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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088260
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】什器用脚部
(51)【国際特許分類】
   A47C 17/64 20060101AFI20240625BHJP
   A47C 17/68 20060101ALI20240625BHJP
   A47C 19/12 20060101ALI20240625BHJP
   A47B 37/04 20060101ALN20240625BHJP
   A47B 91/12 20060101ALN20240625BHJP
   A47B 97/00 20060101ALN20240625BHJP
【FI】
A47C17/64 Z
A47C17/68
A47C19/12 A
A47B37/04
A47B91/12
A47B97/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203341
(22)【出願日】2022-12-20
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-03-05
(71)【出願人】
【識別番号】500173929
【氏名又は名称】株式会社ワークマン
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100207789
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 良平
(72)【発明者】
【氏名】鐵本 孝樹
【テーマコード(参考)】
3B069
【Fターム(参考)】
3B069EA04
3B069FA00
(57)【要約】
【課題】高位置と低位置との2つの高さ位置に変えることが可能な天板を各々の高さ位置に配置した状態において什器の安定性を向上させることができる什器用脚部を提供する。
【解決手段】什器用脚部は、ベッド布8を高位置と低位置H2とに配置する第1脚部20である。第1脚部20は、固定部36と、固定紐37と、を備える。固定部36は、ベッド布8が高位置の場合に地面Grから上方に離れ、低位置H2の場合に地面Grに接触する。固定紐37は、ベッド布8が高位置の場合に固定部36を下方に引っ張る。固定部36は、ベッド布8が低位置H2の場合に固定穴41に差し込まれた打込杭45で地面Grに固定される。固定穴41は、開口方向がベッド布8の外側に向けられている。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
什器の天板を高位置と低位置とに配置可能な什器用脚部であって、
前記天板を支える支持部に設けられた基部と、
前記基部に設けられて、前記天板が前記高位置の場合に地面から上方に離れて配置され、前記天板が前記低位置の場合に前記地面に接触して配置される固定部と、
前記固定部に設けられ、前記天板が前記高位置の場合に打込杭により前記地面に保持されることにより前記固定部を下方に引っ張る固定紐と、を備え、
前記固定部は、
前記打込杭を上方から差し込み可能な穴部を有し、
前記天板が前記低位置の場合に前記穴部に上方から差し込まれた前記打込杭により前記地面に固定され、
前記穴部は、開口方向が前記天板の外側に向けられている、
ことを特徴とする什器用脚部。
【請求項2】
前記穴部は前記開口方向が前記天板の外側に向けて傾斜されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の什器用脚部。
【請求項3】
前記固定部は、
前記基部から前記天板の外側に向けて8cm~9cmの長さで延出されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の什器用脚部。
【請求項4】
前記天板を前記高位置に配置する際に前記基部に取り付けられる脚フレームを備え、
前記固定紐は、
前記脚フレームの長さより短く形成され、かつ伸縮可能である、
ことを特徴とする請求項3に記載の什器用脚部。
【請求項5】
前記固定部は、
前記固定紐を受け入れ可能に下面に形成された溝部を有する、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の什器用脚部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、什器用脚部に関する。
【背景技術】
【0002】
