(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088235
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】クレーンシステム、吊荷位置検出方法及び吊荷位置検出プログラム
(51)【国際特許分類】
B66C 13/46 20060101AFI20240625BHJP
B66C 13/00 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
B66C13/46
B66C13/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203308
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】中森 啓太
(72)【発明者】
【氏名】呉 春男
(72)【発明者】
【氏名】山本 泰広
【テーマコード(参考)】
3F204
【Fターム(参考)】
3F204AA04
3F204BA02
3F204DB04
3F204DC08
3F204DE10
(57)【要約】
【課題】クレーンの吊荷の位置を好適に検出する。
【解決手段】クレーン1は、吊っている吊荷H及びその周囲を表示する表示部34と、ユーザ操作に基づいて、表示部34の表示内容に対して吊荷Hの位置に関する情報を入力する入力部33と、入力部33により入力された情報に基づいて、吊荷Hの位置を特定する制御部38と、を備えている。こうして、ユーザにより吊荷Hの位置に関する情報が補助的に入力されることにより、吊荷Hの位置を好適に検出することができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレーンの吊荷及びその周囲を表示する表示部と、
ユーザ操作に基づいて、前記表示部の表示内容に対して前記吊荷の位置に関する情報を入力する入力部と、
前記入力部により入力された情報に基づいて、前記吊荷の位置を特定する特定部と、
を備えるクレーンシステム。
【請求項2】
前記入力部により入力される情報は、前記吊荷の大きさに関する情報を含む、
請求項1に記載のクレーンシステム。
【請求項3】
前記入力部は、前記表示部に表示された前記吊荷を囲むユーザ操作により、前記吊荷の大きさに関する情報を入力可能である、
請求項2に記載のクレーンシステム。
【請求項4】
前記表示部は、前記吊荷の候補を少なくとも1つ表示し、
前記入力部は、前記候補のうちの1つを選択するユーザ操作により、前記吊荷の位置に関する情報を入力可能である、
請求項1に記載のクレーンシステム。
【請求項5】
前記入力部により入力された情報に基づいて、前記吊荷の候補を少なくとも1つ表示する第2表示部と、
前記第2表示部の表示内容に対し、前記候補のうちの1つを選択するユーザ操作により、前記吊荷の位置に関する情報を入力する第2入力部と、
を備え、
前記特定部は、前記第2入力部により入力された情報に基づいて、前記吊荷の位置を特定する、
請求項1に記載のクレーンシステム。
【請求項6】
前記表示部は、前記入力部の少なくとも一部を兼ねるタッチパネルである、
請求項1に記載のクレーンシステム。
【請求項7】
クレーンシステムの制御部が、
クレーンの吊荷及びその周囲を表示する表示工程と、
ユーザ操作に基づいて、前記表示工程の表示内容に対して前記吊荷の位置に関する情報を入力する入力工程と、
前記入力工程で入力された情報に基づいて、前記吊荷の位置を特定する特定工程と、
を実行する、
吊荷位置検出方法。
【請求項8】
表示部及び入力部を備えるコンピュータを、
クレーンの吊荷及びその周囲を前記表示部に表示させる表示制御手段、
前記入力部へのユーザ操作に基づいて、前記表示部の表示内容に対して前記吊荷の位置に関する情報を入力する入力制御手段、
前記入力部により入力された情報に基づいて、前記吊荷の位置を特定する特定手段、
として機能させる、
吊荷位置検出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーンシステム、吊荷位置検出方法及び吊荷位置検出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クレーンに吊られている吊荷の位置を検出し、この位置情報をクレーン本体の制御等に用いる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。吊荷の位置の検出には、検出ターゲットとしてのマーカを吊荷又はフックに取り付ける手法が一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、マーカを用いる手法は、周囲の環境などに対応した汎用的なマーカ自体の作成が困難であるなどして、誤検出の可能性が高い。
