IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シャープ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-貨幣出納装置 図1
  • 特開-貨幣出納装置 図2
  • 特開-貨幣出納装置 図3
  • 特開-貨幣出納装置 図4
  • 特開-貨幣出納装置 図5A
  • 特開-貨幣出納装置 図5B
  • 特開-貨幣出納装置 図5C
  • 特開-貨幣出納装置 図5D
  • 特開-貨幣出納装置 図5E
  • 特開-貨幣出納装置 図5F
  • 特開-貨幣出納装置 図6A
  • 特開-貨幣出納装置 図6B
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088291
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】貨幣出納装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/10 20190101AFI20240625BHJP
   G07D 1/00 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
G07D11/10
G07D1/00 Z GBK
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203385
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】吉田 和樹
(72)【発明者】
【氏名】村岡 至紘
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA08
3E141BA08
3E141BA12
3E141FC06
3E141GA01
3E141HA06
3E141HA09
3E141LA45
3E141LA49
3E141LA50
(57)【要約】
【課題】貨幣を収納する収納庫の着脱によって攪拌機構が破損しにくい貨幣出納装置を提供する。
【解決手段】貨幣出納装置は、硬貨収納部と本体部とを備える。硬貨収納部は、硬貨を収納する。本体部は、硬貨収納部を収容し、硬貨収納部に対して硬貨を出し入れする。硬貨収納部は、複数の収納庫と、攪拌部23とを備える。複数の収納庫は、金種ごとの硬貨を収納し、本体部に対して着脱可能である。攪拌部23は、複数の収納庫のうちの少なくとも1つの収納庫1Aに設けられ、当該少なくとも1つの収納庫1Aに収納された硬貨を攪拌する。
【選択図】図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬貨を収納する硬貨収納部と、
前記硬貨収納部を収容し、前記硬貨収納部に対して前記硬貨を出し入れする本体部とを備え、
前記硬貨収納部は、
金種ごとの前記硬貨を収納し、前記本体部に対して着脱可能な複数の収納庫と、
前記複数の収納庫のうちの少なくとも1つの収納庫に設けられ、当該少なくとも1つの収納庫に収納された前記硬貨を攪拌する攪拌部とを備える、貨幣出納装置。
【請求項2】
各収納庫は、前記本体部から前記硬貨が搬送される開口を有する天面部と、前記開口の少なくとも一部を覆う蓋部とを有し、
前記攪拌部は、前記少なくとも1つの収納庫における前記蓋部に設けられる、請求項1に記載の貨幣出納装置。
【請求項3】
各収納庫は、互いに異なる金種の硬貨を収納する第1収納室及び第2収納室と、前記天面部と反対側に設けられた底部とを有し、
前記底部は、前記第2収納室側より前記第1収納室側が窪んだ段差を有し、
前記蓋部は、前記天面部において前記第1収納室側に配置される、請求項2に記載の貨幣出納装置。
【請求項4】
前記本体部は、前記金種ごとの前記硬貨を、前記複数の収納庫へ搬送する硬貨搬送機構を備え、
