(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088366
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
B60K 1/04 20190101AFI20240625BHJP
B60L 53/80 20190101ALI20240625BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20240625BHJP
A01D 34/68 20060101ALI20240625BHJP
A01D 34/64 20060101ALI20240625BHJP
H01M 50/244 20210101ALI20240625BHJP
【FI】
B60K1/04 A
B60L53/80
B60L50/60
A01D34/68 K
A01D34/64 A
H01M50/244 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203496
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】中村 太樹
(72)【発明者】
【氏名】原 竜太郎
(72)【発明者】
【氏名】渡部 智明
(72)【発明者】
【氏名】浜野 友佑
(72)【発明者】
【氏名】細沼 奨
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 礼
(72)【発明者】
【氏名】織田 湧平
(72)【発明者】
【氏名】長尾 康史
(72)【発明者】
【氏名】北川 智志
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大翔
(72)【発明者】
【氏名】増田 龍太郎
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 学
(72)【発明者】
【氏名】山田 佳菜子
(72)【発明者】
【氏名】東 幸太
(72)【発明者】
【氏名】黒瀬 英明
(72)【発明者】
【氏名】有村 浪漫
【テーマコード(参考)】
2B083
3D235
5H040
5H125
【Fターム(参考)】
2B083AA02
2B083CA07
2B083CA28
2B083DA03
2B083DA08
2B083FA06
2B083FA11
2B083GA01
2B083HA19
2B083HA53
3D235AA14
3D235CC15
5H040AA12
5H040AS06
5H040AT06
5H040AY10
5H040NN03
5H125AA20
5H125AC13
5H125FF06
(57)【要約】
【課題】重量バランスを良好にできる電動の作業車両を提供する。
【解決手段】走行車体1に装着する作業機4を備えた作業車両において、走行車体1の駆動輪3又は作業機4を駆動する電動機30,40を設け、電動機30,40に給電して蓄電するバッテリ50を設け、走行車体1の前部に交換用バッテリ50Aを載置する載置フレーム57を昇降可能に設けてなる。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体(1)に装着する作業機(4)を備えた作業車両において、走行車体(1)の駆動輪(3)又は作業機(4)を駆動する電動機(30,40)を設け、電動機(30,40)に給電して蓄電するバッテリ(50)を設け、走行車体(1)の前部に交換用バッテリ(50A)を載置する載置フレーム(57)を昇降可能に設けたことを特徴とする作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、公園等を走行させて園内の芝刈りを行う芝刈作業機のような作業車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バッテリと電動モータを搭載し、蓄電したバッテリから給電されて作動する電動モータを作動させ、作業機または駆動輪を駆動する作業車両において、複数のバッテリパックを左右後輪の間の車軸近傍にスライド挿入される作業車両が公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によると、前輪と後輪との間に作業装置を配置させている電動作業車両において、バッテリ装着部を後輪の車軸付近に配置されていて、配置スペースに配慮した構成となっている。しなしながら、バッテリは重量が大きい部材であるため、上記の構成では重量バランスが後輪に偏ってしまう問題があった。
【0005】
