規制部35は、セット位置P1から閉位置P2への嵌合凸部17の移動を許容し、閉位置P2からセット位置P1への嵌合凸部17の移動を規制する。
【0034】
ガイド部32は、ガイド面38を更に有していてもよい。
図5に示すように、ガイド面38は、側面視において頂部41及び裾部42を有する山型形状を有し、頂部41から裾部42に近づくにつれて下方に向かうように傾斜している。裾部42は、セット位置P1に隣接している。ガイド面38は、口部4にキャップ3が装着されたときに嵌合凸部17をセット位置P1に案内する。
【0035】
以下、
図7(a)~(c)を参照して、未開封の容器1を開封する手順について説明する。上述したように、キャップ3の段差面13は、キャップ3を開栓方向に回転させたときに、口部4の突起部22に接触する位置に形成されている。したがって、容器1を開封するために、使用者がキャップ3を開栓方向に捻ると、
図7(a)に示すように、キャップ3の段差面13が口部4の突起部22の接触面23に接触する。このとき、キャップ3の段差面13は、突起部22の接触面23に対して傾斜している。
【0036】
キャップ3の段差面13が口部4の突起部22に接触した状態で、使用者がキャップ3を開栓方向に強く捻ると、段差面13が接触面23に押圧される。これに伴って、
図7(b)に示すように、段差面13が接触面23に対して平行に近づくように複数の分離片12が弾性変形する。このとき、肉厚の薄い脆弱部14に曲げ応力が集中し、脆弱部14を起点として側壁下部10が折れ曲がる。使用者がキャップ3を更に開栓方向に強く捻ると、
図7(c)に示すように、段差面13が接触面23に対して密着するように複数の分離片12が更に弾性変形する。これに伴って、脆弱部14を起点として側壁下部10が更に折り曲げられ、脆弱部14が段差面13に沿って破断される。その結果、複数の分離片12が互いに分離される。
【0037】
複数の分離片12が互いに分離されることにより、キャップ3の側壁下部10には段差面13に沿って軸線方向に延びる切れ目が形成される。使用者は、この切れ目を視認することで容器1が開封済みであることを識別することができる。
【0038】
脆弱部14が開封された後に、使用者がキャップ3を開栓方向に更に捻ると、複数の分離片12が口部4の突起部22を乗り越え、キャップ3が開栓方向に回転する。すなわち、脆弱部14が破断されることにより、キャップ3が開栓方向に回転可能となる。
【0039】
図8に示すように、キャップ3が開栓方向に回転すると、閉位置P2に配置されたキャップ3の嵌合凸部17が、第2ガイド溝34に沿って開位置P3へ移動する(
図8の矢印D1参照)。第2ガイド溝34の深さは、閉位置P2から開位置P3に近づくにつれて浅くなっているので、嵌合凸部17が開位置P3に到達すると、嵌合凸部17と第2ガイド溝34との嵌合が解除され、キャップ3が口部4から外れ、注出口5が開放される。
【0040】
一方、取り外されたキャップ3を口部4に装着する場合には、
図9に示すように、キャップ3を口部4に被せることで、嵌合凸部17を口部4のガイド面38に押し当てる。この状態で使用者がキャップ3を下方に押圧すると、嵌合凸部17がガイド面38に沿って頂部41から裾部42に向けてスライドし、嵌合凸部17がセット位置P1に案内される(
図9の矢印D2参照)。
【0041】
嵌合凸部17がセット位置P1に配置された状態で、使用者がキャップ3を下方に押圧すると、嵌合凸部17が第1ガイド溝33に沿って案内される(
図9の矢印D3参照)。このとき、嵌合凸部17の傾斜面19が引抜規制部35の傾斜面36に対して摺動し、嵌合凸部17が引抜規制部35を乗り越える。これにより、キャップ3の嵌合凸部17がセット位置P1から閉位置P2に移動する。その結果、キャップ3が口部4に装着され、注出口5が閉鎖される。
【0042】
一方、嵌合凸部17が閉位置P2に配置されているときにキャップに3上方に向かう力が作用した場合には、嵌合凸部17の上面18が引抜規制部35の下面37に接触することで、キャップ3の引き抜きが規制される。したがって、意図しないキャップ3の引き抜きが防止される。
【0043】
以上説明したように、一実施形態に係る容器1では、キャップ3を回転させたときにキャップ3の段差面13が突起部22に押圧され、側壁部8が弾性変形する。このとき、段差面13に沿って脆弱部14が破断され、キャップ3が開栓される。したがって、容器本体2にリングを残すことなく、キャップ3の脆弱部14が破断しているか否かを確認することで容器1が未開封であるか否かを識別することができる。
