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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088375
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】センサユニット
(51)【国際特許分類】
   G01R 15/18 20060101AFI20240625BHJP
   H02G 1/02 20060101ALI20240625BHJP
   H02G 7/00 20060101ALI20240625BHJP
   G01D 11/30 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
G01R15/18 Z
H02G1/02
H02G7/00
G01R15/18 A
G01D11/30 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203510
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 英和
(74)【代理人】
【識別番号】100166811
【弁理士】
【氏名又は名称】白鹿 剛
(72)【発明者】
【氏名】鳴川 雄太
(72)【発明者】
【氏名】神谷 敦
(72)【発明者】
【氏名】大瀧 泰生
(72)【発明者】
【氏名】三田 慎一
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 寿文
【テーマコード(参考)】
2G025
5G352
5G367
【Fターム(参考)】
2G025AA03
2G025AA04
2G025AB14
2G025AC01
5G352AC02
5G352AM01
5G367BB13
(57)【要約】
【課題】センサユニットの姿勢が安定していることが望ましい。
【解決手段】センサユニット1は、電線90に常時設置されて電線90の通電状態に関する計測を行うセンサユニット1であって、第一筐体10と第二筐体20との2つに分割可能であって、第一筐体10と第二筐体20との間に電線90を挟み込むようにして電線90に設置されるように構成されている筐体2と、筐体2の内側に収容されており、第一筐体10と第二筐体20との間の配置位置Pにある電線90の通電状態に関する計測を行う計測手段5とを備え、電線90に設置されている状態において、電線90の長手方向から見て、電線90から重心COGに向かう方向において第二筐体20が位置するように構成されている。センサユニット1の姿勢の安定性が高くなる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線に常時設置されて当該電線の通電状態に関する計測を行うセンサユニットであって、
第一筐体と第二筐体との2つに分割可能であって、前記第一筐体と前記第二筐体との間に電線を挟み込むようにして前記電線に設置されるように構成されている筐体と、
前記筐体の内側に収容されており、前記第一筐体と前記第二筐体との間の配置位置にある電線の通電状態に関する計測を行う計測手段とを備え、
前記電線に設置されている状態において、前記電線の長手方向から見て、前記電線から重心に向かう方向において前記第二筐体が位置するように構成されている、センサユニット。
【請求項2】
前記計測手段は、前記配置位置にある電線に沿うように位置する検知部を有し、
前記検知部は、前記第二筐体に取り付けられている、請求項1に記載のセンサユニット。
【請求項3】
前記第二筐体には、前記第二筐体内にある水を前記筐体の外部に排出可能な孔部が形成されている、請求項1又は2に記載のセンサユニット。
【請求項4】
前記第二筐体の内面は、リブにより複数の区画に区分けされており、
前記孔部は、前記複数の区画のうち2以上の区画にそれぞれ形成されている、請求項3に記載のセンサユニット。
【請求項5】
前記第二筐体には、前記センサユニットと他の部材とを繋ぐテザー部材を取り付けるテザー取付部が設けられている、請求項1又は2に記載のセンサユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、センサユニットに関し、特に、計測対象の電線に設置して当該電線の通電状態に関する計測を行うために用いられるセンサユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電線を挟み込むように配置されて、当該電線の通電状態を計測するための様々な機器が用いられている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、電線に吊り下げて配置する検電装置の構成が記載されている。この検電装置は、電線を所定の箇所に配置した後で上部ホルダを押さえることにより電線を挟持させて、電線に配設することができるように構成されている。
