(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088451
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】表示方法及び表示プログラム、及び診断装置
(51)【国際特許分類】
G01K 7/00 20060101AFI20240625BHJP
H02G 1/10 20060101ALI20240625BHJP
H02G 9/02 20060101ALI20240625BHJP
G01K 11/324 20210101ALI20240625BHJP
G01K 1/02 20210101ALI20240625BHJP
【FI】
G01K7/00 311
H02G1/10
H02G9/02
G01K11/324
G01K1/02 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203633
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(74)【代理人】
【識別番号】100195534
【弁理士】
【氏名又は名称】内海 一成
(72)【発明者】
【氏名】湊山 海咲
(72)【発明者】
【氏名】中津 友里
(72)【発明者】
【氏名】小灘 聰一郎
(72)【発明者】
【氏名】安念 正人
【テーマコード(参考)】
2F056
5G352
5G369
【Fターム(参考)】
2F056VF02
5G352EA05
5G369AA16
5G369BA02
5G369BB01
5G369EA04
(57)【要約】
【課題】ケーブルの状態の診断結果の確度を高める表示方法、表示プログラム、及び診断装置を提供する。
【解決手段】表示方法は、第1時間におけるケーブル40の少なくとも1つの温度測定位置における温度の測定値を第1温度として取得することと、少なくとも1つの温度測定位置における第1温度を表示することと、少なくとも1つの温度測定位置の中で第1温度に基づいて第1条件が満たされる位置が存在する場合に、第1温度の表示のうち第1条件が満たされる位置に対応するように、第1条件が満たされる位置で前記ケーブルの状態が異常になっているかを判断するための情報として、第1態様の情報を表示することとを含む。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1時間におけるケーブルの少なくとも1つの温度測定位置における温度の測定値を第1温度として取得することと、
前記少なくとも1つの温度測定位置における前記第1温度を表示することと、
前記少なくとも1つの温度測定位置の中で前記第1温度に基づいて第1条件が満たされる位置が存在する場合に、前記第1温度の表示のうち前記第1条件が満たされる位置に対応するように、前記第1条件が満たされる位置で前記ケーブルの状態が異常になっているかを判断するための情報として、第1態様の情報を表示することと
を含む、表示方法。
【請求項2】
前記第1時間より前の第2時間における前記温度測定位置における温度の測定値を第2温度として取得することと、
前記第2温度から前記第1温度への変化に基づいて前記第1条件が満たされる場合に、前記第1温度の表示のうち前記第1条件が満たされる部分に対応するように前記第1態様の情報を表示することと
を更に含む、請求項1に記載の表示方法。
【請求項3】
前記第2温度から前記第1温度への変化を表す情報を表示することを更に含む、請求項2に記載の表示方法。
【請求項4】
前記第2温度から前記第1温度への変化を表す情報は、前記第1態様の情報を含む、請求項3に記載の表示方法。
【請求項5】
前記第1温度に基づいて第2条件が満たされる場合に、前記第1温度の表示のうち前記第2条件が満たされる部分に対応するように第2態様の情報を表示することを更に含む、請求項1に記載の表示方法。
【請求項6】
前記第1温度及び前記第2温度に基づいて危険度を算出することと、
前記第1温度の表示に対応するように前記危険度を表示することと
を更に含む、請求項2に記載の表示方法。
【請求項7】
前記危険度が第3条件を満たす場合に、前記第1温度の表示のうち前記第3条件が満たされる部分、又は、前記危険度の表示のうち前記第3条件が満たされる部分の少なくとも一方に対応するように前記第1態様の情報を表示することを更に含む、請求項6に記載の表示方法。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか一項に記載の表示方法をコンピュータに実行させる表示プログラム。
【請求項9】
請求項1から7までのいずれか一項に記載の表示方法を実行する制御部を備える診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示方法、表示プログラム、及び診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、海底ケーブルの温度と電流との経時的推移から海底ケーブルを取り囲む地面の熱抵抗を計算し、地面の熱抵抗から海底ケーブルの被覆高さを推定することによって海底ケーブルを監視する方法が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ケーブルの温度に基づいてケーブルの状態を診断するシステムにおいて、診断結果の確度を高めることが求められる。
【0005】
本開示は、上述の点に鑑みてなされたものであり、ケーブルの状態の診断結果の確度を高める表示方法、表示プログラム、及び診断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)幾つかの実施形態に係る表示方法は、第1時間におけるケーブルの温度測定位置における温度の測定値を第1温度として取得することと、前記第1温度を表示することと、前記第1温度に基づいて第1条件が満たされる場合に、前記第1温度の表示のうち前記第1条件が満たされる部分に対応するように第1態様の情報を表示することとを含む。温度の測定値の表示に第1態様の情報を対応づけて表示することによって、オペレータ又は監視要員等の人間がケーブルの状態を表す情報を把握しやすくなる。オペレータ又は監視要員等の人間がケーブルの状態を表す情報を把握しやすくなる結果、ケーブルの状態の診断結果の確度が高められる。
【0007】
(2)一実施形態に係る表示方法は、上記(1)において、前記第1時間より前の第2時間におけるケーブルの温度測定位置における温度の測定値を第2温度として取得することと、前記第2温度から前記第1温度への変化に基づいて前記第1条件が満たされる場合に、前記第1温度の表示のうち前記第1条件が満たされる部分に対応するように前記第1態様の情報を表示することとを更に含んでよい。温度の測定値の表示に第1態様の情報を対応づけて表示することによって、オペレータ又は監視要員等の人間は、温度の経時変化を表す情報を見なくても、温度の経時変化において表現されるケーブルの状態が異常である可能性が高いことを表す情報を把握できる。温度の測定値だけ表示すればよいので、表示の情報量が減らされる。表示の情報量が減らされることによって、同等の表示を行う際の表示画面のスペースが有効に活用される。
【0008】
(3)一実施形態に係る表示方法は、上記(2)において、前記第2温度から前記第1温度への変化を表す情報を表示することを更に含んでよい。ケーブルの温度測定位置における温度の経時変化そのものを表示することによって、オペレータ又は監視要員等の人間は、ケーブルの状態が異常であるかを診断するための判断材料を得られる。オペレータ又は監視要員等の人間が判断材料を得られる結果、ケーブルの状態の診断結果の確度が高められる。
【0009】
