(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088378
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】容器搬送システム
(51)【国際特許分類】
B65G 47/86 20060101AFI20240625BHJP
B65G 47/82 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
B65G47/86 B
B65G47/82 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203513
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(72)【発明者】
【氏名】鷲 奈央也
【テーマコード(参考)】
3F017
3F072
【Fターム(参考)】
3F017AA08
3F017BB02
3F017CA02
3F017DA15
3F072AA07
3F072GB07
3F072KC01
3F072KC09
3F072KC18
(57)【要約】
【課題】搬送経路の途中のリジェクト位置において容器を排出する動作においてグリッパに作用する荷重を低減することができる容器搬送システムを提供する。
【解決手段】回転体40の外周部に複数のグリッパ41が所定間隔毎に設けられる。グリッパ41は容器Cの口部Dに形成されたフランジFの下方を把持して、容器受取り位置から容器受渡し位置へ搬送する。スプリング50はグリッパ41を閉鎖する方向に付勢する。開閉レバー51はグリッパ41をスプリング50に抗して開放する。リジェクト位置では、開閉レバー51がグリッパ41を開放し、この状態でガイド部材が容器Cに係合して、容器Cが搬送経路から排出される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸の周りに回転する回転体の外周部に複数のグリッパが所定間隔毎に設けられ、これらのグリッパが樹脂製容器の口部に形成されたフランジの下方を把持して、前記回転体の上流に配置されている容器供給手段から前記容器を受け取る容器受取り位置から、前記回転体の下流に配置されている容器排出手段に前記容器を受け渡す容器受渡し位置へ搬送し、前記容器受取り位置と前記容器受渡し位置の間に位置するリジェクト位置において前記容器を搬送経路から排出することができる容器搬送システムであって、
前記グリッパを閉鎖する方向に付勢する付勢部材と、
前記グリッパを前記付勢部材に抗して開放する開放手段と、
前記開放手段を制御する制御手段とを備え、
前記容器受取り位置では、前記容器供給手段によって搬送される前記容器が前記グリッパに押し当てられることにより、前記グリッパが強制的に広げられて前記フランジの下方を把持し、
前記容器受渡し位置では、前記容器排出手段によって前記容器のフランジの上方が把持された状態で回転移送されることにより、前記容器が強制的に前記グリッパから取り出され、
前記リジェクト位置では、前記制御手段が前記開放手段を作動させて前記グリッパを開放し、前記容器が搬送経路から排出されることを特徴とする容器搬送システム。
【請求項2】
前記リジェクト位置に設けられ、前記搬送経路を通過する前記容器と係合する前進位置と係合しない後退位置との間で移動可能なガイド部材と、前記ガイド部材の下方に配置され、排出された前記容器を搬送経路外へ移送するシュートとを備えることを特徴とする請求項1に記載の容器搬送システム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記グリッパに把持された前記容器が前記ガイド部材と係合する前に前記開放手段を作動させることを特徴とする請求項2に記載の容器搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容器搬送システムに関し、より詳しくは搬送中の容器を搬送経路の途中に設けられたリジェクト位置から外部へ排出するための構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来搬送中の容器を搬送経路から排出することができる容器搬送システムとして特許文献1に記載された構成が知られている。この容器搬送システムは回転体の外周部に、周方向に沿って所定間隔毎に設けられた複数のグリッパを有し、樹脂製容器は、口部に形成されたフランジの下側をグリッパにより把持された状態で搬送される。グリッパはスプリングによって閉鎖方向に常時付勢されており、リジェクト位置では、排出すべき容器の胴部にガイド部材を係合させることにより、容器は傾斜してグリッパから強制的に取り出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の容器搬送システムのリジェクト位置における容器の排出動作では、容器がガイド部材に係合することによりグリッパには上下方向に大きな荷重がかかり、損傷するおそれがあった。
