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特開2024-88267洋上風車用ジャケット構造物及び洋上風車用ジャケット構造物の溶接方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088267
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】洋上風車用ジャケット構造物及び洋上風車用ジャケット構造物の溶接方法
(51)【国際特許分類】
   F03D 13/25 20160101AFI20240625BHJP
   E04B 1/58 20060101ALI20240625BHJP
   E04H 12/10 20060101ALI20240625BHJP
   E02B 17/00 20060101ALI20240625BHJP
   E02D 27/52 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
F03D13/25
E04B1/58 E
E04H12/10 A
E02B17/00 Z
E02D27/52
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203349
(22)【出願日】2022-12-20
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-11-27
(71)【出願人】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】日鉄エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100217249
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 耕一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221279
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健吾
(74)【代理人】
【識別番号】100207686
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 恭宏
(74)【代理人】
【識別番号】100224812
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 翔太
(72)【発明者】
【氏名】風野 裕明
(72)【発明者】
【氏名】大嶽 敦郎
(72)【発明者】
【氏名】森下 和帆
(72)【発明者】
【氏名】松井 綾乃
(72)【発明者】
【氏名】福田 渚
(72)【発明者】
【氏名】中野 雄太
(72)【発明者】
【氏名】加賀美 暢一
(72)【発明者】
【氏名】舟竹 祥太郎
(72)【発明者】
【氏名】入江 敬
【テーマコード(参考)】
2D046
2E125
3H178
【Fターム(参考)】
2D046DA62
2E125AA48
2E125AB17
2E125AC16
2E125CA90
3H178AA20
3H178AA25
3H178AA43
3H178BB35
3H178BB77
3H178CC22
3H178DD67X
3H178DD70X
(57)【要約】
【課題】接続部に十分な疲労強度を確保することができる洋上風車用ジャケット構造物及び洋上風車用ジャケット構造物の溶接方法を提供する。
【解決手段】円筒状の部材である第1斜めブレース40と、円筒状の部材であり、且つ、第1斜めブレース40と交わる第2斜めブレース50と、洋上風車300が設置され、且つ、第1斜めブレース40及び第2斜めブレース50に支持される台20と、を備える洋上風車用ジャケット構造物100であって、第1斜めブレース40と第2斜めブレース50との交点は、両面溶接されることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の部材である第1斜めブレースと、
円筒状の部材であり、且つ、前記第1斜めブレースと交わる第2斜めブレースと、
洋上風車が設置され、且つ、前記第1斜めブレース及び前記第2斜めブレースに支持される台と、
を備える洋上風車用ジャケット構造物であって、
前記第1斜めブレースと前記第2斜めブレースとの交点は、両面溶接される、
ことを特徴とする洋上風車用ジャケット構造物。
【請求項2】
前記第1斜めブレースの外径は、前記第2斜めブレースの外径より、大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載の洋上風車用ジャケット構造物。
【請求項3】
前記台は、複数のレグを介し、前記第1斜めブレース及び前記第2斜めブレースに支持され、
前記複数のレグのうちの1つの部分である第1レグキャン部分であって、前記1つと前記第1斜めブレースの端部との交点を含む第1レグキャン部分の板厚は、前記1つの部分である第2レグキャン部分であって、前記1つと前記第2斜めブレースの端部との交点を含む第2レグキャン部分の板厚より、薄い、
ことを特徴とする請求項2に記載の洋上風車用ジャケット構造物。
【請求項4】
前記台は、複数のレグを介し、前記第1斜めブレース及び前記第2斜めブレースに支持され、
前記複数のレグのうちの1つの部分である第1レグキャン部分であって、前記1つと前記第1斜めブレースの端部との交点を含む第1レグキャン部分の鋼材の強度は、前記1つの部分である第2レグキャン部分であって、前記1つと前記第2斜めブレースの端部との交点を含む第2レグキャン部分の鋼材の強度より、弱い、
ことを特徴とする請求項2に記載の洋上風車用ジャケット構造物。
【請求項5】
前記第1レグキャン部分の鋼材は、SM490Y又はSM520であり、
前記第2レグキャン部分の鋼材は、SA440である、
ことを特徴とする請求項4に記載の洋上風車用ジャケット構造物。
【請求項6】
前記第1レグキャン部分の長さであって前記1つの長手方向に沿った長さは、前記第2レグキャン部分の長さであって前記長手方向に沿った長さより、長い、
ことを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の洋上風車用ジャケット構造物。
【請求項7】
第3斜めブレース、
を更に備え、
前記台は、複数のレグを介し、前記第1斜めブレース、前記第2斜めブレース、及び前記第3斜めブレースに支持され、
前記複数のレグのうちの1つの部分である第1レグキャン部分であって、前記1つと前記第1斜めブレースの端部との交点を含む第1レグキャン部分には、前記第3斜めブレースが接続され、
前記第3斜めブレースの外径は、前記第2斜めブレースの外径より、大きい、
ことを特徴とする請求項2に記載の洋上風車用ジャケット構造物。
【請求項8】
第4斜めブレース、
を更に備え、
前記台は、複数のレグを介し、前記第1斜めブレース、前記第2斜めブレース、及び前記第4斜めブレースに支持され、
前記複数のレグのうちの1つの部分である第2レグキャン部分であって、前記1つと前記第2斜めブレースの端部との交点を含む第2レグキャン部分には、前記第4斜めブレースが接続され、
前記第4斜めブレースの外径は、前記第1斜めブレースの外径より小さい、
ことを特徴とする請求項2に記載の洋上風車用ジャケット構造物。
【請求項9】
前記第2斜めブレースの円筒状部分であって、前記第1斜めブレースと前記第2斜めブレースとの交点を含む所定範囲内の円筒状部分を第2近傍部分とし、
前記第2斜めブレースの円筒状部分であって、前記第2近傍部分より前記交点から遠い円筒状部分を第2遠隔部分とし、
前記第2近傍部分の外径は、前記第2遠隔部分の外径以上であり、
前記第2近傍部分の内径は、前記第2遠隔部分の内径以下である、
ことを特徴とする請求項2に記載の洋上風車用ジャケット構造物。
【請求項10】
前記第2近傍部分の内側面と前記第2遠隔部分の内側面との間に設けられるテーパー部分を更に備える、
ことを特徴とする請求項9に記載の洋上風車用ジャケット構造物。
【請求項11】
前記テーパー部分と前記第2遠隔部分とは、前記第2斜めブレースの内側から片面溶接される、
ことを特徴とする請求項10に記載の洋上風車用ジャケット構造物。
【請求項12】
前記第2斜めブレースの円筒状部分であって、前記第1斜めブレースと前記第2斜めブレースとの交点を含む所定範囲内の円筒状部分を第2近傍部分とし、
前記第2斜めブレースの円筒状部分であって、前記第2近傍部分より前記交点から遠い円筒状部分を第2遠隔部分とし、
前記第2遠隔部分の外径は、前記第2近傍部分の外径以上であり、
前記第2遠隔部分の内径は、前記第2近傍部分の内径以下である、
ことを特徴とする請求項2に記載の洋上風車用ジャケット構造物。
【請求項13】
前記第2近傍部分の外側面と前記第2遠隔部分の外側面との間に設けられるテーパー部分を更に備える、
ことを特徴とする請求項12に記載の洋上風車用ジャケット構造物。
【請求項14】
前記テーパー部分と前記第2近傍部分とは、前記第2斜めブレースの外側から片面溶接される、
ことを特徴とする請求項13に記載の洋上風車用ジャケット構造物。
【請求項15】
前記第1斜めブレースの外径は、前記第1斜めブレースの全長にわたって同径である、
ことを特徴とする請求項1乃至5、及び、7乃至14のいずれか1項に記載の洋上風車用ジャケット構造物。
【請求項16】
複数の円筒状のレグと、
円筒状の部材であり、前記レグと接続される第1斜めブレースと、
円筒状の部材であり、前記レグと接続され、且つ、前記第1斜めブレースと交わる第2斜めブレースと、
前記レグと、前記第1斜めブレースと、前記第2斜めブレースと、に支持され、且つ、洋上風車が設置される台と、
を備える洋上風車用ジャケット構造物であって、
前記第1斜めブレースの外径は、前記第2斜めブレースの外径より、大きく、
