(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088331
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】豆類選別機
(51)【国際特許分類】
B07C 5/02 20060101AFI20240625BHJP
B65G 47/30 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
B07C5/02
B65G47/30 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203442
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】谷口 優太
(72)【発明者】
【氏名】岩井 一馬
(72)【発明者】
【氏名】森井 大揮
(72)【発明者】
【氏名】井上 浩典
【テーマコード(参考)】
3F079
3F081
【Fターム(参考)】
3F079AC14
3F079BA13
3F079CA41
3F079CB29
3F079CC03
3F079DA07
3F079DA15
3F079EA08
3F079EA15
3F081AA46
3F081BA01
3F081BB03
3F081BC05
3F081BD15
3F081BF15
3F081CC18
3F081CD03
3F081DA02
3F081DA14
3F081EA09
(57)【要約】
【課題】枝豆等の豆類の姿勢変更が行われないまま選別機に移送されてしまう虞を少なくすることができる豆類選別機を提供する。
【解決手段】被選別物Gとしての豆類を選別する選別部と、被選別物Gを選別部へ向けて摺動移送させる移送部4と、被選別物Gを摺動移送させるとともに被選別物Gの姿勢を変更する姿勢変更部3と、が備えられ、移送部4は、移送方向に沿って延びる移送経路Raを有し、姿勢変更部3は、移送経路の上方に設けられ、被選別物Gを移送方向に摺動移送させる摺動面31を有し、摺動面31は、摺動面31の移送方向の末端に位置するとともに、移送方向に対して斜めに延びる摺動縁部34を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被選別物としての豆類を選別する選別部と、
前記被選別物を前記選別部へ向けて摺動移送させる移送部と、
前記被選別物を摺動移送させるとともに前記被選別物の姿勢を変更する姿勢変更部と、が備えられ、
前記移送部は、移送方向に沿って延びる移送経路を有し、
前記姿勢変更部は、前記移送経路の上方に設けられ、前記被選別物を前記移送方向に摺動移送させる摺動面を有し、
前記摺動面は、前記摺動面の前記移送方向の末端に位置するとともに、前記移送方向に対して斜めに延びる摺動縁部を備える豆類選別機。
【請求項2】
前記移送経路は、横並び状態で複数列備えられ、
前記摺動縁部は、複数の前記移送経路に対して各別に備えられている請求項1に記載の豆類選別機。
【請求項3】
前記摺動縁部は、隣接する前記摺動縁部が延びる方向と交差する方向に延びている請求項2に記載の豆類選別機。
【請求項4】
前記摺動面に、隣り合う前記移送経路の間に対応する位置に配置され、前記移送方向に沿った方向に延びる縦壁が備えられている請求項2又は3に記載の豆類選別機。
【請求項5】
前記移送方向と直交し且つ前記摺動面と平行な方向に視て、前記摺動面と前記縦壁の上部との交差角が鋭角である請求項4に記載の豆類選別機。
【請求項6】
可撓性を有する板状部材で構成され、前記摺動面の上方から前記摺動面に亘って設けられている垂れ幕部が備えられている請求項1に記載の豆類選別機。
【請求項7】
前記移送部は、第一移送部と、前記第一移送部よりも下流側に位置する第二移送部とを備え、
前記第一移送部の下流側の端部は、前記第二移送部の上流側の端部の上方に位置する請求項1に記載の豆類選別機。
【請求項8】
