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特開2024-88292車載装置、運転支援装置、運転支援システム、および前方車両の荷崩れ判定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088292
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】車載装置、運転支援装置、運転支援システム、および前方車両の荷崩れ判定方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240625BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
G08G1/16 A
G08G1/09 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203386
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】香月 良夫
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC03
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF27
5H181LL01
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
(57)【要約】
【課題】積載物を積載する車両の後方を走行する車両において、前方車両の積載物の荷崩れの発生の有無を判定することが可能な車載装置を提供する。
【解決手段】車載装置30Aは、積載物Yを積載する第1車両X1の後方に位置する第2車両X2に搭載され、車両位置検出部312と積載物位置検出部313と距離算出部314と判定部315Aとを備える。車両位置検出部312は、第1車両X1および第2車両X2が走行しているときに、第1車両X1の車体内の所定位置を検出する。積載物位置検出部313は、第1車両X1の積載物Y内の所定位置を検出する。距離算出部314は、第1車両X1の車体内の所定位置と、前記積載物Y内の所定位置所定位置との間の距離を算出する。判定部315Aは、算出された距離の所定時間内における変化量が、予め設定された第1閾値以上である場合に、第1車両X1で積載物Yの荷崩れが発生したと判定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積載物を積載する第1車両の後方に位置する第2車両に搭載され、
前記第1車両および前記第2車両が走行しているときに、前記第1車両の車体内の所定位置を検出する車両位置検出部と、
前記第1車両の積載物内の所定位置を検出する積載物位置検出部と、
前記車両位置検出部で検出された前記第1車両の車体内の所定位置と、前記積載物位置検出部で検出された前記積載物内の所定位置との間の距離を算出する距離算出部と、
前記距離算出部で算出された距離の所定時間内における変化量が、予め設定された第1閾値以上である場合に、前記第1車両で積載物の荷崩れが発生したと判定する判定部と、を備える車載装置。
【請求項2】
前記積載物位置検出部は、前記第1車両の車体上に存在する物体を前記積載物として推定し、推定した積載物内の所定位置を検出する、請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記車両位置検出部は、前記第1車両の車体内の所定位置として、前記第1車両の車体の重心位置を検出し、
前記積載物位置検出部は、前記積載物内の所定位置として、前記積載物内の重心位置を検出する、請求項1に記載の車載装置。
【請求項4】
積載物を積載する第1車両の後方に位置する第2車両に搭載され、
前記第1車両および前記第2車両が走行しているときに、前記第1車両および前記積載物で構成される物体を計測対象物体とし、前記計測対象物体内の前記第1車両の車体内の点および前記第1車両の積載物内の点を含む複数の計測点の位置および移動速度の計測情報を取得する物体情報取得部と、
前記物体情報取得部が取得した情報に基づいて、前記計測対象物体内の計測点間ごとの移動速度の差分を算出する差分算出部と、
前記差分算出部が算出した中で、予め設定された第2閾値以上の絶対値の差分がある場合に、前記第1車両で積載物の荷崩れが発生したと判定する判定部と、を備える車載装置。
【請求項5】
前記差分算出部は、前記物体情報取得部が取得した情報に基づいて、前記計測対象物体内の移動速度が所定範囲内にある計測点を同一グループの計測点として認識し、計測点のグループ間ごとの移動速度の差分を算出する、請求項4に記載の車載装置。
【請求項6】
前記判定部において、前記第1車両で積載物の荷崩れが発生したと判定されると、前記第2車両の運転制御装置に所定の運転指令を出力するか、または前記第2車両内の出力装置から荷崩れ発生通知情報を出力させる第1の運転支援処理部、をさらに備える請求項1~4いずれか1項に記載の車載装置。
【請求項7】
請求項1~5いずれか1項に記載の車載装置と、前記第1車両に搭載された車載装置とに通信可能に接続され、
前記判定部において、前記第1車両で積載物の荷崩れが発生したと判定されると、前記第1車両の車載装置に所定の運転指令または荷崩れ発生通知情報を送信する第2の運転支援処理部、を備える運転支援装置。
【請求項8】
積載物を積載する第1車両に搭載された車載装置と、前記第1車両の後方に位置する第2車両に搭載された車載装置と、前記第1車両に搭載された車載装置および前記第2車両に搭載された車載装置に通信可能に接続された運転支援装置と、を備え、
