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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088443
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】化粧用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20240625BHJP
   A61Q 1/10 20060101ALI20240625BHJP
   A61K 8/29 20060101ALI20240625BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20240625BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20240625BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
A61K8/81
A61Q1/10
A61K8/29
A61K8/19
A61K8/34
A61Q1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022203613
(22)【出願日】2022-12-20
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】安部 裕子
(72)【発明者】
【氏名】モハメド・ブララ
(72)【発明者】
【氏名】隅田 麻里
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB051
4C083AB231
4C083AB232
4C083AB241
4C083AC012
4C083AC102
4C083AC111
4C083AC112
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC442
4C083AC472
4C083AC782
4C083AD041
4C083AD042
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD632
4C083BB23
4C083BB25
4C083CC03
4C083CC14
4C083DD23
4C083EE01
4C083EE06
4C083EE12
4C083EE16
(57)【要約】
【課題】優れた美容効果、例えば長持ちするメイクアップ効果を提供することができる、安定した組成物を提供すること。
【解決手段】本発明は、(a)少なくとも1種の親水性被覆顔料、(b)-30℃以下のガラス転移温度を有する少なくとも1種の膜形成ポリマー、(c)少なくとも1種のポリオール及び(d)水を含む組成物に関する。本発明による組成物は、安定しており、優れた美容効果、例えば長持ちする目のメイクアップ効果を提供することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物、好ましくは化粧用組成物、より好ましくは目のメイクアップのための化粧用組成物であって、
(a)少なくとも1種の親水性被覆顔料、
(b)-30℃以下のガラス転移温度を有する少なくとも1種の膜形成ポリマー、
(c)少なくとも1種のポリオール、及び
(d)水
を含む、組成物。
【請求項2】
(a)親水性被覆顔料が、アルギン酸塩又はシリカで被覆されている、無機粒子、好ましくは金属酸化物粒子、より好ましくは酸化チタン粒子及び/又は酸化鉄粒子から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
組成物中の(a)親水性被覆顔料の量が、組成物の総質量に対して、0.001質量%~15質量%、好ましくは0.01質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%の範囲である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
(b)-30℃以下のガラス転移温度を有する膜形成ポリマーが、ラテックスの形態である、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
(b)-30℃以下のガラス転移温度を有する膜形成ポリマーが、C6~C22アルキル(メタ)アクリレート、好ましくはC6~C18アルキル(メタ)アクリレート、より好ましくはC6~C14アルキル(メタ)アクリレートと、(メタ)アクリル酸、C1~C4アルキル(メタ)アクリレート及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種とのコポリマーから選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
組成物中の(b)-30℃以下のガラス転移温度を有する膜形成ポリマーの量が、組成物の総質量に対して、0.01質量%~25質量%、好ましくは0.1質量%~20質量%、より好ましくは1質量%~15質量%の範囲である、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
(c)ポリオールが、グリセリン、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ペンチレングリコール、1,3-プロパンジオール及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
組成物中の(c)ポリオールの量が、組成物の総質量に対して、1質量%~25質量%、好ましくは3質量%~20質量%、より好ましくは5質量%~15質量%の範囲である、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
組成物中の(d)水の量が、組成物の総質量に対して、50質量%~85質量%、好ましくは55質量%~80質量%、より好ましくは60質量%~75質量%の範囲である、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
(e)少なくとも1種の増粘剤を更に含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
(e)増粘剤が、アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー、アクリロイルジメチルタウリン酸アンモニウム/VPコポリマー、アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー、アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
組成物中の(e)増粘剤の量が、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%の範囲である、請求項10又は11に記載の組成物。
【請求項13】
(f)少なくとも1種の皮膚ケア有効成分を更に含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
眉毛メイクアップ用化粧品又はアイシャドーのための化粧下地である、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
ケラチン物質の美容方法であって、
請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物をケラチン物質上に適用する工程
を含む、美容方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物、好ましくは化粧用組成物、より好ましくは目のメイクアップのための化粧用組成物、並びに組成物に関する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ケラチン物質、例えば皮膚及び粘膜表面のメイクアップを対象とする化粧用組成物、とりわけ目のメイクアップ製品、例えば眉毛のメイクアップ化粧品が存在している。そのような目のメイクアップ製品の効果を高めるため、目のメイクアップ製品を適用する前に化粧下地(primer)を眉毛等に適用することもできる。例えば、特開2003-81740は、アクリルポリマーを含むそのような化粧下地を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-81740