本発明は、搬送経路の途中のリジェクト位置において容器を排出する動作においてグリッパに作用する荷重を低減することができる容器搬送システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、中心軸の周りに回転する回転体の外周部に複数のグリッパが所定間隔毎に設けられ、これらのグリッパが樹脂製容器の口部に形成されたフランジの下方を把持して、回転体の上流に配置されている容器供給手段から容器を受け取る容器受取り位置から、回転体の下流に配置されている容器排出手段に容器を受け渡す容器受渡し位置へ搬送し、容器受取り位置と容器受渡し位置の間に位置するリジェクト位置において容器を搬送経路から排出することができる容器搬送システムであって、グリッパを閉鎖する方向に付勢する付勢部材と、グリッパを付勢部材に抗して開放する開放手段と、開放手段を制御する制御手段とを備え、容器受取り位置では、容器排出手段によって容器がグリッパに押し当てられることにより、グリッパが強制的に広げられてフランジの下方を把持し、容器受渡し位置では、容器のフランジの上方が把持された状態で回転移送されることにより、容器が強制的にグリッパから取り出され、リジェクト位置では、制御手段が開放手段を作動させてグリッパを開放し、容器が搬送経路から排出されることを特徴としている。
【0006】
容器搬送システムは、リジェクト位置に設けられ、搬送経路を通過する容器と係合する前進位置と係合しない後退位置との間で移動可能なガイド部材と、ガイド部材の下方に配置され、排出された容器を搬送経路外へ移送するシュートとを備えていてもよい。
制御手段は、グリッパに把持された容器がガイド部材と係合する前に開放手段を作動させることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、搬送経路の途中のリジェクト位置において容器を排出する動作においてグリッパに作用する荷重を低減することができる容器搬送システムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態である容器搬送システムの全体構成を簡略化して示す平面図である。
【
図2】容器受取り位置における供給ホイールとリジェクトホイールを示し、一部を破断して示す側面図である。
【
図3】供給ホイールのグリッパを示す平面図である。
【
図4】リジェクトホイールのグリッパの構成および作用を説明するための図である。
【
図5】リジェクト位置に設けられ、容器を搬送経路から排出する容器排出機構を示す平面図である。
【
図7】容器排出機構においてガイド部材を駆動する構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図示された実施形態を参照して本発明を説明する。
図1は本発明の一実施形態である容器搬送システムの全体構成を示している。この容器搬送システムは樹脂製容器をネック搬送、すなわち容器の口部を把持して搬送するもので、不良容器が検出された場合に、予め定められたリジェクト位置において不良容器を含む一連の容器群を搬送経路から排出するように構成されている。
【0010】
リジェクトホイール10は供給ホイール11と排出ホイール12の間に設けられる。リジェクトホイール10は容器受取り位置Pにおいて供給ホイール11から容器を受取って回転搬送し、容器受渡し位置Qにおいて排出ホイール12へ受渡す。これらのホイール10、11、12の外周部にはそれぞれ、周方向に沿って所定間隔毎に、容器の口部を把持するグリッパ(図示せず)が設けられる。供給ホイール11と排出ホイール12のグリッパは容器の口部に形成されたフランジの上方を把持し、リジェクトホイール10のグリッパはフランジの下方を把持する。
【0011】
リジェクトホイール10による搬送経路の途中にはリジェクト位置が定められる。リジェクト位置Rは容器受取り位置Pと容器受渡し位置Qの間に位置し、リジェクト位置Rには、不良容器を含む一連の容器群を搬送経路外へ排出するためのシュート13が設けられる。リジェクト位置Rにおいてシュート13により容器を排出する動作は、後述するように制御装置(制御手段)14により制御される。
【0012】
図2、3を参照して供給ホイール11の構成を説明する。供給ホイール11は中心軸周りに回転する円板状の回転体20を有し、回転体20の外周縁には、周方向に沿って等間隔で複数の第1グリッパ21が設けられる。第1グリッパ21は一対のグリップ片22、23を有し、各グリップ片22、23はそれぞれ、回転体20に設けられた回転軸24、25に固定される。回転軸24、25は回転体20に対して垂直方向に延び、グリップ片22、23は回転軸24、25において回転体20の上面から突出する部分に固定される。回転軸24、25において回転体20の下面から突出する部分には、ギヤ26、27が設けられる。ギヤ26、27は相互に噛合し、一方の回転軸24が軸心周りに回動すると、ギヤ26、27を介して一対のグリップ片22、23が揺動し、開閉する。
