(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088430
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】半導体ウエハ処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/268 20060101AFI20240625BHJP
H01L 21/68 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
H01L21/268 T
H01L21/268 G
H01L21/68 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203586
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105887
【弁理士】
【氏名又は名称】来山 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】大庭 卓
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131BA24
5F131CA32
5F131CA42
5F131DA32
5F131DA33
5F131DA36
5F131DA42
5F131DB76
5F131EA04
5F131EA22
5F131EB26
5F131EB32
5F131EB34
5F131KA12
5F131KA72
5F131KB12
5F131KB32
5F131KB35
(57)【要約】
【課題】規格の異なる半導体ウエハを処理する際に、規格の異なるロットの処理順の登録や、ユーザの介入を必要とすることなく、半導体ウエハの規格に応じた適切な処理を行うことが可能なウエハ処理装置を提供する。
【解決手段】処理部が、処理対象の半導体ウエハに対して処理を施す。アライメント部が、半導体ウエハの回転方向の位置合わせを行う。移送機構が、アライメント部で回転方向の位置合わせが完了した半導体ウエハを処理部に移送する。制御部が、移送機構を制御する。アライメント部は、半導体ウエハを支持して回転させる回転機構と、回転中の半導体ウエハのエッジの径方向の位置を検出するセンサとを有する。制御部は、センサによるエッジの検出結果と、半導体ウエハの回転方向の位置との関係に基づいて、半導体ウエハのオリエンテーションフラットの寸法を検出することにより、半導体ウエハが準拠する規格を判別する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象の半導体ウエハに対して処理を施す処理部と、
前記半導体ウエハの回転方向の位置合わせを行うアライメント部と、
前記アライメント部で回転方向の位置合わせが完了した前記半導体ウエハを前記処理部に移送する移送機構と、
前記移送機構を制御する制御部と
を備え、
前記アライメント部は、
前記半導体ウエハを支持して回転させる回転機構と、
回転中の前記半導体ウエハのエッジの径方向の位置を検出するセンサと
を有し、
前記制御部は、前記センサによるエッジの検出結果と、前記半導体ウエハの回転方向の位置との関係に基づいて、前記半導体ウエハのオリエンテーションフラットの寸法を検出することにより、前記半導体ウエハが準拠する規格を判別する半導体ウエハ処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記半導体ウエハを前記処理部に移送した後、前記半導体ウエハの準拠する規格に応じた処理を前記半導体ウエハに施す請求項1に記載の半導体ウエハ処理装置。
【請求項3】
前記制御部が前記処理部に実行させる異なる処理は、前記半導体ウエハに及ぼす作用は同一で、前記半導体ウエハに対して作用を及ぼす領域の形状及び面積の少なくとも一方が異なる処理である請求項1または2に記載の半導体ウエハ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハにドープしたドーパントの活性化を行うアニール方法として、半導体ウエハにパルスレーザビームを入射させてビームスポットを半導体ウエハ面内で移動させるレーザアニール方法が知られている(例えば、特許文献1等)。一般的に、ウエハサイズが同一の半導体ウエハが連続して処理される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体ウエハには複数の規格があり、規格によってオリエンテーションフラットの長さが異なる場合がある。例えば、シリコンウエハには、JEITAとSEMIとの2つの規格がある。例えば、6インチのシリコンウエハのオリエンテーションフラットの長さは、JEITA規格では47.5mmであるのに対し、SEMI規格では57.5mmである。オリエンテーションフラットの長さが異なると、半導体ウエハの上面の形状及び面積が異なる。
