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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008830
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20240112BHJP
   G02F 1/13363 20060101ALI20240112BHJP
   G02B 5/32 20060101ALI20240112BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02F1/13363
G02B5/32
G02B5/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069511
(22)【出願日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】P 2022110470
(32)【優先日】2022-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】雉嶋 裕明
(72)【発明者】
【氏名】高橋 泰啓
(72)【発明者】
【氏名】小村 真一
(72)【発明者】
【氏名】奥田 浩一
【テーマコード(参考)】
2H149
2H199
2H249
2H291
【Fターム(参考)】
2H149AA01
2H149BA02
2H149DA02
2H149DA04
2H199CA23
2H199CA25
2H199CA29
2H199CA30
2H199CA63
2H199CA64
2H199CA65
2H199CA68
2H199CA86
2H199CA94
2H249CA04
2H249CA05
2H249CA08
2H249CA15
2H249CA22
2H291FA24X
2H291FA30X
2H291FA40X
2H291FA56X
2H291FA86Z
2H291FA95X
2H291FA96X
2H291FB05
2H291GA08
2H291KA02
2H291MA02
2H291PA42
2H291PA44
(57)【要約】
【課題】表示品位の低下を抑制することにある。
【解決手段】実施形態によれば、表示装置は、直線偏光の表示光を出射するように構成された表示パネルと、前記表示パネルに対向する第1位相差板と、前記第1位相差板に接着されたホログラフィック光学素子と、前記ホログラフィック光学素子に接着された第2位相差板と、前記第2位相差板に対向し、第1直線偏光を反射し、前記第1直線偏光と直交する第2直線偏光を透過する反射偏光板と、を備え、前記第2位相差板と前記反射偏光板との間に空気層が介在し、前記第2位相差板の前記反射偏光板と対向する面は、反射防止膜で覆われている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線偏光の表示光を出射するように構成された表示パネルと、
前記表示パネルに対向する第1位相差板と、
前記第1位相差板に接着されたホログラフィック光学素子と、
前記ホログラフィック光学素子に接着された第2位相差板と、
前記第2位相差板に対向し、第1直線偏光を反射し、前記第1直線偏光と直交する第2直線偏光を透過する反射偏光板と、
を備え、
前記第2位相差板と前記反射偏光板との間に空気層が介在し、
前記第2位相差板の前記反射偏光板と対向する面は、反射防止膜で覆われている、表示装置。
【請求項2】
前記第1位相差板は、前記表示パネルに接着されている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1位相差板と前記表示パネルとの間に空気層が介在し、
前記第1位相差板の前記表示パネルと対向する面は、反射防止膜で覆われている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
直線偏光の表示光を出射するように構成された表示パネルと、
前記表示パネルに対向する第1位相差板と、
前記第1位相差板に接着されたホログラフィック光学素子と、
前記ホログラフィック光学素子に対向する第2位相差板と、
前記第2位相差板に接着され、第1直線偏光を反射し、前記第1直線偏光と直交する第2直線偏光を透過する反射偏光板と、
を備え、
前記ホログラフィック光学素子と前記第2位相差板との間に空気層が介在し、
前記ホログラフィック光学素子の前記第2位相差板と対向する面、及び、前記第2位相差板の前記ホログラフィック光学素子と対向する面は、それぞれ反射防止膜で覆われている、表示装置。
【請求項5】
前記第1位相差板は、前記表示パネルに接着されている、請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1位相差板と前記表示パネルとの間に空気層が介在し、
前記第1位相差板の前記表示パネルと対向する面は、反射防止膜で覆われている、請求項4に記載の表示装置。
【請求項7】
直線偏光の表示光を出射するように構成された表示パネルと、
前記表示パネルに対向する第1位相差板と、
前記第1位相差板に対向するホログラフィック光学素子と、
前記ホログラフィック光学素子に対向する第2位相差板と、
前記第2位相差板に対向し、第1直線偏光を反射し、前記第1直線偏光と直交する第2直線偏光を透過する反射偏光板と、
を備え、
前記第1位相差板と前記表示パネルとの間、前記ホログラフィック光学素子と前記第1位相差板との間、前記第2位相差板と前記ホログラフィック光学素子との間、及び、前記反射偏光板と前記第2位相差板との間には、それぞれ空気層が介在し、
前記第1位相差板の前記表示パネルと対向する面、前記第1位相差板の前記ホログラフィック光学素子と対向する面、前記ホログラフィック光学素子の前記第1位相差板と対向する面、前記ホログラフィック光学素子の前記第2位相差板と対向する面、前記第2位相差板の前記ホログラフィック光学素子と対向する面、前記第2位相差板の前記反射偏光板と対向する面は、それぞれ反射防止膜で覆われている、表示装置。
【請求項8】
前記第1位相差板及び前記第2位相差板は、1/4波長板である、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記表示パネルは、液晶パネルと、前記第1位相差板に対向する偏光板と、を備えている、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記液晶パネルを照明する照明装置と、を、さらに備え、
前記照明装置は、青レーザ光を出射するように構成された第1レーザ素子と、緑レーザ光を出射するように構成された第2レーザ素子と、赤レーザ光を出射するように構成された第3レーザ素子と、を備えている、請求項9に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、ユーザの頭部に装着されるヘッドマウントディスプレイを用いて、例えば仮想現実(VR:Virtual Reality)を提供する技術が注目されている。ヘッドマウントディスプレイは、ユーザの眼前に設けられたディスプレイに画像が表示されるように構成されている。これにより、ヘッドマウントディスプレイを装着したユーザは、臨場感のある仮想現実空間を体験することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2003-504663号公報
【特許文献2】特表2003-529795号公報
【特許文献3】特開2018-106160号公報
【特許文献4】特開2019-53152号公報
【特許文献5】特開2019-148626号公報
【特許文献6】特開2019-148627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態の目的は、表示品位の低下を抑制することが可能な表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態によれば、表示装置は、
直線偏光の表示光を出射するように構成された表示パネルと、前記表示パネルに対向する第1位相差板と、前記第1位相差板に接着されたホログラフィック光学素子と、前記ホログラフィック光学素子に接着された第2位相差板と、前記第2位相差板に対向し、第1直線偏光を反射し、前記第1直線偏光と直交する第2直線偏光を透過する反射偏光板と、を備え、前記第2位相差板と前記反射偏光板との間に空気層が介在し、前記第2位相差板の前記反射偏光板と対向する面は、反射防止膜で覆われている。
【0006】
一実施形態によれば、表示装置は、
直線偏光の表示光を出射するように構成された表示パネルと、前記表示パネルに対向する第1位相差板と、前記第1位相差板に接着されたホログラフィック光学素子と、前記ホログラフィック光学素子に対向する第2位相差板と、前記第2位相差板に接着され、第1直線偏光を反射し、前記第1直線偏光と直交する第2直線偏光を透過する反射偏光板と、を備え、前記ホログラフィック光学素子と前記第2位相差板との間に空気層が介在し、前記ホログラフィック光学素子の前記第2位相差板と対向する面、及び、前記第2位相差板の前記ホログラフィック光学素子と対向する面は、それぞれ反射防止膜で覆われている。
【0007】
一実施形態によれば、表示装置は、
直線偏光の表示光を出射するように構成された表示パネルと、前記表示パネルに対向する第1位相差板と、前記第1位相差板に対向するホログラフィック光学素子と、前記ホログラフィック光学素子に対向する第2位相差板と、前記第2位相差板に対向し、第1直線偏光を反射し、前記第1直線偏光と直交する第2直線偏光を透過する反射偏光板と、を備え、前記第1位相差板と前記表示パネルとの間、前記ホログラフィック光学素子と前記第1位相差板との間、前記第2位相差板と前記ホログラフィック光学素子との間、及び、前記反射偏光板と前記第2位相差板との間には、それぞれ空気層が介在し、前記第1位相差板の前記表示パネルと対向する面、前記第1位相差板の前記ホログラフィック光学素子と対向する面、前記ホログラフィック光学素子の前記第1位相差板と対向する面、前記ホログラフィック光学素子の前記第2位相差板と対向する面、前記第2位相差板の前記ホログラフィック光学素子と対向する面、前記第2位相差板の前記反射偏光板と対向する面は、それぞれ反射防止膜で覆われている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態1に係る表示装置を適用したヘッドマウントディスプレイ1の外観の一例を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示したヘッドマウントディスプレイ1の構成の概要を説明するための図である。
図3図3は、実施形態1の表示装置DSPの構成例1を示す断面図である。
図4図4は、表示装置DSPの光学作用を説明するための図である。
図5図5は、照明装置3の主要部を示す図である。
図6図6は、表示装置DSPの構成例2を示す断面図である。
図7図7は、表示装置DSPの構成例3を示す断面図である。
図8図8は、表示装置DSPの構成例4を示す断面図である。
図9図9は、表示装置DSPの構成例5を示す断面図である。
図10図10は、比較例におけるゴーストを説明するための図である。
図11図11は、比較例におけるゴーストを説明するための図である。
図12図12は、比較例におけるゴーストを説明するための図である。
図13図13は、比較例におけるゴーストを説明するための図である。
図14図14は、実施形態2の表示装置DSPの第1構成例を示す断面図である。
図15図15は、図14に示した液晶素子10の一例を示す断面図である。
図16図16は、図15に示した液晶層LC1における配向パターンの一例を示す平面図である。
図17図17は、表示装置DSPの光学作用を説明するための図である。
図18図18は、実施形態2の表示装置DSPの第2構成例を示す断面図である。
図19図19は、図18に示した光学素子20の一例を示す断面図である。
図20図20は、表示装置DSPの光学作用を説明するための図である。
図21図21は、実施形態3の表示装置DSPの第1構成例を示す断面図である。
図22図22は、実施形態3に係る図21に示した光学素子200の一例を示す断面図である。
図23図23は、実施形態3に係る図21に示した光学素子200の一例を示す断面図である。
図24図24は、図21に示した光学素子200の変形例を示す断面図である。
図25図25は、実施形態3の表示装置DSPの光学作用を説明するための図である。
図26図26は、実施形態3のヘッドマウントディスプレイ1の第2構成例を示す断面図である。
図27図27は、図26に示した第1光学素子200B、第2光学素子200G、及び、第3光学素子200Rを説明するための図である。
図28図28は、図26に示したヘッドマウントディスプレイ1の光学作用を説明するための図である。
図29図29は、ヘッドマウントディスプレイ1の第3構成例を示す断面図である。
図30図30は、図29に示したヘッドマウントディスプレイ1の光学作用を説明するための図である。
図31図31は、表示装置DSPの第4構成例を示す断面図である。
図32図32は、図31に示した光学素子30の一例を示す断面図である。
図33図33は、図31に示した表示装置DSPの光学作用を説明するための図である。
図34図34は、実施形態4の表示装置DSPの第1構成例を示す断面図である。
図35図35は、図34に示した表示装置DSPの光学作用の一例を説明するための図である。
図36図36は、実施形態4の表示装置DSPの第2構成例を示す断面図である。
図37図37は、図36に示した表示装置DSPの光学作用の一例を説明するための図である。
図38図38は、図37に示した第1ホログラフィック光学素子HE1の第1特定入射角θ1及び第2ホログラフィック光学素子HE2の第2特定入射角θ2を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
本明細書で述べる実施形態は、一般的なものでなく、本発明の同一又は対応する特別な技術的特徴について説明する実施形態である。以下、図面を参照しながら一実施形態に係る表示装置について詳細に説明する。
【0011】
なお、図面には、必要に応じて理解を容易にするために、互いに直交するX軸、Y軸、及び、Z軸を記載する。X軸に沿った方向を第1方向Xと称し、Y軸に沿った方向を第2方向Yと称し、Z軸に沿った方向を第3方向Zと称する。X軸及びY軸によって規定される面をX-Y平面と称し、X-Y平面を見ることを平面視という。第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zは、互いに直交しているが、90度以外の角度で交差していてもよい。第3方向Zの矢印の先端に向かう方向を上又は上方と定義し、第3方向Zの矢印の先端に向かう方向とは反対側の方向を下又は下方と定義する。なお第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zを、それぞれ、X方向、Y方向、及び、Z方向と呼ぶこともある。
【0012】
また、「第1部材の上方の第2部材」及び「第1部材の下方の第2部材」とした場合、第2部材は、第1部材に接していてもよく、又は第1部材から離れて位置していてもよい。後者の場合、第1部材と第2部材との間に、第3の部材が介在していてもよい。一方、「第1部材の上の第2部材」及び「第1部材の下の第2部材」とした場合、第2部材は第1部材に接している。
【0013】
また、第3方向Zの矢印の先端側に表示装置を観察する観察位置があるものとし、この観察位置から、第1方向X及び第3方向Zによって規定されるX-Z平面、あるいは第2方向Y及び第3方向Zによって規定されるY-Z平面における表示装置の断面を見ることを断面視という。
【0014】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る表示装置を適用したヘッドマウントディスプレイ1の外観の一例を示す斜視図である。
【0015】
ヘッドマウントディスプレイ1は、例えば、右眼用の表示装置DSPRと、左眼用の表示装置DSPLと、を備えている。ユーザがヘッドマウントディスプレイ1を頭部に装着した状態では、表示装置DSPRは当該ユーザの右眼の眼前に位置するように配置され、また、表示装置DSPLは当該ユーザの左眼の眼前に位置するように配置されている。
【0016】
図2は、図1に示したヘッドマウントディスプレイ1の構成の概要を説明するための図である。
【0017】
表示装置DSPRは、表示パネル2Rと、照明装置3Rと、点線で示した光学システム4Rと、を備えている。照明装置3Rは、表示パネル2Rの背面に配置され、表示パネル2Rを照明するように構成されている。光学システム4Rは、表示パネル2Rの前面(あるいはユーザの右眼ERと表示パネル2Rとの間)に配置され、表示パネル2Rからの表示光を右眼ERに導くように構成されている。
【0018】
表示パネル2Rは、例えば、液晶パネル及び偏光板を含んでいる。表示パネル2Rは、照明装置3Rと光学システム4Rとの間に配置されている。表示パネル2Rには、例えば、ドライバICチップ5R及びフレキシブルプリント回路基板6Rが接続されている。ドライバICチップ5Rは、表示パネル2Rの駆動を制御する(特に、表示パネル2Rの表示動作を制御する)。
