(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088321
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】止水シャッター装置
(51)【国際特許分類】
E06B 5/00 20060101AFI20240625BHJP
E04H 9/14 20060101ALI20240625BHJP
E06B 7/22 20060101ALN20240625BHJP
【FI】
E06B5/00 Z
E04H9/14 Z
E06B7/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203431
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】上村 達也
(72)【発明者】
【氏名】角 和博
【テーマコード(参考)】
2E036
2E139
2E239
【Fターム(参考)】
2E036AA01
2E036BA01
2E036CA01
2E036DA02
2E036EB02
2E036FA10
2E036FB01
2E036GA04
2E036HB34
2E036HC02
2E036HC05
2E139AA08
2E239AC04
(57)【要約】
【課題】 収納部を小型化する。
【解決手段】 止水シャッター装置であって、複数のパネル11,12をパネル移送経路Aに通過させた後に下方へ繰り出す収納部30と、収納部30から繰り出される複数のパネル11,12を順次に積み重ねて閉鎖状態になる開閉体10と、閉鎖状態の開閉体10を不動部位に押し付ける押圧装置40,50とを備え、パネル移送経路Aは、垂直方向に対する交差方向に延設され、押圧装置40,50は、パネル移送経路Aの下方に設けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパネルをパネル移送経路に通過させた後に下方へ繰り出す収納部と、前記収納部から繰り出される複数の前記パネルを順次に積み重ねて閉鎖状態になる開閉体と、閉鎖状態の前記開閉体を不動部位に押し付ける押圧装置とを備え、
前記パネル移送経路は、垂直方向に対する交差方向に延設され、
前記押圧装置は、前記パネル移送経路の下方に設けられていることを特徴とする止水シャッター装置。
【請求項2】
前記押圧装置は、前記交差方向に押圧力を発することを特徴とする請求項1記載の止水シャッター装置。
【請求項3】
前記押圧装置は、前記交差方向に前進するロッドにより押圧力を発することを特徴とする請求項2に記載の止水シャッター装置。
【請求項4】
前記交差方向の押圧力を下向きの押圧力に変換する下向き変換機構を備えることを特徴とする請求項2記載の止水シャッター装置。
【請求項5】
前記下向き変換機構は、枢支部を支点に回転するように支持された回転体を備え、
前記回転体は、前記枢支部の周囲に、前記押圧装置の押圧力を受ける力点と下方へ押圧力を発する作用点とを有することを特徴とする請求項4記載の止水シャッター装置。
【請求項6】
前記下向き変換機構は、前記開閉体を下方へ押圧する押圧部材を備え、前記押圧部材を前記開閉体の上方のパネル移送経路の外側から該パネル移送経路中に変位させて前記開閉体に当接することを特徴とする請求項4記載の止水シャッター装置。
【請求項7】
前記下向き変換機構による下向きの押圧力を開閉体厚さ方向の押圧力に変換する厚さ方向押圧機構を備え、前記厚さ方向押圧機構の押圧力によって、前記開閉体を不動部位に押し付けるようにしたことを特徴とする請求項4記載の止水シャッター装置。
【請求項8】
前記下向き変換機構による下向きの押圧力によって、前記開閉体を下方側の不動部位に押し付けるようにしたことを特徴とする請求項4記載の止水シャッター装置。
【請求項9】