【0004】
また、特に活線に対して作業を行う場合には、いわゆる間接活線工具を用いて作業を行う無停電工法(間接活線工法と言ってもよい)が採用される。このような間接活線工具を用いて電線に取り付けられるように構成されたセンサユニットがある(例えば、下記特許文献2、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5-335164号公報
【特許文献2】特開2007-104832号公報
【特許文献2】特開2009-002705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、このようなセンサユニットを電線に取り付けたままで利用する場合において、センサユニットの姿勢が安定していることが望ましい。
【0007】
この発明は、姿勢の安定性が高いセンサユニットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本第一の発明のセンサユニットは、電線に常時設置されて電線の通電状態に関する計測を行うセンサユニットであって、第一筐体と第二筐体との2つに分割可能であって、第一筐体と第二筐体との間に電線を挟み込むようにして電線に設置されるように構成されている筐体と、筐体の内側に収容されており、第一筐体と第二筐体との間の配置位置にある電線の通電状態に関する計測を行う計測手段とを備え、電線に設置されている状態において、電線の長手方向から見て、電線から重心に向かう方向において第二筐体が位置するように構成されている、センサユニットである。
【0009】
かかる構成により、センサユニットの姿勢の安定性を高くすることができる。
【0010】
また、本第二の発明のセンサユニットは、第一の発明に対して、計測手段は、配置位置にある電線に沿うように位置する検知部を有し、検知部は、第二筐体に取り付けられている、センサユニットである。
【0011】
かかる構成により、閉状態において重心が下側に位置するように構成しやすくなり、センサユニットの姿勢を安定させることができる。
【0012】
また、本第三の発明のセンサユニットは、第一又は二の発明に対して、第二筐体には、第二筐体内にある水を筐体の外部に排出可能な孔部が形成されている、センサユニットである。
【0013】
かかる構成により、筐体内に水が溜まることを防止することができる。
【0014】
また、本第四の発明のセンサユニットは、第三の発明に対して、第二筐体の内面は、リブにより複数の区画に区分けされており、孔部は、複数の区画のうち2以上の区画にそれぞれ形成されている、センサユニットである。
【0015】
かかる構成により、筐体内に水が溜まることをより効果的に防止することができる。
【0016】
また、本第五の発明のセンサユニットは、第一から四のいずれか一つの発明に対して、第二筐体には、センサユニットと他の部材とを繋ぐテザー部材を取り付けるテザー取付部が設けられている、センサユニットである。
【0017】
かかる構成により、センサユニットの脱落を防止するとともに、センサユニットの姿勢の安定性を高くすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、センサユニットの姿勢の安定性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施の形態に係るセンサユニットの閉状態を説明する図
図2】同センサユニットの開状態を説明する図
図3】同センサユニットの分解斜視図
図4】同センサユニットを異なる方向から見た分解斜視図
図5】同センサユニットの第二筐体の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、センサユニット等の実施形態について図面を参照して説明する。
【0021】
なお、以下の説明において、図面において示される座標は、各図同士で共通している。座標の上、下を上下方向ということがあり、右、左を左右方向ということがあり、手前、奥を前後方向ということがある。上下方向は、説明のために観念する水平面に対して、垂直な方向である。上下方向、左右方向、前後方向は、互いに垂直な方向である。左右方向は、第一方向と言ってもよく、前後方向は、第二方向と言ってもよい。以下において、このように各方向を示して各部の形状や位置関係を説明することがあるが、これらは、特定の利点に関して明示するものを除いて、あくまで説明の便宜のために定義したものであって本発明に係るセンサユニット等の使用時における向きや姿勢などを限定するものではない。
【0022】
