(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088432
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】クッション体
(51)【国際特許分類】
A47C 27/14 20060101AFI20240625BHJP
A47C 27/15 20060101ALI20240625BHJP
B68G 5/02 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
A47C27/14 Z
A47C27/15 B
A47C27/15 Z
B68G5/02
A47C27/15 A
A47C27/14 A
A47C27/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203591
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】503285852
【氏名又は名称】やまと産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111811
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】塩谷 裕司
(72)【発明者】
【氏名】坂本 浩
【テーマコード(参考)】
3B096
【Fターム(参考)】
3B096AB01
3B096AB04
3B096AB07
3B096AB09
3B096AD07
(57)【要約】
【課題】使用者の好みや体形などに対応して部分的に容易に硬さを調整することが可能で、単層であっても使用可能なクッション体を提供する。
【解決手段】クッション体は、弾性を有する発泡体から構成される板状の本体部材1aを有し、前記本体部材1aには、厚み方向に貫通する切れ目が所定間隔で設けられた切込み線L1が複数本設けられていることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性を有する発泡体から構成される板状の本体部材を有し、
前記本体部材には、厚み方向に貫通する切れ目が所定間隔で設けられた切込み線が複数本設けられていることを特徴とするクッション体。
【請求項2】
前記切れ目の長さが2mm以上10mm以下の範囲である請求項1記載のクッション体。
【請求項3】
隣り合う切れ目の間の接続部の長さが1mm以上5mm以下の範囲である請求項1又は2記載のクッション体。
【請求項4】
前記切れ目と前記接続部との長さの比が1:1~3:1の範囲である請求項3記載のクッション体。
【請求項5】
平面視において、前記複数本の切込み線が直線状で、所定間隔で略平行に設けられている請求項1又は2記載のクッション体。
【請求項6】
前記複数本の切込み線の間隔が10mm以上50mm以下の範囲である請求項5記載のクッション体。
【請求項7】
前記複数本の切込み線の両端部が前記本体部材の周縁に至らない請求項5記載のクッション体。
【請求項8】
前記本体部材の厚み方向の一方面側及び/又は他方面側に複数の凸部および凹部が平面視において直交する2方向にそれぞれ交互となるように形成されている請求項1又は2記載のクッション体。
【請求項9】
前記本体部材の厚みに対する前記凸部の高さの割合が15%以上40%以下の範囲である請求項8記載のクッション体。
【請求項10】
前記発泡体がポリウレタンフォームである請求項1又は2記載のクッション体。
【請求項11】
前記本体部材の上面および下面の少なくとも一方面側に、板状の弾性部材が積層された請求項1又は2記載のクッション体。
【請求項12】
前記複数本の切込み線が、平面視において、直線状で所定間隔で略平行に設けられた第1切込み線群と、第1切込み線群に対して交差する方向に直線状で所定間隔で略平行に設けられた第2切込み線群とから構成される請求項1又は2記載のクッション体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマットレスや座布団などに好適に使用されるクッション体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マットレスなどのクッション体では、部分的に異なる硬さと柔らかさとが求められる。例えば、マットレスの場合、仰臥した使用者の背部や臀部、踵部が当たる部分は大きな体圧がかかるため柔らかくして体圧分散性を高める必要がある一方、使用者のそれ以外の部位が当たる部分は硬くして寝返りなどの姿勢変化をし易くする必要がある。
【0003】