前記収納部が、前記開閉体により開閉される開口部よりも屋外側に設置され、前記押圧装置は、前記屋外側において前記パネル経路の下方に設けられることを特徴とする請求項1~8何れか1項記載の止水シャッター装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水が流通しないように開口部を閉鎖する止水シャッター装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の発明は、例えば特許文献1に記載されるように、上下方向へ積み重ねられる複数のパネルによりシャッターカーテンを構成した止水シャッター装置がある。この止水シャッター装置は、収納部から繰り出されて全閉したシャッターカーテンを、電動でロッドを伸縮させる押圧装置(垂直圧迫手段及び水平圧迫手段)により押圧し、下枠やガイドレール等の」不動部位に水密に圧接する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術によれば、収納部内で複数のパネルを移送する経路の繰出し側に、前記押圧装置を上下向きに配置していた。
このため、シャッターカーテンを収納するための収納部が大型化する等、改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題に鑑みて、本発明の一つは、以下の構成を具備するものである。
複数のパネルをパネル移送経路に通過させた後に下方へ繰り出す収納部と、前記収納部から繰り出される複数の前記パネルを順次に積み重ねて閉鎖状態になる開閉体と、閉鎖状態の前記開閉体を不動部位に押し付ける押圧装置とを備え、前記パネル移送経路は、垂直方向に対する交差方向に延設され、前記押圧装置は、前記パネル移送経路の下方に設けられていることを特徴とする止水シャッター装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上説明したように構成されているので、収納部を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明に係る止水シャッター装置の一例を屋外側から視た正面図である。
【
図2】同止水シャッター装置の全閉状態を示す(II)-(II)線縦断面図であり、閉鎖前のパネルを二点鎖線で示している。
【
図3】
図1の(III)-(III)線に沿う横断面図である。
【
図4】開閉体を垂直方向へ押圧する構造を側方から視た図であり、(a)は押圧前の状態、(b)は押圧後の状態を示す。
【
図5】開閉体を水平方向へ押圧する構造を側方から視た図であり、(a)は押圧前の状態、(b)は開閉体を押動している状態、(c)は開閉体を受部に押し付けている状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書中、「開閉体厚さ方向」とは、閉鎖状態の開閉体の厚さ方向を意味する。また、「開閉体幅方向」とは、開閉体の開閉方向と略直交する方向であって、開閉体の厚さ方向ではない方向を意味する。
また、「開閉体開閉方向」とは、開閉体が開閉動作のために空間を仕切ったり開放したりするスライド方向を意味する。
【0009】
また、「開閉体幅方向外側」とは、開閉体幅方向に沿って開閉体の外側へ向かう方向側を意味する。例えば、向かって右側のガイドレールを基準にすると、開閉体幅方向外側は、右方向側になる。
また、「開閉体幅方向内側」とは、開閉体幅方向に沿って開閉体の内側へ向かう方向側を意味する。例えば、向かって右側のガイドレールを基準にすると、開閉体幅方向内側は、左方向側になる。
【0010】
また、「開閉体厚さ方向外側」とは、開閉体の厚みの中央部から開閉体厚さ方向に沿って離れる方向側を意味する。
また、「開閉体厚さ方向内側」とは、開閉体厚さ方向に沿って開閉体の厚みの中央部へ向かう方向側を意味する。
【0011】
<具体的な実施形態>
次に、本発明に係る具体的実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
止水シャッター装置1は、空間を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体10と、開閉体10の幅方向の両端部をそれぞれ横断面凹状に囲んで閉鎖方向へ案内する左右のガイドレール20,20と、開閉体10を上方側で収納したり繰り出したりする収納部30と、全閉状態の開閉体10を押圧する押圧装置40,50とを備え(
