(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088344
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】ズームレンズ及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
G02B 15/20 20060101AFI20240625BHJP
G02B 13/18 20060101ALN20240625BHJP
【FI】
G02B15/20
G02B13/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203460
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000133227
【氏名又は名称】株式会社タムロン
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(74)【代理人】
【識別番号】100143786
【弁理士】
【氏名又は名称】根岸 宏子
(72)【発明者】
【氏名】小林 知広
【テーマコード(参考)】
2H087
【Fターム(参考)】
2H087KA02
2H087KA03
2H087MA14
2H087MA16
2H087MA19
2H087PA13
2H087PA14
2H087PA15
2H087PA16
2H087PB20
2H087QA02
2H087QA07
2H087QA17
2H087QA21
2H087QA25
2H087QA37
2H087QA41
2H087QA46
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA13
2H087RA36
2H087RA42
2H087RA44
2H087SA57
2H087SA61
2H087SA62
2H087SA63
2H087SA64
2H087SA65
2H087SA66
2H087SB04
2H087SB15
2H087SB16
2H087SB23
2H087SB31
2H087SB43
(57)【要約】
【課題】 本件発明は、高変倍比を実現しつつ、小型でフォーカス域全域で光学性能の高いズームレンズ及び撮像装置を提供する。
【解決手段】複数のレンズ群G1~G7を備え、隣接するレンズ群の間隔を変化させることで広角端から望遠端へズーミングするズームレンズであって、ズーミング時の可変間隔のうち広角端における最も大きな可変間隔を隔てて、物体側が全体で負の屈折力を有する物体側負群GFであり、像側が全体で正の屈折力を有する像側正群GBであり、物体側負群GF及び像側正群GBはそれぞれ1以上のレンズ群を含むとともにそれぞれ少なくとも1つのフォーカス群Fa、G5を含み、無限遠から近距離物体への合焦に際し、フォーカス群Fa、G5を光軸に沿って移動し、フォーカス群Faは負の屈折力を有し、無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングの際に像側へ移動するズームレンズとする。また、当該ズームレンズを備えた撮像装置とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のレンズ群を備え、隣接するレンズ群の間隔を変化させることで広角端から望遠端へズーミングするズームレンズであって、
ズーミング時の可変間隔のうち広角端における最も大きな可変間隔を隔てて、物体側が全体で負の屈折力を有する物体側負群であり、像側が全体で正の屈折力を有する像側正群であり、
前記物体側負群及び前記像側正群はそれぞれ1以上のレンズ群を含み、
前記物体側負群及び前記像側正群はそれぞれ少なくとも1つのフォーカス群を含み、
無限遠から近距離物体への合焦に際し、前記フォーカス群を光軸に沿って移動し、
前記物体側負群に含まれるフォーカス群Faは負の屈折力を有し、無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングの際に像側へ移動することを特徴とするズームレンズ。
【請求項2】
前記フォーカス群Faは、最も物体側に負の屈折力を有するレンズLaを備える、請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項3】
前記レンズLaは、物体側に発散面を有する、請求項2に記載のズームレンズ。
【請求項4】
前記フォーカス群Faは、最も像側に正の屈折力を有するレンズLbを備える、請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項5】
前記フォーカス群Faは、2枚以下のレンズにより構成される、請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項6】
最も物体側に配置されるレンズ群が正の屈折力を有する、請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項7】