【0005】
本発明は、クレーンの吊荷の位置をより好適に検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、クレーンシステムであって、
クレーンの吊荷及びその周囲を表示する表示部と、
ユーザ操作に基づいて、前記表示部の表示内容に対して前記吊荷の位置に関する情報を入力する入力部と、
前記入力部により入力された情報に基づいて、前記吊荷の位置を特定する特定部と、
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、クレーンの吊荷の位置を好適に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】実施形態に係るクレーンの概略の機能構成を示すブロック図である。
【
図3】操作支援処理の流れを示すフローチャートである。
【
図4】操作支援処理における表示部の表示例を示す図である。
【
図5】操作支援処理の変形例1における表示部の表示例を示す図である。
【
図6】操作支援処理の変形例1における表示部の表示例を示す図である。
【
図7】操作支援処理の変形例2における表示部の表示例を示す図である。
【
図8】実施形態の変形例に係るクレーンの概略の機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の各実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
図1は、本実施形態に係るクレーン1の側面図である。
この図に示すように、クレーン1は、いわゆる移動式のクローラクレーンである。具体的に、クレーン1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3とを含む。
【0011】
上部旋回体3の前側には、ブーム4が起伏可能に取り付けられている。上部旋回体3の後部には、ブーム4及び吊荷Hとの重量バランスをとるカウンタウエイト5が取付けられている。
上部旋回体3の右側前部には、オペレータが着座してクレーン1の操縦を行うキャビン6が配置されている。
【0012】
ブーム4の起伏動作は、図示しない起伏ウインチによるワイヤーロープ41の巻き取り又は巻き出しにより行われる。
ブーム4の先端(上端)には巻上ロープ42の一端がフック43に接続されており、当該フック43がブーム4の先端から吊下されている。巻上ロープ42の他端は上部旋回体3上の図示しない巻上ウインチに巻回されており、巻上ウインチの駆動によってフック43が昇降する。
【0013】
図2は、クレーン1の概略の機能構成を示すブロック図である。
この図に示すように、クレーン1は、上記構成のほか、駆動部31、運転操作部32、入力部33、表示部34、通信部35、撮像カメラ36、記憶部37、制御部38を備える。
【0014】
駆動部31は、クレーン1の各部を動作させる駆動源であり、上述した起伏ウインチや巻上ウインチのほか、各種モータやアクチュエータ等を含む。
運転操作部32は、オペレータが上部旋回体3の旋回やブーム4の起伏等の各種運転を行うための操作手段である。運転操作部32は、例えばハンドルやペダル、レバー、各種ボタン等を含み、これらの操作内容に応じた操作信号を制御部38に出力する。
入力部33は、オペレータがクレーン1に対して運転操作以外の操作入力を行うものである。入力部33は、オペレータが操作して各種情報等を入力可能であり、その操作内容に応じた入力信号を制御部38に出力する。入力部33は、本発明に係る入力部及び第2入力部に相当する。
【0015】
表示部34は、例えば液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイその他のディスプレイであり、制御部38から入力される表示信号に基づいて各種情報を表示する。表示部34は、キャビン6内に配置され、オペレータに対して各種情報を提示する。なお、本実施形態の表示部34は、特に限定はされないが、入力部33の少なくとも一部を兼ねるタッチパネルとなっている(
図4等参照)。表示部34は、本発明に係る表示部及び第2表示部に相当する。