(4)一実施形態に係る上記(3)の表示方法において、前記第2温度から前記第1温度への変化を表す情報は、前記第1態様の情報を含んでよい。ケーブルの温度測定位置における温度の経時変化そのものを第1態様の情報として表示することによって、オペレータ又は監視要員等の人間は、ケーブルの状態が異常であるかを診断するための判断材料を得られる。オペレータ又は監視要員等の人間が判断材料を得られる結果、ケーブルの状態の診断結果の確度が高められる。
【0010】
(5)一実施形態に係る表示方法は、上記(1)から(4)までのいずれか1つにおいて、前記第1温度に基づいて第2条件が満たされる場合に、前記第1温度の表示のうち前記第2条件が満たされる部分に対応するように第2態様の情報を表示することを更に含んでよい。温度の測定値の表示に第1態様と異なる第2態様の情報を対応づけて表示することによって、オペレータ又は監視要員等の人間は、第1態様の情報が表示されている位置におけるケーブルの状態が異常になっている可能性よりも、第2態様の情報が表示されている位置におけるケーブルの状態が異常になっている可能性が低いことを容易に把握できる。ケーブルの状態が異常になっている可能性の高さに応じて表示の態様を異ならせることによって、オペレータ又は監視要員等の人間は、ケーブルの状態が異常であるかを診断するための判断材料を得られる。オペレータ又は監視要員等の人間が判断材料を得られる結果、ケーブルの状態の診断結果の確度が高められる。
【0011】
(6)一実施形態に係る表示方法は、上記(2)又は(3)において、前記第1温度及び前記第2温度に基づいて危険度を算出することと、前記第1温度の表示に対応するように前記危険度を表示することとを更に含んでよい。危険度を表示することによって、オペレータ又は監視要員等の人間は、ケーブルの状態が異常であるかを診断するための判断材料を得られる。オペレータ又は監視要員等の人間が判断材料を得られる結果、ケーブルの状態の診断結果の確度が高められる。
【0012】
(7)一実施形態に係る表示方法は、上記(6)において、前記危険度が第3条件を満たす場合に、前記第1温度の表示のうち前記第3条件が満たされる部分、又は、前記危険度の表示のうち前記第3条件が満たされる部分の少なくとも一方に対応するように前記第1態様の情報を表示することを更に含んでよい。温度の測定値の表示に危険度の高さに基づいて第1態様の情報を対応づけて表示することによって、オペレータ又は監視要員等の人間は、温度の経時変化を表す情報を見なくても、温度の経時変化において表現されるケーブルの状態が異常である可能性が高いことを表す情報を把握できる。温度の測定値だけ表示すればよいので、表示の情報量が減らされる。表示の情報量が減らされることによって、同等の表示を行う際の表示画面のスペースが有効に活用される。
【0013】
(8)幾つかの実施形態に係る表示プログラムは、上記(1)から(7)までのいずれか1つの表示方法をコンピュータに実行させる。
【0014】
(9)幾つかの実施形態に係る診断装置は、上記(1)から(7)までのいずれか1つの表示方法を実行する制御部を備える。
【発明の効果】
【0015】
本開示に係る表示方法、表示プログラム、及び診断装置によれば、ケーブルの状態の診断結果の確度が高められる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】比較例に係る温度の測定値の表示画面を示す図である。
【
図2】一実施形態に係る診断システムの構成例を示す模式図である。
【
図3】一実施形態に係る診断システムの構成例を示すブロック図である。
【
図5A】地中に埋設されているケーブルの例を示す断面図である。
【
図5B】海底にほぼ露呈しているケーブルの例を示す断面図である。
【
図6】温度トレンドを含む測定結果の表示画面の一例を示す図である。
【
図7】危険度トレンドを含む測定結果の表示画面の一例を示す図である。
【
図8】温度の測定値のうち条件が満たされる部分の表示態様を変更した表示画面の一例を示す図である。
【
図9】一実施形態に係る診断方法の手順例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示の一実施形態に係る診断システム1(
図2参照)は、洋上風力発電装置等に接続される海底ケーブルを診断の対象物として、海底ケーブルの状態を診断するために用いられる。以下、診断システム1の実施形態が、比較例と対比しながら説明される。
【0018】
(比較例)
【0019】
比較例として、対象物としての海底ケーブルの温度の測定値に基づいて海底ケーブルの状態を診断する手法が考えられる。
図1に示されるように、海底ケーブルの長手方向の位置毎に海底ケーブルの温度の測定値が得られたとする。
図1の横軸は、海底ケーブルの長手方向の位置を表す。縦軸は、各位置における海底ケーブルの温度の測定値を表す。
【0020】
図1のグラフは、A点、B点又はC点において温度の測定値が正常状態から逸脱していることを表す。正常状態から逸脱している点は、温度の測定値が所定範囲から外れている点を含んでよいし、温度の測定値が極大値又は極小値になっている点を含んでもよい。海底ケーブルの状態を監視するオペレータ又は監視要員等の人間は、海底ケーブルの各位置における温度の測定値のグラフを見て、温度の測定値が正常状態から逸脱している位置において海底ケーブルの状態が正常でない可能性があると診断できるものの、実際に異常であることを高い確度で診断することが難しい。また、その位置において海底ケーブルの状態が実際に異常であったとしても、オペレータ又は監視要員等の人間は、海底ケーブルの異常の種類を高い確度で診断することが難しい。
【0021】
そこで、本開示は、診断システム1において、対象物としてのケーブル40(
図2参照)の状態の診断結果の確度を高める表示方法、表示プログラム及び診断装置10(
図2参照)を説明する。
【0022】
(本開示の実施形態)
図2に示されるように、一実施形態に係る診断システム1は、診断装置10と、温度測定装置20と、表示装置30とを備える。診断システム1は、オペレータ又は監視要員等の人間がケーブル40の状態を診断するために必要な情報を提供する。また、診断システム1は、オペレータ又は監視要員等の人間がケーブル40の状態を診断するために必要な情報を提供するだけでなく、取得した情報に基づいて診断システム1自身でケーブル40の状態を診断してもよい。
【0023】
本実施形態において、ケーブル40は、洋上風力発電装置70で発電した電力の陸上82への輸送、若しくは、洋上風力発電装置70と陸上82の診断装置10等の設備との間での通信、又は、他の種々の用途で用いられるために、海底81を通るように地中80に埋設されている海底ケーブルであるとする。ケーブル40が電力を輸送する先、又は、ケーブル40が通信で接続される先は陸上82の設備に限られず海上又は海中等の設備であってもよい。
【0024】
ケーブル40は、海底81の凹凸によって、地中80に埋設されている部分と、地中80から海中84に露呈している部分、又は、露呈に近づいている部分とを含む。ケーブル40が地中80から海中84に露呈したり露呈に近づいたりする原因は、海底81が掘れていること、又は、ケーブル40が浮かび上がっていることを含む。地中80に埋設されている部分は、埋設部分51及び埋設部分53として例示されている。地中80から海中84に露呈している部分は、露呈部分52として例示されている。ケーブル40は、海中84に露呈していないものの地中80への埋設深さが浅くなっている部分を含む。地中80への埋設深さが浅くなっている部分は、浅埋設部分54として例示されている。海底81からケーブル40が完全に露呈した状態、ケーブル40の一部が露呈している状態、又は、ケーブル40の露呈には至らないがケーブル40の上に本来あるべき土砂の厚みが低減している状態が、埋設異常とみなされ、温度測定によって検出されてよい。ケーブル40の露呈には至らないがケーブル40の上に本来あるべき土砂の厚みが低減している状態は、例えば、ケーブル40の上の土砂の厚みが本来2mであるべきにもかかわらず、土砂の厚みが1mに半減している又は数十cmにまで減少している等の、ケーブル40が露呈に近づいている状態を含む。