【0019】
表示装置DSPLは、表示パネル2Lと、照明装置3Lと、点線で示した光学システム4Lと、を備えている。照明装置3Lは、表示パネル2Lの背面に配置され、表示パネル2Lを照明するように構成されている。光学システム4Lは、表示パネル2Lの前面(あるいはユーザの左眼ELと表示パネル2Lとの間)に配置され、表示パネル2Lからの表示光を左眼ELに導くように構成されている。
【0020】
表示パネル2Lは、例えば、液晶パネル及び偏光板を含んでいる。表示パネル2Lは、照明装置3Lと光学システム4Lとの間に配置されている。表示パネル2Lには、例えば、ドライバICチップ5L及びフレキシブルプリント回路基板6Lが接続されている。ドライバICチップ5Lは、表示パネル2Lの駆動を制御する(特に、表示パネル2Lの表示動作を制御する)。
【0021】
表示装置DSPRは、表示装置DSPLと実質的に同様に構成されている。
つまり、表示装置DSPRを構成する表示パネル2R、照明装置3R、及び、光学システム4Rは、それぞれ表示装置DSPLを構成する表示パネル2L、照明装置3L、及び、光学システム4Lと同様に構成されている。
【0022】
実施形態1に係る表示装置DSPにおいては、表示パネル2R及び表示パネル2Lは、液晶パネルを含む例に限らず、有機エレクトロルミネッセンス(Electro Luminescence:EL)素子、マイクロLED、ミニLEDなどの自発光型の発光素子を備えた表示パネルを含んでいてもよい。表示パネル2R及び表示パネル2Lが発光素子を備えた表示パネルである場合、照明装置3R及び照明装置3Lは省略される。詳細については後述するが、表示パネル2R及び表示パネル2Lは、直線偏光の表示光を出射するように構成されており、必要に応じて偏光板を含んでいる。
【0023】
外部に設けられたホストコンピュータHOSTは、表示パネル2L及び2表示パネルRとそれぞれ接続されている。ホストコンピュータHOSTは、表示パネル2L及び表示パネル2Rに表示される画像に対応した画像データを出力する。表示パネル2Lに表示される画像は、左眼用の画像(あるいはユーザの左眼ELで視認される画像)である。また、表示パネル2Rに表示される画像は、右眼用の画像(あるいはユーザの右眼ERで視認される画像)である。
【0024】
例えば、ヘッドマウントディスプレイ1がVR用として利用される場合、左眼用の画像及び右眼用の画像は、両目の視差を再現した互いに類似する画像である。表示パネル2Lに表示された左眼用の画像がユーザの左眼ELで視認され、また、表示パネル2Rに表示された右眼用の画像がユーザの右眼ERで視認された場合には、ユーザは仮想現実空間として立体的な空間(3次元空間)を把握することができる。
【0025】
なお、表示パネル2R及び表示パネル2Lは、左眼ELの眼前及び右眼ERの眼前に亘って延びた単一の表示パネルとして構成されていてもよい。また、照明装置3R及び照明装置3Lは、左眼ELの眼前及び右眼ERの眼前に亘って延びた単一の照明装置として構成されてもよい。
【0026】
次に、本実施形態に係る表示装置DSPのいくつかの構成例について説明する。
【0027】
《構成例1》
図3は、表示装置DSPの構成例1を示す断面図である。
表示装置DSPは、表示パネル2と、照明装置3と、光学システム4と、を備えている。なお、ここでは、表示パネル2及び照明装置3の詳細な図示を省略する。ここで説明する表示装置DSPは、上記の表示装置DSPR及び表示装置DSPLの各々に適用することができる。また、表示パネル2は、上記の表示パネル2R及び表示パネル2Lの各々に適用することができる。また、照明装置3は、上記の照明装置3R及び照明装置3Lの各々に適用することができる。また、光学システム4は、上記の光学システム4R及び光学システム4Lの各々に適用することができる。
【0028】
表示パネル2は、X-Y平面に亘って延在した平板状に形成されている。表示パネル2は、第1基板SUB1と、第2基板SUB2と、液晶層LCと、第1偏光板PL1と、第2偏光板PL2と、を備えている。第1基板SUB1及び第2基板SUB2は、第3方向Zにおいて対向している。液晶層LCは、第1基板SUB1と第2基板SUB2との間に保持され、シールSEによって封止されている。第1偏光板PL1は、照明装置3と第1基板SUB1との間に配置され、例えば第1基板SUB1に接着されている。第2偏光板PL2は、第2基板SUB2と光学システム4との間に配置され、例えば第2基板SUB2に接着されている。
【0029】
表示パネル2は、直線偏光の表示光DLを出射するように構成された表示領域DAを有している。表示領域DAは、照明装置3からの照明光を選択的に変調するように構成されている。照明光の一部は、第2偏光板PL2を透過し、直線偏光の表示光DLに変換される。
【0030】
ここで説明する構成例1に限らず、他の構成例においても同様に、表示パネル2は、液晶パネルに限らない。表示パネル2が有機EL素子などの自発光型の発光素子を備えた表示パネルである場合、上記の通り照明装置3は省略される。また、この場合、発光素子から出射された表示光DLは、第2偏光板PL2を透過して直線偏光の表示光DLに変換される。
【0031】
光学システム4は、第1位相差板R1と、ホログラフィック光学素子HEと、第2位相差板R2と、反射偏光板PRと、を備えている。第1位相差板R1、ホログラフィック光学素子HE、第2位相差板R2、及び、反射偏光板PRは、X-Y平面において、表示パネル2よりも広い範囲に亘って延在している。
【0032】
第1位相差板R1及び第2位相差板R2は、1/4波長板であり、透過する光に対して1/4波長の位相差を付与するものである。第1位相差板R1は、X-Y平面において、少なくとも表示領域DAと対向するように配置されている。第1位相差板R1は、第3方向Zにおいて表示パネル2に対向している。図3に示す例では、第1位相差板R1は、表示パネル2あるいは第2偏光板PL2に接着されている。第2位相差板R2は、第1位相差板R1から離間し、第3方向Zにおいて、間隔をおいて対向している。
【0033】
ホログラフィック光学素子HEは、入射光のうちの一部の光を反射・回折するとともに、集光するレンズ作用を有するものである。ホログラフィック光学素子HEは、干渉縞のパターンを有し、入射光を所定の方向に回折するものである。ホログラフィック光学素子HEは、第3方向Zにおいて第1位相差板R1に対向し、第1位相差板R1に接着されている。第2位相差板R2は、第3方向Zにおいてホログラフィック光学素子HEに対向し、ホログラフィック光学素子HEに接着されている。つまり、ホログラフィック光学素子HEは、第1位相差板R1と第2位相差板R2との間に位置している。
【0034】
反射偏光板PRは、入射光のうち、第1直線偏光を反射し、第1直線偏光と直交する第2直線偏光を透過するものである。一例として、反射偏光板PRは、多層薄膜型のものや、ワイヤグリッド型のものなどである。反射偏光板PRは、第3方向Zにおいて第2位相差板R2に対向し、且つ、第2位相差板R2から離間している。つまり、第2位相差板R2と反射偏光板PRとの間には、空気層が介在している。
【0035】
このような構成例1では、第2位相差板R2において、反射偏光板PRと対向する面R2Bは、反射防止膜ARで覆われている。このため、第2位相差板R2と空気層との界面での不所望な反射あるいは屈折を抑制することができる。
【0036】
第1位相差板R1及び第2位相差板R2は、例えば、少なくとも緑波長の光に対して1/4波長の位相差を付与するものであるが、これに限らない。例えば、第1位相差板R1及び第2位相差板R2としては、赤波長、緑波長、及び、青波長の各々の光に対しても略1/4波長の位相差を付与する広帯域型の位相差板を適用することができる。このような広帯域型の位相差板としては、例えば、1/4波長板の遅相軸と1/2波長板の遅相軸とが所定の角度をなす状態で、1/4波長板と1/2波長板とを貼り合わせたものなどを適用することができる。これにより、第1位相差板R1及び第2位相差板R2における波長依存性を緩和することができる。
【0037】
図4は、表示装置DSPの光学作用を説明するための図である。なお、図4で照明装置3及び反射防止膜ARの図示を省略している。
【0038】
まず、表示パネル2は、第1直線偏光LP1の表示光DLを出射する。ここでの第1直線偏光LP1とは、例えば紙面に垂直な方向に振動する直線偏光である。表示光DLは、第1位相差板R1を透過する際に、1/4波長の位相差が付与される。これにより、表示光DLは、第1位相差板R1を透過した後に、第1円偏光CP1に変換される。ここでの第1円偏光CP1とは、例えば左回りの円偏光である。
【0039】
第1位相差板R1を透過した第1円偏光CP1のうち、一部の第1円偏光CP1はホログラフィック光学素子HEを透過する。ホログラフィック光学素子HEを透過した第1円偏光CP1は、第2位相差板R2を透過する際に、1/4波長の位相差が付与され、再び第1直線偏光LP1に変換される。
【0040】
第2位相差板R2を透過した第1直線偏光LP1は、反射偏光板PRで反射される。反射偏光板PRで反射された第1直線偏光LP1は、第2位相差板R2を透過して第1円偏光CP1に変換される。第2位相差板R2を透過した第1円偏光CP1のうち、一部の第1円偏光CP1はホログラフィック光学素子HEで反射され、第2円偏光CP2に変換される。ここでの第2円偏光CP2とは、第1円偏光CP1とは逆回りの円偏光であり、例えば右回りの円偏光である。
【0041】
ホログラフィック光学素子HEで反射された第2円偏光CP2は、第2位相差板R2を透過して第2直線偏光LP2に変換される。ここでの第2直線偏光LP2とは、第1直線偏光LP1とは直交する方向、つまり紙面に平行な方向に振動する直線偏光である。
【0042】
第2位相差板R2を透過した第2直線偏光LP2は、反射偏光板PRを透過する。反射偏光板PRの透過光は、ホログラフィック光学素子HEからの反射光であり、凹面鏡の効果により、ユーザの瞳Eに集光される。
【0043】
このような表示装置DSPによれば、光学システム4は、ホログラフィック光学素子HEと反射偏光板PRとの間を3回通る光路を有している。つまり、光学システム4において、ホログラフィック光学素子HEと反射偏光板PRとの間の光学的な距離は、実際のホログラフィック光学素子HEと反射偏光板PRとの間隔の約3倍となる。ホログラフィック光学素子HEは、集光するレンズ作用を有しているため、ホログラフィック光学素子HEでの反射光がユーザの瞳Eに集光される。これにより、ユーザは、拡大された虚像を観察することができる。
【0044】
ホログラフィック光学素子HEと反射偏光板PRとの距離を確保するために、構成例1では、第2位相差板R2と反射偏光板PRとの間には空気層が介在している。このような光学システム4において、第2位相差板R2と空気層との界面での不所望な反射光は、多重画像(いわゆるゴースト)の原因となり、表示品位の低下を招く。これに対して、構成例1によれば、第2位相差板R2に反射防止膜ARが設けられているため、不所望な反射光が発生せず、表示品位の低下を抑制することができる。
【0045】
また、光学システム4を構成する各部材の波長依存性が小さいため、光学システム4の構成を簡素化することができ、表示領域DAに表示されるカラー画像をユーザの瞳Eに効率よく集光することができる。
【0046】
なお、図4を参照して説明した第1直線偏光LP1を第2直線偏光LP2に置換してもよいし、第1円偏光CP1を第2円偏光CP2に置換してもよい。
【0047】
図5は、照明装置3の主要部を示す図である。
照明装置3は、導光板LGと、複数の発光素子LDと、を備えている。複数の発光素子LDは、それぞれ導光板LGの側面LGSと対向している。
【0048】
発光素子LDは、青波長(第1波長)のレーザ光を出射するように構成された第1発光素子(第1レーザ素子ともいう)LDBと、緑波長(第2波長)のレーザ光を出射するように構成された第2発光素子(第2レーザ素子ともいう)LDGと、赤波長(第3波長)のレーザ光を出射するように構成された第3発光素子(第3レーザ素子)LDRと、を備えている。第1発光素子LDB、第2発光素子LDG、及び、第3発光素子LDRは、間隔をおいて並んでいる。
【0049】
第1発光素子LDBから出射される青レーザ光の中心波長をλbとし、第2発光素子LDGから出射される緑レーザ光の中心波長をλgとし、第3発光素子LDRから出射される赤レーザ光の中心波長をλrとする。
【0050】
ホログラフィック光学素子HEは、中心波長λbの第1円偏光CP1、中心波長λgの第1円偏光CP1、及び、中心波長λrの第1円偏光CP1を反射するように最適化されている。
【0051】
なお、照明装置3は、表示パネル2の直下に複数の発光素子LDが配置される構成であってもよい。
【0052】
次に、表示装置DSPの他の構成例について説明する。なお、以下の説明では、構成例1と同一の構成については同一の参照符号を付して説明を省略する場合がある。また、照明装置3の図示を省略している。また、表示パネル2、第1位相差板R1、ホログラフィック光学素子HE、第2位相差板R2、及び、反射偏光板PRは、それぞれ簡略化して図示しているが、ホログラフィック光学素子HEなどの各種光学部材は、図3に示したように、X-Y平面において、表示パネル2よりも広い範囲に亘って延在している。
【0053】
《構成例2》
図6は、表示装置DSPの構成例2を示す断面図である。
図6に示す構成例2は、図3に示した構成例1と比較して、第1位相差板R1と表示パネル2との間に空気層が介在している点で相違している。つまり、第1位相差板R1は、第3方向Zにおいて表示パネル2に対向し、且つ、表示パネル2あるいは第2偏光板PL2から離間している。
【0054】
このような構成例2では、第1位相差板R1において、表示パネル2と対向する面R1Aは、反射防止膜ARで覆われている。このため、第1位相差板R1と空気層との界面での不所望な反射あるいは屈折を抑制することができる。
【0055】
《構成例3》
図7は、表示装置DSPの構成例3を示す断面図である。
第1位相差板R1は、第3方向Zにおいて表示パネル2に対向している。図7に示す例では、第1位相差板R1は、表示パネル2あるいは第2偏光板PL2に接着されている。第2位相差板R2は、第1位相差板R1から離間し、第3方向Zにおいて、間隔をおいて対向している。
【0056】
ホログラフィック光学素子HEは、第3方向Zにおいて第1位相差板R1に対向し、第1位相差板R1に接着されている。第2位相差板R2は、第3方向Zにおいてホログラフィック光学素子HEに対向し、ホログラフィック光学素子HEから離間している。つまり、ホログラフィック光学素子HEと第2位相差板R2との間には、空気層が介在している。
【0057】
反射偏光板PRは、第3方向Zにおいて第2位相差板R2に対向し、第2位相差板R2に接着されている。
【0058】
このような構成例3では、ホログラフィック光学素子HEにおいて、第2位相差板R2と対向する面HBは、反射防止膜ARで覆われている。また、第2位相差板R2において、ホログラフィック光学素子HEと対向する面R2Aは、反射防止膜ARで覆われている。このため、ホログラフィック光学素子HEと空気層との界面、及び、第2位相差板R2と空気層との界面での不所望な反射あるいは屈折を抑制することができる。
【0059】
《構成例4》
図8は、表示装置DSPの構成例4を示す断面図である。
図8に示す構成例4は、図7に示した構成例3と比較して、第1位相差板R1と表示パネル2との間に空気層が介在している点で相違している。つまり、第1位相差板R1は、第3方向Zにおいて表示パネル2に対向し、且つ、表示パネル2あるいは第2偏光板PL2から離間している。
【0060】
このような構成例4では、第1位相差板R1において、表示パネル2と対向する面R1Aは、反射防止膜ARで覆われている。このため、第1位相差板R1と空気層との界面での不所望な反射あるいは屈折を抑制することができる。
【0061】
《構成例5》
図9は、表示装置DSPの構成例5を示す断面図である。
第1位相差板R1は、第3方向Zにおいて表示パネル2に対向し、表示パネル2あるいは第2偏光板PL2から離間している。
【0062】
ホログラフィック光学素子HEは、第3方向Zにおいて第1位相差板R1に対向し、第1位相差板R1から離間している。
【0063】
第2位相差板R2は、第3方向Zにおいてホログラフィック光学素子HEに対向し、ホログラフィック光学素子HEから離間している。
【0064】
反射偏光板PRは、第3方向Zにおいて第2位相差板R2に対向し、第2位相差板R2から離間している。
【0065】
つまり、構成例5においては、第1位相差板R1と表示パネル2との間、ホログラフィック光学素子HEと第1位相差板R1との間、第2位相差板R2とホログラフィック光学素子HEとの間、及び、反射偏光板PRと第2位相差板R2との間には、それぞれ空気層が介在している。
【0066】
第1位相差板R1において、表示パネル2と対向する面R1A及びホログラフィック光学素子HEと対向する面R1Bは、それぞれ反射防止膜ARで覆われている。
【0067】
ホログラフィック光学素子HEにおいて、第1位相差板R1と対向する面HA及び第2位相差板R2と対向する面HBは、それぞれ反射防止膜ARで覆われている。