通信部35は、例えば外部の情報端末(例えば
図8の制御端末50)等との間で各種情報を送受信可能な通信デバイスである。
【0016】
撮像カメラ36は、ブームトップ(ブーム4の先端(上端))に下方向きに設置された撮像手段である(
図1参照)。撮像カメラ36は、クレーン1(フック43)に吊られている吊荷H及びその周囲を上方から撮影し、取得した画像情報を制御部38に出力する。
【0017】
記憶部37は、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等により構成されるメモリであり、各種のプログラム及びデータを記憶するとともに、制御部38の作業領域としても機能する。本実施形態の記憶部37は、後述の操作支援処理(
図3参照)を実行するための操作支援プログラム370を予め記憶している。
制御部38は、例えばCPU(Central Processing Unit)等により構成され、クレーン1各部の動作を制御する。制御部38は、ECU(Electronic Control Unit)の機能を含み、上部旋回体3に配置される。具体的に、制御部38は、オペレータの操作入力等に基づいて駆動部31を動作させたり、記憶部37に予め記憶されているプログラムを展開し、展開されたプログラムと協働して各種処理を実行したりする。
【0018】
[操作支援処理]
続いて、オペレータの運転操作を支援する操作支援処理について説明する。
図3は、操作支援処理の流れを示すフローチャートであり、
図4は、操作支援処理における表示部34の表示例を示す図である。なお、
図4では、表示部34が入力部33の一部を兼ねるタッチパネルであり、オペレータ(ユーザ)がタッチペンTで入力操作を行う場合を例示する。
【0019】
操作支援処理は、吊荷Hの位置を捕捉(トラッキング)してクレーン1の制御に用いることによってオペレータの操作を支援する処理である。この操作支援処理は、例えばオペレータの実行操作により制御部38が操作支援プログラム370を読み出して展開することで実行される。
【0020】
図3に示すように、操作支援処理が実行されると、まず制御部38は、フック43で吊荷Hを持ち上げて、吊り下げられた状態とする(ステップS1)。
【0021】
吊荷Hが持ち上げられると、制御部38は、フック43に吊られている吊荷H及びその周囲をブームトップの撮像カメラ36で撮影し、その画像(映像)Gを表示部34に表示させる(ステップS2)。
なお、撮影やその画像表示は吊荷Hの吊下以前に開始していてもよい。また、撮影される吊荷Hの『周囲』の範囲は特に限定されない。取得される画像Gは、実質的に吊荷Hが含まれるもの(例えば、少なくとも吊荷Hの主要部を含むもの)であればよい。
【0022】
次に、制御部38は、オペレータ(ユーザ)の操作に基づいて、吊荷Hの位置に関する情報として、吊荷Hを含む吊荷範囲Dを入力する(ステップS3)。
このステップでは、例えば
図4(a)に示すように、オペレータは、入力部33を兼ねるタッチパネルである表示部34に表示された画像Gのうち、吊荷Hを含む吊荷範囲Dを指定する。この場合、吊荷範囲Dには、吊荷Hの位置の情報だけでなく、吊荷Hの形状及び大きさに関する情報が含まれる。
本実施形態では、吊荷範囲Dとして、後述のステップS4で画像処理を行う処理範囲D1が指定される。
図4(a)の例では、吊荷Hの周囲を囲う円形の処理範囲D1がタッチペンTで指定される。
【0023】
次に、制御部38は、ステップS3で入力された吊荷Hの位置に関する吊荷範囲Dに基づいて、吊荷Hの位置を特定する(ステップS4)。
本実施形態では、ステップS3で指定された吊荷範囲D(処理範囲D1)と、これに対応する画像情報とに基づいて、処理範囲D1に含まれる吊荷Hの位置が特定(算出)される。具体的に、制御部38は、処理範囲D1内の画像部分を画像処理(エッジ処理等)することにより、吊荷Hの特徴量(色や形状等)を抽出して吊荷Hを特定する。これにより、画像G内での吊荷Hの位置(形状及び大きさ含む)が求められる。撮像カメラ36の位置や画角等は既知であるため、その画像G内での吊荷Hの位置から、クレーン1における吊荷Hの相対位置が得られる。
ここでは、制御部38は、例えば
図4(b)に示すように、処理範囲D1内を反転表示させるとともに、抽出した吊荷Hのエッジを強調表示(図では太線表示)させる。そして、制御部38は、抽出した吊荷Hが適切かの確認をオペレータに促すメッセージM1と、その回答のためのタッチボタンB1とを表示させ、オペレータの了承が得られた場合に吊荷Hの位置を設定する。オペレータの了承が得られなかった場合は、再び画像処理を実行したり、処理を停止してエラーを出力したりする。