前記第2車両に搭載された車載装置は、
前記第1車両および前記第2車両が走行しているときに、前記第1車両の車体内の所定位置を検出する車両位置検出部と、
前記第1車両の積載物内の所定位置を検出する積載物位置検出部と、
前記車両位置検出部で検出された前記第1車両の車体内の所定位置と、前記積載物位置検出部で検出された前記積載物内の所定位置との間の距離を算出する距離算出部と、
前記距離算出部で算出された距離の所定時間内における変化量が、予め設定された第1閾値以上である場合に、前記第1車両で積載物の荷崩れが発生したと判定する判定部と、を有し、
前記運転支援装置は、
前記判定部において、前記第1車両で前記積載物の荷崩れが発生したと判定されると、前記第1車両の車載装置に所定の運転指令または荷崩れ発生通知情報を送信する第2の運転支援処理部を有する、運転支援システム。
【請求項9】
積載物を積載する第1車両に搭載された車載装置と、前記第1車両の後方に位置する第2車両に搭載された車載装置と、前記第1車両に搭載された車載装置および前記第2車両に搭載された車載装置に通信可能に接続された運転支援装置と、を備え、
前記第2車両に搭載された車載装置は、
前記第1車両および前記第2車両が走行しているときに、前記第1車両および前記積載物で構成される物体を計測対象物体とし、前記計測対象物体内の前記第1車両の車体内の点および前記第1車両の積載物内の点を含む複数の計測点の位置および移動速度の計測情報を取得する物体情報取得部と、
前記物体情報取得部が取得した情報に基づいて、前記計測対象物体内の計測点間ごとの移動速度の差分を算出する差分算出部と、
前記差分算出部が算出した中で、予め設定された第2閾値以上の絶対値の差分がある場合に、前記第1車両で積載物の荷崩れが発生したと判定する判定部と、を有し、
前記運転支援装置は、
前記判定部において、前記第1車両で前記積載物の荷崩れが発生したと判定されると、前記第1車両の車載装置に所定の運転指令または荷崩れ発生通知情報を送信する第2の運転支援処理部を有する、運転支援システム。
【請求項10】
積載物を積載する第1車両の後方に位置する第2車両に搭載された車載装置が、
前記第1車両および前記第2車両が走行しているときに、前記第1車両の車体内の所定位置を検出し、
前記第1車両の積載物内の所定位置を検出し、
検出された前記第1車両の車体内の所定位置と、前記積載物内の所定位置と間の距離を算出し、
前記距離の所定時間内における変化量が、予め設定された第1閾値以上である場合に、前記第1車両で積載物の荷崩れが発生したと判定する、前方車両の荷崩れ判定方法。
【請求項11】
積載物を積載する第1車両の後方に位置する第2車両に搭載された車載装置が、
前記第1車両および前記第2車両が走行しているときに、前記第1車両および前記積載物で構成される物体を計測対象物体とし、前記計測対象物体内の前記第1車両の車体内の点および前記第1車両の積載物内の点を含む複数の計測点の位置および移動速度の計測情報を取得し、
取得した情報に基づいて、前記計測対象物体内の計測点間ごとの移動速度の差分を算出し、
算出した中で、予め設定された第2閾値以上の絶対値の差分がある場合に、前記第1車両で積載物の荷崩れが発生したと判定する、前方車両の荷崩れ判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載装置、運転支援装置、運転支援システム、および前方車両の荷崩れ判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
積載物を積載した車両(以下、「積載車両」と記載する)が加速または減速を伴う走行を行うと、積載物の荷崩れが発生するおそれがある。積載車両に積載した積載物の荷崩れが発生して路面に落下すると、落下した積載物が、積載車両の進行方向後方を走行する車両(以下、「後方車両」と記載する)の走行の妨げとなる。
【0003】
これに鑑み、積載車両に設置された監視装置が、当該積載物が落下する前に荷崩れを検知して、運転手に警報を発する技術がある(特許文献1参照)。この技術を用いることで、積載車両に積載した積載物の荷崩れが発生した時点で運転手等がこれを認識し、積載車両を停止または減速等させることで積載物の落下を防止するための対策をとることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-134275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
積載車両から積載物が落下した際には、後方車両側で当該積載物に後方車両が接触しないように、走行速度を下げる、走行方向を変える、または停止する等、運転内容の変更を行う。望ましくは、後方車両側では、前方の積載車両の積載物の荷崩れが発生した時点、つまり積載物が落下する前にこの荷崩れを認識することで、さらに効率良く、後方車両と積載物との接触を回避するための対策をとることができる。
【0006】
しかし上述した技術では、積載物の荷崩れを監視する監視装置が積載車両に設置されているため、後方車両側で前方の積載車両で発生した荷崩れを認識することができない。そのため、積載物が落下した際に、後方車両が、落下した積載物との接触を適切に回避できない場合があるという問題があった。
【0007】
また、車両が走行するエリア側の道路等に走行中の車両の状態を検知するセンサ等を設置し、センサが走行中の積載車両の荷崩れを検知したときに、その後方の車両に当該荷崩れの発生を通知することが考えられる。しかし、このような処理を行う場合、車両が走行するエリア全体にわたって多数のセンサを設置する必要があるとともに、センサと走行中の車両内の装置との間で通信を確立させる必要があり、手間およびコストが多大にかかるという問題があった。