【0068】
第2位相差板R2において、ホログラフィック光学素子HEと対向する面R2A及び反射偏光板PRと対向する面R2Bは、それぞれ反射防止膜ARで覆われている。
【0069】
このため、第1位相差板R1と空気層との界面、ホログラフィック光学素子HEと空気層との界面、及び、第2位相差板R2と空気層との界面での不所望な反射あるいは屈折を抑制することができる。
【0070】
次に、比較例について説明する。図10乃至図13に示す比較例では、第1位相差板R1は表示パネル2から離間し、ホログラフィック光学素子HEは第1位相差板R1から離間し、第2位相差板R2はホログラフィック光学素子HEから離間し、反射偏光板PRは第2位相差板R2から離間している。また、第1位相差板R1、ホログラフィック光学素子HE、及び、第2位相差板R2には、反射防止膜が設けられていない。
【0071】
以下、比較例において発生し得るゴーストについて図10乃至図13を参照しながら説明する。なお、各図において、正規の拡大画像を形成する光路を太線で示し、ゴーストを形成する光路を細線で示している。
【0072】
図10に示す例では、反射偏光板PRで反射された第1直線偏光LP1が第2位相差板R2の反射偏光板PRと対向する面R2Bで反射される。つまり、第2位相差板R2と反射偏光板PRとの間を往復する光路が点線で示すように追加されている。このため、正規の拡大画像の光路と比較して、光路長が拡大している。このような場合、正規の拡大画像の他に、さらに拡大されたゴーストが発生する。
【0073】
図11に示す例では、ホログラフィック光学素子HEを透過した第1円偏光CP1が第2位相差板R2の反射偏光板PRと対向する面R2Bで反射される。つまり、第2位相差板R2と反射偏光板PRとの間を往復する光路が欠落している。このため、正規の拡大画像の光路とは異なる光路を経てゴーストが発生する。
【0074】
図12に示す例では、反射偏光板PRで反射された第1直線偏光LP1が第2位相差板R2のホログラフィック光学素子HEと対向する面R2Aで反射される。つまり、第2位相差板R2とホログラフィック光学素子HEとの間を往復する光路が欠落している。このため、正規の拡大画像の光路とは異なる光路を経てゴーストが発生する。
【0075】
図13に示す例では、反射偏光板PRで反射された第1直線偏光LP1が第2位相差板R2で第1円偏光CP1に変換された後にホログラフィック光学素子HEを透過し、第1位相差板R1のホログラフィック光学素子HEと対向する面R1Bで反射される。つまり、ホログラフィック光学素子HEと第1位相差板R1との間を往復する光路が追加されている。このため、正規の拡大画像の光路とは異なる光路を経てゴーストが発生する。
【0076】
以上説明したように、本実施形態によれば、光学システム4を構成する各光学部材は、反射防止膜で覆われており、空気層との界面が形成されない。このため、正規の拡大画像の他にゴーストの発生が抑制され、表示品位の低下を抑制することができる。
【0077】
[実施形態2]
実施形態2では、実施形態1とは異なる光学システム4を用いた表示装置DSPについて説明する。なお実施形態1と同様の構成要素については、実施形態1を援用し、これを省略する。
【0078】
《第1構成例》
図14は、実施形態2における表示装置DSPの第1構成例を示す断面図である。
表示装置DSPは、表示パネル2と、光学システム4と、を備えている。なお、図14では、表示パネル2の詳細の図示を省略するとともに、照明装置の図示を省略している。光学システム4は、上記の光学システム4R及び光学システム4Lの各々に適用することができる。
【0079】
光学システム4は、第1構造体4A及び第2構造体4Bを備えている。第1構造体4Aは、第2構造体4Bから離間している。図14に示す例では、第1構造体4Aと第2構造体4Bとの間には、空気層4Cが設けられている。第1構造体4Aは、表示パネル2と第2構造体4Bとの間(あるいは表示パネル2と空気層4Cとの間)に配置されている。
【0080】
第1構造体4Aは、第1位相差板R1と、半透過層HMと、第2位相差板R2と、反射防止膜ARと、を備えている。第1位相差板R1及び第2位相差板R2は、1/4波長板であり、透過する光に対して1/4波長の位相差を付与するものである。半透過層HMは、入射光のうちの一部の光を透過し、その他の光を反射するものである。一例として、半透過層HMは、アルミニウムや銀などの金属材料で形成された薄膜である。また、半透過層HMの透過率は、約50%である。
【0081】
反射防止膜ARは、第2位相差板R2に接して設けられている。より具体的には、第2位相差板R2の反射偏光板PRに対向する面は、反射防止膜ARで覆われている。実施形態1と同様に、実施形態2においても、不所望な反射光が発生せず、表示品位の低下を抑制することができる。なお図14において、第1構造体4Aに設けられる反射防止膜ARを、反射防止膜AR1と呼ぶこともある。
【0082】
第1位相差板R1、半透過層HM、第2位相差板R2、及び、反射防止膜ARは、X-Y平面において、表示領域DAよりも広い範囲に亘って延在している。また、第1位相差板R1、半透過層HM、第2位相差板R2、及び、反射防止膜ARは、この順に、第3方向Zに沿って積層されている。第1位相差板R1は表示パネル2に接している。半透過層HMは第1位相差板R1に接している。第2位相差板R2は半透過層HMに接している。反射防止膜ARは、第2位相差板R2に接している。
【0083】
第1位相差板R1は表示パネル2と半透過層HMとの間に配置される。半透過層HMは第1位相差板R1と第2位相差板R2との間に配置されている。第2位相差板R2は、半透過層HMと反射防止膜ARとの間に配置されている。
【0084】
第2構造体4Bは、反射偏光板PRと、第3位相差板R3と、液晶素子10と、を備えている。反射偏光板PRは、入射光のうち、第1直線偏光を透過し、第1直線偏光と直交する第2直線偏光を反射するものである。一例として、反射偏光板PRは、多層薄膜型のものや、ワイヤグリッド型のものなどである。第3位相差板R3は、1/4波長板であり、透過する光に対して1/4波長の位相差を付与するものである。
【0085】
液晶素子10は、特定波長の光に対して1/2波長の位相差を付与するとともに、第1円偏光を集光するレンズ作用を有するものである。なお、ここでは、円偏光を集光するレンズ作用を有する素子の一例として、液晶素子10を挙げたが、同等のレンズ作用を有するものであれば、液晶を利用した素子に限定されるものではない。
【0086】
反射偏光板PR、第3位相差板R3、及び、液晶素子10は、X-Y平面において、表示領域DAよりも広い範囲に亘って延在している。また、反射偏光板PR、第3位相差板R3、及び、液晶素子10は、この順に、第3方向Zに沿って積層されている。第3位相差板R3は反射偏光板PRに接し、液晶素子10は第3位相差板R3に接し、第2位相差板R2は半透過層HMと反射偏光板PRとの間に配置され、第3位相差板R3は反射偏光板PRと液晶素子10との間に配置されている。反射偏光板PRは、第2位相差板R2から離間しており、第3方向Zにおいて、空気層4Cを介して第2位相差板R2と対向している。
【0087】
表示パネル2及び第1位相差板R1は、空気層を介することなく互いに密着していることが望ましい。また、第1構造体4Aを構成する第1位相差板R1、半透過層HM、第2位相差板R2、及び反射防止膜ARは、空気層を介することなく互いに密着していることが望ましい。さらに、第2構造体4Bを構成する反射偏光板PR、第3位相差板R3、及び、液晶素子10は、空気層を介することなく互いに密着していることが望ましい。これにより、部材間の界面での不所望な反射あるいは屈折を抑制することができる。
【0088】
第1位相差板R1、第2位相差板R2、及び、第3位相差板R3は、例えば、少なくとも緑波長の光に対して1/4波長の位相差を付与するものであるが、これに限らない。例えば、第1位相差板R1、第2位相差板R2、及び、第3位相差板R3としては、赤波長、緑波長、及び、青波長の各々の光に対しても略1/4波長の位相差を付与する広帯域型の位相差板を適用することができる。このような広帯域型の位相差板としては、例えば、1/4波長板の遅相軸と1/2波長板の遅相軸とが所定の角度をなす状態で、1/4波長板と1/2波長板とを貼り合わせたものなどを適用することができる。これにより、第1位相差板R1、第2位相差板R2、及び、第3位相差板R3における波長依存性を緩和することができる。
【0089】
図15は、図14に示した液晶素子10の一例を示す断面図である。液晶素子10は、基板11と、配向膜AL11と、液晶層(第1液晶層)LC1と、配向膜AL12と、基板12と、を備えている。
【0090】
基板11及び基板12は、光を透過する透明基板であり、例えば、透明なガラス板または透明な合成樹脂板によって構成されている。基板11は、例えば、図3に示した第3位相差板R3と接着されるが、第3位相差板R3と置換してもよい。
【0091】
配向膜AL11は、基板11の内面11Aに配置されている。図4に示す例では、配向膜AL11は、基板11に接しているが、配向膜AL11と基板11との間に他の薄膜が介在していてもよい。
【0092】
配向膜AL12は、基板12の内面12Aに配置されている。図4に示す例では、配向膜AL12は、基板12に接しているが、配向膜AL12と基板12との間に他の薄膜が介在していてもよい。配向膜AL12は、第3方向Zにおいて、配向膜AL11と対向している。
【0093】
配向膜AL11及び配向膜AL12は、例えば、ポリイミドによって形成され、いずれもX-Y平面に沿った配向規制力を有する水平配向膜である。
【0094】
液晶層LC1は、配向膜AL11及び配向膜AL12の間に配置され、配向膜AL11及び配向膜AL12に接している。液晶層LC1は、第3方向Zに沿った厚さd1を有している。液晶層LC1は、第3方向Zに沿った配向方向が揃ったネマティック液晶を有している。
【0095】
すなわち、液晶層LC1は、複数の液晶構造体LMS1を有している。1つの液晶構造体LMS1に着目すると、液晶構造体LMS1は、その一端側に位置する液晶分子LM11と、その他端側に位置する液晶分子LM12と、を有している。液晶分子LM11は配向膜AL11に近接し、液晶分子LM12は配向膜AL12に近接している。液晶分子LM11の配向方向、及び、液晶分子LM12の配向方向は、ほぼ一致している。また、液晶分子LM11と液晶分子LM12との間の他の液晶分子LM1の配向方向も、液晶分子LM11の配向方向とほぼ一致している。なお、ここでの液晶分子LM1の配向方向とは、X-Y平面における液晶分子の長軸の方向に相当する。
【0096】
また、液晶層LC1において、第1方向Xに沿って隣接する複数の液晶構造体LMS1は、互いに配向方向が異なっている。同様に、第2方向Yに沿って隣接する複数の液晶構造体LMS1についても、互いに配向方向が異なっている。配向膜AL11に沿って並んだ複数の液晶分子LM11の配向方向、及び、配向膜AL12に沿って並んだ複数の液晶分子LM12の配向方向は、連続的(あるいは線形)に変化している。
【0097】
このような液晶層LC1は、液晶分子LM11及び液晶分子LM12を含む液晶分子LM1の配向方向が固定された状態で硬化している。つまり、液晶分子LM1の配向方向は、電界に応じて制御されるものではない。このため、液晶素子10は、配向制御のための電極を備えていない。
【0098】
液晶層LC1の屈折率異方性あるいは複屈折性(液晶層LC1の異常光に対する屈折率neと常光に対する屈折率noとの差分)をΔnとしたとき、液晶層LC1のリタデーション(位相差)Δn・d1は、特定波長λの1/2に設定されている。
【0099】
図16は、図15に示した液晶層LC1における配向パターンの一例を示す平面図である。図16には、液晶層LC1のX-Y平面における空間位相の一例が示されている。ここに示す空間位相は、液晶構造体LMS1に含まれる液晶分子LM1のうち、配向膜AL11に近接する液晶分子LM11の配向方向として示している。
【0100】
図中の点線で示した同心円では、空間位相が揃っている。あるいは、隣接する2つの同心円で囲まれた環状領域では、液晶分子LM11の配向方向が揃っている。但し、隣接する環状領域の液晶分子LM11の配向方向は、互いに異なっている。
【0101】
例えば、液晶層LC1は、平面視において、第1環状領域C1と、第2環状領域C2と、を有している。第2環状領域C2は、第1環状領域C1の外側に位置している。第1環状領域C1は、同一方向に配向した複数の第1液晶分子LM111によって構成されている。また、第2環状領域C2は、同一方向に配向した複数の第2液晶分子LM112によって構成されている。第1液晶分子LM111の配向方向は、第2液晶分子LM112の配向方向とは異なっている。
【0102】
同様に、同心円の中心の領域から、径方向に沿って並んだ液晶分子LM11の配向方向は、互いに異なり、連続的に変化している。つまり、図示したX-Y平面内において、液晶層LC1の空間位相は、径方向に沿って異なり、連続的に変化している。
【0103】
このような構成の液晶素子10に第1円偏光が入射した場合、第1円偏光は、同心円の中心に向かって集光され、しかも、液晶素子10の透過光は、第1円偏光とは逆回りの第2円偏光に変換される。
【0104】
図17は、表示装置DSPの光学作用を説明するための図である。なお、図17で照明装置3の図示を省略している。以下の説明において、第2位相差板R2を通って反射偏光板PRに入射する表示光DL、及び、反射偏光板PRを通って第2位相差板R2に入射する表示光DLは、反射防止膜ARを透過するものとする。反射防止膜ARを透過する表示光DLでは、偏光方向は維持される。
【0105】
まず、表示パネル2は、第1直線偏光LP1の表示光DLを出射する。ここでの第1直線偏光LP1とは、例えば紙面に垂直な方向に振動する直線偏光である。また、ここでの表示光DLとは、特定波長λの光である。表示光DLは、第1位相差板R1を透過する際に、1/4波長の位相差が付与される。これにより、表示光DLは、第1位相差板R1を透過した後に、第1円偏光CP1に変換される。ここでの第1円偏光CP1とは、例えば左回りの円偏光である。
【0106】
第1位相差板R1を透過した第1円偏光CP1のうち、一部の第1円偏光CP1は半透過層HMを透過し、他の第1円偏光CP1は半透過層HMで反射される。半透過層HMを透過した第1円偏光CP1は、第2位相差板R2を透過する際に、1/4波長の位相差が付与され、第2直線偏光LP2に変換される。ここでの第2直線偏光LP2とは、第1直線偏光LP1とは直交する方向、つまり紙面に平行な方向に振動する直線偏光である。
【0107】
なお、第1円偏光CP1が半透過層HMで反射された際には、第1円偏光CP1とは逆回りの第2円偏光CP2に変換される。ここでの第2円偏光CP2とは、例えば右回りの円偏光である。半透過層HMで反射された第2円偏光CP2は、第1位相差板R1を透過して第2直線偏光LP2に変換され、表示パネル2において吸収される。
【0108】
第2位相差板R2を透過した第2直線偏光LP2は、反射偏光板PRで反射される。反射偏光板PRで反射された第2直線偏光LP2は、第2位相差板R2を透過して第1円偏光CP1に変換される。
【0109】
第2位相差板R2を透過した第1円偏光CP1のうち、一部の第1円偏光CP1は半透過層HMで反射され、他の第1円偏光CP1は半透過層HMを透過する。第1円偏光CP1が半透過層HMで反射された際には、第2円偏光CP2に変換される。半透過層HMで反射された第2円偏光CP2は、第2位相差板R2を透過して第1直線偏光LP1に変換される。
【0110】
なお、半透過層HMを透過した第1円偏光CP1は、第1位相差板R1を透過して第1直線偏光LP1に変換される。
【0111】
第2位相差板R2を透過した第1直線偏光LP1は、反射偏光板PRを透過し、さらに、第3位相差板R3を透過して第1円偏光CP1に変換される。第3位相差板R3を透過した第1円偏光CP1は、液晶素子10において、第2円偏光CP2に変換されるとともにレンズ作用を受けてユーザの瞳Eに集光される。
【0112】
このような表示装置DSPによれば、光学システム4は、半透過層HMと反射偏光板PRとの間を3回通る光路を有している。つまり、光学システム4において、半透過層HMと反射偏光板PRとの間の光学的な距離は、実際の半透過層HMと反射偏光板PRとの間隔(あるいは空気層4Cの厚さ)の約3倍となる。表示パネル2は、レンズ作用を有する液晶素子10の焦点よりも内側に設置されている。これにより、ユーザは、拡大された虚像を観察することができる。
【0113】
このような第1構成例によれば、ガラスや樹脂などで形成された光学部品を備える光学システムと比較して、第3方向Zに沿った厚さを薄くすることができ、しかも、軽量化を実現することができる。
【0114】
なお、図17を参照して説明した第1直線偏光LP1を第2直線偏光LP2に置換してもよいし、第1円偏光CP1を第2円偏光CP2に置換してもよい。
【0115】
実施形態2においても、実施形態1と同様、反射防止膜ARが設けられているので、不所望な反射光が発生せず、表示品位の低下を抑制することが可能である。
【0116】
《第2構成例》
