(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088333
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】豆類選別機
(51)【国際特許分類】
B07C 5/10 20060101AFI20240625BHJP
【FI】
B07C5/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203444
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】谷口 優太
(72)【発明者】
【氏名】岩井 一馬
(72)【発明者】
【氏名】森井 大揮
(72)【発明者】
【氏名】井上 浩典
【テーマコード(参考)】
3F079
【Fターム(参考)】
3F079AC14
3F079BA06
3F079CA21
3F079CA32
3F079CA41
3F079CB25
3F079CB30
3F079CB32
3F079CB33
3F079CB35
3F079CC03
3F079DA12
3F079EA11
(57)【要約】
【課題】良否の判別を適正に行って正常物が無駄に処分される等の不利を解消することが要望されていた。
【解決手段】被選別物hが計測対象領域KTを通過するように、被選別物hを移送する移送手段14と、照明手段15にて照射され、かつ、計測対象領域KTに位置する被選別物hにて反射した光を受光する受光手段16と、受光手段16の受光情報に基づいて被選別物hの良否を判別して被選別物hを正常物回収部と不良物回収部とに振り分ける分離手段18と、が備えられ、良否判別手段は、被選別物hの横幅外形寸法が設定幅より小である領域を不良判定用の対象から除外するように構成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被選別物が計測対象領域を通過するように、前記被選別物を移送する移送手段と、
前記計測対象領域を照明する照明手段と、
前記照明手段にて照射され、かつ、前記計測対象領域に位置する前記被選別物にて反射した光を受光する受光手段と、
前記受光手段の受光情報に基づいて前記被選別物の良否を判別する良否判別手段と、
前記良否判別手段の判別結果に基づいて前記被選別物を正常物回収部と不良物回収部とに振り分ける分離手段と、が備えられ、
前記良否判別手段は、前記被選別物の横幅外形寸法が設定幅より小である領域を不良判定用の対象から除外する豆類選別機。
【請求項2】
前記受光手段は、設定単位幅よりも小さい幅を有する微小変色部を検出可能であり、
前記良否判別手段は、前記受光手段にて前記微小変色部が設定個数以上検出されると、当該被選別物が不良物であると判別し、前記微小変色部の個数が設定個数未満であれば、当該被選別物が正常物であると判別する請求項1に記載の豆類選別機。
【請求項3】
前記良否判別手段は、前記受光手段の受光情報に基づいて得られる前記被選別物の長尺方向での外形寸法が設定値より小であれば当該被選別物が不良物であると判別し、前記長尺方向での外形寸法が前記設定値より大であれば、当該被選別物が正常物であると判別する請求項1に記載の豆類選別機。
【請求項4】
前記分離手段に、分離対象となる前記被選別物に対してエアーを吹き付けて他の前記被選別物とは異なる経路に移動させるエアー吹き出し部が備えられ、
前記エアー吹き出し部は、前記被選別物に対して前記被選別物の長尺方向での略中央位置に向けてエアーを吹き付ける請求項1から3のいずれか一項に記載の豆類選別機。
【請求項5】
前記移送手段に、前記被選別物を移送する移送経路が横並び状態で複数列備えられ、
前記受光手段は、複数の前記移送経路に沿って移送される前記被選別物を各別に前記異常変色部を検出可能であり、
