(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088383
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】味厚みが増強された柑橘風味アルコール飲料
(51)【国際特許分類】
C12G 3/04 20190101AFI20240625BHJP
【FI】
C12G3/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203518
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】307027577
【氏名又は名称】麒麟麦酒株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(72)【発明者】
【氏名】田墨 恭子
(72)【発明者】
【氏名】小川 かおり
(72)【発明者】
【氏名】岡田 真希
(72)【発明者】
【氏名】小泉 久美子
(72)【発明者】
【氏名】石原 紀恵
(72)【発明者】
【氏名】増田 春花
(72)【発明者】
【氏名】小山 裕之
【テーマコード(参考)】
4B115
【Fターム(参考)】
4B115LH03
4B115LH11
(57)【要約】
【課題】味厚みが増強された高甘味度甘味料含有柑橘風味アルコール飲料の提供。
【解決手段】高甘味度甘味料を含有する柑橘風味アルコール飲料であって、凍結粉砕柑橘果実を含有する、柑橘風味アルコール飲料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高甘味度甘味料を含有する柑橘風味アルコール飲料であって、凍結粉砕柑橘果実を含有する、柑橘風味アルコール飲料。
【請求項2】
高甘味度甘味料として、少なくともスクラロースを含有する、請求項1に記載の柑橘風味アルコール飲料。
【請求項3】
柑橘果汁を含有するものである、請求項1または2に記載の柑橘風味アルコール飲料。
【請求項4】
凍結粉砕柑橘果実の含有量が0.001w/v%以上である、請求項1または2に記載の柑橘風味アルコール飲料。
【請求項5】
スクラロースの含有量が0.0005w/v%以上である、請求項1または2に記載の柑橘風味アルコール飲料。
【請求項6】
アルコール濃度が1~15v/v%である、請求項1または2に記載の柑橘風味アルコール飲料。
【請求項7】
高甘味度甘味料を含有する柑橘風味アルコール飲料を製造する方法であって、凍結粉砕柑橘果実を添加することを含んでなる、方法。
【請求項8】
スクラロースを添加することをさらに含んでなる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
高甘味度甘味料を含有する柑橘風味アルコール飲料における味厚みを増強する方法であって、凍結粉砕柑橘果実を添加することを含んでなる、方法。
【請求項10】
高甘味度甘味料を含有する柑橘風味アルコール飲料における自然な柑橘感を増強する方法であって、凍結粉砕柑橘果実を添加することを含んでなる、方法。
【請求項11】
高甘味度甘味料を含有する柑橘風味アルコール飲料における味のキレを増強する方法であって、凍結粉砕柑橘果実を添加することを含んでなる、方法。
【請求項12】
高甘味度甘味料を含有する柑橘風味アルコール飲料におけるアルコール辛さを低減する方法であって、凍結粉砕柑橘果実を添加することを含んでなる、方法。
【請求項13】
スクラロースを添加することをさらに含んでなる、請求項9~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
高甘味度甘味料を含有する柑橘風味アルコール飲料における味厚みの増強、自然な柑橘感の増強、味のキレの増強、またはアルコール辛さの低減に用いるための香味改良剤であって、凍結粉砕柑橘果実を含んでなる、香味改良剤。
【請求項15】