【0008】
本開示は上記事情に鑑みてなされたものであり、積載物を積載する車両の後方を走行する車両において、前方車両の積載物の荷崩れの発生の有無を簡易且つ精度良く判定することが可能な、車載装置、運転支援装置、運転支援システム、および前方車両の荷崩れ判定方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る車載装置は、積載物を積載する第1車両の後方に位置する第2車両に搭載され、前記第1車両および前記第2車両が走行しているときに、前記第1車両の車体内の所定位置を検出する車両位置検出部と、前記第1車両の積載物内の所定位置を検出する積載物位置検出部と、前記車両位置検出部で検出された前記第1車両の車体内の所定位置と、前記積載物位置検出部で検出された前記積載物内の所定位置との間の距離を算出する距離算出部と、前記距離算出部で算出された距離の所定時間内における変化量が、予め設定された第1閾値以上である場合に、前記第1車両で積載物の荷崩れが発生したと判定する判定部と、を備える。
【0010】
前記積載物位置検出部は、前記車両の車体上に存在する物体を前記積載物として推定し、推定した積載物内の所定位置を検出してもよい。
【0011】
また、前記車両位置検出部は、前記第1車両の車体内の所定位置として、前記第1車両の車体の重心位置を検出し、前記積載物位置検出部は、前記積載物内の所定位置として、前記積載物内の重心位置を検出してもよい。
【0012】
また、本開示に係る他の形態の車載装置は、積載物を積載する第1車両の後方に位置する第2車両に搭載され、前記第1車両および前記第2車両が走行しているときに、前記第1車両および前記積載物で構成される物体を計測対象物体とし、前記計測対象物体内の前記第1車両の車体内の点および前記第1車両の積載物内の点を含む複数の計測点の位置および移動速度の計測情報を取得する物体情報取得部と、前記物体情報取得部が取得した情報に基づいて、前記計測対象物体内の計測点間ごとの移動速度の差分を算出する差分算出部と、前記差分算出部が算出した中で、予め設定された第2閾値以上の絶対値の差分がある場合に、前記第1車両で積載物の荷崩れが発生したと判定する判定部とを備える。
【0013】
また、前記差分算出部は、前記物体情報取得部が取得した情報に基づいて、前記計測対象物体内の移動速度が所定範囲内にある計測点を同一グループの計測点として認識し、計測点のグループ間ごとの移動速度の差分を算出してもよい。
【0014】
また、上記いずれかの車載装置は、前記判定部において、前記第1車両で積載物の荷崩れが発生したと判定されると、前記第2車両の運転制御装置に所定の運転指令を出力するか、または前記第2車両内の出力装置から荷崩れ発生通知情報を出力させる第1の運転支援処理部、をさらに備えていてもよい。
【0015】
また、本開示に係る運転支援装置は、上記いずれかの車載装置と、前記第1車両に搭載された車載装置とに通信可能に接続され、前記判定部において、前記第1車両で積載物の荷崩れが発生したと判定されると、前記第1車両の車載装置に所定の運転指令または荷崩れ発生通知情報を送信する第2の運転支援処理部を備える。
【0016】
また、本開示に係る運転支援システムは、積載物を積載する第1車両に搭載された車載装置と、前記第1車両の後方に位置する第2車両に搭載された車載装置と、前記第1車両に搭載された車載装置および前記第2車両に搭載された車載装置に通信可能に接続された運転支援装置とを備え、前記第2車両に搭載された車載装置は、前記第1車両および前記第2車両が走行しているときに、前記第1車両の車体内の所定位置を検出する車両位置検出部と、前記第1車両の積載物内の所定位置を検出する積載物位置検出部と、前記車両位置検出部で検出された前記第1車両の車体内の所定位置と、前記積載物位置検出部で検出された前記積載物内の所定位置との間の距離を算出する距離算出部と、前記距離算出部で算出された距離の所定時間内における変化量が、予め設定された第1閾値以上である場合に、前記第1車両で積載物の荷崩れが発生したと判定する判定部とを有し、前記運転支援装置は、前記判定部において、前記第1車両で前記積載物の荷崩れが発生したと判定されると、前記第1車両の車載装置に所定の運転指令または荷崩れ発生通知情報を送信する第2の運転支援処理部を有する。
【0017】
また、本開示に係る他の形態の運転支援システムは、積載物を積載する第1車両に搭載された車載装置と、前記第1車両の後方に位置する第2車両に搭載された車載装置と、前記第1車両に搭載された車載装置および前記第2車両に搭載された車載装置に通信可能に接続された運転支援装置とを備え、前記第2車両に搭載された車載装置は、前記第1車両および前記第2車両が走行しているときに、前記第1車両および前記積載物で構成される物体を計測対象物体とし、前記計測対象物体内の前記第1車両の車体内の点および前記第1車両の積載物内の点を含む複数の計測点の位置および移動速度の計測情報を取得する物体情報取得部と、前記物体情報取得部が取得した情報に基づいて、前記計測対象物体内の計測点間ごとの移動速度の差分を算出する差分算出部と、前記差分算出部が算出した中で、予め設定された第2閾値以上の絶対値の差分がある場合に、前記第1車両で積載物の荷崩れが発生したと判定する判定部とを有し、前記運転支援装置は、前記判定部において、前記第1車両で前記積載物の荷崩れが発生したと判定されると、前記第1車両の車載装置に所定の運転指令または荷崩れ発生通知情報を送信する第2の運転支援処理部を有する。