前記良否判別手段は、複数の前記移送経路に沿って移送される前記被選別物が不良物であるか正常物であるかを判別可能である請求項1から3のいずれか一項に記載の豆類選別機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、枝豆、エンドウ、インゲン豆等の豆類を選別するための豆類選別機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の豆類選別機では、計測対象領域を通過するように被選別物として、豆類の一例である枝豆を移送させながら、計測対象領域をランプで照明し、枝豆の全部の領域を計測対象として、枝豆からの光をカメラで計測して枝豆の損傷状態(例えば、変色状態等)を検出し、その検出結果に応じて枝豆の良品と不良品とを判別するようにしていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来構成では、被選別物の変色状態等を検出する際には、被選別物の全部の領域を計測対象としているから、被選別物が異常ではないにもかかわらず、不良品と誤って判断されてしまうおそれがある。
【0005】
説明を加えると、枝豆等の豆類では、莢を有しており、その莢の内部に数個の豆が含まれる。莢は、作物の茎から伸びているが、莢のうち茎に近い柄部分は細くて他の部分に比べて少し黒ずんだ状態となりやすい。上記従来構成では、このように柄部分が少し変色している場合であっても、そのような被選別物は不良品として判別されることになる。しかし、このように柄部分が変色しているだけでは異常であるとは言えず、良品(正常物)として扱っても問題はない。その結果、上記従来構成では、正常物として扱っても問題がない被選別物が不良物として判別されて処分されるといった不利な面があった。
【0006】
そこで、良否の判別を適正に行って正常物が無駄に処分される等の不利を解消することが要望されていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る豆類選別機の特徴構成は、被選別物が計測対象領域を通過するように、前記被選別物を移送する移送手段と、前記計測対象領域を照明する照明手段と、前記照明手段にて照射され、かつ、前記計測対象領域に位置する前記被選別物にて反射した光を受光する受光手段と、前記受光手段の受光情報に基づいて前記被選別物の良否を判別する良否判別手段と、前記良否判別手段の判別結果に基づいて前記被選別物を正常物回収部と不良物回収部とに振り分ける分離手段と、が備えられ、前記良否判別手段は、前記被選別物の横幅外形寸法が設定幅より小である領域を不良判定用の対象から除外する点にある。
【0008】
本発明によれば、照明手段にて照射され、計測対象領域に位置する被選別物にて反射した光を受光手段により受光して、その受光情報に基づいて被選別物に異常変色部があることが判別されると、その被選別物を不良と判別して不良物回収部にて回収する。
【0009】
しかし、被選別物である豆類では、外形形状のうち柄部分は横幅外形寸法が設定幅より小であることから、良否判別手段は、柄部分については不良判定用の対象から除外する。その結果、柄部分が少し変色しているが、それ以外の箇所には、変色していない場合には、その被選別物は正常物と判別される。
【0010】
従って、柄部分が少し変色しているだけであれば、無駄に不良品として除外されることを回避することができ、良否の判別を適正に行って良品が無駄に処分される等の不利を解消することが可能となった。
【0011】
本発明においては、前記受光手段は、設定単位幅よりも小さい幅を有する微小変色部を検出可能であり、前記良否判別手段は、前記受光手段にて前記微小変色部が設定個数以上検出されると、当該被選別物が不良物であると判別し、前記微小変色部の個数が設定個数未満であれば、当該被選別物が正常物であると判別すると好適である。
【0012】
豆類においては、莢の表面に細かな斑点を有する場合がある。このような斑点は非常に細かな微小変色部が多数形成されている。しかし、微小変色部が存在していても個数が少ない場合には、良品として判断しても問題ない。
【0013】
そこで、微小変色部が存在していても、微小変色部の個数が設定個数より少ないと正常物と判別することで、良品が無駄に処分されることを回避できる。
【0014】
本発明においては、前記良否判別手段は、前記受光手段の受光情報に基づいて得られる前記被選別物の長尺方向での外形寸法が設定値より小であれば当該被選別物が不良物であると判別し、前記長尺方向での外形寸法が前記設定値より大であれば、当該被選別物が正常物であると判別すると好適である。
【0015】