図18は、実施形態2の表示装置DSPの第2構成例を示す断面図である。図18に示す第2構成例は、図17に示した第1構成例と比較して、第2位相差板R2、反射偏光板PR、及び、第3位相差板R3を光学素子20に置換した点で相違している。
【0117】
表示装置DSPは、表示パネル2と、光学システム4と、を備えている。表示パネル2の詳細については省略するが、表示パネル2は、表示領域DAにおいて直線偏光の表示光DLを出射するように構成されている。
【0118】
光学システム4の第1構造体4Aは、第1位相差板R1と、半透過層HMと、反射防止膜AR1と、を備えている。第1位相差板R1は、1/4波長板である。半透過層HMは、入射光のうちの一部の光を透過し、その他の光を反射するものである。反射防止膜AR1は、半透過層HMと空気層との界面での不所望な反射あるいは屈折を抑制することができる。
【0119】
第1位相差板R1、半透過層HM、及び反射防止膜AR1は、この順に、第3方向Zに沿って積層されている。第1位相差板R1は表示パネル2に接する。半透過層HMは第1位相差板R1に接する。反射防止膜AR1は、半透過層HMに接する。より具体的には、半透過層HMの光学素子20に対向する面は、反射防止膜AR1に覆われている。
【0120】
第1位相差板R1は、表示パネル2と半透過層HMとの間に配置されている。半透過層HMは、第1位相差板R1と反射防止膜AR1との間に配置されている。
【0121】
光学システム4の第2構造体4Bは、反射防止膜AR2と、光学素子(第1光学素子)20と、液晶素子10と、を備えている。光学素子20は、後に詳述するが、コレステリック液晶(第1コレステリック液晶)を有している。光学素子20は、第1波長の光のうち、第1円偏光を半透過層HMに向けて反射し、第2円偏光を透過するものである。液晶素子10は、特定波長の光に対して1/2波長の位相差を付与するとともに、第2円偏光を集光するレンズ作用を有するものである。反射防止膜AR2は、反射防止膜AR1と同様である。
【0122】
液晶素子10、光学素子20、及び反射防止膜AR2は、この順に、第3方向Zに沿って積層されている。液晶素子10は、光学素子20に接している。光学素子20は、反射防止膜AR2に接している。光学素子20は、反射防止膜AR2及び液晶素子10との間に配置されている。
【0123】
反射防止膜AR2は、反射防止膜AR1から離間しており、第3方向Zにおいて、空気層4Cを介して反射防止膜AR1と対向している。反射防止膜AR2は、半透過層HMと光学素子20との間に配置されている。より具体的には、光学素子20の半透過層HMに対向する面は、反射防止膜AR2に覆われている。
【0124】
図19は、図18に示した光学素子20の一例を示す断面図である。光学素子20は、基板21と、配向膜AL21と、液晶層(第2液晶層)LC2と、配向膜AL22と、基板22と、を備えている。
【0125】
基板21及び基板22は、光を透過する透明基板であり、例えば、透明なガラス板または透明な合成樹脂板によって構成されている。基板22は、例えば、図18に示した液晶素子10と接着されるが、液晶素子10の基板11と置換してもよい。
【0126】
配向膜AL21は、基板21の内面21Aに配置されている。図19に示す例では、配向膜AL21は、基板21に接しているが、配向膜AL21と基板21との間に他の薄膜が介在していてもよい。
【0127】
配向膜AL22は、基板22の内面22Aに配置されている。図19に示す例では、配向膜AL22は、基板22に接しているが、配向膜AL22と基板22との間に他の薄膜が介在していてもよい。配向膜AL22は、第3方向Zにおいて、配向膜AL21と対向している。
【0128】
配向膜AL21及び配向膜AL22は、例えば、ポリイミドによって形成され、いずれもX-Y平面に沿った配向規制力を有する水平配向膜である。
【0129】
液晶層LC2は、配向膜AL21及び配向膜AL22の間に配置され、配向膜AL21及び配向膜AL22に接している。液晶層LC2は、第3方向Zに沿った厚さd2を有している。液晶層LC2は、コレステリック液晶を有している。なお、図19では、図面の簡略化のため、1つの液晶分子LM2は、X-Y平面内に位置する複数の液晶分子のうち、平均的配向方向を向いている液晶分子を代表して示している。
【0130】
すなわち、液晶層LC2は、複数の液晶構造体LMS2を有している。1つの液晶構造体LMS2に着目すると、液晶構造体LMS2は、その一端側に位置する液晶分子LM21と、その他端側に位置する液晶分子LM22と、を有している。液晶分子LM21は配向膜AL21に近接し、液晶分子LM22は配向膜AL22に近接している。液晶分子LM21及び液晶分子LM22を含む複数の液晶分子LM2は、旋回しながら第3方向Zに沿って螺旋状に積み重ねられ、コレステリック液晶を構成している。液晶分子LM21の配向方向、及び、液晶分子LM22の配向方向は、ほぼ一致している。液晶構造体LMS2は、螺旋ピッチPを有している。螺旋ピッチPは、螺旋の1周期(360度)を示す。例えば、液晶層LC2の厚さd2は、螺旋ピッチPの数倍以上である。
【0131】
また、液晶層LC2において、第1方向Xに沿って隣接する複数の液晶構造体LMS2は、互いに配向方向が揃っている。同様に、第2方向Yに沿って隣接する複数の液晶構造体LMS2についても、互いに配向方向が揃っている。つまり、配向膜AL21に沿って並んだ複数の液晶分子LM21の配向方向は、ほぼ一致し、また、配向膜AL22に沿って並んだ複数の液晶分子LM22の配向方向は、ほぼ一致している。
【0132】
液晶層LC2は、配向膜AL21と配向膜AL22との間に、一点鎖線で示すような複数の反射面LMRを有している。複数の反射面LMRは、X-Y平面に沿って形成され、互いに略平行である。反射面LMRは、X-Y平面に沿って形成されている。反射面LMRは、ブラッグの法則に従って、入射光のうち、一部の円偏光を反射し、他の円偏光を透過する。ここでの反射面LMRは、液晶分子LM2の配向方向が揃った面、あるいは、空間位相が揃った面(等位相面)に相当する。
【0133】
液晶構造体LMS2は、第1波長λの光のうち、コレステリック液晶の旋回方向と同じ旋回方向の円偏光を反射する。例えば、コレステリック液晶の旋回方向が右回りの場合、第1波長λの光のうち、右回りの円偏光を反射し、左回りの円偏光を透過する。同様に、コレステリック液晶の旋回方向が左回りの場合、第1波長λの光のうち、左回りの円偏光を反射し、右回りの円偏光を透過する。
【0134】
このような液晶層LC2は、液晶分子LM21及び液晶分子LM22を含む液晶分子LM2の配向方向が固定された状態で硬化している。つまり、液晶分子LM2の配向方向は、電界に応じて制御されるものではない。このため、光学素子20は、配向制御のための電極を備えていない。
【0135】
コレステリック液晶の螺旋ピッチをP、液晶分子の異常光に対する屈折率をne、液晶分子の常光に対する屈折率をnoと記載すると、一般的に、垂直入射した光に対するコレステリック液晶の選択反射帯域Δλは、「no*P~ne*P」で示される。このため、反射面LMRにおいて第1波長λの円偏光を効率よく反射するためには、第1波長λが選択反射波長帯Δλに含まれるように、螺旋ピッチP、屈折率ne及びnoが設定される。
【0136】
図20は、表示装置DSPの光学作用を説明するための図である。なお、図20で照明装置3の図示を省略している。以下の説明において、光学素子20を通って半透過層HMに入射する表示光DL、及び、半透過層HMを通って光学素子20に入射する表示光DLは、反射防止膜AR1及び反射防止膜AR2を透過するものとする。反射防止膜AR1及び反射防止膜AR2を透過する表示光DLでは、偏光方向は維持される。
【0137】
まず、表示パネル2は、第1直線偏光LP1の表示光DLを出射する。ここでの表示光DLとは、第1波長λの光である。表示光DLは、第1位相差板R1を透過して第1円偏光CP1に変換される。
【0138】
第1位相差板R1を透過した第1円偏光CP1のうち、一部の第1円偏光CP1は半透過層HMを透過し、他の第1円偏光CP1は半透過層HMで反射される。半透過層HMを透過した第1円偏光CP1は、光学素子20において反射される。
【0139】
なお、第1円偏光CP1が半透過層HMで反射された際には、第2円偏光CP2に変換される。半透過層HMで反射された第2円偏光CP2は、第1位相差板R1を透過して第2直線偏光LP2に変換され、表示パネル2において吸収される。
【0140】
光学素子20で反射された第1円偏光CP1のうち、一部の第1円偏光CP1は半透過層HMを透過し、他の第1円偏光CP1は半透過層HMで反射される。第1円偏光CP1が半透過層HMで反射された際には、第2円偏光CP2に変換される。
【0141】
なお、半透過層HMを透過した第1円偏光CP1は、第1位相差板R1を透過して第1直線偏光LP1に変換される。
【0142】
半透過層HMで反射された第2円偏光CP2は、光学素子20を透過する。光学素子20を透過した第2円偏光CP2は、液晶素子10において、第1円偏光CP1に変換されるとともにレンズ作用を受けてユーザの瞳Eに集光される。
【0143】
このような第2構成例においても、上記の第1構成例と同様の効果が得られる。加えて、光学システム4を構成する部品点数を削減することができる。
【0144】
なお、図11を参照して説明した第1直線偏光LP1を第2直線偏光LP2に置換してもよいし、第1円偏光CP1を第2円偏光CP2に置換してもよい。
【0145】
このような第2構成例においても、上記の第1構成例と同様の効果が得られる。
【0146】
[実施形態3]
実施形態3では、実施形態1とは異なる光学システム4を用いた表示装置DSPについて説明する。なお実施形態1と同様の構成要素については、実施形態1を援用し、これを省略する。
【0147】
《第1構成例》
図21は、実施形態3の表示装置DSPの第1構成例を示す断面図である。
表示装置DSPは、表示パネル2と、光学システム4と、を備えている。なお、ここでは、表示パネル2の詳細の図示を省略するとともに、照明装置の図示を省略している。
【0148】
表示パネル2は、X-Y平面に亘って延在した平板状に形成されている。表示パネル2は、表示領域DAにおいて直線偏光の表示光DLを出射するように構成されている。例えば、表示パネル2は偏光板を備え、直線偏光の表示光DLは偏光板を介して出射される。
【0149】
ここで説明する第1構成例に限らず、実施形態3の他の構成例においても同様に、表示パネル2は、液晶パネルに限らない。表示パネル2が自発光型の発光素子を備えた表示パネルである場合、上記の通り照明装置3は省略される。また、この場合、発光素子から出射された表示光DLは、偏光板を透過して直線偏光の表示光DLに変換される。
【0150】
光学システム4は、第1構造体4A及び第2構造体4Bを備えている。第1構造体4Aは、第2構造体4Bから離間している。図3に示す例では、第1構造体4Aと第2構造体4Bとの間には、空気層4Cが設けられている。第1構造体4Aは、表示パネル2と第2構造体4Bとの間(あるいは表示パネル2と空気層4Cとの間)に配置されている。
【0151】
第1構造体4Aは、第1位相差板R1と、第1半透過素子H1と、第2位相差板R2と、反射防止膜AR1と、を備えている。第1位相差板R1は、1/4波長板であり、透過する光に対して1/4波長の位相差を付与するものである。
【0152】
第1半透過素子H1は、後に詳述するが、コレステリック液晶を有する光学素子200を備えている。第1半透過素子H1の光学素子200は、特定波長の光のうち、第1円偏光を透過し、第1円偏光とは逆回りの第2円偏光を第2構造体4Bに向けて反射するものである。第1半透過素子H1の光学素子200は、簡略化して示す反射面RS1を有している。表示パネル2と第1位相差板R1との境界(あるいはX-Y平面と平行な面)を基準面RFとしたとき、反射面RS1と基準面RFとのなす角度θ10は、基準面RFから時計周りに鋭角である。
【0153】
第2位相差板R2は、Cプレート相当の屈折率異方性を有している。すなわち、第2位相差板R2の面内(X-Y平面内)で互いに直交する方向の屈折率をそれぞれnx及びnyとし、第2位相差板R2の法線方向あるいは厚さ方向(第3方向Z)の屈折率をnzとしたとき、屈折率nx及び屈折率nyはほぼ同等であり、屈折率nzは面内の屈折率nxとは異なる(nx=ny≠nz)。つまり、第2位相差板R2の面内位相差は、ほぼゼロである。なお、第2位相差板R2の屈折率異方性は、nx=ny>nzで表されるネガ型であってもよいし、nx=ny<nzで表されるポジ型であってもよい。このような第2位相差板R2は、法線に沿った光路を通る光に対して位相差を付与せず、法線に対して斜め方向の光路を通る光に対して1/2波長の位相差を付与するものである。
【0154】
第1位相差板R1、第1半透過素子H1、第2位相差板R2、及び反射防止膜AR1は、X-Y平面において、表示領域DAよりも広い範囲に亘って延在している。但し、第1位相差板R1は、少なくとも表示領域DAを覆っていればよい。また、第1位相差板R1、第1半透過素子H1、及び、第2位相差板R2は、この順に、第3方向Zに沿って積層されている。
【0155】
第1位相差板R1は、表示パネル2に接している。第1半透過素子H1は、第1位相差板R1に接している。第2位相差板R2は、第1半透過素子H1に接している。反射防止膜AR1は、第2位相差板R2に接している。
【0156】
第1位相差板R1は、表示パネル2と第1半透過素子H1との間に配置されている。第1半透過素子H1は、第1位相差板R1と第2位相差板R2との間に位置している。第2位相差板R2は、第1半透過素子H1と反射防止膜AR1との間に位置している。
【0157】
第2構造体4Bは、反射防止膜AR2と、第2半透過素子H2と、第1素子L1と、を備えている。
【0158】
第2半透過素子H2は、コレステリック液晶を有する光学素子200を備えている。第2半透過素子H2の光学素子200は、特定波長の光のうち、第2円偏光を透過し、第1円偏光を第1構造体4Aに向けて反射するものである。第2半透過素子H2の光学素子200は、簡略化して示す反射面RS2を有している。表示パネル2と第1位相差板R1との境界(あるいはX-Y平面と平行な面)を基準面RFとしたとき、反射面RS2と基準面RFとのなす角度θ20は、基準面RFから時計周りに鋭角である。
【0159】
第1素子L1は、液晶素子10を備えている。液晶素子10は、特定波長の光に対して1/2波長の位相差を付与するとともに、第2円偏光を集光するレンズ作用を有するものである。なお、ここでは、円偏光を集光するレンズ作用を有する素子の一例として、液晶素子10を挙げたが、同等のレンズ作用を有するものであれば、液晶を利用した素子に限定されるものではない。
【0160】
反射防止膜AR2、第2半透過素子H2、及び第1素子L1は、X-Y平面において、表示領域DAよりも広い範囲に亘って延在している。また、第1素子L1、第2半透過素子H2、及び反射防止膜AR2は、第3方向Zに沿って、この順に積層されている。
【0161】
第1素子L1は、第2半透過素子H2に接している。第2半透過素子H2は、反射防止膜AR2に接している。反射防止膜AR2は、反射防止膜AR1から離間しており、第3方向Zにおいて、反射防止膜AR1に対向している。
【0162】
換言すると、第2半透過素子H2は、反射防止膜AR1及び反射防止膜AR2を挟んで、第1半透過素子H1及び第2位相差板R2から離間している。第2半透過素子H2は、第3方向Zにおいて、第1半透過素子H1、第2位相差板R2、及び空気層4Cを介して第2位相差板R2と対向している。第1半透過素子H1及び第2半透過素子H2は、第3方向Zにおいて、間隔をおいて対向しており、両者の間に第2位相差板R2、第1半透過素子H1、第2位相差板R2、及び空気層4Cが介在している。
【0163】
第2位相差板R2は、第1半透過素子H1と第2半透過素子H2との間に配置されているともいえる。第1素子L1は、第2半透過素子H2に対向している。第2半透過素子H2は、第1素子L1と反射防止膜AR2との間に配置されている。
【0164】
表示領域DAは、第1端部E1と、第1端部E1とは反対側の第2端部E2と、を有している。第1位相差板R1、第1半透過素子H1、第2位相差板R2、反射防止膜AR1、反射防止膜AR2、第2半透過素子H2、及び、第1素子L1は、第1端部E1よりも外側に延在した第1部分P11と、第2端部E2よりも外側に延在した第2部分P12と、を有している。図3に示す例では、第1部分P11及び第2部分P12は、第1方向Xに沿って延在している。第1部分P11の第1方向Xに沿った幅W1は、第2部分P12の第1方向Xに沿った幅W2より大きい(W1>W2)。
【0165】
図21において、第1部分P11は表示領域DAに対して右側に位置し、第2部分P12は表示領域DAに対して左側に位置している。第2半透過素子H2の反射面RS2は、図の右側(第1部分P11が位置する側)の端部E11と、図の左側(第2部分が位置する側)の端部E12と、を有している。反射面RS2は、端部E11が表示パネル2から離間する側に位置し、且つ、端部E12が表示パネル2に近接する側に位置するように傾斜している。
【0166】