【0025】
露呈部分52又は浅埋設部分54は、海底81が海流で削られる洗掘という現象又は船舶の錨若しくは漁具の引きずりなどで海底81の形状が凹部になることによって生じることがある。露呈部分52又は浅埋設部分54は、地震等による海底81の変動によってケーブル40が浮き上がることによって生じることもある。
【0026】
ケーブル40は、洋上風力発電装置70に接続するために地中80から海中84に引き出される部分を含む。地中80から海中84に引き出される部分は、境界部分55として例示されている。
【0027】
海底ケーブルは、露呈部分52又は浅埋設部分54に対する漁具又は錨等の衝突によって屈曲したり破損したりしやすくなる。オペレータ又は監視要員等の人間は、診断システム1から提供される情報に基づいて、海底ケーブルが海中84に露呈している状態又は露呈に近い状態になっているか診断してよい。また、診断装置10が診断装置10自身で取得した情報に基づいて海底ケーブルが海中84に露呈している状態又は露呈に近い状態になっているか診断してよい。
【0028】
海底ケーブルの温度は、地中80に埋設されている場合と、海中84に露呈している場合又は海中84にほぼ露呈している場合とで異なる。そこで、本実施形態に係る診断システム1において、温度測定装置20は、ケーブル40の少なくとも一部の温度を測定する。表示装置30は、ケーブル40の各部の温度の測定値等の情報を表示する。オペレータ又は監視要員等の人間は、表示装置30に表示された情報に基づいて、ケーブル40の状態として、ケーブル40が地中80に埋設されているか海中84に露呈しているか、又は、露呈する可能性が高くなっているかを診断する。オペレータ又は監視要員等の人間は、ケーブル40の埋設状態だけでなく、ケーブル40における発熱の状態を診断してもよい。
【0029】
(診断システム1の構成例)
以下、
図3に例示される診断システム1の構成例が説明される。
【0030】
<診断装置10>
診断装置10は、後述するように、温度測定装置20によって測定したケーブル40の各部の温度を表示装置30に表示する。また、診断装置10は、ケーブル40の各部の温度に基づく条件が満たされた場合に、条件が満たされた部分をオペレータ又は監視要員等の人間が判別可能な態様の情報をケーブル40の各部の温度とともに表示装置30に表示する。以下、オペレータ又は監視要員等の人間は、単に人間とも称される。診断装置10は、表示した内容に基づいてケーブル40の各部の状態が異常であるかを診断してもよい。診断装置10は、制御部12と、記憶部14と、インタフェース16とを備える。
【0031】
制御部12は、診断装置10の各構成部を制御する。制御部12は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを含んで構成されてよい。制御部12は、プロセッサに所定のプログラムを実行させることによって所定の機能を実現してもよい。
【0032】
記憶部14は、制御部12の動作に用いられる各種情報、又は、制御部12の機能を実現するためのプログラム等を格納してよい。記憶部14は、制御部12のワークメモリとして機能してよい。記憶部14は、例えば半導体メモリ等で構成されてよい。記憶部14は、揮発性メモリ又は不揮発性メモリを含んで構成されてよい。記憶部14は、非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体として構成されてもよい。記憶部14は、制御部12に含まれてもよい。
【0033】
記憶部14は、ケーブル40の埋設時の情報を格納してよい。ケーブル40の埋設時の情報は、ケーブル40が正常に埋設された際のケーブル40の埋設位置又は埋設深さを含んでよい。ケーブル40の埋設時の情報は、ケーブル40が正常に埋設された直後、又は、ケーブル40のメンテナンスが正常に行われた直後において、ケーブル40に電流が流れていないときのケーブル40の各部の温度の測定値を含んでよい。ケーブル40の埋設時の情報は、ケーブル40を埋設した場所の地質に関する情報を含んでよい。地質に関する情報は、地中種別又は地中熱伝導率を含んでよい。記憶部14は、ケーブル40の埋設後の情報を格納してよい。ケーブル40の埋設後の情報は、ケーブル40に電流が流れているときのケーブル40の各部の温度の測定値を含んでよい。ケーブル40の埋設後の情報は、ケーブル40に流れる電流の大きさと、ケーブル40に印加される電圧の大きさと、ケーブル40の各部の温度とを関連づけたデータを含んでよい。記憶部14は、ケーブル40における温度測定の特性を含んでもよい。
【0034】
インタフェース16は、診断装置10を、温度測定装置20又は表示装置30等と通信可能に接続する通信デバイスを含んで構成される。通信デバイスは、例えば4G(4th Generation)若しくはLTE(Long Term Evolution)又は5G(5th Generation)等の移動体通信規格に基づいて通信可能に構成されてよい。通信デバイスは、例えばLAN(Local Area Network)の通信規格に基づいて通信可能に構成されてよい。通信デバイスは、有線又は無線で通信可能に構成されてよい。
【0035】
インタフェース16は、表示デバイスを含んで構成されてよい。表示デバイスは、例えば液晶ディスプレイ等の種々のディスプレイを含んでよい。インタフェース16は、スピーカ等の音声出力デバイスを含んで構成されてよい。インタフェース16は、これらに限られず、他の種々の出力デバイスを含んで構成されてよい。
【0036】
インタフェース16は、ユーザからの入力を受け付ける入力デバイスを含んで構成されてよい。入力デバイスは、例えば、キーボード又は物理キーを含んでよいし、タッチパネル若しくはタッチセンサ又はマウス等のポインティングデバイスを含んでよい。インタフェース16は他の計算機又は診断装置10を含んで構成されてもよい。入力デバイスは、これらの例に限られず、他の種々のデバイスを含んで構成されてよい。入力デバイスは、診断装置10でケーブル40の状態を診断するためのパラメータ等を入力可能に構成されてよい。
【0037】
診断装置10は、PC(Personal Computer)として構成されてよいし、少なくとも1台のサーバ装置として構成されてよい。診断装置10は、クラウドコンピューティングのシステムで実現されてもよい。
【0038】
<温度測定装置20>
温度測定装置20は、ケーブル40の少なくとも一部の温度を測定する。ケーブル40の中で温度測定装置20が温度を測定する対象とする部分は、測定対象部分とも称される。診断システム1によって長大なケーブル40の全体の埋設状況又は断線状況等を診断するために、ケーブル40の中の数百点又は数千点以上の多数の部分の温度が測定される必要がある。測定対象部分は、ケーブル40の長手方向に沿って、例えば1m間隔等の所定の間隔で設定されてよいし、不定間隔で設定されてもよい。本実施形態において、ケーブル40は、
図4に例示されるように、電力線41と光ファイバ42と被覆43とを備えるとする。電力線41及び光ファイバ42は、被覆43の内部で保護されている。本実施形態において、温度測定装置20は、光ファイバ42を利用してケーブル40の長手方向の各部の温度を測定する。温度測定に用いられる光ファイバ42は、DTS(Distributed Temperature Sensor)とも称される。
【0039】