豆類においては、莢の中に複数個の豆が包含されるが、莢の中に含まれる豆が1個のものが存在する。このような被選別物は、不良品として除外することが好ましい。このような莢の中の豆が1個の被選別物(以下、一粒莢という場合がある)は、長尺方向での外形寸法が良品の被選別物よりも短い。
【0016】
そこで、本構成によれば、受光手段の受光情報に基づいて、長尺方向での外形寸法が設定値より小であることを判別すると、その被選別物は不良物と判別する。その結果、一粒莢のように正常物に比べて長尺方向での外形寸法が短い不良物を適正に検出することができる。
【0017】
本発明においては、前記分離手段に、分離対象となる前記被選別物に対してエアーを吹き付けて他の前記被選別物とは異なる経路に移動させるエアー吹き出し部が備えられ、前記エアー吹き出し部は、前記被選別物に対して前記被選別物の長尺方向での略中央位置に向けてエアーを吹き付けると好適である。
【0018】
本構成によれば、被選別物のうちの不良物を分離対象とする場合には、不良物と判別された被選別物に対してエアーを吹き付けて他の被選別物とは異なる経路に移動させる。そのとき、エアー吹き出し部は、被選別物の長尺方向での略中央位置に向けてエアーを吹き付けるので、少ない噴出量であっても被選別物を的確に異なる経路に移動させることが可能となる。
【0019】
本発明においては、前記移送手段に、前記被選別物を移送する移送経路が横並び状態で複数列備えられ、前記受光手段は、複数の前記移送経路に沿って移送される前記被選別物を各別に前記異常変色部を検出可能であり、前記良否判別手段は、複数の前記移送経路に沿って移送される前記被選別物が不良物であるか正常物であるかを判別可能であると好適である。
【0020】
本構成によれば、複数列の移送経路の夫々において各別に、かつ、同時に、受光手段の検出結果に基づく被選別物の良否判別を行うことができる。その結果、多数の被選別物に対する選別処理を能率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下の説明においては、図中に示される矢印FWの方向を「移送方向下手側」、矢印BKの方向を「移送方向上手側」、矢印UPの方向を「上」、矢印DWの方向を「下」とする。
【0023】
図1及び
図2に示すように、本発明に係る豆類選別機は、作物の茎から分離された状態で収穫された豆類の一例である枝豆が投入される供給部1と、供給部1からの枝豆を下流側に搬送する搬送部2と、搬送部2にて搬送される枝豆を被選別物として選別処理する選別部3と、を備えている。
【0024】
供給部1は、コンテナCOに収納された枝豆が投入されるホッパー4と、ホッパー4の底部に設けられ、枝豆を載置搬送する供給用ベルトコンベア5と、が備えられている。ホッパー4は、上部に幅広の投入口を有しており、上方が開放されている。ホッパー4は、下方側ほど幅狭となるような傾斜案内部4aを備え、幅狭の供給用ベルトコンベア5の搬送載置面に向けて案内するように構成されている。
【0025】
搬送部2は、供給用ベルトコンベア5の終端部から送り出される枝豆を上方に向けて係止搬送する係止突起付きの揚送コンベア6と、揚送コンベア6の搬送終端部から送り出される枝豆を受け止めて移送方向下手側に向けて揺動移送する揺動移送部7と、を備えている。
【0026】
揺動移送部7は、揚送コンベア6から送り出される枝豆を移送する移送経路IKが横並び状態で複数列備えられた移送体8と、移送体8を揺動操作させる揺動操作機構9と、が備えられている。移送体8は、枝豆が入り込み可能でかつ移送方向に沿って延びる整列用の凹溝10が横並び状態で複数列備えられ、各凹溝10によって夫々移送経路IKが形成されている。揺動操作機構9は、移送体8を前後揺動可能に支持する揺動リンク機構11、揺動操作用の偏心カム12、偏心カム12を駆動する電動モータ13等を備え、移送体8を前後に小さいストロークで往復揺動させることで、枝豆を揺動移送させることができる。揺動移送することにより、枝豆は長手方向が移送方向に向かう姿勢となるように向きが整列する。
【0027】
次に、選別部3について説明する。
【0028】