【特許文献2】仏国特許第2679771号
【特許文献3】欧州特許第1184426号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、これらの化粧用組成物は、例えば、メイクアップ目的で本来の皮膚の色を隠すことが求められており、この隠蔽が長持ちしうることが好ましい。
【0005】
一方、優れた美容効果、例えば長持ちする目のメイクアップ効果のみならず、例えば、可能な場合は長期保存に好ましい優れた安定性も提供することができる、改善された組成物の必要性が存在する。
【0006】
本発明の目的は、優れた美容効果、例えば長持ちするメイクアップ効果を提供することができる、安定した組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記の目的は、組成物、好ましくは化粧用組成物、より好ましくは目のメイクアップのための化粧用組成物であって、
(a)少なくとも1種の親水性被覆顔料、
(b)-30℃以下のガラス転移温度を有する少なくとも1種の膜形成ポリマー、
(c)少なくとも1種のポリオール、及び
(d)水
を含む、組成物により達成することができる。
【0008】
(a)親水性被覆顔料は、アルギン酸塩又はシリカで被覆されている、無機粒子、好ましくは金属酸化物粒子、より好ましくは酸化チタン粒子及び/又は酸化鉄粒子から選択されうる。
【0009】
本発明による組成物中の(a)親水性被覆顔料の量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%~15質量%、好ましくは0.01質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%の範囲でありうる。
【0010】
(b)-30℃以下のガラス転移温度を有する膜形成ポリマーは、ラテックスの形態でありうる。
【0011】
(b)-30℃以下のガラス転移温度を有する膜形成ポリマーは、C6~C22アルキル(メタ)アクリレート、好ましくはC6~C18アルキル(メタ)アクリレート、より好ましくはC6~C14アルキル(メタ)アクリレートと、(メタ)アクリル酸、C1~C4アルキル(メタ)アクリレート及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種とのコポリマーから選択されうる。
【0012】
本発明による組成物中の(b)-30℃以下のガラス転移温度を有する膜形成ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~25質量%、好ましくは0.1質量%~20質量%、より好ましくは1質量%~15質量%の範囲でありうる。
【0013】
(c)ポリオールは、グリセリン、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ペンチレングリコール、1,3-プロパンジオール及びこれらの混合物からなる群から選択されうる。
【0014】
本発明による組成物中の(c)ポリオールの量は、組成物の総質量に対して、1質量%~25質量%、好ましくは3質量%~20質量%、より好ましくは5質量%~15質量%の範囲でありうる。
【0015】
本発明による組成物中の(d)水の量は、組成物の総質量に対して、50質量%~85質量%、好ましくは55質量%~80質量%、より好ましくは60質量%~75質量%の範囲でありうる。
【0016】
本発明による組成物は、(e)少なくとも1種の増粘剤を更に含むことができる。
【0017】
(e)増粘剤は、アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー、アクリロイルジメチルタウリン酸アンモニウム/VPコポリマー、アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー、アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー及びこれらの混合物からなる群から選択されうる。
【0018】
本発明による組成物中の(e)増粘剤の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%の範囲でありうる。
【0019】
本発明による組成物は、(f)少なくとも1種の皮膚ケア有効成分を更に含むことができる。
【0020】
本発明による組成物は、眉毛のメイクアップ化粧品又はアイシャドーのための化粧下地でありうる。
【0021】
本発明は、また、ケラチン物質のための美容方法であって、
本発明による組成物をケラチン物質に適用する工程
を含む、美容方法にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
精力的な研究の後に、本発明者たちは、優れた美容効果、例えば長持ちする目のメイクアップ効果のみならず、優れた安定性も提供することができる組成物を提供することが可能であることを発見した。
【0023】
したがって、本発明による組成物は、
(a)少なくとも1種の親水性被覆顔料、
(b)-30℃以下のガラス転移温度を有する少なくとも1種の膜形成ポリマー、
(c)少なくとも1種のポリオール、及び
(d)水
を含む組成物である。
【0024】
本発明による組成物は安定しており、優れた美容効果、例えば長持ちする目のメイクアップ効果を提供することができる。
【0025】
本発明による組成物は、長期間にわたって安定している。したがって、本発明による組成物は、長期間にわたって保存することができる。
【0026】
本発明による組成物は、優れた美容効果を提供することができる。
【0027】
例えば、本発明による組成物によって提供される美容効果は、長持ちしうる又は長時間にわたって維持されうる。したがって、本発明による組成物によって提供される美容効果は、皮脂又は水に対して良好な耐性を有することができる。したがって、本発明による組成物によるメイクアップは、例えば汗又は雨に曝されたときでも長時間にわたって持続することができる。そのため、本発明による組成物は、ケラチン物質、好ましくは皮膚及び眉毛に良好な耐摩耗性を提供することもできる。
【0028】
更に、本発明による組成物の使用者は、正確に線を描くことができる。したがって、本発明による組成物は、美容効果、特にメイクアップ効果をケラチン物質、例えば皮膚及び眉毛の標的部位に正確に提供することができる。
【0029】
更に、本発明による組成物によって提供される美容効果は、良好な視認性を有することができる。したがって、本発明による組成物は、容易に認識されうる美容効果を提供することができる。
【0030】
また、本発明による組成物は保湿効果を提供することができる。
【0031】
加えて、本発明による組成物が、(f)少なくとも1種の皮膚ケア有効成分を含む場合、本発明による組成物は、(f)皮膚ケア有効成分に由来する美容効果、例えば、しわ防止及び美白効果(whitening effect)を提供することもできる。
【0032】
以下に、本発明による組成物及び方法をより詳細に説明する。
【0033】
[組成物]
(親水性被覆顔料)
本発明による組成物は、(a)少なくとも1種の親水性被覆顔料を含む。2種類以上の親水性被覆顔料が使用される場合、これらは同一であっても異なっていてもよい。
【0034】
用語「顔料」は、生理学的に許容される揮発性媒体、例えば水に不溶性であり、且つ本発明による組成物により形成される膜を着色及び/又は不透明化することが意図される、白色又は有色の無機又は有機粒子を意味することが理解されるべきである。
【0035】
顔料は、好ましくは380~780nmの範囲の吸収、少なくとも1つの実施形態において、この吸収範囲における最大値の吸収を有する。
【0036】