最も物体側に配置されるレンズ群は、3枚以下のレンズにより構成される、請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項8】
広角端から望遠端へのズーミングに際し、最も物体側に配置されたレンズ群が物体側に移動する、請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項9】
前記像側正群は少なくとも3つのレンズ群を備え、
少なくとも1つのレンズ群を挟んだ2つのレンズ群がズーミングの際に同一軌跡で光軸に沿って移動する、請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項10】
前記物体側負群及び前記像側正群に配置されるフォーカス群はそれぞれ1つである、請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項11】
下記条件式を満たす、請求項1に記載のズームレンズ。
0.5 < |ff/fw| < 2.0
但し、
ff:広角端における前記物体側負群の無限遠合焦時の焦点距離
fw:広角端における当該ズームレンズの無限遠合焦時の焦点距離
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載のズームレンズと、当該ズームレンズの像側に当該ズームレンズによって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子とを備えたことを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件発明は、ズームレンズ及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等の固体撮像素子を用いた撮像装置が広く普及している。このような撮像装置として、例えば、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、放送用カメラ/フィルム用カメラ、監視カメラ、車載カメラ等種々のものがある。固体撮像素子を構成する受光素子の高集積化に伴い、いずれの撮像装置においても高機能化と共に小型化が進み、撮像装置の撮像光学系においても一層の高性能化及び小型化が求められている。
【0003】
撮像装置に用いる撮像光学系としては、被写体に応じて焦点距離を変化させることのできるズームレンズに対するニーズが高い。ズームレンズでは、大型化を抑制しつつ、変倍比を大きくすることが求められている。また、フォーカス域全域で諸収差が良好に補正されたズームレンズが望まれており、フォーカシングに際して複数のレンズ群を移動させるフローティング方式が採用することが増えている。
【0004】
このようなフローティング方式によりフォーカシングを行うズームレンズとして、例えば、特許文献1には、7群構成であり、第4レンズ群及び第6レンズ群をフォーカス群とし、広角端から望遠端へのズーミングに際して第1レンズ群を物体側に移動させるようにしたズームレンズが提案されている。また、特許文献2には、7群構成で第3レンズ群及び第5レンズ群をフォーカス群とし、第1レンズ群をズーミングに際して固定したズームレンズが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-184632号公報
【特許文献2】特開2017-129668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に開示のズームレンズでは、広角端から望遠端へのズーミングの際の第1レンズ群を物体側に大きく繰り出している。第1レンズ群は比較的外径の大きなレンズで構成されるため、第1レンズ群の移動量が大きくなると、第1レンズ群を移動させるための駆動モータやアクチュエータ等の駆動機構等が大型化及び重量化するため、当該ズーム全体が大型化及び重量化してしまう。さらに、第1レンズ群の移動に伴い、当該ズームレンズの重心移動が大きくなり、当該ズームレンズの姿勢を維持することが困難になる。
【0007】
また、特許文献2に開示のズームレンズでは、広角端におけるテレフォト比が大きく、広角化を図ろうとすると、周辺光量が不足する。また、ズーミングの際に第1レンズ群を像面に対して固定しているため、広角端では焦点距離に比してその光学全長が長くなる。特許文献2と同様の構成で広角化を図りつつ、光学全長を短くしようとすると、第1レンズ群及び第2レンズ群に強い負の屈折力を配置する必要があり、後続群を構成するレンズの外径が大きくなってしまい、径方向の小型化が困難になる。
【0008】
そこで、本件発明の課題は、高変倍比を実現しつつ、小型でフォーカス域全域で光学性能の高いズームレンズ及び撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本件発明に係るズームレンズは、複数のレンズ群を備え、隣接するレンズ群の間隔を変化させることで広角端から望遠端へズーミングするズームレンズであって、ズーミング時の可変間隔のうち広角端における最も大きな可変間隔を隔てて、物体側が全体で負の屈折力を有する物体側負群であり、像側が全体で正の屈折力を有する像側正群であり、