図1参照)、建物等の躯体開口部を開閉体10によって略水密に閉鎖する。
【0012】
図2に示す止水シャッター装置1は、躯体壁面の開口部よりも屋外側に収納部30を配置しており、外巻タイプの止水シャッター装置と呼称される場合がある。
なお、図示例以外の他例としては、躯体壁面の開口部よりも屋内側に収納部30を配置することも可能であり、このような態様は、内巻タイプの止水シャッター装置と呼称される場合がある。
【0013】
開閉体10は、収納部30によって閉鎖方向へ順次に繰出される複数のパネル11,12によって構成される。複数のパネル11,12は、パネル連繋チェーン14によって開閉方向に繋がっている。
この開閉体10は、複数のパネル11,12を、下方側の不動部位G(下枠や、床面、地面等の被当接面)に略垂直状に積み重ねて全閉状態になる(
図2参照)。
また、同開閉体10は、垂直状に積み重ねられたパネル11,12を上方へ移動して収納部30に収納することで開放状態になる。
【0014】
パネル11,12の各々は、開閉体幅方向へ長尺な正面視矩形板状の部材である。各パネル11,12は、金属材料を引抜成形又は押出成形することで、上下に仕切られた空洞を有する縦断面枠状に形成される。
【0015】
複数のパネル11,12は、それぞれ、下端部を、開閉体幅方向の全長にわたって縦断面略V字状に突出しており、その突出する外面には、シール部16が一体的に設けられる(
図2参照)。
【0016】
シール部16は、ゴムやエラストマー樹脂等の弾性材料から、各パネル11,12下端に沿う縦断面V字状に形成され、各パネル11,12の下端部に開閉体幅方向の全長にわたって接合されている。
【0017】
また、各パネル11の上端部には、上方に重なり合うパネル11(又は12)のシール部16に嵌り合うように、開閉体幅方向の全長にわたって縦断面略V溝状の凹部11aが形成される。
【0018】
また、各パネル11,12の横幅方向の両端部には、開閉体幅方向へ突出するように、支持軸部13が設けられる。
【0019】
最上部のパネル12は、開閉体幅方向へ長尺状に連続する正面視矩形状を呈し、パネル11よりも高さ寸法が小さい。前記寸法は、開閉体10によって開閉される開口部の高さ寸法等に応じて適宜に設定される。
【0020】
支持軸部13は、各パネル11,12の幅方向の両端部から、それぞれ、開閉体幅方向外側へ突出している(
図3参照)。
この支持軸部13は、パネル連繋チェーン14に挿通された軸状部材の先端側に、ローラを回転自在に支持してなる。
【0021】
パネル連繋チェーン14は、動力伝達用等に用いられる所謂ローラチェーンであり、その長さ方向において所定間隔置きに支持軸部13を回転自在に挿通している。
このパネル連繋チェーン14は、上下方向のすべてのパネル11,12を、支持軸部13を介して連結し、その上端側が収納部30内のスプロケット31に掛けられている。
【0022】
ガイドレール20は、閉鎖状態の開閉体10の幅方向端部を囲むように、横断面凹状もしくはコ字状に形成される(
図3参照)。このガイドレール20は、不動部位Gから収納部30へわたる長尺状に形成される。
ガイドレール20内には、閉鎖状態の開閉体10を屋外側から屋内側へ押圧する厚さ方向押圧機構55(
図3参照)が設けられる。さらにガイドレール20内には、厚さ方向押圧機構55によって押動された開閉体10を屋内側から受ける受部材21が、上下方向へわたって連続的に設けられる。
【0023】
受部材21は、閉鎖状態の開閉体10に対し、上下方向の全長にわたって接するようにした長尺状の部材である。この受部材21は、ゴムやエラストマー樹脂等の弾性材料から形成され、開閉体10の屋内側面に弾性的に接触して、開閉体10とガイドレール20の間の水密性を保持する。
【0024】
また、収納部30は、開閉体10によって開閉される開口部の上方において、当該止水シャッター装置1の設置対象物である躯体等に固定される。
この収納部30は、