顔料は有機顔料でありうる。本明細書に使用されるとき、用語「有機顔料」は、Ullmann's encyclopediaの有機顔料の章の定義を満たす任意の顔料を意味する。有機顔料は、例えば、ニトロソ、ニトロ、アゾ、キサンテン、キノリン、アントラキノン、フタロシアニン、金属錯体、イソインドリノン、イソインドリン、キナクリドン、ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、ジオキサジン、トリフェニルメタン及びキノフタロン化合物から選択されうる。
【0037】
有機顔料は、例えば、カルミン、カーボンブラック、アニリンブラック、メラニン、アゾイエロー、キナクリドン、フタロシアニンブルー、ソルガムレッド、参照番号CI 42090、69800、69825、73000、74100及び74160で色指数に体系化されている青色顔料、参照番号CI 11680、11710、15985、19140、20040、21100、21108、47000及び47005で色指数に体系化されている黄色顔料、参照番号CI 61565、61570及び74260で色指数に体系化されている緑色顔料、参照番号CI 11725、15510、45370及び71105で色指数に体系化されている橙色顔料、参照番号CI 12085、12120、12370、12420、12490、14700、15525、15580、15620、15630、15800、15850、15865、15880、17200、26100、45380、45410、58000、73360、73915及び75470で色指数に体系化されている赤色顔料、並びに例えば仏国特許第2679771号に記載されているインドール誘導体又はフェノール誘導体の酸化重合によって得られる顔料から選択されうる。
【0038】
これらの顔料は、また、例えば欧州特許第1184426号に記載されている複合顔料の形態であってもよい。これらの複合顔料は、例えば、有機顔料で少なくとも部分的に被覆されている無機核、及び有機顔料をその核に固定するための少なくとも1種の結合剤を含む粒子から構成されてもよい。
【0039】
他の例には、有機顔料の顔料ペースト、例えば、Hoechst社により以下の名称で販売されている製品が含まれうる: Jaune Cosmenyl IOG:Pigment Yellow 3(CI 11710);Jaune Cosmenyl G:Pigment Yellow 1(CI 11680);Orange Cosmenyl GR:Pigment Orange 43(CI 71105);Rouge Cosmenyl R'':Pigment Red 4(CI 12085);Carmine Cosmenyl FB:Pigment Red 5(CI 12490);Violet Cosmenyl RL:Pigment Violet 23(CI 51319);Bleu Cosmenyl A2R:Pigment Blue 15.1(CI 74160);Vert Cosmenyl GG:Pigment Green 7(CI 74260);及びNoir Cosmenyl R:Pigment Black 7(CI 77266)。
【0040】
少なくとも1種の顔料は、また、レーキから選択されうる。本明細書に使用されるとき、用語「レーキ」は、不溶性粒子に吸着させた不溶化染料を意味し、このようにして得られた錯体又は化合物は、使用中に不溶性のままである。
【0041】
染料を吸着させる無機基材には、例えば、アルミナ、シリカ、ホウケイ酸カルシウムナトリウム、ホウケイ酸カルシウムアルミニウム及びアルミニウムが含まれうる。
【0042】
有機染料の非限定例には、コチニールカルミン及び以下の名称により知られている製品が含まれうる: D&C Red 21(CI 45380)、D&C Orange 5(CI 45370)、D&C Red 27(CI 45410)、D&C Orange 10(CI 45425)、D&C Red 3(CI 45430)、D&C Red 4(CI 15510)、D&C Red 33(CI 17200)、D&C Yellow 5(CI 19140)、D&C Yellow 6(CI 15985)、D&C Green(CI 61570)、D&C Yellow 10(CI 77002)、D&C Green 3(CI 42053)及びD&C Blue 1(CI 42090)。
【0043】
レーキの追加の非限定例は、次の名称で公知の製品である: D&C Red 7(CI 15 850:1)。
【0044】
顔料は、また、特殊効果を有する顔料であってもよい。本明細書に使用されるとき、用語「特殊効果を有する顔料」は、一般に、観察条件(光、温度、観察角度等)に応じて変化する不均一な有色の外観(特定の色調、特定の彩度及び/又は特定の明度を特徴とする)を作り出す顔料を意味する。したがって、これらは、標準的な均一の不透明、半透明又は透明の色調を付与する白色又は有色顔料と対照的である。
【0045】
特殊効果を有する顔料は2種類存在し、蛍光顔料、フォトクロミック顔料及びサーモクロミック顔料等の低屈折率のもの、並びに真珠層及びフレーク等の高屈折率のものである。
【0046】
顔料は、また、基材上へ固定されない干渉効果を有する顔料、例えば、液晶(Wacker社からのHelicones HC)及びホログラフィック干渉フレーク(Spectratek社からのGeometric Pigment又はSpectra f/x)から選択されうる。
【0047】
特殊効果を有する顔料には、蛍光顔料(日光で蛍光を放つ物質又は紫外線蛍光を生じる物質のいずれも)、リン光顔料、フォトクロミック顔料及びサーモクロミック顔料も含まれうる。
【0048】
好ましい実施形態において、顔料は無機顔料でもありうる。本明細書に使用されるとき、用語「無機顔料」は、Ullmann's encyclopediaの無機顔料の章にある定義を満たす任意の顔料を意味する。好ましくは、無機顔料は、少なくとも1種の無機材料を含む。本発明に有用な無機顔料の非制限例には、金属酸化物、特に遷移金属酸化物、例えば、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、クロム水和物、フェリックブルー及び二酸化チタンが含まれる。以下の無機顔料を使用することもできる: Ta2O5、Ti3O5、Ti2O3、TiO、TiO2との混合物としてのZrO2、ZrO2、Nb2O5、CeO2及びZnS。
【0049】
顔料は、また、白色真珠光沢顔料、例えば、チタン又はオキシ塩化ビスマスで被覆されたマイカ等の真珠光沢顔料、チタン及び酸化鉄で被覆されたマイカ、チタン及び例えばフェリックブルー又は酸化クロムで被覆されたマイカ、チタン及び上記に定義された有機顔料で被覆されたマイカ等の有色真珠光沢顔料、またオキシ塩化ビスマスに基づいた真珠光沢顔料であってもよい。そのような顔料の例には、Engelhard社により販売されているCellini顔料(マイカ-TiO2-レーキ)、Eckart社により販売されているPrestige(マイカ-TiO2)及びMerck社により販売されているColorona(マイカ-TiO2-Fe2O3)が含まれうる。
【0050】
マイカ支持体上の真珠層に加えて、アルミナ、シリカ、ホウケイ酸カルシウムナトリウム、ホウケイ酸カルシウムアルミニウム及びアルミニウム等の合成基材に基づいた多層顔料が、本開示によると有用でありうる。
【0051】
本発明によると、(a)親水性被覆顔料は顔料に少なくとも1種のコーティングを有し、親水性である。(a)親水性被覆顔料は、非被覆顔料ではない。コーティングは親水性であること及び(a)親水性被覆顔料の最外層であることが好ましい。ここで用語「親水性」は、顔料が例えば室温の25℃で水に分散しうることを意味する。
【0052】
コーティングに含まれる材料は、被覆顔料が親水性である限り限定されない。コーティングに含まれる材料は、アルギン酸ナトリウム等のアルギン酸塩、シリカ及びこれらの混合物から選択されることが好ましい。
【0053】
(a)親水性被覆顔料は、アルギン酸塩(例えば、アルギン酸ナトリウム)又はシリカで被覆されている、無機粒子、好ましくは金属酸化物粒子、より好ましくは酸化チタン粒子及び/又は酸化鉄粒子から選択されうる。アルギン酸塩又はシリカのコーティングは、(a)親水性被覆顔料の最外層を構成することが更により好ましい。
【0054】
(a)親水性被覆顔料の例として、以下を挙げることができる:
アルギン酸塩で処理された二酸化チタン及び水酸化アルミニウム(INCI:二酸化チタン(及び)水酸化アルミニウム(及び)アルギン);