前記物体側負群及び前記像側正群はそれぞれ1以上のレンズ群を含み、
前記物体側負群及び前記像側正群はそれぞれ少なくとも1つのフォーカス群を含み、
無限遠から近距離物体への合焦に際し、前記フォーカス群を光軸に沿って移動し、
前記物体側負群に含まれるフォーカス群Faは負の屈折力を有し、無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングの際に像側へ移動することを特徴とする。
【0010】
また、上記課題を解決するために本件発明に係る撮像装置は、上記ズームレンズと、当該ズームレンズによって形成された光学像を電気的信号に変換にする撮像素子とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本件発明によれば、高変倍比を実現しつつ、小型でフォーカス域全域で光学性能の高いズームレンズ及び撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施例1のズームレンズのレンズ断面図である。
【
図2】実施例1のズームレンズの広角端における無限遠合焦時の諸収差図である。
【
図3】実施例1のズームレンズの中間焦点位置における無限遠合焦時の諸収差図である。
【
図4】実施例1のズームレンズの望遠端における無限遠合焦時の諸収差図である。
【
図5】実施例1のズームレンズの広角端における近距離物体合焦時の諸収差図である。
【
図6】実施例1のズームレンズの中間焦点位置における近距離物体合焦時の諸収差図である。
【
図7】実施例1のズームレンズの望遠端における近距離物体合焦時の諸収差図である。
【
図8】実施例2のズームレンズのレンズ断面図である。
【
図9】実施例2のズームレンズの広角端における無限遠合焦時の諸収差図である。
【
図10】実施例2のズームレンズの中間焦点位置における無限遠合焦時の諸収差図である。
【
図11】実施例2のズームレンズの望遠端における無限遠合焦時の諸収差図である。
【
図12】実施例2のズームレンズの広角端における近距離物体合焦時の諸収差図である。
【
図13】実施例2のズームレンズの中間焦点位置における近距離物体合焦時の諸収差図である。
【
図14】実施例2のズームレンズの望遠端における近距離物体合焦時の諸収差図である。
【
図15】実施例3のズームレンズのレンズ断面図である。
【
図16】実施例3のズームレンズの広角端における無限遠合焦時の諸収差図である。
【
図17】実施例3のズームレンズの中間焦点位置における無限遠合焦時の諸収差図である。
【
図18】実施例3のズームレンズの望遠端における無限遠合焦時の諸収差図である。
【
図19】実施例3のズームレンズの広角端における近距離物体合焦時の諸収差図である。
【
図20】実施例3のズームレンズの中間焦点位置における近距離物体合焦時の諸収差図である。
【
図21】実施例3のズームレンズの望遠端における近距離物体合焦時の諸収差図である。
【
図22】本発明の一実施形態に係る撮像装置の構成の一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本件発明に係るズームレンズ及び撮像装置の実施の形態を説明する。但し、以下に説明するズームレンズ及び撮像装置は本件発明に係るズームレンズ及び撮像装置の一態様であって、本件発明に係るズームレンズ及び撮像装置は以下の態様に限定されるものではない。
【0014】
1.ズームレンズ
1-1.光学構成
当該ズームレンズは、複数のレンズ群を備え、隣接するレンズ群の間隔を変化させることで広角端から望遠端へズーミングするズームレンズであって、ズーミング時の可変間隔のうち広角端における最も大きな可変間隔を隔てて、物体側が全体で負の屈折力を有する物体側負群(以下、物体側負群GF)であり、像側が全体で正の屈折力を有する像側正群(以下、像側正群GB)であり、物体側負群GF及び像側正群GBはそれぞれ1以上のレンズ群を含み、またそれぞれ少なくとも1つのフォーカス群を含み、物体側負群GFに含まれるフォーカス群Faは負の屈折力を有し、無限遠物体から近距離物体へのフォーカシング時に像側へ移動する。ここで、ズーミング時の可変間隔とは、広角端から望遠端へのズーミング時に変化する隣接するレンズ群の間隔を指す。
【0015】
但し、レンズ群とは、ズーミングに際して一体的に移動又は静止する1枚又は複数枚のレンズのまとまりをいう。すなわち、レンズ群は1枚のレンズから構成されていてもよいし、複数のレンズから構成されていてもよい。また、レンズ群は開口絞りを含んでいてもよい。本発明に係るズームレンズでは、ズーミングに際して隣接するレンズ群同士の間隔が変化する。後述する実施例のズームレンズについても同様である。
【0016】