前記移送部よりも下流側に位置し、前記移送部から移送された前記被選別物を前記選別部へ向けて送り出す送出部が備えられ、
前記送出部は、前記移送部よりも大きい速度で前記被選別物を送り出す請求項1に記載の豆類選別機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枝豆等の豆類を選別する豆類選別機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の豆類選別機として、例えば特許文献1に記載されているような、豆類である枝豆を選別する枝豆選別機があった。当該枝豆選別機は、枝豆が導入される枝豆分配部と、枝豆分配部から移送された枝豆を、判別装置へ向けて移送する枝豆搬送部と、が備えられている。枝豆搬送部は、枝豆分配部の下方に位置しており、枝豆分配部に供給された枝豆は、枝豆分配部上を摺動移動し、枝豆分配部から落下して枝豆搬送部へ供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の枝豆選別機では、枝豆分配部から枝豆搬送部に供給された枝豆が、平面視で枝豆の長手方向が移送方向と直交する姿勢になってしまうことがあった。例えば、枝豆の選別を行う選別装置が、枝豆に空気を吹き付けることで枝豆を選別するものである場合、平面視で長手方向が移送方向と直交する姿勢で枝豆が選別装置に移送されると、枝豆の適切な箇所に空気を吹き付けることが困難となり、正常に枝豆の選別処理が行われないことがあった。
【0005】
また、従来の枝豆選別機では、例えば特許文献1に記載されているように、枝豆搬送部にガイド部が備えられているものがある。しかし、枝豆分配部から枝豆搬送部に供給された枝豆が、ガイド部の両側壁の上端に跨った状態になってしまう等、枝豆がガイド部の間に入らないことがあった。このとき、枝豆が、姿勢変更が行われないまま、選別部に向けて移送されてしまうという虞があった。
【0006】
そこで本発明は、上記課題に鑑み、枝豆等の豆類の姿勢変更が行われないまま選別機に移送されてしまう虞を少なくすることができる豆類選別機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の豆類選別機は、被選別物としての豆類を選別する選別部と、前記被選別物を前記選別部へ向けて摺動移送させる移送部と、前記被選別物を摺動移送させるとともに前記被選別物の姿勢を変更する姿勢変更部と、が備えられ、前記移送部は、移送方向に沿って延びる移送経路を有し、前記姿勢変更部は、前記移送経路の上方に設けられ、前記被選別物を前記移送方向に摺動移送させる摺動面を有し、前記摺動面は、前記摺動面の前記移送方向の末端に位置するとともに、前記移送方向に対して斜めに延びる摺動縁部を備える。
【0008】
この発明によれば、姿勢変更部に供給された被選別物は、摺動面上を摺動縁部に向けて摺動移送される。摺動縁部に到達した被選別物は、摺動縁部から移送部へ供給される。ここで、被選別物である豆類が、枝豆等のように長手方向と短手方向を有するものである場合、摺動縁部は、移送方向に対して斜めに延びているため、例えば、被選別物が、平面視で長手方向が移送方向と交差する姿勢で、摺動縁部付近に移送されると、豆類は、長手方向の一方側のみが摺動縁部からはみ出す状態となる。被選別物がさらに移送方向に移送されると、被選別物は、被選別物のうち摺動縁部からはみ出た側の端部が下に向く姿勢となり、そのまま移送部の移送経路に落下する。つまり、被選別物が長手方向と短手方向を有するものであっても、被選別物は、被選別物の長手方向の一方側端部が下に向く姿勢で、移送部の移送経路に入り込むため、被選別物が移送経路の両側壁に跨る等によって移送経路に入らない状態となることを軽減することができる。
【0009】
さらに、被選別物の長手方向の一方側端部のみが移送部に接した状態では、被選別物のうち移送部に接した端部が移送部により移送方向に引っ張られるため、被選別物は、長手方向が移送方向に沿う姿勢となり易い。
【0010】