(実施の形態)
【0023】
(実施の形態)
【0024】
本実施の形態の概要は、次の通りである。すなわち、センサユニットは、開閉可能な構造を有し、電線を挟み込むようにして、電線に配置可能に構成されている。センサユニットは、例えば上下に分割されており、ヒンジ部を介して回転することにより開閉可能な構造を有している。
【0025】
本実施の形態において、センサユニットは、重心が下側の部位に位置するように構成されている。電線に沿う検知部は、下側の第二筐体に取り付けられている。第二筐体には、孔部が設けられており、孔部を介して水が排出可能に構成されている。より具体的には、例えば、第二筐体は、リブにより区画されており、区画されている各部位に孔部が設けられている。第二筐体は、テザー部材を取り付けることができるように構成されていることが好ましい。以下、このようなセンサユニット1の構成について説明する。
【0026】
本実施の形態において、センサユニット1は、例えば、三相交流の高圧電力の配電系統において用いられる地絡事故判定システム等に用いられる。配電系統は、電線(配電線)を通じて、変電所から各需要家に配電する。センサユニット1は、配電系統において、任意の箇所の電線に配置可能に構成されている。例えば、センサユニット1は、配電系統において、変電所や開閉器同士の間の線路毎に配置されたり、幹線からの分岐点同士の間の区間毎に配置されたりするが、これらに限られない。
【0027】
センサユニット1は、電線に常時設置されて、当該電線の通電状態に関する計測を行うことができるように構成されている。通電状態に関する計測を行うとは、電線を流れる電流に関する計測を行うこと、電線の電圧に関する計測を行うこと又はこれらの両方を行うことをいう。すなわち、本実施の形態においては、センサユニット1は、取り付け対象となっている電線の電流及び電圧を計測可能に構成されている。なお、いずれか一方のみを計測可能であってもよい。なお、常時設置されるとは、所定の期間にわたって設置されることを含む表現である。
【0028】
センサユニット1は、例えば、センサユニット1の外部の処理装置(図示せず)に、信号線を介して計測結果を出力することができる。これにより、処理装置において、センサユニット1の計測結果を利用することができる。計測結果の利用とは、例えば、計測結果又はそれを用いて取得した種々の情報を蓄積したりすることや、外部の装置に出力したりすることであるが、これらに限られない。なお、処理装置がセンサユニット1の内部に収納されていてもよい。センサユニット1は、かかる処理装置を含む装置であってもよいし、かかる処理装置を含まない装置であってもよい。センサユニット1は、センサヘッドと呼ばれたりプローブと呼ばれたりしてもよい。
【0029】
まず、本実施の形態に係るセンサユニット1の大まかな構成について説明する。
【0030】
図1は、本実施の形態に係るセンサユニット1の閉状態を説明する図である。図2は、同センサユニット1の開状態を説明する図である。図3は、同センサユニット1の分解斜視図である。図4は、同センサユニット1を異なる方向から見た分解斜視図である。
【0031】
図1において、上段には左上方手前側から見た斜視図が示されており、下段には左側面図が示されている。図2において、上段には左下方手前側から見た斜視図が示されており、下段には左側面図が示されている。なお、以下の図やその説明において、主要な構成要素についてのみ言及したり図示したりしているが、言及や図示のない構成要素を含んでセンサユニット1が構成されていてもよい。
【0032】
図に示されるように、センサユニット1は、大まかに、筐体2の内部に、種々の構成要素が収納された構成を有している。筐体2の内部には、例えば、計測手段5やシールド部材7などが収容されている。筐体2は、計測手段5等を内部に収容するように構成されており、後述するようにして、配置位置Pに位置させた電線90を囲むようにして、当該電線90に配置される。
【0033】
本実施の形態において、筐体2は、側面視で、全体として楕円柱形状を有している。すなわち、センサユニット1は、左右方向が高さ方向となる楕円柱形状を有している。なお、筐体2の形状はこれに限られない。
【0034】
筐体2は、第一筐体10と、第二筐体20とを有している。筐体2は、第一筐体10と第二筐体20との2つに分割可能に構成されている。筐体2は、第一筐体10と第二筐体20との間に電線90を挟み込むようにして、電線90に設置されるように構成されている。
【0035】
本実施の形態において、第一筐体10は、第一ヒンジ部11、上ユニット配置部13、収容部14、上コイル配置部15及び工具取付部18を備える。第一筐体10は、例えば樹脂製である。第一筐体10は、例えば、樹脂を用いて一体成型されて構成されている。一部に樹脂以外の素材が設けられていてもよい。また、一部の構成要素又は2以上の部材が接着や機械的な方法(例えば、ネジ止めなど)により結合されて構成されていてもよい。