図2に示すように、内側に空間を有する基体30aに、パネル連繋チェーン14を掛け回したスプロケット31と、スプロケット31等を双方向へ回転させる駆動機構32と、パネル11,12をパネル移送経路Aに沿って移送する収納レール33とを配設している。
【0025】
駆動機構32は、電動モータによってチェーン及びスプロケット31等を動作させ、パネル11,12を繰り出したり収納したりする機構である。
【0026】
収納レール33は、開閉体10の横幅方向の両側に設けられる。各収納レール33は、開閉体厚さ方向へ連続する長尺状に形成され、支持軸部13を載置して転動させる。
【0027】
パネル移送経路Aは、収納部30内でパネル11,12を移送するための経路である。このパネル移送経路Aは、垂直方向に対する交差方向(図示例によれば、略水平方向)へ向かって延設される。
【0028】
上記構成の収納部30は、閉鎖動作の際、駆動機構32を回転させることで、複数のパネル11,12をパネル移送経路Aに沿って一方向(図示例によれば屋内へ向かう方向)へ移送した後に下方へ繰り出す。
また、収納部30は、開放動作の際、駆動機構32を逆方向に回転させることで、複数のパネル11,12を、上方へ移動した後にパネル移送経路Aに沿って逆方向へ移送し、収納する。
【0029】
また、押圧装置40,50は、閉鎖状態の開閉体10を、下方側の不動部位G(下枠や床面、地面等)、及び屋内側の不動部位であるガイドレール20に押し付けるための駆動源である。
【0030】
この押圧装置40,50は、パネル移送経路Aの下方側に位置する。図示例よれば、押圧装置40は収納部30よりも下側に固定される(
図2参照)。また、押圧装置50は収納部30内においてパネル移送経路Aよりも下側に固定されている(図示せず)。
【0031】
そして、これら押圧装置40,50は、いずれも、垂直方向に対する交差方向に押圧力を発する。本実施形態によれば、前記交差方向は略水平な方向である。
なお、前記交差方向は、
図2~5に示す一例によれば、水平方向に対し若干傾斜しているが、水平方向に一致させてもよい。
【0032】
一方の押圧装置40は、
図1に示すように、開閉体幅方向の中央寄りにおいて、開閉体幅方向に間隔を置いて複数配設される。
各押圧装置40は、電動モータ等の駆動源を備えた基部41と、基部41に対し直線的に進退するロッド42とを備え、前記駆動源の駆動により、ロッド42を前進させて押圧力を発生したり同ロッド42を後退させて押圧力を解除したりする(
図4参照)。
【0033】
押圧装置40の先側には、ロッド42による前記交差方向の押圧力を下向きの押圧力に変換する下向き変換機構60が設けられる。
【0034】
下向き変換機構60は、不動部位(例えば、ガイドレール20等)に固定された軸状の枢支部61と、この枢支部61によって回転自在に支持された回転体62とを備える。
【0035】
回転体62は、図示例によれば、略三角形板状に形成され、その一つの角側に枢支部61を挿通している。
この回転体62は、枢支部61の周囲に、押圧装置40の押圧力を受ける力点62aと下方へ押圧力を発する作用点62bとを有する
【0036】
力点62aは、ロッド42の先端側に軸状部材等を介して回転自在に枢着される。すなわち、回転体62は、力点62aを支点にして回転自在である。
【0037】
作用点62bは、枢支部61の周囲において、力点62aとは異なる位置に設けられる。この力点62aには。下向き押圧力伝達部材63が枢着される。
図示例によれば、枢支部61から作用点62bまでの距離は、枢支部61から力点62aまでの距離よりも短く設定される。
【0038】
下向き押圧力伝達部材63は、上下方向へわたる長尺状の部材であり、その上端側が、軸状部材を介して回転体62の作用点62bに回転自在に接続されている。
【0039】
さらに、下向き押圧力伝達部材63の下端側には、パネル12の上端部を下方へ押圧するための押圧部材64が設けられる。
