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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088369
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】センサユニット
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/22 20060101AFI20240625BHJP
   G01R 15/18 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
G01R1/22 A
G01R15/18 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203504
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 英和
(74)【代理人】
【識別番号】100166811
【弁理士】
【氏名又は名称】白鹿 剛
(72)【発明者】
【氏名】大瀧 泰生
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 寿文
(72)【発明者】
【氏名】神谷 敦
(72)【発明者】
【氏名】鳴川 雄太
(72)【発明者】
【氏名】三田 慎一
【テーマコード(参考)】
2G025
【Fターム(参考)】
2G025AA04
2G025AB04
2G025AC01
(57)【要約】
【課題】センサユニットにおいて、電線を流れる電流を非接触で高精度に計測できるようにすることが求められている。
【解決手段】センサユニット1は、ヒンジ部3を介して互いに回転可能な第一筐体10及び第二筐体20を有する筐体2と、筐体2の内側に収容されており、筐体2が閉状態である場合において配置位置Pにある電線90の通電状態に関する計測を行う計測手段5と、第一筐体10と第二筐体20との少なくとも一方に設けられており、配置位置Pに配置される電線90を収容可能に構成された凹部である収容部14とを備える。計測手段5は、筐体2が閉状態である場合において配置位置Pにある電線90を囲む環状をなすように配置されたロゴスキーコイル45を有し、電線90の電流に関する計測を行うように構成されている。ロゴスキーコイルを用いて、電線を流れる電流を非接触で高精度に計測できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒンジ部を介して互いに回転可能な第一筐体及び第二筐体を有し、前記第一筐体と前記第二筐体との間が開く開状態から、前記第一筐体と前記第二筐体との間の配置位置に電線が配置されるようにして前記第一筐体と前記第二筐体との間が閉まる閉状態にすることができるように構成された筐体と、
前記筐体の内側に収容されており、前記筐体が閉状態である場合において前記配置位置にある電線の通電状態に関する計測を行う計測手段と、
前記第一筐体と前記第二筐体との少なくとも一方に設けられており、前記配置位置に配置される電線を収容可能に構成された凹部である収容部とを備え、
前記計測手段は、前記筐体が閉状態である場合において前記配置位置にある電線を囲む環状をなすように配置されたロゴスキーコイルを有し、前記電線の電流に関する計測を行うように構成されている、センサユニット。
【請求項2】
前記ロゴスキーコイルは、第一端部と第二端部とを有する1本の線状の部材であり、
前記第一端部は、前記筐体が閉状態である場合に前記配置位置にある電線よりも前記ヒンジ部から離れた位置において、前記第一筐体に固定されており、
前記第二端部は、前記筐体が閉状態である場合に前記配置位置にある電線よりも前記ヒンジ部から離れた位置において、前記第二筐体に固定されており、
前記筐体が閉状態である場合に、前記第一端部と前記第二端部とが近接している、請求項1に記載のセンサユニット。
【請求項3】
前記第一筐体にスナップフィットにより固定される、樹脂製の第一キャップと、
前記筐体が閉状態である場合に前記配置位置にある電線の周りの周方向において前記第一キャップに隣接するように、前記第二筐体にスナップフィットにより固定される、樹脂製の第二キャップとを備え、
前記第一端部が、前記第一キャップに取り付けられており、
前記第二端部が、前記第二キャップに取り付けられている、請求項2に記載のセンサユニット。
【請求項4】
前記第一筐体の内側には、前記配置位置にある電線の長手方向において互いに異なる位置に設けられ、前記配置位置にある電線の長手方向に対して略垂直な面を有する2つの第一壁部が形成されており、
前記第二筐体の内側には、前記配置位置にある電線の長手方向において前記2つの第一壁部のそれぞれと略同じ位置に設けられ、前記配置位置にある電線の長手方向に対して略垂直な面を有する2つの第二壁部が形成されており、
前記筐体が閉状態である場合に、前記配置位置にある電線の長手方向において、前記ロゴスキーコイルが前記2つの第一壁部の間に位置するように構成されている、請求項1又は2に記載のセンサユニット。
【請求項5】
前記筐体は、前記閉状態において前記第一筐体と前記第二筐体とがスナップフィットにより係合するように構成されており、前記配置位置にある電線の長手方向において前記第一筐体に対する前記第二筐体の位置を規制可能な係合手段を有する、請求項1又は2に記載のセンサユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、センサユニットに関し、特に、計測対象の電線に設置して当該電線の通電状態に関する計測を行うために用いられるセンサユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電線を挟み込むように配置されて、電気的に非接触である状態において当該電線の通電状態を計測するための様々な機器が用いられている。
【0003】
例えば、電流を計測するための機器として、ロゴスキーコイルを用いたクランプ式電流センサがある(例えば、下記特許文献1、特許文献2参照)。一般的に、ロゴスキーコイルは、基端部と先端部とを接続して環をなすようにして用いられる。環状のロゴスキーコイルの内部配置された電線に流れる電流を、ロゴスキーコイルにより計測することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-51893号公報
【特許文献2】特許第4077926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述の特許文献1や特許文献2に記載されているようなクランプ式電流センサにおいては、計測対象の電線の位置がクランプ内で定まらないため、検出感度が一定でなく、高精度な計測結果が得られないという問題がある。