前記第1斜めブレースと前記第2斜めブレースとの交点と、
前記第2斜めブレースと前記レグの1つとの交点と、
に設けられた両面溶接部と、
前記第2斜めブレースの円筒状部分であって、前記第2斜めブレースと第1斜めブレースとの交点を含む所定範囲内の円筒状部分であるブレース近傍部分と、前記第2斜めブレースの円筒状部分であって、前記第2斜めブレースと前記第1斜めブレースとの交点から前記ブレース近傍部分よりも遠い円筒状部分であるブレース遠隔部分と、の間と、
前記第2斜めブレースの円筒状部分であって、前記第2斜めブレースと前記1つとの交点を含む所定範囲内の円筒状部分であるレグ近傍部分と、前記第2斜めブレースの円筒状部分であって、前記第2斜めブレースと前記1つとの交点から前記レグ近傍部分より遠い円筒状部分であるレグ遠隔部分と、の間と、
に設けられた片面溶接部と、
を備えることを特徴とする洋上風車用ジャケット構造物。
【請求項17】
複数の円筒状のレグと、
円筒状の部材であり、前記レグと接続される第1斜めブレースと、
円筒状の部材であり、前記レグと接続され、且つ、前記第1斜めブレースと交わる第2斜めブレースと、
前記レグと、前記第1斜めブレースと、前記第2斜めブレースと、に支持され、且つ、洋上風車が設置される台と、
を備える洋上風車用ジャケット構造物の溶接方法であって、
前記第1斜めブレースの外径は、前記第2斜めブレースの外径より、大きく、
前記第1斜めブレースと前記第2斜めブレースとの交点と、
前記第2斜めブレースと前記レグの1つとの交点と、
を両面溶接する両面溶接工程と、
前記両面溶接工程の後、
前記第2斜めブレースの円筒状部分であって、前記第2斜めブレースと第1斜めブレースとの交点を含む所定範囲内の円筒状部分であるブレース近傍部分と、
前記第2斜めブレースの円筒状部分であって、前記第2斜めブレースと前記第1斜めブレースとの交点から前記ブレース近傍部分よりも遠い円筒状部分であるブレース遠隔部分と、
の間を片面溶接するとともに、
前記第2斜めブレースの円筒状部分であって、前記第2斜めブレースと前記1つとの交点を含む所定範囲内の円筒状部分であるレグ近傍部分と、
前記第2斜めブレースの円筒状部分であって、前記第2斜めブレースと前記1つとの交点から前記レグ近傍部分より遠い円筒状部分であるレグ遠隔部分と、
の間を片面溶接する片面溶接工程と、
を備えることを特徴とする洋上風車用ジャケット構造物の溶接方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洋上風車用ジャケット構造物及び洋上風車用ジャケット構造物の溶接方法に関する。
【背景技術】
【0002】
風力発電に用いられる風車等をはじめとする構造物を洋上に配置するために、鋼管を組み合わせたジャケット構造体を用いることがある。
特許文献1では、鋼管同士の接合部の応力集中を緩和する構造について、径の異なる鋼管をオーバーラップさせた接合部を形成し、グラウトを打設する構造が開示されている。
特許文献2では、洋上構造物である護岸構造の鋼材量を低減するために、杭列に矢板を配置して壁体を構成し、裏込材を充填した構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-55045号公報
【特許文献2】特開2004-308328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のジャケット構造体においては、格点部において鋼管を溶接する際、鋼管の外側からのみ溶接すること(片側溶接)が一般的であった。
しかしながら、風車を洋上に配置(洋上風車)する場合、洋上風車は厳しい疲労環境下に置かれる。このため、上述の片側溶接では、溶接部に十分な疲労強度を持たせることが不可能であった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、接続部に十分な疲労強度を確保することができる洋上風車用ジャケット構造物及び洋上風車用ジャケット構造物の溶接方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
<1>本発明の態様1に係る洋上風車用ジャケット構造物は、円筒状の部材である第1斜めブレースと、円筒状の部材であり、且つ、前記第1斜めブレースと交わる第2斜めブレースと、洋上風車が設置され、且つ、前記第1斜めブレース及び前記第2斜めブレースに支持される台と、を備える洋上風車用ジャケット構造物であって、前記第1斜めブレースと前記第2斜めブレースとの交点は、両面溶接されることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、第1斜めブレースと第2斜めブレースとの交点は、両面溶接される。これにより、第1斜めブレースと第2斜めブレースとの接続部に十分な疲労強度を確保することができる。
【0008】
<2>本発明の態様2に係る洋上風車用ジャケット構造物は、態様1に係る洋上風車用ジャケット構造物において、前記第1斜めブレースの外径は、前記第2斜めブレースの外径より、大きいことを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、第1斜めブレースの外径は、第2斜めブレースの外径より、大きい。これにより、第1斜めブレースと第2斜めブレースとの交点を両面溶接しやすくすることができる。
【0010】
<3>本発明の態様3に係る洋上風車用ジャケット構造物は、態様1又は態様2に係る洋上風車用ジャケット構造物において、前記台は、複数のレグを介し、前記第1斜めブレース及び前記第2斜めブレースに支持され、前記複数のレグのうちの1つの部分である第1レグキャン部分であって、前記1つと前記第1斜めブレースの端部との交点を含む第1レグキャン部分の板厚は、前記1つの部分である第2レグキャン部分であって、前記1つと前記第2斜めブレースの端部との交点を含む第2レグキャン部分の板厚より、薄いことを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、複数のレグのうちの1つと第1斜めブレースの端部との交点を含む第1レグキャン部分の板厚は、複数のレグのうちの1つと第2斜めブレースの端部との交点を含む第2レグキャン部分の板厚より、薄い。これにより、第1レグキャン部分の板厚を抑えることができる。よって、レグの材料費用を抑えることができる。
【0012】
<4>本発明の態様4に係る洋上風車用ジャケット構造物は、態様1から態様3のいずれか1つに係る洋上風車用ジャケット構造物において、前記台は、複数のレグを介し、前記第1斜めブレース及び前記第2斜めブレースに支持され、前記複数のレグのうちの1つの部分である第1レグキャン部分であって、前記1つと前記第1斜めブレースの端部との交点を含む第1レグキャン部分の鋼材の強度は、前記1つの部分である第2レグキャン部分であって、前記1つと前記第2斜めブレースの端部との交点を含む第2レグキャン部分の鋼材の強度より、弱いことを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、複数のレグのうちの1つと第1斜めブレースの端部との交点を含む第1レグキャン部分の鋼材の強度は、複数のレグのうちの1つと第2斜めブレースの端部との交点を含む第2レグキャン部分の鋼材の強度より、弱い。これにより、第1レグキャン部分に安価な材料を用いることができる。よって、レグの材料費用を抑えることができる。
【0014】
<5>本発明の態様5に係る洋上風車用ジャケット構造物は、態様3又は態様4に係る洋上風車用ジャケット構造物において、前記第1レグキャン部分の鋼材は、SM490Y又はSM520であり、前記第2レグキャン部分の鋼材は、SA440であることを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、第1レグキャン部分の鋼材は、SM490Y又はSM520であり、第2レグキャン部分の鋼材は、SA440である。これにより、第1レグキャン部分の鋼材の強度を第2レグキャン部分の鋼材の強度より弱くすることができる。よって、レグの材料費用を抑えることができる。
【0016】
<6>本発明の態様6に係る洋上風車用ジャケット構造物は、態様3から態様5のいずれか1つに係る洋上風車用ジャケット構造物において、前記第1レグキャン部分の長さであって前記1つの長手方向に沿った長さは、前記第2レグキャン部分の長さであって前記長手方向に沿った長さより、長いことを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、第1レグキャン部分の長さであって1つの長手方向に沿った長さは、第2レグキャン部分の長さであって長手方向に沿った長さより、長い。これにより、例えば、第1斜めブレースの外径が第2斜めブレースの外径より大きい場合に、第1レグキャン部分の長さを十分なものにしつつ、第2レグキャン部分の長さを抑えることができる。よって、レグの材料費用を抑えることができる。
【0018】
<7>本発明の態様7に係る洋上風車用ジャケット構造物は、態様1から態様6のいずれか1つに係る洋上風車用ジャケット構造物において、第3斜めブレース、を更に備え、前記台は、複数のレグを介し、前記第1斜めブレース、前記第2斜めブレース、及び前記第3斜めブレースに支持され、前記複数のレグのうちの1つの部分である第1レグキャン部分であって、前記1つと前記第1斜めブレースの端部との交点を含む第1レグキャン部分には、前記第3斜めブレースが接続され、前記第3斜めブレースの外径は、前記第2斜めブレースの外径より、大きいことを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、複数のレグのうちの1つと第1斜めブレースの端部との交点を含む第1レグキャン部分には、第3斜めブレースが接続され、第3斜めブレースの外径は、第2斜めブレースの外径より、大きい。これにより、例えば、第1斜めブレースの外径と第3斜めブレースの外径とを同じにした場合に、第1レグキャン部分に接続される第1斜めブレース及び第3斜めブレースの断面を統一することができる。よって、ジャケット構造体の製作時における部品の管理を容易にすることができる。また、ジャケット構造体の構造計算を容易にすることができる。
