(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088456
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】乗客コンベア
(51)【国際特許分類】
B66B 31/02 20060101AFI20240625BHJP
【FI】
B66B31/02 A
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203641
(22)【出願日】2022-12-20
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-12-18
(71)【出願人】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(74)【代理人】
【識別番号】100208188
【弁理士】
【氏名又は名称】榎並 薫
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 克也
【テーマコード(参考)】
3F321
【Fターム(参考)】
3F321AA04
3F321AA10
3F321CF01
3F321EA02
3F321EB07
3F321EC06
3F321HA31
(57)【要約】 (修正有)
【課題】手摺ベルトを効果的に除菌しつつ、除菌装置の作動時間を低減させることが可能な乗客コンベアを提供する。
【解決手段】乗客コンベア1は、複数の踏段5と、手摺ベルト30と、検知部と、除菌装置40と、を備えている。複数の踏段は、環状に連結されて循環走行する。手摺ベルトは、環状に形成され、複数の踏段と同期して循環走行する。検知部は、各乗客の踏段への乗り込みを検知する。除菌装置は、手摺ベルトを除菌する。除菌装置は、除菌部と、除菌制御部45と、を有する。除菌部は、手摺ベルトの軌道38の一部39に対面して配置され、手摺ベルトに対して除菌処理を施す。除菌制御部は、除菌部を制御する。検知部は、踏段への乗客の乗り込みを検知すると、除菌制御部に信号を入力する。除菌制御部は、検知部からの各入力から第1時間長が経過すると、除菌部を第2時間長にわたって作動させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1乗降口から第2乗降口に向かって、又は、第2乗降口から第1乗降口に向かって、長手方向に沿って乗客を搬送する乗客コンベアであって、
前記長手方向に延びる欄干と、
環状に連結され、前記欄干に沿って循環走行する複数の踏段と、
環状に形成され、前記欄干の縁部の周囲を、複数の前記踏段と同期して循環走行する手摺ベルトと、
各乗客の前記踏段への乗り込みを検知する検知部と、
前記手摺ベルトを除菌する除菌装置と、
を備え、
前記除菌装置は、
前記手摺ベルトの軌道の一部に対面して配置され、前記手摺ベルトに対して除菌処理を施す除菌部と、
前記除菌部を制御する除菌制御部と、
を含み、
前記検知部は、前記踏段への乗客の乗り込みを検知すると前記除菌制御部に信号を入力し、
前記除菌制御部は、前記検知部からの各入力から第1時間長が経過すると、前記除菌部を第2時間長にわたって作動させる、乗客コンベア。
【請求項2】
前記除菌制御部は、前記検知部からの各入力から前記第1時間長が経過した後、さらに第3時間長が経過すると、再び前記除菌部を前記第2時間長にわたって作動させる、請求項1に記載の乗客コンベア。
【請求項3】
前記除菌制御部は、前記検知部からの各入力から前記第1時間長が経過した後、第3時間長間隔で複数回、前記除菌部を前記第2時間長にわたって作動させる、請求項1に記載の乗客コンベア。
【請求項4】
前記検知部からの各入力に対応して前記除菌部を作動させるタイミングを記憶する記憶部を備えた、請求項1に記載の乗客コンベア。
【請求項5】
前記手摺ベルトは、各々が複数の踏段の各々に対応する複数のベルト要素からなり、
前記手摺ベルトの軌道は、前記除菌部と対面する領域である除菌領域を含み、
前記第1時間長は、前記検知部からの入力の原因となった乗客が乗り込んだ踏段に対応するベルト要素が当該入力から前記除菌領域に到達するまでにかかる時間長に応じた時間長であり、
前記第2時間長は、各ベルト要素が前記除菌領域を通過するのにかかる時間長に応じた時間長である、請求項1に記載の乗客コンベア。
【請求項6】
前記第3時間長は、前記手摺ベルトが前記軌道を一周するのに要する時間長である、請求項2又は3に記載の乗客コンベア。
【請求項7】
第1乗降口から第2乗降口に向かって、又は、第2乗降口から第1乗降口に向かって、長手方向に沿って乗客を搬送する乗客コンベアであって、
