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特開2024-88449電池システム、電池システムを制御する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088449
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】電池システム、電池システムを制御する方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240625BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20240625BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
H02J7/00 X
H02J7/02 H
H02J7/00 302C
H01M10/48 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203630
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】399107063
【氏名又は名称】プライムアースEVエナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂柳 佑治
(72)【発明者】
【氏名】湯野 徳人
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA03
5G503BB01
5G503CC02
5G503EA05
5G503GD02
5G503GD06
5H030AA01
5H030AS20
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
(57)【要約】
【課題】SOCの高い精度の見積もりを可能にする電池システムを提供する。
【解決手段】電池システム11は、電池21の端子間電圧をモニタする電圧センサ27を有する個別制御器23を含む電池ユニット13と、メインライン25を形成するように直列に接続されると共に電池21の接続及び切り離しを行う切替モジュール15と、メインライン25に接続された電流センサ17と、個別制御器23に通信可能に結合される主制御器19を備え、切替モジュール15は、第1期間T1に電池21をメインライン25に接続し、主制御器19は、主制御器19によって規定される一又は複数の電流モニタ時刻で電流センサ17から電流モニタ値を受け、主制御器17は、個別制御器23によって規定される一又は複数の電圧モニタ時刻で電圧センサ27によって測定された電圧モニタ値を個別制御器23から受け、電圧モニタ時刻及び電流モニタ時刻は第1期間T1にある。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池ユニットであって、前記電池ユニットの各々は、充放電可能な電池と、前記電池の端子間電圧をモニタするように構成された電圧センサを含む個別制御器と、を備える、複数の電池ユニットと、
前記電池ユニットに接続されるそれぞれの切替モジュールであって、前記切替モジュールは、メインラインを形成するように直列に接続され、前記切替モジュールの各々は、前記メインラインへの前記電池の接続及び前記メインラインからの前記電池の切り離しを行うように構成される、切替モジュールと、
前記メインラインに直列に接続された電流センサと、
各電池ユニットの前記個別制御器に通信可能に結合されると共に前記電流センサに接続された主制御器と、
を備え、
前記切替モジュールの少なくとも1つは、モニタ期間に包含されると共に前記モニタ期間よりも短い第1期間に前記電池を前記メインラインに接続し、
前記主制御器は、前記主制御器によって規定される一又は複数の電流モニタ時刻において前記電流センサから一又は複数の電流モニタ値を受けるように構成され、
前記主制御器は、前記個別制御器によって規定される一又は複数の電圧モニタ時刻において前記電圧センサによって測定された一又は複数の電圧モニタ値を前記個別制御器から受けるように構成され、
前記電圧モニタ時刻の少なくとも一つは、前記第1期間の内にあり、
前記電流モニタ時刻は、前記第1期間の内にある、
電池システム。
【請求項2】
前記個別制御器は、当該個別制御器によって規定された送信タイミングに従って前記主制御器に前記電圧モニタ値に係るデータを送信するように構成され、
前記主制御器は、前記個別制御器からの前記データを受信する、
請求項1に記載された電池システム。
【請求項3】
前記主制御器は、前記切替モジュールを制御して前記電池の前記接続及び前記切り離しを行うように構成される、
請求項1に記載された電池システム。
【請求項4】
前記第1期間は、一又は複数の前記電流モニタ時刻のうちの第1電流モニタ時刻及び第2電流モニタ時刻を含み、
前記第1期間は、一又は複数の前記電圧モニタ時刻のうちの第1電圧モニタ時刻及び第2電圧モニタ時刻を含む、
請求項1に記載された電池システム。
【請求項5】
前記主制御器は、前記第1期間のタイミングを規定し、
前記主制御器は、前記第1期間の開始の時点に最も近い電流モニタの時刻又は前記第1期間の終了の時点に最も近い電流モニタの時刻における電流モニタ値を前記電池の電気的状態の算出に使用する、
請求項1に記載された電池システム。
【請求項6】
前記主制御器は、前記電流モニタ時刻が周期的であるように設定し、
前記個別制御器は、前記電圧モニタ時刻が周期的であるように設定し、
前記主制御器は、格納された前記電流モニタ値の内の一部又は全部、及び受信された前記電圧モニタ値の内の一部又は全部に基づき、前記送信タイミングを特定する、
請求項2に記載された電池システム。
【請求項7】
前記メインラインに直列に接続された電流源を更に備え、
前記電流源は、前記モニタ期間に、前記メインラインに電流を流す、
請求項1に記載された電池システム。
【請求項8】