【0005】
例えば、半導体ウエハの表面をレーザビームで走査してアニールを行う場合、JEITA規格のウエハと、SEMI規格のウエハとで、走査すべき領域の大きさが異なる。例えば、処理対象の半導体ウエハにJEITA規格のロットとSEMI規格のロットとが混在している場合、規格の異なる複数のロットに対して適切な処理を行うために、規格の異なるロットの処理順を予め登録しておかなければならない。または、次に処理するロットの規格が直前に処理したロットの規格と異なる場合、規格に応じた適切な処理を行うように、ユーザの介入が必要になる。
【0006】
本発明の目的は、規格の異なる半導体ウエハを処理する際に、規格の異なるロットの処理順の登録や、ユーザの介入を必要とすることなく、半導体ウエハの規格に応じた適切な処理を行うことが可能なウエハ処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一観点によると、
処理対象の半導体ウエハに対して処理を施す処理部と、
前記半導体ウエハの回転方向の位置合わせを行うアライメント部と、
前記アライメント部で回転方向の位置合わせが完了した前記半導体ウエハを前記処理部に移送する移送機構と、
前記移送機構を制御する制御部と
を備え、
前記アライメント部は、
前記半導体ウエハを支持して回転させる回転機構と、
回転中の前記半導体ウエハのエッジの径方向の位置を検出するセンサと
を有し、
前記制御部は、前記センサによるエッジの検出結果と、前記半導体ウエハの回転方向の位置との関係に基づいて、前記半導体ウエハのオリエンテーションフラットの寸法を検出することにより、前記半導体ウエハが準拠する規格を判別する半導体ウエハ処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
制御部が半導体ウエハのオリエンテーションフラットの寸法を検出して半導体ウエハの規格を判別するため、規格の異なるロットの処理順の登録や、ユーザの介入を必要とすることなく、半導体ウエハの規格に応じた適切な処理を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施例によるウエハ処理装置の概略図である。
【
図2】
図2は、本実施例によるウエハ処理装置の各構成要素の平面的な位置関係を示す図である。
【
図3】
図3Aは、アライメント部の概略断面図であり、
図3Bは、アライメント部の構成部品の平面視における位置関係を示す図である。
【
図4】
図4は、センサの検出結果の一例を示すグラフである。
【
図5】
図5A及び
図5Bは、それぞれ6インチのSEMI規格及びJEITA規格の半導体ウエハの平面図である。
【
図6】
図6は、半導体ウエハに対して処理を施すときの制御部による制御の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1~
図6を参照して、一実施例によるウエハ処理装置について説明する。
図1は、本実施例によるウエハ処理装置の概略図である。ウエハ処理装置は、処理部30、アライメント部20、及び制御部40を含む。
【0011】
処理部30は、レーザ発振器31、ビームエキスパンダ32、ビーム整形光学素子33、折り返しミラー34、XYステージ35、及びチャックテーブル36を含む。処理対象の半導体ウエハ10がチャックテーブル36の上に吸着されて保持される。チャックテーブル36はXYステージ35によって水平面内の二方向に移動可能である。
【0012】
レーザ発振器31がパルスレーザビームを出力する。レーザ発振器31から出力されたパルスレーザビームがビームエキスパンダ32、ビーム整形光学素子33、及び折り返しミラー34を経由して半導体ウエハ10に入射する。なお、必要に応じてアパーチャ、レンズ等を配置してもよい。例えば、半導体ウエハ10にドーパントがイオン注入されており、パルスレーザビームの入射によってドーパントの活性化アニールを行う。
【0013】
レーザ発振器31として、例えばファイバレーザ発振器、レーザダイオード、固体レーザ発振器等を用いることができる。ビームエキスパンダ32は、ビーム整形光学素子33へのレーザビームの入射位置におけるビームサイズを調整する。ビーム整形光学素子33は、半導体ウエハ10の表面におけるビームスポットを整形するとともに、強度分布を均一化する。ビーム整形光学素子33として、例えば回折光学素子が用いられる。
【0014】