ここで、上述では、被選別物が、平面視で長手方向が移送方向と交差する姿勢で、摺動縁部付近に移送された場合を例に説明したが、被選別物が、平面視で長手方向が移送方向に沿った姿勢で、摺動縁部付近に移送された場合でも、被選別物は、長手方向の一方側のみが摺動縁部からはみ出す状態となるため、同様の効果を奏する。このように枝豆は姿勢変更部により姿勢変更が行われるため、被選別物が長手方向と短手方向を有するものであっても、被選別物が、姿勢変更が行われないまま選別部に移送されてしまう虞を少なくすることが可能となる。
【0011】
本発明においては、前記移送経路は、横並び状態で複数列備えられ、前記摺動縁部は、複数の前記移送経路に対して各別に備えられていると好適である。
【0012】
この構成によれば、移送経路及び摺動縁部がそれぞれ複数備えられることで、より多くの被選別物の姿勢変更及び移送を行うことが可能となる。
【0013】
本発明においては、前記摺動縁部は、隣接する前記摺動縁部が延びる方向と交差する方向に延びていると好適である。
【0014】
この構成によれば、隣接する摺動縁部が延びる方向と交差する方向に延びていることから、これらの摺動縁部により、摺動面の移送方向の末端はジグザグ形状に構成されることとなる。ジグザグ形状に構成された摺動面の移送方向の末端には、隣り合う摺動縁部との間に大きく開口する箇所が存在する。隣り合う摺動縁部との間に大きな開口が存在する箇所においては、被選別物が大きなものであっても姿勢変更を行うことが可能となる。
【0015】
本発明においては、前記摺動面に、隣り合う前記移送経路の間に対応する位置に配置され、前記移送方向に沿った方向に延びる縦壁が備えられていると好適である。
【0016】
この構成によれば、摺動縁部付近に移送された被選別物は、縦壁に当接すると、平面視で長手方向が移送方向に沿った姿勢となるように姿勢変更される。したがって、被選別物は、姿勢変更部だけでなく縦壁によっても姿勢変更が行われるため、より好適に被選別物の姿勢変更を行うことが可能となる。
【0017】
本発明においては、前記移送方向と直交し且つ前記摺動面と平行な方向に視て、前記摺動面と前記縦壁の上部との交差角が鋭角であると好適である。
【0018】
この構成によれば、縦壁に当接した被選別物は、縦壁のうち摺動面との交差角が鋭角である上部と当接する。ここで、縦壁のうち被選別物が当接する箇所が、摺動面から垂直に延びるように形成されていると、縦壁に当接した被選別物は、縦壁に引っ掛かり、選別部に向けた摺動移送が阻害されてしまうが、本構成においては、被選別物は、摺動面との交差角が鋭角である上部と当接するため、被選別物は、縦壁に引っ掛かり難くなり、摺動移送が阻害されてしまうという不都合が生じ難くなる。
【0019】
本発明においては、可撓性を有する板状部材で構成され、前記摺動面の上方から前記摺動面に亘って設けられている垂れ幕部が備えられていると好適である。
【0020】
この構成によれば、被選別物は、摺動面上を摺動縁部に向けて摺動移送されるとき、垂れ幕部の下を潜り抜ける。被選別物は、垂れ幕部の下を潜り抜けるとき、垂れ幕部の下を潜り抜けた後の被選別物よりも小さい速度で摺動移送される。つまり、垂れ幕部の下を潜り抜けた後の被選別物は、垂れ幕部の下を潜り抜けている途中の被選別物よりも大きい速度で摺動移送するため、これらの被選別物間の間隔が広がる。被選別物同士の間隔が狭いと、正確に被選別物を選別することができなくなる不都合があるが、垂れ幕部により被選別物同士の間隔が広げられるため、このような不都合を抑制することができる。
【0021】
本発明においては、前記移送部は、第一移送部と、前記第一移送部よりも下流側に位置する第二移送部とを備え、前記第一移送部の下流側の端部は、前記第二移送部の上流側の端部の上方に位置すると好適である。
【0022】