前記攪拌部は、前記硬貨搬送機構による搬送に連動して攪拌動作を行う、請求項1から3のいずれか一項に記載の貨幣出納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨幣出納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ガソリンスタンド等には硬貨や紙幣を自動で入出金する釣銭機が設置されている。特許文献1には、このような釣銭機が開示されている。この釣銭機は、釣銭機に着脱可能であって、貨幣を収納するための補充回収カセットが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5432485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような釣銭機に硬貨が投入され、貨幣を収納するカセット内に貨幣が偏って堆積すると、硬貨の詰まり等が生じやすい。そのため、貨幣が1か所に集中して堆積しないようにカセット内の貨幣を攪拌する攪拌機構を設けられる場合がある。カセットは着脱可能であるため、カセットの着脱によって攪拌機構が破損しにくいことが望まれる。
【0005】
本発明は、貨幣を収納する収納庫の着脱によって攪拌機構が破損しにくい貨幣出納装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る貨幣出納装置は、硬貨収納部と本体部とを備える。硬貨収納部は、硬貨を収納する。本体部は、硬貨収納部を収容し、硬貨収納部に対して硬貨を出し入れする。硬貨収納部は、複数の収納庫と、攪拌部とを備える。複数の収納庫は、金種ごとの硬貨を収納し、本体部に対して着脱可能である。攪拌部は、複数の収納庫のうちの少なくとも1つの収納庫に設けられ、当該少なくとも1つの収納庫に収納された硬貨を攪拌する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る貨幣出納装置によれば、貨幣を収納する収納庫の着脱によって攪拌機構が破損しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る貨幣出納装置を一側面側から見た図である。
図2図2は、貨幣出納装置の硬貨入出金装置を取り出した状態を示す図である。
図3図3は、貨幣出納装置の一部の構成を模式的に示した模式図である。
図4図4は、貨幣出納装置の機能ブロック図である。
図5A図5Aは、硬貨収納庫の上部が閉じられた状態を示した斜視図である。
図5B図5Bは、硬貨収納庫の上部が開放された状態を示す斜視図である。
図5C図5Cは、図5A及び5Bに示す硬貨収納庫を一の側面から見た模式図である。
図5D図5Dは、図5A及び図5Bに示す硬貨入出金装置の一の側面を取り除いた状態を示す図である。
図5E図5Eは、図5Bに示す硬貨収納庫を上方から見た模式図である。
図5F図5Fは、硬貨収納庫の内部を模式的に表した図である。
図6A図6Aは、本変形例に係る硬貨収納庫の斜視図である。
図6B図6Bは、図6Aに示す硬貨収納庫を上方から見た模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、実施形態に係る貨幣出納装置について説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0010】
図1は、実施形態に係る貨幣出納装置100を一側面側から見た図である。貨幣出納装置100は、例えば、ガソリンスタンドに設置される。以下、貨幣出納装置100の構成について説明する。
【0011】
(貨幣出納装置100)
図1に示すように、貨幣出納装置100は、略直方体形状を有する筐体100a(本体部の一例)を備える。筐体100aの両サイド(X軸方向)から貨幣が投入されたり、払い出されたりする。
【0012】
また、貨幣出納装置100は、筐体100a内に、硬貨入出金装置1(硬貨収納部の一例)と、紙幣入出金装置(図示略)とを備える。硬貨入出金装置1は、硬貨収納庫1A~1C(硬貨収納部の一例)を含み、投入された硬貨を硬貨収納庫1A~1Cに収納したり、硬貨収納庫1A~1Cに収納されている硬貨を払い出したりする。例えば、硬貨収納庫1Aには1円硬貨及び5円硬貨が個別に収納され、硬貨収納庫1Bには10円硬貨及び50円硬貨が個別に収納され、硬貨収納庫1Cには100円硬貨及び500円硬貨が個別に収納される。