表示パネル2及び第1位相差板R1は、空気層を介することなく互いに密着していることが望ましい。また、第1構造体4Aを構成する第1位相差板R1、第1半透過素子H1、第2位相差板R2、及び反射防止膜AR1は、空気層を介することなく互いに密着していることが望ましい。さらに、第2構造体4Bを構成する反射防止膜AR2、第2半透過素子H2、及び第1素子L1は、空気層を介することなく互いに密着していることが望ましい。これにより、部材間の界面での不所望な反射あるいは屈折を抑制することができる。
【0167】
なお、第1位相差板R1は、例えば、少なくとも緑波長の光に対して1/4波長の位相差を付与するものであるが、これに限らない。例えば、第1位相差板R1としては、赤波長、緑波長、及び、青波長の各々の光に対しても略1/4波長の位相差を付与する広帯域型の位相差板を適用することができる。このような広帯域型の位相差板としては、例えば、1/4波長板の遅相軸と1/2波長板の遅相軸とが所定の角度をなす状態で、1/4波長板と1/2波長板とを貼り合わせたものなどを適用することができる。これにより、第1位相差板R1における波長依存性を緩和することができる。
【0168】
液晶素子10は、図15及び図16にて説明した、ネマティック液晶の液晶層LC1を有する液晶素子10を用いればよい。
【0169】
図22及び図23は、図21に示した光学素子200の一例を示す断面図である。図22は第1方向X及び第3方向Zによって規定されるX-Z断面を示し、図23は第2方向Y及び第3方向Zによって規定されるY-Z断面を示している。以下、主として図22を参照しながら説明する。また光学素子200の説明について、図19に示す光学素子20と同様の部分は、これを援用し、詳細は省略する。
【0170】
光学素子200の液晶層LC2は、コレステリック液晶を有している。液晶層LC2では、液晶構造体LMS2の螺旋軸AXは、液晶層LC2の法線方向つまり第3方向Zに平行である。
【0171】
図22に示すように、液晶層LC2において、第1方向Xに沿って隣接する複数の液晶構造体LMS2は、互いに配向方向が異なっている。配向膜AL21に沿って並んだ複数の液晶分子LM21の配向方向、及び、配向膜AL22に沿って並んだ複数の液晶分子LM22の配向方向は、連続的に変化している。
【0172】
なお、図23に示すように、液晶層LC2において、第2方向Yに沿って隣接する複数の液晶構造体LMS2は、互いに配向方向が揃っている。つまり、配向膜AL21に沿って並んだ複数の液晶分子LM21の配向方向は、ほぼ一致し、また、配向膜AL22に沿って並んだ複数の液晶分子LM22の配向方向は、ほぼ一致している。
【0173】
液晶層LC2は、配向膜AL21と配向膜AL22との間に、一点鎖線で示すような複数の反射面RSを有している。複数の反射面RSは、互いに略平行である。反射面RSは、ブラッグの法則に従って、入射光のうち、一部の円偏光を反射し、他の円偏光を透過する。ここでの反射面RSは、液晶分子LM2の配向方向が揃った面、あるいは、空間位相が揃った面(等位相面)に相当する。
【0174】
図22に示すX-Z断面においては、反射面RSは、液晶層LC2の主面LSに対して傾斜している。ここでの主面LSは、例えば、液晶層LC2と配向膜AL21との境界であり、図21に示した基準面RFと平行な面であり、また、X-Y平面と平行な面である。
【0175】
また、図23に示すY-Z断面においては、反射面RSは、液晶層LC2の主面LSと平行である。つまり、複数の反射面RSの各々は、図22及び図23に示すように、一定方向に延びる略平面形状を有している。
【0176】
図21に示した第1半透過素子H1の光学素子200、及び、第2半透過素子H2の光学素子200は、それぞれ、図22に示したコレステリック液晶に相当する液晶構造体LMS2を含む液晶層LC2を有している。図21に示した第1半透過素子H1における反射面RS1及び第2半透過素子H2における反射面RS2は、それぞれ、図22に示した反射面RSに相当し、液晶層LC2の主面LSに対して傾斜している。
【0177】
第1半透過素子H1及び第2半透過素子H2において、それぞれの液晶構造体(コレステリック液晶)LMS2は、同一波長の円偏光を反射するべく、同等の螺旋ピッチを有している。また、第1半透過素子H1においては第2円偏光を反射し、第2半透過素子H2においては第1円偏光を反射するべく、第1半透過素子H1及び第2半透過素子H2において、それぞれの液晶構造体(コレステリック液晶)LMS2は、互いに逆回りに旋回している。
【0178】
図24は、図21に示した光学素子200の変形例を示す断面図である。図24は、X-Z断面を示している。図24に示す変形例は、図22等に示した例と比較して、液晶構造体LMS2の螺旋軸AXが液晶層LC2の法線方向(第3方向Z)に対して傾斜している点で相違している。
【0179】
液晶層LC2において、第1方向Xに沿って隣接する複数の液晶構造体LMS2は、互いに配向方向が異なっている。配向膜AL21に沿って並んだ複数の液晶分子LM21の配向方向、及び、配向膜AL22に沿って並んだ複数の液晶分子LM22の配向方向は、連続的に変化している。
【0180】
液晶層LC2は、配向膜AL21と配向膜AL22との間に、一点鎖線で示すような複数の反射面RSを有している。複数の反射面RSは、互いに略平行である。反射面RSは、ブラッグの法則に従って、入射光のうち、一部の円偏光を反射し、他の円偏光を透過する。図24に示すX-Z断面においては、反射面RSは、液晶層LC2の主面LSに対して傾斜している。なお、Y-Z断面においては、図23に示した例と同様に、反射面RSは、主面LSと平行である。
【0181】
このような変形例においても、図22及び図23に示した例と同様の光学特性を実現できる。
【0182】
図25は、実施形態3の表示装置DSPの光学作用を説明するための図である。なお、図25で照明装置3の図示を省略している。以下の説明において、第2位相差板R2を通って第2半透過素子H2(光学素子200)に入射する表示光DL、及び、第2半透過素子H2(光学素子200)を通って第2位相差板R2に入射する表示光DLは、反射防止膜AR1及び反射防止膜AR2を透過するものとする。反射防止膜AR1及び反射防止膜AR2を透過する表示光DLでは、偏光方向は維持される。
【0183】
まず、表示パネル2は、第1直線偏光LP1の表示光DLを出射する。ここでの第1直線偏光LP1とは、例えば紙面に垂直な方向に振動する直線偏光である。表示光DLは、第1位相差板R1を透過する際に、1/4波長の位相差が付与される。これにより、表示光DLは、第1位相差板R1を透過する際に、第1円偏光CP1に変換される。ここでの第1円偏光CP1とは、例えば左回りの円偏光である。
【0184】
第1位相差板R1を透過した第1円偏光CP1は、第1半透過素子H1(光学素子200)を透過する。
【0185】
第1半透過素子H1を透過した第1円偏光CP1は、第2位相差板R2をほぼ垂直に透過する。図3を参照して説明したように、第2位相差板R2の面内位相差がゼロであるため、第2位相差板R2をほぼ垂直に透過する光の偏光状態は、維持される。つまり、第2位相差板R2をほぼ垂直に透過した光は、第1円偏光CP1である。
【0186】
第2位相差板R2を透過した第1円偏光CP1は、第2半透過素子H2(光学素子200)で反射される。このとき、図25において拡大して示すように、第2半透過素子H2に対してほぼ垂直に入射した第1円偏光CP1は、反射面RS2において、斜め方向に反射される。第1円偏光CP1の反射角度は、反射面RS2の傾斜角度θ20によって制御される。なお、第1円偏光CP1が反射面RS2で反射された際には、偏光状態が維持される。つまり、反射面RS2での反射光は、第1円偏光CP1である。
【0187】
第2半透過素子H2で反射された第1円偏光CP1は、第2位相差板R2を斜めに透過する。図21を参照して説明したように、第2位相差板R2は、斜め方向に透過する光に対して1/2波長の位相差を付与する。このため、第2位相差板R2を斜め方向に透過した光は、第1円偏光CP1とは逆回りの第2円偏光CP2に変換される。ここでの第2円偏光CP2とは、例えば右回りの円偏光である。
【0188】
第2位相差板R2を透過した第2円偏光CP2は、第1半透過素子H1(光学素子200)で反射される。このとき、図25において拡大して示すように、第1半透過素子H1に対して斜め方向に入射した第2円偏光CP2は、反射面RS1において、第1半透過素子H1の法線方向に反射される。第2円偏光CP2の反射角度は、反射面RS1の傾斜角度θ10によって制御される。なお、第2円偏光CP2が反射面RS1で反射された際には、偏光状態が維持される。つまり、反射面RS1での反射光は、第2円偏光CP2である。
【0189】
第1半透過素子H1で反射された第2円偏光CP2は、第2位相差板R2をほぼ垂直に透過し、偏光状態が維持される。第2位相差板R2を透過した第2円偏光CP2は、第2半透過素子H2を透過する。第2半透過素子H2を透過した第2円偏光CP2は、第1素子L1(液晶素子10)において、第1円偏光CP1に変換されるとともにレンズ作用を受けてユーザの瞳Eに集光される。
【0190】
このような表示装置DSPによれば、光学システム4は、第1半透過素子H1と第2半透過素子H2との間を3回通る光路を有している。つまり、光学システム4において、第1半透過素子H1と第2半透過素子H2との間の光学的な距離は、実際の第1半透過素子H1と第2半透過素子H2との間隔(あるいは空気層4Cの厚さ)の約3倍となる。表示パネル2は、レンズ作用を有する液晶素子10の焦点よりも内側に設置されている。これにより、ユーザは、拡大された虚像を観察することができる。
【0191】
このような第1構成例によれば、表示装置DSPを構成する各部材での吸収や各部材間での反射を無視すると、表示パネル2から出射された表示光DLのほぼ100%を瞳Eに集光することができ、光の利用効率を向上することができる。
【0192】
また、ガラスや樹脂などで形成された光学部品を備える光学システムと比較して、第3方向Zに沿った厚さを薄くすることができ、しかも、軽量化を実現することができる。
【0193】
なお、図25を参照して説明した第1円偏光CP1を第2円偏光CP2に置換してもよい。
【0194】
《第2構成例》
図26は、実施形態3のヘッドマウントディスプレイ1の第2構成例を示す断面図である。図26に示すヘッドマウントディスプレイ1では、左眼用の表示装置DSPLと、右眼用の表示装置DSPRと、表示装置DSPR及び表示装置DSLを保持するフレームFRと、を備えている。図27は、図26に示した第1光学素子200B、第2光学素子200G、及び、第3光学素子200Rを説明するための図である。
【0195】
左眼用の表示装置DSPLは、左眼用の表示パネル2L及び照明装置3Lを含み、図の右側に配置されている。右眼用の表示装置DSPRは、右眼用の表示パネル2R及び照明装置3Rを含み、図の左側に配置されている。
【0196】
表示パネル2Rは、表示領域DAにおいて直線偏光の表示光DLRを出射するように構成されている。表示パネル2Lは、表示領域DAにおいて直線偏光の表示光DLLを出射するように構成されている。
【0197】
照明装置3R及び照明装置3Lは、ここでは詳述しないが、図5を参照して説明した照明装置3に相当する。照明装置3R及び照明装置3Lは、それぞれ、中心波長λbの青レーザ光を出射する第1発光素子LDBと、中心波長λgの緑レーザ光を出射する第2発光素子LDGと、中心波長λrの赤レーザ光を出射する第3発光素子LDRと、を備えている。
【0198】
表示パネル2R及び表示パネル2Lは、それぞれ、図3を参照して説明した表示パネル2に相当する。
【0199】
表示装置DSPRに対応する光学システム4Rは、第1位相差板R1と、第1半透過素子H1と、反射防止膜AR1と、反射防止膜AR2と、第2半透過素子H2と、第1素子L1と、を備えている。なお、第1位相差板R1は、表示装置DSPR及び表示装置DSPLに亘って配置されている。
【0200】
第1半透過素子H1は、第1位相差板R1と反射防止膜AR1との間に配置されている。第1半透過素子H1は、第1光学素子200Bと、第2光学素子200Gと、第3光学素子200Rと、を備えている。第1光学素子200B、第2光学素子200G、及び、第3光学素子200Rの各々は、反射面RS1を有している。反射面RS1と基準面RF(X-Y平面)とのなす角度は、基準面RFから反時計回りに鋭角である。
【0201】
第1光学素子200B、第2光学素子200G、及び、第3光学素子200Rは、第3方向Zに沿って積層されている。なお、第1光学素子200B、第2光学素子200G、及び、第3光学素子200Rの積層順に関しては、図示した例に限らない。第1光学素子200B、第2光学素子200G、及び、第3光学素子200Rは、図22乃至図24などを参照して説明した光学素子200と同等のものである。
【0202】
ただし、図27に示すように、第1光学素子200Bは、青波長(第1波長)λbの第2円偏光を反射し、青波長λbの第1円偏光を透過するように構成されている。つまり、第1光学素子200Bに含まれる液晶構造体(第1コレステリック液晶)LMS21の第1螺旋ピッチP1は、照明装置3の第1発光素子LDBから出射される青レーザ光の中心波長λbに対応するように最適化されている。
【0203】
また、図27に示すように、第2光学素子200Gは、緑波長(第2波長)λgの第2円偏光を反射し、緑波長λgの第1円偏光を透過するように構成されている。つまり、第2光学素子200Gに含まれる液晶構造体(第2コレステリック液晶)LMS22の第2螺旋ピッチP2は、照明装置3の第2発光素子LDGから出射される緑レーザ光の中心波長λgに対応するように最適化されている。このため、第2光学素子200Gにおける第2螺旋ピッチP2は、第1光学素子200Bにおける第1螺旋ピッチP1より大きい。
【0204】
さらに、図27に示すように、第3光学素子200Rは、赤波長(第3波長)λrの第2円偏光を反射し、赤波長λrの第1円偏光を透過するように構成されている。つまり、第3光学素子200Rに含まれる液晶構造体(第3コレステリック液晶)LMS23の第3螺旋ピッチP3は、照明装置3の第3発光素子LDRから出射される赤レーザ光の中心波長λrに対応するように最適化されている。このため、第3光学素子200Rにおける第3螺旋ピッチP3は、第2光学素子200Gにおける第2螺旋ピッチP2より大きい。
【0205】
なお、第1半透過素子H1における液晶構造体(第1コレステリック液晶)LMS21、液晶構造体(第2コレステリック液晶)LMS22、及び、液晶構造体(第3コレステリック液晶)LMS23は、すべて同一方向に旋回し、いずれも右回りの第2円偏光を反射するように構成されている。
【0206】
第2半透過素子H2は、反射防止膜AR2に接している。第2半透過素子H2は、第1半透過素子H1と同様に、第1光学素子200Bと、第2光学素子200Gと、第3光学素子200Rと、を備えている。第1光学素子200B、第2光学素子20G、及び、第3光学素子200Rの各々は、反射面RS2を有している。反射面RS2と基準面RF(X-Y平面)とのなす角度は、基準面から反時計回りに鋭角である。つまり、反射面RS2の向きは、反射面RS1の向きと同様である。
【0207】
第2半透過素子H2においても、第1光学素子200B、第2光学素子200G、及び、第3光学素子200Rは、第3方向Zに沿って積層されている。なお、第1光学素子200B、第2光学素子200G、及び、第3光学素子200Rの積層順に関しては、図示した例に限らないが、第1半透過素子H1における積層順は第2半透過素子H2における積層順と同じである。
【0208】
第2半透過素子H2における第1光学素子200B、第2光学素子200G、及び、第3光学素子200Rは、第1半透過素子H1における第1光学素子200B、第2光学素子200G、及び、第3光学素子200Rとそれぞれ同等である。
【0209】
但し、第2半透過素子H2において、第1光学素子200Bは、青波長(第1波長)λbの第1円偏光を反射し、青波長λbの第2円偏光を透過するように構成されている。つまり、第2半透過素子H2の第1光学素子200Bは、第1旋回方向とは逆回りの第2旋回方向に旋回した液晶構造体(第1コレステリック液晶)LMS21を有している。第2半透過素子H2の液晶構造体LMS21の旋回方向は、第1半透過素子H1の液晶構造体LMS21の旋回方向とは逆である。
【0210】
液晶構造体LMS21の第1螺旋ピッチP1は、照明装置3の第1発光素子LDBから出射される青レーザ光の中心波長λbに対応するように最適化されている。第2半透過素子H2の液晶構造体LMS21の第1螺旋ピッチP1は、第1半透過素子H1の液晶構造体LMS21の第1螺旋ピッチP1と同等である。
【0211】
第2光学素子200Gは、緑波長(第2波長)λgの第1円偏光を反射し、緑波長λgの第2円偏光を透過するように構成されている。つまり、第2半透過素子H2の第2光学素子200Gは、第2旋回方向に旋回した液晶構造体(第2コレステリック液晶)LMS22を有している。第2半透過素子H2の液晶構造体LMS22の旋回方向は、第1半透過素子H1の液晶構造体LMS22の旋回方向とは逆である。
【0212】
液晶構造体LMS22の第2螺旋ピッチP2は、照明装置3の第2発光素子LDGから出射される緑レーザ光の中心波長λgに対応するように最適化されている。このため、第2光学素子200Gにおける第2螺旋ピッチP2は、第1光学素子200Bにおける第1螺旋ピッチP1より大きい。第2半透過素子H2の液晶構造体LMS22の第2螺旋ピッチP2は、第1半透過素子H1の液晶構造体LMS22の第2螺旋ピッチP2と同等である。