そこで、例えば特許文献1や特許文献2では、身体の部位に対応してマットレスを複数のゾーンに区分けし、各々のゾーンの硬さを変化させて使用者の身体各部の体圧を適切に分散させる技術が提案されている。また、特許文献3では、マットレスの中央ブロックが端部ブロックの外方周縁部よりも柔軟に形成され、端部ブロックには、中央ブロックと接する方向に向かって見かけの硬さが漸次低くなるように調整され、仰臥姿勢の使用者の肩部と接する位置の見かけの硬さが中央ブロックの見かけの硬さよりも低くなるように調整するスリットなどの硬さ調整手段が設けられたマットレスが提案されている。特許文献4では、硬めのクッション性を有する荷重支持層と、この荷重支持層の下側に配置された柔らかめのクッション性を有する柔軟層とが積層されたマットレスであって、荷重支持層の仰臥した使用者の体圧が高くなりやすい部位に、上面から下面に貫通した複数の切込みの列がマットレスの長さ方向に設けられたマットレスが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8-252152号公報
【特許文献2】特開2007-61295号公報
【特許文献3】特開2018-86434号公報
【特許文献4】特開2018-86397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1~3に提案のマットレスは、表面に形成された凹凸部の深さやピッチを変えることで硬さが調整されている。このため、使用者の好みや体形などに個別に対応するには時間と労力が必要であった。また特許文献4に提案のマットレスは、荷重支持層に、上面から下面に貫通した複数の切込みの列が形成されている。このため、荷重支持層単独での使用では切込みと切込みとの間の部分が自重で下方に弛むと推測され、これを防止するためにも荷重支持層の下側に柔軟層の配置が必要となる。
【0006】
本発明の目的は、使用者の好みや体形などに対応して部分的に容易に硬さを調整することが可能で、単層であっても使用可能なクッション体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成する本発明の一態様に係るクッション体は、弾性を有する発泡体から構成される板状の本体部材を有し、前記本体部材には、厚み方向に貫通する切れ目が所定間隔で設けられた切込み線が複数本設けられていることを特徴とする。
【0008】
前記構成のクッション体において、前記切れ目の長さは2mm以上10mm以下の範囲であるのが好ましい。
【0009】
また前記構成のクッション体において、隣り合う切れ目の間の接続部の長さが1mm以上5mm以下の範囲であるのが好ましい。
【0010】
また前記構成のクッション体において、前記切れ目と前記接続部との長さの比が1:1~3:1の範囲であるのが好ましい。
【0011】
また前記構成のクッション体において、平面視において、前記複数本の切込み線が直線状で、所定間隔で略平行に設けられているのが好ましい。
【0012】
また前記構成のクッション体において、前記複数本の切込み線の間隔が10mm以上50mm以下の範囲であるのが好ましい。
【0013】
また前記構成のクッション体において、前記複数本の切込み線の両端部は前記本体部材の周縁に至らないのが好ましい。
【0014】
また前記構成のクッション体において、前記本体部材の厚み方向の一方面側及び/又は他方面側に複数の凸部および凹部が平面視において直交する2方向にそれぞれ交互となるように形成されていてもよい。
【0015】
また前記構成のクッション体において、前記本体部材の厚みに対する前記凸部の高さの割合が15%以上40%以下の範囲であるのが好ましい。
【0016】
また前記構成のクッション体において、前記発泡体がポリウレタンフォームであるのが好ましい。
【0017】
また前記構成のクッション体において、前記本体部材の上面および下面の少なくとも一方面側に、板状の弾性部材が積層されているのが好ましい。
【0018】
また前記構成のクッション体において、前記複数本の切込み線が、平面視において、直線状で所定間隔で略平行に設けられた第1切込み線群と、第1切込み線群に対して交差する方向に直線状で所定間隔で略平行に設けられた第2切込み線群とから構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明のクッション体では、本体部材に、厚み方向に貫通する切れ目を所定間隔で直線状に設けられた切込み線を複数本設けることで、使用者の好みや体形などに対応して部分的に容易に硬さを調整することが可能で単層であっても使用可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係るクッション体としてのマットレスの第1実施形態を示す下側から見た斜視図である。