前記切替モジュールは、前記第1期間と異なる第2期間において前記電池を前記メインラインから切り離し、
前記個別制御器は、前記第2期間の内の一又は複数の電圧モニタ時刻において前記電圧センサにより測定された一又は複数の電圧モニタ値を前記主制御器に格納するように構成される、
請求項1に記載された電池システム。
【請求項9】
直列に接続された複数の切替モジュールを含むメインライン内の前記切替モジュールに接続されたそれぞれの充放電可能な電池のうちの少なくとも一つの電池を前記切替モジュールを介して前記メインラインに第1期間に接続して前記電池の列を形成することと、
前記電池の列に電流を流しながら、一又は複数の電流モニタ時刻において前記メインラインに流れる電流値を測定すると共に、測定された電流値を主制御器に格納することと、
前記電池の列に電流を流しながら、一又は複数の電圧モニタ時刻において前記電池の端子間の電圧値を測定することと、
前記主制御器と通信可能に結合され前記電池に接続されるそれぞれの個別制御器を介して、測定された電圧値を前記主制御器に格納することと、
を備え、
前記電流モニタ時刻は、前記第1期間の内にあり、
前記電圧モニタ時刻の少なくとも一つは、前記第1期間の内にあり、
前記電圧モニタ時刻は、前記個別制御器によって規定され、
前記電流モニタ時刻は、前記主制御器によって規定される、
電池システムを制御する方法。
【請求項10】
測定された前記電圧値を前記主制御器に格納することは、
前記個別制御器によって規定された送信タイミングに従って、測定された前記電圧値を前記主制御器に送信すること、及び
前記個別制御器から送信された前記電圧値を前記主制御器において受信すること、
を含む、
請求項9に記載された電池システムを制御する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池システム、及び電池システムを制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び特許文献2は、電源装置を開示する。特許文献1の電源装置は、直列に接続された電池モジュールを含み、個々の電池モジュールは、二次電池を有する。電池モジュール内の二次電池は、当該電池モジュールに対するゲート信号を強制的に遮断することによって直列接続から強制的に切り離される。この状態で切り離された二次電池の開放電圧が測定される。切り離された電池モジュール内の二次電池の充放電状態(SOC)の推定値が、開放電圧に基づいて求められる。また、特許文献2の電源装置は、測定対象である電池モジュールの内部抵抗を推定することを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許6922337号公報
【特許文献2】特許7077204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電池システムのシステム規模の拡大は、システム内の電池モジュール数を増加させる。電池の充放電状態(SOC)の見積もりは、多数の電池モジュール内の個々の電池の電流計測及び電圧計測の値を必要とする。電流計測及び電圧計測を別々の制御器を用いて行うことは、電池システムに利便性を提供し、特に大規模なシステムでは有用である。
【0005】
しかしながら、電池の充放電状態(SOC)の高い精度の見積もりは、同時期に測定された電圧値及び電流値を用いることになる。
【0006】
本発明は、電池の充放電状態(SOC)の高い精度の見積もりを可能にする電池システム、及び電池システムを制御する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1側面に係る電池システムは、複数の電池ユニットであって、前記電池ユニットの各々は、充放電可能な電池と、前記電池の端子間電圧をモニタするように構成された電圧センサを含む個別制御器と、を備える、複数の電池ユニットと、前記電池ユニットに接続されるそれぞれの切替モジュールであって、前記切替モジュールは、メインラインを形成するように直列に接続され、前記切替モジュールの各々は、前記メインラインへの前記電池の接続及び前記メインラインからの前記電池の切り離しを行うように構成される、切替モジュールと、前記メインラインに直列に接続された電流センサと、各電池ユニットの前記個別制御器に通信可能に結合されると共に前記電流センサに接続された主制御器と、を備え、前記切替モジュールの少なくとも1つは、モニタ期間に包含されると共に前記モニタ期間よりも短い第1期間に前記電池を前記メインラインに接続し、前記主制御器は、前記主制御器によって規定される一又は複数の電流モニタ時刻において前記電流センサから一又は複数の電流モニタ値を受けるように構成され、前記主制御器は、前記個別制御器によって規定される一又は複数の電圧モニタ時刻において前記電圧センサによって測定された一又は複数の電圧モニタ値を前記個別制御器から受けるように構成され、前記電圧モニタ時刻の少なくとも一つは、前記第1期間の内にあり、前記電流モニタ時刻は、前記第1期間の内にある。
【0008】
本発明の第2側面に係る電池システムを制御する方法は、直列に接続された複数の切替モジュールを含むメインライン内の前記切替モジュールに接続されたそれぞれの充放電可能な電池のうちの少なくとも一つの電池を前記切替モジュールを介して前記メインラインに第1期間に接続して前記電池の列を形成することと、前記電池の列に電流を流しながら、一又は複数の電流モニタ時刻において前記メインラインに流れる電流値を測定すると共に、測定された電流値を主制御器に格納することと、前記電池の列に電流を流しながら、一又は複数の電圧モニタ時刻において前記電池の端子間の電圧値を測定することと、前記主制御器と通信可能に結合され前記電池に接続されるそれぞれの個別制御器を介して、測定された電圧値を前記主制御器に格納することと、を備え、前記電流モニタ時刻は、前記第1期間の内にあり、前記電圧モニタ時刻の少なくとも一つは、前記第1期間の内にあり、前記電圧モニタ時刻は、前記個別制御器によって規定され、前記電流モニタ時刻は、前記主制御器によって規定される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電池の充放電状態(SOC)の高い精度の見積もりを可能にする電池システム、及び電池システムを制御する方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施の形態に係る電池システムを概略的に示す図面である。