押圧部材64は、開閉体幅方向の複数の押圧装置40を跨るように、開閉体幅方向へわたる長尺状に形成される。図示例によれば、左側の二つの押圧装置40,40が、それぞれ、一つの横長の押圧部材64に枢着される。同様に右側の二つの押圧装置40,40も、それぞれ、一つの横長の押圧部材64に枢着される。
【0040】
そして、上記構成の下向き変換機構60は、押圧部材64を、開閉体10上方のパネル移送経路Bの外側から前記パネル移送経路中に変位させて開閉体10の上端に当接する。すなわち、押圧部材64は、
図4(a)(b)に示すように、開閉体10の真上から開閉体厚さ方向にずれた位置から円弧状に回動させて開閉体10の上端に当接し、開閉体10を下方へ押圧する。
また、下向き変換機構60は、前記押圧を解除する際に、押圧部材64を逆方向へ回動させて開閉体10上端から引き離し、この押圧部材64をパネル移送経路Bの外側へ変位させる。
【0041】
他方の押圧装置50は、
図1に示すように、中央寄りの複数の押圧装置40を間に置いて、その両側に設けられる。
各押圧装置50は、押圧装置40と同様に、電動モータ等の駆動源を備えた基部51と、基部51に対し直線的に進退するロッド52とを備え、前記駆動源の駆動により、ロッド52を前進させて押圧力を発生したり同ロッド52を後退させて押圧力を解除したりする(
図5参照)。
【0042】
押圧装置50の先側には、ロッド52による前記交差方向(略水平方向)の押圧力を下向きの押圧力に変換する下向き変換機構70が設けられる。
この下向き変換機構70は、上記下向き変換機構60と略同様に構成され、不動部位に固定された軸状の枢支部71と、この枢支部71によって回転自在に支持された回転体72とを備える。
そして、回転体72は、略三角形板状を呈し、その一つの角側が枢支部71によって回転自在に支持され、他の二つの角側に、押圧装置50の押圧力を受ける力点72aと下方へ押圧力を発する作用点72bとを有する
【0043】
作用点72bには、下向き押圧力伝達部材73が回転自在に接続される。
下向き押圧力伝達部材73は、上下方向へわたる長尺状の部材であり、その上端側が、軸状部材を介して回転体72の作用点72bに枢着されている。
この下向き押圧力伝達部材73の下端側は、厚さ方向押圧機構55に接続される。
【0044】
厚さ方向押圧機構55は、下向き変換機構70の下方向きの押圧力を開閉体厚さ方向の力に変換し、この力によって、全閉状態の開閉体10を屋内側へ押圧し、この開閉体10を、受部材21及びガイドレール20(不動部位)に押し付ける。
【0045】
この厚さ方向押圧機構55は、開閉体10の屋外側面に当接する当接部材55aと、この当接部材55aを屋内側へ平行移動する押圧方向変換機構55bとを具備して構成される(
図5参照)。
【0046】
押圧方向変換機構55bは、上下方向の力を開閉体厚さ方向へ変換する二つのリンク部材55b1,55b2と、これらリンク部材55b1,55b2を支持する支持部材55b3とを備える。
【0047】
二つのリンク部材55b1,55b2は、開閉体厚さ方向に直列的に配設され、これらの中央側が回転自在に接続されて、この接続部分を上方へ突出させた側面視略へ字状に構成される。
【0048】
一方のリンク部材55b1は、屋外側(
図5によれば左側)の部分が、支持部材55b3に対し回転自在に枢支されている。この枢支部分は、開閉体厚さ方向及び上下方向へは移動しない。
【0049】
他方のリンク部材55b2は、屋内側(
図5よれば右側)の部分が、支持部材55b3に対し開閉体厚さ方向へ移動可能に係合し、且つ当接部材55aに対し枢着されている。この枢着部分は、上下方向へは移動しない。
【0050】
支持部材55b3は、ガイドレール20等の不動部位に固定される。
【0051】
よって、上記構成によれば、下向き押圧力伝達部材73が下方へ移動すると、当接部材55aが屋内側(
図5によれば右側)へ移動し開閉体10を押し動かす。
また、下向き押圧力伝達部材73が上方へ移動すると、当接部材55aが屋外側(
図5によれば左側)へ移動し、開閉体10から離れる。
【0052】