【0018】
また、本開示に係る前方車両の荷崩れ判定方法では、積載物を積載する第1車両の後方に位置する第2車両に搭載された車載装置が、前記第1車両および前記第2車両が走行しているときに、前記第1車両の車体内の所定位置を検出し、前記第1車両の積載物内の所定位置を検出し、検出された前記第1車両の車体内の所定位置と、前記積載物内の所定位置と間の距離を算出し、前記距離の所定時間内における変化量が、予め設定された第1閾値以上である場合に、前記第1車両で積載物の荷崩れが発生したと判定する。
【0019】
また、本開示に係る他の形態の前方車両の荷崩れ判定方法では、積載物を積載する第1車両の後方に位置する第2車両に搭載された車載装置が、前記第1車両および前記第2車両が走行しているときに、前記第1車両および前記積載物で構成される物体を計測対象物体とし、前記計測対象物体内の前記第1車両の車体内の点および前記第1車両の積載物内の点を含む複数の計測点の位置および移動速度の計測情報を取得し、取得した情報に基づいて、前記計測対象物体内の計測点間ごとの移動速度の差分を算出し、算出した中で、予め設定された第2閾値以上の絶対値の差分がある場合に、前記第1車両で積載物の荷崩れが発生したと判定する。
【発明の効果】
【0020】
本開示の車載装置、運転支援装置、運転支援システム、および前方車両の荷崩れ判定方法によれば、積載物を積載する車両の後方を走行する車両において、前方車両の積載物の荷崩れの発生の有無を簡易且つ精度良く判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1および第2実施形態に係る車載装置を利用した運転支援システムの構成を示す全体図である。
図2】第1実施形態に係る車載装置の構成を示すブロック図である。
図3】第1実施形態に係る車載装置の荷崩れ判定装置が実行する処理を示すフローチャートである。
図4】(a)は、第1実施形態に係る車載装置の荷崩れ判定装置が、走行開始時に検出した、第1車両の車体の重心位置および積載物の重心位置を示す説明図であり、(b)は、走行中に積載物の荷崩れが発生したときに検出した、第1車両の車体の重心位置および積載物の重心位置を示す説明図である。
図5】第2実施形態に係る車載装置の構成を示すブロック図である。
図6】第2実施形態に係る車載装置の荷崩れ判定装置が実行する処理を示すフローチャートである。
図7】第3実施形態に係る車載装置を利用した運転支援システムの構成を示す全体図である。
図8】第3実施形態に係る車載装置を利用した運転支援システムにおいて、第2車両の車載装置が第1車両の積載物の荷崩れが発生したと判定した後に実行する処理を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
《第1実施形態》
〈第1実施形態による車載装置を利用した運転支援システムの構成〉
図1は、第1実施形態に係る車載装置を利用した運転支援システム1Aの構成を示す全体図である。運転支援システム1Aは、第1車両X1の進行方向後方に位置する第2車両X2に搭載される。第1車両X1は、積載物Yを積載している。運転支援システム1Aは、第1車両X1と第2車両X2とが概ね同じ方向に向かって走行する際に、第1車両X1に積載された積載物Yの積載状況を第2車両X2から監視するシステムである。本実施形態において、第1車両X1および第2車両X2は、自動運転で走行する車両である。
【0023】
運転支援システム1Aは、第2車両X2に搭載された計測センサ10Aと、動作機構20と、計測センサ10Aおよび動作機構20に通信接続された車載装置30Aとを備える。
【0024】
計測センサ10Aは、例えば3D-LiDAR(Light Detection And Ranging)で構成されて第2車両X2の前方に設置される。計測センサ10Aは、前方の計測対象エリア内にある第1車両X1内および第1車両X1に積載された積載物Y内の複数点までの距離を所定時間間隔で計測する。計測センサ10Aは、計測した値に基づいて、計測対象エリア内の物体、具体的には第1車両X1と積載物Yとを合わせた計測対象物体Zの3D形状情報を、予め設定されたフレームレートで生成する。計測センサ10Aは、生成した計測対象物体Zの3D形状情報を、車載装置30Aに送信する。
【0025】
動作機構20は、第2車両X2を走行させるための機構である。
【0026】
図2は、車載装置30Aの構成を示すブロック図である。車載装置30Aは、荷崩れ判定装置31Aと、運転制御装置32とを有する。荷崩れ判定装置31Aは、形状情報取得部311と、車両位置検出部312と、積載物位置検出部313と、距離算出部314と、判定部315Aと、運転支援処理部316Aとを有する。
【0027】
形状情報取得部311は、計測センサ10Aで生成された計測対象物体Zの3D形状情報を取得する。車両位置検出部312は、形状情報取得部311で取得した情報に基づいて、例えば、第1車両X1の車体の重心位置を所定時間間隔で検出する。積載物位置検出部313は、形状情報取得部311で取得した情報に基づいて、第1車両X1上の積載物Yの重心位置を所定時間間隔で検出する。
【0028】
距離算出部314は、車両位置検出部312で検出された第1車両X1の車体の重心位置と、例えば、積載物位置検出部313で検出された第1車両X1上の積載物Yの重心位置との間の距離を所定時間間隔で算出する。
【0029】
判定部315Aは、距離算出部314で算出された距離の所定時間内における変化量が、予め設定された第1閾値以上である場合に、第1車両X1で積載物Yの荷崩れが発生したと判定する。