図2図2は、本発明の一実施の形態に係る電池システムが充放電の状態(SOC)を見積もる動作を概略的に表す図面である。
図3図3は、本発明の一実施の形態に係る電池システムが充放電の状態を見積もる動作のためのタイミングチャートを表す図面である。
図4図4は、本発明の一実施の形態に係る充電システムの切替モジュールの例示的な回路を示す図面である。
図5図5は、本実施の形態に係る電池システムの充電動作の接続を示す図面である。
図6図6は、本実施の形態に係る電池システムの放電動作の接続を示す図面である。
図7図7は、本実施の形態に係る電池システムの主制御器及び個別制御器の各々のためのコンピュータの構成を示すブロック図である。
図8図8は、本実施の形態に係る電池システムの主制御器の動作のためのプログラムモジュールの構成を示す図面である。
図9図9は、本実施の形態に係る電池システムの個別制御器の動作のためのプログラムモジュールの構成を示す図面である。
図10図10は、本実施の形態に係る電池システムを制御する方法における主要なステップを示すフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明を実施するための各実施の形態について説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施の形態に係る電池システムを概略的に示す図面である。
【0013】
電池システム11は、複数の電池ユニット13と、切替モジュール15と、電流センサ17と、主制御器19と、を含む。電池システム11は、第1端子10a及び第2端子10bを含む。第1端子10a及び第2端子10bは、充電又は放電のための機器を接続するように構成される。
【0014】
電池ユニット13の各々は、充電可能な電池21及び個別制御器23を備え、個別制御器23は、電池21の端子間電圧をモニタするように構成された電圧センサ27を含む。電池ユニット13は、それぞれの切替モジュール15に接続される。切替モジュール15は、メインライン25を形成するように直列に接続され、また切替モジュール15の各々は、メインライン25への電池21の接続及びメインライン25からの電池21の切り離しを行うように構成される。
【0015】
電流センサ17は、メインライン25に直列に接続される。主制御器19は、電池ユニット13の各々内の個別制御器23に通信可能に(例えばバス33を介して)結合されると共に、電流センサ17に接続される。主制御器19は、一又は複数の電流モニタ時刻において測定された電流センサ17に電流モニタを行うように指示するように構成される。これらの電流モニタ時刻は、主制御器19によって規定される。
【0016】
主制御器19は、主制御器19によって規定される一又は複数の電流モニタ時刻において測定されたそれぞれの電流モニタ値を電流センサ17から受けるように構成される。
【0017】
主制御器19は、個別制御器23から、一又は複数の電圧モニタ値(個別制御器23と同じ電池ユニット13内の電池21の端子間電圧)を受けるように構成される。これら電圧モニタ値は、一又は複数の電圧モニタ時刻において個別制御器23内の電圧センサ27によって測定される。これらの電圧モニタ時刻は、例えば電圧モニタ値を測定する個々の個別制御器23毎に規定されることができる。
【0018】
例示的な電池システム11は、メインライン25に直列に接続された電流源29を更に備え、電流源29は、電流期間(例えば、図3のモニタ期間TMON)にメインライン25に電流を流す。電池システム11によれば、電流源29は、充放電の状態の監視のための負荷として働く。
【0019】
例示的な電池システム11では、電流モニタは、メインライン25及び電流センサ17に電流を流す電流期間に行われる。主制御器19は、例えば、直列に接続されたメインライン25及び電流センサ17を含む回路を電流源29に接続するスイッチ31を制御して、メインライン25及び電流センサ17に電流を流すことができる。
【0020】
また、主制御器19は、この電流期間内に1又は複数の電流モニタ時刻を設定することができる。主制御器19は、電流モニタ時刻とは関係ない時刻又は期間に、例えばバス33を介して電圧モニタ値を個別制御器23から受けることができる。個別制御器23は、複数の電圧モニタ時刻において電圧モニタ値を測定しており、これら電圧モニタの少なくとも一部は、電流期間に行われることができる。
【0021】
メインライン25に接続される電池21は、主制御器19が個々の切替モジュール15を制御することによって選択されることができる。
【0022】
このような選択は、例えば以下の形態を含む。
形態1:主制御器19が切替モジュール15を制御して、全ての電池21をメインライン25に接続する。
形態2:主制御器19が切替モジュール15を制御して、関心のある複数の(全てでは無い)電池21を選択的にメインライン25に接続する。
形態3:主制御器19が切替モジュール15を制御して、いずれか一つ電池21をメインライン25に接続する。
形態4:形態3の単一の選択を、選択される電池21を替えながら順次に繰り返す。
【0023】
例えば、電流源29は、電流期間(例えば、図2のモニタ期間TMON)にメインライン25に定電流を流すように構成されることができる。この電池システム11によれば、この定電流は、メインライン25に接続された全ての電池21に同じ電流値の電流を流すことを可能にする。
【0024】
主制御器19は、メインライン25を構成するように直列に接続された電池21の列を流れる電流を測定することによって得られた一又は複数の電流モニタ値を電流センサ17から受けるように構成される。
【0025】