制御部40が、アライメント部20、XYステージ35、及びレーザ発振器31を制御する。例えば、制御部40は、パルスレーザビームが半導体ウエハ10の表面の目標位置に入射するように、XYステージ35を制御する。さらに、レーザ発振器31からのパルスレーザビームの出力タイミングを制御する。半導体ウエハ10にパルスレーザビームを入射させながら、パルスレーザビームの経路に対して垂直な二方向に半導体ウエハ10を移動させることにより、半導体ウエハ10の所定の領域をアニールすることができる。
【0015】
アライメント部20は、半導体ウエハ10の回転方向の位置決め、及び半導体ウエハ10が準拠する規格を判別するための基礎となる情報を取得する。アライメント部20の詳細な構成及び機能については、後に
図3及び
図4を参照して説明する。
【0016】
図2は、実施例によるウエハ処理装置の各構成要素の平面的な位置関係を示す図である。実施例によるウエハ処理装置は、処理チャンバ37及びロボット室55を備えている。処理チャンバ37内にチャックテーブル36及びXYステージ35(
図1)が配置されている。処理チャンバ37、チャックテーブル36、及びXYステージ35は、処理部30の一部を構成する。ロボット室55に、移送機構としてのロボットアーム50、2つのウエハカセット51、及びアライメント部20が収容されている。
【0017】
平面視において、ロボットアーム50の周囲に2つのウエハカセット51及びアライメント部20が配置されている。一方のウエハカセット51に未処理の半導体ウエハ10が収納されており、他方のウエハカセット51に処理済の半導体ウエハ10が収納される。なお、ウエハカセット51を未処理用と処理済用とに区分することなく、未処理の半導体ウエハ10を処理し、処理済の半導体ウエハ10をウエハカセット51の元の位置に戻す搬送方法を採用してもよい。
【0018】
ロボットアーム50は、制御部40によって制御されることにより、半導体ウエハ10をウエハカセット51、アライメント部20、及びチャックテーブル36の間で移送する。
【0019】
図3Aは、アライメント部20の概略断面図であり、
図3Bは、アライメント部20の構成部品の平面視における位置関係を示す図である。ウエハ吸着部21が回転機構22を介してベース24に支持されている。半導体ウエハ10が、裏面のほぼ中心においてウエハ吸着部21に吸着されて、ほぼ水平に支持される。回転機構22は、制御部40からの制御により、ウエハ吸着部21に支持された半導体ウエハ10を回転させる。半導体ウエハ10には、オリエンテーションフラット10Fが設けられている。
【0020】
センサ23が、支持部材25によりベース24に支持されている。センサ23は、発光部23A及び受光部23Bを含む。発光部23A及び受光部23Bは、相互に間隔を隔てて上下方向に対向して配置されており、両者の間に半導体ウエハ10の縁(エッジ)が位置する。受光部23Bは、
図3Bに示した平面視において、回転機構22の回転中心を通過する直線に沿って配置されたラインセンサで構成される。センサ23は、半導体ウエハ10のエッジの径方向の位置を検出する。制御部40(
図2)は、半導体ウエハ10を回転させながら、センサ23の検出結果を取得する。なお、センサ23として、反射型のセンサを用いてもよい。
【0021】
図4は、センサ23の検出結果の一例を示すグラフである。横軸は半導体ウエハ10の基準の径方向からの回転角を単位[°]で表し、縦軸は、半導体ウエハ10のエッジの、基準位置からの偏差を単位[mm]で表す。半導体ウエハ10の中心と、回転機構22の回転中心とが一致しているときのエッジの位置を、基準位置としている。
【0022】
図4において、周期が360°の波形が現れているのは、半導体ウエハ10の中心が、回転機構22の回転中心からずれているためである。この波形から、半導体ウエハ10の中心のずれ量、及びずれの方向を検出することができる。
【0023】
図4において、回転角が90°~130°の範囲に現れている窪みは、オリエンテーションフラット10Fがセンサ23の検出位置を通過したことを意味する。この窪みが現れている回転角から、半導体ウエハ10のオリエンテーションフラット10Fの回転方向の位置を検出することができる。また、窪みが現れている回転角の幅から、オリエンテーションフラット10Fの寸法を求めることができる。
【0024】
図5A及び
図5Bは、それぞれ6インチのSEMI規格及びJEITA規格の半導体ウエハ10S、10Jの平面図である。SEMI規格では、オリエンテーションフラット10Fの長さLが57.5mmであり、JEITA規格では、オリエンテーションフラット10F長さLが47.5mmである。このように、規格によってオリエンテーションフラット10Fの長さLが異なる。
【0025】
制御部40(
図1、
図2)は、アライメント部20で測定された回転角とエッジの偏差との関係(