【
図2】
図1に示すマットレスの上側から見た部分斜視図である。
【
図3】
図1に示すマットレスの部分垂直断面図である。
【
図5】本発明に係るクッション体としてのマットレスの第2実施形態を示す下側から見た斜視図である。
【
図6】本発明に係るクッション体としてのマットレスの第3実施形態を示す上側から見た斜視図である。
【
図7】実施例で用いた、プロファイル加工されていない測定用ブロックの写真である。
【
図8】実施例で用いた、プロファイル加工された測定用ブロックの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態に係るクッション体について図に基づいて説明するが本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではない。また、本明細書における「厚み方向」、「X方向」、「Y方向」は図において示される厚み方向、X方向、Y方向を意味するものとする。
【0022】
また本明細書において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。また、本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
【0023】
(第1実施形態)
(クッション体,本体部材1a)
図1に示す本発明の一実施形態に係るクッション体はマットレスとして使用されるものであって、本体部材1aのみからなる。本体部材1aは、平面視が長方形状で、弾性を有する発泡体から構成されている。厚み方向一方面側(
図1では上面側)が複数の凸部11および凹部12が平面視において直交する2方向にそれぞれ交互となるようなプロファイル加工が施されている。このようなプロファイル加工が施されていることによってマットレスとして使用した際に体圧分散性および通気性が向上する。
【0024】
本体部材1aの厚みDに特に限定はないが、通常、40mm以上100mm以下の範囲が好ましく、より好ましくは50mm以上90mm以下の範囲である。また、体圧分散性や通気性等を向上させる観点からは凸部11の高さを高くすることが考えられるが、凸部11の高さが高くなると耐久性などが低下する。このため、通常、凸部11の高さh(
図3に図示)は本体部材1aの厚みD(
図3にも図示)に対して15%以上40%以下の範囲とすることが推奨される。なお、プロファイル加工は本体部材1aの厚み方向の一方面側のみならず他方面側に施しても構わないし、あるいはまた本体部材1aの厚み方向の両面側共にプロファイル加工を施さず平面状としても構わないが、少なくとも一方面側にプロファイル加工が施されているのが好ましく、マットレスとして使用する際はプロファイル加工が施された側が上側となるように本体部材1aを配置するのが好ましい。
【0025】
本体部材1aを構成する発泡体としては、例えば、ポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォームなどの弾性を有する樹脂発泡体が好適に使用できる。これらの中でも反発弾性率が低く体圧分散性が高いポリウレタンフォームが好適に使用される。加えて、通気性や透水性の機能をも発揮させる観点からは、セル膜を有しない三次元網目構造のポリウレタンフォームが推奨される。また、発泡体中にカーボンなどの導電性粉や抗菌剤、防カビ剤を含有させることによって発泡体に帯電(静電気)防止、抗菌性能、防カビ性能を付与してもよい。
【0026】
また、本体部材1aを構成する発泡体の密度としては14kg/m3以上であるのが望ましい。発泡体の密度が14kg/m3未満では、十分なクッション性が得られない虞がある。より好ましい発泡体の密度は25kg/m3以上である。発泡体の密度が25kg/m3未満であると保管や輸送時の省スペース化のために本体部材1aを圧縮した場合に、使用時において圧縮状態からの復元が不十分となる虞がある。また、本体部材1aを折り曲げた際に切込み線で本体部材1aが断裂する虞がある。発泡体の密度のより好ましい下限値は30kg/m3である。一方、発泡体の密度の上限値に特に限定はないが、通常、50kg/m3である。
【0027】
(切込み線L1)
図1に示すように、本体部材1aには、部分的に硬さを調整するために複数本の切込み線L1が設けられている。より詳細には、