図2は、本発明の一実施の形態に係る電池システムが充放電の状態を見積もる動作を概略的に表す図面である。電池システム11では、電流源29は、メインライン25に定電流ICNSTを流している。また、主制御器19は、切替モジュール15を制御して電池21の接続及び切り離しを行うことができる。具体的には、主制御器19は、直列に接続された複数の切替モジュール15を含むメインライン25に接続されるべき電池ユニット13及びメインライン25から切り離されるべき電池ユニット13を特定する。接続及び切り離しは、第1期間T1に、切替モジュール15内のスイッチ16a及び16bを用いて行われる。本実施例では、この特定は、主制御器19によって行われることができ、また第1期間T1は、主制御器19によって決定されることができる。主制御器19は、制御線35を用いて切替モジュール15毎に、スイッチ制御信号SSWを送信する。切替モジュール15の各々は、スイッチ制御信号SSWに受信に応答して、スイッチ16a及び16bの開閉を行う。この電池システム11によれば、切替モジュール15の制御は、メインライン25を構成する電池ユニット13の一部又は全部に対して電池21の選択的な電圧モニタを行うことを可能にする。図2の接続では、全ての電池21がメインライン25に接続されている。
【0026】
図3は、本発明の一実施の形態に係る電池システムが充放電の状態を見積もる動作のためのタイミングチャートを表す図面である。
【0027】
電池システム11は、例えば第1期間T1、及び第1期間T1と異なる第2期間T2に、それぞれの動作を行う。
【0028】
電池システム11は、例えば第1期間T1に、切替モジュール15のうちの1つ、複数、又は全部が、当該切替モジュール15に接続された電池ユニット13内の電池21をメインライン25に接続することができる。第1期間T1は、モニタ期間TMONに包含されると共にモニタ期間TMONよりも短い。
【0029】
電圧モニタ時刻の少なくとも一つは、第1期間T1の内にあり、また電流モニタ時刻の少なくとも一つは、第1期間T1の内にある。
【0030】
具体的には、図3の(a)部は、主制御器19が、電流モニタを行うタイミングを示し、電流モニタ時刻TIMONの配列(例えば、100ms間隔)を示す。図3の(b)部は、ある個別制御器23が、電圧モニタを行うタイミングを示し、電圧モニタ時刻TVMONの配列(例えば、100ms間隔)を示す。図3の(c)部は、ある個別制御器23の電圧モニタを行うタイミング及び電圧モニタ値を示し、第1期間T1内の電圧モニタ時刻TVMONにおける電圧モニタ値は、第1期間T1外の電圧モニタ時刻TVMONにおける電圧モニタ値と異なっている。図3の(d)部は、ある個別制御器23による電圧モニタ値の転送を主制御器19が受信するタイミングを示し、主制御器19は、個別制御器23の転送タイミングに従って電圧モニタ値を受ける。図3の(e)部は、第1期間T1及び第2期間T2を示す。図3の(f)部は、モニタ期間TMONを示す。
【0031】
電池システム11によれば、主制御器19及び個別制御器23は、それぞれ、電流モニタ時刻及び電圧モニタ時刻を規定する。これ故に、これら電流モニタ時刻及び電圧モニタ時刻は、同期していない。電圧モニタ及び電流モニタをそれぞれ行う電圧モニタ時刻の少なくとも一つ及び電流モニタ時刻の少なくとも一つは、一又は複数の電池21がメインライン25に接続される第1期間T1内にある。第1期間T1内の電圧モニタ及び電流モニタは、第1期間T1の範囲内のものとして近接した時刻における電圧モニタ値及び電流モニタ値を提供することができる。電池システム11は、このような電圧モニタ値及び電流モニタ値を用いて充放電の状態(SOC)を算出することを可能にする。
【0032】
図3を参照すると、既に説明したように、第1期間T1内の電圧モニタ時刻TVMONにおける電圧モニタ値は、第1期間T1外の電圧モニタ時刻TVMONにおける電圧モニタ値と異なっている。この違いは、電池21に電流を流しながら電圧モニタを行うことに起因する。
【0033】
例示的な電池システム11では、個別制御器23は、当該個別制御器23によって規定された送信タイミングに従って主制御器19に電圧モニタ値に係るデータVDATAをバス33に送出する。主制御器19は、個別制御器23からのデータを受信する。この電池システム11によれば、データ通信のタイミングは、個別制御器23によって規定される。
【0034】
バス33は、個別制御器23毎に設けられることができる。或いは、複数の個別制御器23がバス33を共用することができる。バス33の共用を行う場合には、データの伝送に際して、個別制御器23の各々は、データ転送を行うに先立って、例えばバス33が使用中であるか否かを判定する動作を行うことができる。この判定のために、バス33は例えば二線式又は三線式のシリアルバスであることができる。
【0035】
図3を参照すると、第1期間T1は、電流モニタ時刻のうちの第1電流モニタ時刻及び第2電流モニタ時刻を含む。また、第1期間T1は、複数の電圧モニタ時刻のうちの第1電圧モニタ時刻及び第2電圧モニタ時刻を含む。この電池システム11によれば、第1期間T1は、複数回の電流モニタ及び複数回の電圧モニタを行うことができる長さを有する。これ故に、第1期間T1は、少なくとも一回の電流モニタ及び電圧モニタを行うことができる。
【0036】
既に説明したように、主制御器19は、第1期間T1のタイミング(立ち上がり、及び立ち下がり)を規定する。主制御器19は、第1期間T1の開始の時点に最も近い電流モニタの時刻又は第1期間T1の終了の時点に最も近い電流モニタの時刻における電流モニタ値を電池21の電気的状態の算出に使用することができる。この電池システム11によれば、主制御器19は、第1期間T1の開始及び終了の時点は、近接する電圧モニタの時刻の候補選択の基準になり得る。これにより、充放電の状態の見積もり精度が高められる。
【0037】
図3に示されるように、主制御器19は、電流モニタ時刻が周期的であるように設定することができる。また、個別制御器23は、電圧モニタ時刻が周期的であるように設定することができる。