具体的に、温度測定装置20は、光ファイバ42にパルス光を送信する。光ファイバ42に入射したパルス光は、光ファイバ42の種々の位置においてラマン散乱によって散乱される。ラマン散乱によって散乱されて生じる光は、ラマン散乱光とも称される。ラマン散乱光の少なくとも一部は、光ファイバ42の入射側に戻る。温度測定装置20は、ファイバの入射側に戻ってくるラマン散乱光に基づく信号を取得する。
【0040】
ラマン散乱光は、入射したパルス光の波長から長波長側にシフトしたストークス光と、入射したパルス光の波長から短波長側にシフトしたアンチストークス光とを含む。ラマン散乱光の各成分の強度は、ラマン散乱が起こった位置における光ファイバ42の温度に依存する。温度測定装置20は、反射によって戻ってきたラマン散乱光を解析することによってその光信号が散乱された位置における光ファイバ42の温度を算出できる。また、温度測定装置20は、光信号を送信してから反射によって光信号が戻ってくるまでの時間に基づいて、受信した光信号が反射された位置を算出できる。したがって、温度測定装置20は、光ファイバ42の各位置における光ファイバ42の温度を算出できる。
【0041】
光ファイバ42の各部の温度は、光ファイバ42の各部に対応するケーブル40の各部の温度と略一致するとみなされる。温度測定装置20は、光ファイバ42の各部の温度を測定することによって、ケーブル40の各部の温度を測定できる。本実施形態において、1m間隔でケーブル40の各部の温度が測定されるとする。温度を測定する間隔は、1mに限られず、種々の長さに設定されてよい。
【0042】
温度測定装置20は、ケーブル40の温度の測定対象部分のそれぞれに設置された温度センサによってケーブル40の各部の温度を測定するように構成されてよい。温度センサは、ケーブル40の被覆43の外側に取り付けられてもよいし、被覆43の内部に埋め込まれてもよい。温度センサは、ケーブル40の接続部に取り付けられてもよい。
【0043】
温度測定装置20は、光ファイバ42を利用した測定方式、又は、温度センサを利用した測定方式に限られず、他の種々の方式でケーブル40の各部の温度を測定するように構成されてよい。
【0044】
<表示装置30>
表示装置30は、人間がケーブル40の状態を診断するために必要な情報を表示する。表示装置30は、ケーブル40の少なくとも一部の温度の測定結果、又は、温度の測定結果の時間変化等を含む種々のデータを表示してよい。表示装置30は、例えば液晶ディスプレイ等の種々のディスプレイを含んでよい。表示装置30は、診断装置10のインタフェース16の表示デバイスとして診断装置10に含まれてもよい。
【0045】
(診断システム1の動作例)
上述したように、本実施形態に係る診断システム1において、診断装置10は、診断の対象物であるケーブル40の各部の温度の測定値を表示装置30に表示する。ケーブル40の各部の温度の測定値は、例えば、ケーブル40の延伸方向に設定された複数の温度測定位置のそれぞれにおける温度の測定値を含む。ケーブル40の複数の温度測定位置は、例えば1m間隔等の所定の間隔で設定されてよいし、不定間隔で設定されてもよい。
【0046】
ここで、ケーブル40の各温度測定位置の温度が上昇又は低下していることだけで、ケーブル40の各温度測定位置における状態が異常な状態に変化していると確定的に診断することができない。そこで、本実施形態に係る診断システム1において、診断装置10は、ケーブル40の各温度測定位置における温度に基づく条件が満たされた場合に、条件が満たされた温度測定位置の(付加)情報をケーブル40のその温度測定位置の温度とともに、人間が視認可能な態様で表示装置30に表示する。人間は、表示装置30に表示された情報に基づいて、ケーブル40の各温度測定位置における状態を診断できる。つまり、診断装置10は、人間がケーブル40の各温度測定位置における状態を診断するための情報を提供できる。診断装置10は、診断装置10自身でケーブル40の各温度測定位置における状態を診断してもよい。
【0047】
例えば
図5A及び
図5Bに示されるように、ケーブル40の地中80の埋設深さに応じてケーブル40から海中84に伝わる熱量が異なる。
図5Aに例示されるように、ケーブル40が地中80の深くに埋設されている場合、海中84の海流85によってケーブル40から奪われる熱量は少なくなる。一方で、
図5Bに例示されるように、ケーブル40が地中80から海中84に露呈しそうになっている場合、又は、ケーブル40が海中84に露呈している場合、海中84の海流85のうちケーブル40に近い一部の海流86によってケーブル40から奪われる熱量が多くなる。ケーブル40の埋設異常によってケーブル40上の土砂が低減することによってケーブル40が海水に近くなったり海水に触れたりする。ケーブル40が海水に近くなったり海水に触れたりすることによってケーブル40は海水に熱を奪われる。ケーブル40が海水に熱を奪われることによって、ケーブル40のうち海水に近くなったり海水に触れたりしている部分の温度は、ケーブル40が正常に埋設されている部分の温度よりも相対的に低くなる。したがって、ケーブル40の診断対象部分の温度が低くなっている部分は、海水に熱を奪われており、ケーブル40上の土砂量が低減している埋設異常の状態になっていると判断される。
図5Aと
図5Bとの比較において、ケーブル40の埋設位置が海中84に近いほど、その埋設位置におけるケーブル40の温度が低くなる。したがって、人間又は診断装置10は、ケーブル40の各部の温度の測定値に基づいて、ケーブル40の各部の埋設位置を診断できる。
【0048】
また、ケーブル40が屈曲したり破損したりしている場合、ケーブル40の電力線41の抵抗値が増大し得る。電力線41の抵抗値の増大によって屈曲部又は破損部の発熱量が増大する。ケーブル40の中で発熱量が増大した部分の温度は高くなる。人間又は診断装置10は、ケーブル40の各部の温度に基づいて、ケーブル40の各部で生じている屈曲又は破損等の異常を診断できる。
【0049】
人間又は診断装置10は、ケーブル40の埋設位置の異常、又は、ケーブル40の屈曲若しくは破損等の異常に限られず、ケーブル40の他の種々の状態を診断できる。以下、人間がケーブル40の状態を診断するための情報を診断システム1が提供する動作例が説明される。
【0050】
<温度の測定値の表示>
診断装置10の制御部12は、第1時間におけるケーブル40の各温度測定位置における温度の測定値を温度測定装置20から取得する。第1時間におけるケーブル40の各温度測定位置における温度の測定値は、第1温度とも称される。言い換えれば、制御部12は、第1時間におけるケーブル40の少なくとも1つの温度測定位置における温度である第1温度を取得してよい。第1時間は、制御部12がケーブル40の状態を監視するための情報を生成するために稼働している期間の中の任意の時間であってよい。
【0051】
制御部12は、第1温度を表示装置30に表示する。制御部12は、ケーブル40の複数の位置における第1温度を取得し、第1温度の分布を表示装置30に表示してもよい。制御部12は、第1温度の分布を、例えば
図6において実温度として示されるグラフで表示してよい。実温度のグラフの縦軸は第1温度を表す。横軸は温度測定装置20からケーブル40の温度測定地点までの距離を表す。ケーブル40の温度測定地点までの距離は、ケーブル40の長手方向の位置に対応する。言い換えれば、制御部12は、第1時間におけるケーブル40の少なくとも1つの温度測定位置における温度である第1温度を表示してよい。
【0052】