【0030】
運転支援処理部316Aは、判定部315Aにおいて、第1車両X1で積載物Yの荷崩れが発生したと判定されると、運転制御装置32に所定の運転指令を出力する。
【0031】
運転制御装置32は、通常運転時は、計測センサ10Aで生成された情報に基づいて、前方の物体と接触しないように間隔をとりながら第2車両X2を走行させるように、動作機構20を動作させる。また運転制御装置32は、運転支援処理部316Aから所定の運転指令が出力されると、当該指令に基づいて動作機構20を動作させる。
【0032】
〈第1実施形態による運転支援システムの動作〉
次に、本実施形態による運転支援システム1Aの動作について説明する。第1車両X1と、第1車両X1の進行方向後方に位置する第2車両X2とが概ね同じ方向に向かって走行を開始すると、計測センサ10Aが、前方の計測対象エリア内にある第1車両X1および第1車両X1に積載された積載物Y内の複数点までの距離を計測する。
【0033】
計測センサ10Aは、計測した値に基づいて、計測対象エリア内の物体、具体的には第1車両X1と積載物Yとを合わせた計測対象物体Zの3D形状情報を生成する。計測センサ10Aは、生成した計測対象物体Zの3D形状情報を、車載装置30Aの荷崩れ判定装置31Aに送信する。
【0034】
図3は、荷崩れ判定装置31Aが、計測センサ10Aから計測対象物体Zの3D形状情報を取得した際に実行する処理を示すフローチャートである。
【0035】
荷崩れ判定装置31Aでは、計測センサ10Aから送信された計測対象物体Zの3D形状情報を、形状情報取得部311が取得する(S1)。
【0036】
次に、車両位置検出部312が、形状情報取得部311で取得した計測対象物体Zの形状情報に基づいて、図4(a)に示すように第1車両X1の車体の重心位置Pを検出する(S2)。車両位置検出部312は第1車両X1の形状情報を予め保持し、計測対象物体Z内の形状情報内の保持した形状情報に該当する部分を第1車両X1の形状情報として認識し、これに基づいて第1車両X1の重心位置Pを検出する。
【0037】
また、積載物位置検出部313が、形状情報取得部311で取得した計測対象物体Zの情報に基づいて、第1車両X1上の積載物Yの重心位置Q0を検出する(S3)。積載物位置検出部313は第1車両X1の形状情報を予め保持し、計測対象物体Z内の形状情報内の保持した形状情報に該当する部分の上に存在する物体部分を積載物Yの形状情報として推定し、これに基づいて積載物Y内の重心位置Q0を検出する。このように処理を実行することで、簡易な処理で精度良く積載物Yの重心位置Q0を検出することができる。
【0038】
次に、距離算出部314が、車両位置検出部312で検出された第1車両X1の車体の重心位置Pと、積載物位置検出部313で検出された第1車両X1上の積載物Yの重心位置Q0との間の相対距離L0を算出する(S4)。
【0039】
第1車両の走行中、積載物Yが第1車両X1の車体上で位置が安定している間は、相対距離はL0が維持される。ここで、図4(b)に示すように、第1車両X1の走行による振動で積載物Yの積載位置にずれが生じて荷崩れが発生すると、相対距離が変化してL1となる。
【0040】
判定部315Aは、距離算出部314で算出された相対距離の所定時間内における変化量として、例えば差分|L1-L0|を算出する。この所定時間は、積載物Yの積載位置のずれが生じ始めてから積載物Yが落下する前に積載物Yの荷崩れを認識可能となるような期間で、予め設定される。この所定時間としては例えば、計測センサ10Aによる3D形状情報の生成タイミング間隔であるフレームレートを用いてもよい。
【0041】
判定部315Aは、第1車両X1および第2車両X2の走行前の時点における相対距離L0の情報を保持しておき、走行が開始すると、走行中に算出した相対距離L1と保持した相対距離L0との差分|L1-L0|を相対距離の変化量として算出してもよい。
【0042】
判定部315Aが、相対距離の変化量が予め設定された第1閾値以上であることを検知すると(S5の「YES」)、第1車両X1で積載物の荷崩れが発生したと判定する(S6)。この第1閾値は、計測誤差を判定対象に含めずに、積載物Yが第1車両X1から落下するおそれがある程度に積載物Yの積載位置のずれが生じたか否かを判定するための閾値である。第1閾値は、第1車両X1の車体の重心位置Pと積載物Yの重心位置Q0との間の相対距離に関し、想定される誤差よりも大きい値で設定される。
【0043】
ここで、「想定される誤差」とは、荷崩れ判定装置31Aが、第2車両X2に搭載されている計測センサ10Aの計測結果から、前方車両を検出してその位置を推定する際に発生し得る誤差に基づくものである。
【0044】
第1車両X1の車体の重心位置Pと積載物Yの重心位置Q0との間の相対距離の誤差について説明する。例えば、第1車両X1後方に凹凸形状の部分がある場合、走行中に第1車両X1と第2車両X2との間の距離または角度がずれると、第2車両X2の計測センサ10Aが、第2車両X2の最後部以外の凸部分を車体の最後部と誤認識することがある。このような誤認識は、第1車両X1と第2車両X2と車間距離が変わったとき、凹凸のある路面を走行したとき、左折または右折したとき、悪天候で誤検出が起こりやすいとき等に発生する可能性が高くなる。
【0045】