【0038】
例示的な電池システム11では、主制御器19は、格納された電流モニタ値の内の一部又は全部、及び受信された電圧モニタ値の内の一部又は全部に基づき、個別制御器23の送信タイミングを特定することができる。図3を参照すると、個別制御器23の送信タイミングは、第1期間T1内の最も近い電流モニタ時刻を基準とし、例えば遅延TDLYにとして見積もられる。この電池システム11によれば、特定された送信タイミングと第1期間T1内の電流モニタ時刻との時間的な差は、主制御器19の動作と個別制御器23の動作との間における非同期のズレに関連付けられる。
【0039】
図4は、切替モジュール15の例示的な回路を示す図面である。切替モジュール15の各々は、第1端子15a、第2端子15b、第3端子15c及び第4端子15d、並びに第1スイッチ16a及び第2スイッチ16bを含む。第1スイッチ16aは、第1端子15aと第2端子15bとの間に接続される。第2スイッチ16bは、第1端子15aと第3端子15cとの間に接続され、第2端子15bは、第4端子15dに接続される。第3端子15c及び第4端子15dは、電池21のそれぞれの端子に接続される。電池システム11によれば、第1スイッチ16a及び第2スイッチ16bの導通及び非導通が排他的に制御されて、メインライン25への電池21の接続及び切り離しを実施することができる。第1スイッチ16a及び第2スイッチ16bの導通及び非導通の排他的制御のために、切替モジュール15は、第1スイッチ16aの制御信号の反転信号を生成する反転器16c(インバータ)を含むことができる。第1スイッチ16a及び第2スイッチ16bの各々は、例えば電界効果トランジスタを含むことができる。
【0040】
再び図3を参照すると、個別制御器23は、第2期間T2の内の一又は複数の電圧モニタ時刻において電圧センサ27により測定された一又は複数の電圧モニタ値を主制御器19に格納するように構成されることができる。必要な場合には、切替モジュール15は、第2期間T2において測定対象の電池21をメインライン25から切り離すことができる。この電池システム11によれば、電流ゼロの状態における電池21の端子間電圧を測定できる。
【0041】
個別制御器23は、当該個別制御器23によって規定された送信タイミングに従って主制御器19に第2期間T2の電圧モニタ値に係る電圧データを送信することができる。主制御器19は、個別制御器23からの電圧データを受信する。この電池システム11によれば、電流ゼロの状態における電池の端子間電圧が主制御器19に提供されることができる。
【0042】
図1に示されるように、電池システム11の電池ユニット13は、電池21の近くに配置された温度センサ37を更に備えることができる。温度センサ37を用いて、電池21の温度をモニタすることができる。個別制御器23は、当該個別制御器23によって規定された送信タイミングに従って主制御器19に、温度モニタ値に係る温度データを送信することができる。主制御器19は、個別制御器23からの温度データを受信する。この電池システム11によれば、温度モニタ値が、単独で、或いは電圧モニタ値と一緒に主制御器19に提供される。
【0043】
図5は、本実施の形態に係る電池システムの充電動作の接続を示す図面である。
【0044】
電池システム11は、メインライン25から電流源29を切り離す。電池システム11の第1端子10a及び第2端子10bが、充電器39aに接続される。主制御器19は、電池システム11を充電モードに設定して、切替モジュール15が電池ユニット13の電池21をメインライン25に接続するように制御する。本実施例では、全ての電池ユニット13の電池21がメインライン25に接続される。
【0045】
充電器39aは、電池システム11の第1端子10aを介して充電電流ICGを電池システム11に供給して、この充電電流ICGは、メインライン25内の直列接続の電池21に流れて、個々の電池21を充電する。充電された電池21の端子間電圧は、電池特性に従って増加する。
【0046】
図6は、本実施の形態に係る電池システムの放電動作の接続を示す図面である。
【0047】
電池システム11は、メインライン25から電流源29を切り離す。電池システム11の第1端子10a及び第2端子10bが、負荷39bに接続される。主制御器19は、電池システム11を放電モードに設定して、切替モジュール15が電池ユニット13の電池21をメインライン25に接続するように制御する。本実施例では、全ての電池ユニット13の電池21がメインライン25に接続される。
【0048】
負荷39bは、電池システム11の第1端子10aを介して放電電流IDCGを電池システム11から供給されて、この放電電流IDCGは、メインライン25内の直列接続の電池21から流れて、個々の電池21が放電する。放電された電池21の端子間電圧は、電池特性に従って減少する。
【0049】
図7は、本実施の形態に係る電池システムの主制御器及び個別制御器の各々の構成を示すブロック図である。主制御器19及び個別制御器23のための例示的なコンピュータ20は、中央処理装置(CPU)41、メモリ42、入出力ポート43、及びネットワークポート44を含むことができ、必要な場合には、入力デバイス45及びディスプレイ46を含むことができる。メモリ42は、中央処理装置41に通信可能に結合される。入出力ポート43は、中央処理装置41に通信可能に結合されており、また外部センサからデータを受けると共に受けたデータを送出する。ネットワークポート44は、中央処理装置41に通信可能に結合されると共に(外部)ネットワークに接続される。入力デバイス45は、中央処理装置41に通信可能に結合される。ディスプレイ46は、中央処理装置41及びメモリ42に通信可能に結合される。主制御器19及び個別制御器23に所望の動作を引き起こすプログラム命令が、メモリ42に格納され、或いはネットワークからネットワークポート44を介して提供される。プログラム命令は、中央処理装置41によって実行されて、主制御器19及び個別制御器23に所望の動作を引き起こす。
