(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088304
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】硫化リチウムの製造方法
(51)【国際特許分類】
C01B 17/22 20060101AFI20240625BHJP
【FI】
C01B17/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203409
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】591069891
【氏名又は名称】株式会社ケミコート
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100181722
【弁理士】
【氏名又は名称】春田 洋孝
(72)【発明者】
【氏名】木村 新文
(72)【発明者】
【氏名】御藤 孝仁
(57)【要約】
【課題】安価な硫化リチウムを提供することができる硫化リチウムの製造方法を提供する。
【解決手段】不活性ガスの雰囲気下にて、水素化リチウムおよび窒化リチウムの少なくとも一方と、硫黄とを混合して、前記水素化リチウムまたは前記窒化リチウムと前記硫黄とを含む混合物を得る工程と、前記混合物を不活性ガスの雰囲気下にて焼成する工程と、を有する、硫化リチウムの製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不活性ガスの雰囲気下にて、水素化リチウムおよび窒化リチウムの少なくとも一方と、硫黄とを混合して、前記水素化リチウムまたは前記窒化リチウムと前記硫黄とを含む混合物を得る工程と、
前記混合物を不活性ガスの雰囲気下にて焼成する工程と、
を有する、硫化リチウムの製造方法。
【請求項2】
前記不活性ガスは、アルゴンガスである、請求項1に記載の硫化リチウムの製造方法。
【請求項3】
前記混合物の焼成温度は、150℃以上600℃以下である、請求項1に記載の硫化リチウムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硫化リチウムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車の市場の拡大に伴って、全固体リチウムイオン二次電池の実用化の期待が高まっている。全固体リチウムイオン二次電池は、正極層と、固体電解質層と、負極層とを積層させた構造を有している。電気自動車用の全固体リチウムイオン二次電池の実用化に向けて、固体電解質層に含まれる硫化物系固体電解質の量産化は喫緊の課題である。
【0003】
硫化物系固体電解質のなかでも、立方晶系Argyrodite型結晶構造を有する硫化物固体電解質であるLi6PS5Clは、高いイオン伝導率と広い電位窓を有するため、最も有望な固体電解質として期待されている。
【0004】
さらに、従来、液系リチウムイオン二次電池、および全固体リチウムイオン二次電池の製造コストを低減するために、より安価な硫化物固体電解質が求められている。Li6PS5Clの原料の1つとしては、硫化リチウム(Li2S)が用いられる。
【0005】
従来、Li2Sの合成方法としては、例えば、水酸化リチウムと硫化水素の反応(2LiOH+H2S→Li2S+2H2O)により合成する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、Li2Sの合成方法としては、例えば、硫酸リチウムを用いる炭素熱還元法(Li2SO4+2C→Li2S+2CO2)により合成する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016-20287号公報
【特許文献2】特開2015-74567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1および特許文献2に記載の合成方法は、工程が複雑であるため、硫化物系固体電解質の量産化に向けて求められている安価なLi2Sを提供することが難しかった。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、安価な硫化リチウムを提供することができる硫化リチウムの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下の態様を有する。
[1]不活性ガスの雰囲気下にて、水素化リチウムおよび窒化リチウムの少なくとも一方と、硫黄とを混合して、前記水素化リチウムまたは前記窒化リチウムと前記硫黄とを含む混合物を得る工程と、
前記混合物を不活性ガスの雰囲気下にて焼成する工程と、
を有する、硫化リチウムの製造方法。
[2]前記不活性ガスは、アルゴンガスである、[1]に記載の硫化リチウムの製造方法。