【0036】
第二筐体20は、第二ヒンジ部21、下ユニット配置部23及び下コイル配置部25を備える。第二筐体20は、例えば樹脂製である。第二筐体20は、例えば、樹脂を用いて一体成型されて構成されている。一部に樹脂以外の素材が設けられていてもよい。また、一部の構成要素又は2以上の部材が接着や機械的な方法(例えば、ネジ止めなど)により結合されて構成されていてもよい。
【0037】
本実施の形態において、第一筐体10と第二筐体20とは、ヒンジ部3を介して互いに回転可能に組み合わされている。ヒンジ部3は、第一筐体10の奥に設けられた第一ヒンジ部11と、第二筐体20の奥に設けられた第二ヒンジ部21とで構成されている。第一ヒンジ部11と第二ヒンジ部21とが係合しており、回転軸を中心に第一筐体10と第二筐体20とが互いに回転可能になっている。ヒンジ部3の回転軸は、例えば、左右方向に平行である。ヒンジ部3は、筐体2の奥側に配置されている。すなわち、第二筐体20は、第一筐体10に対して、その手前側が下方に変位する方向に回転可能である。
【0038】
筐体2は、図2に示されるようなヒンジ部3を中心に第一筐体10と第二筐体20との間が開く開状態と、図1に示されるような第一筐体10と第二筐体20との間が閉まる閉状態とに可逆的に状態を変化させることができるようになっている。
【0039】
本実施の形態において、センサユニット1は、通常、第一筐体10が上側、第二筐体20が下側に位置するような姿勢で、電線90に取り付けられて用いられる。このような通常の姿勢を、説明の便宜上、通常姿勢という。通常姿勢において、第一筐体10の姿勢が開状態と閉状態とで同一となる場合、閉状態における第二筐体20の位置は、開状態における第二筐体20の位置よりも、上方にあるといえる。なお、第一筐体10を上側筐体と言い、第二筐体20を下側筐体と言ってもよい。
【0040】
本実施の形態において、閉状態における第一筐体10と第二筐体20との間の角度と、開状態における第一筐体10と第二筐体20との間の角度との差の最大値は、90度以下になるように構成されている。このような角度制限を設けることは、例えばヒンジ部3の構造を設定することにより実現可能であるが、制限方法はこれに限られない。なお、これに限れず、開状態においてより広い角度になるまで第一筐体10に対して第二筐体20を回転させることができるように構成されていてもよい。ヒンジ部が奥側にあり、筐体2の開閉可能な角度範囲が90度以下になるように構成されているので、筐体2が開閉される場合に重心の位置が変化しにくく、第一筐体10が上側にある姿勢のままでセンサユニット1が安定しやすくなっている。
【0041】
筐体2は、開状態から、第一筐体10と第二筐体20との間の配置位置Pに電線90が配置されるようにして閉状態にすることができるように構成されている。すなわち、センサユニット1が電線90に適切に取り付けられている状態で、電線90は、センサユニット1に対して所定の配置位置Pに位置する。配置位置Pは、閉状態においてセンサユニット1を用いて適切に測定を行うことができる、センサユニット1に対する電線90の位置であるといえる。本実施の形態において、後述するように、収容部14に配置された電線90の位置が、配置位置Pであるといえる。
【0042】
工具取付部18は、いわゆるホットスティック等の間接活線工具を着脱可能に構成されている。作業者は、間接活線工具の一部を工具取付部18に取付け及び取外し可能である。本実施の形態において、工具取付部18は、間接活線工具の先端工具を取り付けるための着脱部が挿入可能な筒形状を有している。工具取付部18は、ツイストロック式の着脱部に対応するように構成されている。ツイストロック式であるとは、例えば、着脱部を被装着体に押し込んだ状態で着脱部を軸周りに回転させることにより着脱部に被装着体を装着することができるように構成されていることをいう。すなわち、工具取付部18は、着脱部の係合部が係合可能なガイド溝181を有している。なお、工具取付部18の形態はこれに限られず、他の工具を取り付け可能であってもよい。ツイストロック式とは異なる方式により間接活線工具を取り付け可能であってもよい。
【0043】
本実施の形態において、工具取付部18は、第一筐体10の左側面に設けられている。なお、工具取付部18は、第一筐体10のうち異なる部位に設けられていてもよいし、第二筐体20に設けられていてもよい。
【0044】
本実施の形態において、センサユニット1は、例えば、工具取付部18に間接活線工具が取り付けられている状態において、開状態から閉状態に変化可能に構成されている。すなわち、間接活線工具にセンサユニット1を取り付けた状態で、センサユニット1を電線90に配置する作業を行うことができる。