【0050】
図8は、本実施の形態に係る電池システムの主制御器の動作のための例示的なプログラムモジュールを示すブロック図である。主制御器19のモジュール51は、充電動作モジュール51a、放電動作モジュール51b、充放電状態モニタモジュール51c、タイミングシフト推測モジュール51d、電流モニタモジュール51e、及びデータ受信モジュール51fを含む。
【0051】
充電動作モジュール51aは、電池システム11が充電を行うように構成されたプログラムを含む。充電の制御の命令は、例えば、以下の動作をコンピュータ20に引き起こすことができる。切替モジュール15を用いる電池ユニット13の選択/非選択を電池ユニット13毎に特定すること、その特定に従って切替モジュール15のスイッチ(16a、16b)を開閉する信号を切替モジュール15毎に生成すること、及び/又は電流源29をメインライン25から切り離すこと。
【0052】
放電動作モジュール51bは、電池システム11が放電を行うように構成されたプログラムを含む。放電の制御の命令は、例えば、以下の動作をコンピュータ20に引き起こすことができる。切替モジュール15を用いる電池ユニット13の選択/非選択を電池ユニット13毎に特定すること、その特定に従って切替モジュール15のスイッチ(16a、16b)を開閉する信号を切替モジュール15毎に生成すること、及び/又は電流源29をメインライン25から切り離すこと。
【0053】
充放電状態モニタモジュール51cは、電池システム11の電池21の状態モニタといったメインテナンスを行うように構成されたプログラムを含む。メインテナンスの制御は、例えば、以下の動作をコンピュータに引き起こすことができる。電流源29をメインライン25に接続する信号を生成すること、切替モジュール15を用いる電池ユニット13の選択/非選択を電池ユニット13毎に特定すること、及び/又はその特定に従って切替モジュール15のスイッチ(16a、16b)を開閉する信号を生成すること。
【0054】
タイミングシフト推測モジュール51dは、個別制御器23の電圧モニタのタイミングを推測するように構成されたプログラムを含む。タイミング推測の命令は、例えば、以下の動作をコンピュータ20に引き起こすことができる。個別制御器23からの転送データに基づき、転送データの受信タイミングの傾向(例えば、受信の間隔及び周期)を見いだすこと、主制御器19の電流モニタデータに基づき、電流モニタ時刻を特定すること、特定された電流モニタ時刻及び受信タイミングの傾向に基づき、個別制御器23の電圧モニタタイミング及びデータ送出タイミングを算出すること、及び/又は特定された電流モニタ時刻及び受信タイミングの傾向に基づき、電流モニタタイミングを計画すること。
【0055】
電流モニタモジュール51eは、メインライン25に流れる電流を測定するように構成されたプログラムを含む。電流のモニタの命令は、例えば、以下の動作をコンピュータ20に引き起こすことができる。定期的に又は不定期に、メインライン25に流れる電流をモニタすることを含む。
【0056】
データ受信モジュール51fは、個別制御器23からの転送データを受信するように構成されたプログラムを含む。受信の命令は、例えば、以下の動作をコンピュータ20に引き起こす。I/Oポートを監視すること、及び/又はI/Oポートで受けたデータをメモリに格納すること。
【0057】
図9は、本実施の形態に係る電池システムの個別制御器の動作のためのプログラムモジュールの構成を示すブロック図である。個別制御器23のモジュール53は、電圧モニタモジュール53a、電圧モニタ値伝送モジュール53b、温度モニタモジュール53c、及び温度モニタ値伝送モジュール53dを含む。
【0058】
電圧モニタモジュール53aは、電池ユニット13内の電池21の端子間電圧を測定するように構成されたプログラムを含む。電圧モニタの命令は、例えば、以下の動作をコンピュータ20に引き起こすことができる。メインライン25に接続されているか否かに関係なく、電圧センサ27を用いて電池ユニット13内の電池21の端子間電圧を、定期的に又は不定期に、モニタすること。
【0059】
電圧モニタ値伝送モジュール53bは、電圧モニタにより取得された電圧モニタ値を送出するように構成されたプログラムを含む。伝送の命令は、例えば、以下の動作をコンピュータ20に引き起こすことができる。電圧モニタ値を含むデータをI/Oポートのバッファに送ること、及び/又はI/Oポートからデータをバス33に送出すること。
【0060】
温度モニタモジュール53cは、電池ユニット13内の電池21の近傍の温度を測定するように構成されたプログラムを含む。温度モニタの命令は、例えば、以下の動作をコンピュータ20に引き起こすことができる。メインライン25に接続されているか否かに関係なく、電池ユニット13内の温度センサ37を用いて電池ユニット13の温度を、定期的に又は不定期に、モニタすること。
【0061】
温度モニタ値伝送モジュール53dは、温度モニタ値を送出するように構成されたプログラムを含む。伝送の命令は、例えば、以下の動作をコンピュータ20に引き起こすことができる。温度モニタ値を含むデータをI/Oポートのバッファに送ること、及び/又はI/Oポートからデータをバス33に送出すること。なお、温度モニタ値は、電圧モニタ値と同梱されて、データ転送されることができる。
【0062】
図10は、本実施の形態に係る電池システムを制御する方法における主要なステップを示すフローチャートを示す。引き続く説明において、理解の容易のために、可能な場合には、既に為された説明において参照された符号を用いる。
【0063】
まず、電池システム11を準備する。電池システム11には、電池21の充電、電池21の放電、及び電池21のメインテナンスが適用される。
【0064】
引き続き、メインテナンスを説明する。
【0065】