【0044】
脆弱部14が開封された後に、キャップ3を開栓方向に更に捻ると、複数の分離片12が口部4の突起部22を乗り越え、キャップ3が開栓方向に回転する。ここで、複数の分離片12が突起部22を乗り越えるときに音が鳴ることがある。したがって、キャップを数回転させて口部から取り外す場合には、複数の分離片12が突起部22を乗り越えるたびに音が鳴り、使用者に煩わしさを感じるさせることがある。これに対し、一実施形態に係る容器1では、キャップ3を開栓方向に小さな回転角だけ回転させることで、キャップ3を取り外すことができるので、使用者の煩わしさを抑制することができる。キャップ3は、小さな回転角で開栓可能なワンタッチキャップである。
【0045】
以上、種々の実施形態に係る容器について説明してきたが、上述した実施形態に限定されることなく発明の要旨を変更しない範囲で種々の変形態様を構成可能である。例えば、上述した実施形態では、キャップ3が複数の段差面13及び脆弱部14を有し、口部4が複数の突起部22を有しているが、段差面13、脆弱部14及び突起部22は少なくとも1つ設けられていればよい。なお、上述した種々の実施形態は、矛盾のない範囲で組み合わせることが可能である。
【0046】
以下に列挙する条項を参照して、本発明を説明する。なお、本発明は、具体的な列挙がなくても、以下の条項を任意の組み合わせで含んでいてもよい。
【0047】
1. 軸線方向に延在する円筒状の口部を有する容器本体と、
前記口部に着脱自在に装着されるキャップであり、前記口部を上部から覆う天壁部と前記口部を側方から囲む側壁部とを含む、該キャップと、
を備え、
前記口部は、径方向の外側に突出する突起部を有し、
前記側壁部は、前記キャップを前記口部に対して周方向の一方に回転させたときに前記突起部に接触する段差面と、前記段差面が前記突起部に押圧され前記側壁部が弾性変形したときに前記段差面に沿って破断される脆弱部とを有する、容器。
【0048】
2. 前記側壁部は、前記周方向に連結された複数の分離片を含み、
前記複数の分離片の各々の肉厚は、前記周方向の一端側から他端側に向かうにつれて薄くなっており、
前記複数の分離片の各々の前記一端側の端面が前記段差面を構成する、条項1に記載の容器。
【0049】
3. 前記突起部は、前記段差面に接触する接触面を有し、
前記段差面は、前記接触面に対して傾斜している、条項1又は2に記載の容器。
【0050】
4. 前記側壁部は、前記段差面よりも前記天壁部側に設けられ、前記径方向の内側に突出する嵌合凸部を有し、
前記口部の外周面には、セット位置と閉位置との間で前記軸線方向に延在し、前記キャップに前記軸線方向に沿った差込方向に力が加えられたときに前記嵌合凸部をセット位置から閉位置に案内する第1ガイド溝と、前記閉位置と前記閉位置に対して前記周方向にオフセットされた開位置との間で延在し、前記キャップを前記口部に対して前記周方向の一方に回転させたときに前記嵌合凸部を前記閉位置から前記開位置に案内する第2ガイド溝と、前記セット位置と前記閉位置との間に設けられ、前記セット位置から前記閉位置への前記嵌合凸部の移動を許容し、前記閉位置から前記セット位置への前記嵌合凸部の移動を規制する引抜規制部と、が形成されている、条項1~3の何れか一項に記載の容器。
【0051】
5. 前記第2ガイド溝の深さは、前記閉位置から前記開位置に近づくにつれて浅くなっている、条項4に記載の容器。
【0052】
6. 前記口部は、前記嵌合凸部を前記セット位置に案内するガイド面を更に有する、条項4又は5に記載の容器。
【符号の説明】
【0053】
1…容器、3…キャップ、4…口部、7…天壁部、8…側壁部、12…分離片、13…段差面、14…脆弱部、17…嵌合凸部、22…突起部、23…接触面、33…第1ガイド溝、34…第2ガイド溝、35…引抜規制部、38…ガイド面、P1…セット位置、P2…閉位置、P3…開位置。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向に延在する円筒状の口部を有する容器本体と、
前記口部に着脱自在に装着されるキャップであり、前記口部を上部から覆う天壁部と前記口部を側方から囲む側壁部とを含む、該キャップと、
を備え、
前記口部は、径方向の外側に突出する突起部を有し、
前記天壁部及び前記側壁部は、樹脂材料によって一体的に成形され、