この構成によれば、第一移送部と第二移送部とは高低差を有する構成となる。被選別物が、第一移送部から第二移送部へ移送されるとき、被選別物は、第一移送部から第二移送部へ向けて落下する。ここで、複数の被選別物が重なり合った状態で選別部に移送されると、正確に被選別物を選別することができなくなる不都合があるが、第一移送部から第二移送部へ向けて落下する際に、これらの被選別物が落下した際の衝撃により離されるため、このような不都合を抑制することができる。
【0023】
本発明においては、前記移送部よりも下流側に位置し、前記移送部から移送された前記被選別物を前記選別部へ向けて移送する送出部が備えられ、前記送出部は、前記移送部よりも大きい速度で前記被選別物を移送すると好適である。
【0024】
この構成によれば、送出部は、移送部よりも大きい速度で被選別物を移送するため、送出部にて移送されている被選別物は、移送部にて移送されている被選別物との間隔が広がる。ここで、被選別物同士の間隔が狭いと、正確に被選別物を選別することができなくなる不都合があるが、送出部により被選別物同士の間隔が広げられるため、このような不都合を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図3】姿勢変更部と移送部との構成を示す平面図である。
【
図4】姿勢変更部と移送部との構成を示す側面図である。
【
図5】移送部と選別部との構成を示す側面図である。
【
図6】移送部と選別部との構成を示す平面図である。
【
図7】豆類選別機の制御の形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。尚、以下の説明においては、特に断りがない限り、図中の矢印Fの方向を「前」、矢印Bの方向を「後」として、図中の矢印Uの方向を「上」、矢印Dの方向を「下」とする。
【0027】
〔豆類選別機の全体構成について〕
豆類選別機1は、本実施形態では、被選別物としての豆類である枝豆Gを撮影し、撮影情報に基づいて枝豆Gの良否を判別する判別部Pと、不良品にエアーを吹き付けて排除する排除装置Eと、を備えるものである。
図1及び
図2に示すように、豆類選別機1は、枝豆Gが供給される供給部2と、枝豆Gを摺動移送させるとともに枝豆Gの姿勢を変更する姿勢変更部3と、判別部P及び排除装置Eへ向けて摺動移送させる移送部4と、枝豆Gを判別部P及び排除装置Eへ向けて送り出す送出部5と、判別部Pと排除装置Eとを備え、枝豆Gを選別する選別部6と、作業者によって選別作業が行われる手選別部7と、が備えられている。また、豆類選別機1は、姿勢変更部3及び移送部4に振動を与える振動発生機構8が備えられている。
【0028】
ここで、枝豆Gの良品とは、枝豆Gの莢の中の豆が一定の大きさになるまで生育していること、及び、複数の果実が莢に覆われていること、の両方を満たすものとする。また、不良品とは、莢の中の果実が一定の大きさよりも小さい未熟なもの(未熟莢)と、一つの果実が莢に覆われているもの(一粒莢)と、のうち少なくとも一方を満たすものとする。
【0029】
〔供給部の構成について〕
図1に示すように、供給部2は、カゴC1から供給された枝豆Gを貯留するホッパー21と、ホッパー21に貯留された枝豆Gを姿勢変更部3へ供給する供給装置22とを備える。供給装置22は、下回転体22aと上回転体22bとに巻回され、枝豆Gを受ける多数の受部22cが形成されたベルト部22dを備える。ベルト部22dが駆動することにより、ホッパー21に貯留された枝豆Gを、ホッパー21の上方に位置する姿勢変更部3へ供給する。
【0030】
また、供給部2は、ベルト部22dの幅方向の側方を覆う側部カバー体23と、上回転体22bを上方から覆う上部カバー体24とを備える。
【0031】
〔姿勢変更部の構成について〕
図3に示すように、姿勢変更部3は、枝豆Gを移送方向に摺動移送させる摺動面31と、摺動面31の移送方向の両側縁部分において、摺動面31から上方に延びる側壁32と、を有する。供給部2から供給された枝豆Gは、摺動面31上に供給される。
【0032】
