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  • 特開-ウィッグ用インナーキャップ 図1
  • 特開-ウィッグ用インナーキャップ 図2
  • 特開-ウィッグ用インナーキャップ 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088270
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】ウィッグ用インナーキャップ
(51)【国際特許分類】
   A41G 3/00 20060101AFI20240625BHJP
   A42B 1/00 20210101ALI20240625BHJP
   A42B 1/041 20210101ALI20240625BHJP
   A42B 1/16 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
A41G3/00 Z
A42B1/00 Z
A42B1/041
A42B1/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203353
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】522405842
【氏名又は名称】株式会社スマイルライフ
(74)【代理人】
【識別番号】100148862
【弁理士】
【氏名又は名称】赤塚 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179811
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 良和
(72)【発明者】
【氏名】松田 暁玲
(57)【要約】
【課題】ウィッグの被着者がウィッグを被る前の頭部に装着した際のフィット感を向上させたウィッグ用インナーキャップを提供する。
【解決手段】本発明は、ウィッグの被着者が前記ウィッグを被る前の頭部に装着することで、前記ウィッグを安定的に保持するためのウィッグ用インナーキャップであって、伸縮性を有する材料で形成された略半球状のキャップ本体と、前記キャップ本体の周縁の後部外側に配置された、前記キャップ本体の周縁の長さを段階的に調整するアジャスター部とを有する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウィッグの被着者が前記ウィッグを被る前の頭部に装着することで、前記ウィッグを安定的に保持するためのウィッグ用インナーキャップであって、
伸縮性を有する材料で形成された略半球状のキャップ本体と、
前記キャップ本体の周縁の長さを段階的に調整するアジャスターと
を有する
ウィッグ用インナーキャップ。
【請求項2】
前記アジャスターが、
前記キャップ本体の周縁の側部から後部に向かって延在する側部伸縮部材と、
前記側部伸縮部材の後端に接続されたフックと、
前記キャップ本体の周縁の後部外側に形成された、前記フック部を引っかけて固定するための複数の固定部と
で構成されている
請求項1に記載のウィッグ用インナーキャップ。
【請求項3】
前記側部伸縮部材が、
前記キャップ本体の周縁の側部に形成された側部筒状体の内部に配置されている
請求項2に記載のウィッグ用インナーキャップ。
【請求項4】
前記フックが平板状であり、
前記固定部が、前記キャップ本体の周縁の後部外側に配置された後部伸縮部材と、前記キャップ本体の後部外側に縦向きに縫い付けることで形成された複数の縫い目とで形成されている
請求項2に記載のウィッグ用インナーキャップ。
【請求項5】
前記キャップ本体の周縁の前部に設置された前部伸縮部材と、
をさらに有する
請求項1に記載のウィッグ用インナーキャップ。
【請求項6】
前記キャップ本体の周縁の後部内側に設置された後部滑り止め部材
をさらに有する
請求項1に記載のウィッグ用インナーキャップ。
【請求項7】
前記キャップ本体の周縁の前部内側に設置された前部滑り止め部材
をさらに有する
請求項1に記載のウィッグ用インナーキャップ。
【請求項8】
前記キャップ本体が、
前記被着者の頭部の左側を覆うキャップ左側部材と、
前記被着者の頭部の右側を覆うキャップ右側部材と、
前記被着者の頭部の前側を覆うキャップ前側部材と、