【0013】
図2は、図1に示す貨幣出納装置100の硬貨入出金装置1を取り出した状態を示す図である。図2に示すように、貨幣出納装置100において、筐体100aの一側面に開口部100bを有し、筐体100aの開口部100b内に硬貨入出金装置1を収容する収容スペース100cを有する。
【0014】
貨幣出納装置100は、収容スペース100cに3つのモータM及び3つの駆動ギアGを備える。3つのモータM及び3つの駆動ギアGは、硬貨収納庫1A、1B、1Cそれぞれに対応して設けられている。モータM及び駆動ギアGの駆動によって、硬貨収納庫1A~1Cのそれぞれに収納されている硬貨が払い出される。
【0015】
図3及び図4を用いて貨幣出納装置100における貨幣の搬送について説明する。図3は、貨幣出納装置100の一部の構成を模式的に示した模式図である。図4は、貨幣出納装置100の機能ブロック図である。
【0016】
図3及び図4に示すように、貨幣出納装置100は、上述した硬貨入出金装置1、モータM及び駆動ギアGに加え、予備収納ボックス2、硬貨投入口101、硬貨識別機構102、硬貨搬送機構103、硬貨払出口104、制御装置105、紙幣識別機構106、及び紙幣搬送機構107を備える。
【0017】
硬貨入出金装置1の硬貨収納庫1A~1Cはそれぞれ、2つの第1収納室と第2収納室とを有する。具体的には、図3に示すように、硬貨収納庫1Aは、第1収納室1Aaと、第2収納室1Abとを含む。第1収納室1Aaと第2収納室1Abには、1円硬貨と5円硬貨とがそれぞれ収納される。硬貨収納庫1Bは、第1収納室1Baと、第2収納室1Bbとを含む。第1収納室1Baと第2収納室1Bbには、10円硬貨と50円硬貨がそれぞれ収納される。硬貨収納庫1Cは、第1収納室1Caと,第2収納室1Cbとを含む。第1収納室1Caと第2収納室1Cbには、100円硬貨と500円硬貨がそれぞれ収納される。
【0018】
硬貨収納庫1A~1Cは、第1収納室(1Aa、1Ba、1Ca)において、収納されている硬貨を攪拌するための攪拌部23をそれぞれ備える。攪拌部23は、制御装置105の制御の下、第1収納室の内部で回転動作する。硬貨入出金装置1及び攪拌部23のより具体的な構成については後述する。
【0019】
制御装置105は、モータM、硬貨識別機構102、硬貨搬送機構103、硬貨入出金装置1、紙幣識別機構106、及び紙幣搬送機構107と電気的に接続される。制御装置105は、CPU(Central Processing Unit)及びMPU(Micro Processing Unit)のようなプロセッサとメモリ(ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory))とを含む。制御装置105は、ROMに記憶された制御プログラムをCPUが実行することにより、制御装置105と電気的に接続された各部の動作を制御する。
【0020】
具体的には、制御装置105は、硬貨投入口101に投入された硬貨(貨幣)Kの金種に応じて、硬貨搬送機構103を制御し、硬貨収納庫1A~1Cのいずれかへ硬貨Kを搬送する。また、制御装置105は、釣銭が必要な場合、所定の硬貨収納庫1A~1Cに対応するモータMを駆動させ、硬貨払出口104に硬貨を払い出す。制御装置105は、投入された硬貨の金種と投入枚数とに応じて投入金額を算出し、購入代金と比較することにより釣銭が必要か否か判断する。
【0021】
硬貨識別機構102は、硬貨投入口101に投入された硬貨(貨幣)Kの金種を識別するセンサ等を含む。硬貨識別機構102は、例えば,硬貨の大きさ(厚みを含む)、重量、及び/又は、材質から金種を識別し、識別結果を制御装置105へ出力する。
【0022】