【0213】
第3光学素子200Rは、赤波長(第3波長)λrの第1円偏光を反射し、赤波長λrの第2円偏光を透過するように構成されている。つまり、第2半透過素子H2の第3光学素子200Rは、第2旋回方向に旋回した液晶構造体(第3コレステリック液晶)LMS23を有している。第2半透過素子H2の液晶構造体LMS23の旋回方向は、第1半透過素子H1の液晶構造体LMS23の旋回方向とは逆である。
【0214】
液晶構造体LMS23の第3螺旋ピッチP3は、照明装置3の第3発光素子LDRから出射される赤レーザ光の中心波長λrに対応するように最適化されている。このため、第3光学素子200Rにおける第3螺旋ピッチP3は、第2光学素子200Gにおける第2螺旋ピッチP2より大きい。第2半透過素子H2の液晶構造体LMS23の第3螺旋ピッチP3は、第1半透過素子H1の液晶構造体LMS23の第3螺旋ピッチP3と同等である。
【0215】
なお、第2半透過素子H2における第1コレステリック液晶LMS21、第2コレステリック液晶LMS22、及び、第3コレステリック液晶LMS23は、すべて同一方向に旋回し、いずれも左回りの第1円偏光を反射するように構成されている。
【0216】
このように、第1半透過素子H1及び第2半透過素子H2において、第1光学素子20Bが反射する円偏光の波長λbを第1波長とすると、第2光学素子200Gは第1波長λbよりも長波長の第2波長λgの円偏光を反射するように構成され、第3光学素子200Rは第2波長λgよりも長波長の第3波長λrの円偏光を反射するように構成されている。
【0217】
第1素子L1は、液晶素子10を備えている。液晶素子は、図15及び図16を参照して説明した液晶素子10と同等のものである。
【0218】
液晶素子10は、例えば、緑波長(第2波長)λgの光に対して1/2波長の位相差を付与するとともに、少なくとも緑波長λgの第2円偏光を集光するレンズ作用を有するものである。つまり、液晶素子10のリタデーションは、照明装置3の第2発光素子LDGから出射される緑レーザ光の中心波長λgに対応するように最適化されている。
【0219】
なお、本実施形態で適用される液晶素子10は、緑波長λgのみならず、青波長λb及び赤波長λrの第2円偏光を集光するレンズ作用も有している。
【0220】
表示装置DSPLにおける光学システム4Lは、光学システム4Rと同様に構成され、第1位相差板R1と、第3半透過素子H3と、反射防止膜AR3と、反射防止膜AR4と、第4半透過素子H4と、第2素子L2と、を備えている。
【0221】
第3半透過素子H3は、第3方向Zにおいて第1位相差板R1と反射防止膜AR3との間に配置され、第1方向Xにおいて第1半透過素子H1に隣接している。第4半透過素子H4は、第3方向Zにおいて反射防止膜AR3から離間し、第1方向Xにおいて第2半透過素子H2に隣接している。
【0222】
第2素子L2は、第3方向Zにおいて第4半透過素子H4に接し、第1方向Xにおいて第1素子L1に隣接している。
【0223】
第3半透過素子H3及び第4半透過素子H4の各々は、第1半透過素子H1と同様に、第1光学素子200Bと、第2光学素子200Gと、第3光学素子200Rと、を備えている。
【0224】
第3半透過素子H3における第1光学素子200B、第2光学素子200G、及び、第3光学素子200Rは、第1半透過素子H1における第1光学素子200B、第2光学素子200G、及び、第3光学素子200Rとそれぞれ同等であり、第1円偏光を透過し、第2円偏光を反射するように構成されている。但し、第1半透過素子H1と第3半透過素子H3とでは、反射面の向きが互いに異なる。
【0225】
すなわち、第3半透過素子H3における第1光学素子200B、第2光学素子200G、及び、第3光学素子200Rの各々は、反射面RS3を有している。反射面RS3と基準面RF(X-Y平面)とのなす角度は、基準面RFから時計回りに鋭角である。つまり、反射面RS3及び反射面RS1は、互いに向きが異なる。
【0226】
第4半透過素子H4における第1光学素子200B、第2光学素子200G、及び、第3光学素子200Rは、第2半透過素子H2における第1光学素子200B、第2光学素子200G、及び、第3光学素子200Rとそれぞれ同等であり、第1円偏光を反射し、第2円偏光を透過するように構成されている。但し、第2半透過素子H2と第4半透過素子H4とでは、反射面の向きが互いに異なる。
【0227】
すなわち、第4半透過素子H4における第1光学素子200B、第2光学素子200G、及び、第3光学素子200Rの各々は、反射面RS4を有している。反射面RS4と基準面RF(X-Y平面)とのなす角度は、基準面RFから反時計回りに鋭角である。つまり、反射面RS4及び反射面RS2は、互いに向きが異なる。また、反射面RS4の向きは、反射面RS3の向きと同様である。
【0228】
第2素子L2は、第1素子L1と同様に、液晶素子10を備えている。但し、第1素子L1によって集光される位置、及び、第2素子L2によって集光される位置は、互いに異なる。
【0229】
第2位相差板R2は、第1半透過素子H1と第3半透過素子H3との間、及び、第2半透過素子H2と第4半透過素子H4との間に亘って配置されている。第2位相差板R2は、図の右側の空気層4Cと、図の左側の空気層4Cとの間を仕切っている。
【0230】
第2位相差板R2は、Y-Z平面に沿って延在した平板状に形成され、第1方向Xに沿った厚さを有している。つまり、第2位相差板R2は、Y-Z平面内で互いに直交する方向の屈折率がほぼ同等であり、第1方向Xの屈折率が面内の屈折率とは異なる屈折率異方性を有している。このような第2位相差板R2は、第1方向Xと平行な光路を通る光に対して位相差を付与せず、第1方向Xに対して斜め方向の光路を通る光に対して1/2波長の位相差を付与するものである。
【0231】
第1半透過素子H1及び第2半透過素子H2は、第3方向Zにおいて、反射防止膜AR1及び反射防止膜AR2、並びに、空気層4Cを介して対向している。反射防止膜AR1及び反射防止膜AR2は、空気層4Cを介して対向している。
【0232】
第3半透過素子H3及び第4半透過素子H4は、第3方向Zにおいて、反射防止膜AR3及び反射防止膜AR4、並びに、空気層4Cを介して対向している。反射防止膜AR3及び反射防止膜AR4は、空気層4Cを介して対向している。
【0233】
図28は、図26に示したヘッドマウントディスプレイ1の光学作用を説明するための図である。ここでは、右眼用の表示パネル2Rからの表示光DLRが右眼ERに到達するまでの光路に着目して説明する。なお、光の偏光状態については、図25に示した通りであり、図28への図示を省略する。
【0234】
図28における以下の説明において、第1半透過素子H1を通って第2半透過素子H2に入射する表示光DLR、第2半透過素子H2を通って第3半透過素子H3に入射する表示光DLR、第3半透過素子H3を通って第4半透過素子H4に入射する表示光DLRは、反射防止膜AR1、反射防止膜AR2、反射防止膜AR3、及び反射防止膜AR4、を透過するものとする。反射防止膜AR1、反射防止膜AR2、反射防止膜AR3、及び反射防止膜AR4、を透過する表示光DLRでは、偏光方向は維持される。
【0235】
まず、表示パネル2Rは、表示光DLRを出射する。表示光DLRは、第1直線偏光LP1である。表示光DLRは、第1位相差板R1を透過する際に、第1円偏光CP1に変換される。第1位相差板R1を透過した第1円偏光CP1は、第1半透過素子H1(光学素子200B、200G、200R)を透過する。
【0236】
第1半透過素子H1を透過した第1円偏光CP1は、第2半透過素子H2(光学素子200B、200G、200R)で反射される。第2半透過素子H2は、表示パネル2Lに重畳する第3半透過素子H3に向けて第1円偏光CP1を反射する。
【0237】
第2半透過素子H2で反射された第1円偏光CP1は、第2位相差板R2を斜めに透過する際に、第2円偏光CP2に変換される。第2位相差板R2を透過した第2円偏光CP2は、第3半透過素子H3(光学素子200B、200G、200R)で反射される。第3半透過素子H3は、表示パネル2Lに重畳する第4半透過素子H4に向けて第2円偏光CP2を反射する。
【0238】
第3半透過素子H3で反射された第2円偏光CP2は、第4半透過素子H4を透過した後に、第2素子L2(液晶素子10)において、第1円偏光CP1に変換されるとともにレンズ作用を受けてユーザの右眼ERに集光される。
【0239】
左眼用の表示パネル2Lからの表示光DLLも同様にして左眼ELに到達する。
【0240】
このような第2構成例においても、第1構成例と同様の効果が得られる。
【0241】
《第3構成例》
図29は、ヘッドマウントディスプレイ1の第3構成例を示す断面図である。図29に示す第3構成例は、図26に示した第2構成例と比較して、第2位相差板R2が反射体R10に置換された点で相違している。
【0242】
左眼用の表示装置DSPLは、左眼用の表示パネル2L及び照明装置3Lを含み、図の左側に配置されている。右眼用の表示装置DSPRは、右眼用の表示パネル2R及び照明装置3Rを含み、図の右側に配置されている。
【0243】
反射体R10は、第1半透過素子H1と第3半透過素子H3との間、及び、第2半透過素子H2と第4半透過素子H4との間に亘って配置されている。反射体R10は、第1半透過素子H1及び第2半透過素子H2に面した第1反射面R11と、第3半透過素子H3及び第4半透過素子H4に面した第2反射面R12と、を有している。これらの第1反射面R11及び第2反射面R12は、Y-Z平面に沿って延在している。反射体R10は、図の右側の空気層4Cと、図の左側の空気層4Cとの間を仕切っている。
【0244】
図30は、図29に示したヘッドマウントディスプレイ1の光学作用を説明するための図である。ここでは、右眼用の表示パネル2Rからの表示光DLRが右眼ERに到達するまでの光路に着目して説明する。また、光路が煩雑なため、1つの光路のみを図示している。なお、光の偏光状態については、図25に示した通りであり、図30への図示を省略する。図25と同様に、反射防止膜AR3及び反射防止膜AR4を透過する表示光DLでは、偏光方向は維持される。
【0245】
まず、表示パネル2Rは、表示光DLRを出射する。表示光DLRは、第1直線偏光LP1である。表示光DLRは、第1位相差板R1を透過する際に、第1円偏光CP1に変換される。第1位相差板R1を透過した第1円偏光CP1は、第3半透過素子H3(光学素子200B、光学素子200G、光学素子200R)を透過する。
【0246】
第3半透過素子H3を透過した第1円偏光CP1は、第4半透過素子H4(光学素子200B、光学素子200G、光学素子200R)で反射される。第4半透過素子H4は、第2反射面R12に向けて第1円偏光CP1を反射する。
【0247】
第4半透過素子H4で反射された第1円偏光CP1は、第2反射面R12で反射された後に、第2円偏光CP2に変換される。第2反射面R12で反射された第2円偏光CP2は、第3半透過素子H3(光学素子200B、光学素子200G、光学素子200R)で反射される。第3半透過素子H3は、第4半透過素子H4に向けて第2円偏光CP2を反射する。
【0248】
第3半透過素子H3で反射された第2円偏光CP2は、第4半透過素子H4を透過した後に、第2素子L2(液晶素子10)において、第1円偏光CP1に変換されるとともにレンズ作用を受けてユーザの右眼ERに集光される。
【0249】
左眼用の表示パネル2Lからの表示光DLLも同様にして左眼ELに到達する。
【0250】
このような第3構成例においても、第1構成例と同様の効果が得られる。
【0251】
《第4構成例》
図31は、表示装置DSPの第4構成例を示す断面図である。図31に示す第4構成例は、図21に示した第1構成例と比較して、第1半透過素子H1が第2半透過素子H2と対向する凹状の反射面RS1を有するとともに、第1素子L1が省略された点で相違している。
【0252】
表示装置DSPは、表示パネル2と、光学システム4と、を備えている。なお、ここでは、照明装置の図示を省略し、表示パネル2の詳細の図示を省略するが、表示パネル2は、表示領域DAにおいて直線偏光の表示光DLを出射するように構成されている。
【0253】
光学システム4は、第1位相差板R1と、第1半透過素子H1と、第2位相差板R2と、反射防止膜AR1と、反射防止膜AR2と、第2半透過素子H2と、を備えている。第1位相差板R1及び第2位相差板R2の詳細については、第1構成例で説明した通りであり、第1位相差板R1は表示パネル2及び第1半透過素子H1に接し、第2位相差板R2は第1半透過素子H1に接している。反射防止膜AR1及び反射防止膜AR2の詳細についても、第1構成例で説明した通りである。
【0254】
第1半透過素子H1は、第1位相差板R1と第2位相差板R2との間に配置され、後に詳述するが、コレステリック液晶を有する光学素子30を備えている。光学素子30は、特定波長の光のうち、第1円偏光を透過し、第2円偏光を第2半透過素子H2に向けて反射するとともに第2円偏光を集光するレンズ作用を有するものである。光学素子30は、簡略化して示す反射面RS1を有している。
【0255】
第2半透過素子H2は、第1構成例で説明したように、コレステリック液晶を有する光学素子200を備えている。光学素子200は、特定波長の光のうち、第2円偏光を透過し、第1円偏光を第1半透過素子H1に向けて反射するものである。光学素子200は、簡略化して示す反射面RS2を有している。反射面RS2は、一定方向に延びる略平面形状を有している。反射面RS2とX-Y平面とのなす角度は、X-Y平面から時計周りに鋭角である。第2半透過素子H2は、第2位相差板R2から離間しており、第3方向Zにおいて、空気層4Cを介して第2位相差板R2と対向している。
【0256】
図32は、図31に示した光学素子30の一例を示す断面図である。
光学素子30は、基板31と、配向膜AL31と、液晶層(第3液晶層)LC3と、配向膜AL32と、基板32と、を備えている。基板31及び32は、光を透過する透明基板であり、例えば、透明なガラス板または透明な合成樹脂板によって構成されている。
【0257】
配向膜AL31は、第3方向Zにおいて、配向膜AL32と対向している。配向膜AL31及びAL32は、例えば、ポリイミドによって形成され、いずれもX-Y平面に沿った配向規制力を有する水平配向膜である。
【0258】
液晶層LC3は、配向膜AL31及び配向膜AL32の間に配置され、配向膜AL31及び配向膜AL32に接している。液晶層LC3は、液晶構造体(コレステリック液晶)LMS3を有している。なお、図23では、図面の簡略化のため、1つの液晶分子LM3は、X-Y平面内に位置する複数の液晶分子のうち、平均的配向方向を向いている液晶分子を代表して示している。複数の液晶分子LM3は、旋回しながら第3方向Zに沿って螺旋状に積み重ねられ、コレステリック液晶を構成している。
【0259】
液晶層LC3は、配向膜AL31と配向膜AL32との間に、点線で示すような複数の反射面RSを有している。反射面RSは、ブラッグの法則に従って、入射光のうち、第1円偏光を透過し、第2円偏光を反射する。反射面RSは、曲面であり、基板32と対向する側あるいは図22の第2半透過素子H2と対向する側に凹であり、基板31と対向する側あるいは図22の表示パネル2と対向する側に凸である。
【0260】
このような液晶層LC3は、複数の液晶分子LM3の配向方向が固定された状態で硬化している。
【0261】
図31に示した第1半透過素子H1の光学素子30は、図32に示した液晶構造体(コレステリック液晶)LMS3を含む液晶層LC3を有している。図31に示した第1半透過素子H1における反射面RS1は、図32に示した反射面RSに相当する。
【0262】
図33は、図31に示した表示装置DSPの光学作用を説明するための図である。
第2位相差板R2を通って第2半透過素子H2に入射する表示光DLは、反射防止膜AR1及び反射防止膜AR2を通過する。第2半透過素子H2を通って第2位相差板R2に入射する表示光DLは、反射防止膜AR2及び反射防止膜AR1を通過する。上述のように、反射防止膜AR1及び反射防止膜AR2では、表示光DLの偏光方向は維持される。
【0263】
まず、表示パネル2は、第1直線偏光LP1の表示光DLを出射する。表示光DLは、第1位相差板R1を透過する際に、第1円偏光CP1に変換される。第1位相差板R1を透過した第1円偏光CP1は、第1半透過素子H1(光学素子30)を透過する。
【0264】
第1半透過素子H1を透過した第1円偏光CP1は、第2位相差板R2をほぼ垂直に透過した後に、第2半透過素子H2(光学素子200)で反射される。第2半透過素子H2で反射された第1円偏光CP1は、第2位相差板R2を斜めに透過する際に、第2円偏光CP2に変換される。
【0265】
第2位相差板R2を透過した第2円偏光CP2は、第1半透過素子H1(光学素子30)で反射される。第1半透過素子H1で反射された第2円偏光CP2は、第2位相差板R2をほぼ垂直に透過した後に、第2半透過素子H2を透過するとともに、第1半透過素子H1のレンズ作用を受けてユーザの瞳Eに集光される。