具体的には、摺動面31は、平面状の部材の上面であり、平面である。摺動面31は、傾斜しており、下流側ほど重力方向下側に位置するように構成されている。摺動面31は、振動発生機構8の作動によって振動することにより、摺動面31上の枝豆Gを摺動移送させる。
【0033】
図3及び
図4に示すように、供給部2の上部カバー体24の下流側端部よりも下流側に、摺動面31の上方から摺動面31に亘って設けられている垂れ幕部33が備えられている。
【0034】
垂れ幕部33は、ゴムシート等の可撓性を有する矩形形状の板状部材で構成されている。垂れ幕部33は、両側の側壁32の上縁部分に亘って設けられている支持部33aに支持され、垂れ幕部33の下端が摺動面31に接する状態で設けられている。垂れ幕部33は、垂れ幕部33の上側部分が支持部33aにボルト締結されることによって固定されている。垂れ幕部33は、
図3に示すように、垂れ幕部33は、移送方向に直交する幅方向において、両側の側壁32に亘って設けられている。
【0035】
〔摺動面の移送方向の末端部分の構成について〕
図3及び
図4に示すように、摺動面31は、摺動面31の移送方向の末端に、摺動縁部34を備える。具体的には摺動縁部34は、摺動面31を形成している平板状の部材における前側の縁である。枝豆Gは、摺動縁部34上を通過して、移送部4に落下する。
【0036】
摺動縁部34は、後述する移送部4の移送経路Raの上方に設けられており、複数の移送経路Raに対して、各別に備えられている。図示例では、7つの移送経路Raに対して、7つの摺動縁部34が設けられている。以降の説明では、
図3における移送方向での前向きを基準として左側に相当する方向(矢印Lの方向)を「左」かつ右側に相当する方向(矢印Rの方向)を「右」とし、7つの摺動縁部34について、左側から順に、第一から第七の摺動縁部34と称する。
【0037】
摺動縁部34は、摺動面31の移送方向の末端に位置するとともに、それぞれ、移送方向に対して斜めに延びている。第一、第三、第五、第七の摺動縁部34は、下流側ほど左に位置するように斜めに延び、第二、第四、第六の摺動縁部34は、下流側ほど右に位置するように斜めに延びている。つまり、摺動縁部34は、隣接する摺動縁部34が延びる方向と交差する方向に延びており、摺動面31の移送方向の末端は、平面視でジグザグ形状に形成されている。
【0038】
摺動縁部34は、移送方向に対して斜めに延びているため、例えば、枝豆Gが、平面視で長手方向が移送方向と交差する姿勢で、摺動縁部34付近に移送されると、枝豆Gは、長手方向の一方側のみが摺動縁部34からはみ出す状態となる。枝豆Gがさらに移送方向に移送されると、枝豆Gは、枝豆Gのうち摺動縁部34からはみ出た側の端部が下に向く姿勢となり、そのまま移送部4の移送経路Raに落下する。枝豆Gの長手方向の一方側端部のみが移送部4に接した状態では、枝豆Gのうち移送部4に接した端部が移送部4により移送方向に引っ張られるため、枝豆Gは、長手方向が移送方向に沿う姿勢となり易い。
【0039】
摺動面31に、隣り合う移送経路Raの間に対応する位置に配置され、移送方向に沿った方向に延びる縦壁35が複数備えられている。縦壁35は、具体的には、板状の部材であり、摺動面31に対して鉛直に延びている。本実施形態では、3つの縦壁35が備えられている。
図3における3つの縦壁35について、左側から順に、第一から第三の縦壁35と称する。
【0040】
それぞれの縦壁35は、両側の側壁32の間において、複数の摺動縁部34の下流側端部に対応する位置に備えられている。第一の縦壁35は、第二の摺動縁部34と第三の摺動縁部34との間に位置し、第二の縦壁35は、第四の摺動縁部34と第五の摺動縁部34との間に位置し、第三の縦壁35は、第六の摺動縁部34と第七の摺動縁部34との間に位置する。
【0041】
図4に示すように、それぞれの縦壁35の上部35aは、下流側ほど摺動面31から離れるように傾斜しており、縦壁35の上流側部分において、移送方向と直交し且つ摺動面31と平行な方向に視て、摺動面31と縦壁35の上部35aとの交差角θが鋭角に構成されている。