前記被着者の頭部の後側を覆うキャップ後側部材と
が接続されて構成されている
請求項1に記載のウィッグ用インナーキャップ。
【請求項9】
前記キャップ左側部材及び前記キャップ右側部材が、半円形をなしており、
前記キャップ前側部材及び前記キャップ後側部材が、矩形、台形、又は矩形若しくは台形の両サイドが凹んだ鼓形をなしている
請求項8に記載のウィッグ用インナーキャップ。
【請求項10】
前記キャップ本体が、前記キャップ左側部材、前記キャップ右側部材、前記キャップ前側部材、及び前記キャップ後側部材を、前記キャップ本体の内側から縫い目が見えない縫製方法で縫い付けることで形成されている
請求項8に記載のウィッグ用インナーキャップ。
【請求項11】
前記縫製方法が、まつり縫いである
請求項10に記載のウィッグ用インナーキャップ。
【請求項12】
前記キャップ前側部材が肌色であり、
前記キャップ左側部材、前記キャップ右側部材、及び前記キャップ後側部材が黒色である
請求項8に記載のウィッグ用インナーキャップ。
【請求項13】
前記キャップ前側部材が、前記被着者の頭部の頭頂を覆う
請求項12に記載のウィッグ用インナーキャップ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウィッグの被着者がウィッグを被る前の頭部に装着することで、ウィッグを安定的に保持するためのウィッグ用インナーキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ウィッグ(全頭かつら)の需要が増えている。例えば、抗がん剤治療の副作用で髪の毛の全部又は一部が抜けてしまった方がウィッグを被ったり、ファッションとしてウィッグを被ることもある。しかし、ウィッグは、地毛がない頭に被ると滑りやすく、また地毛が残っている頭に被るとウィッグが浮いてしまってフィット感が低下してしまう。そこで、ウィッグの被着者は、まず頭部にウィッグ用インナーキャップを装着してからウィッグを被ることが推奨されている。
【0003】
特許文献1には、全頭かつらのずれを防止するために全頭かつらを被る前に頭に装着する全頭かつら用サポートキャップであって、伸縮性を有しかつ頭から首まで全て通すことが可能な筒状ネットからなる、又は伸縮性を有しかつ頭に被ることが可能な袋状ネットからなるキャップ本体と、キャップ本体の基端側周縁の全周に伸縮性と密着性及び滑り止め作用を有するゴム素材又はウレタン素材をコーティングしてなる帯状の滑り止めシート部とを備え、該滑り止めシート部の輪郭形状を頭髪の生え際ラインの形状とほぼ同形状に形成したことを特徴とする全頭かつら用サポートキャップが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-162936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載されたような全頭かつら用サポートキャップ(ウィッグ用インナーキャップ)を装着しようとする被着者の頭部のサイズは、被着者によって異なる。例えば、S、M、Lなど幾つかのサイズのインナーキャップが準備されているとしても、完全にフィットするものにはならず、装着時のフィット感及びズレ防止を考慮すると、素材の伸縮性を利用して小さめのインナーキャップを使用することになる。しかし、その状態で長時間使用すると頭が締め付けられる感覚が強くなり、つけ心地が悪くなる問題があった。一方で、被着者の頭部のサイズに合わせてウィッグ用インナーキャップをオーダーメイドすると、コストが非常に高くなる問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、ウィッグの被着者がウィッグを被る前の頭部に装着した際のフィット感を向上させたウィッグ用インナーキャップを提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ウィッグの被着者が前記ウィッグを被る前の頭部に装着することで、前記ウィッグを安定的に保持するためのウィッグ用インナーキャップであって、
伸縮性を有する材料で形成された略半球状のキャップ本体と、
前記キャップ本体の周縁の後部外側に配置された、前記キャップ本体の周縁の長さを段階的に調整するアジャスター部と