【0006】
この発明は、ロゴスキーコイルを用いて高精度な計測結果を得ることができるセンサユニットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本第一の発明のセンサユニットは、ヒンジ部を介して互いに回転可能な第一筐体及び第二筐体を有し、第一筐体と第二筐体との間が開く開状態から、第一筐体と第二筐体との間の配置位置に電線が配置されるようにして第一筐体と第二筐体との間が閉まる閉状態にすることができるように構成された筐体と、筐体の内側に収容されており、筐体が閉状態である場合において配置位置にある電線の通電状態に関する計測を行う計測手段と、第一筐体と第二筐体との少なくとも一方に設けられており、配置位置に配置される電線を収容可能に構成された凹部である収容部とを備え、計測手段は、筐体が閉状態である場合において配置位置にある電線を囲む環状をなすように配置されたロゴスキーコイルを有し、電線の電流に関する計測を行うように構成されている、センサユニットである。
【0008】
かかる構成により、ロゴスキーコイルを用いて高精度な計測結果を得ることができる。
【0009】
また、本第二の発明のセンサユニットは、第一の発明に対して、ロゴスキーコイルは、第一端部と第二端部とを有する1本の線状の部材であり、第一端部は、筐体が閉状態である場合に配置位置にある電線よりもヒンジ部から離れた位置において、第一筐体に固定されており、第二端部は、筐体が閉状態である場合に配置位置にある電線よりもヒンジ部から離れた位置において、第二筐体に固定されており、筐体が閉状態である場合に、第一端部と第二端部とが近接している、センサユニットである。
【0010】
かかる構成により、容易に電線に取り付け可能な構造を有するセンサユニットにより、高精度な計測結果を得ることができる。
【0011】
また、本第三の発明のセンサユニットは、第二の発明に対して、第一筐体にスナップフィットにより固定される、樹脂製の第一キャップと、筐体が閉状態である場合に配置位置にある電線の周りの周方向において第一キャップに隣接するように、第二筐体にスナップフィットにより固定される、樹脂製の第二キャップとを備え、第一端部が、第一キャップに取り付けられており、第二端部が、第二キャップに取り付けられている、センサユニットである。
【0012】
かかる構成により、ノイズを発生させる可能性がある金属製品を用いずにロゴスキーコイルを保持することができるのでより高精度な計測結果を得ることができ、かつ、容易に組立可能になる。
【0013】
また、本第四の発明のセンサユニットは、第一から三のいずれか1つの発明に対して、第一筐体の内側には、配置位置にある電線の長手方向において互いに異なる位置に設けられ、配置位置にある電線の長手方向に対して略垂直な面を有する2つの第一壁部が形成されており、第二筐体の内側には、配置位置にある電線の長手方向において2つの第一壁部のそれぞれと略同じ位置に設けられ、配置位置にある電線の長手方向に対して略垂直な面を有する2つの第二壁部が形成されており、筐体が閉状態である場合に、配置位置にある電線の長手方向において、ロゴスキーコイルが2つの第一壁部の間に位置するように構成されている、センサユニットである。
【0014】
かかる構成により、ロゴスキーコイルに対する電線の位置が変化しにくくなり、より高精度な計測結果を得ることができる。
【0015】
また、本第五の発明のセンサユニットは、第一から四のいずれか1つの発明に対して、筐体は、閉状態において第一筐体と第二筐体とがスナップフィットにより係合するように構成されており、配置位置にある電線の長手方向において第一筐体に対する第二筐体の位置を規制可能な係合手段を有する、センサユニットである。
【0016】
かかる構成により、閉状態においてロゴスキーコイルが確実に環状をなし、高精度な計測結果を得ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によるセンサユニットによれば、高精度な計測結果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施の形態に係るセンサユニットの閉状態を説明する図
図2】同センサユニットの開状態を説明する図
図3】同センサユニットの分解斜視図
図4】同センサユニットを異なる方向から見た分解斜視図
図5】同センサユニットの第一筐体を示す斜視図
図6】同センサユニットの第二筐体を示す斜視図
図7】同センサユニットのロゴスキーコイルの取付構造を示す斜視図
図8】同センサユニットのロゴスキーコイルの取付構造を示す側断面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、センサユニット等の実施形態について図面を参照して説明する。
【0020】
なお、以下の説明において、図面において示される座標は、各図同士で共通している。座標の上、下を上下方向ということがあり、右、左を左右方向ということがあり、手前、奥を前後方向ということがある。上下方向は、説明のために観念する水平面に対して、垂直な方向である。上下方向、左右方向、前後方向は、互いに垂直な方向である。左右方向は、第一方向と言ってもよく、前後方向は、第二方向と言ってもよい。以下において、このように各方向を示して各部の形状や位置関係を説明することがあるが、これらは、特定の利点に関して明示するものを除いて、あくまで説明の便宜のために定義したものであって本発明に係るセンサユニット等の使用時における向きや姿勢などを限定するものではない。
【0021】
(実施の形態)
【0022】
本実施の形態の概要は、次の通りである。すなわち、センサユニットは、ロゴスキーコイルを用いることにより、小型化、軽量化された構成を有している。ロゴスキーコイルは、筐体に設けられたポケット構造を利用して収容されている。ポケット構造とは、肉抜き部であると言ってもよい。すなわち、センサユニットは、小型化と軽量化とが実現され、かつ、丈夫な構造を有している。
【0023】
本実施の形態において、ロゴスキーコイルは、筐体の内周面に沿った長さを有しており、筐体の開閉に応じて撓むように構成されている。筐体は、開閉可能な構造を有し、電線を挟み込むようにして、電線に配置可能に構成されている。センサユニットは、上下に分割され、ヒンジ部を介して回転することにより開閉可能な筐体を有している。センサユニットの上側の筐体には、電線に掛けられる凹形をなす部位が設けられている。電線は、センサユニット1の凹部に掛けられ、その外周にロゴスキーコイル45が配置されるようになっている。以下、このようなセンサユニット1の構成について説明する。
【0024】