アルギン酸塩処理赤色酸化鉄(INCI:酸化鉄(及び)アルギン);
アルギン酸塩処理黄色酸化鉄(INCI:酸化鉄(及び)アルギン);
アルギン酸塩処理黒色酸化鉄(INCI:酸化鉄(及び)アルギン);
シリカで表面処理された酸化鉄(INCI:酸化鉄(及び)シリカ);
シリカで表面処理された二酸化チタン及び水酸化アルミニウム(INCI:二酸化チタン(及び)シリカ(及び)アルミナ);
シリカで表面処理された黄色酸化鉄(INCI:酸化鉄(及び)シリカ);
シリカで表面処理された赤色酸化鉄(INCI:酸化鉄(及び)シリカ);並びに
シリカで表面処理された黒色酸化鉄(INCI:酸化鉄(及び)シリカ)。
【0055】
本発明による組成物中の(a)親水性被覆顔料の量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上でありうる。
【0056】
本発明による組成物中の(a)親水性被覆顔料の量は、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下でありうる。
【0057】
このように、本発明による組成物中の(a)親水性被覆顔料の量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%~15質量%、好ましくは0.01質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%でありうる。
【0058】
(膜形成ポリマー)
本発明による組成物は、(b)-30℃以下のガラス転移温度を有する少なくとも1種の膜形成ポリマーを含む。(b)-30℃以下のガラス転移温度を有する2種以上の膜形成ポリマーが使用される場合、これらは同一であっても異なっていてもよい。
【0059】
本発明の目的では、用語「ポリマー」は、1つ又は複数の単位(これらの単位はモノマーとして知られる化合物から誘導される)の繰り返しに相当する化合物を意味する。この又はこれらの単位は、少なくとも2回繰り返され、好ましくは少なくとも3回繰り返される。
【0060】
用語「膜形成ポリマー」は、それ自体によって又は膜形成助剤の存在下で、支持体へ、とりわけケラチン物質へ付着する巨視的に連続した膜を、好ましくは密着性膜を、より一層良好には、例えば、非粘着性表面、例えばテフロン被覆又はシリコーン被覆表面に注ぐことによって膜が調製される場合に、前記膜が分離可能であり、且つ分離された状態で操作可能であるような密着性及び機械的性質を有する膜を形成することができるポリマーを意味する。
【0061】
ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、示差熱量測定分析(示差走査熱量測定、DSC)によって、例えば以下の条件下で測定することができる:ガラス転移温度を測定するため、試験ポリマーの約150mm厚の膜は、ポリマーの水溶液又は分散体を直径40mmの円形テフロンダイに堆積させ、堆積物を乾燥させることによって調製される。膜を、質量が変化しなくなるまで相対湿度45%下に約23℃の温度でオーブンにより乾燥する。約5~15mgの膜を取り出し、るつぼに入れ、次いで分析器に導入する。熱分析器は、TA Instruments社のDSC-2920(登録商標)モデルである。温度スイープ(temperature sweep)の初期及び最終温度は、所望のガラス転移温度のあたりになるように選択される。温度スイープは、10℃/分の速度で実施される。この分析は、上記の変更以外はASTM標準D3418-97に従って実施される。
【0062】
(b)-30℃以下のガラス転移温度を有する膜形成ポリマーは、水性相中に分散した粒子の形態、特にラテックスの形態で存在することが好ましい。
【0063】
本発明の組成物に使用することができる膜形成ポリマーのうちでは、フリーラジカルタイプの合成ポリマーを挙げることができる。
【0064】
フリーラジカルタイプの膜形成ポリマーは、例えばアクリルポリマー等のビニルポリマー又はコポリマーから選択されうる。
【0065】
ビニル膜形成ポリマーは、少なくとも1種のエチレン性不飽和と少なくとも1種の酸性基を含むモノマー、及び/又はこれらの酸性モノマーのエステル及び/又はこれらの酸性モノマーのアミドの重合からもたらすことができる。
【0066】
使用することができる少なくとも1種の酸性基を含むモノマーには、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸又はイタコン酸等のα,β-エチレン性不飽和カルボン酸が含まれる。例えば、(メタ)アクリル酸及びクロトン酸が使用されうる。一実施形態では、(メタ)アクリル酸が使用される。
【0067】
酸性モノマーのエステルは、例えば、(メタ)アクリル酸エステル((メタ)アクリレートとしても知られている)から、例えば、アルキルの(メタ)アクリレート、例えばC1~C20アルキル等のC1~C30アルキル、C6~C10アリール等のアリールの(メタ)アクリレート、及びC2~C6ヒドロキシアルキル等のヒドロキシアルキルの(メタ)アクリレートから選択される。
【0068】
挙げることができるアルキル(メタ)アクリレートのうち、例には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、例えば2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート及びシクロヘキシル(メタ)アクリレートが含まれる。一実施形態では、エチルヘキシルアクリレートが使用される。
【0069】
挙げることができるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのうち、例には、ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート及び2-ヒドロキシプロピルメタクリレートが含まれる。
【0070】
挙げることができるアリール(メタ)アクリレートのうち、例には、ベンジルアクリレート及びフェニルアクリレートが含まれる。
【0071】
使用することができる(メタ)アクリル酸エステルは、例えば、アルキル(メタ)アクリレートである。
【0072】
本明細書に開示されるとき、エステルのアルキル基は、フッ素化又は過フッ素化されていてもよく、即ち、アルキル基の一部又は全部の水素原子はフッ素原子で置換されている。
【0073】
挙げることができる酸モノマーのアミドの例には、(メタ)アクリルアミド、例えば、C2~C12アルキルのN-アルキル(メタ)アクリルアミド等が含まれる。挙げることができるN-アルキル(メタ)アクリルアミドのうち、例には、N-エチルアクリルアミド、N-t-ブチルアクリルアミド、N-t-オクチルアクリルアミド及びN-ウンデシルアクリルアミドが含まれる。
【0074】
ビニル膜形成ポリマーは、また、ビニルエステル及びスチレンモノマーから選択されるモノマーの単独重合又は共重合からもたらされうる。例えば、これらのモノマーは、酸モノマー、並びに/又はそのエステル及び/若しくはそのアミド、例えば上述のものと共に重合されうる。
【0075】
挙げることができるビニルエステルの例には、酢酸ビニル、ネオデカン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル及びt-ブチル安息香酸ビニルが含まれる。挙げることができるスチレンモノマーには、スチレン及びα-メチルスチレンが含まれる。
【0076】
(b)膜形成ポリマーは、-30℃以下、好ましくは-40℃以下、より好ましくは-50℃以下のTg(ガラス転移温度)値を有する。
【0077】
(b)-30℃以下のガラス転移温度を有する膜形成ポリマーの例には、アクリレーツ/エチルヘキシルアクリレート、例えば、Daito Kasey Kogyo社により販売されている「Daitosol 5500GX」が含まれ、これには、-67℃のTgを有するアクリレーツ/エチルヘキシルアクリレートが含まれる。
【0078】