【0020】
<8>本発明の態様8に係る洋上風車用ジャケット構造物は、態様1から態様7のいずれか1つに係る洋上風車用ジャケット構造物において、第4斜めブレース、を更に備え、前記台は、複数のレグを介し、前記第1斜めブレース、前記第2斜めブレース、及び前記第4斜めブレースに支持され、前記複数のレグのうちの1つの部分である第2レグキャン部分であって、前記1つと前記第2斜めブレースの端部との交点を含む第2レグキャン部分には、前記第4斜めブレースが接続され、前記第4斜めブレースの外径は、前記第1斜めブレースの外径より小さいことを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、複数のレグのうちの1つと第2斜めブレースの端部との交点を含む第2レグキャン部分には、第4斜めブレースが接続され、第4斜めブレースの外径は、第1斜めブレースの外径より小さい。これにより、例えば、第2斜めブレースの外径と第4斜めブレースの外径とを同じにした場合に、第2レグキャン部分に接続される第2斜めブレース及び第4斜めブレースの断面を統一することができる。よって、ジャケット構造体の製作時における部品の管理を容易にすることができる。また、ジャケット構造体の構造計算を容易にすることができる。
【0022】
<9>本発明の態様9に係る洋上風車用ジャケット構造物は、態様1から態様8のいずれか1つに係る洋上風車用ジャケット構造物において、前記第2斜めブレースの円筒状部分であって、前記第1斜めブレースと前記第2斜めブレースとの交点を含む所定範囲内の円筒状部分を第2近傍部分とし、前記第2斜めブレースの円筒状部分であって、前記第2近傍部分より前記交点から遠い円筒状部分を第2遠隔部分とし、前記第2近傍部分の外径は、前記第2遠隔部分の外径以上であり、前記第2近傍部分の内径は、前記第2遠隔部分の内径以下であることを特徴とする。
【0023】
この発明によれば、第2近傍部分の外径は、第2遠隔部分の外径以上であり、第2近傍部分の内径は、第2遠隔部分の内径以下である。よって、第2近傍部分の板厚は、少なくとも第2遠隔部分と同じか、第2遠隔部分よりも大きくなる。これにより、第2斜めブレースにおける交点の強度を確保することができる。また、第2近傍部分の板厚を大きくした場合は、第1近傍部分との交点において第2近傍部分をより容易に両面溶接することができる。これにより疲労強度を向上することができる。
また、第2遠隔部分の板厚を第2近傍部分よりも小さくすることで、第2近傍部分に曲げモーメント等に対する十分な強度を確保しつつ、第2斜めブレース全体の重量が必要以上に増加することを防ぐことができる。
【0024】
<10>本発明の態様10に係る洋上風車用ジャケット構造物は、態様9に係る洋上風車用ジャケット構造物において、前記第2近傍部分の内側面と前記第2遠隔部分の内側面との間に設けられるテーパー部分を更に備えることを特徴とする。
【0025】
この発明によれば、第2近傍部分の内側面と第2遠隔部分の内側面との間に設けられるテーパー部分を備える。これにより、第2近傍部分と第2遠隔部分との間を連続的に変化させることで第2近傍部分と第2遠隔部分とを接続することができる。よって、第2近傍部分と第2遠隔部分との接続部に生じる応力集中を抑えることができる。
【0026】
<11>本発明の態様11に係る洋上風車用ジャケット構造物は、態様10に係る洋上風車用ジャケット構造物において、前記テーパー部分と前記第2遠隔部分とは、前記第2斜めブレースの内側から片面溶接されることを特徴とする。
【0027】
この発明によれば、テーパー部分と第2遠隔部分とは、第2斜めブレースの内側から片面溶接される。ここで、第2近傍部分の内径が第2遠隔部分の内径以下である場合、テーパー部分と第2遠隔部分との境目は、第2斜めブレースの内側面において応力集中が発生しやすい。溶接欠陥は、溶接部におけるルート部分において特に発生しやすい。第2斜めブレースの内側から片面溶接することで、ルート部分を第2斜めブレースの外側に配置することができる。したがって、テーパー部分と第2遠隔部分との境目において、応力集中が発生しやすい箇所から溶接のルート部分を遠ざけることができる。よって、前記境目における疲労寿命の低下を抑えることができる。
【0028】
<12>本発明の態様12に係る洋上風車用ジャケット構造物は、態様1から態様8のいずれか1つに係る洋上風車用ジャケット構造物において、前記第2斜めブレースの円筒状部分であって、前記第1斜めブレースと前記第2斜めブレースとの交点を含む所定範囲内の円筒状部分を第2近傍部分とし、前記第2斜めブレースの円筒状部分であって、前記第2近傍部分より前記交点から遠い円筒状部分を第2遠隔部分とし、前記第2遠隔部分の外径は、前記第2近傍部分の外径以上であり、前記第2遠隔部分の内径は、前記第2近傍部分の内径以下であることを特徴とする。
【0029】
この発明によれば、第2遠隔部分の外径は、第2近傍部分の外径以上であり、第2遠隔部分の内径は、第2近傍部分の内径以下である。よって、第2遠隔部分の板厚は、少なくとも第2近傍部分と同じか、第2近傍部分よりも大きくなる。これにより、第2遠隔部分に曲げモーメント等に対する十分な強度を確保することができる。
【0030】
<13>本発明の態様13に係る洋上風車用ジャケット構造物は、態様12に係る洋上風車用ジャケット構造物において、前記第2近傍部分の外側面と前記第2遠隔部分の外側面との間に設けられるテーパー部分を更に備えることを特徴とする。
【0031】
この発明によれば、第2近傍部分の外側面と第2遠隔部分の外側面との間に設けられるテーパー部分を備える。これにより、第2近傍部分と第2遠隔部分との間を連続的に変化させることで第2近傍部分と第2遠隔部分とを接続することができる。よって、第2近傍部分と第2遠隔部分との接続部に生じる応力集中を抑えることができる。
【0032】
<14>本発明の態様14に係る洋上風車用ジャケット構造物は、態様13に係る洋上風車用ジャケット構造物において、前記テーパー部分と前記第2近傍部分とは、前記第2斜めブレースの外側から片面溶接されることを特徴とする。
【0033】
この発明によれば、テーパー部分と第2近傍部分とは、第2斜めブレースの外側から片面溶接される。ここで、第2遠隔部分の外径が第2近傍部分の外径以上である場合、テーパー部分と第2近傍部分との境目は、第2斜めブレースの外側面において応力集中が発生しやすい。溶接欠陥は、溶接部におけるルート部分において特に発生しやすい。第2斜めブレースの外側から片面溶接することで、ルート部分を第2斜めブレースの内側に配置することができる。したがって、テーパー部分と第2近傍部分との境目において、応力集中が発生しやすい箇所から溶接のルート部分を遠ざけることができる。よって、前記境目における疲労寿命の低下を抑えることができる。
【0034】
<15>本発明の態様15に係る洋上風車用ジャケット構造物は、態様1から態様14のいずれか1つに係る洋上風車用ジャケット構造物において、前記第1斜めブレースの外径は、前記第1斜めブレースの全長にわたって同径であることを特徴とする。
【0035】
この発明によれば、第1斜めブレースの外径は、第1斜めブレースの全長にわたって同径である。これにより、例えば、第1斜めブレースの外周面に、防錆用のステンレス板等を設けやすくすることができる。
【0036】
<16>本発明の態様16に係る洋上風車用ジャケット構造物は、複数の円筒状のレグと、円筒状の部材であり、前記レグと接続される第1斜めブレースと、円筒状の部材であり、前記レグと接続され、且つ、前記第1斜めブレースと交わる第2斜めブレースと、前記レグと、前記第1斜めブレースと、前記第2斜めブレースと、に支持され、且つ、洋上風車が設置される台と、を備える洋上風車用ジャケット構造物であって、前記第1斜めブレースの外径は、前記第2斜めブレースの外径より、大きく、前記第1斜めブレースと前記第2斜めブレースとの交点と、前記第2斜めブレースと前記レグの1つとの交点と、に設けられた両面溶接部と、前記第2斜めブレースの円筒状部分であって、前記第2斜めブレースと第1斜めブレースとの交点を含む所定範囲内の円筒状部分であるブレース近傍部分と、前記第2斜めブレースの円筒状部分であって、前記第2斜めブレースと前記第1斜めブレースとの交点から前記ブレース近傍部分よりも遠い円筒状部分であるブレース遠隔部分と、の間と、前記第2斜めブレースの円筒状部分であって、前記第2斜めブレースと前記1つとの交点を含む所定範囲内の円筒状部分であるレグ近傍部分と、前記第2斜めブレースの円筒状部分であって、前記第2斜めブレースと前記1つとの交点から前記レグ近傍部分より遠い円筒状部分であるレグ遠隔部分と、の間と、に設けられた片面溶接部と、を備えることを特徴とする。
【0037】
この発明によれば、第1斜めブレースと第2斜めブレースとの交点と、第2斜めブレースとレグの1つとの交点と、に設けられた両面溶接部を備える。つまり、第1斜めブレースと第2斜めブレースとの交点と、第2斜めブレースとレグの1つとの交点と、はそれぞれ両面溶接されている。これにより、第1斜めブレースと第2斜めブレースとの交点と、第2斜めブレースとレグの1つとの交点と、に十分な疲労強度を確保することができる。
【0038】
ブレース近傍部分とブレース遠隔部分との間と、レグ近傍部分とレグ遠隔部分との間と、に設けられた片面溶接部を備える。つまり、ブレース近傍部分とブレース遠隔部分との間と、レグ近傍部分とレグ遠隔部分との間と、はそれぞれ片面溶接されている。これにより、例えば、ジャケット構造体における各溶接部分を両面溶接することによって、ジャケット構造体の内部に作業者が取り残されることを避けることができる。