【0045】
なお、センサユニット1を、作業者が直接持ち上げて電線90に取り付ける作業を行うことも可能である。また、センサユニット1は、工具取付部18を有していなくてもよい。
【0046】
図1において、配置位置Pに配置されている電線90が、二点鎖線で示されている。配置位置Pにある電線90は、センサユニット1の略中央部を通過する。センサユニット1に対して配置位置Pにある電線90の長手方向は、センサユニット1の左右方向に略一致する。電線90に垂直などの方向においても、電線90から筐体2の外表面までの距離がある程度確保されるようになっている。
【0047】
収容部14は、配置位置Pに配置されている電線90を収容可能に構成された部位である。収容部14に電線90が配置されていることにより、筐体2の内側に電線90が収容されている状態で、筐体2が閉状態となりうる。本実施の形態において、収容部14は、第一筐体10に形成されている。なお、収容部14は、第二筐体20に形成されていたり、第一筐体10と第二筐体20との両方に設けられていたりしてもよい。
【0048】
収容部14は、側面視で、第二筐体20に対向する第一筐体10の面から、第二筐体20から離れる方向に向けて凹むように形成された凹部である。換言すると、収容部14は下方に向けて開放された凹部である。収容部14は、左右方向に沿うような溝状の凹部を構成している。すなわち、収容部14は、左右方向において互いに凹部部分が重なるように第一筐体10に形成されており、これにより左右方向が長手方向となるようにして電線90を収容可能である。本実施の形態において、第一筐体10には、左右の両側面の近傍部位において、左右方向に対して略垂直な板状部が複数設けられている。収容部14は、それぞれの板状部の一部を欠くように形成されており、第一筐体10の全体として、左右方向が長手方向となるように電線90が収容部14に収容可能となっている。
【0049】
閉状態であって通常姿勢である場合において、第一筐体10は、筐体2のうち上側半分を占める部位であるといえ、第二筐体20は、筐体2のうち下半分を占める部位であるといえる。通常姿勢である閉状態の筐体2は、筐体2の中央部を通る水平面を境にして上下2つの部位(第一筐体10、第二筐体20)に分割されていると言ってもよい。
【0050】
なお、筐体2は、3つ以上の部位に分かれていてもよい。また、第一筐体10と第二筐体20とが、より複雑な境界で分かれていてもよい。
【0051】
第一筐体10において、上ユニット配置部13は、第一筐体10の底面(第二筐体20に対向する面)から上方に窪むように形成されている。上ユニット配置部13には、後述するように、ケーブル接触部60が配置される。
【0052】
上コイル配置部15は、第一筐体10の右側面の近傍部位に設けられている。上コイル配置部15は、上ユニット配置部13の右側に設けられていると言ってもよい。上コイル配置部15は、第一筐体10の底面から上方に窪むように形成されている。上コイル配置部15と上ユニット配置部13とは、例えば、第一筐体10に形成されているリブ状の隔壁により区画されている。上コイル配置部15には、後述するように、電流センサ部40の構成部材が配置される。
【0053】
上コイル配置部15のうち手前側には、キャップ配置部16が設けられている。キャップ配置部16には、電流センサ部40の第一キャップ41が取り付けられる。
【0054】
第二筐体20において、下ユニット配置部23は、第二筐体20の上面(第一筐体10に対向する面)から下方に窪むように形成されている。下ユニット配置部23には、後述するように、検知部51が配置される。
【0055】
下コイル配置部25は、第二筐体20の右側面の近傍部位に設けられている。下コイル配置部25は、下ユニット配置部23の右側に設けられていると言ってもよい。下コイル配置部25は、第二筐体20の上面から下方に窪むように形成されている。下コイル配置部25と下ユニット配置部23とは、例えば、第二筐体20に形成されているリブ状の隔壁により区画されている。下コイル配置部25には、後述するように、電流センサ部40の構成部材が配置される。
【0056】
下コイル配置部25のうち手前側には、キャップ配置部26が設けられている。キャップ配置部26には、電流センサ部40の第2キャップ42が取り付けられる。
【0057】
なお、筐体2は、閉状態において、第一筐体10と第二筐体20とが締結部材88により締結されて用いられる。これにより、外力、外乱等により意図せず開状態になってしまうことを防止することができる。締結部材88は、例えば、第一筐体10側に形成された雌ねじに係合するボルトであり、筐体2の手前側と奥側とにそれぞれ設けられている。締結部材88は、第二筐体20の表面に形成された窪部203が座面となるように配置される。締結部材88は、センサユニット1の下側から工具を用いて締め付けを行うことができるようになっている。したがって、間接活線工具等を用いて容易にセンサユニット1の設置作業を行うことができる。