(b)-30℃以下のガラス転移温度を有する膜形成ポリマーは、C6~C22アルキル(メタ)アクリレート、好ましくはC6~C18アルキル(メタ)アクリレート、より好ましくはC6~C14アルキル(メタ)アクリレートと、(メタ)アクリル酸、C1~C4アルキル(メタ)アクリレート及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種とのコポリマーから選択されうる。(b)-30℃以下のガラス転移温度を有する膜形成ポリマーは、C6~C14アルキルアクリレート、例えば2-エチルヘキシルアクリレートと、(メタ)アクリル酸、C1~C4アルキル(メタ)アクリレート及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種とのコポリマーから選択されることが更により好ましいことがある。
【0079】
本発明による組成物中の(b)-30℃以下のガラス転移温度を有する膜形成ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上でありうる。
【0080】
本発明による組成物中の(b)-30℃以下のガラス転移温度を有する膜形成ポリマーの量は、組成物の総質量に対して25質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下でありうる。
【0081】
このように、本発明による組成物中の(b)-30℃以下のガラス転移温度を有する膜形成ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~25質量%、好ましくは0.1質量%~20質量%、より好ましくは1質量%~15質量%でありうる。
【0082】
(ポリオール)
本発明による組成物は、(c)少なくとも1種のポリオールを含む。2種以上の(c)ポリオールが使用される場合、これらは同一であっても異なっていてもよい。
【0083】
ここで用語「ポリオール」は、2つ以上のヒドロキシ基を有するアルコールを意味し、糖類又はその誘導体を包含しない。糖類の誘導体には、糖類の1つ又は複数のカルボニル基を還元することによって得られる糖アルコール、並びに1つ又は複数のヒドロキシ基中の水素原子が、少なくとも1つの置換基、例えばアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アシル基又はカルボニル基で置き換えられている糖類又は糖アルコールが含まれる。
【0084】
(c)ポリオールは、好ましくは、大気圧(760mmHg又は105Pa)下に25℃等の室温で液体の形態である。
【0085】
(c)ポリオールは、少なくとも2つのヒドロキシ基、好ましくは2~5つのヒドロキシ基を含むC2~24ポリオール、好ましくはC2~9ポリオールでありうる。
【0086】
(c)ポリオールは、天然又は合成のポリオールでありうる。ポリオールは、直鎖状、分岐状又は環状の分子構造を有しうる。
【0087】
(c)ポリオールは、グリセリン及びその誘導体、並びにグリコール及びその誘導体から選択されうる。ポリオールは、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、へキシレングリコール、C6~C24ポリエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール及び1,5-ペンタンジオールからなる群から選択されうる。
【0088】
(c)ポリオールは、グリセリン、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ペンチレングリコール、1,3-プロパンジオール及びこれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい。
【0089】
本発明による組成物中の(c)ポリオールの量は、組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上でありうる。
【0090】
本発明による組成物中の(c)ポリオールの量は、組成物の総質量に対して、25質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下でありうる。
【0091】
本発明による組成物中の(c)ポリオールの量は、組成物の総質量に対して、1質量%~25質量%、好ましくは3質量%~20質量%、より好ましくは5質量%~15質量%でありうる。
【0092】
(水)
本発明による組成物は、(d)水を含む。
【0093】
本発明による組成物中の(d)水の量は、組成物の総質量に対して、50質量%以上、好ましくは55質量%以上、より好ましくは60質量%以上でありうる。
【0094】
本発明による組成物中の(d)水の量は、組成物の総質量に対して、85質量%以下、好ましくは80質量%以下、より好ましくは75質量%以下でありうる。
【0095】
本発明による組成物中の(d)水の量は、組成物の総質量に対して、50質量%~85質量%、好ましくは55質量%~80質量%、より好ましくは60質量%~75質量%でありうる。
【0096】
(増粘剤)
本発明による組成物は、(e)少なくとも1種の増粘剤を含むことができる。2種以上の(e)増粘剤を使用する場合は、これらは同一であっても異なっていてもよい。
【0097】
(e)増粘剤は、本発明による組成物を増粘することができる。(e)増粘剤は、親水性増粘剤であることが好ましい。
【0098】
(e)増粘剤は、少なくともアクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)モノマーを、水酸化ナトリウムで部分的又は完全に中和された形態で含む、水溶性又は水分散性の架橋又は非架橋ポリマーでありうる。本明細書以降、このポリマーをAMPSポリマーと称する。2種以上のAMPSポリマーが使用される場合、これらは同一であっても異なっていてもよい。
【0099】
AMPSポリマーは、好ましくは、完全に中和されていてもよい、又は実質的に完全に中和されていてもよく、即ち少なくとも90%中和されていてもよい。
【0100】
AMPSポリマーは、架橋されていても、架橋されていなくてもよい。
【0101】
AMPSポリマーが架橋されている場合、架橋剤は、フリーラジカル重合によって得られるポリマーの架橋に一般的に使用されるポリオレフィン性不飽和化合物のうちから選択されうる。
【0102】
挙げることができる架橋剤の例には、ジビニルベンゼン、ジアリルエーテル、ジプロピレングリコールジアリルエーテル、ポリグリコールジアリルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ヒドロキノンジアリルエーテル、エチレングリコール若しくはテトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、トリアリルアミン、トリアリルシアヌレート、ジアリルマレエート、テトラアリルエチレンジアミン、テトラアリルオキシエタン、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、アリル(メタ)アクリレート、糖類のアルコールのアリルエーテル、又は他の多官能性アルコールのアリルエーテル若しくはビニルエーテル、また、リン酸誘導体及び/又はビニルホスホン酸誘導体のアリルエステル、或いはこれらの化合物の混合物が含まれる。
【0103】
本発明の一実施形態によると、架橋剤は、メチレンビスアクリルアミド、アリルメタクリレート及びトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)のうちから選択される。架橋度は、ポリマーに対して、一般的に0.01mol%~10mol%、より特定的には0.2mol%~2mol%の範囲である。
【0104】
本発明によるAMPSポリマーは、水溶性又は水分散性である。この場合、これらは、
AMPSモノマーのみから、及びこれらが架橋されている場合は、上記に定義されたもの等の1種以上の架橋剤から重合される「ホモポリマー」、
或いは
AMPS及び1種以上の親水性又は疎水性エチレン性不飽和モノマーから、及びこれらが架橋されている場合は上記に定義されたもの等の1種以上の架橋剤から重合される「コポリマー」
のいずれかである。
【0105】
前記コポリマーが、疎水性エチレン性不飽和モノマーから重合される場合、これらのモノマーは脂肪鎖を含まず、好ましくは少量で存在する。本発明の目的において、用語「脂肪鎖」は、少なくとも7個の炭素原子を含有する任意の炭化水素系鎖を意味する。