図1の本体部材1aでは、Y方向に所定長さ隔てた3つの領域Ar1,Ar2,Ar3(以下「各領域Ar」と記すことがある。)にそれぞれ複数本の切込み線L1が設けられている。領域Ar1,Ar2,Ar3は、本体部材1aに仰臥した使用者の背部、臀部、踵部が当たる部分である。各領域Arには、X方向に延在する直線状の切込み線L1がY方向に所定間隔で複数本設けられている。複数本の切込み線L1は長さが同一で、長さ方向中央が本体部材1aのX方向の中央と一致するように設けられている。なお、各領域Arにおける切込み線L1は1本であっても構わない。切込み線L1が2本以上の場合、Y方向の形成間隔P1に特に限定はなく、当該領域が所望の硬さとなるよう適宜決定すればよい。通常、切込み線L1の形成間隔P1は10mm以上50mm以下の範囲が好ましく、15mm以上30mm以下の範囲がより好ましい。
【0028】
複数本の切込み線L1の両端部は本体部材のX方向の両側縁にまでは至らない。これにより、本体部材1aに曲げ応力などが生じたときに本体部材1aが切込み線L1で断裂することなどが抑制される。
【0029】
なお、切込み線L1は直線状に限定されるものではなく屈曲線や曲線などであっても構わない。
【0030】
図4に示すように、切込み線L1は、厚み方向に貫通する、線方向の長さLbの切れ目Brと、切れ目Br間の長さLcの接続部Coとが交互に配置されてなる。このような切込み線L1が本体部材1aに設けられていることによって本体部材1aの硬さが調整される。通常、切れ目Brの長さLbが長いほど、そして接続部Coの長さLcが短いほど本体部材の硬さは低くなる傾向になる。切れ目Brの長さLbは、通常、2mm以上10mm以下が好ましい。切れ目Brの長さLbが2mm未満であると本体部材1aの硬さ変化が小さすぎることがある。一方、切れ目Brの長さLbが10mmを超えると、本体部材1aが切込み線で断裂するおそれがある。なお、このような切込み線L1は、例えばプレス成形においてトムソン刃などにより形成できる。
【0031】
接続部Coの長さLcは1mm以上5mm以下の範囲が好ましい。接続部Coの長さLcが1mm未満であると、使用時や運搬時、保管時等に本体部材1aが断裂する虞がある。一方、接続部Coの長さLcが5mmを超えると、本体部材1aの硬さ変化が小さすぎることがある。接続部Coの長さLcは、より好ましくは1mm以上3mm以下の範囲である。
【0032】
切込み線L1を構成する切れ目Brの長さLbと接続部Coの長さLcとの比率に特に限定はないが、通常、切れ目Brの長さLbは接続部Coの長さLc以上であるのが好ましい。より好ましくは、切れ目Brの長さLbと接続部Coの長さLcとの比が1:1~3:1の範囲である。
【0033】
図1に示す本体部材1aでは、切込み線L1の形成領域Ar1,Ar2,Ar3の3カ所としているが、切込み線L1の形成領域に特に限定はなく、他の部分よりも硬さを低くしたい領域に設ければよい。
【0034】
(第2実施形態)
図5に、本発明に係るクッション体の一例であるマットレスの他の形態を示す。第1実施形態として示した
図1のマットレスは本体部1aのみからなり、複数の切込み線L1はすべてX方向に直線状に延在しY方向所定間隔で平行に設けられていた。
図5に示すマットレスも本体部1bのみからなるが、切込み線は、X方向に直線状に延在しY方向に所定間隔で平行に設けられた切込み線L1からなる第1切込み線群と、Y方向に直線状に延在しX方向に所定間隔で平行に設けられた切込み線L2からなる第2切込み線群とを有する。
【0035】
切込み線L1から構成される第1切込み線群は、第1実施例と同様に、Y方向に所定長さ隔てて3つの領域Ar1,Ar2,Ar3にそれぞれ設けられている。領域Ar1,Ar2,Ar3は、本体部材1bに仰臥した使用者の背部、臀部、踵部が当たる部分である。
【0036】
切込み線L2から構成される第2切込み線群は、本体部材1bのX方向中央部でY方向の両端部近傍まで延在する領域Ar4に設けられている。領域Ar4は、本体部材1に仰臥した使用者の頭や胴部、脚部の大部分が当たる部分である。第2切込み線群を構成する複数の切込み線L2はY方向の両端部近傍まで延在し、切込み線L1に対して直交する。複数の切込み線L2の長さは同一で、その両端部がY方向において同じ位置となるように設けられている。また切込み線L2の両端部は本体部のY方向の両側縁にまでは至らない。これにより、本体部材1bに曲げ応力などが生じたときに本体部材1bが切込み線L2で断裂することなどが抑制される。
【0037】
なお、切込み線L1と切込み線L2の形成方向は交差する方向であればよく、直交方向に限定されるものではない。また切込み線L1と切込み線L2とは交差していなくてもよい。加えて、切込み線L1および切込み線L2と交差する方向に他の切込み線が設けられていてもよい。