本実施の形態において、センサユニット1は、例えば、三相交流の高圧電力の配電系統において用いられる地絡事故判定システム等に用いられる。配電系統は、電線(配電線)を通じて、変電所から各需要家に配電する。センサユニット1は、配電系統において、任意の箇所の電線に配置可能に構成されている。例えば、センサユニット1は、配電系統において、変電所や開閉器同士の間の線路毎に配置されたり、幹線からの分岐点同士の間の区間毎に配置されたりするが、これらに限られない。
【0025】
電線に配置されているセンサユニット1は、当該電線の通電状態に関する計測を行うことができるように構成されている。通電状態に関する計測を行うとは、電線を流れる電流に関する計測を行うこと、電線の電圧に関する計測を行うこと又はこれらの両方を行うことをいう。すなわち、本実施の形態においては、センサユニット1は、取り付け対象となっている電線の電流及び電圧を計測可能に構成されている。なお、いずれか一方のみを計測可能であってもよい。
【0026】
センサユニット1は、例えば、センサユニット1の外部の処理装置(図示せず)に、信号線を介して計測結果を出力することができる。これにより、処理装置において、センサユニット1の計測結果を利用することができる。計測結果の利用とは、例えば、計測結果又はそれを用いて取得した種々の情報を蓄積したりすることや、外部の装置に出力したりすることであるが、これらに限られない。なお、処理装置がセンサユニット1の内部に収納されていてもよい。センサユニット1は、かかる処理装置を含む装置であってもよいし、かかる処理装置を含まない装置であってもよい。センサユニット1は、センサヘッドと呼ばれたりプローブと呼ばれたりしてもよい。
【0027】
まず、本実施の形態に係るセンサユニット1の大まかな構成について説明する。
【0028】
図1は、本実施の形態に係るセンサユニット1の閉状態を説明する図である。図2は、同センサユニット1の開状態を説明する図である。図3は、同センサユニット1の分解斜視図である。図4は、同センサユニット1を異なる方向から見た分解斜視図である。
【0029】
図1において、上段には左上方手前側から見た斜視図が示されており、下段には左側面図が示されている。図2において、上段には左下方手前側から見た斜視図が示されており、下段には左側面図が示されている。なお、以下の図やその説明において、主要な構成要素についてのみ言及したり図示したりしているが、言及や図示のない構成要素を含んでセンサユニット1が構成されていてもよい。
【0030】
図に示されるように、センサユニット1は、大まかに、筐体2の内部に、種々の構成要素が収納された構成を有している。筐体2の内部には、例えば、計測手段5やシールド部材7などが収容されている。筐体2は、計測手段5等を内部に収容するように構成されており、後述するようにして、配置位置Pに位置させた電線90を囲むようにして、当該電線90に配置される。
【0031】
本実施の形態において、筐体2は、側面視で、全体として楕円柱形状を有している。すなわち、センサユニット1は、左右方向が高さ方向となる楕円柱形状を有している。なお、筐体2の形状はこれに限られない。
【0032】
筐体2は、第一筐体10と、第二筐体20とを有している。筐体2は、第一筐体10と第二筐体20との2つに分割可能に構成されている。筐体2は、第一筐体10と第二筐体20との間に電線90を挟み込むようにして、電線90に設置されるように構成されている。
【0033】
本実施の形態において、第一筐体10は、第一ヒンジ部11、上ユニット配置部13、収容部14及び工具取付部18を備える。第一筐体10は、例えば樹脂製である。第一筐体10は、例えば、樹脂を用いて一体成型されて構成されている。一部に樹脂以外の素材が設けられていてもよい。また、一部の構成要素又は2以上の部材が接着や機械的な方法(例えば、ネジ止めなど)により結合されて構成されていてもよい。
【0034】
第二筐体20は、第二ヒンジ部21及び下ユニット配置部23を備える。第二筐体20は、例えば樹脂製である。第二筐体20は、例えば、樹脂を用いて一体成型されて構成されている。一部に樹脂以外の素材が設けられていてもよい。また、一部の構成要素又は2以上の部材が接着や機械的な方法(例えば、ネジ止めなど)により結合されて構成されていてもよい。
【0035】
本実施の形態において、第一筐体10と第二筐体20とは、ヒンジ部3を介して互いに回転可能に組み合わされている。ヒンジ部3は、第一筐体10の奥に設けられた第一ヒンジ部11と、第二筐体20の奥に設けられた第二ヒンジ部21とで構成されている。第一ヒンジ部11と第二ヒンジ部21とが係合しており、回転軸を中心に第一筐体10と第二筐体20とが互いに回転可能になっている。ヒンジ部3の回転軸は、例えば、左右方向に平行である。ヒンジ部3は、筐体2の奥側に配置されている。すなわち、第二筐体20は、第一筐体10に対して、その手前側が下方に変位する方向に回転可能である。
【0036】
筐体2は、図2に示されるようなヒンジ部3を中心に第一筐体10と第二筐体20との間が開く開状態と、図1に示されるような第一筐体10と第二筐体20との間が閉まる閉状態とに可逆的に状態を変化させることができるようになっている。
【0037】
本実施の形態において、センサユニット1は、通常、第一筐体10が上側、第二筐体20が下側に位置するような姿勢で、電線90に取り付けられて用いられる。このような通常の姿勢を、説明の便宜上、通常姿勢という。通常姿勢において、第一筐体10の姿勢が開状態と閉状態とで同一となる場合、閉状態における第二筐体20の位置は、開状態における第二筐体20の位置よりも、上方にあるといえる。なお、第一筐体10を上側筐体と言い、第二筐体20を下側筐体と言ってもよい。
【0038】
閉状態における第一筐体10と第二筐体20との間の角度と、開状態における第一筐体10と第二筐体20との間の角度との差の最大値は、90度以下になるように構成されている。より好ましくは、本実施の形態において、開状態における第一筐体10に対する第二筐体20の角度と、閉状態における第一筐体10に対する第二筐体20の角度との差は、60度以下になるように構成されている。このような角度制限を設けることは、例えばヒンジ部3の構造を設定することにより実現可能であるが、制限方法はこれに限られない。なお、これに限れず、開状態においてより広い角度になるまで第一筐体10に対して第二筐体20を回転させることができるように構成されていてもよい。ヒンジ部が奥側にあり、筐体2の開閉可能な角度範囲が上記のような所定の角度以下になるように構成されているので、筐体2が開閉される場合に重心の位置が変化しにくく、第一筐体10が上側にある姿勢のままでセンサユニット1が安定しやすくなっている。筐体2の開閉可能な角度範囲が60度以下である場合、筐体2が開閉される場合の重心の位置がより変化しにくくなる。
【0039】