什器として、例えば、ベッド布の両側部にポールが挿入され、ポールが支持フレームにクリップを介して着脱可能に連結された簡易ベッドが知られている。支持フレームは、連結フレームに連結されている。以下、ポールで支持されたベッド布を天板ということがある。この什器によれば、連結フレームを地面に接触させることにより、ベッド布に横になった使用者の荷重を支える。什器は、分解や組立、あるいは折り畳みや展開を容易におこなえる。よって、例えば什器を、キャンプ等のアウトドア(野外)で使用することが考えられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-91046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の什器を野外で使用する場合、例えば風の影響を受けて什器が転倒することが考えられる。また、什器を野外で使用する場合、例えば天板の高さを環境に合わせて高位置と低位置との2つの高さ位置で使用することが考えられる。しかし、特許文献1の什器では天板の高さを環境に合わせて高位置と低位置との2つの高さ位置に変えることはできない。
【0005】
本発明は、高位置と低位置との2つの高さ位置に変えることが可能な天板を各々の高さ位置に配置した状態において什器の安定性を向上させることができる什器用脚部を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
(1)本発明に係る什器用脚部は、什器の天板を高位置と低位置とに配置可能な什器用脚部であって、前記天板を支える支持部に設けられた基部と、前記基部に設けられて、前記天板が前記高位置の場合に地面から上方に離れて配置され、前記天板が前記低位置の場合に前記地面に接触して配置される固定部と、前記固定部に設けられ、前記天板が前記高位置の場合に打込杭により前記地面に保持されることにより前記固定部を下方に引っ張る固定紐と、を備え、前記固定部は、前記打込杭を上方から差し込み可能な穴部を有し、前記天板が前記低位置の場合に前記穴部に上方から差し込まれた前記打込杭により前記地面に固定され、前記穴部は、開口方向が前記天板の外側に向けられている。
【0007】
この構成によれば、天板が高位置の場合に固定部を地面から上方に離して配置するようにした。さらに、固定紐を打込杭により地面に保持することにより固定部を固定紐で下方に引っ張るようにした。よって、天板が高位置の場合に固定部を固定紐で安定させることができる。これにより、天板を高位置に配置した什器の安定性を向上させることができる。
【0008】
また、天板が低位置の場合に固定部を地面に接触させて配置するようにした。また、固定部に穴部を有し、穴部に打込杭を上方から差し込み可能にした。さらに、天板が低位置の場合に穴部に打込杭を上方から差し込むことにより固定部を打込杭により地面に固定するようにした。加えて、穴部の開口方向を天板の外側に向けるようにした。よって、天板等に干渉することなく、穴部に差し込んだ打込杭を天板の外側からハンマー等の打ち込み器具で地面に打ち込むことができる。これにより、天板を低位置に配置した什器の安定性を向上させることができる。
このように、高位置と低位置との2つの高さ位置に変えることが可能な天板を各々の高さ位置に配置した状態において什器の安定性を向上させることができる。
【0009】
(2)上記態様において、前記穴部は前記開口方向が前記天板の外側に向けて傾斜されていてもよい。
【0010】
この構成によれば、穴部の開口方向を天板の外側に向けて傾斜させた。よって、例えば穴部を天板の内側に配置した状態において、穴部の開口方向を天板の外側に向けることができる。これにより、固定部の長さを短く抑えることができる。したがって、例えば什器を分解あるいは折り畳んで運搬する際に、固定部が大きく突出することを防いで什器をコンパクトにまとめることができる。
【0011】
(3)上記態様において、前記固定部は、前記基部から前記天板の外側に向けて8cm~9cmの長さで延出されていてもよい。
【0012】
ここで、固定部の長さを8cm未満にすると固定部が短すぎて、天板を低位置や高位置に配置した什器の安定性を確保することが難しい。一方、固定部の長さが9cmを超えると固定部が長すぎて、什器を分解あるいは折り畳んで運搬する際にコンパクトにまとめることが難しい。
そこで、この構成において、固定部を基部から天板の外側に向けて8cm~9cmの長さで延出するようにした。これにより、天板を低位置や高位置に配置した什器の安定性を確保でき、什器を分解あるいは折り畳んだ状態においてコンパクトにまとめることができる。
【0013】
(4)上記態様において、前記天板を前記高位置に配置する際に前記基部に取り付けられる脚フレームを備え、前記固定紐は、前記脚フレームの長さより短く形成され、かつ伸縮可能であってもよい。