なお、制御部38は、一度算出した特徴量を用いて吊荷Hの位置をトラッキングし続け、吊荷Hの位置情報を算出(出力)し続けてもよい。
【0024】
次に、制御部38は、ステップS4で求めた吊荷Hの位置情報に基づいて、クレーン1の動作を制御する(ステップS5)。
なお、吊荷Hの位置情報を用いた制御の内容は特に限定されず、吊荷Hを始点から終点まで移動させる操作を適正に行う場合(例えば吊荷Hの振れを許容範囲に抑えつつより早く終点まで移動させる操作や、障害物を避けて移動させる操作等)に広く適用できる。また、制御の内容によっては、吊荷Hの位置情報は、吊荷Hの形状及び大きさの情報を含んでもよいし、1点の座標の情報(例えば吊荷Hの画像G上(平面視)での重心位置の座標)のみであってもよい。
【0025】
次に、制御部38は、操作支援処理を終了させるか否かを判定し(ステップS6)、終了させないと判定した場合には(ステップS6;No)、上述のステップS2へ処理を移行する。
そして、例えば所定位置への吊荷Hの移動完了等により、操作支援処理を終了させると判定した場合には(ステップS6;Yes)、制御部38は、操作支援処理を終了させる。
【0026】
[本実施形態の技術的効果]
以上のように、本実施形態によれば、ユーザ操作に基づいて、吊荷H及びその周囲が表示された表示部34の表示内容に対して吊荷Hの位置に関する情報(吊荷範囲D)が入力され、この情報に基づいて吊荷Hの位置が特定される。
すなわち、オペレータにより吊荷Hの位置に関する情報が補助的に入力されるため、マーカを用いずにセンシングのみで吊荷Hの位置を検出する場合に比べ、吊荷Hの誤検出を抑制できる。換言すれば、吊荷H又はフック43に取り付けるマーカを用いることなく、吊荷Hの位置検出のロバスト性を向上させることができる。したがって、吊荷Hの位置を好適に検出することができる。
【0027】
[変形例1]
上記実施形態では、操作支援処理のステップS3において、吊荷Hの位置に関する吊荷範囲Dとして、画像処理を行う処理範囲D1が指定されることとした。そして、続くステップS4において、処理範囲D1を画像処理して吊荷Hの位置を特定した。
しかし、ステップS3において、オペレータは、吊荷Hの位置に関する吊荷範囲Dとして、画像処理を行う処理範囲D1に代えて、吊荷Hの位置(形状及び大きさ含む)を直接示す位置範囲D2を指定(入力)してもよい。
具体的には、例えば
図5(a)に示すように、オペレータは、対角の頂点2点の指定による矩形領域として、吊荷Hの形状に対応する位置範囲D2を設定してもよい。この場合、
図5(b)に示すように、画像G上の吊荷Hが斜めに傾斜している場合には、例えば表示部34(画像G)の上下左右に沿った四辺を有する位置範囲D2を、吊荷Hに対応するようにオペレータが回転させてもよい。
また、
図6に示すように、対角の2点でなく、3点以上の頂点を指定することで、当該頂点を結ぶ多角形(図の例では四角形)の位置範囲D2を設定してもよい。なお、
図5及び
図6における丸数字は、タッチ操作の順番の一例である。
【0028】
この場合、続くステップS4では、ステップS3で入力された位置範囲D2と、これに対応する画像情報とに基づいて、当該位置範囲D2の位置が吊荷Hの位置として特定(算出)される。
ここで算出される吊荷Hの位置情報は、上記実施形態と同様に、吊荷Hの形状及び大きさの情報を含んでもよいし、1点の座標の情報(例えば吊荷Hの画像G上(平面視)での重心位置の座標)のみであってもよい。
【0029】
[変形例2]
上記実施形態では、操作支援処理のステップS3において、画像処理を行う処理範囲D1が指定され、続くステップS4において、この処理範囲D1を画像処理して吊荷Hの位置を特定することとした。
しかし、画像処理する範囲が指定されなくてもよい。具体的には、例えば
図7(a)に示すように、吊荷H以外に、画像処理では吊荷Hと混同(誤検出)し得る物体C1、C2が表示部34に表示されていた場合、この画像G全体をエッジ処理等の画像処理することで、
図7(b)に示すように、吊荷H、物体C1、C2が吊荷Hの候補として抽出される。このとき、制御部38は、画像処理した全画面範囲を反転表示させるとともに、抽出した吊荷Hの候補のエッジを強調表示(図では太線表示)させる。そして、制御部38は、抽出した候補のうちのいずれが吊荷Hかの確認をオペレータに促すメッセージM2と、その回答(選択)のためのタッチボタンB2とを表示させ、オペレータに選択された候補の位置を吊荷Hの位置として特定(算出)する。