【0266】
このような表示装置DSPにおいても、第1構成例と同様の効果が得られる。加えて、第1素子を省略できるため、部品点数を削減することができる。
【0267】
なお、図33を参照して説明した第1円偏光CP1を第2円偏光CP2に置換してもよい。
【0268】
このような第4構成例においても、第1構成例と同様の効果が得られる。
【0269】
[実施形態4]
実施形態4では、実施形態1とは異なる光学システム4を用いた表示装置DSPについて説明する。なお実施形態1と同様の構成要素については、実施形態1を援用し、これを省略する。
【0270】
《第1構成例》
図34は、実施形態4の表示装置DSPの第1構成例を示す断面図である。
表示装置DSPは、表示パネル2と、照明装置3と、光学システム4と、を備えている。なお、ここでは、表示パネル2及び照明装置3の詳細な図示を省略する。ここで説明する表示装置DSPは、上記の表示装置DSPR及び表示装置DSPLの各々に適用することができる。また、表示パネル2は、上記の表示パネル2R及び2表示パネルLの各々に適用することができる。また、照明装置3は、上記の照明装置3R及び照明装置3Lの各々に適用することができる。また、光学システム4は、上記の光学システム4R及び光学システム4Lの各々に適用することができる。
【0271】
光学システム4は、第1構造体4A及び第2構造体4Bを備えている。第1構造体4Aは、第2構造体4Bから離間している。図34に示す例では、第1構造体4Aと第2構造体4Bとの間には、空気層4Cが設けられている。第1構造体4Aは、表示パネル2と第2構造体4Bとの間(あるいは表示パネル2と空気層4Cとの間)に配置されている。
【0272】
第1構造体4Aは、位相差板RPと、ホログラフィック光学素子HEと、反射防止膜AR1と、を備えている。位相差板RPは、1/4波長板であり、透過する光に対して1/4波長の位相差を付与するように構成されている。
【0273】
ホログラフィック光学素子HEは、干渉縞のパターンを有し、また、厚さ方向(第3方向Z)に波長に応じた周期の屈折率分を有している。このようなホログラフィック光学素子HEは、入射光のうちの一部の光を反射・回折するように構成されている。より具体的には、ホログラフィック光学素子HEは、仮想的な反射面RS1を有している。表示パネル2と位相差板RPとの境界(あるいはX-Y平面と平行な面)を基準面RFとしたとき、反射面RS1は、基準面RFと平行である。つまり、反射面RS1と基準面RFとのなす角度θ10は0°である。ホログラフィック光学素子HEは、反射面RS1の法線に対して特定入射角で入射した光を反射し、特定入射角とは異なる入射角で入射した光を透過するように構成されている。この点については後に詳述する。
【0274】
位相差板RP、ホログラフィック光学素子HE、及び反射防止膜AR1は、X-Y平面において、表示領域DAよりも広い範囲に亘って延在している。但し、位相差板RPは、少なくとも表示領域DAを覆っていればよい。また、位相差板RP、ホログラフィック光学素子HE、及び反射防止膜AR1は、第3方向Zに沿ってこの順に積層されている。
【0275】
位相差板RPは、表示パネル2に接している。ホログラフィック光学素子HEは、位相差板RPに接している。反射防止膜AR1は、ホログラフィック光学素子HEに接している。位相差板RPは、表示パネル2とホログラフィック光学素子HEとの間に配置されている。ホログラフィック光学素子HEは、位相差板RPと反射防止膜AR1との間に配置されている。
【0276】
第2構造体4Bは、反射防止膜AR2と、半透過素子TRと、レンズ素子LEと、を備えている。
【0277】
半透過素子TRは、一方向に旋回したコレステリック液晶を含むコレステリック液晶層CL1を備えている。コレステリック液晶層CL1は、特定波長の光のうち、コレステリック液晶の旋回方向と同一の旋回方向の円偏光を第1構造体4Aに向けて反射し、コレステリック液晶の旋回方向とは逆の旋回方向の円偏光を透過するように構成されている。ここでは、コレステリック液晶層CL1によって反射される円偏光を第1円偏光と称し、コレステリック液晶層CL1を透過する円偏光を第2円偏光と称する。
【0278】
コレステリック液晶層CL1は、簡略化して示す反射面RS2を有している。表示パネル2と位相差板RPとの境界(あるいはX-Y平面と平行な面)を基準面RFとしたとき、反射面RS2と基準面RFとのなす角度(傾斜角度)θ20は、基準面RFから反時計周りに鋭角である。
【0279】
レンズ素子LEは、液晶層LC1を備えている。液晶層LC1は、特定波長の光に対して1/2波長の位相差を付与するとともに、第2円偏光を集光するレンズ作用を有するように構成されている。なお、円偏光を集光するレンズ作用を有する素子は、液晶を利用した素子に限定されるものではない。
【0280】
反射防止膜AR2、半透過素子TR、及びレンズ素子LEは、X-Y平面において、表示領域DAよりも広い範囲に亘って延在している。また、反射防止膜AR2、半透過素子TR、及びレンズ素子LEは、第3方向Zに沿ってこの順に積層されている。
【0281】
反射防止膜AR2は、半透過素子TRに接している。半透過素子TRは、レンズ素子LEに接している。半透過素子TRは、反射防止膜AR1及び反射防止膜AR2を挟んで、ホログラフィック光学素子HEから離間している。半透過素子TRは、第3方向Zにおいて、反射防止膜AR1、空気層4C、及び反射防止膜AR2を介して、ホログラフィック光学素子HEと対向している。
【0282】
表示領域DAは、第1方向Xにおいて、第1端部E1と、第1端部E1とは反対側の第2端部E2と、を有している。ホログラフィック光学素子HE、反射防止膜AR1、反射防止膜AR2半透過素子TR、及び、レンズ素子LEは、第1端部E1よりも外側に延在した第1部分P11と、第2端部E2よりも外側に延在した第2部分P12と、を有している。図34に示す例では、第1部分P11及び第2部分P12は、第1方向Xに沿って延在している。第1部分P11の第1方向Xに沿った幅W1は、第2部分P12の第1方向Xに沿った幅W2より大きい(W1>W2)。
【0283】
図34において、第1部分P11は表示領域DAに対して右側に位置し、第2部分P12は表示領域DAに対して左側に位置している。半透過素子TRの反射面RS2は、図の右側(第1部分P11が位置する側)の端部E11と、図の左側(第2部分が位置する側)の端部E12と、を有している。反射面RS2は、端部E11が表示パネル2に近接する側に位置し、かつ、端部E12が表示パネル2から離間する側に位置するように傾斜している。
【0284】
表示パネル2及び位相差板RPは、空気層を介することなく互いに密着していることが望ましい。また、第1構造体4Aを構成する位相差板RP、ホログラフィック光学素子HE、及び反射防止膜AR1は、空気層を介することなく互いに密着していることが望ましい。
【0285】
さらに、第2構造体4Bを構成する反射防止膜AR2、半透過素子TR、及びレンズ素子LEは、空気層を介することなく互いに密着していることが望ましい。以上により、部材間の界面での不所望な反射あるいは屈折を抑制することができる。
【0286】
なお、位相差板RPは、例えば、少なくとも緑波長の光に対して1/4波長の位相差を付与するものであるが、これに限らない。例えば、位相差板RPとしては、赤波長、緑波長、及び、青波長の各々の光に対しても略1/4波長の位相差を付与する広帯域型の位相差板を適用することができる。このような広帯域型の位相差板としては、例えば、1/4波長板の遅相軸と1/2波長板の遅相軸とが所定の角度をなす状態で、1/4波長板と1/2波長板とを貼り合わせたものなどを適用することができる。これにより、位相差板RPにおける波長依存性を緩和することができる。
【0287】
図34に示すレンズ素子LEとして、図15に示す液晶素子10を用いることができる。液晶素子10と同様に、レンズ素子LEに特定波長λの第2円偏光が入射した場合、第2円偏光は、同心円の中心に向かって集光され、しかも、レンズ素子LEの透過光は、第2円偏光とは逆回りの第1円偏光に変換される。
【0288】
図34に示す半透過素子TRとして、図22乃至図23に示す光学素子200を用いることができる。ただし、図22乃至図23に示す光学素子200の反射面RS2は、半透過素子TRにおいては、反射面RSと読み替えることとする。また図22乃至図23に示す光学素子200の液晶層LC2は、半透過素子TRにおいては、コレステリック液晶層CL1と読み替えることとする。
【0289】
図34に示す半透過素子TRに用いられる液晶構造体LMS2は、特定波長λの光のうち、コレステリック液晶の旋回方向と同じ旋回方向の円偏光を反射する。例えば、コレステリック液晶の旋回方向が右回りの場合、特定波長λの光のうち、右回りの円偏光を反射し、左回りの円偏光を透過する。同様に、コレステリック液晶の旋回方向が左回りの場合、特定波長λの光のうち、左回りの円偏光を反射し、右回りの円偏光を透過する。
【0290】
図35は、図34に示した表示装置DSPの光学作用の一例を説明するための図である。
ホログラフィック光学素子HEを通って半透過素子TRに入射する表示光DLは、反射防止膜AR1及び反射防止膜AR2を通過する。半透過素子TRを通ってホログラフィック光学素子HEに入射する表示光DLは、反射防止膜AR2及び反射防止膜AR1を通過する。上述のように、反射防止膜AR1及び反射防止膜AR2では、表示光DLの偏光方向は維持される。
【0291】
まず、表示パネル2は、第1直線偏光LP1である表示光DLを出射する。ここでの第1直線偏光LP1とは、例えば紙面に垂直な方向に振動する直線偏光である。表示光DLは、表示パネル2の法線NPに対して斜め方向に出射される。表示光DLは、位相差板RPを透過する際に、1/4波長の位相差が付与される。これにより、表示光DLは、位相差板RPを透過する際に、第1円偏光CP1に変換される。ここでの第1円偏光CP1とは、例えば左回りの円偏光である。
【0292】
位相差板RPを透過した第1円偏光CP1は、ホログラフィック光学素子HEに入射する。ホログラフィック光学素子HEに入射する第1円偏光CP1の入射角θAは、ホログラフィック光学素子HEにおける特定入射角θ1とは異なる。ここでの入射角は、仮想の反射面RS1の法線Nと入射光とのなす角度である。ここに示す例では、ホログラフィック光学素子HEの特定入射角θ1は、0°である。つまり、ホログラフィック光学素子HEは、法線Nと平行な入射光を反射するように構成されている。このため、入射角θAの第1円偏光CP1は、ホログラフィック光学素子HEを透過する。
【0293】
ホログラフィック光学素子HEを透過した第1円偏光CP1は、半透過素子TRの反射面RS2でホログラフィック光学素子HEに向けて反射される。なお、第1円偏光CP1が反射面RS2で反射された際には、偏光状態が維持される。つまり、反射面RS2での反射光は、第1円偏光CP1である。第1円偏光CP1の反射角度は、反射面RS2の傾斜角度θ20によって制御され、第1円偏光CP1のホログラフィック光学素子HEへの入射角が特定入射角θ1となるように設定される。ここに示す例では、傾斜角度θ20は、第1円偏光CP1をホログラフィック光学素子HEの法線Nと平行に反射するように設定されている。
【0294】
半透過素子TRで反射された第1円偏光CP1は、ホログラフィック光学素子HEの法線Nに沿って入射する。ホログラフィック光学素子HEに入射する第1円偏光CP1の入射角θBは、ホログラフィック光学素子HEにおける特定入射角θ1とほぼ等しい。このため、入射角θBの第1円偏光CP1は、ホログラフィック光学素子HEの反射面RS1においてブラッグ反射(あるいは鏡面反射)される。ホログラフィック光学素子HEの反射光は、第1円偏光CP1とは逆回りの第2円偏光CP2に変換される。ここでの第2円偏光CP2とは、例えば右回りの円偏光である。
【0295】
ホログラフィック光学素子HEで反射された第2円偏光CP2は、半透過素子TRを透過する。半透過素子TRを透過した第2円偏光CP2は、レンズ素子LEにおいて、第1円偏光CP1に変換されるとともにレンズ作用を受けてユーザの瞳Eに集光される。
【0296】
このような表示装置DSPによれば、光学システム4は、ホログラフィック光学素子HEと半透過素子TRとの間を3回通る光路を有している。しかも、この光路には、ホログラフィック光学素子HEから半透過素子TRに至る斜めの光路が含まれている。つまり、光学システム4において、ホログラフィック光学素子HEと半透過素子TRとの間の光学的な距離は、実際のホログラフィック光学素子HEと半透過素子TRとの間隔(あるいは空気層4Cの厚さ)の3倍以上となる。表示パネル2は、レンズ作用を有するレンズ素子LEの焦点よりも内側に設置されている。これにより、ユーザは、拡大された虚像を観察することができる。
【0297】
このような第1構成例によれば、表示装置DSPを構成する各部材での吸収や各部材間での反射を無視すると、表示パネル2から出射された表示光DLのほぼ100%を瞳Eに集光することができ、光の利用効率を向上することができる。
【0298】
また、ガラスや樹脂などで形成された光学部品を備える光学システムと比較して、第3方向Zに沿った厚さを薄くすることができ、しかも、軽量化を実現することができる。
【0299】
なお、図35を参照して説明した第1円偏光CP1を第2円偏光CP2に置換してもよい。
【0300】
《第2構成例》
図36は、実施形態4の表示装置DSPの第2構成例を示す断面図である。
表示装置DSPは、表示パネル2と、照明装置3と、光学システム4と、を備えている。なお、ここでは、表示パネル2及び照明装置3の詳細な図示を省略する。ここで説明する表示装置DSPは、図2に示した表示装置DSPR及び表示装置DSPLの各々に適用することができる。また、表示パネル2は、上記の表示パネル2R及び表示パネル2Lの各々に適用することができる。また、照明装置3は、上記の照明装置3R及び照明装置3Lの各々に適用することができる。また、光学システム4は、上記の光学システム4R及び光学システム4Lの各々に適用することができる。
【0301】
図36に示す第2構成例は、図34に示した第1構成例と比較して、光学システム4の構成が異なる。表示パネル2及び照明装置3のそれぞれの構成は、第1構成例と同一であり、詳細な説明を省略する。
【0302】
光学システム4は、第1構造体4A及び第2構造体4Bを備えている。第1構造体4Aは、第2構造体4Bから離間している。図36に示す例では、第1構造体4Aと第2構造体4Bとの間には、空気層4Cが設けられている。第1構造体4Aは、表示パネル2と第2構造体4Bとの間(あるいは表示パネル2と空気層4Cとの間)に配置されている。
【0303】
第1構造体4Aは、第1ホログラフィック光学素子HE1と、反射防止膜AR1と、を備えている。反射防止膜AR1及び第1ホログラフィック光学素子HE1は、X-Y平面において、表示領域DAよりも広い範囲に亘って延在している。反射防止膜AR1及び第1ホログラフィック光学素子HE1は、第3方向Zに沿ってこの順に積層されている。
【0304】
第2構造体4Bは、反射防止膜AR2と、第2ホログラフィック光学素子HE2と、位相差板RPと、レンズ素子LEと、を備えている。位相差板RPは、第1構成例の位相差板RPと同様に構成されている。レンズ素子LEは、第1構成例のレンズ素子LEと同様に構成されている。反射防止膜AR1及び反射防止膜AR2は、第1構成例の反射防止膜AR1及び反射防止膜AR2と同様に構成されている。
【0305】
第1ホログラフィック光学素子HE1及び第2ホログラフィック光学素子HE2の各々は、第1構成例のホログラフィック光学素子HEと同様に構成されている。
【0306】
第1ホログラフィック光学素子HE1は、第1特定入射角の光を反射し、第1特定入射角とは異なる入射角の光を透過するように構成されている。第2ホログラフィック光学素子HE2は、第2特定入射角の光を反射し、第2特定入射角とは異なる入射角の光を透過するように構成されている。第2特定入射角は、第1特定入射角とは異なる角度である。この点については後に詳述する。
【0307】
第2ホログラフィック光学素子HE2、位相差板RP、及び、レンズ素子LEは、X-Y平面において、表示領域DAよりも広い範囲に亘って延在している。また、レンズ素子LE、位相差板RP、第2ホログラフィック光学素子HE2、及び反射防止膜AR2は、第3方向Zに沿ってこの順に積層されている。第2ホログラフィック光学素子HE2は、第3方向Zにおいて、反射防止膜AR2、空気層4C、及び反射防止膜AR2を介して、第1ホログラフィック光学素子HE1と対向している。
【0308】
なお、位相差板RPは、表示パネル2と第1ホログラフィック光学素子HE1との間に配置されてもよい。
【0309】
第1ホログラフィック光学素子HE1、反射防止膜AR1、反射防止膜AR2、第2ホログラフィック光学素子HE2、位相差板RP、及び、レンズ素子LEは、第1端部E1よりも外側に延在した第1部分P11と、第2端部E2よりも外側に延在した第2部分P12と、を有している。図36に示す例では、第1部分P11及び第2部分P12は、第1方向Xに沿って延在している。第1部分P11の第1方向Xに沿った幅W1は、第2部分P12の第1方向Xに沿った幅W2より大きい(W1>W2)。