[3]前記混合物の焼成温度は、150℃以上600℃以下である、[1]または[2]に記載の硫化リチウムの製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、安価な硫化リチウムを提供することができる硫化リチウムの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の硫化リチウムの製造方法の詳細を示すフロー図である。
【
図2】実施例1で得られた生成物のX線回折スペクトルを示す図である。
【
図3】実施例2で得られた生成物のX線回折スペクトルを示す図である。
【
図4】実施例3で得られた生成物のX線回折スペクトルを示す図である。
【
図5】実施例3で得られた硫化リチウムの外観を示す写真である。
【
図6】比較例2で得られた焼成物の外観を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の硫化リチウムの製造方法の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の硫化リチウムの製造方法の詳細を示すフロー図である。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0013】
[硫化リチウムの製造方法]
本発明の一実施形態に係る硫化リチウムの製造方法は、水素化リチウムおよび窒化リチウムの少なくとも一方と、硫黄とを反応させて、硫化リチウムを製造する方法である。
【0014】
すなわち、本発明の一実施形態に係る硫化リチウムの製造方法は、下記式(1)または下記式(2)に示す合成反応により、硫化リチウムを製造する方法である。
【0015】
水素化リチウム(LiH)と硫黄(S)を反応させて硫化リチウム(Li2S)を合成する場合の合成反応を下記式(1)に示す。
2LiH+S→Li2S+H2 (1)
【0016】
窒化リチウム(Li3N)と硫黄(S)を反応させて硫化リチウム(Li2S)を合成する場合の合成反応を下記式(2)に示す。
2Li3N+3S→3Li2S+N2 (2)
【0017】
本発明の一実施形態に係る硫化リチウムの製造方法は、不活性ガスの雰囲気下にて、水素化リチウムおよび窒化リチウムの少なくとも一方と、硫黄とを混合して、前記水素化リチウムまたは前記窒化リチウムと前記硫黄とを含む混合物を得る工程(以下、「混合工程」と言う。)と、前記混合物を不活性ガスの雰囲気下にて焼成する工程(以下、「焼成工程」と言う。)と、を有する。
【0018】
「混合工程」
混合工程では、原料である、水素化リチウムおよび窒化リチウムの少なくとも一方と、硫黄とを所定量秤量し、これらの原料を混合して、これらの原料を含む混合物を調製する。本実施形態の硫化リチウムの製造方法では、上記混合物が、水素化リチウム若しくは窒化リチウムのいずれか一方を含むか、または、水素化リチウムおよび窒化リチウムを含む。
混合工程は、高純度の不活性ガスの雰囲気下にて行う。
【0019】
水素化リチウムとしては、いかなる製造方法により得られたものであってもよく、市販品であってもよい。高純度の硫化リチウムを得る上で、水素化リチウムは、不純物の含有量が少ないものほど好ましい。水素化リチウムは、青灰色結晶であっても、灰色粉末であってもよい。水素化リチウムの粒径は、特に制限されない。
【0020】
窒化リチウム(Li3N)としては、いかなる製造方法により得られたものであってもよく、市販品であってもよい。高純度の硫化リチウムを得る上で、窒化リチウムは、不純物の含有量が少ないものほど好ましい。水素化リチウムは、赤色結晶であっても、紫色結晶であってもよい。窒化リチウムの粒径は、特に制限されない。
【0021】
硫黄(S)としては、特に制限されない。高純度の硫化リチウムを得る上で、硫黄は、不純物の含有量が少ないものほど好ましく、純度が99質量%以上であることが特に好ましい。また、硫黄の粒径は、特に制限されない。
【0022】
水素化リチウムおよび窒化リチウムの少なくとも一方と、硫黄とを混合する方法は、特に限定されない。
【0023】
混合工程に用いる不活性ガスとしては、アルゴンガスが好適に用いられる。
不活性ガスの純度は、99.9995%以上であることが好ましい。高純度の不活性ガスを用いることにより、最終的に高純度の硫化リチウムが得られる。
【0024】
「焼成工程」
焼成工程では、焼成坩堝等の焼成用の容器内に上記混合物を装填し、管状炉等の焼成炉内にて、前記容器内に装填した上記混合物を不活性ガスの雰囲気下で焼成し、硫化リチウムを合成する。
【0025】
上記混合物の焼成方法の詳細を説明する。
まず、室温(25℃)にて、焼成炉内の気体を真空ポンプにより排気した後、焼成炉内に不活性ガスを流入させて、焼成炉内の気体を不活性ガスに置換するという一連の工程を1回以上行うことが好ましく、3回以上行うことがより好ましい。