前記長手方向に延びる欄干と、
環状に連結され、前記欄干に沿って循環走行する複数の踏段と、
環状に形成され、前記欄干の縁部の周囲を、複数の前記踏段と同期して循環走行する手摺ベルトと、
複数の前記踏段及び前記手摺ベルトの走行を制御する運転制御部であって、複数の前記踏段及び前記手摺ベルトを所定速度で走行させる通常運転モード並びに複数の前記踏段及び前記手摺ベルトを前記所定速度よりも低速でまたは間欠的に走行させる除菌運転モードのいずれかで、複数の前記踏段及び前記手摺ベルトを走行させる運転制御部と、
前記手摺ベルトを除菌する除菌装置と、
を備え、
前記除菌装置は、
前記手摺ベルトの軌道の一部に対面して配置され、前記手摺ベルトに対して除菌処理を施す除菌部と、
前記除菌部を制御する除菌制御部と、
を含み、
前記運転制御部が前記除菌運転モードで複数の前記踏段及び前記手摺ベルトを走行させる間、前記除菌制御部は、前記除菌部を作動させる、乗客コンベア。
【請求項8】
第1乗降口から第2乗降口に向かって、又は、第2乗降口から第1乗降口に向かって、長手方向に沿って乗客を搬送する乗客コンベアであって、
前記長手方向に延びる欄干と、
環状に連結され、前記欄干に沿って循環走行する複数の踏段と、
環状に形成され、前記欄干の縁部の周囲を、複数の前記踏段と同期して循環走行する手摺ベルトと、
各乗客の前記踏段への乗り込みを検知する検知部と、
複数の前記踏段及び前記手摺ベルトの走行を制御する運転制御部であって、複数の前記踏段及び前記手摺ベルトを所定速度で走行させる通常運転モード並びに複数の前記踏段及び前記手摺ベルトを間欠的に走行させる除菌運転モードのいずれかで、複数の前記踏段及び前記手摺ベルトを走行させる運転制御部と、
前記手摺ベルトを除菌する除菌装置と、
前記検知部からの入力に基づいて各踏段への乗り込み人数を記録する記憶部と、
を備え、
前記除菌装置は、
前記手摺ベルトの軌道の一部に対面して配置され、前記手摺ベルトに対して除菌処理を施す除菌部と、
前記除菌部を制御する除菌制御部と、
を含み、
前記手摺ベルトは、各々が複数の前記踏段のいずれかに対応する複数のベルト要素からなり、
前記運転制御部は、前記除菌運転モードで複数の前記踏段及び前記手摺ベルトを走行させる間、乗り込み人数が所定の人数以上の踏段に対応するベルト要素が前記除菌部に対面する位置に配置されると、複数の前記踏段及び前記手摺ベルトを所定時間長だけ停止させ、
前記運転制御部が前記除菌運転モードで複数の前記踏段及び前記手摺ベルトを走行させる間、前記除菌制御部は、複数の前記踏段及び前記手摺ベルトが停止すると除菌部を作動させる、乗客コンベア。
【請求項9】
各乗客の前記踏段への乗り込みを検知する検知部を備え、
前記検知部は、前記踏段への乗客の乗り込みを検知すると前記除菌制御部に信号を入力し、
前記運転制御部が前記通常運転モードで複数の前記踏段及び前記手摺ベルトを走行させる間、前記除菌制御部は、前記検知部からの各入力から第1時間長が経過すると、前記除菌部を第2時間長にわたって作動させる、請求項7又は8に記載の乗客コンベア。
【請求項10】
前記除菌制御部は、前記検知部からの各入力から前記第1時間長が経過した後、さらに第3時間長が経過すると、再び前記除菌部を前記第2時間長にわたって作動させる、請求項9に記載の乗客コンベア。
【請求項11】
前記運転制御部が前記通常運転モードで複数の前記踏段及び前記手摺ベルトを走行させる間、前記除菌制御部は、前記検知部からの各入力から前記第1時間長が経過した後、第3時間長間隔で複数回、前記除菌部を前記第2時間長にわたって作動させる、請求項9に記載の乗客コンベア。
【請求項12】
前記手摺ベルトは、各々が複数の前記踏段のいずれかに対応する複数のベルト要素からなり、
前記手摺ベルトの軌道は、前記除菌部と対面する領域である除菌領域を含み、
前記第1時間長は、前記検知部からの入力の原因となった乗客が乗り込んだ踏段に対応するベルト要素が当該入力から前記除菌領域に到達するまでにかかる時間長に応じた時間長であり、
前記第2時間長は、各ベルト要素が前記除菌領域を通過するのにかかる時間長に応じた時間長である、請求項9に記載の乗客コンベア。
【請求項13】
前記第3時間長は、前記手摺ベルトが前記軌道を一周するのに要する時間長である、請求項10に記載の乗客コンベア。
【請求項14】
前記第3時間長は、前記手摺ベルトが前記軌道を一周するのに要する時間長である、請求項11に記載の乗客コンベア。
【請求項15】
前記検知部は光電センサ、赤外線センサ、マイクロ波センサを含む、請求項1に記載の乗客コンベア。
【請求項16】
前記検知部はカメラを含む、請求項1に記載の乗客コンベア。