【0013】
回転体20には、回転軸24、25に平行に延びる第1支持ロッド28が固定される。第1支持ロッド28の下端部には回転体20に平行な支持板29が設けられ、回転軸24、25は支持板29に形成された支持孔30に回転自在に支持される。一方の回転軸24は支持板29より下方に突出し、突出端には揺動レバー31の一端部が固定され、揺動レバー31は回転軸24と一体的に回動する。一方回転体20において、第1支持ロッド28よりも内側には、第1支持ロッド28に平行に延びる第2支持ロッド32が設けられ、第2支持ロッド32と揺動レバー31の他端部に設けられたピン33とはスプリング34により連結される。スプリング34は揺動レバー31を、
図3において反時計方向、すなわち一対のグリップ片22、23が閉鎖する方向に付勢する。
【0014】
揺動レバー31にはカムフォロア35が設けられる。カムフォロア35は容器受取り位置Pに設けられたカム36に係合可能である。カム36は、揺動レバー31が
図3において時計方向に揺動するように構成されている。すなわち容器受取り位置Pでは、カムフォロア35がカム36に係合することにより、一対のグリップ片22、23がスプリング34のバネ力に抗して開放し、これにより供給ホイール11の第1グリッパ21に把持された容器Cはリジェクトホイール10に受け渡される。
【0015】
排出ホイール12も供給ホイール11と同じ構成を有し、容器受渡し位置Qにおいてカム機構が作動し、一対のグリップ片が開放する。
【0016】
図2、4を参照してリジェクトホイール10の構成を説明する。リジェクトホイール10は中心軸周りに回転する円板状の回転体40を有し、回転体40の外周縁には、周方向に沿って等間隔で複数の第2グリッパ41が設けられる。第2グリッパ41は一対のグリップ片42、43を有し、各グリップ片42、43の先端には、容器Cの口部Dに係合するように内側に突出した係合部42a、43aが形成される。グリップ片42、43はそれぞれ板バネ44、45の先端にボルト46により連結され、板バネ44、45は回転体40の上面に設けられたブロック47の基端部の両側面に固定されて相互に平行に延びる。ボルト46の頭部はブロック47の先端部の両側面に当接可能であり、これによりグリップ片42、43の閉鎖位置が規制される。この閉鎖位置においてグリップ片42、43は、
図4(a)に示されるように全体的に略平行である。
【0017】
板バネ44、45の間はスプリング(付勢部材)50により連結され、これによりグリップ片42、43は常時、閉鎖する方向に付勢される。板バネ44、45の間には開閉レバー51が設けられる。開閉レバー51はブロック47と回転体40を上下方向に貫通して延びる回転軸52の上端に取付けられる。回転軸52の回転体40から突出した下端部には揺動レバー53の一端部が固定される。揺動レバー53は回転体40との間に設けられたスプリング54により、
図4(a)、(b)において時計方向に常時付勢される。回転体40の下面には、ストッパ55が立設され(
図4(c))、通常、揺動レバー53はスプリング54に付勢されてストッパ55に係止し、これにより開閉レバー51の時計方向の回転変位が規制される。
【0018】
揺動レバー53の先端部にはカムフォロア56が設けられる。カムフォロア56は、リジェクト位置Rに設けられたカム60に係合可能である。カム60はエアシリンダ61のピストンに取付けられ、カムフォロア56に係合する前進位置と干渉しない後退位置との間で変位可能である。カム60が前進位置にあるとき、後述するように、カムフォロア56に係合して揺動レバー53が
図4(a)、(b)において反時計方向に回動し、開閉レバー51が回動して板バネ44、45を内側から押圧し、グリップ片42、43の間隔が広げられる。すなわち開閉レバー51、回転軸52、揺動レバー53、カムフォロア56、カム60、エアシリンダ61は、第2グリッパ41をスプリング50に抗して開放する開放手段である。
【0019】
ブロック47の前端(
図2、4において左側)にはセンターガイド57が設けられる。センターガイド57には、搬送される容器Cの口部Dの上端部の外形に対応した半円状凹部58が形成される。すなわち第2グリッパ41が容器Cの口部Dを把持するとき、グリップ片42、43の係合部42a、43aは
図4において口部Dの左側面に係合し、凹部58は口部Dの右側面に係合する。口部DにはフランジFが形成されており、第2グリッパ41はフランジFの下方を把持し、供給ホイール11と排出ホイール12の第1グリッパ21はフランジFの上方を把持する(
図2参照)。
【0020】