筐体2は、開状態から、第一筐体10と第二筐体20との間の配置位置Pに電線90が配置されるようにして閉状態にすることができるように構成されている。すなわち、センサユニット1が電線90に適切に取り付けられている状態で、電線90は、センサユニット1に対して所定の配置位置Pに位置する。配置位置Pは、閉状態においてセンサユニット1を用いて適切に測定を行うことができる、センサユニット1に対する電線90の位置であるといえる。本実施の形態において、後述するように、収容部14に配置された電線90の位置が、配置位置Pであるといえる。
【0040】
なお、本実施の形態において、筐体2は、係合手段24を有している。係合手段24は、閉状態において、第一筐体10と第二筐体20とが互いに係合するように構成された構造である。係合手段24を係合構造と言ってもよい。本実施の形態において、係合手段24は、第一筐体10と第二筐体20との少なくとも一方に設けられたスナップフィットを有している。スナップフィットとは、ここでは、所定の方向に延びる梁状の部位の一部に他の部材に係合可能な係合部が形成された構造をいう。スナップフィットの梁状の部位は、所定の方向に対して垂直な方向において可撓性を有しており、係合部が他の部材に対して近づいたり遠ざかったりするように変位可能に構成されている。
【0041】
係合手段24は、例えば、第二筐体20から上方に突出する部位に形成されたスナップフィット部242と、第一筐体10に形成された被係合部142とで構成されている。すなわち、スナップフィット部242は、例えば左右方向において、被係合部142に係合可能な部位を有するように構成されている。また、被係合部142は、左右方向において、スナップフィット部242に係合可能な形状を有している。被係合部142は、閉状態において、スナップフィット部242が係合可能である。開状態から閉状態になる際に、第一筐体10に対して第二筐体20が変位するのに伴って、スナップフィット部242の一部が被係合部142に接触してスナップフィット部242の一部が変形する。そのまま閉状態になると、被係合部142にスナップフィット部242が係合して、スナップフィット部242の変形が若干緩和される。これにより、係合手段24により第一筐体10と第二筐体20とが互いに係合した状態が得られる。当該係合を解除させるような大きな外力等が加わらなければ、係合手段24により閉状態において筐体2が係合した状態が維持される。係合手段24は、左右方向において、第一筐体10に対する第二筐体20の位置を規制可能であると言ってもよい。
【0042】
なお、本実施の形態において、係合手段24を構成するスナップフィット部242と被係合部142との対は、左右方向において互いに異なる複数箇所に設けられている。具体的には、スナップフィット部242と被係合部142との対は、筐体2の右側面の近傍と、左側面の近傍との2箇所に設けられている。このように、長手方向において異なる2箇所に係合手段24が設けられていることにより、係合手段24により筐体2が係合した状態がより安定して維持される。
【0043】
なお、係合手段24は、第一筐体10側から第二筐体20側に突出するスナップフィットを有するものであってもよい。また、第二筐体20(又は第一筐体10)に、閉状態において第一筐体10(又は第二筐体20)に嵌入するような突起部が形成されており、第一筐体10(又は第二筐体20)において当該突起部に係合可能なスナップフィットが形成されていてもよい。また、係合手段24の構成はこれに限られない。スナップフィットを用いた構造とは異なる構造が用いられていてもよい。
【0044】
工具取付部18は、例えば、第一筐体10の左側面に設けられている。すなわち、工具取付部18は、第一筐体10のうち、配置位置Pにある電線90の長手方向における一方の端部近傍に設けられている。なお、工具取付部18は、第一筐体10のうち異なる部位に設けられていてもよいし、第二筐体20に設けられていてもよい。上述のとおり、工具取付部18は、第一筐体10のその他の部位と、樹脂により一体成型されて構成されている。なお、工具取付部18の一部が、第一筐体10と樹脂により一体成型されていてもよい。また、成型された第一筐体10に、工具取付部18が組みつけられていてもよい。
【0045】
ここで、工具取付部18は、第一筐体10のうち、前後方向において収容部14とヒンジ部3すなわち第一ヒンジ部11との間に設けられている。換言すると、工具取付部18は、配置位置Pにある電線90に直交する方向のうち水平な方向である前後方向において、ヒンジ部3と電線90との間にあるといえる。
【0046】
図1において、配置位置Pに配置されている電線90が、二点鎖線で示されている。配置位置Pにある電線90は、センサユニット1の略中央部を通過する。センサユニット1に対して配置位置Pにある電線90の長手方向は、センサユニット1の左右方向に略一致する。電線90に垂直などの方向においても、電線90から筐体2の外表面までの距離がある程度確保されるようになっている。
【0047】
収容部14は、配置位置Pに配置されている電線90を収容可能に構成された部位である。収容部14に電線90が配置されていることにより、筐体2の内側に電線90が収容されている状態で、筐体2が閉状態となりうる。本実施の形態において、収容部14は、第一筐体10に形成されている。なお、収容部14は、第一筐体10と第二筐体20との両方に設けられていたりしてもよい。
【0048】
収容部14は、側面視で、第二筐体20に対向する第一筐体10の面から、第二筐体20から離れる方向に向けて凹むように形成された凹部である。換言すると、収容部14は下方に向けて開放された凹部である。収容部14は、左右方向に沿うような溝状の凹部を構成している。すなわち、収容部14は、左右方向において互いに凹部部分が重なるように第一筐体10に形成されており、これにより左右方向が長手方向となるようにして電線90を収容可能である。本実施の形態において、第一筐体10には、左右の両側面の近傍部位において、左右方向に対して略垂直な板状部が複数設けられている。収容部14は、それぞれの板状部の一部を欠くように形成されており、第一筐体10の全体として、左右方向が長手方向となるようにして電線90が収容部14に収容可能となっている。
【0049】
閉状態であって通常姿勢である場合において、第一筐体10は、筐体2のうち上側半分を占める部位であるといえ、第二筐体20は、筐体2のうち下半分を占める部位であるといえる。通常姿勢である閉状態の筐体2は、筐体2の中央部を通る水平面を境にして上下2つの部位(第一筐体10、第二筐体20)に分割されていると言ってもよい。
【0050】
なお、筐体2は、3つ以上の部位に分かれていてもよい。また、第一筐体10と第二筐体20とが、より複雑な境界で分かれていてもよい。
【0051】