スクラロースをさらに含んでなる、請求項14に記載の香味改良剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、味厚みが増強された柑橘風味アルコール飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、高甘味度甘味料を含有しない果汁含有アルコール飲料であって、糖アルコールを除く単糖類及び二糖類の総含有量が0.5w/w%未満であり;3以上の重合度を有する多糖類の総含有量が0.08w/v%以上であり;クエン酸換算の酸度が0.1g/100ml以上である、飲料が記載されている。かかる飲料は、高甘味度甘味料を含有しない、糖類ゼロタイプの果汁含有アルコール飲料において不足しがちな果実感を高め、アルコールの刺激感を低減した果汁含有アルコール飲料を提供するものとされている。
【0003】
しかし、レモン系チューハイなどの柑橘果汁と高甘味度甘味料を含有する容器詰めアルコール飲料においては、味厚みが不足していたり、高甘味度甘味料による甘さ残りによる味のキレの悪さが人工的な味として捉えられたり、アルコール由来の味のとげとげしさによる飲みづらさがあるなど、香味に関する様々な問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
本発明者らは、高甘味度甘味料を含有する柑橘風味アルコール飲料に凍結粉砕柑橘果実を添加することにより、味厚みが増強されることを見出した。本発明は、この知見に基づくものである。
【0006】
従って、本発明は、味厚みが増強された高甘味度甘味料含有柑橘風味アルコール飲料を提供する。
【0007】
すなわち、本発明によれば以下の発明が提供される。
(1)高甘味度甘味料を含有する柑橘風味アルコール飲料であって、凍結粉砕柑橘果実を含有する、柑橘風味アルコール飲料。
(2)高甘味度甘味料として、少なくともスクラロースを含有する、前記(1)に記載の柑橘風味アルコール飲料。
(3)柑橘果汁を含有するものである、前記(1)または(2)に記載の柑橘風味アルコール飲料。
(4)凍結粉砕柑橘果実の含有量が0.001w/v%以上である、前記(1)~(3)のいずれかに記載の柑橘風味アルコール飲料。
(5)スクラロースの含有量が0.0005w/v%以上である、前記(1)~(4)のいずれかに記載の柑橘風味アルコール飲料。
(6)アルコール濃度が1~15v/v%である、前記(1)~(5)のいずれかに記載の柑橘風味アルコール飲料。
(7)高甘味度甘味料を含有する柑橘風味アルコール飲料を製造する方法であって、凍結粉砕柑橘果実を添加することを含んでなる、方法。
(8)スクラロースを添加することをさらに含んでなる、前記(7)に記載の方法。
(9)高甘味度甘味料を含有する柑橘風味アルコール飲料における味厚みを増強する方法であって、凍結粉砕柑橘果実を添加することを含んでなる、方法。
(10)高甘味度甘味料を含有する柑橘風味アルコール飲料における自然な柑橘感を増強する方法であって、凍結粉砕柑橘果実を添加することを含んでなる、方法。
(11)高甘味度甘味料を含有する柑橘風味アルコール飲料における味のキレを増強する方法であって、凍結粉砕柑橘果実を添加することを含んでなる、方法。
(12)高甘味度甘味料を含有する柑橘風味アルコール飲料におけるアルコール辛さを低減する方法であって、凍結粉砕柑橘果実を添加することを含んでなる、方法。
(13)スクラロースを添加することをさらに含んでなる、前記(9)~(12)のいずれかに記載の方法。
(14)高甘味度甘味料を含有する柑橘風味アルコール飲料における味厚みの増強、自然な柑橘感の増強、味のキレの増強、またはアルコール辛さの低減に用いるための香味改良剤であって、凍結粉砕柑橘果実を含んでなる、香味改良剤。
(15)スクラロースをさらに含んでなる、前記(14)に記載の香味改良剤。
【0008】
本発明によれば、高甘味度甘味料を含有する柑橘風味アルコール飲料における味厚みが増強される。さらに、本発明によれば、高甘味度甘味料を含有する柑橘風味アルコール飲料における自然な柑橘感の増強、味のキレの増強、およびアルコール辛さの低減も可能となる。
【発明の具体的説明】
【0009】
本発明において「アルコール飲料」とは、酒税法上アルコール飲料とみなされる、アルコール度数1度以上の飲料を意味する。
【0010】
本発明において、「高甘味度甘味料」とは、ショ糖に比べて強い甘味を有する天然甘味料または合成甘味料を意味する。高甘味度甘味料の好適な例としては、ペプチド系甘味料(例えばアスパルテーム、アリテーム等)、配糖体系甘味料(例えばステビア甘味料、カンゾウ抽出物等)、ショ糖誘導体(例えばスクラロース等)、合成甘味料(例えばアセスルファムK、サッカリン等)などが挙げられる。
【0011】