【0039】
<17>本発明の態様17に係る洋上風車用ジャケット構造物の溶接方法は、複数の円筒状のレグと、円筒状の部材であり、前記レグと接続される第1斜めブレースと、円筒状の部材であり、前記レグと接続され、且つ、前記第1斜めブレースと交わる第2斜めブレースと、前記レグと、前記第1斜めブレースと、前記第2斜めブレースと、に支持され、且つ、洋上風車が設置される台と、を備える洋上風車用ジャケット構造物の溶接方法であって、前記第1斜めブレースの外径は、前記第2斜めブレースの外径より、大きく、前記第1斜めブレースと前記第2斜めブレースとの交点と、前記第2斜めブレースと前記レグの1つとの交点と、を両面溶接する両面溶接工程と、前記両面溶接工程の後、前記第2斜めブレースの円筒状部分であって、前記第2斜めブレースと第1斜めブレースとの交点を含む所定範囲内の円筒状部分であるブレース近傍部分と、前記第2斜めブレースの円筒状部分であって、前記第2斜めブレースと前記第1斜めブレースとの交点から前記ブレース近傍部分よりも遠い円筒状部分であるブレース遠隔部分と、の間を片面溶接するとともに、前記第2斜めブレースの円筒状部分であって、前記第2斜めブレースと前記1つとの交点を含む所定範囲内の円筒状部分であるレグ近傍部分と、前記第2斜めブレースの円筒状部分であって、前記第2斜めブレースと前記1つとの交点から前記レグ近傍部分より遠い円筒状部分であるレグ遠隔部分と、の間を片面溶接する片面溶接工程と、を備えることを特徴とする。
【0040】
この発明によれば、第1斜めブレースと第2斜めブレースとの交点と、第2斜めブレースとレグの1つとの交点と、を両面溶接する両面溶接工程と、両面溶接工程の後、ブレース近傍部分と、ブレース遠隔部分と、の間を片面溶接するとともに、レグ近傍部分と、レグ遠隔部分と、の間を片面溶接する片面溶接工程と、を備える。
【0041】
ここで、第1斜めブレースが一体の円筒状の部材である場合に、第1斜めブレースの両端部をレグに両面溶接することは、溶接作業後に第1斜めブレースの内部に作業者が取り残されることとなり、不可能である。これに対し、両面溶接工程の後に片面溶接工程を行うことで、作業者が内部に取り残されることを避けつつ、第1斜めブレースと第2斜めブレースとの交点と、第2斜めブレースとレグの1つとの交点とを両面溶接することができる。よって、両面溶接されたそれぞれの交点の溶接強度を確保することができる。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、接続部に十分な疲労強度を確保することができる洋上風車用ジャケット構造物及び洋上風車用ジャケット構造物の溶接方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本実施形態に係る洋上風車用ジャケット構造物の正面図である。
図2図1に示すII部の拡大断面図である。
図3】K形開先の拡大図である。
図4】レグの軸方向から見た場合の、第1斜めブレースと第2斜めブレース、又は第3斜めブレースと第4斜めブレース、の位置関係である。
図5図1に示すV部の拡大断面図である。
図6図1に示すVI部の拡大断面図である。
図7】第2斜めブレースの軸方向から見た場合の、第2近傍部分と第2遠隔部分の位置関係である。
図8】第2斜めブレースの軸方向から見た場合の、第2レグ近傍部分と第2レグ遠隔部分の位置関係である。
図9】レ形開先の拡大図である。
図10】第1斜めブレースの軸方向から見た場合の、第1斜めブレースと第2斜めブレースとの交点の断面図である。
図11】第2実施形態における、図1に示すV部の拡大断面図である。
図12】第2実施形態における、図1に示すVI部の拡大断面図である。
図13図1に示すV部の変形例の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
(第1実施形態)
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る洋上風車用ジャケット構造物100及び洋上風車用ジャケット構造物100の溶接方法を説明する。
洋上風車用ジャケット構造物100は、海底等の地盤に打設された杭Lを介して、洋上に設置される。図1に示すように、洋上風車用ジャケット構造物100は、洋上風車300を支持するために用いる。
【0045】
(洋上風車用ジャケット構造物100について)
図1に示すように、洋上風車用ジャケット構造物100は、レグ10と、台20と、スカートスリーブ30と、第1斜めブレース40と、第2斜めブレース50と、第3斜めブレース60と、第4斜めブレース70と、を備える。
【0046】
レグ10は、洋上風車用ジャケット構造物100において複数設けられる。本実施形態において、レグ10の個数は4である。図1に示すように、レグ10は、例えば、鉛直方向に延びる。レグ10の管軸は、例えば、鉛直方向に対して傾いている。レグ10の上端は台20に接続される。レグ10の下端はスカートスリーブ30を介して杭Lに接続される。レグ10には、例えば、鋼管が好適に用いられる。レグ10には、第1斜めブレース40、第2斜めブレース50、第3斜めブレース60、及び第4斜めブレース70が接続される。
【0047】
本実施形態において、第2斜めブレース50と複数設けられたレグ10の1つとの交点には、図2に示すように、両面溶接部BWが設けられる。つまり、第2斜めブレース50と複数設けられたレグ10の1つとは、両面溶接される。これにより、第2斜めブレース50とレグ10との接続部に十分な疲労強度を確保する。このとき、両面溶接部BWには、例えば、図3に示すように、両側開先又はK形開先Kが設けられている。
図1に示すように、レグ10は、第1レグキャン部分11と、第2レグキャン部分12と、直管部13と、を含む。
【0048】
第1レグキャン部分11は、複数のレグ10のうちの1つの部分である。第1レグキャン部分11は、複数のレグ10のうちの1つと第1斜めブレース40の端部との交点を含む。つまり、第1レグキャン部分11には、第1斜めブレース40が接続される。また、第1レグキャン部分11には、第3斜めブレース60が接続される(詳細は後述する)。本実施形態において、第1レグキャン部分11の長さであってレグ10の1つの長手方向に沿った長さは、例えば、第1斜めブレース40の外径の1.5~2.5倍である。
【0049】
第2レグキャン部分12は、複数のレグ10のうちの1つの部分である。第2レグキャン部分12は、複数のレグ10のうちの1つと第2斜めブレース50の端部との交点を含む。つまり、第2レグキャン部分12には、第2斜めブレース50が接続される。また、第2レグキャン部分12には、第4斜めブレース70が接続される(詳細は後述する)。本実施形態において、第2レグキャン部分12の長さであってレグ10の1つの長手方向に沿った長さは、例えば、第2斜めブレース50の外径の1.5~2.5倍である。
直管部13は、レグ10のうち、第1レグキャン部分11及び第2レグキャン部分12以外の部分である。直管部13は、例えば、第1レグキャン部分11と第2レグキャン部分12との間に位置する。
【0050】
本実施形態において、レグ10の1つにおける、第1レグキャン部分11と第2レグキャン部分12とは、以下の関係を有する。
例えば、第1レグキャン部分11の長さであってレグ10の1つの長手方向に沿った長さは、第2レグキャン部分12の長さであってレグ10の1つの長手方向に沿った長さより、長い。これにより、第1レグキャン部分11に接続される第1斜めブレース40の径が、第2レグキャン部分12に接続される第2斜めブレース50の径よりも大きいことに対応する(詳細は後述する)。
【0051】
例えば、第1レグキャン部分11の鋼材の強度は、第2レグキャン部分12の鋼材の強度より、弱い。具体的には、以下のようにして上述の関係を担保する。
例えば、第1レグキャン部分11の板厚を、第2レグキャン部分12の板厚より、薄くする。例えば、第1レグキャン部分11に、第2レグキャン部分12よりも強度の低い鋼材を用いる。この場合、第1レグキャン部分11の鋼材は、例えば、SM490Y又はSM520である。第2レグキャン部分12の鋼材は、例えば、SA440である。
上述のように、第1レグキャン部分11と第2レグキャン部分12とで異なる鋼材が用いられる場合、第1レグキャン部分11、第2レグキャン部分12、及び直管部13は、例えば、溶接により接続される。
【0052】
また、レグ10の第1レグキャン部分11及び第2レグキャン部分12の外径は、それぞれ後述する第1斜めブレース40の第1レグ近傍部分43及び第2斜めブレース50の第2レグ近傍部分54の外径よりも大きいことが好ましい。このような構成とすることで、例えば、図4に示すように、第1レグ近傍部分43又は第2レグ近傍部分54をそれぞれ第1レグキャン部分11又は第2レグキャン部分12の側面に合わせた時、つまり、第1斜めブレース40の軸方向の端部又は第2斜めブレース50の軸方向の端部をレグ10の外周面に突き当てるようにした時、レグ10の軸方向から見て、第1斜めブレース40又は第2斜めブレース50の径方向の端部が、第1レグキャン部分11又は第2レグキャン部分12の径方向の端部よりも、レグ10の軸中心に近い側に位置することとなる。
【0053】
すると、例えば、図4に示すように、第1斜めブレース40の軸方向及びレグ10の軸方向の両方に直交する方向において、第1斜めブレース40の径方向の端部と、第1レグキャン部分11の外周面と、のなす角度である角度Aが、第1斜めブレース40の外径と第1レグキャン部分11の外径が等しい場合に180°であるとした場合に、より直角に近い状態となる。第2斜めブレース50の軸方向及びレグ10の軸方向の両方に直交する方向において、第2斜めブレース50の径方向の端部と、第2レグキャン部分12の外周面と、のなす角度である角度Aが、第2斜めブレース50の外径と第2レグキャン部分12の外径が等しい場合に180°であるとした場合に、より直角に近い状態となる。このような態様とすることで、第1斜めブレース40又は第2斜めブレース50の端部に両側開先又はK形開先Kを設け易くする。