第一筐体10において、上ユニット配置部13は、第一筐体10の底面(第二筐体20に対向する面)から上方に窪むように形成されている。上ユニット配置部13には、後述するように、ケーブル接触部60が配置される。
【0052】
第二筐体20において、下ユニット配置部23は、第二筐体20の上面(第一筐体10に対向する面)から下方に窪むように形成されている。下ユニット配置部23には、後述するように、検知部51が配置される。
【0053】
なお、筐体2は、閉状態において、第一筐体10と第二筐体20とが締結部材88により締結されて用いられる。これにより、外力、外乱等により意図せず開状態になってしまうことを防止することができる。締結部材88は、例えば、第一筐体10側に形成された雌ねじに係合するボルトであり、筐体2の手前側と奥側とにそれぞれ設けられている。締結部材88は、第二筐体20の表面に形成された窪部203が座面となるように配置される。締結部材88は、センサユニット1の下側から工具を用いて締め付けを行うことができるようになっている。したがって、間接活線工具等を用いて容易にセンサユニット1の設置作業を行うことができる。
【0054】
また、筐体2の底部には、センサユニット1が高所から脱落してしまうことを予備的に防止するためのテザー部材(図示せず)を接続することができるテザー取付部205が設けられている。テザー取付部205は、第二筐体20に一体に形成された環状部であるが、これに限られず、例えば第二筐体20に取り付けられるアイボルト等であってもよい。
【0055】
本実施の形態において、筐体2の底部には、信号線93を接続するためのコネクタ81が配置されている。通常姿勢において底面となる位置にコネクタ81が設けられているので、センサユニット1と信号線93との接続について、耐候性を高めることができる。
【0056】
計測手段5は、計測部と言ってもよい。計測手段5は、筐体2の内側に収容されており、閉状態において配置位置Pにある電線90の通電状態に関する計測を行う。本実施の形態において、計測手段5は、電流センサ部40及び電圧センサ部50を含む。計測手段5は、電線90の電流と電圧とを計測可能に構成されている。
【0057】
本実施の形態において、電流センサ部40は、ロゴスキーコイル45を有する。後述するように、電流センサ部40は、筐体2が閉状態である場合において電線90を囲む環状部を有するように構成されている。電流センサ部40は、ロゴスキーコイル45によって、電線90の電流を検知可能に構成されている。
【0058】
本実施の形態において、第二キャップ42の内部において、ロゴスキーコイル45から、計測手段5において電流を計測するための回路が設けられている基板(図示せず)に接続するための接続線45bが引き出される。
【0059】
電圧センサ部50は、おおまかに、検知部51と、ケーブル接触部60と、付勢部材69とを含んでいる。電圧センサ部50は、検知部51によって、配置位置Pにある電線90の電圧を検知可能に構成されている。
【0060】
検知部51は、閉状態において配置位置Pにある電線90に沿うように位置する。検知部51は、検知部筐体52と、絶縁性パッド54と、カバー56とを含んでいる。検知部51は、全体として箱形に形成されている。検知部51は、下ユニット配置部23に収容される。すなわち、検知部51は、第二筐体20に取り付けられている。
【0061】
絶縁性パッド54は、検知部筐体52の上面に配置されている。検知部筐体52の内部において、絶縁性パッド54の下方には、電線90の周囲の電界を検知するための電極(図示せず)が配置されている。電極は、計測手段5において電圧を計測するための回路が設けられている基板(図示せず)に接続されている。
【0062】
カバー56は、検知部筐体52の下側を覆うように構成されている。検知部筐体52とカバー56とで覆われている内部には、計測手段5を構成する電極や回路基板等が配置されている。検知部筐体52とカバー56とで覆われることにより、内部の部材について一定程度の防水性能が確保されている。
【0063】
ケーブル接触部60は、閉状態において、検知部51の上方に位置する。ケーブル接触部60は、第一筐体10に配置されており、配置位置Pにある電線90に接触可能に構成されている。ケーブル接触部60は、全体として箱形の外径形状を有している。ケーブル接触部60は、第一筐体10の上ユニット配置部13に収容される。
【0064】
閉状態において、ケーブル接触部60と検知部51との間の配置位置Pに電線90が位置する。配置位置Pにある電線90は、ケーブル接触部60と検知部51との間に挟持される。すなわち、収容部14に収容されている電線90は、ケーブル接触部60と検知部51とで挟持された状態となる。
【0065】
ケーブル接触部60の下部には、接触パッド64が取り付けられている。接触パッド64は、配置位置Pにある電線90に接触し、電線90を検知部51に向けて押し付けるように構成されている。接触パッド64には、左右方向に沿って上方に窪むように構成されたガイド面641が設けられている。電線90は、ガイド面641に当接して、前後方向における位置が適切な配置位置Pとなるように位置決めがされた状態で検知部51に向けて押し付けられる。本実施の形態において、ケーブル接触部60において、接触パッド64の上下方向における位置は、調整可能に構成されている。これにより、様々な太さの電線90にセンサユニット1を用いることができる。様々な太さの電線90のそれぞれについて、適切に収容部14に収容した状態でセンサユニット1を設置することができる。
【0066】
本実施の形態において、付勢部材69は、例えばコイルばねである。付勢部材69は、その他のばねであったり、ゴムやスポンジ等の、圧縮された状態で反発力を発生させる部材であったりしてもよい。付勢部材69は、自然状態から圧縮された状態で配置されている。付勢部材69は、ケーブル接触部60の上面と、第一筐体10の内面との間に配置されている。付勢部材69は、ケーブル接触部60を下に付勢することができる。これにより、閉状態において、電線90を、ケーブル接触部60と検知部51との間で確実に挟持することができる。
【0067】
なお、付勢部材69は、検知部51と第二筐体20との間に配置されて、第二筐体20を上方に付勢するように設けられていてもよい。また、付勢部材69は、第一筐体10側と第二筐体20側との両方に設けられていてもよい。すなわち、付勢部材69は、ケーブル接触部60と検知部51との少なくとも1つを他方に向けて付勢するように、ケーブル接触部60と検知部51との少なくとも1つと筐体2との間に配置されていればよい。
【0068】
シールド部材7は、例えば、銅箔等、金属製のシートである。シールド部材7は、閉状態において、配置位置Pにある電線90と、当該電線90に沿って配置される計測手段5の部材とを囲むように配置されている。