【0042】
また、それぞれの縦壁35の下流側端部35bは、摺動面31と直交するように形成されており、それぞれの縦壁35は、直角三角形形状に形成されている。また、それぞれの縦壁35の下流側端部35bは、摺動縁部34の下流側端部に対応する位置に位置する。
【0043】
〔移送部の構成について〕
図3及び
図4に示す通り、移送部4は、第一移送部4Aと、第一移送部4Aよりも下流側に位置する第二移送部4Bと、を備える。第一移送部4A及び第二移送部4Bは、傾斜しており、下流側ほど重力方向下側に位置するように構成されている。移送部4は、振動発生機構8の作動によって振動することにより、移送部4上の枝豆Gを摺動移送させる。
【0044】
第一移送部4Aと第二移送部4Bとのそれぞれは、移送方向に沿って延び、移送方向に直交する方向に間隔をあけて並ぶ複数の移送隔壁41を備える。移送隔壁41の間において、移送部4の底部は、移送方向と直交する断面でV字型形状に形成されている。
【0045】
枝豆Gは、複数の移送隔壁41の間に入り込み、移送方向に向けて移送される。つまり、移送部4の移送経路Raは、複数の移送隔壁41によって構成され、移送部4は、移送方向に沿って延びる複数の移送経路Raを有し、複数の移送経路Raは、横並び状態で複数列備えられる構成となる。本実施形態では、7つの移送経路Raが備えられている。
図3において、移送方向での前向きを基準として左側に相当する方向(矢印Lの方向)を「左」かつ右側に相当する方向(矢印Rの方向)を「右」とし、7つの移送経路Raについて、左側から順に、第一から第七の移送経路Raと称する。
【0046】
図3に示すように、第一移送部4Aの第一の移送経路Raは、第二移送部4Bの第一の移送経路Raに対応する位置に配置されてており、第一移送部4Aの第一の移送経路Raにて移送された枝豆Gは、第二移送部4Bの第一の移送経路Raにて移送される。同様に、第一移送部4Aの第二から第七の移送経路Raは、それぞれ、第二移送部4Bの第二から第七の移送経路Raに対応する位置に配置されている。
【0047】
第一移送部4Aの下流側の端部は、第二移送部4Bの上流側の端部の上方に位置しており、第一移送部4Aの下流側の端部と第二移送部4Bの上流側の端部とで段差を構成している。第一移送部4Aの移送隔壁41aは、第二移送部4Bの移送隔壁41bに接続しており、段差部分においても、枝豆Gは、移送隔壁41の間を移送するように構成されている。
【0048】
〔振動発生機構の構成について〕
図4に示すように、振動発生機構8は、電動モータからなる駆動装置81と、振動を発生させる回転部材82とを備える。回転部材82は、中心位置から偏倚した箇所に回転軸芯(図示せず)を備えている。
【0049】
詳しくは説明しないが、回転部材82は、移送部4の底部に設けられた当接部42に当接しており、駆動装置81により回転駆動することで、移送部4に振動を発生させる。また、回転部材82は、移送部4を介して姿勢変更部3へ振動を与える。
【0050】
〔送出部の構成について〕
図5及び
図6に示すように、送出部5は、移送部4よりも下流側に位置している。送出部5は、移送部4から移送された枝豆Gを選別部6へ向けて送り出す。
【0051】
送出部5は、枝豆Gを、送出方向へ向けて送り出す送出装置51と、枝豆Gの長手方向が送出方向に沿う姿勢を維持する姿勢維持機構52と、が備えられている。
【0052】
送出装置51は、上流側回転体51aと、下流側回転体51bと、これらに巻回された無端ベルト51cと、を備えるベルトコンベアであり、移送部4よりも大きい速度で枝豆Gを送出方向へ向けて送り出す。無端ベルト51cの上面は、略水平方向に延びるように構成されている。
【0053】
姿勢維持機構52は、送出装置51の上方に設けられ、送出方向に沿って延びる並ぶ複数の姿勢維持隔壁52aを備える。
【0054】