焼成炉内に不活性ガスを流入させる際の不活性ガスの流量は、特に限定されないが、例えば、0.2L/min以上1.0L/min以下であることが好ましい。
【0026】
焼成工程に用いる不活性ガスとしては、アルゴンガスが好適に用いられる。
不活性ガスの純度は、99.9995%以上であることが好ましい。高純度の不活性ガスを用いることにより、最終的に高純度の硫化リチウムが得られる。
【0027】
次いで、焼成炉内の温度を、昇温速度を好ましくは1.0℃/min以上20.0℃/min以下、より好ましくは2.0℃/min以上10.0℃/min以下として、室温(25℃)から100℃に達するまで上昇させる。これにより、上記容器内に装填した上記混合物の温度が100℃に達する。100℃までの昇温速度は、特に限定されないが、焼成炉自体の仕様に応じて適宜設定すればよい。
【0028】
焼成炉内の温度を室温(25℃)から100℃に達するまで上昇させるためにかける時間は、5分以上100分以下であることが好ましく、10分以上50分以下であることがより好ましい。
【0029】
次いで、焼成炉内の温度を100℃で好ましくは5分以上30分以下、より好ましくは5分以上20分以下保持した後、焼成炉内の気体を真空ポンプにより排気した後、焼成炉内に不活性ガスを流入させて、焼成炉内の気体を不活性ガスに置換するという一連の工程を1回以上行うことが好ましく、3回以上行うことがより好ましい。
焼成炉内に不活性ガスを流入させる際の不活性ガスの流量は、特に限定されないが、例えば、0.2L/min以上1.0L/min以下であることが好ましい。
【0030】
次いで、焼成炉内の温度を、昇温速度を好ましくは0.5℃/min以上10℃/min以下、より好ましくは0.5℃/min以上5℃/min以下として、100℃から115℃に達するまで上昇させる。これにより、上記容器内に装填した上記混合物の温度が115℃に達する。昇温速度が前記上限値を超えると、硫黄の溶解が急速に起こるため、粒径が小さく、均一な硫化リチウムの粉末が得られにくくなる。
【0031】
次いで、焼成炉内の温度を115℃で好ましくは1時間以上5時間以下、より好ましくは1時間以上3時間以下保持する。
【0032】
次いで、焼成炉内の温度を、昇温速度を好ましくは0.5℃/min以上10℃/min以下、より好ましくは0.5℃/min以上3.0℃/min以下として、115℃から上記混合物の焼成温度に達するまで上昇させる。これにより、上記容器内に装填した上記混合物の温度が焼成温度に達する。昇温速度が前記上限値を超えると、水素化リチウムまたは窒化リチウムと硫黄との発熱反応が激しくなるため、粒径が小さく、均一な硫化リチウムの粉末が得られにくくなる。昇温速度が前記下限値未満であると、硫化リチウムの品質に影響を及ぼさないが、焼成時間が長くなるため、エネルギーコストが増加する。
【0033】
上記混合物の焼成温度は、150℃以上600℃以下であることが好ましく、200℃以上500℃以下であることがより好ましい。焼成温度が前記上限値を超えると、粒径が小さく、均一な硫化リチウムの粉末が得られにくくなる。焼成温度が前記下限値未満であると、合成反応が始まらないか、または反応速度が遅すぎるため、硫化リチウムを合成することができない。
【0034】
焼成時間は、焼成温度に応じて適宜設定することができ、60分以上100時間以下であることが好ましく、120分以上50時間以下であることがより好ましく、180分以上15時間以下であることがさらに好ましい。なお、焼成時間とは、焼成温度を保持する時間を意味する。
【0035】
上記混合物の焼成が完了した後、焼成物の温度を室温(25℃)まで自然冷却する。
【0036】
上述の焼成工程で得られた焼成物が、硫化リチウムである。
得られた焼成物を粉砕して、硫化リチウムの粉末を得る。
【0037】
焼成工程において、水素化リチウムと硫黄を反応させて硫化リチウムを合成する場合の合成反応は上記式(1)の通りである。また、焼成工程において、窒化リチウムと硫黄を反応させて硫化リチウムを合成する場合の合成反応は上記式(2)の通りである。
【0038】
上記混合物が窒化リチウムと硫黄とを含む場合には、上記混合物が水素化リチウムと硫黄とを含む場合よりも焼成温度を高くする。また、上記混合物が水素化リチウムおよび窒化リチウムと硫黄とを含む場合には、上記混合物が水素化リチウムと硫黄とを含む場合よりも焼成温度を高くする。
【0039】
本実施形態の硫化リチウムの製造方法によれば、不活性ガスの雰囲気下にて、水素化リチウムまたは窒化リチウムと、硫黄とを混合して、水素化リチウムまたは窒化リチウムと硫黄とを含む混合物を得る混合工程と、混合物を不活性ガスの雰囲気下にて焼成する焼成工程と、を有するため、安価で、かつ副生成物を含まない高純度の硫化リチウムが得られる。また、本実施形態の硫化リチウムの製造方法によれば、結晶化度が高い硫化リチウムが得られる。また、本実施形態の硫化リチウムの製造方法によれば、高収率で硫化リチウムが得られる。さらに、本実施形態の硫化リチウムの製造方法によれば、後処理を行うことなく、上記混合物を焼成するだけで、高純度で、かつ結晶化度が高い硫化リチウムが得られる。