【0069】
より具体的には、本実施の形態において、シールド部材7は、電圧センサ部50の周囲を、側面視で一周囲むことができるように配置されている。例えば、ケーブル接触部60及び付勢部材69と、第一筐体10の内面との間に、シールド部材7が配置されている。また、検知部51と第二筐体20の内面との間にシールド部材7が配置されている。このような上側と下側とのシールド部材7は、ヒンジ部3に近い奥側において電気的に繋がっている。閉状態において、電圧センサ部50と電線90とが導体であるシールド部材7により囲まれていることにより、電線90の周囲の電界が、周囲の状況の影響を受けることを防止することができ、適切に、検知部51により電線90の電圧を測定することができる。
【0070】
なお、本実施の形態において、筐体2には、ガイド部12が設けられている。ガイド部12は、開状態において、配置位置Pに配置されようとする電線90が、ヒンジ部3に近接しないように、電線90の位置を規制可能に構成されている。本実施の形態において、ガイド部12は、第一筐体10に設けられている。すなわち、ガイド部12は、第一筐体10と第二筐体20とのうち、収容部14が設けられている一方に固定されている。
【0071】
ガイド部12の形状は、例えば、側面視でヒンジ部3の回転軸に中心が略一致する扇形形状である。すなわち、ガイド部12は、配置位置Pに配置される電線90の長手方向、すなわちヒンジ部3の回転軸方向に平行な方向から見て、ヒンジ部3側が中心側となる円の一部をなす扇形の形状を有している。本実施の形態において、ガイド部12が有する扇形の形状は、中心角が、電線90への取付作業時に通常想定される筐体2の開閉角度の範囲(開状態における第一筐体10と第二筐体20との最大の角度)と略同じか、それより大きくなっている。
【0072】
閉状態において、ガイド部12は、第二筐体20の内部に収容される。この場合において、ガイド部12は、側面視で、第二筐体20の外表面やその内部のリブ状の部位などに重なるようになっている。すなわち、閉状態において、ガイド部12が第二筐体20の内部に収容されていることにより、左右方向における第一筐体10に対する第二筐体20の位置が規制されるようになっている。
【0073】
ここで、本実施の形態において、電流センサ部40のロゴスキーコイル45は、筐体に設けられたポケット構造を利用して収容されている。以下、このような構造について説明する。
【0074】
図5は、同センサユニット1の第一筐体10を示す斜視図である。
【0075】
本実施の形態において、第一筐体10は、上コイル配置部15を備える。上コイル配置部15には、後述するように、電流センサ部40の構成部材が配置される。
【0076】
上コイル配置部15は、第一筐体10の右側面である外表部171の近傍部位に設けられている。上コイル配置部15は、上ユニット配置部13の右側に設けられていると言ってもよい。上コイル配置部15は、第一筐体10の底面から上方に窪むように形成されている。すなわち、上コイル配置部15は、第一筐体10の内側に設けられている凹部である。上コイル配置部15は、第一筐体10の底面において下方に開口するように構成されている。上コイル配置部15と上ユニット配置部13とは、例えば、第一筐体10に形成されているリブ状の隔壁175により区画されている。本実施の形態において、上コイル配置部15は、第一筐体10の内側の空間のうち、隔壁175と外表部171とにより区画される空間である。第一筐体10の内側には、左右方向において互いに異なる位置に設けられ、左右方向に対して略垂直な面を有する2つの第一壁部17が形成されていると言ってもよい。この場合、2つの第一壁部17は、隔壁175及び外表部171のそれぞれの、互いに対向する面であるといえる。
【0077】
上コイル配置部15のうち手前側には、キャップ配置部16が設けられている。キャップ配置部16は、収容部14よりも第一ヒンジ部11から離れている位置に設けられている。上コイル配置部15には、前後方向に対して略垂直に立ち上がるリブ状の配置部内隔壁部162が形成されている。キャップ配置部16は、上コイル配置部15のうち、配置部内隔壁部162により区画されている部位であるといえる。キャップ配置部16は、第一筐体10の底面において下方に開口するように構成されている。
【0078】
キャップ配置部16の内側面には、係合部161が形成されている。係合部161は、第一キャップ41に係合可能な部位である。係合部161は、例えば、キャップ配置部16の下端部近傍に形成されている。
【0079】
本実施の形態において、配置部内隔壁部162には、スリット163が形成されている。スリット163は、例えば、ロゴスキーコイル45の線径より若干大きな幅寸法を有している。配置部内隔壁部162は、ロゴスキーコイル45をはめ込み可能な切欠き状の部位であるスリット163を有していると言ってもよい。
【0080】
図6は、同センサユニット1の第二筐体20を示す斜視図である。
【0081】
本実施の形態において、第二筐体20は、下コイル配置部25を備える。下コイル配置部25には、後述するように、電流センサ部40の構成部材が配置される。
【0082】
下コイル配置部25は、第二筐体20の右側面である外表部271の近傍部位に設けられている。下コイル配置部25は、下ユニット配置部23の右側に設けられていると言ってもよい。下コイル配置部25は、第二筐体20の上面から下方に窪むように形成されている。すなわち、下コイル配置部25は、第二筐体20の内側に設けられている凹部である。下コイル配置部25は、第二筐体20の上面において上方に開口するように構成されている。下コイル配置部25と下ユニット配置部23とは、例えば、第二筐体20に形成されているリブ状の隔壁275により区画されている。本実施の形態において、下コイル配置部25は、第二筐体20の内側の空間のうち、隔壁275と外表部271とにより区画される空間である。第二筐体20の内側には、左右方向において互いに異なる位置に設けられ、左右方向に対して略垂直な面を有する2つの第二壁部27が形成されていると言ってもよい。この場合、2つの第二壁部27は、隔壁275及び外表部271のそれぞれの、互いに対向する面であるといえる。
【0083】
なお、本実施の形態において、左右方向において、第二筐体20の外表部271は第一筐体10の外表部171と略同じ位置にあり、第二筐体20の隔壁275は第一筐体10の隔壁175と略同じ位置にある。すなわち、配置位置Pにある電線90の長手方向において、2つの第一壁部17のそれぞれと同じ位置に設けられるように、2つの第二壁部27が形成されている。
【0084】