硬貨搬送機構103は、搬送通路1031と、搬送通路切換機構1032とを含む。搬送通路1031は、例えば搬送ベルト、搬送モータ、及び搬送駆動ギア等を含む(いずれも図示略)。搬送ベルトには、硬貨収納庫1A~1Cのそれぞれの第1収納室及び第2収納室に通じる連通孔(図示略)が設けられている。搬送通路切換機構1032は、シャッターS1とソレノイドS2とを含む。シャッターS1は、搬送ベルト上の連通孔を開閉する。ソレノイドS2は、シャッターS1の位置を変化させることで連通孔を閉じたり開いたりする。
【0023】
硬貨搬送機構103は、制御装置105の制御の下、搬送通路1031における搬送モータ(図示略)の動力により搬送駆動ギアを駆動させ、搬送ベルト(図示略)上の金種を識別された硬貨を矢印A方向へ搬送する。そして、搬送通路切換機構1032におけるシャッターS1の開閉によって、搬送された硬貨を硬貨収納庫1A~1Cのいずれかの第1収納室又は第2収納室へと収納する。例えば、硬貨識別機構102において硬貨Kが1円硬貨であると識別された場合、制御装置105の制御により、搬送通路切換機構1032において、硬貨収納庫1Aの第1収納室1Aaに対応するソレノイドS2とシャッターS1とが動作し、搬送通路1031上の硬貨K(1円硬貨)が第1収納室1Aaに落下して収納される。
【0024】
硬貨払出口104は、制御装置105の制御の下、モータMを介した駆動ギアGの回転により、硬貨入出金装置1内から排出された硬貨を釣銭として払い出す。
【0025】
予備収納ボックス2は、硬貨入出金装置1でオーバーフローする硬貨を収納する。図示を省略するが、貨幣出納装置100において、硬貨入出金装置1に収納される硬貨を金種毎にカウントする硬貨カウントセンサ(図示略)が硬貨入出金装置1に設けられてもよい。制御装置105の制御により、搬送通路切換機構1032が動作し、硬貨カウントセンサの出力結果に基づいて、硬貨入出金装置1からオーバーフローする硬貨を予備収納ボックス2へ搬送する。
【0026】
紙幣識別機構106は、紙幣の金種を識別するセンサ等を含む。紙幣識別機構106は、例えば、紙幣の印刷パターン(透かしを含む)、印刷インクの材質、及び/又は、紙幣の寸法から金種を識別し、識別結果を制御装置105へ出力する。
【0027】
紙幣搬送機構107は、紙幣搬送路、搬送ローラ、及び紙幣搬送モータ(いずれも図示略)を含む。紙幣搬送機構107は、制御装置105の制御の下、紙幣搬送モータを駆動することにより搬送ローラを回転し、紙幣識別機構106で識別された紙幣を紙幣搬送路上で搬送する。図示を省略するが、貨幣出納装置100は、紙幣搬送路につながった金種ごとの紙幣収納庫を備える。紙幣搬送路上を搬送された紙幣は、金種ごとに紙幣収納庫に収納される。
【0028】
(硬貨入出金装置1の構造)
図5A図5Fを参照し、硬貨入出金装置1の構造について具体的に説明する。図5A及び5Bは、本実施形態に係る硬貨収納庫1Aの斜視図である。図5Aは、硬貨収納庫1Aの上部が閉じられた状態を示し、図5Bは、硬貨収納庫1Aの上部が開放された状態を示している。図5Cは、図5A及び5Bに示す硬貨収納庫1Aを一の側面から見た模式図である。図5Dは、図5A及び図5Bに示す硬貨入出金装置1の一の側面を取り除いた状態を示す図である。図5Eは、図5Bに示す硬貨収納庫1Aを上方から見た模式図である。図5Fは、硬貨収納庫1Aの内部を模式的に表した図である。なお、図5A~5Fは、硬貨収納庫1Aを表しているが、他の硬貨収納庫1B及び1Cの構造は硬貨収納庫1Aと同様である。
【0029】
図5A図5B、及び図5Dに示すように、硬貨収納庫1Aは、収納ボックス10、蓋部20、及び連結部30を含む。収納ボックス10と蓋部20は、連結部30により連結されている。蓋部20は、連結部30により収納ボックス10に対して回動可能に支持されている。
【0030】
(収納ボックス10)
収納ボックス10は、略直方体形状を有し、側面部10b(X軸正方向側の一面)、天面部10u(Z軸正方向側の面)、及び底面部10d(Z軸負方向側の面)(底部の一例)を含む。天面部10uは、収納ボックス10の外部へ連通する矩形形状の開口10aを有する。蓋部20が閉められた状態において、天面部10uの開口10aの一部が蓋部20に覆われる。側面部10bは、図5Cに示すように、互いに平行な前側(Y軸負方向側)の辺と後側(Y軸正方向側)の辺の高さがそれぞれH1、H2(H2<H1)であり、底面部10dには段差Tが形成されている。