図5、6、7を参照して、リジェクト位置Rにおいて容器を搬送経路から排出する排出機構を説明する。リジェクト位置Rには、搬送経路を通過する容器Cに係合して容器Cを搬送経路から排出するガイド部材70が設けられる。ガイド部材70の下方には、排出された容器Cを搬送経路外へ移送するシュート13が配置される。シュート13は、リジェクトホイール10の回転体40の外周縁に対して接線方向に延びる溝形部材であり、その底部は回転体40から遠ざかるほど低くなるように傾斜している(
図6)。シュート13の上流側端部すなわち回転体40に近接した部位には、ここを通過する容器とガイド部材70がシュート13に干渉しないようにするため、切欠き71が形成される。
【0021】
ガイド部材70は平面視で、回転体40の外周縁に沿う略円弧状を呈し(
図5)、回転軸73の上端に取付けられる。回転軸73は鉛直方向に延び、シュート13と軸受機構74により、軸心周りに回転自在に支持される。軸受機構74は回転軸73の下部を支持し、回転軸73の軸受機構74より下方に突出した下端部にはレバー75の基端が固定され、レバー75の揺動端はエアシリンダ76のピストンに連結される。回転軸73はエアシリンダ76が駆動されることにより軸心周りに揺動し、これによりガイド部材70が搬送経路を通過する容器Cに係合する前進位置と、容器Cに係合しない後退位置との間で揺動する。
【0022】
次に本実施形態の作用を説明する。通常運転時の搬送処理においてリジェクトホイール10では、容器受取り位置Pで供給ホイール11から受取った容器Cはそのまま搬送されてリジェクト位置Rを通過し、容器受渡し位置Qにおいて排出ホイール12に受け渡される。
【0023】
容器受取り位置Pでは、容器Cがリジェクトホイール10の第2グリッパ41に押し当てられることによりリジェクトホイール10の第2グリッパ41が強制的に広げられる。このとき、揺動レバー31に設けられたカムフォロア35がカム36に係合して第1グリッパ21が開放し、これにより容器Cは第2グリッパ41に供給され、第2グリッパ41は容器CのフランジFの下方を把持する。容器受渡し位置Qでは、第2グリッパ41により把持された容器Cに対して排出ホイール12のグリッパが容器CのフランジFの上方を把持し、この状態で回転することにより、容器Cが強制的にリジェクトホイール10の第2グリッパ41から取り出され、排出ホイール12に受け渡される。
【0024】
一方、不良容器を搬送経路外へリジェクトするリジェクト運転時には、制御装置14は、回転体40に設けられたエンコーダ(図示せず)からの信号に基づいて、搬送経路から排出すべき容器を把持している第2グリッパ41の位置を検出する。制御装置14は、この検出結果に基づいて、エアシリンダ61を駆動してカム60を前進位置に定めるとともに、ガイド部材70を前進させる。カム60が前進することにより開閉レバー51が回動して、
図4(b)に示されるように容器Cの口部Dが通過できる位置まで開放する。またガイド部材70が前進することにより回転体40よりも外方に突出し(
図5の破線)、第2グリッパ41に把持された容器Cの胴部に係合可能な位置に定められる。
【0025】
このように第2グリッパ41に把持された容器Cがガイド部材70に係合する前に第2グリッパ41が開放しており、この状態で容器Cは回転体40の回転動作によりガイド部材70に案内されて第2グリッパ41から取り出され、シュート13内を滑動して搬送経路外へ移送される。
【0026】
以上のように本実施形態によれば、搬送経路の途中のリジェクト位置Rにおいて容器Cを排出する動作において、容器Cを第2グリッパ41から取出す前に第2グリッパ41を開閉レバー51の作用により開放している。したがって、ガイド部材70により容器Cを第2グリッパ41から解放するときに、第2グリッパ41に作用する荷重が低減するので損傷することはない。
【0027】
また、リジェクト位置Rで排出される容器Cが熱や衝撃など何らかの理由によって変形しているために第2グリッパ41を開放しただけでは取り出せない場合であっても、容器Cはガイド部材70と係合することによって第2グリッパ41から強制的に取り出すことができる。このような場合も上述と同様に、第2グリッパ41は開放しているので、第2グリッパ41にかかる負荷は低減し、損傷することはない。
【0028】
なお上記実施形態では、ガイド部材70に容器Cを係合させてシュート13に落下させる構成が採用されているが、これに代えて、エアによって容器Cを吹き飛ばしてシュート13に落下させてもよい。
【符号の説明】
【0029】
14 制御装置(制御手段)
40 回転体
41 第2グリッパ(グリッパ)
50 スプリング(付勢部材)
51 開閉レバー(開放手段)
52 回転軸(開放手段)
53 揺動レバー(開放手段)
56 カムフォロア(開放手段)
60 カム(開放手段)
61 エアシリンダ(開放手段)
C 容器
D 口部
F フランジ
P 容器受取り位置
Q 容器受渡し位置
R リジェクト位置