下コイル配置部25のうち手前側には、キャップ配置部26が設けられている。キャップ配置部26は、閉状態において収容部14よりも第二ヒンジ部21から離れている位置に設けられている。下コイル配置部25には、前後方向に対して略垂直に立ち上がるリブ状の配置部内隔壁部262が形成されている。キャップ配置部26は、下コイル配置部25のうち、配置部内隔壁部262により区画されている部位であるといえる。キャップ配置部26は、第二筐体20の上面において上方に開口するように構成されている。
【0085】
キャップ配置部26の内側面には、係合部261が形成されている。係合部261は、第二キャップ42に係合可能な部位である。係合部261は、例えば、キャップ配置部26の上端部近傍に形成されている。
【0086】
本実施の形態において、配置部内隔壁部262には、スリット263が形成されている。スリット263は、例えば、ロゴスキーコイル45の線径より若干大きな幅寸法を有している。配置部内隔壁部262は、ロゴスキーコイル45をはめ込み可能な切欠き状の部位であるスリット263を有していると言ってもよい。
【0087】
図7は、同センサユニット1のロゴスキーコイル45の取付構造を示す斜視図である。図8は、同センサユニット1のロゴスキーコイル45の取付構造を示す側断面図である。
【0088】
図8においては、ロゴスキーコイル45を通る平面における断面が示されている。
【0089】
本実施の形態において、ロゴスキーコイル45は、閉状態において配置位置Pにある電線90の周囲を囲むように、筐体2の右側に収容されている。ロゴスキーコイル45は、閉状態において上コイル配置部15と下コイル配置部25とで構成される空間であるセンサ配置部2Sに収容される。すなわち、本実施の形態において、閉状態において、筐体2の内部には、上コイル配置部15と下コイル配置部25とで構成されるセンサ配置部2Sが設けられているといえる。ロゴスキーコイル45は、センサ配置部2S内に収容されている。
【0090】
ロゴスキーコイル45は、2つのキャップ41,42を用いて、筐体2に保持される。すなわち、本実施の形態において、本実施の形態において、電流センサ部40は、第一キャップ41と、第二キャップ42とを含んでいる。
【0091】
ロゴスキーコイル45は、第一端部451と第二端部452とを有する1本の線状の部材である。ロゴスキーコイル45の各端部451,452は、第一キャップ41と第二キャップ42とのそれぞれにはまり込んでいる。
【0092】
第一キャップ41は、第一筐体10のキャップ配置部16に取り付けられる。第一キャップ41は、樹脂製の部材である。第一キャップ41は、スナップフィット構造を有し、キャップ配置部16に形成された係合部161に係合可能に構成されている。すなわち、第一キャップ41は、キャップ配置部16において、第一筐体10の底面近傍に配置されている。第一キャップ41は、第一端部451が第一キャップ41の下端部近傍に位置するようにして、ロゴスキーコイル45に取り付けられている。例えば、第一端部451の近傍部位は、第一キャップ41に接着されている。
【0093】
第二キャップ42は、第二筐体20のキャップ配置部26に取り付けられる。第二キャップ42は、樹脂製の部材である。第二キャップ42は、スナップフィット構造を有し、キャップ配置部26に形成された係合部261に係合可能に構成されている。すなわち、第二キャップ42は、キャップ配置部26において、第二筐体20の上面近傍に配置されている。第二キャップ42は、第二端部452が第二キャップ42の上端部近傍に位置するようにして、ロゴスキーコイル45に取り付けられている。例えば、第二端部452の近傍部位は、第二キャップ42に接着されている。
【0094】
第一キャップ41は、ロゴスキーコイル45が第一端部451から上方に伸びるような姿勢となるようにして、キャップ配置部16の開口部から上方はめ込まれる。そして、第一キャップ41がスナップフィットにより係合部161に係合した状態になることにより、第一キャップ41がキャップ配置部16に固定される。この場合において、ロゴスキーコイル45の第一端部451側の一部は、スリット163を通るようにして上方にはめ込まれ、上コイル配置部15の内部に収容される。
【0095】
第二キャップ42は、ロゴスキーコイル45が第二端部452から下方に伸びるような姿勢となるようにして、キャップ配置部26の開口部から下方にはめ込まれる。そして、第二キャップ42がスナップフィットにより係合部261に係合した状態になることにより、第二キャップ42がキャップ配置部26に固定される。この場合において、ロゴスキーコイル45の第二端部452側の一部は、スリット263を通るようにして下方にはめ込まれ、下コイル配置部25の内部に収容される。
【0096】
このように第一キャップ41が第一筐体10に固定されているので、第一端部451は、筐体2が閉状態である場合に配置位置Pにある電線90よりもヒンジ部3から離れた位置において、第一筐体10に固定されているといえる。また、第二キャップ42が第二筐体20に固定されているので、第二端部452は、筐体2が閉状態である場合に配置位置Pにある電線90よりもヒンジ部3から離れた位置において、第二筐体20に固定されているといえる。ロゴスキーコイル45は、上コイル配置部15及び下コイル配置部25のうち、配置位置Pにある電線90よりもヒンジ部3に近い領域を通るように配置されている。
【0097】
第二キャップ42は、図8にステップS1として示されるように筐体2が閉状態である場合に、配置位置Pにある電線90の周りの周方向において第一キャップ41に隣接するようにして固定されている。本実施の形態においては、第一筐体10と第二筐体20との境界面近傍において、第一キャップ41と第二キャップ42とが、上下に隣接するようにして固定されている。第一キャップ41と第二キャップ42とは、互いに対向する平面を有している。筐体2が閉状態である場合においては、第一キャップ41の下端部と第二キャップ42の上端部とが近接している。すなわち、筐体2が閉状態である場合においては、第一端部451と第二端部452とが近接している状態となる。ロゴスキーコイル45は、筐体2が閉状態である場合において配置位置Pにある電線90を囲む環状をなすようにして、センサ配置部2Sに収容されている。
【0098】
ロゴスキーコイル45は、第一筐体10に固定された第一キャップ41に第一端部451が固定され、第二筐体20に固定された第二キャップ42に第二端部452が固定されて、センサ配置部2Sに配置されている。そのため、図8にステップS2として示されるように筐体2が開状態になる場合、第一キャップ41に対する第二キャップ42の位置が変化するのに伴って、ロゴスキーコイル45が撓むようになっている。この場合においても、ロゴスキーコイル45は、上コイル配置部15や下コイル配置部25にはまり込んだ状態が維持されるため、配置しようとする電線90にロゴスキーコイル45が干渉したり、ロゴスキーコイル45の配線状況が意図しないものとなったりすることが防止される。筐体2が開状態である場合、ロゴスキーコイル45の第一端部451と第二端部452とがセンサユニット1の手前側で分離した状態となる。したがって、図に矢印Rで示すように、開状態において、センサユニット1の外部にある電線90を、収容部14まで導入することが容易に可能となる。
