(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088410
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】車両加速度検出装置
(51)【国際特許分類】
G01P 21/00 20060101AFI20240625BHJP
【FI】
G01P21/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203551
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】504136889
【氏名又は名称】株式会社ファルテック
(71)【出願人】
【識別番号】313006647
【氏名又は名称】セイコーソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山取 真也
(72)【発明者】
【氏名】岡井 隆一
(72)【発明者】
【氏名】木村 芳正
(72)【発明者】
【氏名】吉田 哲哉
(72)【発明者】
【氏名】益山 智浩
(57)【要約】
【課題】加速度センサの適切なキャリブレーションを行う。
【解決手段】3軸方向の加速度を検出する加速度センサ12と、車両の位置を検出する測位装置13と、既知の方向の加速度が作用するときに互いに異なる位置での加速度センサ12で検出される各軸方向の加速度に基づいて、加速度センサ12の姿勢と車両の所定の座標軸方向との関係を検出する姿勢検出部11と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3軸方向の加速度を検出する加速度センサと、
車両の位置を検出する測位装置と、
既知の方向の加速度が作用するときに互いに異なる位置での上記加速度センサで検出される各軸方向の加速度に基づいて、上記加速度センサの姿勢と車両の所定の座標軸方向との関係を検出する姿勢検出部と、
を備えたことを特徴とする車両加速度検出装置。
【請求項2】
請求項1の車両加速度検出装置であって、
上記既知の方向の加速度は、重力加速度であり、上記姿勢検出部は、車両の電源が投入されたときに上記加速度センサで検出される各軸方向の加速度に基づいて、上記加速度センサの姿勢と車両の所定の座標軸方向との関係を検出することを特徴とする車両加速度検出装置。
【請求項3】
請求項2の車両加速度検出装置であって、
上記姿勢検出部は、所定回数の検出による上記各軸方向の加速度の平均値に基づいて、上記加速度センサの姿勢と車両の所定の座標軸方向との関係を検出することを特徴とする車両加速度検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の加速度を検出する車両加速度検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両に設けられた加速度センサは、通常、取り付けられる姿勢に応じたキャリブレーションをしなければ、正確な加速度を検出できない。そこで、車両に設けられる複数のセンサの出力を比較してキャリブレーションを行う技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、複数の加速度センサの出力を比較しても、絶対的な取り付け姿勢のキャリブレーションをすることはできない。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、加速度センサの適切なキャリブレーションを行うことが容易にできるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、
本発明は、
3軸方向の加速度を検出する加速度センサと、
車両の位置を検出する測位装置と、
既知の方向の加速度が作用するときに互いに異なる位置での上記加速度センサで検出される各軸方向の加速度に基づいて、上記加速度センサの姿勢と車両の所定の座標軸方向との関係を検出する姿勢検出部と、
を備えたことを特徴とする。
【0007】
これにより、既知の方向の加速度によって適切なキャリブレーションを容易に行える。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、加速度センサの適切なキャリブレーションを行うことが容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】車両加速度検出装置10の構成を示すブロック図である。
【
図2】車両加速度検出装置10の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
車両加速度検出装置10は、
図1に示すように、姿勢検出部11に、3軸方向の加速度センサ12と、GPS13などの測位装置と、記憶部14とが接続されて構成されている。また、車両加速度検出装置10は車両の所定の制御装置等に接続され、検出された加速度の情報を制御装置等に送ったり、制御装置によって動作が制御されたりするようになっている。
【0012】
ここで、車両の座標軸の方向は特に限定されないが、以下では便宜上次のように定義されているとして説明する。
【0013】
X軸:前後方向の加速度 (減速時の加速度がプラス、加速時の加速度がマイナス)