制御部12は、ケーブル40の各部の温度の測定値の経時変化を表示装置30に表示してもよい。制御部12は、第1時間より前の第2時間におけるケーブル40の各部の温度の測定値を取得してよい。ここで、制御部12は、ケーブル40の各部の温度の測定値を所定の時間間隔で取得する。所定の時間間隔は、例えば1分単位、1時間単位、1日単位、1週間単位、1か月単位、又は、1年単位等の種々の長さに設定されてよい。第1時間は、現在のケーブル40の状態を監視するための現在のケーブル40の各部の温度の測定値を取得した時間に相当する。第2時間は、現在のケーブル40の状態を監視するために用いられる過去のケーブル40の各部の温度の測定値を取得した時間に相当する。したがって、第2時間は、第1時間よりも所定の時間間隔に対応する時間だけ前の時間に相当してよい。所定の時間間隔が一定である場合、第2時間は、第1時間よりも所定の時間間隔の自然数倍だけ前の時間に相当してもよい。第2時間におけるケーブル40の各部の温度の測定値は、第2温度とも称される。制御部12は、第1時間より前の複数の第2時間のそれぞれにおけるケーブル40の各部の温度の測定値を取得してよい。つまり、制御部12は、複数の第2時間における温度を複数の第2温度として取得してよい。
【0053】
制御部12は、第2温度に対応する表示と第1温度に対応する表示とを並べることによって、ケーブル40の各部の温度の測定値の経時変化を表示装置30に表示してよい。制御部12は、ケーブル40の各部の温度の測定値の経時変化を、例えば
図6においてグレースケールで描かれた画像として表示してよい。温度の測定値の経時変化を表す画像は、温度トレンドとも称される。温度の測定値の経時変化を表す画像は、ある時間におけるケーブル40のある位置における温度の測定値をグレースケールで表す画素を含む。画像に含まれる各行の画素(左右方向に並ぶ画素)は、各時間におけるケーブル40の各部の温度の測定値を表す。各行は、下から上に向かって過去から現在に近づく時間に対応する。画像の各行の画素に対応する時間の範囲(画像として表示される時間の範囲)は、例えば直近1時間、直近24時間(1日)、又は直近1週間等の種々の範囲に設定されてよい。画像として表示される時間の範囲内でケーブル40の各位置の温度がどのように変化しているか、又は、どれくらいの期間にわたって変化が続いているか等が把握される。言い換えれば、
図6の画像に含まれる矩形状のパターンは、そのパターンに対応するケーブル40の位置における温度の測定値が周囲の測定値に対して異なっている状態が継続する時間を縦方向の長さとして表す、棒グラフに類する態様で表示されたものに相当する。画像に含まれる各列の画素(上下方向に並ぶ画素)は、ケーブル40の温度測定位置に対応する、温度測定装置20からケーブル40の温度測定地点までの距離を表す。各列は、温度測定装置20からケーブル40の温度測定地点までの距離に応じて並んでおり、ケーブル40の長手方向の位置に対応する。
図6の表示において、ケーブル40の各部の温度の測定値を表すグラフに、ケーブル40の各部の温度の経時変化を表す温度トレンドが対応づけられている。
【0054】
図6の画像において、B点に対応する位置に表示されている白に近い色の矩形状のパターン61は、周囲より温度が高くなった状態の継続時間が短いこと(現在温度の継続時間が短いこと)を表している。また、C点に対応して位置する黒に近い色の三角形状のパターン62は、周囲より温度が低くなった状態の継続時間が短いもののB点に対応する位置にくらべれば継続時間が長いことを表している。また、A点に対応して位置する黒に近い色の矩形状のパターン63は、少なくとも画像によって表示されている範囲の時間帯において、周囲より温度が低い状態の継続時間が長いこと(現在温度の継続時間が長いこと)を表している。人間は、パターン61に対応するB点について、突発的な異常が生じていると診断してよい。人間は、パターン62に対応するC点について、徐々に進行する異常が生じていると診断してよい。人間は、パターン63に対応するA点について、異常な状態ではなく、定常的にケーブル40の特定の部分の温度が低くなる要因が存在する正常な状態であると診断してよい。ケーブル40の温度測定位置における温度の経時変化そのものを表示することによって、人間は、ケーブル40の状態が異常であるかを診断するための判断材料を得られる。人間が判断材料を得られる結果、ケーブル40の状態の診断結果の確度が高められる。
【0055】
<危険度の表示>
制御部12は、ケーブル40の各部においてケーブル40の埋設状況に異常が発生している等のケーブル40の各部の状態を表す値を算出してよい。埋設異常の発生によって海底81から露呈したケーブル40の一部が錨等に引っ掛かって破損する等、設備の運用、又は、設備周辺での活動における事故若しくは危険事象の発生の原因となる可能性もある。そのため、ケーブル40の各部の状態を表す値は、危険度とも称される。制御部12は、第1温度に基づいてケーブル40の各部の危険度を算出してよい。制御部12は、ケーブル40の診断対象部分の状態が異常に近いほど、診断対象部分の危険度の値を大きい値で算出する。制御部12は、診断対象部分の状態が正常に近いほど危険度の値を小さい値で算出する。危険度の値は、0以上かつ1以下の範囲で正規化した値として算出されてよい。診断対象部分は、ケーブル40の中の任意の一部分に対応する。
【0056】
制御部12は、ケーブル40の診断対象部分が十分に地中80の深い位置に埋設されている正常な状態である場合にケーブル40の診断対象部分の状態を表す危険度の値を1として算出し、ケーブル40の診断対象部分が埋設されている位置が浅くなるほど危険度の値が1よりも大きい値になるように危険度を算出してもよい。危険度の値の表現は、これらの例に限られない。ケーブル40の状態の危険の程度が把握されるのであれば、危険度の値は、パーセンテージ等を含め、自由に表現されてよい。
【0057】
以下の説明において、危険度の値は、0以上かつ1以下の範囲で正規化した値、かつ、ケーブル40診断対象部分の状態が正常に近いほど0に近く、ケーブル40の診断対象部分の状態が異常に近いほど1に近い値として表されるとする。制御部12は、例えば、ケーブル40がまだ埋設されているものの埋設位置が浅くなって海中84への露呈に近づいていることに対応して、危険度の値を0.5以上の値で算出してよい。制御部12は、例えば、ケーブル40の診断対象部分の埋設深さが50cm程度になったときに危険度が0.5になるように危険度を算出してよい。制御部12は、例えば、ケーブル40が海中84に露呈していることに対応して、危険度の値を0.95以上の値で算出してよい。制御部12がケーブル40の異常等の状態に応じた危険度の値として算出した0.5又は0.95等の数値は、これらの数値に限られない。制御部12は、ケーブル40の異常等の状態に応じた危険度の値を適宜設定してよい。
【0058】
制御部12は、例えば、ケーブル40が屈曲したり破損したりしている状態に対応して危険度を大きい値で算出してもよい。制御部12は、例えば、ケーブル40のある位置の抵抗値が高いほどその位置の危険度を大きい値で算出してもよい。
【0059】
制御部12は、第1時間においてケーブル40の温度測定位置で測定した温度である第1温度、及び、第1時間よりも前の第2時間においてケーブル40の温度測定位置で測定した温度である第2温度の両方に基づいて危険度を算出してもよい。制御部12は、第2温度から第1温度への変化量、つまり、第2時間における温度から第1時間における温度への変化量に基づいて危険度を算出してもよい。制御部12は、ケーブル40のある部分の危険度を、その部分の第1温度とその周囲の部分の第1温度との比較に基づいて算出してもよい。制御部12は、例えば、周囲よりも第1温度が高くなったり低くなったりしている部分の危険度を大きい値で算出してよい。
【0060】
制御部12は、ケーブル40のある部分の危険度を、その部分の温度の変化量とその周囲の部分の温度の変化量との比較に基づいて算出してもよい。制御部12は、例えば、周囲よりも温度の変化量が大きい部分の危険度を大きい値で算出してよい。
【0061】
制御部12は、ケーブル40の各部の温度の測定値に基づいて算出した危険度を表示装置30に表示してもよい。制御部12は、例えば