この場合、計測センサ10Aは、それまでは車体の最後部を基準に第1車両X1を検出していたにも関わらず、ある画像フレームだけ車体の最後部以外の別の凸部分を車体の最後部と誤認識して、当該凸部分を基準に第1車両X1を検出する。このように最後部を誤認識して第1車両X1が検出されると、該当する画像フレームに関して検出される第1車両X1の位置およびその車体の重心位置Pにもずれが生じる。第1車両X1の車体の重心位置Pにずれが生じると、この重心位置Pと積載物Yの重心位置Q0との間の相対距離が変化し、実際には積載物Yが第1車両X1上でずれていないにも関わらず、荷崩れが発生したと誤認識してしまうおそれがある。
【0046】
このような誤認識を防ぐため、第1閾値は、第1車両X1の重心位置Pに関して想定される誤差と積載物Yの重心位置に関して想定される誤差の和よりも大きい値、例えばこの和の2倍程度で設定される。
【0047】
判定部315Aが、第1車両X1で積載物の荷崩れが発生したと判定すると(S6)、運転支援処理部316Aが、運転制御装置32に所定の運転指令、例えば停止指令、減速指令、または後退指示を出力する。運転制御装置32は、運転支援処理部316Aから出力された指令に基づいて、動作機構20を動作させる。運転制御装置32が第2車両X2を停止させる場合には、例えば、車載ECU(Electronic Control Unit)またはバイワイヤ方式の動作機構20に対する車速指令を0にする。
【0048】
ステップS5において、算出した相対距離Lの変化量が予め設定された第1閾値未満であるときには(S5の「NO」)、走行が終了していなければ(S7の「NO」)ステップS1に戻る。その後、相対距離Lの変化量が第1閾値以上になるまで、または走行が停止するまで、ステップS1~S4の処理が繰り返される。
【0049】
以上の第1実施形態によれば、積載物Yを積載する第1車両X1の進行方向後方を走行する第2車両X2に搭載された荷崩れ判定装置31Aが、第1車両X1の車体内の所定位置と積載物Y内の所定位置との距離の変化量を監視する。そして、荷崩れ判定装置31Aは、この変化量の大きさに基づいて前方の第1車両X1の積載物Yの荷崩れが発生したか否かを判定する。これにより、第1車両X1の積載物の荷崩れを早い段階で適切に判定することができ、第1車両X1から積載物Yが落下する前に、第2車両X2を停止、減速、または後退させる等、積載物Yとの接触を回避するための対策をとることができる。
【0050】
また第2車両X2に搭載された荷崩れ判定装置31Aは、第1車両X1を後方から監視するため、荷崩れが発生した際に第2車両X2が影響を受けやすい位置の積載物、具体的には第1車両X1の後方の積載物の状況を精度良く監視することができる。
【0051】
また上述した第1実施形態においては、車両位置検出部312が第1車両X1の車体の重心位置を検出する場合について説明したが、これには限定されず、車両位置検出部312が第1車両X1の車体内の他の特定可能な位置を検出してもよい。例えば車両位置検出部312は、第1車両X1の車体の最高部位置、または予めマーカで目印を付した位置を検出してもよい。
【0052】
同様に、上述した第1実施形態においては、積載物位置検出部313が第1車両X1上の積載物Yの重心位置を検出する場合について説明したが、これには限定されず、積載物位置検出部313が積載物Y内の他の特定可能な位置を検出してもよい。例えば積載物位置検出部313は、積載物Yの最高部位置、または予めマーカで目印を付した位置を検出してもよい。
【0053】
《第2実施形態》
〈第2実施形態による車載装置を利用した運転支援システムの構成〉
第2実施形態に係る運転支援システム1Bの構成は、計測センサ10Aに替えて計測センサ10Bを備え、車載装置30Aに替えて車載装置30Bを備える他は、第1実施形態で説明した図1の運転支援システム1Aの構成と同様であるため、同一機能を有する部分の詳細な説明は省略する。本実施形態において、第1車両X1は例えば、トラックを対象とし、2以上の車体が連結部材により連結されるトレーラーは対象外とする。
【0054】
計測センサ10Bは、例えばミリ波レーダまたは4D-LiDARで構成され、第2車両X2前方に設置される。計測センサ10Bは、前方の計測対象エリア内の物体内の複数点の位置および所定時間内における移動速度を計測する。以下、計測センサ10Bが計測対象とする点を、計測点と記載する。計測対象エリア内には、第1車両X1および積載物Yで構成される計測対象物体Zが含まれる。計測センサ10Bとしてミリ波レーダを用いる場合には、計測対象物体Zの第1車両X1内の位置および移動速度と、積載物Y内の移動速度とを別個に計測可能な計測分解能を有するものを使用する。つまり計測センサ10Bは、第1車両X1の車体内の計測点および第1車両X1の積載物Y内の計測点を含む複数の計測点の位置および移動速度を計測する。
【0055】
図5は、車載装置30Bの構成を示すブロック図である。車載装置30Bは、荷崩れ判定装置31Bと、運転制御装置32とを有する。荷崩れ判定装置31Bは、計測情報取得部317と、物体情報取得部318と、差分算出部319と、判定部315Bと、運転支援処理部316Bとを有する。
【0056】
計測情報取得部317は、計測センサ10Bで計測された計測対象エリア内の複数の計測点の位置および移動速度の情報を取得する。物体情報取得部318は、計測情報取得部317が取得した情報の中から、移動体に関する計測点の情報を取得する。また物体情報取得部318は、取得した移動体に関する情報の中から、計測対象物体Zに関する情報を取得する。
【0057】
差分算出部319は、物体情報取得部318が取得した情報に基づいて、計測対象物体Z内の計測点間ごとの移動速度の差分を算出する。
【0058】
判定部315Bは、差分算出部319が算出した中で、第2閾値以上の絶対値の差分がある場合に、第1車両X1で積載物Yの荷崩れが発生したと判定する。