選別部3には、被選別物hとしての枝豆が計測対象領域KTを通過するように被選別物hを移送する移送手段14と、計測対象領域KTを照明する照明手段15と、照明手段15にて照射され、かつ、計測対象領域KTに位置する枝豆にて反射した光を受光する受光手段16と、受光手段16の受光情報に基づいて被選別物hの良否を判別する良否判別手段17と、良否判別手段17の判別結果に基づいて枝豆を正常物回収部と不良物回収部とに振り分ける分離手段18と、が備えられている。
【0029】
〔移送手段〕
移送手段14には、計測対象領域KTの移送方向上手側に位置して被選別物hを移送方向に沿って搬送するとともに、計測対象領域KTを通過するように被選別物hを投擲する上手側搬送部としての上手側搬送コンベア19と、計測対象領域KTの移送方向下手側に位置して投擲される被選別物hを受け止めるとともに被選別物hを移送方向に沿って搬送する下手側搬送部としての下手側搬送コンベア20と、が備えられている。そして、上手側搬送コンベア19と下手側搬送コンベア20との間の空間に計測対象領域KTが形成されている。
【0030】
図3に示すように、上手側搬送コンベア19は、下方に設けられた電動モータ21の動力が伝動ベルト22を介して伝達されて高速で回動駆動される。上手側搬送コンベア19は、高速で回動することにより、載置搬送する被選別物hを搬送終端部から移送方向下手側外方に投擲することができる。投擲された被選別物hは空間を介して離間している下手側搬送コンベア20の搬送始端部まで空中を移動することができる。この上手側搬送コンベア19は、幅広のベルトコンベアにて構成されている。
【0031】
図3及び
図4に示すように、上手側搬送コンベア19における搬送載置面の上側には、その搬送載置面に近付けた状態で複数の移送経路IKを仕切る複数のガイド板23が備えられてる。ガイド板23により仕切られた複数の移送経路IKは、揺動移送部における複数の移送経路IKに対応して連なるように設けられている。ガイド板23は、収納ケース24及び上部支持体25等によって位置固定状態で支持されている。複数の移送経路IKの横幅は、被選別物hとしての枝豆の横幅よりも大きい。従って、上手側搬送コンベア19は、被選別物h(枝豆)は、横向き姿勢、つまり、一方の幅広面が上方側に向かい、他方側の幅広面が下方側に向かう姿勢で移送するように構成されている。
【0032】
一方、下手側搬送コンベア20は、電動モータ21の動力がギア式減速機構26を介して伝達されて低速で回動駆動される。下手側搬送コンベア20は、低速で回動して被選別物hを載置搬送する。下手側搬送コンベア20は、移送方向に沿って長く形成されており、載置搬送される途中で、作業者が目視により不良物を手作業にて除去することができる。ここでは、選別部3では計測できない不良、例えば、莢の外形が変形している変形莢や莢が途中で割れている割れ莢等の不良物を除去することができる。正常物(良品)は下手側搬送コンベア20の搬送終端部からコンテナ等により回収することができる。
【0033】
〔照明手段〕
図1、
図3に示すように、照明手段15には、被選別物hが計測対象領域KTを通過するときの移送経路IKに対する上方側外方位置に位置する一方側照明手段としての上側照明手段27と、被選別物hが計測対象領域KTを通過するときの移送経路IKに対する下方側外方位置に位置する他方側照明手段としての下側照明手段28と、が備えられている。
【0034】
上側照明手段27には、計測対象領域KTに位置する被選別物hに対して移送方向上手側から照明する第一上側照明装置27Aと、計測対象領域KTに位置する被選別物hに対して移送方向下手側から照明する第二上側照明装置27Bと、が備えられている。下側照明手段28には、計測対象領域KTに位置する被選別物hに対して移送方向上手側から照明する第一下側照明装置28Aと、計測対象領域KTに位置する被選別物hに対して移送方向下手側から照明する第二下側照明装置28Bと、が備えられている。すなわち、照明手段15は、計測対象領域KTの上側に2個、下側に2個、合計4個の照明装置27A,27B,28A,28Bが設けられている。
【0035】
各照明装置27A,27B,28A,28Bは、複数の移送経路IKに亘って横方向に長尺状に形成されている。すなわち、各照明装置27A,27B,28A,28Bは、移送経路IKの並び方向に沿って長く延びる形状である。また、各照明装置27A,27B,28A,28Bは、LED等からなる発光部29と、発光部29から発した光を拡散させて計測対象領域KTを照明する拡散板30と、が備えられている。各照明装置27A,27B,28A,28Bは、枝豆の表面の分光反射率特性に合わせて緑色の発光色を採用している。