図6に示すように、姿勢維持隔壁52aは、送出方向に直交する方向に間隔をあけて並んでおり、枝豆Gは、姿勢維持隔壁52aの間に入り込んだ状態で、送出装置51により送り出される。つまり、送出部5において、送出経路Rbは、複数の姿勢維持隔壁52aにより構成される。本実施形態では、7つの送出経路Rbが備えられている。以降の説明では、
図6において、送出方向での前向きを基準として左側に相当する方向(矢印Lの方向)を「左」かつ右側に相当する方向(矢印Rの方向)を「右」とし、7つの送出経路Rbについて、左側から順に、第一から第七の送出経路Rbと称し、7つの移送経路Raについて、左側から順に、第一から第七の移送経路Raと称する。
【0055】
複数の送出経路Rbは、それぞれ、移送部4の複数列の移送経路Raに対応する位置に配置されている。送出部5では、枝豆Gは、姿勢維持隔壁52aの間に入り込んだ状態となり、長手方向が送出方向に沿う姿勢が維持される。具体的には、第一の送出経路Rbは、第一の移送経路Raに対応する位置に配置されており、第一の移送経路Raにて移送された枝豆Gは、第一の送出経路Rbに入り込み、第一の送出経路Rbにおいて選別部6へ向けて送り出される。同様に、第二から第七の送出経路Rbは、それぞれ、第二から第七の移送経路Raに対応する位置に配置されている。
【0056】
姿勢維持隔壁52aの送出方向上流側部分の上縁は、姿勢維持隔壁52aの送出方向下流側部分の上縁よりも高い位置に位置するように形成されている。また、姿勢維持隔壁52aと送出装置51との間に隙間Sが形成されている。
【0057】
姿勢維持隔壁52aは、姿勢維持隔壁52aの上縁のうち上流側に設けられた第一支持部材53と、姿勢維持隔壁52aの上縁のうち下流側に設けられた第二支持部材54と、に支持されている。
【0058】
送出装置51の送出方向に直交する幅方向における送出装置51の両横外方に、送出装置51の両横側面を覆うカバー55が備えられている。第一支持部材53は、カバー55に支持されている。
【0059】
〔選別部の構成について〕
図5及び
図6に示すように、選別部6は、枝豆Gを撮影する撮影装置61と、不良品である枝豆Gを排除する排除装置Eとを備える。また、選別部6には、
図7に示すECU64を備える。ECU64は処理装置であり、
図7で示すように、選別部6は、ECU64でプログラムが実行されることにより実現される機能部である判別部Pと中央位置検出部Tとを備える。
【0060】
選別部6は、排除装置Eを上方から覆うカバー体62を備える。カバー体62内には、枝豆Gの撮影に用いられる複数の光源63が備えられている。カバー体62に、姿勢維持隔壁52aを支持する第二支持部材54が支持されている。
【0061】
図5及び
図6に示すように、撮影装置61は、送出装置51の下流側端部よりも下流側の上方に設けられている。送出装置51から送り出された枝豆Gは、
図5において矢印で示すように送出装置51の下流側端部から放物線を描くように自由落下する。撮影装置61は、自由落下している枝豆Gを撮影する。
【0062】
排除装置Eは、送出装置51から送り出された枝豆Gのうち不良品であるものにエアーを吹き付けて排除する。排除装置Eは、間隔をあけた横並び状態で複数配置されている。本実施形態では、7つの排除装置Eが配置されている。以降の説明では、
図6における7つの排除装置Eについて、左側から順に、第一から第七の排除装置Eと称する。
【0063】
送出部5の複数の送出経路Rbは、それぞれ、排除装置Eに対応する位置に位置するように構成されている。具体的には、第一の送出経路Rbは、第一の排除装置Eに対応する位置に位置しており、第一の送出経路Rbから送出された枝豆Gは、第一の排除装置Eにエアーを吹き付けられることにより排除される。同様に、第二から第七の送出経路Rbもそれぞれ、第二から第七の排除装置Eに対応する位置に位置する。
【0064】
撮影装置61による撮影情報は、ECU64の判別部P及び中央位置検出部Tに送られる。判別部Pは、撮影装置61による撮影情報に基づいて枝豆Gの良否を判別する。中央位置検出部Tは、撮影情報に基づいて枝豆Gの長手方向の中央位置を検出する。