【0059】
運転支援処理部316Bは、判定部315Bにおいて、第1車両X1で積載物Yの荷崩れが発生したと判定されると、運転制御装置32に所定の運転指令を出力する。
【0060】
〈第2実施形態による運転支援システムの動作〉
次に、本実施形態による運転支援システム1Bの動作について説明する。第1車両X1と、第1車両X1の進行方向後方に位置する第2車両X2とが概ね同じ方向に向かって走行を開始すると、計測センサ10Bが、前方の計測対象エリア内の複数の計測点の位置および移動速度を所定時間間隔で計測する。計測センサ10Bは、計測した計測対象エリア内の複数の計測点の位置および移動速度の情報を、車載装置30Bの荷崩れ判定装置31Bに送信する。
【0061】
図6は、荷崩れ判定装置31Bが、計測センサ10Bから計測対象エリア内の複数の計測点の位置および移動速度の情報を取得した際に実行する処理を示すフローチャートである。
【0062】
荷崩れ判定装置31Bでは、計測センサ10Bから送信された計測対象エリア内の複数の計測点の位置および移動速度の情報を、計測情報取得部317が取得する(S11)。次に物体情報取得部318が、計測情報取得部317が取得した情報の中から、所定の距離間隔で隣接する複数の計測点を1つの計測点グループとし、1つの計測点グループを1つの物体に対応する情報として認識する。また物体情報取得部318は、認識した物体に対応する計測点から想定される物体の形状が所定時間内に変化した場合、当該物体を移動体として認識し、該当する情報を取得する(S12)。このようにして移動体に関する情報を取得することで、物体情報取得部318は、地面や建物などの固定された物体に関する情報を排除することができる。
【0063】
物体情報取得部318はさらに、抽出した移動体に関する情報の中から、計測対象物体Zに関する情報を取得する(S13)。例えば、物体情報取得部318は、自車両である第2車両X2の走行経路上の移動体、具体的には目標経路を示す線に対し、経路の変化を考慮した幅を持たせた領域内に存在する移動体の情報を、計測対象物体Zの情報として取得する。このように計測対象物体Zに関する情報を取得することで、歩行者等の移動体に関する情報を排除することができる。
【0064】
次に差分算出部319が、物体情報取得部318が取得した情報に基づいて、計測対象物体Z内の計測点間ごとの移動速度の差分を算出する(S14)。次に判定部315Bが、差分算出部319が算出した中で、予め設定された第2閾値以上の絶対値の差分があるか否かを判定する(S15)。
【0065】
ここで判定部315Bは、第2閾値以上の絶対値の差分があると判定すると(S15の「YES」)、第1車両X1で積載物Yの荷崩れが発生したと判定する(S16)。この第2閾値は、計測誤差を判定対象に含めずに、積載物Yが第1車両X1から落下するおそれがある程度に積載物Yの積載位置のずれが生じたか否かを判定するための閾値である。第2閾値は、計測センサ10Bに関して想定される計測誤差よりも大きい値、例えば当該計測誤差の2倍より大きい値で設定される。
【0066】
ステップS14において差分算出部319が移動速度の差分を算出する際に、移動速度が同程度、例えば所定範囲内である計測点を同一グループの計測点として認識し、計測点のグループ間ごとの移動速度の差分を算出してもよい。このように算出処理を行うことで、計測ノイズにより1つの計測点に関して位置および移動速度の異常値が取得された場合に、荷崩れが発生したと誤認識することを回避することができる。
【0067】
ステップS15において、判定部315Bが第2閾値以上の値の差分がないと判定すると(S15の「NO」)、走行が終了していなければ(S17の「NO」)ステップS11に戻る。その後、計測対象物体Z内の計測点間の移動速度に第2閾値以上の値の差分が発生するまで、または走行が停止するまで、ステップS11~S14の処理が繰り返される。
【0068】
以上の第2実施形態によれば、積載物Yを積載する第1車両X1の進行方向後方を走行する第2車両X2内の荷崩れ判定装置31Bが、第1車両X1内の計測点の移動速度と積載物Y内の計測点の移動速度との差分を監視する。そして荷崩れ判定装置31Bは、この差分の大きさに基づいて、前方の第1車両X1の積載物Yの荷崩れが発生したか否かを判定する。これにより、第1車両X1の積載物の荷崩れを早い段階で適切に判定することができ、第1車両X1から積載物Yが落下する前に、第2車両X2を停止、減速、または後退させる等、積載物Yとの接触を回避するための対策をとることができる。
【0069】
上述した第2実施形態において、計測センサ10Bが、第1車両X1の車体と積載物Yとを区別して計測処理を行うことが可能であれば、差分算出部319は、この計測結果に基づいて第1車両X1の移動速度と積載物Yの移動速度との差分を算出してもよい。このように処理を行うことにより、荷崩れ判定装置31Bは簡易に、第1車両X1における荷崩れの有無を判定することができる。
【0070】
上述した第1および第2実施形態においては、第1車両X1および第2車両X2が自動運転で走行する車両である場合について説明したが、これには限定されず、運転手が運転操作を行う車両であってもよい。
【0071】
この場合、判定部315A、315Bが第1車両X1の積載物Yの荷崩れが発生したと判定すると、運転支援処理部316A、316Bは、前方の第1車両X1の積載物Yの荷崩れが発生したことを運転手に報知するための荷崩れ発生通知情報を生成する。運転支援処理部316A、316Bは、生成した荷崩れ発生通知情報を、第2車両X2内の出力装置、例えばスピーカ装置または表示装置(図示せず)から出力させる。これにより、第2車両X2の運転手は、前方の第1車両X1の積載物Yの荷崩れが発生したことを認識し、第2車両X2を停止、減速、または後退させる等の対応をとることができる。