当該ズームレンズによれば、複数のレンズ群を備え、各レンズ群の間隔を変化させることで高変倍比を実現しつつ、ズーム域全域で諸収差を良好に補正して光学性能の高いズームレンズを得ることができる。当該ズームレンズでは、広角端におけるズーミング時の最大可変間隔を隔てて、物体側負群GFと像側正群GBとを配置し、広角端では負正の屈折力配置、すなわちレトロフォーカス型の屈折力配置を採用している。そのため、広角端における屈折力配置が正負の場合、すなわちテレフォト型の屈折力配置を採用した場合と比較すると、高変倍比を図りつつ、広角化を図ったときも広角端における光学全長が長くなることを抑制することができる。
【0017】
さらに、当該ズームレンズでは、物体側負群GFに含まれるフォーカス群Faが負の屈折力を有するため、広角端におけるレトロフォーカス型の屈折力配置をより強めることができ、高変倍比を図りつつ、広角化を図ったときも広角端における光学全長が長くなることをより良好に抑制することができる。
【0018】
また、当該ズームレンズでは、物体側負群GFと像側正群GBにそれぞれ少なくとも1つのフォーカス群を配置することで、いわゆるフローティング方式によりフォーカシングを行うことができる。そのため、高変倍比化を図ってもフォーカシングの際の収差変動を抑制することが容易になる。さらに、当該ズームレンズでは、無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングの際にフォーカス群Faを像側に移動させることで、フォーカシング時における球面収差と像面湾曲の変動を抑制することができ、フォーカシング域全域において高い光学性能を実現することができる。
【0019】
当該ズームレンズは、上記物体側負群GF及び像側正群GBを備え、物体側負群GF及び像側正群GBがそれぞれ少なくとも1つのフォーカス群を備える限り、当該ズームレンズ構成するレンズ群の数や各レンズ群に対する屈折力配置は特に限定されるものではないが、例えば、以下の構成等であることが好ましい。
【0020】
1-1-1.物体側負群GF
物体側負群GFは、少なくとも1つのレンズ群により構成される。物体側負群GFはフォーカス群Faを有する。物体側負群GFは次に説明する最物体側レンズ群を備えていることが好ましい。物体側負群GFを構成するレンズ群の数は特に限定されるものではないが、物体側負群GFを構成するレンズ群の数が増加すると、当該ズームレンズを小型に構成することが困難になる。当該観点から、物体側負群GFを構成するレンズ群の数は4つ以下であることが好ましく、3つ以下であることがより好ましい。
【0021】
(1)最物体側レンズ群
また、物体側負群GFにおいて最も物体側に配置されるレンズ群、つまり当該ズームレンズにおいて最も物体側に配置されるレンズ群は、正の屈折力を有していてもよいし、負の屈折力を有していてもよい。最物体側レンズ群が正の屈折力を有する場合、いわゆるポジティブリード型のズームレンズとなり、高変倍比を得る上でより有利な構成となる。最物体側レンズ群負の屈折力を有する場合、いわゆるネガティブリード型のズームレンズとなり、広角化を図る上でより有利な構成となる。当該ズームレンズでは、より高変倍比を実現する上で、最物体側レンズ群は正の屈折力を有することがより好ましい。
【0022】
最物体側レンズ群を構成するレンズ枚数等に限定はないが、当該ズームレンズの小型化及び軽量化を図る上で、最物体側レンズ群は3枚以下のレンズにより構成されることが好ましい。
【0023】
最物体側レンズ群は固定群としてもよいが、可動群とすることが好ましく、特に広角端から望遠端へのズーミングに際して、物体側に移動させることが好ましい。最物体側レンズ群を物体側に移動させれば、広角端における光学全長が望遠端における光学全長より短くなり、鏡筒を入れ子構造にして、ズーミングの際に物体側に繰り出すようにすることで、不使用時は当該ズームレンズをコンパクトに収容することができる。
また、最物体側レンズ群を物体側に移動させるようにすることで、より高い変倍比を実現することが容易になる。但し、この場合、最物体側レンズ群に正の屈折力を配置することが高変倍比を得る上でより好ましい。
【0024】
(2)フォーカス群Fa
物体側負群GFに配置されるフォーカス群Faは、上述のとおり負の屈折力を有する。広角端における上記最大可変間隔の物体側に当該フォーカス群Faを配置することで、上記最大可変間隔の像側に配置されるフォーカス群と共にフォーカシングの際の収差変動を良好に抑制することが可能になり、フォーカス域全域で良好な光学性能を得ることができる。フォーカス群Faは物体側負群GFを構成するレンズ群(ズーム群)の中のいずれかのレンズ群全体であってもよいし、その一部であってもよいが、上記最物体側レンズ群よりも像側であることが好ましく、物体側負群GFの最も像側に配置されることが好ましい。
【0025】
ここで、フォーカス群Faの最も物体側には、負の屈折力を有するレンズLaが配置されることが好ましい。また、当該レンズLaは物体側に発散面を有することも好ましい。これらの構成を採用することで、広角端における倍率色収差と、望遠端における軸上色収差をそれぞれより良好にバランスよく補正することができる。
【0026】