【0058】
また、筐体2の底部には、テザー部材94を接続することができるテザー取付部205が設けられている。テザー部材94は、例えば、ワイヤやロープ等であり、センサユニット1と、電線90の近くにある他の部材とを繋ぐ部材である。他の部材としては、例えば、電線90が掛けられている電柱や鉄塔等の電線支持部材であるが、これに限られない。テザー取付部205は、例えば、第二筐体20に一体に形成された環状部であるが、これに限られず、例えば第二筐体20に取り付けられるアイボルト等であってもよい。例えば図1において二点鎖線で示されるように、テザー部材94を筐体2に取り付けた状態でセンサユニット1を用いることにより、センサユニット1が高所から脱落してしまうことを予備的に防止することができる。テザー部材94が筐体2の底部に位置するテザー取付部205に取り付けられるようになっているので、センサユニット1が電線90に取り付けられている状態で、テザー取付部205が下となる姿勢が維持されやすく、センサユニット1を安定した状態で用いることができる。
【0059】
本実施の形態において、筐体2の底部には、信号線93を接続するためのコネクタ81が配置されている。通常姿勢において底面となる位置にコネクタ81が設けられているので、センサユニット1と信号線93との接続について、耐候性を高めることができる。
【0060】
計測手段5は、計測部5と言ってもよい。計測手段5は、筐体2の内側に収容されており、第一筐体10と第二筐体20との間の配置位置Pにある電線90の通電状態に関する計測を行う。本実施の形態において、計測手段5は、電流センサ部40及び電圧センサ部50を含む。計測手段5は、電線90の電流と電圧とを計測可能に構成されている。
【0061】
電流センサ部40は、ロゴスキーコイル45と、第一キャップ41と、第二キャップ42とを含んでいる。後述するように、電流センサ部40は、筐体2が閉状態である場合において電線90を囲む環状部を有するように構成されている。電流センサ部40は、ロゴスキーコイル45によって、電線90の電流を検知可能に構成されている。なお、電流センサ部40は、ロゴスキーコイル45を用いるものに限られず、電線90を囲む磁気コア(環状部の一例)と当該磁気コアに巻回されたコイルとを有するカレントトランス(CT)型の方式により電線90の電流を検知可能に構成されているものであってもよい。
【0062】
第一キャップ41は、第一筐体10のキャップ配置部16に取り付けられる。
【0063】
第二キャップ42は、第二筐体20のキャップ配置部26に取り付けられる。
【0064】
ロゴスキーコイル45は、閉状態において配置位置Pにある電線90の周囲を囲むように、筐体2の右側に収容されている。ロゴスキーコイル45は、閉状態において上コイル配置部15と下コイル配置部25とで構成される空間に収容される。ロゴスキーコイル45の各端部は、第一キャップ41と第二キャップ42とにはまり込んでいる。閉状態において、第一キャップ41の底面と、第二キャップ42の上面とが互いに近接して対向する。この状態において、ロゴスキーコイル45の2つの端部同士が近接するため、電線90をロゴスキーコイル45が環状に囲む状態が作られる。すなわち、筐体2が閉状態である場合において、ロゴスキーコイル45が電線90を囲む環状部を構成するようになっている。そのため、電線90の電流をロゴスキーコイル45により精度良く検知することができる。
【0065】
本実施の形態において、第二キャップ42の内部において、ロゴスキーコイル45から、計測手段5において電流を計測するための回路が設けられている基板(図示せず)に接続するための接続線45bが引き出される。
【0066】
ロゴスキーコイル45は、両端部が第一筐体10に固定された第一キャップ41と、第二筐体20に固定された第二キャップ42とにそれぞれ固定されて配置されている。そのため、開状態において、第一キャップ41に対する第二キャップ42の位置が変化するのに伴って、ロゴスキーコイル45が撓むようになっている。この場合においても、ロゴスキーコイル45は、上コイル配置部15や下コイル配置部25にはまり込んだ状態が維持されるため、配置しようとする電線90にロゴスキーコイル45が干渉したり、ロゴスキーコイル45の配線状況が意図しないものとなったりすることが防止される。
【0067】
電圧センサ部50は、おおまかに、検知部51と、ケーブル接触部60と、付勢部材69とを含んでいる。電圧センサ部50は、検知部51によって、配置位置Pにある電線90の電圧を検知可能に構成されている。