【0038】
切込み線L2における、切れ目Brの長さLbおよび接続部Coの長さLc、長さLbと長さLcとの比の好適範囲は、切込み線L1において例示されたものがここでも例示される。
【0039】
(第3実施形態)
図6に、本発明に係るクッション体の一例であるマットレスの他の形態を示す。第1実施形態および第2実施形態として示した
図1および
図5のマットレスは本体部材1a,1bのみからなっていたが、
図6に示すマットレスMcは、本体部材1cの厚み方向の上側および下側に板状で弾性を有する上層部材21および下層部材31が積層されている。上層部材21および下層部材31は、平面視において本体部材1cと同じ形状を有する。本実施形態で使用する本体部材1cは、上面および下面に上層部材21および下層部材31が積層されるため、上面および下面にプロファイル加工はなされていない。本体部材1cには、第1実施形態と同様に、本体部材1cに仰臥した使用者の背部、臀部、踵部が当たる3つの領域Ar1,Ar2,Ar3のそれぞれに複数の切込み線L1が設けられている。
【0040】
このような構造のマットレスMcでは、上層部材21および下層部材31が本体部材1cを保持する働きを奏するとともに、上層部材21や下層部材31の材質などを変えることでマットレスMcの硬さや反発性などの調整が可能となる。
【0041】
上層部材21および下層部材31としては、例えば、ポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォームなどの弾性を有する樹脂発泡体が好適に使用できる。これらの中でも反発弾性率が低く体圧分散性が高いポリウレタンフォームが好適に使用される。
【0042】
なお、本実施形態のマットレスMcでは、本体部材1cの上面および下面に上層部材21および下層部材31が積層されているが、これらの弾性を有する部材は本体部材1cの上面および下面の一方面側のみに積層されていてもよい。また、積層される弾性部材は3つ以上であっても構わない。加えて、最上層および最下層の少なくとも一方の弾性部材の外側面にプロファイル加工がなされていてもよい。
【実施例0043】
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが本発明はこれらの例に何ら限定されるものではない。
【0044】
実施例1
(測定用ブロック)
発泡ポリウレタンからなる、硬さの異なる3種類のプロファイル加工されていない直方体形状(X方向:30cm,Y方向:30cm,厚み方向:9cm)の測定用ブロックAを作製した。
図7に写真を示す。
同様に、発泡ポリウレタンからなる、硬さの異なる3種類の、上面にプロファイル加工がなされた略直方体形状(X方向:30cm,Y方向:30cm,厚み方向:9cm(プロファイル部分3cm))の測定用ブロックBを作製した。
図8に写真を示す。
作製した測定用ブロックA,Bのそれぞれに厚み方向に貫通する下記種類の切込み線を下記の間隔で平行に形成した。
・切込み線 :切れ目4mm-接続部2mm,切れ目8mm-接続部3mm
・切込み線の形成間隔:16.7mm,25mm
【0045】
(硬さ測定)
切込み線が形成された測定用ブロックA,Bの硬さを、JIS K 6400-2 硬さ試験のA法及びD法に準拠して測定した。測定結果を表1に示す。
A法:40%定圧縮して30秒後の力を求める方法。
D法:25%定圧縮して20秒後の力を求める方法。
【0046】
【0047】
表1から明らかなように、いずれの材質の測定用ブロックにおいても、プロファイル加工の有無にかかわらず、切込み線が形成されていない測定用ブロックに比べて切込み線が形成された測定用ブロックは25%圧縮および40%圧縮の硬さは小さくなった。
【0048】
実施例2
前記の測定用ブロックA,Bのそれぞれに厚み方向に貫通する下記種類の切込み線を下記の間隔で垂直な2方向(X方向,Y方向)に形成し、実施例1と同様にして硬さ測定を行った。結果を表2に示す。
また、繰返し圧縮残留歪みをJIS K 6400-4B法 定変位法に準拠して測定した。測定結果を表3に示す。
X方向 Y方向
切込み線 切れ目4mm-接続部2mm,切れ目4mm-接続部2mm
切込み線 切れ目8mm-接続部3mm,切れ目8mm-接続部3mm
切込み線 切れ目4mm-接続部2mm,切れ目8mm-接続部3mm
【0049】
【0050】
表2から明らかなように、垂直な2方向に切込み線が形成された測定用ブロックは、いずれの材質においても、プロファイル加工の有無にかかわらず、切込み線が形成されていない測定用ブロックに比べて硬さが小さくなった。
【0051】