Y軸:左右方向の加速度 (右折時の加速度がプラス、左折時の加速度がマイナス)
Z軸:上下方向の加速度 (上昇時の加速度がプラス、下降時の加速度がマイナス)
上記車両加速度検出装置10は、どのような姿勢で車両に取り付けられても、キャリブレーションが行われることにより、加速度センサ12によって検出される加速度に基づいて、上記X、Y、Z軸方向の加速度が求められるようになっている。
【0014】
上記キャリブレーションは、既知の方向の加速度が作用するときに、姿勢検出部11により行われ、加速度センサ12で検出される加速度に基づいて、それらの加速度センサの姿勢と車両の所定の座標軸方向との関係が検出される。
【0015】
上記既知の方向の加速度としては、例えば重力加速度が用いられる。すなわち、もし車両が水平姿勢で停車していたとすると、作用するのは重力加速度だけで、その向きはZ軸マイナス方向である。ここで、車両が水平姿勢にあるかどうかは、直接的に保証されない場合であっても、車両が複数の色々な場所に停車するとすると、平均的な姿勢は水平姿勢になると考えられる。ただし、例えば常置場所が傾斜した駐車場だったりすると、平均的な姿勢はその傾斜した姿勢になる虞があるので、GPS13により停車位置を検出して、複数の互いに異なる停車位置についての姿勢の平均が求められるようにすることにより、平均的な姿勢が水平姿勢になる可能性を高くすることができる。
【0016】
以下、具体的に行われる処理の例を
図2を参照して説明する。
【0017】
(S11) まず、イグニッションがONにされたかどうかの検出が繰り返される。すなわち、イグニッションがONにされた直後、走り始める前の静止している状態で、重力加速度による検出が行われる。なお、車両が静止した状態としては、イグニッションがONになった直後に限らず、ドアが開閉される場合や、トランスミッションのシフトレバーがパーキング位置にされている場合、パーキングブレーキが作動している場合、また、その前後などでもよいし、車速が0km/hである場合でもよい。ただし、例えば信号停止した場合などは、坂道で停車する可能性もある一方、駐車場は、通常、水平な場所に設けられることが多いと考えられるので、イグニッションがONにされた直後の方が水平姿勢である可能性が高いことは考えられる。いずれにしても、多くの検出結果を平均化すれば、水平姿勢に近づくことは想定される。
【0018】
(S12) イグニッションがONにされると、GPS13の現在の車両の位置が、新規な位置であるか、すなわち、既にキャリブレーションが行われた場所かどうかが判定され、既に行われていれば、(S11)に戻って再度イグニッションがONになるまで待機される。これによって、上記のように定常的に停車する場所が傾斜地である場合などでも、大きなバイアスが生じることは回避される。
【0019】
(S13) GPS15によって、停車していた場所が新規な場所であったことが確認されると、例えば、加速度センサ12による加速度の検出が行われ、100点の測定データを得る。停車していた場所が新規な場所であるかは、例えば停車していた場所が300m以上離れていることで判定する。
【0020】
(S14) そこで、加速度方向の移動平均が求められて、記憶部14に蓄積される。
【0021】
(S15) また、蓄積された加速度方向の例えば20件の移動平均に基づいて、キャリブレーション、すなわちセンサの検出結果と車両のZ軸方向の加速度との関係が求められる。
【0022】
X軸方向の加速度は、車両の加速時または減速時の加速度を用いて、X軸方向のキャリブレーションを行うことができる。
【0023】
車両の車速信号とシフトがドライブまたはバックのいずれに入っているかを信号として取り出しておいて、ドライブ入力時の加速を前方向、減速を後方向の加速度として判断してもよい。あるいは、バックギア入力時の加速を後方向、減速を前方向の加速度として判断してもよい。
【0024】
これらの方法によって、車両のX軸方向のキャリブレーションを容易にすることができる。既知の加速度である蓋然性が高い加速度の検出に基づいてキャリブレーションが行われることにより、適切なキャリブレーションを行うことが容易にできる。それゆえ、車両加速度検出装置10を機械的に高精度な姿勢で車両に取り付けたりする必要がない。また例えば種々の姿勢で車両加速度検出装置10が取り付けられる複数種類の車両に対して、特に設定操作やキャリブレーション操作を必要とすることなく、同じ車両加速度検出装置10を共通に用いることなどができる。
【0025】
(その他の事項)
上記のような車両加速度検出装置10は、例えば車両に新たに取り付けられた時に開始さる。すなわち、例えば車両加速度検出装置10の取付完了後、バッテリが接続されたタイミング以降で実施されてもよく、または、サーバーへ車両登録が完了したタイミング以降で実施される。
【0026】
また、一旦取り外されて再度取り付けられた時に、以前のデータが消去された後、再度開始されたりする。すなわち、例えば不具合の確認などのためにバッテリが切断され、車両加速度検出装置10が取り外された後、再度取り付けられた場合に、再度開始されたりする。
【符号の説明】
【0027】
10 車両加速度検出装置
11 姿勢検出部
12 加速度センサ
13 GPS
14 記憶部