【0072】
《第3実施形態》
〈第3実施形態による車載装置を利用した運転支援システムの構成〉
図7は、第3実施形態に係る運転支援システム1Cの構成を示す全体図である。運転支援システム1Cの構成は、第1車両X1が、動作機構40に通信接続され、無線通信機能を有する車載装置50を備え、第2車両X2の車載装置30Aまたは30Bが、無線通信部33を備える他は、第1実施形態で説明した運転支援システム1Aまたは第2実施形態で説明した運転支援システム1Bの構成と同様であるため、同一機能を有する部分の詳細な説明は省略する。無線通信部33は、第1車両X1の車載装置50との無線通信を行う。
【0073】
〈第3実施形態による運転支援システムの動作〉
次に、本実施形態による運転支援システム1Cの動作について説明する。第2車両X2の車載装置30Aまたは30Bが、第1車両X1の積載物Yの荷崩れが発生したか否かを判定する処理は、第1実施形態または第2実施形態で説明した処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0074】
図8は、車載装置30Aまたは30Bが、第1車両X1の積載物Yの荷崩れが発生したと判定した後に、運転支援システム1Cが実行する処理を示すシーケンス図である。
【0075】
車載装置30Aの判定部315Aまたは車載装置30Bの判定部315Bが、第1車両X1の積載物Yの荷崩れが発生したと判定すると(S21)、運転支援処理部316Aまたは316Bが、荷崩れ発生通知を生成する。運転支援処理部316Aまたは316Bは、生成した荷崩れ発生通知を、無線通信部33を介して第1車両X1の車載装置50に送信する(S22)。
【0076】
車載装置50は、荷崩れ発生通知を受信すると自第1車両X1で荷崩れが発生したことを認識し、所定の運転動作、例えば停止または減速をするように、動作機構40を制御する。
【0077】
以上の第3実施形態によれば、第2車両X2の車載装置30Aまたは30Bにおいて第1車両X1の荷崩れの発生を検知したときに、車載装置30Aまたは30Bが第1車両X1の車載装置50に通知する。これにより、第1車両X1が運転の停止または減速を行って荷崩れの進行を抑えることができ、また、運転手が積み直し作業を行う等の対策をとることができる。
【0078】
上述した第3実施形態においては、第1車両X1および第2車両X2が自動運転で走行する車両である場合について説明したが、これには限定されず、運転手が運転操作を行う車両であってもよい。
【0079】
この場合、判定部315A、315Bが、第1車両X1の積載物Yの荷崩れが発生したと判定すると、運転支援処理部316A、316Bは、前方の第1車両X1の積載物Yの荷崩れが発生したことを運転手に報知するための荷崩れ発生通知情報を生成する。運転支援処理部316A、316Bは、生成した荷崩れ発生通知情報を第1車両X1の車載装置50に送信する。車載装置50は、第2車両X2から受信した荷崩れ発生通知情報を、第1車両X1内の出力装置、例えばスピーカ装置または表示装置(図示せず)から出力させる。これにより、第1車両X1の運転手は、自第1車両X1の積載物Yの荷崩れが発生したことを認識し、第1車両X1を停止、減速、または後退させる等の対応をとることができる。
【0080】
上述した第3実施形態においては、第2車両X2の車載装置30Aまたは30Bにおいて第1車両X1の荷崩れの発生を検知したときに、車載装置30Aまたは30Bが第1車両X1の車載装置50に通知する場合について説明した。しかしこの形態には限定されず、車載装置30Aまたは30Bが第1車両X1の荷崩れの発生を検知したときに、第1車両X1および第2車両X2を所定の監視エリア内で監視する管制装置(図示せず)に送信し、管制装置が第1車両X1側に通知してもよい。また、このとき、管制装置は、監視エリア内にある他の車両、例えば第1車両X1のさらに後方にある車両や、周辺にある車両に、第1車両X1の荷崩れの発生を通知してもよい。このように管制装置が通知することにより、監視エリア内の複数台の車両において、積載物の落下に対する対応をとることができる。
【0081】
上述した第1~第3実施形態によれば、車両が走行する道路や敷地側にセンサ等の装置を設置することなく、手間とコストをかけずに、前方の第1車両X1の荷崩れを後方の第2車両X2で検出することができる。
【0082】
いくつかの実施形態を説明したが、上記開示内容に基づいて実施形態の修正または変形をすることが可能である。上記実施形態のすべての構成要素、及び請求の範囲に記載されたすべての特徴は、それらが互いに矛盾しない限り、個々に抜き出して組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1A、1B、1C 運転支援システム
10A、10B 計測センサ
20 動作機構
30A、30B 車載装置
31A、31B 判定装置
32 運転制御装置
33 無線通信部
40 動作機構
50 車載装置
311 形状情報取得部
312 車両位置検出部
313 積載物位置検出部
314 距離算出部
315A、315B 判定部
316A、316B 運転支援処理部
317 計測情報取得部
318 物体情報取得部
319 差分算出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8