図6において危険度として示されるグラフで、第1温度の表示に対応するように危険度を表示してよい。危険度のグラフの縦軸は危険度を表す。横軸は温度測定装置20からケーブル40の温度測定地点までの距離、つまりケーブル40の長手方向の位置を表す。危険度のグラフにおいて実線で表されるデータは、ケーブル40の各部の温度の実際の測定値に基づいて算出した危険度を表す。危険度のグラフにおいて破線で表されるデータ93は、計算又は機械学習等によって将来の危険度を予測した結果を表す。このように、ケーブル40の各部の温度の実際の測定値に基づく危険度と危険度の予測結果とを照らし合わせるようにグラフが表現されてもよい。
【0062】
制御部12は、ケーブル40の各部の温度の測定値と、ケーブル40の各部の温度の経時変化を表す画像とを、ケーブル40の長手方向の位置を対応づけるように並べて表示してよい。制御部12は、ケーブル40の各部の温度の測定値と、ケーブル40の各部の危険度とを、ケーブル40の長手方向の位置を対応づけるように並べて表示してよい。制御部12は、ケーブル40の各部の温度の測定値と、ケーブル40の各部の温度の経時変化を表す画像と、ケーブル40の各部の危険度とを、ケーブル40の長手方向の位置を対応づけるように並べて表示してよい。つまり、制御部12は、ケーブル40の各部の温度の測定値と、温度の経時変化又は危険度の少なくとも一方とを対応づけるように並べて表示してよい。
【0063】
制御部12は、
図7に例示されるように、温度の経時変化を表す画像を表示せず、危険度の経時変化を表す画像を表示してよい。危険度の経時変化を表す画像は、危険度トレンドとも称される。
図7の危険度の経時変化を表す画像は、ある時間におけるケーブル40のある位置の危険度の大きさをグレースケールで表す画素を含む。画像に含まれる各行の画素(左右方向に並ぶ画素)は、各時間におけるケーブル40の各部の温度の測定値を表す。各行は、下から上に向かって過去から現在に近づく時間に対応する。画像に含まれる各列の画素(上下方向に並ぶ画素)は、ケーブル40の温度測定位置に対応する、温度測定装置20からケーブル40の温度測定地点までの距離を表す。各列は、温度測定装置20からケーブル40の温度測定地点までの距離に応じて並んでおり、ケーブル40の長手方向の位置に対応する。
図7の表示において、ケーブル40の各部の温度の測定値を表すグラフに、ケーブル40の各部の危険度を表す危険度トレンドが対応づけられている。
【0064】
図7の画像において、B点に対応して位置する黒に近い色の矩形状のパターン71は、現在時間に近い時間から急に危険度が高くなったことを表している。また、C点に対応して位置する黒に近い色の三角形状のパターン72は、時間の経過とともに危険度が高い範囲が広がっていることを表している。一方で、A点に対応する部分においては、温度に変化があるにも関わらず、危険度が高くなっていることを表すパターンは見られない。通常は埋設されているものが、埋設度合いが低減、あるいはケーブル40が露呈した場合、通常時(過去の正常に埋設されている時の温度)と異常時(現時点の温度)で温度が異なるためである。また、異常があると判定されそうな部分又は異常の可能性があると判定されそうな部分について、現時点での温度が高い値又は低い値を示したとしても(A点に対応する部分については低い値を示したとしても)、過去に遡ってもずっと同じ高い温度又は低い温度が継続している場合(A点に対応する部分については低い温度が継続している場合)、例えば元々埋設されていない箇所である等であり、異常には当たらない(危険はない)と判定するためである。人間は、パターン71に対応するB点について、突発的な異常が生じていると診断してよい。人間は、パターン72に対応するC点について、徐々に進行する異常が生じていると診断してよい。人間は、特徴的なパターンが見られないA点について、異常な状態ではなく、定常的にケーブル40の特定の部分の温度が低くなる要因が存在する正常な状態であると診断してよい。危険度を表示することによって、人間は、ケーブル40の状態が異常であるかを診断するための判断材料を得られる。人間が判断材料を得られる結果、ケーブル40の状態の診断結果の確度が高められる。
【0065】
<付加表示>
制御部12は、
図8に例示されるように、温度分布のグラフだけを見ても人間が読み取ることができない情報を温度分布のグラフにおいて付加するように、異なる態様で表示される情報を表示してよい。制御部12は、例えば、B点について温度分布のグラフだけ見ても人間が読み取ることができない情報として、B点における現在温度の継続時間が短いことを表す第1マーク91を付加情報としてグラフのB点に重畳することによって、B点の温度に付加情報を対応づけて表示してよい。制御部12は、例えば、C点について温度分布のグラフだけ見ても人間が読み取ることができない情報として、C点における現在温度の継続時間が短いもののB点における現在温度の継続時間より長いことを表す第2マーク92を付加情報としてグラフのC点に重畳することによって、C点の温度に付加情報を対応づけて表示してよい。つまり、第1マーク91及び第2マーク92は、ケーブル40の各点における現在温度の継続時間の長さに応じた態様で表示されてよい。例えば、第1マーク91は、第2マーク92よりも濃い色で表示されることによって、第1マーク91に対応する点の現在温度の継続時間が第2マーク92に対応する点の現在温度の継続時間よりも短いことを表現してよい。
【0066】
第1マーク91は、第1態様の情報とも称される。第2マーク92は、第2態様の情報とも称される。第1態様の情報及び第2態様の情報は、第1態様の情報を対応づけて表示した位置の危険度が第2態様の情報を対応づけて表示した位置の危険度よりも高いことを表してよい。
【0067】
付加情報は、人間が危険度トレンドを見て読み取ることができる情報を表してもよい。温度分布のグラフに第1態様の情報又は第2態様の情報等の付加情報を重畳することによって、温度に付加情報を対応づけて表示することによって、温度トレンド又は危険度トレンドを表示しなくても、人間が温度トレンド又は危険度トレンドを見て読み取ることができる情報を温度分布のグラフだけを見て把握できる。温度トレンド又は危険度トレンドを表示しなくてもよいことによって、表示の情報量が減らされる。表示の情報量が減らされることによって、同等の表示を行う際の表示画面のスペースが有効に活用される。また、温度の測定値のグラフの表示の解像度が高められる。
【0068】
制御部12は、第1態様の情報である第1マーク91を表示するかを所定の条件に基づいて判定してよい。第1態様の情報の表示を判定する所定の条件は、第1条件とも称される。制御部12は、例えば、ある地点の温度が所定範囲から外れている状態の継続時間が所定時間未満であることを第1条件として判定してよい。制御部12は、例えば、ある地点の温度とその周囲の地点の温度との差が所定範囲から外れている状態の継続時間が所定時間未満であることを第1条件として判定してよい。制御部12は、第1温度に基づいて第1条件が満たされる場合に、第1温度の表示のうち第1条件が満たされる部分に対応するように第1態様の情報を表示してよい。言い換えれば、制御部12は、少なくとも1つの温度測定位置の中で第1温度に基づいて第1条件が満たされる位置が存在する場合に、第1温度の表示のうち第1条件が満たされる位置に対応するように、第1条件が満たされる位置で第1態様の情報を表示してよい。制御部12は、第1態様の情報を、ケーブル40の状態が異常になっているかを判断するための情報として表示してよい。
【0069】