なお、図示を省略するが、下向き押圧力伝達部材73は、ガイドレール20に沿って上下方向へわたる長尺状に設けられる。そして、単一の下向き押圧力伝達部材73には、上下方向に間隔を置いて複数の押圧方向変換機構55bが配設され、各押圧方向変換機構55bのリンク部材55b2の先端側が当接部材55aに枢着されている。
【0053】
<作用効果>
次に、上記構成の止水シャッター装置1について、その特徴的な作用効果を詳細に説明する。
収納部30にパネル11,12が収納された状態で、駆動機構32による閉鎖動作が開始されると、複数のパネル11,12が、パネル移送経路Aを通過して、収納部30から順次に下方へ繰り出され、下方側の不動部位Gに積み重ねられる。そして、これら複数のパネル11,12からなる開閉体10は、
図2に示す全閉状態で静止する。
この全閉状態において、押圧装置40,50が動作すると、開閉体10は垂直方向及び水平方向に押圧される。
【0054】
垂直方向の動作について説明すれば、押圧装置40は、図示しない制御回路からの信号及び電力により動作し、基部41に相対しロッド42を略水平に屋内側へ伸長させる(
図4(a)(b)参照)。
すると、下向き変換機構60の回転体62が、枢支部61を中心にして回転し、回転体62の作用点62bが、円弧状に下方へ回動し、この回動に伴い、下向き押圧力伝達部材63が屋内側へ移動しながら下方へも移動する。
【0055】
したがって、下向き押圧力伝達部材63下端に接続された押圧部材64が、パネル12の上端に当接し、パネル12(開閉体10)を下方へ押圧する。
このため、開閉体10下端のシール部16が、下方側の不動部位Gに対し水密に圧接され弾性変形し、上下に隣接するパネル11,11(又は12)間においてもシール部16が水密に圧接され弾性変形する。
この押圧状態を解除するには、押圧装置40及び下向き変換機構60等を逆方向に動作させて、押圧部材64をパネル12上端から引き離せばよい。
【0056】
また、水平方向の動作について説明すれば、押圧装置50は、図示しない制御回路からの信号及び電力により動作し、基部51に相対しロッド52を略水平に屋内側へ伸長させる(
図5(a)~(c)参照)。
すると、下向き変換機構70の回転体72が、枢支部71を中心にして回転し、回転体72の作用点72bが、円弧状に下方へ回動し、この回動に伴い、下向き押圧力伝達部材73が屋内側へ移動しながら下方へも移動する。
【0057】
そして、下向き押圧力伝達部材73による下方向きの押圧力は、押圧方向変換機構55bによって屋内側へ向かう水平方向の力に変換される。
したがって、この水平方向の力により当接部材55aが水平方向へ移動して開閉体10の屋外側面に当接する。さらに、前記水平方向の移動が継続することで、開閉体10が屋内側へ押し動かされ受部材21に押圧される。そして、この押圧力により、開閉体10の各パネル11,12は、ガイドレール20の受部材21に水密に押し付けられて、受部材21が弾性変形する。
この押圧状態を解除するには、押圧装置50、下向き変換機構70及び厚さ方向押圧機構55等を逆方向に動作させて、当接部材55aを開閉体10から引き離せばよい。
【0058】
よって、上記構成の止水シャッター装置1によれば、パネル移送経路Aの下方側に横向きに設置された押圧装置40,50によって、閉鎖された開閉体10を水密に押圧することができる。
このため、従来技術のようにパネル移送経路よりも繰出し側に押圧装置を設置するためのスペースを確保したり、押圧装置を上下向きに設置したりする必要がなく、収納部30の前後方向(
図2によれば左右方向)の寸法や、収納部30の上下方向の寸法を短くして、収納部30の小型化をはかることができる。
【0059】
<変形例>
図2に示す一例によれば、押圧装置40を収納部30よりも下側に配置したが、図例以外の他例としては、押圧装置40を収納部30内においてパネル移送経路Aよりも下側に設けることも可能である。
【0060】
また、図示例の厚さ方向押圧機構55は、リンク機構により力方向を変換する構成としたが、この厚さ方向押圧機構の他例としては、平歯車とラック歯車等の歯車機構により力方向を変換する構成、これらの機構を適宜に組み合わせた構成等とすることが可能である。