本発明は、重量バランスを良好にできる電動の作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、走行車体1に装着する作業機4を備えた作業車両において、走行車体1の駆動輪3又は作業機4を駆動する電動機30,40を設け、電動機30,40に給電して蓄電するバッテリ50を設け、走行車体1の前部に交換用バッテリ50Aを載置する載置フレーム57を昇降可能に設けてなる。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、充電中圃場での作業を中断されることがなく効率よく作業を行うことができる。また、重量物であるバッテリを走行車体1の前部に設けることで、ウェイトを取り付けることなく、前後重量バランスを調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態の作業車両の左側面図である。
【
図2】ボンネットカバーを開放姿勢にした作業車両の左側面図である。
【
図3】作業車両の一部を破断した要部の斜視図である。
【
図7】後輪用の電動機と作業機用の電動機の左側面図である。
【
図10】バッテリとバッテリブラケットの斜視図である。
【
図12】前輪と、バッテリと、バッテリブラケットの正面図である。
【
図13】本発明の実施形態にかかる作業車両のバッテリ昇降装置の側面図である。
【
図14】同上作業車両の一部を省略した要部の平面図である。
【
図19】ブレーキ連動関係及び周辺の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に示すように、乗用芝刈り機等の作業車両は、走行車体1と、走行車体1の前部に左右一対の前輪2が設けられ、走行車体1の後部に左右一対の後輪3が設けられ、走行車体1の下側における前輪2と後輪3の間に芝等を刈取る作業機4が設けられている。また、走行車体1の上側の前部に後述のバッテリを収納するボンネット5が設けられ、ボンネット5の後側には操縦者が搭乗する操縦席60が設けられ、操縦席60の後側には操縦者を保護する安全フレーム(ロプス)8が設けられ、安全フレーム8の下部には作業機4で刈取られた芝等を貯留する集草容器7が設けられている。
【0010】
図2~4に示すように、ボンネット5内には、後輪3を駆動する電動機30等に供給する電力を蓄電するバッテリ50が設けられている。なお、ボンネット5は、後上部に設けられた左右方向に延在する支軸(図示省略)に支持されている。これにより、ボンネット5前部が上方に回動することができる。
【0011】
操縦席60の下側には、電装部品61が設けられている。これにより、操縦席60の下側に形成される空間を有効に活用することができる。
【0012】
安全フレーム8は、上下方向に延在する左支柱部8Lと、上下方向に延在する右支柱部8Rと、左支柱部8Lと右支柱部8Rの上部を連結する逆U字形状の連結部8Aから形成されている。
【0013】
図4~7に示すように、電装部品61の下側には後輪3を駆動する3相交流電圧波形で操作される同期電動機や誘導電動機等の電動機30が設けられている。電動機30の左右方向に延在して形成された出力軸30Aは、出力軸30Aから伝動される出力回転を減速して出力トルクを大きくしたり回転方向を逆さにするギアボックス31の上部に連結されている。なお、電動機30は左右方向の中央よりも左側に偏移した位置に設けられている。
【0014】
ギアボックス31で増減速された出力回転は、ギアボックス31の下部に設けられ差動歯車等で構成されたディファレンシャルギア32を介して左右方向に延在するドライブシャフト33に伝動される。ドライブシャフト33に伝動された出力回転は、ドライブシャフト33の両端部に支持された後輪3に伝動される。
【0015】
電動機30の下側には作業機4を駆動する3相交流電圧波形で操作される同期電動機や誘導電動機等の電動機40が設けられている。電動機40の前後方向に延在して形成された出力軸40Aは、前後方向に延在して設けられた自在継手41の後部に連結されている。また、出力軸40Aは、ドライブシャフト33の上側に、ドライブシャフト33と直交して設けられている。これにより、電動機30の下側に形成された空間を有効に活用することができる。また、電動機40と作業機4の間の伝動経路を短くすることができるので電動機40の出力回転を作業機4に効率良く伝動することができる。なお、電動機40は左右方向の中央よりも左側に偏移した位置に設けられている。
【0016】
自在継手41の前部は、自在継手41から伝動される出力回転を減速して出力トルクを大きくするギアボックス42に連結されている。ギアボックス42に伝動された出力回転は、ギアボックス42の上下方向に延在して形成された出力軸を介して作業機4の左排出通路45Lに設けられた左刈刃(図示省略)に伝動される。
【0017】