を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ウィッグの被着者がウィッグを被る前の頭部に装着した際のフィット感を向上させたウィッグ用インナーキャップを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係るウィッグ用インナーキャップを後方斜め上側から見た外観構造を示す模式図である。
図2】本発明の一実施形態に係るウィッグ用インナーキャップを前方斜め上側から見た外観構造を示す模式図である。
図3】本発明の一実施形態に係るウィッグ用インナーキャップを前方斜め下側から見た外観構造を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係るウィッグ用インナーキャップの外観構造例を図1~3に示す(図1:後方斜め上側から見た図、図2:前方斜め上側から見た図、図3:前方斜め下側から見た図)。図1~3に示すウィッグ用インナーキャップ1は、キャップ左側部材2a、キャップ右側部材2b、キャップ前側部材2c、及びキャップ後側部材2dからなるキャップ本体と、キャップ本体の周縁の左側及び右側の側部から後部に向かって延在する左側左側部伸縮部材4a及び右側部伸縮部材4b、その後端にそれぞれ接続された左側フック5a及び右側フック5b、並びにそれを引っかけて固定する固定部(後部伸縮部材4d及び縫い目6d)からなるアジャスターとを有する。このようなウィッグ用インナーキャップ1であれば、ウィッグの被着者がウィッグを被る前の頭部に装着した際のフィット感を向上させることができる。
【0011】
キャップ本体は、被着者の頭部に装着できるように、頭部の形状に近い略半球状をなしている。なお、略半球状とは、完全な半球形状だけでなく、それに近い形状を含み、被着者の頭部に装着できる形状であればよい。キャップ本体は、被着者の頭部に装着したときのフィット感を出すために、伸縮性を有する材料で形成される。キャップ本体を形成する材料としては、コットン(綿)、リネン(麻)、コットンリネン(綿麻)等の植物繊維;シルク(絹)、ウール(羊毛)、カシミヤ等の動物繊維;ポリエステル、レーヨン、ナイロン、アクリル、ウレタン等の化学繊維などが挙げられる。なかでも、つけ心地のよさから、コットン(綿)が好ましい。
【0012】
キャップ本体は、略半球状という立体的な形状をなしているため、通常、複数(例えば3~6個)の部材が接続されて構成される。図1~3に示すウィッグ用インナーキャップ1のキャップ本体は、被着者の頭部の前側を覆うキャップ前側部材2cと被着者の頭部の後側を覆うキャップ後側部材2dとが前後に接続され、その左側には被着者の頭部の左側を覆うキャップ左側部材2aが接続され、右側には被着者の頭部の右側を覆うキャップ右側部材2bが接続されて構成されている。なお、キャップ左側部材2a及びキャップ右側部材2bは、半円形をなしていることが好ましく、キャップ前側部材2c及びキャップ後側部材2dは、矩形(正方形若しくは長方形)、台形、又は矩形若しくは台形の両サイドが凹んだ鼓形をなしていることが好ましい。
【0013】
キャップ本体は、キャップ左側部材2a、キャップ右側部材2b、キャップ前側部材2c、及びキャップ後側部材2dを、キャップ本体の内側から縫い目が見えない縫製方法(例えば、まつり縫い)で縫い付けることで形成されていることが好ましい。こうすることで、被着者の頭部にウィッグ用インナーキャップ1を装着したときに、縫い目が被着者の頭皮に当たらず、装着時の違和感が軽減される。キャップ本体に他の部材を縫製する場合にも、同様に、キャップ本体の内側から縫い目が見えない縫製方法(例えば、まつり縫い)で縫い付けられていることが好ましい。
【0014】
なお、キャップ前側部材2cは、ウィッグの前髪の生え際付近に配置されることから肌色であることが好ましく、キャップ左側部材2a、キャップ右側部材2b、及びキャップ後側部材2dは、ウィッグの毛が多く存在する位置に配置されることから黒色であることが好ましい。また、一般に頭部の頭頂付近にあるつむじの位置においては地肌が見えやすいことから、肌色のキャップ前側部材2cが、被着者の頭部の頭頂を覆うようになっていることが好ましい。こうすることで、ウィッグを被った際に自然な状態となり、ウィッグを被っていることが第三者に分かりにくくなる。
【0015】