本発明において、「ppm」は「mg/L」と同義であり、「ppb」は「μg/L」と同義である。
【0012】
本発明において、「自然な柑橘感」とは、香りだけではない(突出していない)柑橘果実の複雑味(酸味、苦味、旨味などの呈味を伴う)と、これに起因する味厚みをいう。例えば、「自然なレモン感」は、香りだけではない(突出していない)レモン果実の複雑味(酸味、苦味、旨味などの呈味を伴う)と、これに起因する味厚みを意味する。本発明において、「アルコール辛さ」とは、口中へのアルコール刺激(口中や舌への辛味)、または飲み込んだときの喉に対するアルコール刺激をいう。
【0013】
本発明の柑橘風味アルコール飲料は、高甘味度甘味料、および凍結粉砕柑橘果実を含むものである。このような飲料は、柑橘風味アルコール飲料の原料に高甘味度甘味料および凍結粉砕柑橘果実を添加することにより製造することができる。
【0014】
本明細書では、凍結粉砕柑橘果実の配合により、高甘味度甘味料を含有する柑橘風味アルコール飲料における味厚みが増強されることが実証されている。従って、本発明の他の態様によれば、高甘味度甘味料を含有する柑橘風味アルコール飲料における味厚みを増強する方法が提供され、該方法は、凍結粉砕柑橘果実を添加することを含む。
【0015】
本明細書では、凍結粉砕柑橘果実の配合により、高甘味度甘味料を含有する柑橘風味アルコール飲料における自然な柑橘感が増強されることが実証されている。従って、本発明の他の態様によれば、高甘味度甘味料を含有する柑橘風味アルコール飲料における自然な柑橘感を増強する方法が提供され、該方法は、凍結粉砕柑橘果実を添加することを含む。
【0016】
本明細書では、凍結粉砕柑橘果実の配合により、高甘味度甘味料を含有する柑橘風味アルコール飲料における味のキレが増強されることが実証されている。従って、本発明の他の態様によれば、高甘味度甘味料を含有する柑橘風味アルコール飲料における味のキレを増強する方法が提供され、該方法は、凍結粉砕柑橘果実を添加することを含む。
【0017】
本明細書では、凍結粉砕柑橘果実の配合により、高甘味度甘味料を含有する柑橘風味アルコール飲料におけるアルコール辛さが低減されることが実証されている。従って、本発明の他の態様によれば、高甘味度甘味料を含有する柑橘風味アルコール飲料におけるアルコール辛さを低減する方法が提供され、該方法は、凍結粉砕柑橘果実を添加することを含む。
【0018】
以上のように、凍結粉砕柑橘果実は、香味改良剤として利用可能である。従って、本発明の他の態様によれば、高甘味度甘味料を含有する柑橘風味アルコール飲料における味厚みの増強、自然な柑橘感の増強、味のキレの増強、またはアルコール辛さの低減に用いるための香味改良剤が提供され、この香味改良剤は、凍結粉砕柑橘果実を含む。
【0019】
本発明に用いられる凍結粉砕柑橘果実は、柑橘果実の全体(全果)を凍結し、粉砕して得られるものである。果実は、凍結する前に適切な大きさにカットしてもよく、あるいは、丸ごと凍結してもよい。好ましい柑橘果実の例としては、例えば、レモン、グレープフルーツ、オレンジ、マンダリン、シークヮーサー、イヨカン、ブンダン、キンカン、ベルガモット、ライム、スダチ、カボス等が挙げられ、好ましくはレモンおよびグレープフルーツ、さらに好ましくはレモンとされる。凍結粉砕柑橘果実の大きさは特に限定されるものではないが、飲料と混合した際に果実に含まれる全ての香味成分が飲料中に溶出しやすくなるよう、より細かい方が好ましい。具体的な凍結粉砕柑橘果実の大きさは、例えば、当技術分野で使用される通常の手段により測定される平均粒径として、約1μm~約1000μm、好ましくは約1μm~約200μmである。
【0020】
柑橘風味アルコール飲料に添加される凍結粉砕柑橘果実の量は特に限定されるものではなく、実現しようとする効果の強さに応じて適宜調整してよいが、好ましくは、柑橘風味アルコール飲料に対して0.001w/v%以上とされ、より好ましくは0.002w/v%以上とされる。上限値は特に限定されるものではないが、例えば、0.05w/v%、好ましくは0.02w/v%とすることができる。
【0021】