制御部12は、例えば、ある地点の温度の単位時間当たりの変化量が所定範囲から外れることを第1条件として判定してよい。つまり、制御部12は、温度の急変度合い(変化した温度の継続時間情報)等を人間が認識できるような態様で表示装置30に表示できるように第1条件を設定してよい。制御部12は、過去の第2温度から現在の第1温度への変化に基づいて第1条件が満たされる場合に、第1温度の表示のうち第1条件が満たされる部分に対応するように第1態様の情報を表示してよい。
【0070】
制御部12は、第2態様の情報である第2マーク92を表示するかを所定の条件に基づいて判定してよい。第2態様の情報の表示を判定する所定の条件は、第2条件とも称される。制御部12は、第1条件で設定されている所定範囲を広くした条件、又は、所定時間を長くした条件を第2条件として判定してよい。制御部12は、逆に、第1条件で設定されている所定範囲を狭くした条件、又は、所定時間を短くした条件を第2条件として判定してもよい。制御部12は、第1条件と異なる条件を第2条件として設定してもよい。制御部12は、第1温度に基づいて第2条件が満たされる場合に、第1温度の表示のうち第2条件が満たされる部分に対応するように第2態様の情報を表示してよい。制御部12は、過去の第2温度から現在の第1温度への変化に基づいて第2条件が満たされる場合に、第1温度の表示のうち第2条件が満たされる部分に対応するように第2態様の情報を表示してよい。
【0071】
制御部12は、危険度が所定の条件を満たした場合に、第1態様又は第2態様の情報を表示すると判定してもよい。危険度に基づいて第1態様又は第2態様の情報の表示を判定するための所定の条件は、第3条件とも称される。制御部12は、例えば、危険度が所定値以上になったことを第3条件として判定してよい。具体的に、制御部12は、危険度が0.95以上であるときに第1態様の情報を表示するように第3条件を設定してよい。制御部12は、危険度が0.5以上かつ0.95未満であるときに第2態様の情報を表示するように第3条件を設定してよい。制御部12が危険度の値に基づいて判定するための基準値とする0.5又は0.95等の値は、これらの値に限られない。制御部12は、基準値を適宜他の値に設定してよい。制御部12は、危険度が第3条件を満たす場合に、第1温度の表示のうち第3条件が満たされる部分に対応するように第1態様又は第2態様の情報を表示してよい。制御部12は、危険度が第3条件を満たす場合に、危険度の表示のうち第3条件が満たされる部分に対応するように第1態様又は第2態様の情報を表示してよい。制御部12は、危険度が第3条件を満たす場合に、第1温度の表示のうち第3条件が満たされる部分、又は、危険度の表示のうち第3条件が満たされる部分の少なくとも一方に対応するように第1態様の情報を表示してよい。制御部12は、危険度が第3条件を満たす場合に、第1温度の表示のうち第3条件が満たされる部分、又は、危険度の表示のうち第3条件が満たされる部分の少なくとも一方に対応するように第2態様の情報を表示してよい。
【0072】
例えば、
図6、
図7及び
図8のA点の温度は、周囲の点の温度よりも低い。しかし、A点は、例えば、消波ブロック等でケーブル40を保護している部分であり、埋設状態が変化したことにより温度が低下したポイントではない。温度が元々低く、変化が発生していないポイントである。したがって、A点は、埋設データから異常でないと判断される場所であってよい。また、A点は、ケーブル40の敷設時から海底81に露呈されている風車近辺又は地上近辺等であってもよい。つまり、ケーブル40のうち常に海底81に露呈している部分、又は、何らかの理由で意図的に海中84に露呈されている部分は、人間がケーブル40の状態を診断するために知りたい、元の埋設状態から変化している部分に該当しない。
【0073】
また、
図6、
図7及び
図8のB点の温度は、周囲の点の温度よりも高く、かつ、急激に上昇している。この場合、B点の温度の表示は、ケーブル40の絶縁不良等による異常、又は、他の種々の要因でケーブル40がダメージを受けたことによる異常が生じている可能性を示している。制御部12は、温度の変化量を算出するための時間間隔を適宜設定してよい。制御部12は、人間が温度の経時変化を認識しやすくなるための第1態様の情報を表示装置30に表示できるように第1条件を設定してよい。
【0074】
また、
図6、
図7及び
図8のC点の温度は、周囲の点の温度よりも低く、かつ、現在時間に近い過去の時間から徐々に低下し始めている。この場合、C点の状態は、A点のような定常的な状態と異なり、徐々に変化している。例えば、C点の表示は、C点におけるケーブル40の埋設位置が徐々に浅くなってきていることを示す。また、C点の表示において温度が低下している範囲が徐々に広がっていることから、洗掘の可能性が疑われる。C点のように徐々に状態が変化する点において、実際にケーブル40がダメージを受けているわけではない。よって、人間は、調査又は補修のスケジュールを立ててC点の異常に対応できる。
【0075】
図8の例において、制御部12は、現在温度の継続時間が所定時間未満である点に重畳する第1態様の情報と、現在温度の継続時間が短いものの所定時間以上である点に重畳する第2態様の情報とを、異なる形状で表示している。つまり、第1態様の情報及び第2態様の情報は、
図8に例示されるように形状を異ならせた表示によって区別されてよい。制御部12は、第1態様の情報と第2態様の情報とを、異なる色度、明度又は彩度で表示してよい。第1態様の情報及び第2態様の情報は、例えば色を異ならせた表示によって区別されてよい。第1態様の情報は、例えば赤色等で表示されてよい。第2態様の情報は、例えばオレンジ色又は黄色等で表示されてよい。第1態様の情報及び第2態様の情報は、例えば色の濃淡を異ならせた表示によって区別されてよい。第1態様の情報は、例えば濃い色で表示されてよい。第2態様の情報は、例えば淡い色で表示されてよい。制御部12は、第1態様の情報と第2態様の情報との一方を、点滅させることによって区別して表示してよい。制御部12は、第1態様の情報と第2態様の情報とを、点滅の周期を異ならせて表示してもよい。
【0076】
図6又は
図7において表示されている危険度のグラフにおいて危険度の値が大きくなっている部分(山の部分)は、第1態様又は第2態様の情報に含まれてよい。具体的に、B点に対応する、危険度の値が大きくなっている部分は、第1態様の情報に含まれてよい。C点に対応する、危険度の値が大きくなっている部分は、第2態様の情報に含まれてよい。
【0077】
図6に例示されている温度トレンドの画像において温度が変化していることを表す部分は、第1態様又は第2態様の情報に含まれてよい。具体的に、B点に対応するパターン61は、第1態様の情報に含まれてよい。C点に対応するパターン62は、第2態様の情報に含まれてよい。温度トレンドの表示は、過去の第2時間においてケーブル40の各温度測定位置で測定した第2温度から現在の第1時間においてケーブル40の各温度測定位置で測定した第1温度への変化を表す情報を含んでよい。また、過去の第2時間においてケーブル40の各温度測定位置で測定した第2温度から現在の第1時間においてケーブル40の各温度測定位置で測定した第1温度への変化を表す情報は、第1態様の情報又は第2態様の情報に含まれてよい。制御部12は、温度の測定値のグラフに温度トレンドを対応づけて表示することによって、温度の測定値に第1態様の情報又は第2態様の情報を対応づけて表示できる。
【0078】
図7に例示されている危険度トレンドの画像において危険度の値が大きくなっていることを表す部分(黒くなっている部分)は、第1態様又は第2態様の情報に含まれてよい。具体的に、B点に対応するパターン71は、第1態様の情報に含まれてよい。C点に対応するパターン72は、第2態様の情報に含まれてよい。制御部12は、温度の測定値のグラフに危険度トレンドを対応づけて表示することによって、温度の測定値に第1態様の情報又は第2態様の情報を対応づけて表示できる。
【0079】