なお、この場合には、オペレータによる吊荷Hの選択(タッチボタンB2の操作)が、本発明に係る「ユーザ操作に基づいて、吊荷Hの位置に関する情報を入力する」ことに相当する。また、選択された候補の位置を吊荷Hの位置として画像情報から算出することが、本発明に係る「入力された情報に基づいて、吊荷の位置を特定する」ことに相当する。
また、オペレータの操作により入力された情報に基づいて吊荷Hの候補を少なくとも1つ表示した後に、この表示内容に対して当該候補のうちの1つを選択するオペレータの操作によって、吊荷Hの位置に関する情報を入力してもよい。具体的には、例えばオペレータが吊荷Hと物体C1を囲う等の入力操作を行った場合に、この囲われた範囲が画像処理されて吊荷H及び物体C1が吊荷Hの候補として抽出され、表示される。そして、表示された吊荷Hの候補のうちオペレータに選択されたものの位置が吊荷Hの位置として特定(算出)される。このように、オペレータが候補範囲を指定する操作を行うことにより、画像G全体等の広い範囲を処理する場合と比べ、より少ない物体の認識で足りるため、認識精度が向上する。また、仮に候補を誤検出又は検出漏れした場合でも、その後にオペレータの選択操作があるため、吊荷Hの特定を誤るおそれが少ない。
【0030】
[その他]
以上、本発明の実施形態及びいくつかの変形例について説明した。しかし、本発明は上記の実施形態及びその変形例に限られない。
例えば、上記実施形態及びその変形例では、吊荷Hの位置に関する吊荷範囲D(処理範囲D1、位置範囲D2)の入力手法として、吊荷Hの周囲を囲う操作(
図4)や、矩形領域の頂点を指定する操作(
図5、
図6)を例示した。しかし、吊荷範囲Dの入力手法は、これらの操作に特に限定されず、例えば位置や形状、大きさを数値等で入力してもよい。
【0031】
また、上記実施形態では、本発明に係るクレーンシステムが搭載されたクレーンについて説明した。しかし、本発明に係るクレーンシステムは、少なくとも表示部と入力部を備えるものであればよい。
例えば、
図8に示すように、本発明に係るクレーンシステムは、クレーン1(本体)と通信可能な制御端末(情報端末)50であってもよい。この場合、制御端末50は、上記実施形態におけるクレーン1の入力部33、表示部34、通信部35、記憶部37及び制御部38に対応する入力部53、表示部54、通信部55、記憶部57及び制御部58を備える。またこの場合、操作支援処理の主な実行主体は、クレーン1の制御部38でも、制御端末50の制御部58でもよいし、これらが協働してもよい。
【0032】
また、吊荷H及びその周囲を撮影する撮像カメラ36は、ブームトップに配置されたものでなくともよく、例えばキャビン6に設置されたもの等でもよい。
また、上記実施形態では、撮像カメラ36による吊荷H及びその周囲の画像Gが表示部34に表示されることとした。しかし、表示部34に表示される吊荷H及びその周囲の情報は、カメラ画像でなくてもよい。
【0033】
また、上記実施形態では、吊荷H又はフック43に取り付けるマーカと、これをターゲットとするセンサを用いないこととした。よって、吊荷H又はフック43にマーカを取付るという煩雑な作業が生じない。また、マーカが衝撃などで外れる恐れもない。しかし、これらマーカ及びセンサを用いて、吊荷Hの検出精度をさらに向上させてもよい。
【0034】
また、上記実施形態では、上部旋回体に対して起伏可能な1つのブームを有するクレーンを示したが、本発明に係るクレーンは、吊荷を吊る作業機械を広く含む。例えば、本発明に係るクレーンは、ホイールクレーン、トラッククレーン、ジブクレーン、タワークレーンなどの各種のクレーンは勿論、バケットで吊荷を吊るショベル等も含む。
その他、実施の形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0035】
1 クレーン
4 ブーム
33 入力部
34 表示部
36 撮像カメラ
37 記憶部
370 操作支援プログラム(吊荷位置検出プログラム)
38 制御部(特定部)
43 フック
50 制御端末
D 吊荷範囲(吊荷の位置に関する情報)
D1 処理範囲
D2 位置範囲
G 画像
H 吊荷
B1、B2 タッチボタン
M1、M2 メッセージ
C1、C2 物体
T タッチペン