ギアボックス42には、左右方向に延在する連結部材43が連結され、連結部材43の右部はギアボックス44に連結されている。ギアボックス44に伝動された出力回転は、ギアボックス44の上下方向に延在して形成された出力軸を介して作業機4の右排出通路45Rに設けられた右刈刃(図示省略)に伝動される。なお、ギアボックス42の出力軸とギアボックス44の出力軸の出力回転の回転速度は同一速度であり、回転方向は逆方向、すなわち、平面視において、ギアボックス42出力軸は時計方向に回転し、ギアボックス44の出力軸は反時計方向に回転する。
【0018】
左排出通路45Lと右排出通路45Rの搬出口は、刈取られた芝等を集草容器7に搬送するシュータ46の搬入口に連結されている。シュータ46の搬出口は集草容器7の搬入口に連結されている。
【0019】
平面視において、シュータ46の前部は自在継手41の右側に設けられ、シュータ46の後部はギアボックス31の右側に設けられ、背面視において、シュータ46と集草容器7は、ギアボックス31と右側の後輪3の間に設けられている。これにより、自在継手41とギアボックス31の右側に形成される空間に大きなシュータ46を設けることができ、作業機4で刈取った芝等を効率良く集草容器7に搬送することができる。
【0020】
側面視において、シュータ46の上壁は後上がり傾斜に形成され、シュータ46の後部は電装部品61の下側を下方に向かって延在して設けられている。これにより、シュータ46の後部を大きくしてシュータ46の内部での芝等の詰まりを防止することができる。
【0021】
図8,9に示すように、走行車体1は、前輪2と後輪3を支持する車体フレーム10と、ステアリングシャフト63を支持するステアリングポスト11から形成されている。
【0022】
車体フレーム10には、前後方向に延在する左前後フレーム10Lと右前後フレーム10Rが形成され、ステアリングポスト11の下部には、前方に延出する左連結部11Lと右連結部11Rが形成されている。
【0023】
左前後フレーム10Lに左連結部11Lがボルト等の締結手段によって固定され、右前後フレーム10Rに右連結部11Rがボルト等の締結手段によって固定されて一体となり走行車体1を形成している。
【0024】
左前後フレーム10Lの前部には左支持部材12Lが設けられ、左支持部材12Lの連結部は左上がり傾斜に形成されている。また、右前後フレーム10Rの前部には右支持部材12Rが設けられ、右支持部材12Rの連結部は右上がり傾斜に形成されている。なお、左支持部材12Lと右支持部材12Rはチャンネル鋼材で形成されている。
【0025】
左連結部11Lの前部には左支持部材13Lが設けられ、左支持部材13Lの連結部は左上がり傾斜に形成されている。また、右連結部11Rの前部には右支持部材13Rが設けられ、右支持部材12Rの連結部は右上がり傾斜に形成されている。なお、左支持部材13Lと右支持部材13Rはチャンネル鋼材で形成されている。
【0026】
ステアリングポスト11の下部には、左右方向に所定の間隔を隔てて前側に突出する突出部14が形成され、突出部14の先端にはゴム部材等から形成された緩衝部材15が設けられている。
【0027】
図10に示すように、ボンネット部5内に設けられるバッテリ50の下部は、バッテリブラケット52の内周部に内嵌されている。バッテリ50は、複数のエネルギ密度が高いリチウムイオンバッテリを直列と並列に接続して形成されている。これにより、ボンネット部5に形成された空間を有効活用できる。また、リチウムイオンバッテリはエネルギ密度が高いので、一回のフル充電によって作業車両を長距離走行させることができる。
【0028】
図11に示すように、バッテリブラケット52は、前後方向に延在する左前後フレーム52L及び右前後フレーム52Rと、左前後フレーム52Lと右前後フレーム52Rの前部を連結する前左右フレーム52Aと、左前後フレーム52Lと右前後フレーム52Rの後部を連結する後左右フレーム52Bで形成されている。なお、左前後フレーム52L及と右前後フレーム52Rはアングル鋼材で形成され、前左右フレーム52Aと後左右フレーム52Bはチャンネル鋼材で形成されている。
【0029】
左前後フレーム52Lの連結部は左上がり傾斜に形成され、右前後フレーム52Rの連結部は左上がり傾斜に形成されている。なお、背面視において、左支持部材13Lの連結部、左支持部材12Lの連結部、及び左前後フレーム52Lの連結部の左上がり傾斜は同一傾斜角度に形成され、右支持部材13Rの連結部、右支持部材12Rの連結部、及び右前後フレーム52Rの連結部の右上がり傾斜は同一傾斜角度に形成されている。
【0030】
左前後フレーム52Lの連結部の下面には、前後方向に所定の間隔を隔てて丸形の左防振部材53Lが設けられ、右前後フレーム52Rの連結部の下面には、前後方向に所定の間隔を隔てて丸形の右防振部材53Rが設けられている。
【0031】