本発明の好ましい実施態様によれば、本発明の柑橘風味アルコール飲料は、高甘味度甘味料として、少なくともスクラロースを含有するものとされる。また、本発明の好ましい実施態様によれば、本発明の香味改良剤も、スクラロースを含有するものとされる。柑橘風味アルコール飲料に添加されるスクラロースの量は特に限定されるものではなく、実現しようとする効果の強さに応じて適宜調整してよいが、好ましくは、柑橘風味アルコール飲料に対して0.0005w/v%以上とされ、より好ましくは0.001w/v%以上とされる。上限値は特に限定されるものではないが、例えば、0.005w/v%、好ましくは0.003w/v%とすることができる。
【0022】
柑橘風味アルコール飲料中のスクラロースの濃度は、当技術分野において公知の方法、例えば、LC/MS/MS分析による方法(食品衛生学雑誌、43巻(2002年)、5号、pp.267-272)によって測定することができる。
【0023】
本発明の飲料は柑橘風味アルコール飲料である。ここで「柑橘風味アルコール飲料」とは、飲用したときに柑橘類の風味を感じるアルコール飲料を意味する。柑橘風味アルコール飲料は、柑橘系フレーバーや柑橘果汁などの柑橘系香味成分を添加することによって得ることができる。好ましい柑橘類の例としては、例えば、レモン、グレープフルーツ、オレンジ、マンダリン、シークヮーサー、イヨカン、ブンダン、キンカン、ベルガモット、ライム、スダチ、カボス等が挙げられ、好ましくはレモンおよびグレープフルーツ、さらに好ましくはレモンとされる。本発明の好ましい実施態様によれば、本発明の柑橘風味アルコール飲料はレモン風味アルコール飲料とされ、より好ましくはレモン果汁を含有する飲料とされる。また、本発明の柑橘風味アルコール飲料は、好ましくは柑橘の果皮由来成分を含有するものとされ、より好ましくはレモンの果皮由来成分を含有するものとされる。
【0024】
本発明の柑橘風味アルコール飲料のアルコール濃度は、特に制限されるものではないが、好ましくは1.0~15.0v/v%、より好ましくは3.0~10.0v/v%、さらに好ましくは3.0v/v%超10.0v/v%以下とすることができる。一つの実施態様によれば、飲料のアルコール濃度は5.0v/v%以上とされ、好ましくは5.0~15.0v/v%、より好ましくは5.0~10.0v/v%とされる。
【0025】
本発明の柑橘風味アルコール飲料は、飲料の製造に用いられる他の成分を含んでもよい。このような他の成分としては、例えば、甘味料(例えば、砂糖、ブドウ糖、果糖、オリゴ糖、異性化液糖、糖アルコール、スクラロース以外の高甘味度甘味料等)、酸味料(例えば、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、酒石酸、リン酸、フィチン酸、イタコン酸、フマル酸、グルコン酸、アジピン酸、酢酸、コハク酸またはそれらの塩類等)、色素、食品添加剤(例えば、起泡・泡持ち向上剤、苦味料、保存料、酸化防止剤、増粘安定剤、乳化剤、食物繊維、pH調整剤など)、穀物発酵エキス等を適宜添加することができる。
【0026】
本発明の好ましい実施態様によれば、本発明の柑橘風味アルコール飲料は、スクラロース以外の高甘味度甘味料(例えばアセスルファムK)をも含むものとされる。
【0027】
本発明の好ましい実施態様によれば、本発明の柑橘風味アルコール飲料には、凍結粉砕柑橘果実を15~100v/v%のアルコール(エタノール)水溶液に浸漬をした浸漬酒、およびこのような浸漬酒を含有する飲料は含まれない。ここでいう「浸漬」の浸漬時間(抽出時間)は、約半日(例えば12時間)以上であり、その上限は特に限定されないが、例えば数ヶ月(例えば2~9ヶ月)である。
【0028】
本発明の好ましい実施態様によれば、本発明の柑橘風味アルコール飲料は無糖の飲料とされる。ここでいう「無糖」とは、飲料100mLあたり、単糖類および二糖類の含有量の合計が0.5g未満のものをいう。
【0029】
本発明の柑橘風味アルコール飲料は、二酸化炭素を圧入したもの、すなわち、炭酸飲料とすることができる。炭酸ガス圧は、好みに応じて適宜調整することができ、例えば、0.05~0.4MPa(20℃におけるガス圧)の範囲で調整することができる。
【0030】
本発明の柑橘風味アルコール飲料は、pHを、例えば、2.0~5.0、好ましくは2.3~4.0に調整することができる。飲料のpHは市販のpHメーターを使用して容易に測定することができる。
【0031】