【0310】
図37は、図36に示した表示装置DSPの光学作用の一例を説明するための図である。
第1ホログラフィック光学素子HE1を通って第2ホログラフィック光学素子HE2に入射する表示光DLは、反射防止膜AR1及び反射防止膜AR2を通過する。第2ホログラフィック光学素子HE2を通って第1ホログラフィック光学素子HE1に入射する表示光DLは、反射防止膜AR2及び反射防止膜AR1を通過する。上述のように、反射防止膜AR1及び反射防止膜AR2では、表示光DLの偏光方向は維持される。
【0311】
まず、表示パネル2は、第1直線偏光LP1である表示光DLを出射する。表示光DLは、表示パネル2の法線NPに対して斜め方向に出射される。表示光DLは、第1ホログラフィック光学素子HE1に入射する。第1ホログラフィック光学素子HE1に入射する第1直線偏光LP1の入射角θAは、第1ホログラフィック光学素子HE1における第1特定入射角θ1とは異なる。ここでの入射角は、仮想の反射面RS1の法線N1と入射光とのなす角度である。入射角θAの第1直線偏光LP1は、第1ホログラフィック光学素子HE1を透過する。
【0312】
第1ホログラフィック光学素子HE1を透過した第1直線偏光LP1は、第2ホログラフィック光学素子HE2に入射する。第2ホログラフィック光学素子HE2に入射する第1直線偏光LP1の入射角θCは、第2ホログラフィック光学素子HE2における第2特定入射角θ2とほぼ等しい。ここでの入射角は、仮想の反射面RS2の法線N2と入射光とのなす角度である。入射角θCの第1直線偏光LP1は、第2ホログラフィック光学素子HE2の反射面RS2で第1ホログラフィック光学素子HE1に向けて反射される。なお、第1直線偏光LP1が反射面RS2で反射された際には、偏光状態が維持される。つまり、反射面RS2での反射光は、第1直線偏光LP1である。
【0313】
第2ホログラフィック光学素子HE2で反射された第1直線偏光LP1は、再び、第1ホログラフィック光学素子HE1に入射する。第1ホログラフィック光学素子HE1に入射する第1直線偏光LP1の入射角θBは、第1ホログラフィック光学素子HE1における第1特定入射角θ1とほぼ等しい。このため、入射角θBの第1直線偏光LP1は、第1ホログラフィック光学素子HE1の反射面RS1で反射される。
【0314】
第1ホログラフィック光学素子HE1で反射された第1直線偏光LP1は、再び、第2ホログラフィック光学素子HE2に入射する。第2ホログラフィック光学素子HE2に入射する第1直線偏光LP1の入射角θDは、第2ホログラフィック光学素子HE2における第2特定入射角θ2とは異なる。このため、入射角θDの第1直線偏光LP1は、第2ホログラフィック光学素子HE2を透過する。
【0315】
第2ホログラフィック光学素子HE2を透過した第1直線偏光LP1は、位相差板RPを透過する際に、1/4波長の位相差が付与される。これにより、第1直線偏光LP1は、位相差板RPを透過する際に、第1円偏光CP1に変換される。ここでの第1円偏光CP1とは、例えば左回りの円偏光である。位相差板RPを透過した第1円偏光CP1は、レンズ素子LEにおいて、第2円偏光CP2に変換されるとともにレンズ作用を受けてユーザの瞳Eに集光される。
【0316】
このような表示装置DSPによれば、光学システム4は、第1ホログラフィック光学素子HE1と第2ホログラフィック光学素子HE2との間を3回通る光路を有している。しかも、この光路には、第1ホログラフィック光学素子HE1から第2ホログラフィック光学素子HE2に至る斜めの光路と、第2ホログラフィック光学素子HE2から第1ホログラフィック光学素子HE1に至る斜めの光路と、が含まれている。つまり、光学システム4において、第1ホログラフィック光学素子HE1と第2ホログラフィック光学素子HE2との間の光学的な距離は、実際の第1ホログラフィック光学素子HE1と第2ホログラフィック光学素子HE2との間隔(あるいは空気層4Cの厚さ)の3倍以上となる。表示パネル2は、レンズ作用を有するレンズ素子LEの焦点よりも内側に設置されている。これにより、ユーザは、拡大された虚像を観察することができる。
【0317】
このような第2構成例においても、第1構成例と同様の効果が得られる。
【0318】
図38は、図37に示した第1ホログラフィック光学素子HE1の第1特定入射角θ1及び第2ホログラフィック光学素子HE2の第2特定入射角θ2を説明するための図である。
【0319】
第1ホログラフィック光学素子HE1において、反射面RS1の法線N1と基準面(X-Y平面)とのなす角度を角度γ1とし、入射角βの入射光と法線N1とのなす角度を角度α1とする。
【0320】
第2ホログラフィック光学素子HE2において、反射面RS2の法線N2と基準面(X-Y平面)とのなす角度を角度γ2とし、反射面RS2での反射光と基準面とのなす角度を角度φ2とし、反射面RS1での反射光と法線N2とのなす角度を角度α2とする。
【0321】
図中のcで示したように、第1特定入射角θ1の光が反射面RS1で反射される条件に基づき、以下の式が導出される。
γ1=π/2-θ1
【0322】
図中のbで示したように、第2特定入射角θ2の光が反射面RS2で反射される条件に基づき、以下の式が導出される。
γ2=θ2-2・θ1+π/2
【0323】
図中のaで示したように、第1ホログラフィック光学素子HE1を透過する条件は、以下の通りである。
δ1=α1-θ1≠0
なお、以下の関係が成り立つ。
α1=2・θ2+φ2-γ1、φ2=π/2-2・θ1
これらの関係に基づくと、δ1については、以下の式が導出される。
δ1=2・(θ1-θ2)≠0
したがって、θ1≠θ2である。
【0324】
図中のdで示したように、第2ホログラフィック光学素子HE2を透過する条件は、以下の通りである。
δ2=α2-θ2≠0
なお、以下の関係が成り立つ。
α2=π/2-γ2
δ2については、以下の式が導出される。
δ2=2・(θ1-θ2)≠0
したがって、θ1≠θ2である。
【0325】
つまり、第1特定入射角θ1が第2特定入射角θ2とは異なることで、第2構成例の光学システム4が成り立つ。また、第1特定入射角θ1と第2特定入射角θ2との差分が大きいほど、第1ホログラフィック光学素子HE1及び第2ホログラフィック光学素子HE2を透過する条件が緩和されるため、好ましい。
【0326】
このとき、入射角βは以下の通りである。
β=α1+γ1-π/2=2・(θ2-θ1)
【0327】
以下に、本開示に係る発明を付記する。
【0328】
[A-1]
直線偏光の表示光を出射する表示パネルと、
半透過層と、
前記表示パネルと前記半透過層との間に配置された第1位相差板と、
第1直線偏光を透過し、前記第1直線偏光と直交する第2直線偏光を反射する反射偏光板と、
前記半透過層と前記反射偏光板との間に配置された第2位相差板と、
前記反射偏光板から離間した素子と、
前記反射偏光板と前記素子との間に配置された第3位相差板と、
を備え、
前記第2位相差板の前記反射偏光板と対向する面は、反射防止膜で覆われており、
前記第1位相差板、前記第2位相差板、及び、前記第3位相差板は、1/4波長板であり、
前記素子は、第1円偏光を集光するレンズ作用を有している、表示装置。
[A-2]
直線偏光の表示光を出射する表示パネルと、
半透過層と、
前記表示パネルと前記半透過層との間に配置された第1位相差板と、
前記半透過層から離間した素子と、
前記半透過層と前記素子との間に配置され、前記半透過層から離間し、第1コレステリック液晶を有し、第1円偏光を前記半透過層に向けて反射し、前記第1円偏光とは逆回りの第2円偏光を透過する第1光学素子と、
を備え、
前記第1位相差板の前記素子と対向する面、及び、前記素子の前記第1位相差板と対向する面それぞれは、反射防止膜で覆われており、
前記第1位相差板は、1/4波長板であり、
前記素子は、前記第2円偏光を集光するレンズ作用を有している、表示装置。
[A-3]
前記素子は、第1液晶分子及び第2液晶分子を含む複数の液晶分子の配向方向が固定された状態で硬化した液晶層を有し、
前記液晶層は、平面視において、複数の前記第1液晶分子が同一方向に配向した第1環状領域と、前記第1環状領域の外側で複数の前記第2液晶分子が同一方向に配向した第2環状領域と、を有し、
前記第1液晶分子の配向方向は、前記第2液晶分子の配向方向とは異なる、[A-1]又は[A-2]に記載の表示装置。
[A-4]
前記表示パネルの背面に配置された照明装置と、を、さらに備え、
前記照明装置は、第1波長の光を出射する第1発光素子と、前記第1波長よりも長波長の第2波長の光を出射する第2発光素子と、前記第2波長よりも長波長の第3波長の光を出射する第3発光素子と、を備えている、[A-3]に記載の表示装置。
[A-5]
前記第1発光素子、前記第2発光素子、及び、前記第3発光素子は、レーザ光源である、[A-4]に記載の表示装置。
[A-6]
前記第1光学素子は、複数の液晶分子の配向方向が固定された状態で硬化した液晶層を有し、
前記液晶層は、前記第1コレステリック液晶を含み、第1波長の円偏光を反射する反射面を有している、[A-2]に記載の表示装置。
[B-1]
直線偏光の表示光を出射するように構成された表示領域を有する表示パネルと、
第1円偏光を透過し、前記第1円偏光とは逆回りの第2円偏光を反射する第1半透過素子と、
前記表示パネルと前記第1半透過素子との間に配置された第1位相差板と、
前記第1半透過素子から離間し、前記第1円偏光を反射し、前記第2円偏光を透過する第2半透過素子と、
前記第1半透過素子と前記第2半透過素子との間に配置され、面内で互いに直交する方向の屈折率がほぼ同等であり、法線方向の屈折率が面内の屈折率とは異なる屈折率異方性を有する第2位相差板と、
前記第2半透過素子に対向し、前記第2円偏光を集光するレンズ作用を有する第1素子と、
を備え、
前記第2位相差板の前記第2半透過素子と対向する面、及び、前記第2半透過素子の前記第2位相差板に対向する面は、それぞれ、反射防止膜で覆われている、表示装置。
[B-2]
前記第1半透過素子及び前記第2半透過素子の各々は、第1波長の円偏光を反射する第1光学素子を備え、
前記第1光学素子は、第1コレステリック液晶を含み、複数の液晶分子の配向方向が固定された状態で硬化した液晶層を有し、
前記液晶層は、前記液晶分子の配向方向が揃った反射面を有し、
前記反射面は、前記液晶層の主面に対して傾斜し、
前記第1半透過素子の前記第1光学素子、及び、前記第2半透過素子の前記第1光学素子において、前記第1コレステリック液晶は、同等の第1螺旋ピッチを有し、互いに逆回りに旋回している、[B-1]に記載の表示装置。
[B-3]
前記第1半透過素子及び前記第2半透過素子のそれぞれは、さらに、
第2コレステリック液晶を有し、前記第1波長よりも長波長の第2波長の円偏光を反射する第2光学素子と、
第3コレステリック液晶を有し、前記第2波長よりも長波長の第3波長の円偏光を反射する第3光学素子と、を備え、
前記第1光学素子、前記第2光学素子、及び、前記第3光学素子は積層され、
前記第2コレステリック液晶は、前記第1螺旋ピッチより大きい第2螺旋ピッチを有し、
前記第3コレステリック液晶は、前記第2螺旋ピッチより大きい第3螺旋ピッチを有している、[B-2]に記載の表示装置。
[B-4]
前記表示パネルの背面に配置された照明装置と、を、さらに備え、
前記照明装置は、前記第1波長の光を出射する第1発光素子と、前記第2波長の光を出
射する第2発光素子と、前記第3波長の光を出射する第3発光素子と、を備えている、[B-3]に記載の表示装置。
[B-5]
前記第1発光素子、前記第2発光素子、及び、前記第3発光素子は、それぞれレーザ
光源である、[B-4]に記載の表示装置。
[B-6]
前記表示領域は、第1端部と、前記第1端部とは反対側の第2端部と、を有し、
前記第1半透過素子、前記第2位相差板、前記第2半透過素子、及び、前記第1素子は、前記第1端部よりも外側に延在した第1部分と、前記第2端部よりも外側に延在した第2部分と、を有し、
前記第1部分の幅は、前記第2部分の幅より大きい、[B-1]に記載の表示装置。
[B-7]
前記第1半透過素子及び前記第2半透過素子のそれぞれは、反射面を有し、
前記反射面は、前記第1部分が位置する側の端部が前記表示パネルから離間し、前記第2部分に位置する側の端部が前記表示パネルに近接するように傾斜している、[B-6]に記載の表示装置。
[B-8]
直線偏光の表示光を出射するように構成された表示領域を有する第1表示パネルと、
第1円偏光を透過し、前記第1円偏光とは逆回りの第2円偏光を反射する第1半透過素子と、
前記第1表示パネルと前記第1半透過素子との間に配置された第1位相差板と、
前記第1半透過素子から離間し、前記第1円偏光を反射し、前記第2円偏光を透過する第2半透過素子と、
前記第2半透過素子に対向し、前記第2円偏光を集光するレンズ作用を有する第1素子と、
を備え、
前記第1位相差板の前記第2半透過素子と対向する面、及び、前記第2半透過素子の前記第1位相差板に対向する面は、それぞれ、反射防止膜で覆われている、第1表示装置と、
直線偏光の表示光を出射するように構成された表示領域を有する第2表示パネルと、
第3円偏光を透過し、前記第3円偏光とは逆回りの第4円偏光を反射する第3半透過素子と、
前記第2表示パネルと前記第3半透過素子との間に配置された前記第1位相差板と、
前記第3半透過素子から離間し、前記第3円偏光を反射し、前記第4円偏光を透過する第4半透過素子と、
前記第4半透過素子に対向し、前記第4円偏光を集光するレンズ作用を有する第2素子と、
を備え、
前記第2位相差板の前記第2半透過素子と対向する面、及び、前記第2半透過素子の前記第2位相差板に対向する面は、それぞれ、反射防止膜で覆われている、第2表示装置と、
前記第1半透過素子及び前記第3半透過素子の間、並びに、前記第2半透過素子及び前記第4半透過素子の間に配置され、面内で互いに直交する方向の屈折率がほぼ同等であり、法線方向の屈折率が面内の屈折率とは異なる屈折率異方性を有する第2位相差板と、
を、備え、
前記第1半透過素子の反射面、及び、前記第3半透過素子の反射面は、互いに向きが異なり、
前記第2半透過素子の反射面、及び、前記第4半透過素子の反射面は、互いに向きが異なり、
前記第1素子によって集光される位置、及び、前記第2素子によって集光される位置は、互いに異なる、ヘッドマウントディスプレイ。
[B-9]
前記第1素子は、第1液晶分子及び第2液晶分子を含む複数の液晶分子の配向方向が固定された状態で硬化した液晶層を有し、
前記液晶層は、平面視において、複数の前記第1液晶分子が同一方向に配向した第1環状領域と、前記第1環状領域の外側で複数の前記第2液晶分子が同一方向に配向した第2環状領域と、を有し、
前記第1液晶分子の配向方向は、前記第2液晶分子の配向方向とは異なる、請求項1[B-1]に記載のヘッドマウントディスプレイ。
[B-10]
前記表示パネルの背面に配置された照明装置と、を、さらに備え、
前記照明装置は、第1波長の光を出射する第1発光素子と、第2波長の光を出射する第2発光素子と、第3波長の光を出射する第3発光素子と、を備えている、[B-9]に記載のヘッドマウントディスプレイ。
[B-11]
前記第1発光素子、前記第2発光素子、及び、前記第3発光素子は、それぞれレーザ光源である、[B-10]に記載のヘッドマウントディスプレイ。
[C-1]
偏光板を含み、直線偏光の表示光を出射するように構成された表示領域を有する表示パネルと、
特定入射角の光を反射し、前記特定入射角とは異なる入射角の光を透過するホログラフィック光学素子と、
前記表示パネルと前記ホログラフィック光学素子との間に配置された位相差板と、
前記ホログラフィック光学素子に接して配置される第1反射防止膜と、
前記第1反射防止膜に間隔を置いて対向する第2反射防止膜と、
前記第1反射防止膜及び前記第2反射防止膜を介して、前記ホログラフィック光学素子に間隔を置いて対向し、前記ホログラフィック光学素子を透過した光のうち、第1円偏光を反射し、前記第1円偏光とは逆回りの第2円偏光を透過する半透過素子と、
前記半透過素子に対向し、前記半透過素子を透過した前記第2円偏光を集光するレンズ作用を有するレンズ素子と、
を備えている、表示装置。
[C-2]
前記特定入射角は、0°である、[C-1]に記載の表示装置。
[C-3]
前記表示パネルの背面に配置された照明装置と、を、さらに備え、
前記照明装置は、第1波長の光を出射する第1発光素子と、前記第1波長とは異なる第2波長の光を出射する第2発光素子と、前記第1波長及び前記第2波長とは異なる第3波長の光を出射する第3発光素子と、を備えている、[C-1]に記載の表示装置。
[C-4]
前記第1発光素子、前記第2発光素子、及び、前記第3発光素子は、それぞれレーザ光源である、[C-3]に記載の表示装置。
【0329】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0330】
1…ヘッドマウントディスプレイ 2…表示パネル 3…照明装置 4…光学システム
DSP…表示装置
R1…第1位相差板 R2…第2位相差板
H…ホログラフィック光学素子 PR…反射偏光板
AR…反射防止膜
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
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