【0106】
したがって、(c)AMPSポリマーは、
(i)架橋又は非架橋AMPSホモポリマー、
(ii)AMPSから及び1種以上の親水性エチレン性不飽和モノマー又は脂肪鎖を含有しない疎水性エチレン性不飽和モノマーから得られる、架橋又は非架橋コポリマー、並びに
(iii)これらの混合物
からなる群から選択されうる。
【0107】
用語「水溶性又は水分散性」は、水性相に25℃で導入されて1%に等しい質量濃度になる場合、巨視的に均質で透明な溶液、即ち、500nmに等しい波長により厚さ1cmの試料を通して少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%の最大光透過率値を有する溶液を得ることを可能にするポリマーを意味する。
【0108】
本発明によると「ホモポリマー」は、好ましくは架橋及び中和されており、これらは、以下の工程:
(a)遊離形態のAMPS等のモノマーを、tert-ブタノールの溶液又は水及びtert-ブタノールの溶液中に分散又は溶解する工程、
(b)(a)で得られたモノマーの溶液又は分散体を、ポリマーのスルホン酸官能基の中和度が90%~100%の範囲で得られることを可能にする量で、1種以上の無機又は有機塩基、好ましくはアンモニアNH3を用いて中和する工程、
(c)架橋モノマーを(b)で得られた溶液又は分散体に添加する工程、及び
(d)標準的なフリーラジカル重合を、フリーラジカル開始剤の存在下に10℃~150℃の範囲の温度で実施して、ポリマーをtert-ブタノールに基づいた溶液又は分散体中に沈殿させる工程
を含む調製方法に従って調製されうる。
【0109】
本発明による水溶性又は水分散性AMPSコポリマーは、水溶性エチレン性不飽和モノマー、疎水性モノマー又はこれらの混合物から重合されうる。
【0110】
水溶性コモノマーはイオン性であっても非イオン性であってもよい。
【0111】
イオン性の水溶性コモノマーのうち、挙げることができる例には、以下の化合物及びそれらの塩:
(メタ)アクリル酸、
スチレンスルホン酸、
ビニルスルホン酸及び(メタ)アリルスルホン酸、
ビニルホスホン酸、
マレイン酸、
イタコン酸、
クロトン酸、
下記式(A)の水溶性ビニルモノマー:
【0112】
【化1】
【0113】
[式中、
R1は、H、-CH3、-C2H5又は-C3H7であり、
X1は、
-OR2タイプのアルキルエーテルのうちから選択され、ここでR2は、少なくとも1つのスルホン酸基(-SO3-)及び/又は硫酸基(-SO4-)及び/又はリン酸基(-PO4H2-)で置換されている、1~6個の炭素原子を含有する直鎖状又は分岐状、飽和又は不飽和の炭化水素系基である]
が含まれる。
【0114】
非イオン性の水溶性コモノマーのうち、挙げることができる例には:
(メタ)アクリルアミド、
N-ビニルアセトアミド及びN-メチル-N-ビニルアセトアミド、
N-ビニルホルムアミド及びN-メチル-N-ビニルホルムアミド、
無水マレイン酸、
ビニルアミン、
4~9個の炭素原子を含有する環状アルキル基を含むN-ビニルラクタム、例えば、n-ビニルピロリドン、N-ブチロラクタム及びN-ビニルカプロラクタム、
式CH2=CHOHのビニルアルコール、
下記式(B)の水溶性ビニルモノマー:
【0115】
【化2】
【0116】
[式中、
R15は、H、-CH3、-C2H5又は-C3H7であり、
X2は、
-OR16タイプのアルキルエーテルのうちから選択され、ここでR16は、任意選択によりハロゲン原子(ヨウ素、臭素、塩素又はフッ素)、ヒドロキシル(-OH)基、エーテルで置換されている、1~6個の炭素を含有する直鎖状又は分岐状、飽和又は不飽和の炭化水素系基である]
が含まれる。
【0117】
挙げられるものは、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、及びエチレングリコールの、ジエチレングリコールの又はポリアルキレングリコールの(メタ)アクリレートである。
【0118】
脂肪鎖不含有疎水性コモノマーのうち、挙げることができる例には:
スチレン及びその誘導体、例えば4-ブチルスチレン、α-メチルスチレン及びビニルトルエン、
式CH2=CH-OCOCH3の酢酸ビニル、
式CH2=CHORのビニルエーテル(式中、Rは、1~6個の炭素を有する直鎖状又は分岐状、飽和又は不飽和炭化水素系基である)、
アクリロニトリル、
カプロラクトン、
塩化ビニル及び塩化ビニリデン、
重合後にシリコーンポリマーを提供するシリコーン誘導体、例えば、メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン及びシリコーンメタクリルアミド、
下記式(C)の疎水性ビニルモノマー:
【0119】
【化3】
【0120】
[式中、
R23は、H、-CH3、-C2H5又は-C3H7であり;
X3は、
-OR24タイプのアルキルエーテルのうちから選択され、ここでR24は、1~6個の炭素を含有する直鎖状又は分岐状、飽和又は不飽和炭化水素系基である]
が含まれる。
【0121】
挙げられるものは、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート及び2-エチルヘキシルアクリレートである。
【0122】
本発明の水溶性又は水分散性AMPSポリマーは、好ましくは50,000g/mol~10,000,000g/mol、好ましくは80,000g/mol~8,000,000g/mol、更により好ましくは100,000g/mol~7,000,000g/molの範囲のモル質量を有する。
【0123】
挙げることができる本発明による水溶性又は水分散性AMPSホモポリマーの例には、市販製品のSimulgel 800のポリマー(INCI名称:ポリアクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム)等のアクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウムの架橋又は非架橋ポリマーが含まれる。
【0124】
挙げることができる本発明による水溶性又は水分散性AMPSコポリマーの例には、
アクリルアミド/アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム架橋コポリマー、例えば、市販製品のSepigel 305のコポリマー(INCI名称:ポリアクリルアミド/C13~C14イソパラフィン/ラウレス-7)又はSEPPICにより商標Simulgel 600で販売されている市販製品のコポリマー(INCI名称:アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム/イソヘキサデカン/ポリソルベート-80)、
AMPSと、ビニルピロリドン又はビニルホルムアミドとのコポリマー、例えば、Clariantにより名称Aristoflex AVCで販売されている市販製品のコポリマー(INCI名称:アクリロイルジメチルタウリン酸アンモニウム/VPコポリマー)であるが、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムで中和されているもの、
AMPSとアクリル酸ナトリウムとのコポリマー、例えば、SEPPICにより名称Simulgel EGで販売されている市販製品のコポリマー(INCI名称:アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー(及び)イソヘキサデカン(及び)ポリソルベート-80)等のAMPS/アクリル酸ナトリウムコポリマー、並びに
AMPSとアクリル酸ヒドロキシエチルとのコポリマー、例えば、SEPPICにより名称Simulgel NSで販売されている市販製品のコポリマー(INCI名称:アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー(及び)スクアラン(及び)ポリソルベート-60)等のAMPS/アクリル酸ヒドロキシエチルコポリマー
が含まれる。
【0125】
したがって、AMPSポリマーは、
アクリルアミド/アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム(アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム)コポリマー、