【0014】
この構成によれば、固定紐を脚フレームより短く形成し、伸縮可能とした。よって、固定紐を打込杭により地面に保持した状態において固定紐を伸ばすことができる。これにより、固定紐に発生する収縮力(反力)により固定部を確実に下方に引っ張ることができる。したがって、天板を高位置に配置した什器の安定性を確保できる。
【0015】
(5)上記態様において、前記固定部は、前記固定紐を受け入れ可能に下面に形成された溝部を有してもよい。
【0016】
この構成によれば、前記固定部の下面に溝部を形成し、溝部に固定紐を受け入れ可能とした。よって、天板を低位置に配置した什器を固定部で安定させる際に、溝部に固定紐を受け入れる(収納させる)ことにより、固定部の下面全域を地面に接触させることができる。これにより、天板を低位置に配置した什器の安定性を固定部により一層良好に確保できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、高位置と低位置との2つの高さ位置に変えることが可能な天板を各々の高さ位置に配置した状態において什器の安定性を向上させることができる什器用脚部を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る簡易ベッドに備えたベッド布を高位置に配置した状態を示す斜視図である。
図2】実施形態に係るベッド布を低位置に配置した状態を示す斜視図である。
図3】実施形態に係るベッド布を高位置に配置する第1脚部を示す斜視図である。
図4図3の第1脚部を下方から見た斜視図である。
図5】実施形態に係るベッド布を低位置に配置する第1脚部を示す斜視図である。
図6図5の第1脚部を下方から見た斜視図である。
図7】実施形態に係る固定部を下方から見た底面図である。
図8】実施形態に係る固定部に形成した固定穴とベッド布との位置関係を説明する概略部である。
図9】実施形態に係るベッド布を高位置に配置した状態において簡易ベッドを固定紐で安定させる例を説明する斜視図である。
図10】実施形態に係るベッド布を低位置に配置した状態において簡易ベッドを固定部で安定させる例を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る什器用脚部を説明する。なお、実施形態において共通部材等については同一符号を付して説明する。
<什器>
図1図2に示すように、実施形態では什器1の一例として簡易ベッドを例に説明する。簡易ベッド1は、例えばキャンプ等のアウトドア(野外)で使用される。簡易ベッド1は、ベッド布8の高さを環境に合わせて高位置H1(図1に示す位置)と、低位置H2(図2に示す位置)との2つの高さ位置に配置可能である。また、簡易ベッド1は、分解あるいは折り畳み可能に構成されている。簡易ベッド1を分解あるいは折り畳むことにより野外への運搬が容易になる。
【0020】
簡易ベッド1は、複数のフレーム構造体(支持部)2と、複数のロックレバー4と、一対のポール6と、ベッド布(天板)8と、脚部ユニット10と、を備えている。以下、簡易ベッド1の長手方向を「縦方向」、長手方向に直交する短手方向を「横方向」として説明する。また、ベッド布8側を「上方」、脚部ユニット10側を「下方」として説明する。なお、図面において、縦方向を矢印A、横方向を矢印B、上下方向を矢印Cで示す。
【0021】
<フレーム構造体>
フレーム構造体2は、複数の連結フレーム15と、一対の支持フレーム16と、を備えている。なお、実施形態においては複数のフレーム構造体2として縦方向に間隔をあけて配置する3つを例に説明するが、フレーム構造体2の個数は任意に選択可能である。複数の連結フレーム15は、脚部ユニット10における一対の連結ブロック26(後述する)に両端部が差し込まれることにより、一対の連結ブロック26に着脱可能に連結される。この状態において、複数の連結フレーム15は、横方向に向けて配置される。
【0022】
一対の支持フレーム16は、一対の連結ブロック26にそれぞれ下端部が差し込まれることにより、一対の連結ブロック26に着脱可能に連結される。この状態において、一対の支持フレーム16は、一対の連結ブロック26からそれぞれ立ち上げられた状態に配置される。この状態において、フレーム構造体2は、一対の連結ブロック26とともにU字状に形成される。
一対の支持フレーム16のうち一方の支持フレーム16の上端にはロックレバー4が設けられている。また、一対の支持フレーム16のうち他方の支持フレーム16の上端にクランプ18が設けられている。
【0023】
<ロックレバー>