【0054】
台20は、図1に示すように、洋上風車300が設置される。且つ、台20は、複数のレグ10を介し、第1斜めブレース40、第2斜めブレース50、第3斜めブレース60、及び第4斜めブレース70に支持される。台20は、海洋構造物として用いられる公知のジャケット構造体における、いわゆるトランジションピースである。
【0055】
スカートスリーブ30は、レグ10の下端に設けられ、レグ10と杭Lとを接続するために用いられる部位である。これにより、洋上風車用ジャケット構造物100を、海底等の地盤に打設された杭Lを介して洋上に設置する。
【0056】
第1斜めブレース40は、円筒状の部材である。第1斜めブレース40には、例えば、鋼管が好適に用いられる。本実施形態において、第1斜めブレース40の外径は、第1斜めブレース40の全長にわたって同径である。第1斜めブレース40は、第1近傍部分41と、第1遠隔部分42と、第1レグ近傍部分43と、第1レグ遠隔部分44と、を含む(図2図5参照)。
【0057】
図5に示すように、第1近傍部分41は、第1斜めブレース40の円筒状部分であって、第1斜めブレース40と第2斜めブレース50との交点を含む所定範囲内の円筒状部分である。前記所定範囲は、第1斜めブレース40の長手方向における範囲をいう。前記所定範囲は、第1近傍部分41の外径の1.5~2.5倍程度であることが好ましい。
第1遠隔部分42は、第1斜めブレース40の円筒状部分であって、第1近傍部分41より交点から遠い円筒状部分である。
【0058】
図2に示すように、第1レグ近傍部分43は、第1斜めブレース40の円筒状部分であって、第1斜めブレース40とレグ10の1つとの交点を含む所定範囲内の円筒状部分である。前記所定範囲は、第1斜めブレース40の長手方向における範囲をいう。前記所定範囲の寸法は断面力分布やブレース径に基づき適宜設定可能である。前記所定範囲は、溶接の作業性を考慮して、2.0m以下とすることが好ましい。
第1レグ遠隔部分44は、第1斜めブレース40の円筒状部分であって、第1斜めブレース40とレグ10の1つとの交点から第1レグ近傍部分43より遠い円筒状部分である。
【0059】
第2斜めブレース50は、円筒状の部材であり、且つ、第1斜めブレース40と交わる。第2斜めブレース50には、例えば、鋼管が好適に用いられる。図1図5に示すように、第2斜めブレース50は2つの円筒状部材を備える。言い換えれば、第2斜めブレース50は、2つに分断されている。図1に示すように、第1斜めブレース40と第2斜めブレース50とはX字状に配置される。前記X字状は、例えば、洋上風車用ジャケット構造物100において1段のみ設けられてもよい。本実施形態において、前記X字状は、上下方向に2段設けられる(詳細は後述する)。また、前記X字状は、上下方向に3段以上設けられてもよい。本実施形態において、第1斜めブレース40と第2斜めブレース50との交点には、図5に示すように、両面溶接部BWが設けられる。つまり、第1斜めブレース40と第2斜めブレース50とは、両面溶接される。より具体的には、第2斜めブレース50の備える円筒状部材のそれぞれは、交点において、第1斜めブレース40に両面溶接により接合される。これにより、第1斜めブレース40と第2斜めブレース50との接続部に十分な疲労強度を確保する。両面溶接部BWには、例えば、図3に示すように、両側開先又はK形開先Kが設けられている。
【0060】
第2斜めブレース50は、第2近傍部分51と、第2遠隔部分52と、テーパー部分53と、第2レグ近傍部分54と、第2レグ遠隔部分55と、レグテーパー部分56と、を含む(図5図6参照)。
第2近傍部分51は、第2斜めブレース50の円筒状部分であって、第2斜めブレース50と第1斜めブレース40との交点を含む所定範囲内の円筒状部分である。前記所定範囲は、第2斜めブレース50の長手方向における範囲をいう。前記所定範囲の寸法は断面力分布やブレース径に基づき適宜設定可能である。前記所定範囲は、溶接の作業性を考慮して、2.0m以下とすることが好ましく、1.5m以下とすることがより好ましい。
【0061】
第2遠隔部分52は、第2斜めブレース50の円筒状部分であって、第2斜めブレース50と第1斜めブレース40との交点から第2近傍部分51より遠い円筒状部分である。本実施形態において、第2近傍部分51と第2遠隔部分52との間には、片面溶接部OWが設けられる。つまり、第2近傍部分51と第2遠隔部分52とは、片面溶接により接続される(詳細は後述する)。
第2近傍部分51及び第2遠隔部分52のそれぞれの外径及び内径の関係は、次の通りである。
すなわち、第2近傍部分51の外径は、第2遠隔部分52の外径以上である。つまり、第2近傍部分51の外径は第2遠隔部分52の外径と等しい、又は第2遠隔部分52の外径よりも大きい。第2近傍部分51の外周面は、第2遠隔部分52の外周面と面一である、又は、第2遠隔部分52の外周面よりも径方向の外側に位置する。ここで、面一であるとは、第2近傍部分51の外周面が、第2遠隔部分52の外周面よりも外側に位置せず、且つ、第2遠隔部分52の外周面よりも内側に位置しないことを意味する。
【0062】
また、第2近傍部分51の内径は、少なくとも第2遠隔部分52の内径以下である。第2近傍部分51の内周面は、第2遠隔部分52の内周面と面一であってもよい。ここで、面一であるとは、第2斜めブレース50の径方向において、第2近傍部分51の内周面が、第2遠隔部分52の内周面よりも内側に位置せず、且つ、第2遠隔部分52の内周面よりも外側に位置しないことを意味する。すなわち、第2近傍部分51の内径が第2遠隔部分52の内径と等しいことを意味する。第2近傍部分51の内周面は、第2遠隔部分52の内周面よりも径方向の内側に位置してもよい。
【0063】
例えば、図5に示すように、本実施形態において、第2近傍部分51の外周面は、第2遠隔部分52の外周面と面一である。第2近傍部分51の内周面は、第2遠隔部分52の内周面よりも径方向の内側に位置する。このような関係を有することにより、第2斜めブレース50の長手方向の軸と直交する平面に第2近傍部分51を投影した際の正射影は、平面に第2遠隔部分52を投影した際の正射影を覆う。言い換えれば、図7に示すように、第2斜めブレース50の軸方向から見て、第2遠隔部分52の断面は、第2近傍部分51の断面の内部に位置する。このため、第2斜めブレース50の長手方向の軸と直交する平面における第2近傍部分51の断面積は、第2遠隔部分52の断面積よりも大きい。また、第2近傍部分51の板厚は、第2遠隔部分52の板厚よりも大きい。
【0064】
テーパー部分53は、第2近傍部分51の内側面と第2遠隔部分52の内側面との間に設けられる。より具体的には、テーパー部分53は、図5に示すように、第2近傍部分51の内側面と第2遠隔部分52の内側面との間を繋ぐように傾斜状に設けられた部位である。テーパー部分53は、第2近傍部分51と第2遠隔部分52との間を連続的に変化させて、第2近傍部分51と第2遠隔部分52とを接続する。
【0065】
本実施形態において、テーパー部分53は、第2近傍部分51と一体に形成される。第2近傍部分51と第2遠隔部分52とは、テーパー部分53と第2遠隔部分52とを溶接することで接続される。なお、テーパー部分53と第2遠隔部分52とは、第2斜めブレース50の内側から片面溶接される。また、図9に示すように、テーパー部分53の内側面と第2遠隔部分52の内側面との間には、レ形開先SB又はV形開先が設けられる。第2近傍部分51の板厚と第2遠隔部分52の板厚との差が小さい場合、第2近傍部分51と第2遠隔部分52とを直接溶接してもよい。この場合は、当該溶接部をテーパー部分53としてもよい。
【0066】
第2レグ近傍部分54は、図6に示すように、第2斜めブレース50の円筒状部分であって、第2斜めブレース50とレグ10の1つとの交点を含む所定範囲内の円筒状部分である。前記所定範囲は、第2斜めブレース50の長手方向における範囲をいう。前記所定範囲の寸法は断面力分布やブレース径に基づき適宜設定可能である。前記所定範囲は、溶接の作業性を考慮して、1.5m以下とすることが好ましい。
【0067】
第2レグ遠隔部分55は、第2斜めブレース50の円筒状部分であって、第2斜めブレース50とレグ10の1つとの交点から第2レグ近傍部分54より遠い円筒状部分である。本実施形態において、第2レグ近傍部分54と第2レグ遠隔部分55との間には、片面溶接部OWが設けられる。つまり、第2レグ近傍部分54と第2レグ遠隔部分55とは、片面溶接により接続される(詳細は後述する)。
第2レグ近傍部分54及び第2レグ遠隔部分55のそれぞれの外径及び内径の関係は、次の通りである。
すなわち、第2レグ近傍部分54の外周面は、第2レグ遠隔部分55の外周面よりも径方向の外側に位置する。つまり、第2レグ近傍部分54の外径は第2レグ遠隔部分55の外径よりも大きい。
【0068】
また、第2レグ近傍部分54の内径は、少なくとも第2レグ遠隔部分55の内径以下である。第2レグ近傍部分54の内周面は、第2レグ遠隔部分55の内周面と面一であってもよい。ここで、面一であるとは、第2斜めブレース50の径方向において、第2レグ近傍部分54の内周面が、第2レグ遠隔部分55の内周面よりも内側に位置せず、且つ、第2レグ遠隔部分55の内周面よりも外側に位置しないことを意味する。すなわち、第2レグ近傍部分54の内径が第2レグ遠隔部分55の内径と等しいことを意味する。第2レグ近傍部分54の内周面は、第2レグ遠隔部分55の内周面よりも径方向の内側に位置してもよい。
【0069】