制御方法100は、単独に或いは他のステップと一緒にステップS101を含むことができる。ステップS101では、直列に接続された複数の切替モジュール15を含むメインライン25に接続されるべき電池ユニット13及びメインライン25から切り離されるべき電池ユニット13を特定する。接続及び切り離しは、モニタ期間TMONに先立って、モニタ期間TMONに、又は第1期間T1に、切替モジュール15内のスイッチを用いて行われる。本実施例では、この特定は、主制御器19によって行われることができ、また第1期間T1は、主制御器19によって決定されることができる。主制御器19は、制御線35を用いて切替モジュール15毎に、スイッチ制御信号SSWを送信する。切替モジュール15の各々は、スイッチ制御信号SSWに受信に応答して、スイッチ16aの開閉及びスイッチ16bの開閉を行う。
【0066】
具体的には、メインライン25内の切替モジュール15に接続された電池ユニット13のうちの少なくとも一つの電池ユニット13を切替モジュール15を介してメインライン25に接続する。また、残りの電池ユニット13を切替モジュール15を介してメインライン25から切り離す。これら接続及び切り離しによって、メインライン25内に電池21の列を形成する。
【0067】
制御方法100は、単独に或いは他のステップと一緒にステップS102を含むことができる。ステップS102では、メインライン25の電池21の列に電流を流しながら、1又は複数の電流モニタ時刻においてメインライン25に流れる電流値を測定する。本実施例では、この測定は、主制御器19によって行われることができる。これ故に、電流モニタ時刻は、主制御器19によって規定される。電流モニタ時刻の少なくとも1つは、第1期間T1の内にある。主制御器19は、この測定を行うと共に、測定された電流値を主制御器19に格納する。メインライン25の電池21の列に流す電流は、定電流であることができる。
【0068】
制御方法100は、単独に或いは他のステップと一緒にステップS103を含むことができる。ステップS103では、メインライン25の電池21の列に電流を流しながら、1又は複数の電圧モニタ時刻において電池21の端子間電圧値を測定する。本実施例では、この測定は、個別制御器23によって行われることができる。この測定と共に、測定された電圧値を個別制御器23に維持することができる。電圧モニタ時刻は、個別制御器23によって規定される。電圧モニタ時刻の少なくとも1つは、第1期間T1の内にある。
【0069】
本実施例では、メインライン25に流れる電流値の測定が、メインライン25内の電池21の列における個々の電池21の端子間電圧の測定に先立って行われる。しかしながら、端子間電圧の測定が、電流値の測定に先立って行われることができる。或いは、端子間電圧の測定及び電流値の測定が、実質的に同時に行われることができる。
【0070】
制御方法100は、単独に或いは他のステップと一緒にステップS104を含むことができる。ステップS104は、測定された電圧値が、メインライン25内の電池21に接続されるそれぞれの個別制御器23を介して主制御器19に格納される。具体的には、個別制御器23は、バス33を介して通信可能に結合される主制御器19に、少なくとも測定された電圧値を含むデータを送信することができる。この送信は、本実施例では、個別制御器23の送信タイミングに従って行われることができる。
【0071】
この制御方法によれば、主制御器19及び個別制御器23は、それぞれ、電流モニタ時刻及び電圧モニタ時刻を規定する。これ故に、電流モニタ時刻及び電圧モニタ時刻は、同期していない。電圧モニタ及び電流モニタをそれぞれ行う電圧モニタ時刻及び電流モニタ時刻は、電池21の列に電流を流す第1期間T1内にある。第1期間T1内の電圧モニタ及び電流モニタは、第1期間T1の範囲内にあるものとして近接した時刻において測定された電圧値及び電流値を提供することができる。これらの電圧値及び電流値を用いて充放電の状態(SOC)を算出することを可能にする。
【0072】
ステップS104では、測定された電圧値を主制御器19に格納するために、以下の手順が行われることができる。具体的には、個別制御器23は、当該個別制御器23によって規定された送信タイミングに従って、測定された電圧値を主制御器19に送信することができる。また、主制御器19は、個別制御器23の各々から送信された電圧値を受信する。
【0073】
この制御方法によれば、個別制御器23から主制御器19への測定値の転送は、個別制御器23によって規定された送信タイミングに従って行われる。これによれば、個別制御器23に、様々な制御器を使用可能になる。
【0074】
制御方法100は、単独に或いは他のステップと一緒にステップS105を含むことができる。ステップS105は、第1期間T1と異なる第2期間T2に電池21の列に電流を流すことなく、1又は複数の電圧モニタ時刻において電池21の端子間の電圧値を測定することができる。
【0075】
この制御方法によれば、電池21の列内の個々に電池21の端子間電圧は、当該電池21の内部抵抗に依存しないようにゼロ電流において測定される。
【0076】
制御方法100は、単独に或いは他のステップと一緒にステップS106を含むことができる。ステップS106は、第2期間T2に測定された電圧値は、個別制御器23を介して主制御器19に格納される。
【0077】
この制御方法によれば、測定値の転送は、個別制御器によって規定された送信タイミングに従って行われる。
【0078】
制御方法100は、単独に或いは他のステップと一緒にステップS107を含むことができる。ステップS107は、測定された電圧値に係る受けたデータ、及び測定された電流値に係るデータのデータ処理を主制御器19を用いて行うことができる。具体的には、格納された電流値の内の一部又は全部、及び格納された電圧値の内の一部又は全部に基づき、主制御器19において個別制御器23の送信タイミングを特定することができる。具体的には、メインライン25への電池21の接続及び切り離しタイミング、又はメインライン25への電流源29の接続及び切り離しの期間において測定されたそれぞれの電圧値間の差に基づき、主制御器19が個別制御器23の計測タイミングを把握できる。
【0079】