アジャスターは、キャップ本体の周縁の長さを段階的に調整するものである。図1~3に示すウィッグ用インナーキャップ1では、キャップ本体の周縁の左側及び右側の側部に、それぞれ左側部筒部材3a及び右側部筒部材3bが形成されており、その内部に配置された左側部伸縮部材4a及び右側部伸縮部材4bがキャップ本体の周縁の側部(左側部筒部材3a及び右側部筒部材3bの内部)から後部に向かって延在している。左側部伸縮部材4a及び右側部伸縮部材4bの前端は、それぞれ、左側部筒部材3a及び右側部筒部材3bの内部の前端付近で接続されており(不図示)、左側部伸縮部材4a及び右側部伸縮部材4bの後端は、左側部筒部材3a及び右側部筒部材3bの後端から外部に出た状態で左側フック5a及び右側フック5bが装着されている。そして、キャップ本体の周縁の後部外側には、この左側フック5a及び右側フック5bを引っかけて固定するための複数の固定部が形成されている。これにより、左側フック5a及び右側フック5bを引っかけて固定する位置を変更することができ、キャップ本体の周縁の長さを段階的に調整することが可能となっている。
【0016】
左側フック5a及び右側フック5bは、図1に示すように、平板状であることが好ましい。平板状であれば、ウィッグ用インナーキャップ1の凹凸を最小限とすることができ、フィット感が向上する。この場合、図1に示すように、キャップ本体の周縁の後部外側に配置された後部伸縮部材4dと、後部伸縮部材4dをキャップ本体の後部外側に縦向きに縫い付けることで形成された複数の縫い目6dとで、左側フック5a及び右側フック5bを引っかけて固定する固定部として機能させることができる。すなわち、左側部伸縮部材4a又は右側部伸縮部材4bを少し伸ばした状態で、左側フック5a又は右側フック5bを複数の縫い目6dの間に存在する後部伸縮部材4dに引っかけ、その位置を左側部伸縮部材4a又は右側部伸縮部材4bの戻る力を利用して縫い目6dで固定することで、左側部伸縮部材4a及び右側部伸縮部材4bの長さを変更することができ、キャップ本体の周縁の長さを段階的に調整することができる。縫い目6dの数は、必要に応じて適宜設定すればよいが、後部伸縮部材4dをキャップ本体の後部外側に縫い付け、かつ左側フック5a及び右側フック5bを引っかけてキャップ本体の周縁の長さを段階的に調整する観点から、最低4箇所(左側フック5a用2箇所及び右側フック5b用2箇所)以上とすればよく、通常は6~12箇所程度が好ましい(図1では9箇所)。
【0017】
図1~3に示すように、ウィッグ用インナーキャップ1には、キャップ本体の周縁の前部に前部伸縮部材4cが設置されていることが好ましい。このように、キャップ本体の周縁に伸縮部材(左側部伸縮部材4a、右側部伸縮部材4b、前部伸縮部材4c、及び後部伸縮部材4dからなる群から選択される少なくとも1つ)を設置することで、ウィッグ用インナーキャップ1のフィット感が向上する。伸縮部材としては、例えば、ゴム紐を用いることができる。伸縮部材の幅は、必要に応じて適宜設定すればよいが、左側部伸縮部材4a及び右側部伸縮部材4bの幅を、前部伸縮部材4c及び後部伸縮部材4dの幅より広くすることで、ウィッグ用インナーキャップ1を被った時の締め付け感を低減することができる。
【0018】
さらに、図1~3に示すように、キャップ本体の周縁の後部内側に後部滑り止め部材7dが設置されていることが好ましい。また、キャップ本体の周縁の前部内側(例えば前部伸縮部材4cの内側)に前部滑り止め部材(不図示)が設置されていることが好ましい。このように、キャップ本体の周縁(特に前部及び/又は後部)の内側に滑り止め部材を設置することで、ウィッグ用インナーキャップ1のズレが生じにくくなる。滑り止め部材としては、例えば、シリコーンゴム製のフィルム又はシールを用いることができる。
【0019】
以上のような本発明に係るウィッグ用インナーキャップは、ウィッグの被着者がウィッグを被る前の頭部に装着することで、ウィッグを安定的に保持することが可能となり、かつフィット感が向上する。
【符号の説明】
【0020】
1 ウィッグ用インナーキャップ
2a キャップ左側部材
2b キャップ右側部材
2c キャップ前側部材
2b キャップ後側部材
3a 左側部筒部材
3b 右側部筒部材
4a 左側部伸縮部材
4b 右側部伸縮部材
4c 前部伸縮部材
4d 後部伸縮部材
5a 左側フック
5b 右側フック
6d 縫い目
7d 後部滑り止め部材
図1
図2
図3