例えば、図6に示すように、本実施形態において、第2レグ近傍部分54の外周面は、第2レグ遠隔部分55の外周面よりも径方向の外側に位置する。第2レグ近傍部分54の内周面は、第2レグ遠隔部分55の内周面と面一である。このような関係を有することにより、第2斜めブレース50の長手方向の軸と直交する平面に第2レグ近傍部分54を投影した際の正射影は、平面に第2レグ遠隔部分55を投影した際の正射影を覆う。言い換えれば、図8に示すように、第2斜めブレース50の軸方向から見て、第2レグ遠隔部分55の断面は、第2レグ近傍部分54の断面の内部に位置する。このため、第2斜めブレース50の長手方向の軸と直交する平面における第2レグ近傍部分54の断面積は、第2レグ遠隔部分55の断面積よりも大きい。また、第2レグ近傍部分54の板厚は、第2レグ遠隔部分55の板厚よりも大きい。
【0070】
レグテーパー部分56は、図6に示すように、第2レグ近傍部分54の外側面と第2レグ遠隔部分55の外側面との間を繋ぐように傾斜状に設けられた部位である。レグテーパー部分56は、第2レグ近傍部分54と第2レグ遠隔部分55との間を連続的に変化させて、第2レグ近傍部分54と第2レグ遠隔部分55とを接続する。
【0071】
本実施形態において、レグテーパー部分56は、第2レグ近傍部分54と一体に形成される。第2レグ近傍部分54と第2レグ遠隔部分55とは、レグテーパー部分56と第2レグ遠隔部分55とを溶接することで接続される。なお、レグテーパー部分56と第2レグ遠隔部分55とは、第2斜めブレース50の外側から片面溶接される。また、図9に示すように、レグテーパー部分56の外側面と第2レグ遠隔部分55の外側面との間には、レ形開先SB又はV形開先が設けられる。第2レグ近傍部分54の板厚と第2レグ遠隔部分55の板厚との差が小さい場合、第2レグ近傍部分54と第2レグ遠隔部分55とを直接溶接してもよい。この場合は、当該溶接部をレグテーパー部分56としてもよい。
【0072】
上述のように、第1斜めブレース40と第2斜めブレース50との交点は、両面溶接される。これにより、第1斜めブレース40と第2斜めブレース50との接続部に十分な強度を確保する。このとき、図3に示すように、第1斜めブレース40と第2斜めブレース50との交点には、両側開先又はK形開先Kが設けられている。
【0073】
また、図5に示すように、第1斜めブレース40の外径は、第2斜めブレース50の外径より、大きい。つまり、第1斜めブレース40の外径は、少なくとも第2斜めブレース50の第2近傍部分51の外径よりも大きい。このような構成とすることで、第2近傍部分51を第1近傍部分41の側面に合わせた時、図10に示すように、第1近傍部分41の軸方向から見て、第2斜めブレース50の径方向(すなわち、紙面上下方向)の端部が、第1近傍部分41の径方向の端部よりも、第1近傍部分41の軸中心に近い側に位置することとなる。
【0074】
すると、例えば、図10に示すように、第1斜めブレース40の軸方向に沿って見て、第2斜めブレース50の径方向の端部と、第1近傍部分41の外周面と、のなす角度である角度Bが、第2斜めブレース50の外径と第1近傍部分41の外径が等しい場合に180°であるとした場合に、より直角に近い状態となる。このような態様とすることで、第2斜めブレース50の端部に両側開先又はK形開先Kを設け易くする。
【0075】
第3斜めブレース60は、図4に示すように、円筒状の部材である。第3斜めブレース60には、例えば、鋼管が好適に用いられる。上述のように、第3斜めブレース60は、図4に示すように、第1斜めブレース40とともにレグ10の第1レグキャン部分11に接続される。上述のように、本実施形態において、洋上風車用ジャケット構造物100におけるレグ10の個数は4である。このため、例えば、図4に示すように、レグ10の軸方向から見て、第3斜めブレース60と第1斜めブレース40とは略直交する。例えば、図1において、第1斜めブレース40が紙面左右方向に位置する場合、第3斜めブレース60は、紙面奥行き方向に位置する。
【0076】
図1及び図4に示すように、第1斜めブレース40の第1レグ近傍部分43が接続される第1レグキャン部分11に、第3斜めブレース60が接続される。
第3斜めブレース60の構成は、例えば、上述した第1斜めブレース40の構成と同様である。例えば、本実施形態において、第3斜めブレース60の外径は、第2斜めブレース50の外径より大きい。第3斜めブレース60の外径は、第3斜めブレース60の全長にわたって同径であってもよい。
【0077】
第4斜めブレース70は、円筒状の部材である。第4斜めブレース70には、例えば、鋼管が好適に用いられる。上述のように、第4斜めブレース70は、第2斜めブレース50とともにレグ10の第2レグキャン部分12に接続される。上述のように、本実施形態において、洋上風車用ジャケット構造物100におけるレグ10の個数は4である。このため、例えば、図4に示すように、レグ10の軸方向から見た時、第4斜めブレース70は、第2斜めブレース50に直交する。例えば、図1において、第2斜めブレース50が紙面左右方向に位置する場合、第4斜めブレース70は、紙面奥行き方向に位置する。
【0078】
図1及び図4に示すように、第2斜めブレース50の第2レグ近傍部分54が接続される第2レグキャン部分12に、第4斜めブレース70が接続される。
第4斜めブレース70の構成は、例えば、上述した第2斜めブレース50の構成と同様である。例えば、本実施形態において、第4斜めブレース70の外径は、第1斜めブレース40の外径より小さい。第4斜めブレース70は2つの円筒状部材を備える。言い換えれば、第4斜めブレース70は、2つに分断されている。
上記各構成により、本実施形態に係る洋上風車用ジャケット構造物100を構成する。
【0079】
以上説明したように、本実施形態に係る洋上風車用ジャケット構造物100によれば、第1斜めブレース40と第2斜めブレース50との交点は、両面溶接される。これにより、第1斜めブレース40と第2斜めブレース50との接続部に十分な疲労強度を確保することができる。
【0080】
また、第1斜めブレース40の外径は、第2斜めブレース50の外径より、大きい。これにより、第1斜めブレース40と第2斜めブレース50との交点を両面溶接しやすくすることができる。
【0081】
また、複数のレグ10のうちの1つと第1斜めブレース40の端部との交点を含む第1レグキャン部分11の板厚は、複数のレグ10のうちの1つと第2斜めブレース50の端部との交点を含む第2レグキャン部分12の板厚より、薄い。これにより、第1レグキャン部分11の板厚を抑えることができる。よって、レグ10の材料費用を抑えることができる。
【0082】
また、複数のレグ10のうちの1つと第1斜めブレース40の端部との交点を含む第1レグキャン部分11の鋼材の強度は、複数のレグ10のうちの1つと第2斜めブレース50の端部との交点を含む第2レグキャン部分12の鋼材の強度より、弱い。これにより、第1レグキャン部分11に安価な材料を用いることができる。よって、レグ10の材料費用を抑えることができる。
【0083】
また、第1レグキャン部分11の鋼材は、SM490Y又はSM520であり、第2レグキャン部分12の鋼材は、SA440である。これにより、第1レグキャン部分11の鋼材の強度を第2レグキャン部分12の鋼材の強度より弱くすることができる。よって、レグ10の材料費用を抑えることができる。
【0084】
また、第1レグキャン部分11の長さであって1つの長手方向に沿った長さは、第2レグキャン部分12の長さであって長手方向に沿った長さより、長い。これにより、例えば、第1斜めブレース40の外径が第2斜めブレース50の外径より大きい場合に、第1レグキャン部分11の長さを十分なものにしつつ、第2レグキャン部分12の長さを抑えることができる。よって、レグ10の材料費用を抑えることができる。
【0085】
また、複数のレグ10のうちの1つと第1斜めブレース40の端部との交点を含む第1レグキャン部分11には、第3斜めブレース60が接続され、第3斜めブレース60の外径は、第2斜めブレース50の外径より、大きい。これにより、例えば、第1斜めブレース40の外径と第3斜めブレース60の外径とを同じにした場合に、第1レグキャン部分11に接続される第1斜めブレース40及び第3斜めブレース60の断面を統一することができる。よって、ジャケット構造体の製作時における部品の管理を容易にすることができる。また、ジャケット構造体の構造計算を容易にすることができる。
【0086】
また、複数のレグ10のうちの1つと第2斜めブレース50の端部との交点を含む第2レグキャン部分12には、第4斜めブレース70が接続され、第4斜めブレース70の外径は、第1斜めブレース40の外径より小さい。これにより、例えば、第2斜めブレース50の外径と第4斜めブレース70の外径とを同じにした場合に、第2レグキャン部分12に接続される第2斜めブレース50及び第4斜めブレース70の断面を統一することができる。よって、ジャケット構造体の製作時における部品の管理を容易にすることができる。また、ジャケット構造体の構造計算を容易にすることができる。
【0087】
また、第2近傍部分51の外径は、第2遠隔部分52の外径以上であり、第2近傍部分51の内径は、第2遠隔部分52の内径以下である。よって、第2近傍部分51の板厚は、少なくとも第2遠隔部分52と同じか、第2遠隔部分52よりも大きくなる。これにより、第2斜めブレース50における交点の強度を確保することができる。また、第2近傍部分51の板厚を大きくした場合は、第1近傍部分41との交点において第2近傍部分51をより容易に両面溶接することができる。これにより疲労強度を向上することができる。
また、第2遠隔部分52の板厚を第2近傍部分51よりも小さくすることで、第2近傍部分51に曲げモーメント等に対する十分な強度を確保しつつ、第2斜めブレース50全体の重量が必要以上に増加することを防ぐことができる。
【0088】