AMPSと、ビニルピロリドン又はビニルホルムアミドとのコポリマー(例えば、アクリロイルジメチルタウリン酸アンモニウム/VPコポリマー)、
AMPSとアクリル酸ナトリウムとのコポリマー(アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー)、
AMPSとアクリル酸ヒドロキシエチルとのコポリマー(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー)、及び
これらの混合物
からなる群から選択されることが好ましい場合もある。
【0126】
AMPSポリマーはアクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマーであることが、より好ましい場合もある。
【0127】
本発明による組成物中の(e)増粘剤の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上でありうる。
【0128】
本発明による組成物中の(e)増粘剤の量は、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下でありうる。
【0129】
本発明による組成物中の(e)増粘剤の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%でありうる。
【0130】
(皮膚ケア有効成分)
本発明による組成物は、(f)少なくとも1種の皮膚ケア有効成分を更に含むことができる。2種以上の(f)皮膚ケア有効成分が使用される場合、それらは、同一であっても異なっていてもよい。
【0131】
(f)皮膚ケア有効成分は、皮膚ケア美容有効成分、より好ましくは皮膚美白成分又は皮膚抗老化成分、例えば皮膚抗しわ成分であることが好ましい。
【0132】
(f)皮膚ケア有効成分として、ビタミンB3及び誘導体を挙げることができる。
【0133】
ビタミンB3は、ビタミンPPとも呼ばれ、以下の式(I):
【0134】
【化4】
【0135】
[式中、Rは、-CONH2(ナイアシンアミド)、-COOH(ニコチン酸若しくはナイアシン)、又はCH2OH(ニコチニルアルコール)、-CO-NH-CH2-COOH(ニコチン尿酸)又は-CO-NH-OH(ニコチニルヒドロキサム酸)でありうる]
の化合物である。ナイアシンアミドが好ましい。
【0136】
挙げることができるビタミンB3誘導体には、例えば、ニコチン酸トコフェロール等のニコチン酸エスエル、-CONH2の水素基の置換によるナイアシンアミド由来のアミド、カルボン酸とアミノ酸との反応からの生成物、ニコチニルアルコールと、酢酸、サリチル酸、グリコリド酸又はパルミチン酸等のカルボン酸とのエステルが含まれる。
【0137】
以下の誘導体を挙げることもできる: 2-クロロニコチンアミド、6-メチルニコチンアミド、6-アミノニコチンアミド、N-メチルニコチンアミド、N,N-ジメチルニコチンアミド、N-(ヒドロキシメチル)ニコチンアミド、キノリン酸イミド、ニコチンアニリド、N-ベンジルニコチンアミド、N-エチルニコチンアミド、ニフェナゾン、ニコチンアルデヒド、イソニコチン酸、メチルイソニコチン酸、チオニコチンアミド、ニアラミド、2-メルカプトニコチン酸、ニコモール及びニアプラジン、ニコチン酸メチル、並びにニコチン酸ナトリウム。
【0138】
また挙げることができる他のビタミンB3誘導体には、塩化物、臭化物、ヨウ化物又は炭酸塩等の無機塩、及びカルボン酸との反応によって得られる塩等の有機塩、例えば酢酸塩、サリチル酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、マンデル酸塩、酒石酸塩等が含まれる。
【0139】
本発明による組成物中の(f)皮膚ケア有効成分の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上でありうる。
【0140】
本発明による組成物中の(f)皮膚ケア有効成分の量は、組成物の総質量に対して、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下でありうる。
【0141】
本発明による組成物中の(f)皮膚ケア有効成分の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%~20質量%、好ましくは0.5質量%~15質量%、より好ましくは1質量%~10質量%でありうる。
【0142】
(任意成分)
本発明による組成物は、例えば、溶媒、染料、UV遮蔽剤、抗酸化剤、防腐剤、pH調整剤及びこれらの混合物から選択される、化粧品の分野で通常使用される少なくとも1種の任意選択の成分を更に含むことができる。
【0143】
本発明による組成物は、1種又は数種の美容的に許容される有機溶媒を含んでもよく、この有機溶媒は、アルコール、特に一価アルコール、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール及びフェニルエチルアルコール、並びにエーテル、例えばエチレングリコールモノメチル、モノエチル及びモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチル、モノエチル及びモノブチルエーテル、並びにブチレングリコールモノメチル、モノエチル及びモノブチルエーテルでありうる。
【0144】
有機溶媒は、組成物の総重量に対して、0.01重量%~30重量%、好ましくは0.1重量%~20重量%、より好ましくは1重量%~15重量%の濃度で本発明による組成物中に存在してもよい。
【0145】
本発明による組成物中に存在しうる上記の任意選択の添加剤の性質及び量を、所望の美容特性が影響を受けないように調整することは、当業者にとって日常的な作業である。
【0146】
(化粧料)
本発明による組成物は、化粧用組成物、好ましくは目のメイクアップのための化粧用組成物、より好ましくは、眉毛のメイクアップ化粧品又はアイシャドーのための化粧下地でありうる。
【0147】
本発明による組成物は、ケラチン物質、好ましくはケラチン繊維、より好ましくは眉毛、並びに目の周囲の皮膚の美容トリートメント、好ましくはメイクアップするために使用されうる。
【0148】
本発明による組成物は液体の形態である。
【0149】
ここで用語「液体」は、組成物が大気圧(760mmHg)下に室温(25℃)で流動性があり、測定可能な粘度を有することを意味する。そのため、個体の形態、例えば粉末の組成物は、本発明による組成物に相当しない。
【0150】
[調製]
本発明による組成物は、上記の必須成分と任意選択の成分とを混合することによって調製されうる。
【0151】
例えば、本発明による組成物は、
成分(a)~(d)、並びに本発明の任意選択の他の成分を、加熱して又は加熱することなく、好ましくは加熱することなく、より好ましくは30℃以下の温度で混合する工程を含む方法によって調製されうる。上記の任意選択の成分のいずれかと更に混合することが好ましい。
【0152】
[方法及び使用]
本発明による組成物は、ケラチン物質、好ましくはケラチン繊維、より好ましくは眉毛を被覆するために使用されうる。
【0153】
例えば、本発明による組成物は、ケラチン繊維を被覆するための方法であって、
本発明による組成物をケラチン繊維上に適用して、ケラチン繊維上に少なくとも1つのコーティングを形成する工程と、
コーティングを乾燥する工程と、
を含む方法に使用されうる。
【0154】
本発明による組成物は、また、皮膚、特に目の周囲の皮膚をコーティングするために使用されうる。
【0155】
そのため、本発明は、また、ケラチン物質、好ましくはケラチン繊維、より好ましくは眉毛、並びに目の周囲の皮膚のための美容方法であって、
本発明による組成物をケラチン物質に適用する工程
を含む美容方法にも関する。
【0156】
本発明による美容方法は、例えば、ケラチン物質、好ましくはケラチン繊維、より好ましくは眉毛、並びに目の周囲の皮膚をメイクアップするために使用されうる。
【0157】
本発明は、また、
(b)-30℃以下のガラス転移温度を有する少なくとも1種の膜形成ポリマー、
(c)少なくとも1種のポリオール、及び
(d)水