【0036】
上述したように4個の照明装置27A,27B,28A,28Bを配置することで、第一上側照明装置27Aが被選別物hの一方の幅広面に対して上手側斜め上方から照明し、第二上側照明装置27Bが被選別物hの一方の幅広面に対して下手側斜め上方から照明する。また、第一下側照明装置28Aが被選別物hの他方の幅広面に対して上手側斜め下方から照明し、第二下側照明装置28Bが被選別物hの一方の幅広面に対して下手側斜め下方から照明する。
【0037】
このように被選別物hを照明することで、例えば、
図8に示すように、莢のうち豆が含まれない凹入箇所uに異常変色部jが存在している場合であっても、凹入箇所uに対して計測用の照明光を十分供給することができ、光量の変化による異常変色部jの検出を適正に行うことが可能となる。
【0038】
〔受光手段〕
図1に示すように、受光手段16には、移送経路IKに対する上方側外方位置に位置する一方側受光手段としての一方側受光装置31と、移送経路IKに対する下方側外方位置に位置する他方側受光手段としての他方側受光装置32と、が備えられている。
【0039】
一方側受光装置31は、上側照明手段27により照明されて被選別物hにて反射した光を受光するように構成されている。他方側受光装置32は、下側照明手段28により照明されて被選別物hにて反射した光を受光するように構成されている。
【0040】
従って、上手側搬送コンベア19から投擲され、計測対象領域KTを通過する被選別物hに対して上側照明手段27及び下側照明手段28による照明処理と、一方側受光装置31及び他方側受光装置32による受光処理と、が行われる。
【0041】
図示はしていないが、各受光装置31、32は、夫々、枝豆に生じる非常に細かな微小変色部(例えば、0.1mm~0.3mm幅程度)の大きさよりも小さい範囲を分解能とする複数個の単位受光部を幅広の計測対象領域KTに対応させてライン状に並ぶ状態で並置された受光センサと、移送経路IKの並び方向すなわち装置横幅方向に視野角を有する状態で受光した光を複数の単位受光部に導く集光レンズとを備えている。受光センサはCCDを用いて構成されている。又、一方側受光装置31は、計測対象領域KTの装置横幅方向の全幅を対象として受光するために、計測対象領域KTから上方側に離れた箇所に設けられている。同様に、他方側受光装置32は、計測対象領域KTから下方側に離れた箇所に設けられている。
【0042】
各受光装置31,32は、複数の移送経路IKに沿って移送される被選別物hからの光を検出可能であり、複数の移送経路IKを移送される被選別物hの夫々について、設定単位幅よりも小さい幅を有する微小変色部を検出可能である。
【0043】
各受光装置31、32にて被選別物hにて反射した光を受光する際に、各受光装置から計測対象箇所を見たときに背景に相当する箇所に、背景の光量を調整可能な背景光量調整部33が備えられている。詳細な構成の記載は省略するが、背景光量調整部33は、背景に対して被選別物hを識別可能に、かつ、不良箇所として検出することが無いように背景光量を調整することができる。
【0044】
各受光装置31、32は、計測対象領域KTの装置横幅方向の全幅を対象として同時に受光することができ、被選別物の移送に伴って、被選別物の長手方向に異なる箇所を順次計測することができる。
【0045】
照明手段15及び受光手段16は、外部からの光によって影響を受けないように、遮光性の材料からなる収納ケース24によって周囲が覆われている。
【0046】
〔分離手段〕
分離手段18には、分離対象となる被選別物hに対してエアーを吹き付けて他の被選別物hとは異なる経路に移動させるエアー吹き出し部34が備えられている。図示しないエアーコンプレッサから供給される圧縮エアーを、制御バルブ35を介してエアー吹き出し部34に供給して、エアー吹き出し部34の細いノズル34aの先端から勢いよくエアーを吹き付けるように構成されている。エアー吹き出し部34は、上手側搬送コンベア19により投擲された被選別物hが、計測対象領域KTを通過したのち、下手側搬送コンベア20に到達するまでの間に、分離対象となる被選別物hに対してエアーを吹き付ける。