また、フォーカス群Faを構成するレンズの枚数は特に限定されるものではなく、上記レンズLaのみから構成されていてもよく、上記レンズLaを含む複数のレンズにより構成されていてもよいが、2枚以下のレンズにより構成されることが好ましい。フォーカス群Faを2枚以下のレンズにより構成することで、フォーカス群の小型化及び軽量化を図ることができる。そのため、フォーカス群を光軸方向に移動させるためのアクチュエータ等の駆動機構の大型化を抑制し、鏡筒部分を含む当該ズームレンズ全体の小型化を図ることができる。
【0027】
フォーカス群Faが2枚又は2枚以上のレンズを含む場合、そのうちの1枚のレンズは上記レンズLaと異なる符号の屈折力を有することが好ましい。特に、フォーカス群Faの最も像側には正の屈折力を有するレンズLbを備えることが好ましい。フォーカス群Faの最も像側に正の屈折力を有するレンズLbを配置することにより、後続するレンズ群に対して当該レンズLbにより収束した光束を入射させることができるため、後続するレンズ群を小径化することができる。
【0028】
また、フォーカス群Faを構成する各レンズは空気間隔を空けて配置されていてもよいし、2枚又は2枚以上のレンズが接合された接合レンズを含むものとしてもよい。フォーカス群Faを構成するレンズ間に空気間隔が存在すれば、フォーカシングの際の諸収差を補正する上でより好ましい。また、フォーカス群Faが接合レンズを含む場合、フォーカス敏感度の高い場合でも組付誤差等を抑制することができる。但し、本発明でいう1枚のレンズとは、1つの単レンズ成分を意味する。したがって、上述のとおり、2枚以上(2つ以上の単レンズ成分)が接合された接合レンズについては、当該接合レンズを構成する単レンズ成分をそれぞれ1枚のレンズとしてカウントするものとする。
【0029】
当該ズームレンズにおいて、物体側負群GFに配置されるフォーカス群は2つ以上であってもよいが、上記駆動機構の大型等を抑制する上で、物体側負群GFに配置されるフォーカス群は上記フォーカス群Faのみであることが好ましい。
【0030】
1-1-2.像側正群GB
像側正群GBは、上記フォーカス群(以下、「像側フォーカス群」と称する。)を含む少なくとも1つのレンズ群により構成される。像側正群GBは像側フォーカス群以外に、少なくとも一つのレンズ群を備えていることが好ましい。像側正群GBを構成するレンズ群の数は特に限定されるものではないが、像側正群は少なくとも3つのレンズ群を備え、少なくとも1つのレンズ群を挟んだ2つのレンズ群がズーミングの際に同一軌跡で光軸に沿って移動させることが好ましい。この場合、像側正群GBを3つ以上のレンズ群により構成しつつ、ズーミングの際に2つのレンズ群を同じリング枠等に固定して、一つの駆動機構により移動させることができるため、メカ構成の簡素化を図ることができる。なお、像側正群GBを構成するレンズ群の数が増加すると、当該ズームレンズを小型に構成することが困難になる。当該観点から、像側正群GBを構成するレンズ群の数は4つ以下であることが好ましい。また、像側正群GBの構成は特に限定されるものではないが、例えば、像側フォーカス群等については次のような構成であることが好ましい。
【0031】
(1)像側フォーカス群
像側フォーカス群は、像側正群GBを構成するレンズ群、又はその一部により構成される。像側フォーカス群は少なくとも1枚のレンズを含むものとする。また、フォーカス群の小型化及び軽量化を図る観点から、像側フォーカス群についても2枚以下のレンズにより構成されることが好ましい。
【0032】
像側フォーカス群は像側正群GBに含まれる限り、その配置は特に限定されるものではない。しかしながら、次に説明する正レンズ群よりも像側に配置されることが好ましい。また、像側フォーカス群は、正の屈折力を有していてもよいし、負の屈折力を有していてもよいが、フォーカス群Laとは異なる符号の屈折力、すなわち正の屈折力を有することが好ましい。像側フォーカス群にフォーカス群Faと異なる符号の屈折力を与えることでフォーカシングの際の収差変動をより良好に抑制することが可能になる。
【0033】
当該ズームレンズにおいて、像側フォーカス群は2つ以上設けられていてもよいが、上記駆動機構の大型等を抑制する上で、像側フォーカス群は1つであることが好ましい。
【0034】
(2)正レンズ群
像側正群GBは、像側フォーカス群の物体側に正の屈折力を有するレンズ群(以下、正レンズ群)を備えることが好ましい。像側フォーカス群を当該正レンズ群よりも像側に配置することにより、物体側負群GFにおいて発散した光束を正レンズ群により収束して、像側フォーカス群に入射できるため、像側フォーカス群に入射する光束径のズーム位置による変動を抑制して、フォーカシングの際の収差変動を抑制することができる。
【0035】
特に、像側正群GBの最も物体側に正レンズ群が配置されていることが好ましい。このとき、当該正レンズ群は開口絞りを含むことが好ましく、開口絞りは当該正レンズ群の最も物体側に配置されていることが好ましい。
【0036】
像側正群GBの最も物体側に正レンズ群が配置される場合、当該正レンズ群は固定群としてもよいが、可動群とすることが好ましく、特に広角端から望遠端へのズーミングに際して、物体側に移動させることが好ましい。像側正群GBにおいて、正レンズ群を物体側に移動させることで開口絞りも共に移動し、広角化を図ったときも前玉径が大きくなることを抑制することができる。