【0068】
検知部51は、検知部筐体52と、絶縁性パッド54と、カバー56とを含んでいる。検知部51は、全体として箱形に形成されている。検知部51は、下ユニット配置部23に収容される。すなわち、検知部51は、第二筐体20に取り付けられている。
【0069】
絶縁性パッド54は、検知部筐体52の上面に配置されている。検知部筐体52の内部において、絶縁性パッド54の下方には、電線90の周囲の電界を検知するための電極(図示せず)が配置されている。電極は、計測手段5において電圧を計測するための回路が設けられている基板(図示せず)に接続されている。
【0070】
カバー56は、検知部筐体52の下側を覆うように構成されている。検知部筐体52とカバー56とで覆われている内部には、計測手段5を構成する電極や回路基板等が配置されている。検知部筐体52とカバー56とで覆われることにより、内部の部材について一定程度の防水性能が確保されている。
【0071】
ケーブル接触部60は、閉状態において、検知部51の上方に位置する。ケーブル接触部60は、第一筐体10に配置されており、配置位置Pにある電線90に接触可能に構成されている。ケーブル接触部60は、全体として箱形の外径形状を有している。ケーブル接触部60は、第一筐体10の上ユニット配置部13に収容される。
【0072】
閉状態において、ケーブル接触部60と検知部51との間の配置位置Pに電線90が位置する。配置位置Pにある電線90は、ケーブル接触部60と検知部51との間に挟持される。すなわち、収容部14に収容されている電線90は、ケーブル接触部60と検知部51とで挟持された状態となる。検知部51は、配置位置Pにある電線90に沿うように位置していると言える。
【0073】
ケーブル接触部60の下部には、接触パッド64が取り付けられている。接触パッド64は、配置位置Pにある電線90に接触し、電線90を検知部51に向けて押し付けるように構成されている。接触パッド64には、左右方向に沿って上方に窪むように構成されたガイド面641が設けられている。電線90は、ガイド面641に当接して、前後方向における位置が適切な配置位置Pとなるように位置決めがされた状態で検知部51に向けて押し付けられる。
【0074】
本実施の形態において、付勢部材69は、例えばコイルばねである。付勢部材69は、その他のばねであったり、ゴムやスポンジ等の、圧縮された状態で反発力を発生させる部材であったりしてもよい。付勢部材69は、自然状態から圧縮された状態で配置されている。付勢部材69は、ケーブル接触部60の上面と、第一筐体10の内面との間に配置されている。付勢部材69は、ケーブル接触部60を下に付勢することができる。これにより、閉状態において、電線90を、ケーブル接触部60と検知部51との間で確実に挟持することができる。
【0075】
なお、付勢部材69は、検知部51と第二筐体20との間に配置されて、第二筐体20を上方に付勢するように設けられていてもよい。また、付勢部材69は、第一筐体10側と第二筐体20側との両方に設けられていてもよい。すなわち、付勢部材69は、ケーブル接触部60と検知部51との少なくとも1つを他方に向けて付勢するように、ケーブル接触部60と検知部51との少なくとも1つと筐体2との間に配置されていればよい。
【0076】
シールド部材7は、例えば、銅箔等、金属製のシートである。シールド部材7は、閉状態において、配置位置Pにある電線90と、当該電線90に沿って配置される計測手段5の部材とを囲むように配置されている。
【0077】
より具体的には、本実施の形態において、シールド部材7は、電圧センサ部50の周囲を、側面視で一周囲むことができるように配置されている。例えば、ケーブル接触部60及び付勢部材69と、第一筐体10の内面との間に、シールド部材7が配置されている。また、検知部51と第二筐体20の内面との間にシールド部材7が配置されている。このような上側と下側とのシールド部材7は、ヒンジ部3に近い奥側において電気的に繋がっている。閉状態において、電圧センサ部50と電線90とが導体であるシールド部材7により囲まれていることにより、電線90の周囲の電界が、周囲の状況の影響を受けることを防止することができ、適切に、検知部51により電線90の電圧を測定することができる。
【0078】
ここで、本実施の形態において、センサユニット1は、電線90に取り付けられている状態で、第一筐体10が上側、第二筐体20が下側に位置する通常姿勢のままで安定するように構成されている。センサユニット1は、閉状態において、センサユニット1の重心COG(図1に示す)が、左右方向から見て第二筐体20に位置するように構成されている。すなわち、センサユニット1が電線90に設置されている状態において、電線90の長手方向から見て、電線90から重心COGに向かう方向において第二筐体20が位置するように構成されている。そのため、配置位置Pにある電線90から下方に第二筐体20が位置するような姿勢で、センサユニット1の姿勢が安定するようになっている。