ロックレバー4は、一方の支持フレーム16の上端に支持軸(図示せず)を介して揺動可能(回転可能)に連結されている。ロックレバー4は、上端にクランプ18が設けられている。ロックレバー4は、不図示の支持軸を中心にして一方の支持フレーム16まで矢印Yの如く揺動することにより一方の支持フレーム16に沿ってロックされる。
【0024】
<ポール、ベッド布>
ロックレバー4の上端に設けられたクランプ18に一対のポール6の一方が着脱可能に連結される。他方の支持フレーム16の上端に設けられたクランプ18に一対のポール6の他方が着脱可能に連結される。一対のポール6にはベッド布8が取り付けられている。ベッド布8は、縦方向に長い矩形状に形成され、長辺となる両側部に複数の嵌入部8aが形成されている。両側部のうち一方側の嵌入部8aに一方のポール6が差し込まれ、両側部のうち他方側の嵌入部8aに他方のポール6が差し込まれている。
これにより、一対のクランプ18にポール6を連結した状態において、ロックレバー4を一方の支持フレーム16に沿ってロックすることにより、一対のポール6によりベッド布8を横方向に広げた状態でフレーム構造体2に支持できる。
【0025】
<脚部ユニット>
脚部ユニット10は、複数の第1脚部(什器用脚部)20と、複数の第2脚部22と、を備えている。脚部ユニット10は、簡易ベッド1のベッド布8を高位置H1(図1に示す位置)に配置して使用する場合と、低位置H2(図2に示す位置)に配置して使用する場合とに切り替え可能に構成されている。
【0026】
<第1脚部>
第1脚部20は、複数のフレーム構造体2のうち縦方向の一端に配置されたフレーム構造体2において横方向の両端下部にそれぞれ設けられている。さらに、第1脚部20は、縦方向の他端に配置されたフレーム構造体2において横方向の両端下部に設けられている。すなわち、実施形態においては、複数の第1脚部20として4つの第1脚部20を備えている。
【0027】
ここで、フレーム構造体2の両端下部において、横方向の一端に設けられた第1脚部20と、横方向の他端に設けられた第1脚部20とは、簡易ベッド1の中心線CLに対して対称に形成されている。中心線CLは、横方向の中心を通り、縦方向に延びる直線である。よって、一端に設けられた第1脚部20と、他端に設けられた第1脚部20との各構成部材に同じ符号を付し、一端に設けられた第1脚部20を単に「第1脚部20」と略記して詳しく説明し、他端に設けられた第1脚部20の説明を省略する。
【0028】
図3図4に示すように、第1脚部20は、連結ブロック(基部)26と、一対の脚フレーム28と、固定機構30と、を備えている。一対の脚フレーム28は、脚部ユニット10でベッド布8を高位置H1に配置する際にのみ使用される。すなわち、第1脚部20は、ベッド布8を高位置H1に配置する状態と、ベッド布8を低位置H2に配置する状態とに組み立てることが可能である。まず、図3図4において、ベッド布8を高位置H1(図1参照)に配置するように第1脚部20を組み立てる例について説明する。
【0029】
<連結ブロック>
連結ブロック26は、フレーム構造体2の一端下部に着脱可能に設けられる。連結ブロック26は、一対の脚フレーム受部32を有する。一対の脚フレーム受部32は、下方が開口されている。一対の脚フレーム受部32には、一対の脚フレーム28の上端部がそれぞれ下方から差し込まれて着脱可能に連結される。
【0030】
<脚フレーム>
一対の脚フレーム28は、一対の脚フレーム受部32に上端部が着脱可能に連結された状態において下端部28aが地面Grに接触する。一対の脚フレーム28の下端部28aを地面Grに接触させることにより、簡易ベッド1のベッド布8を高位置H1(図1参照)に配置(保持)できる。すなわち、第1脚部20は、ベッド布8を高位置H1に配置する状態に組み立てられる。
一対の脚フレーム28は、下端部28aの下面に凹凸の滑り止めが形成されている。これにより、一対の脚フレーム28の下面を地面Grに対して移動し難くできる。すなわち、一対の脚フレーム28を地面Grに対して安定させた状態に配置できる。
【0031】
つぎに、図5図6において、ベッド布8を低位置H2(図2参照)に配置するように第1脚部20を組み立てる例について説明する。
図5図6に示すように、簡易ベッド1のベッド布8を低位置H2に配置する場合には、一対の脚フレーム28(図3図4参照)を一対の脚フレーム受部32から取り外す。これにより、固定機構30を地面Grに接触させて、簡易ベッド1のベッド布8を低位置H2に配置(保持)できる。
【0032】
<固定機構>
図3から図6に示すように、固定機構30は、連結ブロック26の下部に設けられている。固定機構30は、ベッド布8を高位置H1(図1参照)に配置した場合や、ベッド布8を低位置H2(図2参照)に配置した場合に簡易ベッド1を安定させる機構である。具体的には、固定機構30は、接地部35と、固定部36と、固定紐37と、を備えている。