本発明の柑橘風味アルコール飲料は、好ましくは容器詰飲料として提供される。本発明の柑橘風味アルコール飲料に使用される容器は、飲料の充填に通常使用される容器であればよく、例えば、金属缶、樽容器、プラスチック製ボトル(例えば、PETボトル、カップ)、紙容器、瓶、パウチ容器等が挙げられるが、好ましくは金属缶・樽容器、プラスチック製ボトル(例えば、PETボトル)、または瓶とされる。
【実施例0032】
以下の実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0033】
試飲サンプル
以下の実施例において、いずれの試飲サンプルも次の条件を満たすものとした:
・アルコール濃度:4v/v%または9v/v%;
・レモン果汁の濃度:ストレート果汁に換算して2.5w/v%;
・酸味料の濃度:0.3w/v%(クエン酸、クエン酸Na等);
・高甘味度甘味料(スクラロース以外)の濃度:0.01w/v%(アセスルファムK);
・pH:3.0~3.9;
・炭酸ガス圧:0.12~0.30MPa;
・凍結粉砕レモン果実の濃度:0、0.002または0.01w/v%;
・スクラロースの濃度:0、0.001または0.005w/v%。
【0034】
官能評価
官能評価は、十分に訓練された6名のパネラーによって行った。評価項目は、味厚みの増強効果、自然な柑橘感(香りだけではない(突出していない)柑橘果実の複雑味(酸味、苦味、旨味などの呈味を伴う)と、これに起因する味厚み)の増強効果、味のキレの増強効果、およびアルコール辛さ(口中へのアルコール刺激(口中や舌への辛味)、または飲み込んだときの喉に対するアルコール刺激)の低減効果の4項目とした。
【0035】
味厚みの増強効果、自然な柑橘感の増強効果および味のキレの増強効果の評価は1~5の5段階のスコアで行い、スコアを選択する際の基準は以下の通りとした。
1:陰性対照と同等;
2:陰性対照と連続比較することで、わずかに増強されていることがわかる;
3:陰性対照と連続比較することで増強されていることがわかる;
4:陰性対照と比較しなくても増強されていることがわかる;
5:陰性対照と比較しなくても明らかに増強されていることがわかる。
【0036】
アルコール辛さの低減効果の評価は1~5の5段階のスコアで行い、スコアを選択する際の基準は以下の通りとした。
1:陽性対照と比較しなくても明らかなアルコール辛さがわかる;
2:陽性対照と比較しなくてもアルコール辛さがわかる;
3:陽性対照と連続比較することで、わずかにアルコール辛さが低減されていることがわかる
4:陽性対照と連続比較することでアルコール辛さが低減されていることがわかる;
5:陽性対照と同等。
【0037】
味厚みの増強効果および自然な柑橘感の増強効果の評価においては、凍結粉砕レモン果実の濃度が0w/v%であり、スクラロースの濃度が0w/v%の試飲サンプル(陰性対照)の評価スコアを1.0に固定した。味のキレの増強効果の評価においては、凍結粉砕レモン果実の濃度が0w/v%であり、スクラロースの濃度が0.005w/v%の試飲サンプル(陰性対照)の評価スコアを1.0に固定した。アルコール辛さの低減効果の評価においては、凍結粉砕レモン果実の濃度が0.01w/v%であり、スクラロースの濃度が0.005w/v%の試飲サンプル(陽性対照)の評価スコアを5.0に固定した。
【0038】
評価結果は、6名のスコアの平均値と標準偏差として示した。
【0039】
実施例1:柑橘果汁含有アルコール飲料における凍結粉砕柑橘果実の効果の確認
本実施例では、柑橘果汁としてレモン果汁を含有するレモン風味アルコール飲料を用い、凍結粉砕柑橘果実として凍結粉砕レモン果実を用いて、柑橘果汁含有アルコール飲料における凍結粉砕柑橘果実の効果を調べた。具体的には、上述の条件を満たす試飲サンプルを作製し、各効果についての官能評価を行った。結果を表1および表2に示す。
【0040】
【0041】
【0042】
表1および表2から、凍結粉砕柑橘果実の味厚み増強効果が認められた。また、凍結粉砕柑橘果実の自然な柑橘感の増強効果、味のキレの増強効果、およびアルコール辛さの低減効果も認められた。特に、味厚み増強効果とアルコール辛さ低減効果については、凍結粉砕柑橘果実とスクラロースの相乗効果も認められた。また、スクラロースの添加量の増加により味のキレは悪くなるものの、同じスクラロース濃度の試飲サンプルの比較によれば、凍結粉砕柑橘果実による味のキレの増強効果が認められた。これらの効果は、アルコール濃度4v/v%および9v/v%の両方の試飲サンプル群において同様に認められた。