以上述べてきたように、診断装置10の制御部12は、温度の測定値の表示において特徴的な部分を強調してよい。制御部12は、例えば、温度の測定値の表示に第1態様の情報を重畳することによって、温度の測定値に第1態様の情報を対応づけて表示してよい。また、温度の測定値に、第1態様の情報を含む温度トレンド又は危険度トレンドが対応づけて表示されてよい。温度の測定値に第1態様の情報が対応づけて表示されることによって、人間がケーブル40の状態を表す情報を把握しやすくなる。人間がケーブル40の状態を表す情報を把握しやすくなる結果、ケーブル40の状態の診断結果の確度が高められる。
【0080】
制御部12は、表示装置30において強調表示が発生したことを、他の表示デバイスによって人間に通知してもよいし、音声、振動若しくは発光等の他の種類のデバイスによって人間に通知してもよい。このようにすることで、人間はケーブル40の状態の変化を見逃しにくくなる。その結果、ケーブル40の状態の変化が常時監視される。
【0081】
<表示方法の手順例>
診断装置10の制御部12は、人間がケーブル40の状態を診断するために用いる情報を表示するために、
図9に例示されるフローチャートの手順を含む表示方法を実行してよい。表示方法は、制御部12を構成するプロセッサ又はコンピュータに実行させる表示プログラムとして実現されてもよい。表示プログラムは、非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体に格納されてよい。
【0082】
制御部12は、温度測定装置20から、ケーブル40の各部の温度の測定値を取得する(ステップS1)。具体的に、制御部12は、各時間におけるケーブル40の各部の温度の測定値を取得し、現在時間である第1時間におけるケーブル40の各部の温度の測定値を第1温度として取り扱い、過去の時間である第2時間におけるケーブル40の各部の温度の測定値を第2温度として取り扱う。
【0083】
制御部12は、第1温度を表示装置30に表示する(ステップS2)。制御部12は、温度の測定値に基づいて危険度を算出し、危険度を表示装置30に表示する(ステップS3)。
【0084】
制御部12は、温度の測定値又は危険度に関して、所定の条件が満たされるか判定する(ステップS4)。具体的に、制御部12は、第1条件、第2条件又は第3条件の少なくとも1つが満たされるか判定してよい。制御部12は、第1条件、第2条件及び第3条件の全てが満たされるか判定してもよい。制御部12は、第1条件、第2条件又は第3条件に限られず他の種々の条件が満たされるか判定してよい。
【0085】
制御部12は、所定の条件が満たされた場合(ステップS4:YES)、満たされた条件に対応する所定の態様の情報を表示装置30に表示する(ステップS5)。具体的に、制御部12は、第1条件が満たされた場合に第1態様の情報を表示装置30に表示する。制御部12は、第2条件が満たされた場合に第2態様の情報を表示装置30に表示する。制御部12は、危険度に関して第3条件が満たされた場合に第1態様又は第2態様の情報を表示装置30に表示する。
【0086】
制御部12は、所定の条件が満たされていない場合(ステップS4:NO)、又は、ステップS5の実行後、温度トレンドを表示装置30に表示する(ステップS6)。制御部12は、温度トレンドの代わりに危険度トレンドを表示装置30に表示してもよい。制御部12は、温度トレンドと危険度トレンドとを両方とも表示装置30に表示してもよい。温度トレンド又は危険度トレンドは、ステップS4の判定手順における判定結果にかかわらず、第1態様又は第2態様の情報の表示を含んでよい。制御部12は、ステップS6の手順の実行後、
図9のフローチャートの手順の実行を終了する。
【0087】
制御部12は、
図9に例示されるフローチャートの手順において、ステップS3の危険度の表示手順を実行しなくてもよい。制御部12は、ステップS3の温度トレンド又は危険度トレンドの表示手順を実行しなくてもよい。
【0088】
<小括>
以上述べてきたように、本実施形態に係る診断システム1において、診断装置10は、診断の対象物であるケーブル40の各部の温度に基づく第1の態様又は第2の態様等の種々の態様の情報を温度の測定値に対応づけて表示装置30に表示できる。温度の測定値の表示に種々の態様の情報を対応づけて表示することによって、人間がケーブル40の状態を表す情報を把握しやすくなる。人間がケーブル40の状態を表す情報を把握しやすくなる結果、ケーブル40の状態の診断結果の確度が高められる。このようにすることで、人間が診断の対象物であるケーブル40の各部の状態を認識しやすくなる。その結果、ケーブル40の状態の診断結果の確度が高められる。
【0089】
診断装置10は、温度の測定値に対応づける情報として第1態様又は第2態様の情報を区別して表示装置30に表示できる。温度の測定値に対応づける情報として第1態様又は第2態様の情報を区別して表示することによって、人間は、第1態様の情報が表示されている位置におけるケーブル40の状態が異常になっている可能性よりも、第2態様の情報が表示されている位置におけるケーブル40の状態が異常になっている可能性が低いことを容易に把握できる。ケーブル40の状態が異常になっている可能性の高さに応じて表示の態様を異ならせることによって、人間は、ケーブル40の状態が異常であるかを診断するための判断材料を得られる。人間が判断材料を得られる結果、ケーブル40の状態の診断結果の確度が高められる。また、診断装置10は、第1態様又は第2態様の情報が表示装置30に表示されたことを人間に通知してもよい。このようにすることで、人間はケーブル40の状態の変化を見逃しにくくなる。その結果、ケーブル40の状態の変化が常時監視される。診断システム1によって、人間は、表示装置30に表示された内容を遠隔で確認して対象物であるケーブル40の状態を診断できる。その結果、ケーブル40が埋設されている現場を人間等が訪問する頻度及び訪問コストが低減される。また、常時監視が実現されることによってケーブル40の信頼性が向上する。
【0090】
(他の実施形態)
以下、他の実施形態が説明される。
【0091】
<診断対象の他の例>
診断システム1は、上述してきた洋上風力発電装置70の海底ケーブルに限られず他の種々のケーブル40の状態の診断に適用されてよい。診断システム1は、例えば、離島等に電力又は通信を提供するための海底ケーブルの状態の診断に適用されてよい。診断システム1は、陸上に敷設されているケーブル40の状態の診断に適用されてもよい。例えば陸上であっても地面に埋設されているケーブル40、又は、山間部等の人間の進入が困難な地域に敷設されているケーブル40の状態の診断に適用されてもよい。診断システム1は、ケーブル40の劣化の状態の診断に適用されてもよい。診断システム1は、ケーブル40の浸水の状態の診断に適用されてもよい。
【0092】
本開示に係る実施形態について、諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は改変を行うことが可能であることに注意されたい。従って、これらの変形又は改変は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部に含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0093】
1 診断システム
10 診断装置(12:制御部、14:記憶部、16:インタフェース)
20 温度測定装置
30 表示装置(32:制御部、34:記憶部、36:表示部)
40 ケーブル(41:電力線、42:光ファイバ、43:被覆、51:埋設部分、52:露呈部分、53:埋設部分、54:浅埋設部分、55:境界部分)
61、62、63、71、72 特徴パターン
70 洋上風力発電装置
80 地中
81 海底
84 海中
91 第1マーク
92 第2マーク