<接地部>
接地部35は、平面視において矩形状に形成され、連結ブロック26の下部に一体に設けられている。接地部35は、簡易ベッド1のベッド布8を低位置H2に配置した状態において下面35aが地面Grに接触する。接地部35は、下面35aに凹凸の滑り止めが形成されている。これにより、接地部35の下面35aを地面Grに対して移動し難くできる。すなわち、接地部35を地面Grに対して安定させた状態に配置できる。
【0033】
<固定部>
固定部36は、接地部35に一体に形成され、接地部35の外側辺35bからベッド布8の外側に向けて横方向に延出されている。すなわち、固定部36は、接地部35を介して連結ブロック26に一体に設けられている。固定部36は、例えば、一定の幅、一定の厚さで板状に形成され、下面36aが接地部35の下面35aより僅かに上方に形成されている。固定部36は、例えば、平面視において先端部36bが凸状の湾曲に形成されている。
固定部36及び接地部35は、ベッド布8が高位置H1に配置された場合に地面Grから上方に離れて配置される(図3参照)。また、固定部36及び接地部35は、ベッド布8が低位置H2に配置された場合に地面Grに接触した状態で配置される(図5参照)。
【0034】
固定部36は、脚フレーム受部32(すなわち、脚フレーム28の連結位置)から先端部36bまでの長さL1が8cm~9cmに形成されている。以下、脚フレーム受部32から先端部36bまでの長さL1を固定部長さL1ということがある。固定部長さL1を8cm~9cmにした理由については後で詳しく説明する。
【0035】
図7図8に示すように、固定部36は、固定穴(穴部)41と、取付穴42と、溝部43と、を有する。固定穴41は、先端部36bの近傍に形成されている。固定穴41は、ペグ等の打込杭45を上方から差し込み可能に貫通されている。具体的には、固定穴41は、固定部36の長手方向(すなわち、横方向)に沿って長円に形成されている。固定穴41は、固定部36の上面36cの長円に対して下面36aの長円が大きく形成されている。
【0036】
実施形態では、固定穴41は、上面36cにおいて長軸方向の長さLh1=16mm、短軸方向の幅Wh1=11mmの長円に形成されている。また、固定穴41は、下面36aにおいて長軸方向の長さLh2=18mm、短軸方向の幅Wh2=13mmの長円に形成されている。なお、長軸方向の長さLh1、Lh2及び短軸方向の幅Wh1、Wh2は任意に変更可能である。
【0037】
よって、固定穴41は、固定部36の上面36cから下面36aに向かうに従って周壁41aが徐々に広がるように形成されている。これにより、固定穴41の周壁41aのうち内側の部位(すなわち、固定部36の先端部36bの反対側の部位)41bは、延長線48が横方向においてベッド布8の外側辺8bに対して外側に向けて傾斜されている。すなわち、固定穴41は、周壁41aのうち内側の部位41bに沿って開口方向が外側辺8bの外側に向けて傾斜されている。
よって、簡易ベッド1のベッド布8を低位置H2に配置した状態において、固定穴41に差し込んだ打込杭45をハンマー等の打ち込み器具(図示せず)で地面Grに打ち込むことができる。これにより、固定穴41に差し込まれた打込杭45により固定部36を地面Grに固定できる。
【0038】
なお、固定穴41の開口方向が鉛直に向くように、固定部36の上面36cと下面36aとの長円が同一の固定穴41に形成してもよい。この場合、固定穴41の開口方向がベッド布8の外側辺8bに対して外側に向くように固定穴41の位置を外側辺8bの外側に移動する。
【0039】
固定部36のうち固定穴41の横方向内側には取付穴42が形成されている。取付穴42は、固定部36の上面36cから下面36aに向けて鉛直方向に一定形状の長円で貫通されている。取付穴42は、長軸が横方向を向いて形成されている。取付穴42には固定紐37(後述する)が取り付けられている。
【0040】
また、固定部36の下面36aには溝部43が形成されている。溝部43は、取付穴42の長手方向の長さと概ね同じ幅で取付穴42から固定部36の一方の側辺36dまで固定部36の長手方向に対して直交する方向に形成されている。溝部43は、取付穴42に取り付けられた固定紐37を受け入れ可能(収納可能)に形成されている。よって、取付穴42から下方に延びる固定紐37を溝部43に受け入れることができる。これにより、固定部36の下面36aから固定紐37を下方に突出させないようにできる。
【0041】