この制御方法によれば、個別制御器23から主制御器19への測定値の転送は、個別制御器23によって規定された送信タイミングに従って行われる。しかしながら、主制御器19は、通信における受信タイミングに基づき、電池システム11において使用されている個別制御器23に係る送信タイミングを推測できる。
【0080】
制御方法100は、単独に或いは他のステップと一緒にステップS108を含むことができる。ステップS108は、充電ステップ及び/又は放電ステップを含むことができる。充電ステップ及び放電ステップは、メインテナンスの後に、又は、メインテナンスに先立って、行われることができる。この制御方法によれば、充放電状態(SOC)の算出に係るモニタのスケジューリングの柔軟性が高まる。
【0081】
充電ステップでは、具体的には、電池21の少なくとも一つを切替モジュール15を介してメインライン25に接続すると共に電池21の残りを切替モジュール15を介してメインライン25から切り離して、電池21の列を充電する。充電は、例えば、電池システム11を充電器39aに接続することによって行われる。
【0082】
放電ステップでは、具体的には、電池21の少なくとも一つを切替モジュール15を介してメインライン25に接続すると共に電池21の残りを切替モジュール15を介してメインライン25から切り離して、電池21の列を放電させる。放電は、例えば、電池システム11を負荷39bに接続することによって行われる。
【0083】
電池システム11における充電、放電、及びメインテナンスでは、電池21の全てをメインライン25に接続することができる。
【0084】
電池システム11は、メインライン25への電池ユニット13の接続を制御して所望の出力電圧を提供する。複数の電池ユニット13は、メインライン25に接続され又はメインライン25から切り離される。充電中、放電中、又はメインテナンス中に、メインライン25に流れる電流値と、メインライン25に接続された電池21の端子間の電圧値と、を測定することが求められる。これら電流及び電圧の値、並びに無負荷の電池21の端子間電圧といった測定データを用いると、電池21の内部抵抗及び充放電状態(SOC)といったシステム状態を算出できる。なお、内部抵抗及び充放電状態(SOC)といったシステム状態の算出方法は特に限定されるわけではなく、例えば、充放電状態(SOC)は無負荷の電池21の端子間電圧を用いなくても算出可能である。
【0085】
一般には、システム規模が拡大すると、例えば電池ユニットの数が増加する。測定すべき電池の数も増加する。このようなシステムにおいても、電流計測と電圧計測の同時性は、電池システムの状態を高い精度で推定するために必要な要素である。
【0086】
複数の制御器を同期して動作させると、電池システムの煩雑さを増大させる。しかしながら、同期的な動作は、電池システムの状態を高い精度で推定するために必要である。
【0087】
そこで、電池システム11に主制御器19を設けて、電池システム11における切替モジュール15の制御を行う。切替モジュール15は、メインライン25への個々の電池ユニット13の接続及び非接続を制御する。一方で、電池ユニット13毎に個別制御器23を設けて、電池ユニット13のモニタを行う。個々の個別制御器23が、電池ユニット13の電池21の出力電圧を電圧センサ27を用いて測定する。
【0088】
加えて、主制御器19は、電池システム11におけるメインライン25に流れる電流のモニタを行うと共に、この電流を流す期間、具体的には第1期間T1を規定する。第1期間T1のタイミングは、個別制御器23に伝えられない。主制御器19は、第1期間T1内のいずれかの時刻、つまり電流モニタ時刻において電流のモニタを行う。
【0089】
個々の個別制御器23は、少なくとも1回の電圧モニタ時刻が第1期間T1内に含まれるような頻度で、定期的に又は不定期に、電圧モニタを行う。
【0090】
第1期間T1の長さは、電流計測と電圧計測に求められる同時性の精度に応じて規定されることができる。
【0091】
以上説明したように、本実施の形態によれば、高い精度の充放電状態(SOC)の見積もりを可能にする電池システム、及び電池システムを制御する方法が提供される。
【0092】
本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。そして、それらはすべて、本発明の技術思想に含まれるものである。
【符号の説明】
【0093】
10a・・・第1端子、10b・・・第2端子、11・・・電池システム、13・・・電池ユニット、15・・・切替モジュール、15a・・・第1端子、15b・・・第2端子、15c・・・第3端子、15d・・・第4端子、16a・・・第1スイッチ、16b・・・第2スイッチ、16c・・・反転器、17・・・電流センサ、19・・・主制御器、20・・・コンピュータ、21・・・電池、23・・・個別制御器、25・・・メインライン、27・・・電圧センサ、29・・・電流源、31・・・スイッチ、33・・・バス、35・・・制御線、37・・・温度センサ、39a・・・充電器、39b・・・負荷、41・・・中央処理装置、42・・・メモリ、43・・・入出力ポート、44・・・ネットワークポート、45・・・入力デバイス、46・・・ディスプレイ、51、53・・・モジュール、51a・・・充電動作モジュール、51b・・・放電動作モジュール、51c・・・充放電状態モニタモジュール、51d・・・タイミングシフト推測モジュール、51e・・・電流モニタモジュール、51f・・・データ受信モジュー、53a・・・電圧モニタモジュール、53b・・・電圧モニタ値伝送モジュール、53c・・・温度モニタモジュール、53d・・・温度モニタ値伝送モジュール、ICNST・・・定電流、ICG・・・充電電流、IDCG・・・放電電流、T1・・・第1期間、T2・・・第2期間、TMON・・・モニタ期間、TDLY・・・遅延、TIMON・・・電流モニタ時刻、TVMON・・・電圧モニタ時刻、VDATA・・・データ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10