【0037】
1-2.動作
上述した点を除いて、当該ズームレンズにおけるズーミング時の各レンズ群の動作や各フォーカス群のフォーカシングの際の動作は特に限定されものではない。
【0038】
(1)ズーミング時の動作
上述した点を除いて、ズーミングの際に、隣接するレンズ群の光軸上の間隔が変化する限り、各レンズ群は像面に対して可動の可動群であってもよいし、像面に対して固定の固定群であってもよい。全てのレンズ群を可動群とすれば、広角端から望遠端へのズーミングに際し、各レンズ群の位置をそれぞれ変化させることができるため、諸収差を補正する上で好ましい。しかしながら、レンズ群を光軸に沿って移動させるためには、アクチュエータやモータ等の駆動機構が必要となり、鏡筒部分を含む当該ズームレンズ全体の大型化する。これらの観点から、各レンズ群を適宜、可動群又は固定群として選択すればよい。
【0039】
(2)フォーカシング時の動作
上述したとおり、無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングに際して、フォーカス群Faは像側に移動する。フォーカシングの際の像側フォーカス群の移動の向きは限定されるものではないが、像側フォーカス群についても、無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングに際して像側に移動させることが好ましい。また、フォーカス群La及び像側フォーカス群をそれぞれ異なる移動量で移動させることが好ましいが、これらを同じ移動量で移動させてもよい。
【0040】
1-3.条件式
当該ズームレンズは、上述した構成を採用すると共に、次の条件式を満足することが好ましい。
【0041】
0.5 < |ff/fw| < 2.0
但し、
ff:広角端における物体側負群の無限遠合焦時の焦点距離
fw:広角端における当該ズームレンズの無限遠合焦時の焦点距離
【0042】
上記条件式は、広角端における物体側負群の無限遠合焦時の焦点距離と、広角端における当該ズームレンズの無限遠合焦時の焦点距離との比を規定する式である。上記条件式を満たす場合、広角端における物体側負群の屈折力が適正な範囲内となり、高変倍比化を図りつつ、広角化を図ったときも、広角端における当該ズームレンズの光学全長の短縮を図りつつ、諸収差を良好に補正することができ、小型で光学性能の高いズームレンズをより容易に実現することができる。
【0043】
これに対して、上記条件式の数値が下限値以下になると、物体側負群GFの負の屈折力が強くなり過ぎて、広角端における光学全長を短縮する上では好ましいが、高い変倍比を実現することが困難になり、諸収差の補正も困難になる。一方、上記条件式の数値が上限値以上になると、レトロフォーカス型の屈折力配置が弱まり、広角端における光学全長が長くなるため、当該ズームレンズの小型化を図ることが困難になる。
【0044】
上記効果を得る上で、上記条件式の下限値は0.75であることがより好ましく、1.0であることがさらに好ましい。また、上記条件式の上限値は1.75であることがより好ましく、1.50であることがさらに好ましい。なお、これらの好ましい値を採用する場合、上記条件式において不等号(<)を等号付不等号(≦)に置換してもよい。
【0045】
2.撮像装置
次に、本件発明に係る撮像装置について説明する。本件発明に係る撮像装置は、上記本件発明に係るズームレンズと、当該ズームレンズによって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子とを備えたことを特徴とする。なお、撮像素子はズームレンズの像側に設けられることが好ましい。ここで、撮像素子等に特に限定はなく、CCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどの固体撮像素子等も用いることができる。本件発明に係る撮像装置は、デジタルビデオカメラ、放送用カメラ/フィルム用カメラ、監視カメラ、車載カメラ等のこれらの固体撮像素子を用いた種々の撮像装置に好適である。また、これらの撮像装置はレンズが筐体に固定されたレンズ固定式の撮像装置であってもよいし、レンズ交換式の撮像装置であってもよい。
【0046】
図22は、当該撮像装置の構成の一例を模式的に示す図である。撮像装置1は、撮像装置本体2と、当該撮像装置本体2に対して取り付けられる鏡筒3と、ズームレンズの像側に配置された撮像素子21、カバーガラス22を有する。鏡筒3内に上記本件発明に係るズームレンズ、開口絞り31、ズーミング時及びフォーカシング時にレンズ群を駆動するための駆動機構等が収容される。
【0047】
次に、実施例を示して本件発明を具体的に説明する。但し、本件発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例0048】
(1)光学構成