また、第2近傍部分51の内側面と第2遠隔部分52の内側面との間に設けられるテーパー部分53を備える。これにより、第2近傍部分51と第2遠隔部分52との間を連続的に変化させることで第2近傍部分51と第2遠隔部分52とを接続することができる。よって、第2近傍部分51と第2遠隔部分52との接続部に生じる応力集中を抑えることができる。
【0089】
また、テーパー部分53と第2遠隔部分52とは、第2斜めブレース50の内側から片面溶接される。ここで、第2近傍部分51の内径が第2遠隔部分52の内径以下である場合、テーパー部分53と第2遠隔部分52との境目は、第2斜めブレース50の内側面において応力集中が発生しやすい。溶接欠陥は、溶接部におけるルート部分において特に発生しやすい。第2斜めブレース50の内側から片面溶接することで、ルート部分を第2斜めブレース50の外側に配置することができる。したがって、テーパー部分53と第2遠隔部分52との境目において、応力集中が発生しやすい箇所から溶接のルート部分を遠ざけることができる。よって、前記境目における疲労寿命の低下を抑えることができる。
【0090】
また、第1斜めブレース40の外径は、第1斜めブレース40の全長にわたって同径である。これにより、例えば、第1斜めブレース40の外周面に、防錆用のステンレス板等を設けやすくすることができる。
【0091】
また、第1斜めブレース40と第2斜めブレース50との交点と、第2斜めブレース50とレグ10の1つとの交点と、に設けられた両面溶接部BWを備える。つまり、第1斜めブレース40と第2斜めブレース50との交点と、第2斜めブレース50とレグ10の1つとの交点と、はそれぞれ両面溶接されている。これにより、第1斜めブレース40と第2斜めブレース50との交点と、第2斜めブレース50とレグ10の1つとの交点と、に十分な疲労強度を確保することができる。
【0092】
ブレース近傍部分とブレース遠隔部分との間と、レグ10近傍部分とレグ10遠隔部分との間と、に設けられた片面溶接部OWを備える。つまり、ブレース近傍部分とブレース遠隔部分との間と、レグ10近傍部分とレグ10遠隔部分との間と、はそれぞれ片面溶接されている。これにより、例えば、ジャケット構造体における各溶接部分を両面溶接することによって、ジャケット構造体の内部に作業者が取り残されることを避けることができる。
【0093】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態の第2洋上風車用ジャケット構造物200を、図11図12を参照して説明する。
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0094】
第2洋上風車用ジャケット構造物200は、特に第2斜めブレース50との態様が、洋上風車用ジャケット構造物100と異なる。
具体的には、第2洋上風車用ジャケット構造物200の第2斜めブレース50は、第2遠隔部分52の外径が、第2近傍部分51の外径以上であり、第2遠隔部分52の内径が、第2近傍部分51の内径以下である。すなわち、例えば、図11に示すように、第2近傍部分51の外周面は、第2遠隔部分52の外周面よりも外周面の内側に位置する。第2近傍部分51の内周面は、第2遠隔部分52の内周面と面一である。テーパー部分53は、第2近傍部分51の外側面と第2遠隔部分52の外側面との間に設けられる。そして、テーパー部分53が、第2遠隔部分52と一体に形成される。これらの点で、洋上風車用ジャケット構造物100の第2斜めブレース50と相違する。第2近傍部分51と第2遠隔部分52とは、テーパー部分53と第2近傍部分51とが、第2斜めブレース50の外側から片面溶接されることで接続される。
【0095】
これに合わせ、第2洋上風車用ジャケット構造物200の第2斜めブレース50は、第2レグ遠隔部分55の外径が、第2レグ近傍部分54の外径以上であり、第2レグ遠隔部分55の内径が、第2レグ近傍部分54の内径以下である。すなわち、例えば、図12に示すように、第2レグ近傍部分54の外周面は、第2レグ遠隔部分55の外周面よりも径方向の内側に位置する。第2レグ近傍部分54の内周面は、第2レグ遠隔部分55の内周面と面一である。また、レグテーパー部分56は、第2レグ遠隔部分55と一体に形成される。第2レグ近傍部分54と第2レグ遠隔部分55とは、レグテーパー部分56と第2レグ近傍部分54とが片面溶接されることで接続される。
【0096】
以上説明したように、本実施形態に係る第2洋上風車用ジャケット構造物200によれば、第2遠隔部分52の外径は、第2近傍部分51の外径以上であり、第2遠隔部分52の内径は、第2近傍部分51の内径以下である。よって、第2遠隔部分52の板厚は、少なくとも第2近傍部分51と同じか、第2近傍部分51よりも大きくなる。これにより、第2遠隔部分52に曲げモーメント等に対する十分な強度を確保することができる。
【0097】
また、第2近傍部分51の外側面と第2遠隔部分52の外側面との間に設けられるテーパー部分53を備える。これにより、第2近傍部分51と第2遠隔部分52との間を連続的に変化させることで第2近傍部分51と第2遠隔部分52とを接続することができる。よって、第2近傍部分51と第2遠隔部分52との接続部に生じる応力集中を抑えることができる。
【0098】
また、テーパー部分53と第2近傍部分51とは、第2斜めブレース50の外側から片面溶接される。ここで、第2遠隔部分52の外径が第2近傍部分51の外径以上である場合、テーパー部分53と第2近傍部分51との境目は、第2斜めブレース50の外側面において応力集中が発生しやすい。溶接欠陥は、溶接部におけるルート部分において特に発生しやすい。第2斜めブレース50の外側から片面溶接することで、ルート部分を第2斜めブレース50の内側に配置することができる。したがって、テーパー部分53と第2近傍部分51との境目において、応力集中が発生しやすい箇所から溶接のルート部分を遠ざけることができる。よって、前記境目における疲労寿命の低下を抑えることができる。
【0099】
(洋上風車用ジャケット構造物100の溶接方法について)
次に、上述した第1実施形態及び第2実施形態に係る洋上風車用ジャケット構造物100の溶接方法について説明する。以下に説明する溶接方法によって、洋上風車用ジャケット構造物100の内部に作業者が取り残されることを回避する。
以下において、第2斜めブレース50の円筒状部分であって、第2斜めブレース50と第1斜めブレース40との交点を含む所定範囲内の円筒状部分をブレース近傍部分と呼称する。つまり、第2近傍部分51をブレース近傍部分と呼称する。
第2斜めブレース50の円筒状部分であって、第2斜めブレース50と第1斜めブレース40との交点からブレース近傍部分よりも遠い円筒状部分をブレース遠隔部分と呼称する。つまり、第2遠隔部分52をブレース遠隔部分と呼称する。
【0100】
第2斜めブレース50の円筒状部分であって、第2斜めブレース50とレグ10の1つとの交点を含む所定範囲内の円筒状部分をレグ10近傍部分と呼称する。つまり、第2レグ近傍部分54をレグ10近傍部分と呼称する。
第2斜めブレース50の円筒状部分であって、第2斜めブレース50とレグ10の1つとの交点からレグ10近傍部分より遠い円筒状部分をレグ10遠隔部分と呼称する。つまり、第2レグ遠隔部分55をレグ10遠隔部分と呼称する。
【0101】
本実施形態に係る溶接方法は、両面溶接工程と、片面溶接工程と、を備える。
両面溶接工程では、第1斜めブレース40と第2斜めブレース50との交点を両面溶接する。また、第2斜めブレース50とレグ10の1つとの交点を両面溶接する。
片面溶接工程は、両面溶接工程の後に行う。片面溶接工程は、ブレース近傍部分とブレース遠隔部分との間を片面溶接する。また、レグ近傍部分とレグ遠隔部分との間を片面溶接する。
上記工程により、本実施形態に係る洋上風車用ジャケット構造物100を構成する。
【0102】
以上説明したように、本実施形態に係る洋上風車用ジャケット構造物100の溶接方法によれば、第1斜めブレース40と第2斜めブレース50との交点と、第2斜めブレース50とレグ10の1つとの交点と、を両面溶接する両面溶接工程と、両面溶接工程の後、ブレース近傍部分と、ブレース遠隔部分と、の間を片面溶接するとともに、レグ10近傍部分と、レグ10遠隔部分と、の間を片面溶接する片面溶接工程と、を備える。
【0103】
ここで、第1斜めブレース40が一体の円筒状の部材である場合に、第1斜めブレース40の両端部をレグ10に両面溶接することは、溶接作業後に第1斜めブレース40の内部に作業者が取り残されることとなり、不可能である。これに対し、両面溶接工程の後に片面溶接工程を行うことで、作業者が内部に取り残されることを避けつつ、第1斜めブレース40と第2斜めブレース50との交点と、第2斜めブレース50とレグ10の1つとの交点とを両面溶接することができる。よって、両面溶接されたそれぞれの交点の溶接強度を確保することができる。
【0104】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、第1斜めブレース40の外径は、第1斜めブレース40の全長にわたって同径であると説明したが、これに限らない。例えば、第1近傍部分41の外径は、第1遠隔部分42の外径以上であってもよい。第1遠隔部分42の外径は、第1近傍部分41の外径以上であってもよい。
また、洋上風車用ジャケット構造物100を構成する各鋼管部材は、円筒状に限らず角筒状でもよい。
また、レグ10の第1レグキャン部分11及び第2レグキャン部分12の外径は、例えば、直管部13と同じであってもよい。レグ10の第1レグキャン部分11及び第2レグキャン部分12の外径は、例えば、直管部13より大きくてもよい。
また、テーパー部分53は、第2近傍部分51の外側面と第2遠隔部分52の外側面との間に設けられてもよい。すなわち、例えば、図13に示すように、第2近傍部分51の外周面が第2遠隔部分52の外周面よりも径方向の外側に位置し、第2近傍部分51の内周面が、第2遠隔部分52の内周面と面一となるようにしてもよい。