【0099】
このように、本実施の形態においては、閉状態において、ロゴスキーコイル45の2つの端部451,452同士が近接し、電線90をロゴスキーコイル45が環状に囲む状態が作られる。すなわち、筐体2が閉状態である場合において、ロゴスキーコイル45が電線90を囲む環状部を構成するようになっている。そのため、電線90の電流をロゴスキーコイル45により精度良く検知することができる。
【0100】
本実施の形態においては、閉状態であって電線90が所定の配置位置Pに位置した状態で、ロゴスキーコイル45が筐体2内の所定のセンサ配置部2Sに位置する。ロゴスキーコイル45による電流の測定対象となる領域において、ロゴスキーコイル45に対する電線90の位置が所定の位置のまま維持される。ロゴスキーコイル45と電線90との相対的な位置関係が維持されるので、電線90の位置が変化することによる計測結果の変動が生じることを防止することができ、より高精度な電流の計測結果を得ることができる。
【0101】
センサユニット1は、第一筐体10と第二筐体20とで分割された開閉可能な構造が採用されたものであり、間接活線工法により電線90に取り付け可能である。このような構造を用いたセンサユニットにおいては、ロゴスキーコイル45の少なくとも一部を切り離して電線90を取り巻くように配置可能にする状態(開状態)から、環状となる状態(閉状態)とに、確実に変化させる必要がある。本実施の形態においては、開状態においてロゴスキーコイル45が切り離される分割箇所において、第一キャップ41と第二キャップ42とが閉状態において確実に近接するように構成されており、閉状態において、ロゴスキーコイル45を確実に環状にすることができるようになっている。したがって、ロゴスキーコイル45の感度を高く維持し、より高精度な電流の計測結果を得ることができる。
【0102】
本実施の形態において、分割箇所の数は、前方の1箇所のみであり、ロゴスキーコイル45が1本の連続したコイル本体を用いて構成されている。したがって、例えば上述の特許文献2に記載されているように分割箇所が2箇所であって2分割されたロゴスキーコイルを用いる場合と比較して、センサユニット1の製造コストを低くすることができる。
【0103】
筐体2が閉状態である場合に、左右方向において、ロゴスキーコイル45が2つの第一壁部17の間に位置するように構成されている。したがって、ロゴスキーコイル45と電線90との位置関係をより一定に保ちやすくなり、より高精度な計測結果を得ることができる。
【0104】
ロゴスキーコイル45は、樹脂製のキャップ41,42を用いて筐体2に固定されるので、ノイズを発生させる可能性がある金属製品を用いずにロゴスキーコイル45を保持することができる。したがって、より高精度な計測結果を得ることができ、かつ、センサユニット1を容易に組立可能になる。
【0105】
筐体2は、閉状態において第一筐体10と第二筐体20とがスナップフィットを用いた係合手段24により係合するように構成されている。係合手段24により、左右方向における第一筐体10に対する第二筐体20の位置を規制可能である。したがって、閉状態において、第一端部451と第二端部452とが近接する状態がより確実に維持される。ロゴスキーコイル45が確実に環状をなすので、より確実に、高精度な計測結果を得ることができる。
【0106】
また、筐体2は、閉状態において第二筐体20にはまり込むように構成されたガイド部12を有していることにより、開状態において電線90がヒンジ部3に近づくのが防止されるとともに、左右方向における第一筐体10に対する第二筐体20の位置が規制される。したがって、閉状態において、第一端部451と第二端部452とが近接する状態がより確実に維持される。ロゴスキーコイル45が確実に環状をなすので、より確実に、高精度な計測結果を得ることができる。
【0107】
なお、センサ配置部2Sは、工具取付部18とは反対側の部位に設けられている。したがって、係合部161,262等の比較的複雑な構造を含むセンサ配置部2Sを持つ第一筐体10や第二筐体20を成形するのに際して、容易に、樹脂の流れを適正にすることができる。したがって、容易にセンサユニット1を製造することができる。
【0108】
(その他)
【0109】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものである。
【0110】
上述の実施の形態のうち、一部の構成要素や機能が省略されていてもよい。また、他の構成要素が追加されていてもよい。
【0111】
例えば、センサユニットは、間接活線工具を用いた作業にのみ用いられるものに限られない。また、センサユニットの設置作業は、無停電工法により行われるものに限られない。このように構成されたセンサユニットを、作業者が直接持ち上げて電線に取り付ける作業を行うことも可能である。
【0112】
また、シールド部材は、筐体の内部に収容されていなくてもよい。また、例えばセンサユニットに電圧センサ部が設けられていない場合に、シールド部材も設けられていなくてもよい。
【0113】
なお、電流センサ部は、ロゴスキーコイルを用いるものに限られず、電線を囲む磁気コア(環状部の一例)と当該磁気コアに巻回されたコイルとを有するカレントトランス(CT)型の方式により電線の電流を検知可能に構成されているものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0114】
以上のように、本発明にかかるセンサユニットは、ロゴスキーコイルを用いて、電線を流れる電流を非接触で高精度に計測できるという効果を有し、センサユニット等として有用である。
【符号の説明】
【0115】
1 センサユニット、2 筐体、2S センサ配置部、10 第一筐体、12 ガイド部、14 収容部、15 上コイル配置部、16 キャップ配置部、162 配置部内隔壁部、163 スリット、17 第一壁部、20 第二筐体、24 係合手段、25 下コイル配置部、26 キャップ配置部、261 係合部、262 配置部内隔壁部、263 スリット、27 第二壁部、3 ヒンジ部、5 計測手段、40 電流センサ部、41 第一キャップ、42 第二キャップ、45 ロゴスキーコイル、451 第一端部、452 第二端部、50 電圧センサ部、P 配置位置、90 電線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8