【0031】
図5C及び図5Dに示すように、収納ボックス10の内側に、第1収納室1Aaと第2収納室1Abとが形成されている。この例において、第1収納室1Aaの容積は、第2収納室1Abの容積よりも大きい。第1収納室1Aaには、250枚程度の硬貨がランダムに収納され、第2収納室1Abには、50枚程度の硬貨が1枚ずつ積み重なった状態(平積み)で収納される。
【0032】
また、図5D及び図5Eに示すように、収納ボックス10は、天面部10uにおいて、第1収納室1Aaに向かって傾斜する傾斜板40を有する。傾斜板40は、搬送通路1031(図3参照)の搬送ベルト(図示略)から落下した硬貨を第1収納室1Aaへ導く。
【0033】
また、図5Fに示すように、第1収納室1Aaの底部に硬貨排出機構50を有する。硬貨排出機構50は、モータM(図2図3参照)による駆動ギアG(図2参照)の回転に応じて、第1収納室1Aaに収納された硬貨を1枚ずつ外部へ排出する。
【0034】
(蓋部20)
図5A図5B図5D図5Eに示すように、蓋部20は、蓋21、攪拌ギア22、及び攪拌部23を含む。
【0035】
蓋21は、収納ボックス10の天面部10uの後端(Y軸正方向側)において連結部30によって回動可能に連結され、天面部10uの開口10aの一部、すなわち、第1収納室1Aaの一部を覆う。
【0036】
より具体的には、図5Eに示すように、蓋21は、開口10aのX軸方向の辺と略平行であり、開口10aのX軸方向の辺と同じ長さLを有する一辺を有する。また、蓋21は、開口10aのY軸方向の辺と略平行な一対の辺を有する。これらの辺の長さW11及びW12は、開口10aのY軸方向の辺の長さW2よりも短い。蓋21が天面部10uに重なった状態において、蓋21と第2収納室1Ab及び傾斜板40とは離間している。つまり、天面部10uの開口10aのうち、第1収納室1Aa上の一部が蓋21に覆われ、他の部分は露出する。
【0037】
また、蓋21は、攪拌部23が取り付けられる貫通孔(図示略)を有する。
【0038】
図5D図5Fに示すように、攪拌部23は、攪拌部材231と支持部材232とを含む。
【0039】
攪拌部材231は、例えば可撓性を有する平板状の部材で構成される。攪拌部材231は、支持部材232を介して伝達される動力によって回転し、第1収納室1Aa内の硬貨を攪拌する。
【0040】
支持部材232は、例えば棒状部材で構成される。支持部材232は、蓋21の貫通孔(図示略)に挿入され、攪拌ギア22が取り付けられる。
【0041】
攪拌ギア22は、蓋21の上面において、貫通孔(図示略)に挿入された支持部材232と嵌め合わされる。攪拌ギア22は、硬貨搬送機構103(図3及び図4参照)の硬貨搬送駆動ギア(図示略)と嵌め合わされる。
【0042】
つまり、攪拌ギア22は、硬貨搬送機構103における硬貨搬送駆動ギア(図示略)の回転力を動力として回転する。そして、攪拌ギア22の回転力が支持部材232を通じて攪拌部材231に伝達されて攪拌部材231が回転する。このように、攪拌部材231が硬貨の搬送に連動して硬貨を攪拌するため、第1収納室内に硬貨が偏って堆積しにくく、硬貨の詰まり等が防止される。
【0043】
上述した実施形態では、貨幣出納装置100の本体に対して、硬貨入出金装置1が着脱可能に設けられ、硬貨入出金装置1における硬貨収納庫1A~1Cの第1収納室を覆う蓋21の裏面側に攪拌部材231(攪拌部23)が設けられ、硬貨収納庫1A~1Cの表面側に攪拌部材231が設けられていない。そのため、攪拌部材231が貨幣出納装置100の本体内部に接触することなく、硬貨入出金装置1を着脱することができ、攪拌部23が破損しにくい。
【0044】
また、攪拌部23は、貨幣出納装置100における硬貨の搬送に連動して回転するため、攪拌部23を回転させるための動力を別途設ける必要がない。