また、第2レグ近傍部分54の外径は第2レグ遠隔部分55の外径と同じであってもよい。
また、レグテーパー部分56は、第2レグ近傍部分54の内側面と第2レグ遠隔部分55の内側面との間に設けられてもよい。
【0105】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0106】
10 レグ
11 第1レグキャン部分
12 第2レグキャン部分
13 直管部
20 台
30 スカートスリーブ
40 第1斜めブレース
41 第1近傍部分
42 第1遠隔部分
43 第1レグ近傍部分
44 第1レグ遠隔部分
50 第2斜めブレース
51 第2近傍部分
52 第2遠隔部分
53 テーパー部分
54 第2レグ近傍部分
55 第2レグ遠隔部分
56 レグテーパー部分
60 第3斜めブレース
70 第4斜めブレース
100 洋上風車用ジャケット構造物
200 第2洋上風車用ジャケット構造物
300 洋上風車
BW 両面溶接部
K K形開先
L 杭
OW 片面溶接部
SB レ形開先
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2023-07-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の部材である第1斜めブレースと、
円筒状の部材であり、且つ、前記第1斜めブレースと交わる第2斜めブレースと、
洋上風車が設置され、且つ、前記第1斜めブレース及び前記第2斜めブレースに支持される台と、
を備える洋上風車用ジャケット構造物であって、
前記第1斜めブレースと前記第2斜めブレースとの交点は、溶接され、
前記溶接は、両面溶接である、
ことを特徴とする洋上風車用ジャケット構造物。
【請求項2】
前記第1斜めブレースの外径は、前記第2斜めブレースの外径より、大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載の洋上風車用ジャケット構造物。
【請求項3】
前記台は、複数のレグを介し、前記第1斜めブレース及び前記第2斜めブレースに支持され、
前記複数のレグのうちの1つの部分である第1レグキャン部分であって、前記複数のレグのうちの1つと前記第1斜めブレースの端部との交点を含む第1レグキャン部分の板厚は、前記複数のレグのうちの1つの部分である第2レグキャン部分であって、前記複数のレグのうちの1つと前記第2斜めブレースの端部との交点を含む第2レグキャン部分の板厚より、薄い、
ことを特徴とする請求項2に記載の洋上風車用ジャケット構造物。
【請求項4】
前記台は、複数のレグを介し、前記第1斜めブレース及び前記第2斜めブレースに支持され、
前記複数のレグのうちの1つの部分である第1レグキャン部分であって、前記複数のレグのうちの1つと前記第1斜めブレースの端部との交点を含む第1レグキャン部分の鋼材の強度は、前記複数のレグのうちの1つの部分である第2レグキャン部分であって、前記複数のレグのうちの1つと前記第2斜めブレースの端部との交点を含む第2レグキャン部分の鋼材の強度より、弱い、
ことを特徴とする請求項2に記載の洋上風車用ジャケット構造物。
【請求項5】
前記第1レグキャン部分の鋼材は、SM490Y又はSM520であり、
前記第2レグキャン部分の鋼材は、SA440である、
ことを特徴とする請求項4に記載の洋上風車用ジャケット構造物。
【請求項6】
前記第1レグキャン部分の長さであって前記複数のレグのうちの1つの長手方向に沿った長さは、前記第2レグキャン部分の長さであって前記長手方向に沿った長さより、長い、
ことを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の洋上風車用ジャケット構造物。
【請求項7】
第3斜めブレース、
を更に備え、
前記台は、複数のレグを介し、前記第1斜めブレース、前記第2斜めブレース、及び前記第3斜めブレースに支持され、
前記複数のレグのうちの1つの部分である第1レグキャン部分であって、前記複数のレグのうちの1つと前記第1斜めブレースの端部との交点を含む第1レグキャン部分には、前記第3斜めブレースが接続され、
前記第3斜めブレースの外径は、前記第2斜めブレースの外径より、大きい、
ことを特徴とする請求項2に記載の洋上風車用ジャケット構造物。
【請求項8】
第4斜めブレース、
を更に備え、
前記台は、複数のレグを介し、前記第1斜めブレース、前記第2斜めブレース、及び前記第4斜めブレースに支持され、
前記複数のレグのうちの1つの部分である第2レグキャン部分であって、前記複数のレグのうちの1つと前記第2斜めブレースの端部との交点を含む第2レグキャン部分には、前記第4斜めブレースが接続され、
前記第4斜めブレースの外径は、前記第1斜めブレースの外径より小さい、
ことを特徴とする請求項2に記載の洋上風車用ジャケット構造物。
【請求項9】
前記第2斜めブレースの円筒状部分であって、前記第1斜めブレースと前記第2斜めブレースとの交点を含む所定範囲内の円筒状部分を第2近傍部分とし、
前記第2斜めブレースの円筒状部分であって、前記第2近傍部分より前記交点から遠い円筒状部分を第2遠隔部分とし、
前記第2近傍部分の外径は、前記第2遠隔部分の外径以上であり、
前記第2近傍部分の内径は、前記第2遠隔部分の内径以下である、
ことを特徴とする請求項2に記載の洋上風車用ジャケット構造物。
【請求項10】
前記第2近傍部分の内側面と前記第2遠隔部分の内側面との間に設けられるテーパー部分を更に備える、
ことを特徴とする請求項9に記載の洋上風車用ジャケット構造物。
【請求項11】
前記テーパー部分と前記第2遠隔部分とは、前記第2斜めブレースの内側から片面溶接される、
ことを特徴とする請求項10に記載の洋上風車用ジャケット構造物。
【請求項12】
前記第2斜めブレースの円筒状部分であって、前記第1斜めブレースと前記第2斜めブレースとの交点を含む所定範囲内の円筒状部分を第2近傍部分とし、
前記第2斜めブレースの円筒状部分であって、前記第2近傍部分より前記交点から遠い円筒状部分を第2遠隔部分とし、
前記第2遠隔部分の外径は、前記第2近傍部分の外径以上であり、
前記第2遠隔部分の内径は、前記第2近傍部分の内径以下である、
ことを特徴とする請求項2に記載の洋上風車用ジャケット構造物。
【請求項13】
前記第2近傍部分の外側面と前記第2遠隔部分の外側面との間に設けられるテーパー部分を更に備える、
ことを特徴とする請求項12に記載の洋上風車用ジャケット構造物。
【請求項14】
前記テーパー部分と前記第2近傍部分とは、前記第2斜めブレースの外側から片面溶接される、
ことを特徴とする請求項13に記載の洋上風車用ジャケット構造物。
【請求項15】
前記第1斜めブレースの外径は、前記第1斜めブレースの全長にわたって同径である、
ことを特徴とする請求項1乃至5、及び、7乃至14のいずれか1項に記載の洋上風車用ジャケット構造物。
【請求項16】
複数の円筒状のレグと、
円筒状の部材であり、前記レグと接続される第1斜めブレースと、
円筒状の部材であり、前記レグと接続され、且つ、前記第1斜めブレースと交わる第2斜めブレースと、
前記レグと、前記第1斜めブレースと、前記第2斜めブレースと、に支持され、且つ、洋上風車が設置される台と、
を備える洋上風車用ジャケット構造物であって、
前記第1斜めブレースの外径は、前記第2斜めブレースの外径より、大きく、
前記第1斜めブレースと前記第2斜めブレースとの交点と、
前記第2斜めブレースと前記複数のレグのうちの1つとの交点と、
に設けられた両面溶接部と、
前記第2斜めブレースの円筒状部分であって、前記第2斜めブレースと第1斜めブレースとの交点を含む所定範囲内の円筒状部分であるブレース近傍部分と、前記第2斜めブレースの円筒状部分であって、前記第2斜めブレースと前記第1斜めブレースとの交点から前記ブレース近傍部分よりも遠い円筒状部分であるブレース遠隔部分と、の間と、
前記第2斜めブレースの円筒状部分であって、前記第2斜めブレースと前記複数のレグのうちの1つとの交点を含む所定範囲内の円筒状部分であるレグ近傍部分と、前記第2斜めブレースの円筒状部分であって、前記第2斜めブレースと前記複数のレグのうちの1つとの交点から前記レグ近傍部分より遠い円筒状部分であるレグ遠隔部分と、の間と、
に設けられた片面溶接部と、
を備えることを特徴とする洋上風車用ジャケット構造物。
【請求項17】
複数の円筒状のレグと、
円筒状の部材であり、前記レグと接続される第1斜めブレースと、
円筒状の部材であり、前記レグと接続され、且つ、前記第1斜めブレースと交わる第2斜めブレースと、
前記レグと、前記第1斜めブレースと、前記第2斜めブレースと、に支持され、且つ、洋上風車が設置される台と、
を備える洋上風車用ジャケット構造物の溶接方法であって、
前記第1斜めブレースの外径は、前記第2斜めブレースの外径より、大きく、
前記第1斜めブレースと前記第2斜めブレースとの交点と、
前記第2斜めブレースと前記複数のレグのうちの1つとの交点と、
を両面溶接する両面溶接工程と、
前記両面溶接工程の後、
前記第2斜めブレースの円筒状部分であって、前記第2斜めブレースと第1斜めブレースとの交点を含む所定範囲内の円筒状部分であるブレース近傍部分と、
前記第2斜めブレースの円筒状部分であって、前記第2斜めブレースと前記第1斜めブレースとの交点から前記ブレース近傍部分よりも遠い円筒状部分であるブレース遠隔部分と、
の間を片面溶接するとともに、
前記第2斜めブレースの円筒状部分であって、前記第2斜めブレースと前記複数のレグのうちの1つとの交点を含む所定範囲内の円筒状部分であるレグ近傍部分と、
前記第2斜めブレースの円筒状部分であって、前記第2斜めブレースと前記複数のレグのうちの1つとの交点から前記レグ近傍部分より遠い円筒状部分であるレグ遠隔部分と、
の間を片面溶接する片面溶接工程と、
を備えることを特徴とする洋上風車用ジャケット構造物の溶接方法。