【0079】
このように重心COGの位置が第二筐体20に位置するような構成は、センサユニット1の各構成要素の配置や形状、材質等を設定することにより実現可能である。本実施の形態において、比較的質量の大きい検知部51が第二筐体20に位置しているので、センサユニット1の重心COGの位置が第二筐体20に位置するように容易に構成することができる。
【0080】
本実施の形態において、第二筐体20には、孔部28が形成されている。孔部28は、第二筐体20を貫通し、第二筐体20の内側と外側とを連通させる。孔部28は、通常姿勢においてセンサユニット1の下部に位置するといえる。このように孔部28が設けられていることにより、第二筐体20の内部に水がある場合に、その水を筐体2の外部に排出することができるようになっている。また、孔部28が設けられていることにより、筐体2の通気性を向上させることができる。孔部28はセンサユニット1の下部に位置するので、孔部28を通して筐体2の内部に水やその他の異物等が入りにくくなっている。
【0081】
図5は、同センサユニット1の第二筐体20の斜視図である。
【0082】
図5に示されるように、第二筐体20の内面には、複数のリブ27が形成されている。リブ27は、第二筐体20の内面から突出するように立設されている。リブ27が形成されていることにより、第二筐体20が比較的軽量のままで高い剛性が確保されている。なお、リブ27は、剛性の確保とは異なる役割を有しているものを含むと解釈してもよい。例えば、下ユニット配置部23や下コイル配置部25などと他の部位とを区画する隔壁もリブ27であると言ってもよい。
【0083】
第二筐体20の内面は、このようなリブ27により複数の区画に区分けされていると言える。本実施の形態において、孔部28は、複数の区画のうち、2以上の区画にそれぞれ形成されている。なお、1つの区画に2以上の孔部28が設けられていてもよい。このように2以上の区画に孔部28が形成されていることにより、当該区画内に水が溜まることを防止することができる。
【0084】
以上説明したように、本実施の形態においては、センサユニット1の重心COGが第二筐体20の内部に位置しているため、第二筐体20が下側となる通常姿勢のままでセンサユニット1の姿勢を安定させることができる。
【0085】
また、筐体2の下部に、孔部28が形成されているので、筐体2内にある水を筐体2の外部に排出することができ、筐体2内に水が溜まることを防止することができる。孔部28は、第二筐体20の複数の区画のうち2以上の区画にそれぞれ形成されているので、筐体2内に水が溜まることをより効果的に防止することができる。
【0086】
また、第二筐体20に、センサユニット1と他の部材とを繋ぐテザー部材94を取り付けるテザー取付部205が設けられているので、センサユニット1の脱落を防止するとともに、センサユニット1の姿勢の安定性をより高くすることができる。
【0087】
(その他)
【0088】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものである。
【0089】
上述の実施の形態のうち、一部の構成要素や機能が省略されていてもよい。また、他の構成要素が追加されていてもよい。
【0090】
例えば、テザー取付部は設けられていなくてもよい。また、孔部は、設けられていなくてもよい。また、筐体の内部の複数の区画同士が部分的に互いに連通しており、1つ又は2以上の孔部から、排水が行われるように構成されていてもよい。
【0091】
また、シールド部材は、筐体の内部に収容されていなくてもよい。また、例えばセンサユニットに電圧センサ部が設けられていない場合に、シールド部材も設けられていなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0092】
以上のように、本発明にかかるセンサユニットは、姿勢の安定性が高いという効果を有し、センサユニット等として有用である。
【符号の説明】
【0093】
1 センサユニット、2 筐体、3 ヒンジ部、5 計測手段、7 シールド部材、10 第一筐体、11 第一ヒンジ部、14 収容部、18 工具取付部、20 第二筐体、21 第二ヒンジ部、27 リブ、28 孔部、40 電流センサ部、45 ロゴスキーコイル、50 電圧センサ部、51 検知部、60 ケーブル接触部、90 電線、94 テザー部材、205 テザー取付部、COG 重心、P 配置位置
図1
図2
図3
図4
図5