図1は、本件発明に係る実施例1のズームレンズの無限遠合焦時の広角端における断面図である。当該ズームレンズは、複数のレンズ群G1~G7を備え、隣接するレンズ群の間隔を変化させることで広角端から望遠端へズーミングするものである。当該ズームレンズは、ズーミング時の広角端における最も大きな可変間隔を隔てて、物体側に全体で負の屈折力を有する物体側負群GFを備え、像側に全体で正の屈折力を有する像側正群GBを備えている。
【0049】
物体側負群GFは、負の屈折力を有するフォーカス群Faを有し、フォーカス群Faはその最も物体側に物体側に発散面を有する負メニスカスレンズであるレンズLaを備え、レンズLaの像側には正レンズであるレンズLbを備え、この2枚のレンズにより構成されている。
【0050】
より詳細には、物体側負群GFは、物体側から順に、正の屈折力を有する最物体側レンズ群G1(第一レンズ群)、負の屈折力を有するレンズ群G2(第二レンズ群)、フォーカス群Fa(第三レンズ群G3)を備えている。
【0051】
像側正群GBの最も物体側には開口絞りSが配置されている。像側正群GBは正の屈折力を有する像側フォーカス群と、正の屈折力を有するレンズ群を3つ備えている。
より詳細には、像側正群GBは、物体側から順に、上記開口絞りSを含む正レンズ群G4(第四レンズ群)、像側フォーカス群G5(第五レンズ群)、正レンズ1枚のみからなる正の屈折力を有するレンズ群G6(第六レンズ群)、物体側に発散面を有する負メニスカスレンズからなる負の屈折力を有する最像側レンズ群G7(第七レンズ群)の4つのレンズ群を備えている。なお、各レンズ群の具体的なレンズ構成は図に示すとおりであり、ここでは説明を省略する。
【0052】
広角端から望遠端へのズーミングに際して、物体側負群GFを構成する3つのレンズ群G1~G3のうち、最物体側レンズ群G1は物体側へ移動し、フォーカス群Faを含む残りの2つのレンズ群G2、G3は像側へ移動する。像側正群GBを構成する各レンズ群G4~G7はいずれも物体側に移動する。その際、像側フォーカス群G5を挟む二つの正レンズ群G4、G6は同じリング枠に固定されて機構的にリンクされており、同一の軌跡で物体側に移動する。
【0053】
また、無限遠から近距離物体への合焦に際し、フォーカス群Fa及び像側フォーカス群G5が光軸に沿って像側に移動する。
【0054】
なお、
図1において、「IMG」は像面であり、具体的には、CCDセンサ、CMOSセンサなどの撮像素子の撮像面、或いは、銀塩フィルムのフィルム面等を示す。この点は、他の実施例で示す各レンズ断面図においても同様であるため、以後説明を省略する。
【0055】
(2)数値実施例
次に、当該ズームレンズの具体的数値を適用した数値実施例について説明する。以下に、「面データ」、「非球面データ」、「変倍データ(無限遠合焦時)」、「変倍データ(有限距離合焦時)」を示す。また、各条件式に対応する値を表1に示す。表1は実施例3の後に示す。
【0056】
「面データ」において、「No.」は物体側から数えたレンズ面の順番、「R」はレンズ面の曲率半径、「D」は光軸上のレンズ肉厚又は空気間隔、「Nd」はd線(波長λ=587.5618nm)における屈折率、「ABV」はd線におけるアッベ数である。また、「No.」の欄において面番号の次に示す「ASPH」はその面が非球面であることを示し、「STOP」は開口絞りであることを示す。また、「d」の欄において、「(d5)」等と示すのは、当該レンズ面の光軸上の間隔が変倍時や合焦時に変化する可変間隔であることを意味する。また、曲率半径の欄の「∞」は無限大を意味し、その面が平面であることを意味する。
【0057】
「非球面データ」は、非球面を次式で定義したときの各係数の値を示している。
z=ch2/[1+{1-(1+K)c2h2}1/2]+A4h4+A6h6+A8h8+A10h10+A12h12
(但し、cは曲率(1/r)、hは光軸からの高さ、Kは円錐係数、A4、A6、A8、A10、A12は各次数の非球面係数)
【0058】
「変倍データ(無限遠合焦時)」は無限遠合焦時の各種データを示し、「Fno」はFナンバー、「ω」は半画角、d5等は面データに示す各可変間隔であり、広角端、中間焦点位置、望遠端におけるそれぞれの値を示している。
【0059】
「変倍データ(有限距離合焦時)」は有限距離(所定の撮影距離)合焦時の各可変間隔であり、広角端、中間焦点位置、望遠端におけるそれぞれの値を示している。
【0060】
これらの各表における事項は他の実施例で示す各表においても同様であるため、以下では説明を省略する。
【0061】
また、
図2~
図4に当該ズームレンズの無限遠合焦時の広角端、中間焦点位置、望遠端における縦収差図をそれぞれ示し、
図5~
図7に当該ズームレンズの無限遠合焦時の広角端、中間焦点位置、望遠端における縦収差図をそれぞれ示す。各図に示す縦収差図は、図面に向かって左側から順に、球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差(%)である。球面収差図は破線がC線(656.2700nm)、実線がd線(波長587.5600nm)、一点鎖線がF線(波長486.1300nm)の特性を示す。非点収差図は縦軸が半画角(ω)、横軸がデフォーカスであり、実線がd線のサジタル像面(図中、Sで示す)、を示し、破線がd線のメリディオナル像面(図中、Tで示す)をそれぞれ示す。歪曲収差図は、縦軸が半画角(ω)、横軸が歪曲収差である。これらの事項は、他の実施例において示す各収差図においても同じであるため、以下では説明を省略する。