【0065】
排除装置Eは、判別部Pにより不良品と判断された枝豆Gに対して、中央位置検出部Tの検出結果に基づいて、枝豆Gの長手方向の中央位置に向けてエアーを吹き付けるように構成されている。エアーを吹き付けられた枝豆Gは、
図5の破線矢印で示すように落下経路が変更され、カゴC2(
図1参照)に入れられる。
【0066】
良品の枝豆Gは、排除装置Eによるエアーの吹き付けは行われず、手選別部7へ送り出される。手選別部7へ送り出された枝豆Gは、作業者によって選別作業が行われる。
【0067】
〔別実施形態〕
以下、上記実施形態に変更を加えた別実施形態を例示する。
【0068】
(1)上記実施形態では、摺動縁部34は、複数備えられ、複数の移送経路Raに対して各別に備えられている構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、摺動縁部34は、1つのみ備えられている構成としてもよい。また、1つの摺動縁部34が、複数の移送経路Raに亘って備えられていてもよい。
【0069】
(2)上記実施形態では、移送経路Ra及び送出経路Rbは、複数備えられている構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、移送経路Ra及び送出経路Rbは、1つのみ備えられている構成としてもよい。
【0070】
(3)上記実施形態では、摺動縁部34は、隣接する摺動縁部34が延びる方向と交差する方向に延びている構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、隣接する摺動縁部34が延びる方向と平行となる方向に延びている構成としてもよい。
【0071】
(4)上記実施形態では、摺動面31に、縦壁35が備えられている構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、摺動面31に、縦壁35が備えられていない構成としてもよい。
【0072】
(5)上記実施形態では、移送方向と直交し且つ摺動面31と平行な方向に視て、摺動面31と縦壁35の上部35aとの交差角が鋭角である構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、縦壁35の上部35aは、摺動面31と平行となるように構成されていてもよい。
【0073】
(6)上記実施形態では、摺動面31の上方から摺動面31に亘って設けられている垂れ幕部33が備えられている構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、垂れ幕部33が備えられていない構成としてもよい。
【0074】
(7)上記実施形態では、移送部4は、第一移送部4Aと第二移送部4Bとを備える構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、移送部4は、第一移送部4A又は第二移送部4Bのいずれか一方のみで構成されていてもよい。
【0075】
(8)上記実施形態では、送出部5は、移送部4よりも大きい速度で枝豆Gを送り出す構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、送出部5は、移送部4と同じ速度又は移送部4よりも小さい速度で枝豆Gを送り出す構成としてもよい。
【0076】
なお、上記の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、枝豆の他、えんどう、いんげん豆、そら豆、落花生等の豆類を選別する豆類選別機に利用可能である。
【符号の説明】
【0078】
1 :豆類選別機
3 :姿勢変更部
4 :移送部
4A :第一移送部
4B :第二移送部
5 :送出部
6 :選別部
31 :摺動面
33 :垂れ幕部
34 :摺動縁部
35 :縦壁
G :枝豆(豆類)
Ra :移送経路