図4)から、オリエンテーションフラット10Fの長さLを計算する。オリエンテーションフラット10Fの長さLの計算値によって、半導体ウエハ10がSEMI規格のものかJEITA規格のものかを判別する。なお、オリエンテーションフラット10Fに対応する中心角(すなわち、回転角の幅)から、半導体ウエハ10がSEMI規格のものかJEITA規格のものかを判別してもよい。このように、オリエンテーションフラット10Fの寸法を、長さで規定してもよいし、中心角で規定してもよい。
【0026】
図6は、半導体ウエハ10に対して処理を施すときの制御部40が実行する制御の手順を示すフローチャートである。まず、制御部40は、ロボットアーム50を制御することにより、未処理の半導体ウエハ10をウエハカセット51から取り出し、アライメント部20に移送する(ステップS1)。より具体的には、半導体ウエハ10の中心と、回転機構22(
図3A、
図3B)の回転中心との粗い位置合わせを行い、半導体ウエハ10をウエハ吸着部21(
図3A、
図3B)に吸着させる。
【0027】
次に、制御部40は、回転機構22を動作させて半導体ウエハ10を回転させながら、センサ23からの検出値を取得し、半導体ウエハ10の回転方向の位置合わせを行う(ステップS2)。例えば、回転機構22の回転中心に対する半導体ウエハ10の中心の偏差、及びオリエンテーションフラット10Fの回転方向の位置を検出し、オリエンテーションフラット10Fを、回転方向の所定の位置に位置決めした姿勢で半導体ウエハ10を静止させる。
【0028】
次に、制御部40は、半導体ウエハ10が準拠する規格を判別する(ステップS3)。例えば、オリエンテーションフラット10Fの長さL(
図5A、
図5B)から、半導体ウエハ10がSEMI規格のものか、JEITA規格のものかを判別する。
【0029】
制御部40は、ロボットアーム50を制御して、半導体ウエハ10をアライメント部20から処理部30に移送する(ステップS4)。このとき、チャックテーブル36に対して半導体ウエハ10を所定の位置に位置決めして、チャックテーブル36に支持させる。
【0030】
半導体ウエハ10がSEMI規格のものである場合は、SEMI規格の半導体ウエハ10に対する処理を実行し(ステップS5、S6)、半導体ウエハ10がJEITA規格のものである場合は、JEITA規格の半導体ウエハ10に対する処理を実行する(ステップS5、S7)。例えば、半導体ウエハ10のうちオリエンテーションフラット10Fで切り取られた部分以外の部分にレーザビームを入射させて、ドーパントの活性化アニールを行う。SEMI規格の半導体ウエハ10とJEITA規格の半導体ウエハ10とで、半導体ウエハ10に及ぼす作用は同一であり、作用を及ぼす領域の形状及び大きさの少なくとも一方が異なる。
【0031】
半導体ウエハ10に対する処理を行った後、制御部40は、ロボットアーム50を制御して、処理済みの半導体ウエハ10を処理部30からウエハカセット51に移送する(ステップS8)。
【0032】
次に、本実施例の優れた効果について説明する。
処理対象の複数の半導体ウエハ10に、規格の異なるものが混在している場合に、次に処理する半導体ウエハ10の規格をオペレータが指示することなく、半導体ウエハ10に対して、規格に適した処理を施すことができる。また、半導体ウエハ10を処理部30に移送する(ステップS4)前に、半導体ウエハ10の規格を判別する(ステップS3)ため、半導体ウエハ10を処理部30に移送した後、直ちに処理を開始することができる。さらに、半導体ウエハ10の位置合わせを行うためのセンサ23の測定結果を用いて、半導体ウエハ10の規格の判別を行うため、規格判別のための専用のセンサを配置する必要がない。
【0033】
次に、上記実施例の変形例について説明する。
上記実施例では、オリエンテーションフラット10Fの寸法の相違に基づいて、半導体ウエハ10の規格を判別するが、半導体ウエハ10に設けられたノッチの形状等の違いに基づいて規格を判別することも可能である。
【0034】
また、上記実施例では、半導体ウエハ10に対してドーパントの活性化アニールを行う例について説明したが、その他の処理を行う場合にも、上記実施例による手法を適用することが可能である。
【0035】
上述の実施例は例示であり、本発明は上述の実施例に制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
【符号の説明】
【0036】
10 半導体ウエハ
10F オリエンテーションフラット
10J JEITA規格の半導体ウエハ
10S SEMI規格の半導体ウエハ
20 アライメント部
21 ウエハ吸着部
22 回転機構
23 センサ
23A 発光部
23B 受光部
24 ベース
25 支持部材
30 処理部
31 レーザ発振器
32 ビームエキスパンダ
33 ビーム整形光学素子
34 折り返しミラー
35 XYステージ
36 チャックテーブル
37 処理チャンバ
40 制御部
50 ロボットアーム
51 ウエハカセット
55 ロボット室