左前後フレーム52Lは、左防振部材53Lを介して左前後フレーム10Lの左支持部材12Lと左連結部11Lの左支持部材13Lに連結され、右前後フレーム52Rは、右防振部材53Rを介して右前後フレーム10Rの右支持部材12Rと右連結部11Rの右支持部材13Rに連結される。これにより、作業車両の走行時に発生する走行車体本体10の振動がバッテリ50に伝わるのを抑制して、バッテリ50の破損等を防止することができる。
【0032】
図12に示すように、左前後フレーム52Lの連結部は、左防振部材53Lの中心と左側の左前輪2Lの中心を結ぶ左仮想線55Lに対して直交して設けられている。また、右前後フレーム52Rの連結部は、右防振部材53Rの中心と右側の右前輪2Rの中心を結ぶ右仮想線55Rに対して直交して設けられている。これにより、前輪2と後輪3を介して走行面の凹凸に起因する大きな振動を抑制して、バッテリ50の破損等を防止することができる。
【0033】
次いで、交換用バッテリ50Aの支持構成について説明する。
図13において、車体フレーム10の前部に昇降リンク機構56を設け交換用バッテリ50Aを支持する構成である。すなわち、昇降リンク機構56は前部に載置フレーム57を備え、前方突出状の左右ロアリンク56a,56aとトップリンク56bとによりこの載置フレーム57を昇降可能に連結している。そしてシリンダ機構58の伸縮動によってロアリンク56a,56aを連動して車体フレーム10側支点周りに回動し、もって載置フレーム57を昇降できる構成である。昇降リンク機構56を連動するシリンダ機構58の作動制御は図外昇降スイッチ又は昇降レバー操作に基づくものとしている。
【0034】
昇降リンク機構56の載置フレーム57における交換用バッテリ50Aの支持構成は、例えば前記バッテリブラケット52(
図11)に類似した構成のバッテリブラケット52Aを設けておくものである。予め充電完了された交換用バッテリ50Aに走行車体1を接近し、昇降リンク機構56を下降して載置フレーム57のバッテリブラケット52Aに交換用バッテリ50Aを載置する。昇降リンク機構56を適宜高さに上昇保持するとともに走行車体1を走行しながら作業開始する。作業開始後所定時間経過して本体装着のバッテリ50の交換時期に達すると、走行車体1を停止し、車載のバッテリ50と載置フレーム57側の交換用バッテリ50Aとを入れ替え、作業を継続するものである。したがって、充電中圃場での作業を中断されることがなく効率よく作業を行うことができる。また、重量物であるバッテリを走行車体1の前部に設けることで、ウェイトを取り付けることなく、前後重量バランスを調整できる。
【0035】
図2,3,14に示すように、操縦席60の前側にはステアリングホイール62が設けられ、ステアリングホイール62は上下方向に延在するステアリングシャフト63の上部に支持されている。
【0036】
操縦席60の左側の左フェンダ64Lには、シュータ46の内部に残った刈草を後側の集草容器7へ搬送等を操作するクリーナレバー65が設けられ、操縦席60の右側のフェンダ64Rには、作業機4の昇降を操作する操作レバー66が設けられている。また、操縦時に操縦者が足を載せるフロア67の左前部には、後述のブレーキペダル68が設けられ、右前部には、前進用アクセルペダル70と後進用アクセルペダル71が並設されている。
【0037】
作業機4のシュータ46と操縦席60の間に形成された空間に設けられた電装部品61は、バッテリ50から供給される直流電圧を交流電圧に変換して電動機30等を操作する3相交流電圧波形を生成するインバータ装置80と、バッテリ50の温度、充電状態、電圧保護、各セル短絡状態を監視するバッテリ監視装置81と、操縦席60の前側に設けられた走行速度等を表示するメータパネルに供給する電池を蓄電する鉛蓄電池等の補助バッテリ82と、バッテリ50から供給される直流電圧をクリーナレバー65等の操作位置を検出するセンサに供給する直流電圧に変更するコンバータ装置83から形成されている。
【0038】
インバータ装置80は、電動機30を操作するインバータ装置84と電動機40を操作するインバータ装置85から形成されている。また、インバータ装置84には、回生ブレーキの作動時、すなわち、前進用アクセルペダル75又は後進用アクセルペダル76が解放されて走行車体1の慣性力よって出力軸30Aが回転して電動機30が発電機として作動する場合には、電動機30からインバータ装置80に供給された電力をバッテリ50に充電する充電装置としての機能も兼ね備えている。
【0039】
同様に、PTOがOFFに切り換わると、前記の左刈刃及び右刈刃の慣性力によって出力軸40Aが回転して電動機40が発電機として作動するが、この場合においても作業機4を停止すべく回生ブレーキが作動し、インバータ装置85には、電動機40からインバータ装置80に供給された電力をバッテリ50に充電する充電装置として機能する。
【0040】