なお、実施形態では、溝部43を取付穴42から固定部36の一方の側辺36dまで形成する例について説明するが、溝部43を固定部36の一方の側辺36dから他方の側辺36eまで形成してもよい。但し、固定部36の強度を考慮すると、溝部43を取付穴42から固定部36の一方の側辺36dまで形成する方が好ましい。
【0042】
<固定紐>
図3図7に示すように、固定紐37は、例えばゴム等の伸縮可能な部材で無端状や紐状に形成され、2重のループ状に重ねられる。この状態において、固定部36の取付穴42に固定紐37が貫通され、固定紐37の両端部が結ばれている。よって、固定紐37は、固定部36に2重のループ状に設けられている。固定紐37は、2重のループ状に取り付けられた状態において、固定部36から下方に垂下されている。
固定紐37は、固定部36から下端37aまでの長さL2が脚フレーム28の長さL3より短く形成されている。固定紐37は、ベッド布8が高位置H1(図1参照)に配置された状態において、ペグ等の打込杭45(図8参照)により地面Grに保持される。この状態において、固定紐37は、伸ばした状態に保たれることにより固定部36を下方に引っ張ることができる。
【0043】
<第2脚部>
図1に示すように、第2脚部22は、複数のフレーム構造体2のうち縦方向の中央に配置されたフレーム構造体2において横方向の両端下部にそれぞれ設けられている。すなわち、実施形態においては、複数の第2脚部22として2つの第2脚部22を備えている。
ここで、フレーム構造体2の両端下部において、横方向の一端に設けられた第2脚部22と、横方向の他端に設けられた第2脚部22とは、簡易ベッド1の中心線CLに対して対称に形成されている。よって、一端に設けられた第2脚部22と、他端に設けられた第2脚部22との各構成部材に同じ符号を付し、一端に設けられた第2脚部22を単に「第2脚部22」と略記して詳しく説明し、他端に設けられた第2脚部22の説明を省略する。
【0044】
第2脚部22は、第1脚部20を構成する各部材から固定部36と固定紐37とを除いたもので、その他の構成は第1脚部20と同様である。よって、第1脚部20と同様に、一対の脚フレーム28を一対の脚フレーム受部32に着脱可能に連結することにより、簡易ベッド1のベッド布8を高位置H1に配置できる。すなわち、第2脚部22は、ベッド布8を高位置H1に配置する状態に組み立てられる。
【0045】
また、図2に示すように、簡易ベッド1のベッド布8を低位置H2に配置する場合には、一対の脚フレーム28(図1参照)を一対の脚フレーム受部32から取り外す。これにより、接地部35を地面Grに接触させて、簡易ベッド1のベッド布8を低位置H2に配置できる。
【0046】
以上説明したように実施形態の第1脚部20によれば、図1図9に示すように、ベッド布8が高位置H1に配置された状態において固定部36を地面Grから上方に離して配置するようにした。さらに、固定紐37を打込杭45により地面Grに保持することにより固定部36を固定紐37で下方に引っ張るようにした。よって、ベッド布8が高位置H1に配置された状態において固定部36を固定紐37で安定させることができる。これにより、ベッド布8を高位置H1に配置した簡易ベッド1の安定性を向上させることができ、例えば簡易ベッド1の転倒を予防できる。
【0047】
また、図8図10に示すように、ベッド布8が低位置H2の場合に、固定部36を地面Grに接触させて配置するようにした。また、固定部36に固定穴41を有し、固定穴41に打込杭45を上方から差し込み可能にした。さらに、固定穴41が低位置H2に配置された状態において、固定穴41に打込杭45を上方から差し込み、地面Grに打ち込むことにより固定部36を打込杭45により地面Grに固定するようにした。
加えて、固定穴41の開口方向を上から見てベッド布8の外側に向けるようにした。よって、ベッド布8等に干渉することなく、固定穴41に差し込んだ打込杭45をベッド布8の外側からハンマー等の打ち込み器具(図示せず)で地面Grに打ち込むことができる。これにより、ベッド布8を低位置H2に配置した簡易ベッド1の安定性を向上させることができ、例えば簡易ベッド1の転倒を予防できる。
このように、高位置H1と低位置H2との2つの高さ位置に変えることが可能なベッド布8を各々の高さ位置に配置した状態において簡易ベッド1の安定性を向上させることができる。
【0048】
さらに、固定穴41の開口方向をベッド布8の外側に向けて傾斜させた。よって、例えば固定穴41をベッド布8の内側に配置した状態において、固定穴41の開口方向をベッド布8の外側に向けることができる。これにより、固定部36の長さを短く抑えることができる。したがって、例えば簡易ベッド1を分解あるいは折り畳んで運搬する際に、固定部36が大きく突出することを防いで簡易ベッド1をコンパクトにまとめることができる。
【0049】