【0047】
図4に示すように、エアー吹き出し部34は、複数の移送経路IKに対して各別に備えられ、かつ、被選別物hに対して被選別物hの長尺方向での略中央位置に向けてエアーを吹き付けるように構成されている。エアー吹き出し位置に被選別物hの長尺方向での略中央位置が到達するタイミングは、後述する制御装置36によって判断される。
【0048】
〔制御装置〕
上手側搬送コンベア19の横側に設けられた操作パネル37による操作指令に基づいて、各部の運転を制御する制御装置36が備えられている。制御装置36は、マイクロコンピュータを備えており、予め設定された制御プログラムに従って各部の動作を制御する。
【0049】
図5に示すように、制御装置36に、各受光装置31,32からの計測情報と、操作パネル37からの操作情報とが入力されている。制御装置36からは、複数の照明装置27A,27B,28A,28Bを点灯させる駆動信号と、エアー吹き出し部34の動作を制御する制御バルブ35に対する駆動信号とを出力する。
【0050】
制御装置36を利用して、受光手段16(各受光装置31,32)の受光情報に基づいて被選別物hの良否を判別する良否判別手段17が構成されている。すなわち、良否判別手段17は、制御装置36の制御プログラムによって構成されている。
【0051】
良否判別手段17について説明する。
良否判別手段17は、複数の受光装置31、32の受光情報に基づいて、被選別物hに異常変色部があるか否かに応じて被選別物hの良否を判別するように構成されている。複数の受光装置31,32は、複数の移送経路IKに沿って移送される被選別物hを各別に異常変色部を検出可能であり、良否判別手段17は、複数の移送経路IKに沿って移送される被選別物hについて各別に不良物であるか正常物であるかを判別可能である。
【0052】
良否判別手段17は、各受光装置31,32について、各単位受光部にて受光して得られた光量値が単位受光部毎に、被選別物判別用の判定値L1を下回っているか否かにより、その領域が被選別物hを検知しているか否かを判定する。例えば、
図6(a)及び
図7(a)に示すように、被選別物判別用の判定値L1を下回っている領域が被選別物hであると判定する。
【0053】
良否判別手段17は、各単位受光部にて受光して得られた光量値が、予め設定されている異常判定用の判定値L2を下回っているか否かの判別を行い、光量値が異常判別用の判定値L2を下回っていると、その領域が異常変色部として検出することができる。すなわち、各受光装置31,32は各単位受光部に相当する設定単位幅よりも小さい幅を有する微小変色部を検出可能である。このとき、例えば、
図6(b)及び
図7(b)に示すように、異常判別用の判定値L2を下回っていると判別された単位受光部が連続して所定の個数(第1閾値)以上判別されると、当該被選別物hは不良物であると判別する。
【0054】
良否判別手段17は、異常判別用の判定値L2を下回っていると判別された単位受光部が、連続して所定の個数を越えて存在していないが、同一の被選別物hに設定個数(第2閾値)以上検出されると、当該被選別物hが不良物であると判別する。単独であれば設定単位幅よりも小さい幅を有する微小変色部であっても、多数存在することにより、目視によって枝豆の多くの部分が変色していると判断できるからである。
【0055】
さらに、良否判別手段17は、受光装置31、32の受光情報に基づいて得られる被選別物hの長尺方向での外形寸法が設定値より小であれば当該被選別物hが不良物であると判別し、長尺方向での外形寸法が設定値より大であれば、当該被選別物hが正常物であると判別する。
【0056】
上述したように、良否判別手段17は、受光装置31,32の各単位受光部にて受光して得られた光量値が、存否判別レベル(L1)を下回ったことにより被選別物hが存在していると判別する。そして、このような受光量の読み込みが被選別物hの移送に伴って繰り返し実行される。被選別物hの投擲速度は予め分かっているので、被選別物hの長尺方向での外形寸法を演算にて求めることが可能である。長尺方向での外形寸法に限らず、被選別物hの横幅外形寸法を求めることができる。
【0057】