【実施例0040】
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0041】
[原料の配合]
純度が99.9995%以上のアルゴンガスからなる不活性ガスの雰囲気下、水素化リチウムまたは窒化リチウムと硫黄とを、乳鉢を用いて手動で混合して、表1に示す配合の混合物を得た。
水素化リチウムとしては、Sigma-Aldrich社製の純度95%以上のものを用い、硫黄としては、Sigma-Aldrich社製の純度99.98%のものを用い、窒化リチウムとしては、Sigma-Aldrich社製の純度99.5%以上のものを用いた。
【0042】
【0043】
[実施例1]
配合No.1の混合物を用いた。
この混合物を装填した焼成坩堝を、管状炉内に配置した。
次いで、室温(25℃)にて、管状炉内の気体を真空ポンプにより排気した後、管状炉内に純度が99.9995%以上のアルゴンガスを流入させて、管状炉内の気体をアルゴンガスに置換するという一連の工程を3回繰り返した。管状炉内にアルゴンガスを流入させる際のアルゴンガスの流量を0.5L/minとした。
次いで、管状炉内の温度を、昇温速度を5℃/minとして、室温(25℃)から100℃に達するまで上昇させた。
次いで、管状炉内の温度を100℃で10分保持した後、管状炉内の気体を真空ポンプにより排気した後、管状炉内に純度が99.9995%以上のアルゴンガスを流入させて、管状炉内の気体をアルゴンガスに置換するという一連の工程を3回繰り返した。管状炉内にアルゴンガスを流入させる際のアルゴンガスの流量を0.5L/minとした。
次いで、管状炉内の温度を、昇温速度を3℃/minとして、100℃から115℃に達するまで上昇させた。
次いで、管状炉内の温度を115℃で2時間保持した。
次いで、管状炉内の温度を、昇温速度を1℃/minとして、115℃から200℃(焼成温度)に達するまで上昇させ、200℃で6時間保持した。
焼成が完了した後、管状炉内の温度(焼成物の温度)を室温(25℃)まで自然冷却した。
得られた焼成物を、乳鉢を用いて手動で粉砕して、実施例1の粉末状の生成物を得た。
得られた生成物のX線回折(XRD)を行った。
X線回折装置として、XRD装置(商品名:SmartLab、リガク社製)を用いた。結果を
図2に示す。
図2に示す結果から、得られた生成物は、副生成物を含まず、結晶性の高い硫化リチウムであることが確認された。
【0044】
[実施例2]
焼成温度を400℃としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の粉末状の生成物を得た。
得られた生成物のX線回折(XRD)を、実施例1と同様に行った。結果を
図3に示す。
図3に示す結果から、得られた生成物は、副生成物を含まず、結晶性の高い硫化リチウムであることが確認された。
【0045】
[実施例3]
配合No.2の混合物を用い、焼成温度を500℃とし、焼成時間を12時間としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例3の粉末状の生成物を得た。
得られた生成物のX線回折(XRD)を、実施例1と同様に行った結果、得られた生成物は、副生成物を含まず、結晶性の高い硫化リチウムであることが確認された。結果を
図4に示す。
図4に示す結果から、得られた生成物は、副生成物を含まず、結晶性の高い硫化リチウムであることが確認された。
また、得られた生成物の写真を
図5に示す。
図5に示す結果から、得られた生成物は、細かくて真っ白であることが確認された。
【0046】
[比較例1]
焼成温度を150℃としたこと以外は実施例1と同様にして、上記混合物を焼成した。
焼成物のX線回折(XRD)を、実施例1と同様に行った結果、硫化リチウムが生成しておらず、硫化リチウムの合成反応が認められなかった。
【0047】
[比較例2]
配合No.2の混合物を用い、焼成温度を150℃としたこと以外は実施例1と同様にして、上記混合物を焼成した。
焼成物のX線回折(XRD)を、実施例1と同様に行った結果、硫化リチウムが生成しておらず、硫化リチウムの合成反応が認められなかった。
得られた焼成物の写真を
図6に示す。
図6に示す結果から、焼成物の外観は、混合原料と同じように褐色を示した。
本発明の硫化リチウムの製造方法によれば、安価で、かつ副生成物を含まない高純度でかつ結晶化度が高い硫化リチウムが得られる。そのため、本発明の硫化リチウムの製造方法は、全固体リチウムイオン二次電池の固体電解質層に用いられる硫化物固体電解質の量産化を可能とする。また、本発明の硫化リチウムの製造方法で得られた硫化リチウムは、正極活物質の原料として次世代型全固体リチウム硫黄二次電池への応用に期待される。