加えて、図6図10に示すように、固定部長さLを8cm~9cmにした。固定部長さLを8cm~9cmにした理由は次の通りである。
すなわち、固定部36の長さを8cm未満にすると固定部36が短すぎて、ベッド布8を高位置H1(図1参照)や低位置H2(図2参照)に配置した簡易ベッド1の安定性を確保することが難しい。一方、固定部36の長さが9cmを超えると固定部36が長すぎて、簡易ベッド1を分解あるいは折り畳んで運搬する際にコンパクトにまとめることが難しい。
そこで、固定部36を連結ブロック26からベッド布8の外側に向けて8cm~9cmの長さで延出するようにした。これにより、ベッド布8を高位置H1や低位置H2に配置した簡易ベッド1の安定性を確保でき、さらに簡易ベッド1を分解あるいは折り畳んだ状態においてコンパクトにまとめることができる。
【0050】
また、図9に示すように、固定紐37を脚フレーム28より短く形成し、伸縮可能とした。よって、固定紐37を打込杭45により地面Grに保持した状態において固定紐37を伸ばすことができる。これにより、固定紐37に発生する収縮力(反力)により固定部36を確実に下方に引っ張ることができる。したがって、ベッド布8を高位置H1に配置した簡易ベッド1の安定性を確保できる。
【0051】
さらに、図2図7に示すように、固定部36の下面36aに溝部43を形成し、溝部43に固定紐37を受け入れ可能とした。よって、ベッド布8を低位置H2に配置した簡易ベッド1を固定部36で安定させる際に、溝部43に固定紐37を受け入れる(収納する)ことにより、固定部36の下面36a全域を地面Grに接触させることができる。これにより、ベッド布8を低位置H2に配置した簡易ベッド1の安定性を固定部36により一層良好に確保できる。
【0052】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
前記実施形態では、什器を簡易ベッド1、天板をベッド布8として説明したが、什器や天板は簡易ベッド1やベッド布8に限らない。その他の例として、例えば什器を野外で使用する椅子(簡易椅子)、天板を座部としてもよく、あるいは什器を野外で使用するテーブル(簡易テーブル)としてもよい。
【0053】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 什器(簡易ベッド)
2 フレーム構造体(支持部)
4 ロックレバー
6 ポール
8 ベッド布(天板)
10 脚部ユニット
20 第1脚部(什器用脚部)
26 連結ブロック(基部)
28 脚フレーム
30 固定機構
36 固定部
36a 下面
37 固定紐
41 固定穴(穴部)
43 溝部
45 打込杭
H1 高位置
H2 低位置
Gr 地面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2023-11-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
什器の天板を高位置と低位置とに配置可能な什器用脚部であって、
前記天板を支える支持部に設けられた基部と、
前記基部に設けられて、前記天板が前記高位置の場合に地面から上方に離れて配置され、前記天板が前記低位置の場合に前記地面に接触して配置される固定部と、
前記固定部に設けられ、前記天板が前記高位置の場合に打込杭により前記地面に保持されることにより前記固定部を下方に引っ張る固定紐と、を備え、
前記固定部は、
前記打込杭を上方から差し込み可能な穴部を有し、
前記天板が前記低位置の場合に前記穴部に上方から差し込まれた前記打込杭により前記地面に固定され、
前記穴部の周壁のうち前記固定部の先端部の反対側の部位が延びる方向は、前記天板の外側に向けられている
ことを特徴とする什器用脚部。
【請求項2】
前記穴部は前記方向が前記天板の外側に向けて傾斜されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の什器用脚部。
【請求項3】
前記固定部は、
前記基部から前記天板の外側に向けて8cm~9cmの長さで延出されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の什器用脚部。
【請求項4】
前記天板を前記高位置に配置する際に前記基部に取り付けられる脚フレームを備え、
前記固定紐は、
前記脚フレームの長さより短く形成され、かつ伸縮可能である、
ことを特徴とする請求項3に記載の什器用脚部。
【請求項5】
前記固定部は、
前記固定紐を受け入れ可能に下面に形成された溝部を有する、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の什器用脚部。