平面視において、操縦席60の下側の前部にインバータ装置80が設けられ、インバータ装置80の後側にバッテリ監視装置81が設けられている。また、インバータ装置80の左側に補助バッテリ82が設けられ、バッテリ監視装置81の左側で補助バッテリ82の後側にコンバータ装置83が設けられている。これにより、操縦席60の下側に形成された空間を有効に活用することができる。また、重量が重いバッテリ監視装置81を後側に設けることにより、走行車体本体10の前部と後部に加わる重量の相違を抑制して走行安定性能を高めることができる。
【0041】
前記バッテリ監視装置81には残量を監視できる手段を備え、残量が所定未満に達すると先ず作業機用電動機40への駆動指令を停止する。これによって走行用電動機30のみの出力となって作業は中断するがバッテリ充電作業のための移動に支障がないものとなる。
【0042】
図8において、左前後フレーム10Lの後部には上方に延在する左上下フレーム20Lが設けられ、右前後フレーム10Rの後部には上方に延在する右上下フレーム20Rが設けられ、左上下フレーム20Lと右上下フレーム20Rの上部は左右方向に延在する左右フレーム21に連結されている。
【0043】
左右フレーム21の左部には安全フレーム8の左支柱部8Lの下部が連結される左連結部22Lが設けられ、左右フレーム21の右部には安全フレーム8の右支柱部8Rの下部が連結される右連結部22Rが設けられている。
【0044】
前記左上下フレーム20L、右上下フレーム20R及び左右フレーム21により構成されるフレーム構造枠は集草容器7の支持フレーム25を構成している。この支持フレーム25に、集草容器7を連結する。すなわち、集草容器7の前上部の支点ピン7Pをもって該支点ピン7P回りに上下回動自在に連結される。もって
図1に示すように、集草容器7は前面が前記支持フレーム25に囲われる遮蔽板部(図示せず)に接当する作業姿勢と、集草容器7後部が上方に跳ね上げ状態の刈草放出姿勢とに姿勢変更できる。集草容器7の右側には公知の回動ハンドル7Lを備えて上端の把持部をつかんで前方に倒すと非作業姿勢の前記刈草放出姿勢に変更できる。この場合には収容された芝草を前面の解放部から地面に排出する。
【0045】
次いで、
図16,17に基づき、交換用バッテリ50Bを載置した台車90について説明する。キャスター91,91を備えた台車90には、バッテリブラケット52に類似したバッテリブラケット(図示せず)を構成し、充電済みの交換用バッテリ50Bを載置できる構成である。台車90と走行車体1の車体フレーム10との間には連結手段(図示せず)を設け、台車90が接近状態で相対的な位置関係にずれが生じないよう連結できる構成としている。
【0046】
したがって、予めボンネット5を開いておき、走行車体1の車体フレーム10側に載置されたバッテリ50を取り外しておき、走行車体1に接近連結した台車90の交換用バッテリ50Bを走行車体1側にスライド移動させると、走行車体1側に設置したレール部材92に沿って所定収容位置に到達できる構成としている。したがって、前方に配置した台車90のバッテリ交換作業が容易である。
【0047】
また、
図18~
図20に示すように、フロア67にブレーキペダル68を備え、ブレーキロッド96の前端部を連結している。ブレーキロッド96の後端部には後輪3に設けられたブレーキ97を連動するように連結されている。ブレーキロッド96は前部のロッド部96aと後部のロッド部96bによって構成され両者は連動連結されていて、ブレーキペダル68を踏込んだ場合には、ブレーキペダル68が左右方向に延在する支軸95を中心として反時計方向に回転してブレーキロッド96を前側に移動しブレーキ97を作動させる構成である。また、電動アクチュエータ98を設けて前記後部のロッド部96bを連動できる構成となっている。
【0048】
そして、ブレーキロッド96の途中に補助リンク99を介在している。すなわち、前部のロッド部96aと後部のロッド部96bとの間に、補助リンク99を設けている。この補助リンク99は、下部側支軸99a周りに上部軸99bが前後揺動可能な揺動アーム部99cを備え、上部軸99bには長孔98bを形成したアクチュエータロッド98aの後端プレート98cを連結するとともに、この後端プレート98cとは上部軸99b軸心方向に変位した位置において、前部ロッド96aの後端のボス部96c、後部ロッド96bの前端のボス部96dをそれぞれ嵌合連結して構成されている。
【0049】
このような補助リンク99を介在することで、上部軸99bにそれぞれ連結するロッド類の軸方向位置が軸方向にずれがあっても、確実に作動力を伝達することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 走行車体
3 後輪(駆動輪)
4 作業機
30 電動機
40 電動機
50 バッテリ
50A 交換用バッテリ
57 載置フレーム