そして、被選別物hの長尺方向での外形寸法が予め設定されている設定値よりも小であれば、例えば、莢の内部に1つだけの豆しか存在しない一粒莢としての不良品であると判断できるので、そのような被選別物hを不良物として判別する。
【0058】
良否判別手段17は、被選別物hの横幅外形寸法が設定幅より小である領域を不良判定用の対象から除外するように構成されている。すなわち、
図6(c)及び
図7(c)に示すように、莢のうち茎に近い柄部分は細くて他の部分に比べて変色した状態となりやすい。このような柄部分は、横幅外形寸法が設定幅qより小である。そこで、被選別物hの横幅外形寸法が設定幅qより小である領域を不良判定用の対象から除外することにより、柄部分が変色している場合であっても、不良としては扱わないことになる。
【0059】
制御装置36は、良否判別手段17により不良物と判別した被選別物hに対して、エアー吹き出し部34がエアーを吹き付けて他の被選別物hとは異なる経路に移動させるように、制御バルブ35に対する駆動信号を出力する。
【0060】
このとき、投擲される被選別物hの移動速度は予め分かっているので、不良物と判別された被選別物hが、計測対象領域KTからエアー吹き出し部34によるエアー吹き出し位置まで移動するまでの移動時間を演算にて求めることができる。そこで、分離対象となる被選別物hの長手方向の中央位置がエアー吹き出し位置に至るタイミングでエアーを吹き出すように、制御バルブ35に対する駆動信号を出力するのである。
【0061】
図1及び
図3に示すように、エアーが吹き付けられた被選別物h(不良物)は下方に向けて押し出され、下方に備えられた不良物回収部としての不良用コンテナ38に回収される。エアーが吹き付けられなかった被選別物h(正常物)は、下手側搬送コンベア20に向けて移送され、下手側搬送コンベア20の搬送終端部から正常物回収部としての回収用コンテナ(図示せず)等により回収することができる。
【0062】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、良否判別手段17は、微小変色部が連続していなくても、設定個数以上検出されると、当該被選別物hが不良物であると判別するようにしたが、微小変色部が連続していなければ不良と判別しないようにしてもよい。
【0063】
(2)上記実施形態では、受光手段16の検出結果に基づいて被選別物hの長尺方向での外形寸法が設定値より小であれば当該被選別物が不良物であると判別したが、このような判別は行わないようにしてもよい。この場合、外形寸法異常の判定は他の選別工程で行うようにするとよい。
【0064】
(3)上記実施形態では、エアー吹き出し部34が、被選別物hの長尺方向での略中央位置に向けてエアーを吹き付けるようにしたが、この構成に限らず、例えば、ノズルからのエアー吹き出し幅を広くして被選別物h全体を吹くようにしてもよい。
【0065】
(4)上記実施形態では、被選別物hを移送する移送経路IKが横並び状態で複数列備えられる構成としたが、この構成に限らず移送経路IKが一列だけ備えられるものでよい。
【0066】
(5)上記実施形態では、照明手段15に上側照明手段27と下側照明手段28とが備えられ、受光手段16に、一方側受光装置31と他方側受光装置32と、が備えられる構成としたが、この構成に限らず、上側照明手段27と下側照明手段28のいずれか一方だけを備えるようにしてもよく、また、一方側受光装置31と他方側受光装置32のいずれか一方だけを備るようにしてもよい。
【0067】
(6)上記実施形態では、照明装置に拡散板30が備えられたが、拡散板を備えずに、発光部として面発光のLED表示器や蛍光灯等、種々の構成を採用することができる。
【0068】
(7)上記実施形態では、枝豆を被選別物として選別処理を行うようにしたが、被選別物としては、枝豆に限らず、エンドウ、インゲン豆、そら豆、落花生等の豆類を選別対象としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、例えば、枝豆、エンドウ、インゲン豆等の豆類を選別するための豆類選別機に適用できる。
【符号の説明】
【0070】
14 移送手段
15 照明手段
16 受光手段
17 良否判別手段
18 分離手段
34 エアー吹き出し部
h 被選別物
j 異常変色部
IK 移送経路
KT 計測対象領域