【0061】
また、上記実施形態によれば、開閉体10を、複数のパネル11,12によって構成したが、開閉体10を単数のパネルや板状部材等から構成することも可能である。
【0062】
また、上記実施形態によれば、押圧装置40,50をピストンシリンダ方式により押圧力を発生する機構としたが、前記押圧装置の他例としては、駆動回転するネジ部材に螺合したナット状部材によって押圧力を発生する機構や、駆動回転する平歯車とラック歯車によって押圧力を発生する機構、リニアモータによって押圧力を発生する機構、その他の機構とすることが可能である。
【0063】
また、上記実施形態によれば、下向き変換機構60を回転体62及び下向き押圧力伝達部材63等によって構成したが、この下向き変換機構60は、ロッド42の水平方向の運動をカム斜面により下向きに変換する機構や、ロッド42の水平方向の運動をラックとピニオン等の歯車機構により下向きに変換する機構、ロッド42の水平方向の運動をトグルクランプにより下向きに変換する機構、これらを適宜に組み合わせてなる機構とすることが可能である。
【0064】
また、本発明は上述した具体的構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【0065】
<総括>
以上のとおり、上記実施形態では以下の発明を開示している。
(1)
複数のパネルをパネル移送経路に通過させた後に下方へ繰り出す収納部と、前記収納部から繰り出される複数の前記パネルを順次に積み重ねて閉鎖状態になる開閉体と、閉鎖状態の前記開閉体を不動部位に押し付ける押圧装置とを備え、前記パネル移送経路は、垂直方向に対する交差方向に延設され、前記押圧装置は、前記パネル移送経路の下方に設けられていることを特徴とする止水シャッター装置(
図1~
図5参照)。
(2)
前記押圧装置は、前記交差方向に押圧力を発することを特徴とする(1)に記載の止水シャッター装置(
図2,
図4及び
図5参照)。
(3)
前記押圧装置は、前記交差方向に前進するロッドにより押圧力を発することを特徴とする(2)に記載の止水シャッター装置(
図2,
図4及び
図5参照)。
(4)
前記交差方向の押圧力を下向きの押圧力に変換する下向き変換機構を備えることを特徴とする(2)または(3)に記載の止水シャッター装置(
図4及び
図5参照)。
(5)
前記下向き変換機構は、枢支部を支点に回転するように支持された回転体を備え、前記回転体は、前記枢支部の周囲に、前記押圧装置の押圧力を受ける力点と下方へ押圧力を発する作用点とを有することを特徴とする(4)に記載の止水シャッター装置(
図4及び
図5参照)。
(6)
前記下向き変換機構は、前記開閉体を下方へ押圧する押圧部材を備え、前記押圧部材を前記開閉体の上方のパネル移送経路の外側から該パネル移送経路中に変位させて前記開閉体に当接することを特徴とする(4)または(5)に記載の止水シャッター装置(
図4参照)。
(7)
前記下向き変換機構による下向きの押圧力を開閉体厚さ方向の押圧力に変換する厚さ方向押圧機構を備え、前記厚さ方向押圧機構の押圧力によって、前記開閉体を不動部位に押し付けるようにしたことを特徴とする(4)~(6)のいずれかに記載の止水シャッター装置(
図5参照)。
(8)
前記下向き変換機構による下向きの押圧力によって、前記開閉体を下方側の不動部位に押し付けるようにしたことを特徴とする(4)~(6)のいずれかに記載の止水シャッター装置(
図4参照)。
(9)
前記収納部が、前記開閉体により開閉される開口部よりも屋外側に設置され、前記押圧装置は、前記屋外側において前記パネル経路の下方に設けられることを特徴とすることを特徴とする(1)~(8)のいずれかに記載の止水シャッター装置(
図2参照)。
【符号の説明】
【0066】
1:止水シャッター装置
10:開閉体
20:ガイドレール(不動部位)
30:収納部
40,50:押圧装置
42,52:ロッド
55:厚さ方向押圧機構
60,70:下向き変換機構
62,72:回転体
61,71:枢支部
62a,72a:力点
62b,72b:作用点
A:パネル移送経路
G:不動部位