【0062】
[面データ]
No. R D Nd ABV
1 133.0288 2.0000 1.90366 31.31
2 96.2695 9.1066 1.43700 95.10
3 -349.1188 0.2000
4 91.4877 5.2643 1.43700 95.10
5 247.3711 (d5)
6 126.0655 3.8839 1.90110 27.06
7 -327.8015 0.9259
8 -220.4940 1.0000 2.00069 25.46
9 40.8285 4.5387
10 -318.3667 1.0000 1.76506 34.95
11 49.8633 5.6972 1.92643 21.91
12 -106.8134 1.0000 1.78061 44.91
13 376.2041 (d13)
14 -46.4446 1.2000 1.58951 63.58
15 -1306.9477 0.2000
16 114.7778 2.9911 1.85986 25.26
17 -1011.2224 (d17)
18STOP ∞ 0.8000
19 60.1664 3.0000 1.86407 34.78
20 296.6660 0.2000
21 35.3516 7.4774 1.49769 81.40
22 -306.5071 1.0000 1.85761 28.29
23 31.0704 4.3917 1.49825 81.24
24 65.9327 1.6424
25 35.0409 6.0622 1.77047 29.74
26 5258.0562 0.2397
27 44.3685 1.0636 1.80610 33.27
28 18.4438 6.4902 1.49710 81.56
29ASPH 96.2072 (d29)
30 829.3701 3.3667 1.92119 23.96
31 -72.6480 0.9000 1.74320 49.34
32 42.0231 (d32)
33 63.7357 6.9587 1.51680 64.20
34 -39.5462 (d34)
35ASPH -24.3046 1.3000 1.85108 40.12
36ASPH -98.1396 (d36)
37 ∞ 2.5000 1.51680 64.20
38 ∞ 1.0000
【0063】
[非球面データ]
No. K A4 A6 A8 A10 A12
29 0 1.05216E-05 7.88990E-09 9.32258E-12 4.02110E-14 9.23355E-17
35 0 -6.35691E-07 1.03143E-07 -4.21064E-10 9.61588E-13 -8.35481E-17
36 0 -8.28356E-06 7.79522E-08 -3.14763E-10 6.33345E-13 -5.08439E-17
【0064】
[変倍データ(無限遠合焦時)]
広角 中間 望遠
焦点距離 51.5015 99.9998 192.9993
Fno 2.9100 2.9100 2.9100
ω 22.9584 11.8287 6.1335
d 5 2.0000 38.3417 71.7058
d13 12.3084 7.4788 5.2384
d17 44.2080 23.1974 4.6996
d29 5.1774 7.3579 3.5000
d32 28.6122 26.4316 30.2896
d34 9.1946 9.2335 7.2110
d36 11.1000 15.7851 18.8052
【0065】
[変倍データ(有限距離合焦時)]
撮影距離 1000 1000 1300
d13 16.3411 10.7417 6.4380
d17 40.1753 19.9344 3.5000
d29 7.6690 14.4253 18.9341
d32 26.1206 19.3643 14.8555
物体側負群GFは、負の屈折力を有するフォーカス群Faを有し、フォーカス群Faはその最も物体側に物体側に発散面を有する負メニスカスレンズであるレンズLaを備え、レンズLaの像側には正レンズであるレンズLbを備え、この2枚のレンズにより構成されている。
より詳細には、物体側負群GFは、物体側から順に、正の屈折力を有する最物体側レンズ群G1(第一レンズ群)、負の屈折力を有するレンズ群G2(第二レンズ群)、フォーカス群Fa(第三レンズ群G3)を備えている。
広角端から望遠端へのズーミングに際して、物体側負群GFを構成する3つのレンズ群G1~G3のうち、最物体側レンズ群G1は物体側へ移動し、フォーカス群Faを含む残りの2つのレンズ群G2、G3は像側へ移動する。像側正群GBを構成する各レンズ群はいずれも物体側に移動する。その際、像側フォーカス群G5を挟む二つの正レンズ群G4、G6は同じリング枠に固定されて機構的にリンクされており、同一の軌跡で物体側に移動する。