前記側壁部は、前記キャップを前記口部に対して周方向の一方に回転させたときに前記突起部に接触する段差面と、前記段差面が前記突起部に押圧され前記側壁部が弾性変形したときに前記段差面に沿って前記軸線方向に破断される脆弱部とを有し、
前記突起部は、前記段差面に接触する接触面を有し、
前記段差面は、前記接触面に対して傾斜している、容器。
【請求項2】
前記側壁部は、前記周方向に連結された複数の分離片を含み、
前記複数の分離片の各々の肉厚は、前記周方向の一端側から他端側に向かうにつれて薄くなっており、
前記複数の分離片の各々の前記一端側の端面が前記段差面を構成する、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記側壁部は、前記段差面よりも前記天壁部側に設けられ、前記径方向の内側に突出する嵌合凸部を有し、
前記口部の外周面には、セット位置と閉位置との間で前記軸線方向に延在し、前記キャップに前記軸線方向に沿った差込方向に力が加えられたときに前記嵌合凸部をセット位置から閉位置に案内する第1ガイド溝と、前記閉位置と前記閉位置に対して前記周方向にオフセットされた開位置との間で延在し、前記キャップを前記口部に対して前記周方向の一方に回転させたときに前記嵌合凸部を前記閉位置から前記開位置に案内する第2ガイド溝と、前記セット位置と前記閉位置との間に設けられ、前記セット位置から前記閉位置への前記嵌合凸部の移動を許容し、前記閉位置から前記セット位置への前記嵌合凸部の移動を規制する引抜規制部と、が形成されている、請求項1に記載の容器。
【請求項4】
前記第2ガイド溝の深さは、前記閉位置から前記開位置に近づくにつれて浅くなっている、請求項3に記載の容器。
【請求項5】
前記口部は、前記嵌合凸部を前記セット位置に案内するガイド面を更に有する、請求項3に記載の容器。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向に延在する円筒状の口部を有する容器本体と、
前記口部に着脱自在に装着されるキャップであり、前記口部を上部から覆う天壁部と前記口部を側方から囲む側壁部とを含む、該キャップと、
を備え、
前記口部は、径方向の外側に突出する突起部を有し、
前記天壁部及び前記側壁部は、樹脂材料によって一体的に成形され、
前記側壁部は、側壁下部と、前記側壁下部よりも前記天壁部側に配置された側壁上部とを有し、
前記側壁下部は、周方向に連結された複数の分離片を含み、
前記複数の分離片の各々は、前記周方向における前記複数の分離片の一端に配置され、前記キャップを前記口部に対して前記周方向の一方である開栓方向に回転させたときに前記突起部に接触する段差面と、前記周方向における前記複数の分離片の他端に配置され、前記段差面が前記突起部に押圧され前記側壁部が弾性変形したときに前記段差面に沿って前記軸線方向に破断され、前記複数の分離片を前記周方向に分離する脆弱部とを有し、
前記突起部は、前記段差面に接触する接触面を有し、
前記段差面は、前記接触面に対して傾斜しており、
前記キャップを前記開栓方向に回転させて前記複数の分離片が前記周方向に分離されたときに、前記複数の分離片は前記側壁上部に接続されている、容器。
【請求項2】
前記複数の分離片の各々の肉厚は、前記周方向の一端側から他端側に向かうにつれて薄くなっている、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記側壁部は、前記段差面よりも前記天壁部側に設けられ、前記径方向の内側に突出する嵌合凸部を有し、
前記口部の外周面には、セット位置と閉位置との間で前記軸線方向に延在し、前記キャップに前記軸線方向に沿った差込方向に力が加えられたときに前記嵌合凸部をセット位置から閉位置に案内する第1ガイド溝と、前記閉位置と前記閉位置に対して前記周方向にオフセットされた開位置との間で延在し、前記キャップを前記口部に対して前記周方向の一方に回転させたときに前記嵌合凸部を前記閉位置から前記開位置に案内する第2ガイド溝と、前記セット位置と前記閉位置との間に設けられ、前記セット位置から前記閉位置への前記嵌合凸部の移動を許容し、前記閉位置から前記セット位置への前記嵌合凸部の移動を規制する引抜規制部と、が形成されている、請求項1に記載の容器。
【請求項4】
前記第2ガイド溝の深さは、前記閉位置から前記開位置に近づくにつれて浅くなっている、請求項3に記載の容器。
【請求項5】
前記口部は、前記嵌合凸部を前記セット位置に案内するガイド面を更に有する、請求項3に記載の容器。