【0045】
また、硬貨収納庫1A~1Cの底面部10dには、第1収納室側が第2収納室側よりも窪んだ段差T(図5C等参照)が形成されている。貨幣出納装置100の本体から硬貨収納庫1A~1Cを取り出した場合、収納ボックス10の第2収納室側の底面部10d(図5A~5C)のみが床面に接する。そのため、硬貨収納庫1A~1Cは、収納ボックス10の第1収納室内の硬貨の重みによって第1収納室側に転倒し、硬貨が外に飛び出しやすい。しかしながら、硬貨収納庫1A~1Cにおける開口10aの第1収納室側は蓋21によって覆われており、また、蓋21の裏面側には攪拌部材231があるため、硬貨収納庫1A~1Cが転倒しても硬貨が外に飛び出しにくい。
【0046】
以上、図面(図1図5F)を参照して本発明に係る貨幣出納装置の実施形態について説明した。但し、貨幣出納装置は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0047】
[変形例]
(1)図6Aは、本変形例に係る硬貨収納庫1A_1の斜視図である。また、図6Bは、図6Aに示す硬貨収納庫1A_1を上方から見た模式図である。図6A及び図6Bにおいて、実施形態における硬貨収納庫1Aと同じ構成には同じ符号が付されている。以下、主として実施形態と異なる構成について説明する。
【0048】
図6A及び図6Bに示すように、硬貨収納庫1A_1は、実施形態における蓋部20と形状が異なる蓋部201を備え、実施形態における連結部30を備えていない点で硬貨収納庫1A(図5A~5F)と異なる。
【0049】
蓋部201は、蓋211、攪拌ギア22、及び攪拌部23を備える。蓋211は、収納ボックス10の天面部10uの略中央に固定され、天面部10uの開口10aの一部、すなわち、第1収納室1Aaの一部を覆う。
【0050】
より具体的には、図6Bに示すように、蓋211は略直方体形状を有する。蓋211は、開口10aのX軸方向の辺と略平行な一対の長辺と、開口10aのY軸方向の辺と略平行な一対の短辺とを有する。一対の長辺は、開口10aのX軸方向の辺と略同じ長さLを有し、一対の短辺は、開口10aのY軸方向の辺の長さW2よりも短い長さW3を有する。蓋211は、第2収納室1Ab及び傾斜板40と離間するとともに、収納ボックス10の後端10rと離間し、開口10aの略中央の位置に嵌め込まれている。つまり、収納ボックス10の開口10aにおいて、蓋211と第2収納室1Ab及び傾斜板40との間と、蓋211と収納ボックス10の後端10rとの間以外の部分が蓋211によって覆われる。この場合、上述した実施形態よりも蓋211によって開口10aが覆われる面積は小さいが、蓋211が設けられていない場合と比べ、硬貨収納庫1A~1Cが転倒した際に硬貨が外に飛び出しにくい。
【0051】
(2)実施形態では、硬貨収納庫1A~1Cのそれぞれに攪拌部23が設けられる例を示したが、少なくとも1つの硬貨収納庫に攪拌部23が設けられていればよい。
【0052】
(3)硬貨収納庫1A~1Cの第1収納室と第2収納室に収納する硬貨の組み合わせ、第1収納室及び第2収納室の形状及び大きさは任意であり、実施形態で示したものに限定されない。また、実施形態において、硬貨収納庫1A~1Cの底面部10dは、第1収納室側が第2収納室より窪んだ段差Tを有するが、底面部10dは平坦であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、硬貨の入出金を行う釣銭機等に利用できる。
【符号の説明】
【0054】
1 :硬貨入出金装置
1A~1C、1A_1 :硬貨収納庫
1Aa、1Ba、1Ca :第1収納室
1Ab、1Bb、1Cb :第2収納室
10 :収納ボックス
10a :開口
10d :底面部
10u :天面部
20、201 :蓋部
21、211 :蓋
22 :攪拌ギア
23 :攪拌部
100 :貨幣出納装置
100a :筐体
103 :硬貨搬送機構
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6A
図6B