を含む、ケラチン物質のメイクアップのための、特に目のメイクアップのための化粧用組成物中における、組成物を安定させるため及び/又はケラチン物質上の組成物のメイクアップを長持ちさせるための(a)少なくとも1種の親水性被覆顔料の使用にも関連しうる。
【0158】
本発明は、また、
(a)少なくとも1種の親水性被覆顔料、
(c)少なくとも1種のポリオール、及び
(d)水
を含む、ケラチン物質のメイクアップのための、特に目のメイクアップのための化粧用組成物中における、ケラチン物質上の組成物のメイクアップを長持ちさせるための(b)-30℃以下のガラス転移温度を有する少なくとも1種の膜形成ポリマーの使用にも関連しうる。
【0159】
本発明による組成物、並びにケラチン物質のための成分(a)~(d)についての上記説明は、本発明による使用についての説明にも適用することができる。
【実施例0160】
本発明は、実施例によって、より詳細な方法で記載される。しかし、これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。以下の実施例は、本発明の分野における非限定的な例証として提示される。
【0161】
(実施例1~4及び比較例1~2)
表1に示される実施例1~4及び比較例1~2の目のメイクアップのための化粧用組成物を、表1に示される成分を混合することにより調製した。表1に示される成分の量についての数値は、すべて、原料の「質量%」に基づく。
【0162】
実施例1及び2、並びに比較例1及び2の化粧用組成物は、眉毛メイクアップ化粧品の化粧下地であった。
【0163】
実施例3及び4の化粧用組成物は、アイシャドーの化粧下地であった。
【0164】
【表1A】
【0165】
【表1B】
【0166】
[評価]
(安定性)
実施例1~4及び比較例1~2のそれぞれの化粧用組成物を50mLガラス瓶に充填し、45℃で2か月間維持した。
【0167】
次いで、それぞれの組成物の外観を以下の基準に従って目視で評価した。
優良:組成物の調製の直後及び調製の2か月後に顔料の凝集は観察されなかった。
非常に良好:組成物の調製の直後に顔料の凝集は観察されず、一方では組成物の調製の2か月後に少量の顔料凝集が観察されたが、振とうによって顔料を再分散させることが容易であった。
良好:組成物の調製の直後に顔料の凝集は観察されず、一方では組成物の調製の2か月後に幾らかの顔料凝集が観察されたが、振とうによって顔料を再分散させることが容易であった。
普通:組成物の調製の直後に少量の顔料凝集が観察され、顔料を皮膚に塗布することが困難であった。
不良:組成物の調製の直後に多量の顔料凝集が観察され、顔料を皮膚に塗布することが非常に困難であった。
【0168】
結果を表1に示す。
【0169】
(正確な線引き)
実施例1~4及び比較例1~2のそれぞれの化粧用組成物をディップインアプリケーターパッケージ(dip-in applicator package)に充填し、以下の基準に従って、眉毛又は眼瞼への正確な線引きの観点で10人のパネリスト(panelist)によって評価した。
優良:10人のパネリストのうち9~10人のパネリストが正確に線を引くことができた。
非常に良好:10人のパネリストのうち7~8人のパネリストが正確に線を引くことができた。
良好:10人のパネリストのうち5~6人のパネリストが正確に線を引くことができた。
普通:10人のパネリストのうち3~4人のパネリストが正確に線を引くことができた。
不良:10人のパネリストのうち0~2人のパネリストが正確に線を引くことができた。
【0170】
結果を表1に示す。
【0171】
(視認性)
実施例1~4及び比較例1~2のそれぞれの化粧用組成物をディップインアプリケーターパッケージに充填し、以下の基準に従って、眉毛又は眼瞼に適用する際の視認性の観点で10人のパネリストによって評価した。
優良:10人のパネリストのうち9~10人のパネリストが、適用された組成物を認識することができた。
非常に良好:10人のパネリストのうち7~8人のパネリストが、適用された組成物を認識することができた。
良好:10人のパネリストのうち5~6人のパネリストが適用された組成物を認識することができた。
普通:10人のパネリストのうち3~4人のパネリストが適用された組成物を認識することができた。
不良:10人のパネリストのうち0~2人のパネリストが、適用された組成物を認識することができた。
【0172】
結果を表1に示す。
【0173】
(保湿効果)
実施例1~4及び比較例1~2のそれぞれの化粧用組成物をディップインアプリケーターパッケージに充填し、以下の基準に従って、眉毛又は眼瞼に適用した5分後の保湿効果の観点で10人のパネリストによって評価した。
優良:10人のパネリストのうち9~10人のパネリストが保湿効果を感じた。
非常に良好:10人のパネリストのうち7~8人のパネリストが保湿効果を感じた。
良好:10人のパネリストのうち5~6人のパネリストが保湿効果を感じた。
普通:10人のパネリストのうち3~4人のパネリストが保湿効果を感じた。
不良:10人のパネリストのうち0~2人のパネリストが保湿効果を感じた。
【0174】
結果を表1に示す。
【0175】
(抗しわ及び美白効果)
実施例3及び4の化粧用組成物を10人のパネリストの皮膚上に1日1回、2か月間にわたって適用し、以下の基準に従って、抗しわ及び美白効果の観点で10人のパネリストにより評価した。
優良:10人のパネリストのうち9~10人のパネリストが、組成物の適用直前の時点と比較して少ないしわ及び多くの美白を感じた。
非常に良好:10人のパネリストのうち7~8人のパネリストが、組成物の適用直前の時点と比較して少ないしわ及び多くの美白を感じた。
良好:10人のパネリストのうち5~6人のパネリストが、組成物の適用直前の時点と比較して少ないしわ及び多くの美白を感じた。
普通:10人のパネリストのうち3~4人のパネリストが、組成物の適用直前の時点と比較して少ないしわ及び多くの美白を感じた。
不良:10人のパネリストのうち0~2人のパネリストが、組成物の適用直前の時点と比較して少ないしわ及び多くの美白を感じた。
【0176】
結果を表1に示す。
【0177】
実施例1~2及び比較例1~2の組成物は、ナイアシンアミドがこれらの組成物に含まれていなかったので試験しなかった。
【0178】
(メイクアップの持続)
実施例1~4及び比較例1~2の化粧用組成物を10人のパネリストの眉毛又は眼瞼に適用した。次いで眉毛用化粧品(Maybellineブロウパウダー(brow powder))又はアイシャドー(Shu Uemuraプレストアイシャドー(pressed eyeshadow))を適用した。次いで、メイクアップの持続を、適用の8時間後に以下の基準に従って10人のパネリストにより評価した。
優良:メイクアップが9~10人のパネリストで維持された。
非常に良好:メイクアップが7~8人のパネリストで維持された。
良好:メイクアップが5~6人のパネリストで維持された。
普通:メイクアップが3~4人のパネリストで維持された。
不良:メイクアップが0~2人のパネリストで維持された。
【0179】
結果を表1に示す。
【0180】
(概要)
本発明による組成物の成分(a)~(d)をすべて含む実施例1~4の組成物は、安定しており、長持ちするメイクアップ効果を提供した。更に、実施例1~4の組成物は、正確に線引きするための取り扱いが容易であった。更に、実施例1~4の組成物は、良好な視認性を有するメイクアップを提供した。加えて、実施例1~4の組成物は、保湿効果を提供することができた。
【0181】
(f)皮膚ケア有効成分としてナイアシンアミドを含んだ実施例3及び4の組成物は、また、成分(f)に基づいた追加の美容効果を提供することもできた。
【0182】
本発明による組成物の成分(a)を含まなかった比較例1の組成物は、安定しなかった。また、実施例1の組成物により提供されたメイクアップは、例えば、実施例1の組成物と比較して長持ちしなかった。加えて、比較例1の組成物を使用して正確に線引きすることは容易ではなく、比較例1の組成物により提供されるメイクアップは、良好な視認性を有さなかった。
【0183】
本発明による組成物の成分(b)を含まなかった比較例2の組成物は、例えば、実施例1の組成物と比較して長持ちするメイクアップ効果を提供することができなかった。
【外国語明細書】