【請求項17】
前記検知部は光電センサ、赤外線センサ、マイクロ波センサを含む、請求項9に記載の乗客コンベア。
【請求項18】
前記検知部はカメラを含む、請求項9に記載の乗客コンベア。
【請求項19】
前記除菌部は、紫外線を前記手摺ベルトに照射するものである、請求項1、7及び8のいずれか一項に記載の乗客コンベア。
【請求項20】
前記乗客コンベアは、エスカレータ又は動く歩道である、請求項1、7及び8のいずれか一項に記載の乗客コンベア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、乗客コンベアに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されているように、従来、手摺ベルトを除菌する除菌装置を備えた乗客コンベアが知られている。特許文献1の除菌装置は、乗客コンベアの運転スイッチが投入されると作動し、手摺ベルトの除菌処理を行う。一方、特許文献1の除菌装置は、乗客コンベアのスイッチを切ると停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、手摺ベルトに紫外線を照射する除菌装置は、高価である。また、このような除菌装置は、寿命が短く、例えば累積作動時間が10,000時間を超えると所望の除菌効果を得ることができなくなる。このことは、除菌装置を備えた乗客コンベアの普及に歯止めをかけている。このため、手摺ベルトを効果的に除菌しつつ、除菌装置の作動時間を低減させることが求められている。
【0005】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、手摺ベルトを効果的に除菌しつつ、除菌装置の作動時間を低減させることが可能な乗客コンベアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施の形態による乗客コンベアは、
第1乗降口から第2乗降口に向かって、又は、第2乗降口から第1乗降口に向かって、長手方向に沿って乗客を搬送する乗客コンベアであって、
前記長手方向に延びる欄干と、
環状に連結され、前記欄干に沿って循環走行する複数の踏段と、
環状に形成され、前記欄干の縁部の周囲を、複数の前記踏段と同期して循環走行する手摺ベルトと、
各乗客の前記踏段への乗り込みを検知する検知部と、
前記手摺ベルトを除菌する除菌装置と、
を備え、
前記除菌装置は、
前記手摺ベルトの軌道の一部に対面して配置され、前記手摺ベルトに対して除菌処理を施す除菌部と、
前記除菌部を制御する除菌制御部と、
を含み、
前記検知部は、前記踏段への乗客の乗り込みを検知すると前記除菌制御部に信号を入力し、
前記除菌制御部は、前記検知部からの各入力から第1時間長が経過すると、前記除菌部を第2時間長にわたって作動させる。
【0007】
あるいは、本実施の形態による乗客コンベアは、
第1乗降口から第2乗降口に向かって、又は、第2乗降口から第1乗降口に向かって、長手方向に沿って乗客を搬送する乗客コンベアであって、
前記長手方向に延びる欄干と、
環状に連結され、前記欄干に沿って循環走行する複数の踏段と、
環状に形成され、前記欄干の縁部の周囲を、複数の前記踏段と同期して循環走行する手摺ベルトと、
複数の前記踏段及び前記手摺ベルトの走行を制御する運転制御部であって、複数の前記踏段及び前記手摺ベルトを所定速度で走行させる通常運転モード並びに複数の前記踏段及び前記手摺ベルトを前記所定速度よりも低速でまたは間欠的に走行させる除菌運転モードのいずれかで、複数の前記踏段及び前記手摺ベルトを走行させる運転制御部と、
前記手摺ベルトを除菌する除菌装置と、
を備え、
前記除菌装置は、
前記手摺ベルトの軌道の一部に対面して配置され、前記手摺ベルトに対して除菌処理を施す除菌部と、
前記除菌部を制御する除菌制御部と、
を含み、
前記運転制御部が前記除菌運転モードで複数の前記踏段及び前記手摺ベルトを走行させる間、前記除菌制御部は、前記除菌部を作動させる。
【0008】
あるいは、本実施の形態による乗客コンベアは、
第1乗降口から第2乗降口に向かって、又は、第2乗降口から第1乗降口に向かって、長手方向に沿って乗客を搬送する乗客コンベアであって、
前記長手方向に延びる欄干と、
環状に連結され、前記欄干に沿って循環走行する複数の踏段と、
環状に形成され、前記欄干の縁部の周囲を、複数の前記踏段と同期して循環走行する手摺ベルトと、
各乗客の前記踏段への乗客の乗り込みを検知する検知部と、
複数の前記踏段及び前記手摺ベルトの走行を制御する運転制御部であって、複数の前記踏段及び前記手摺ベルトを所定速度で走行させる通常運転モード並びに複数の前記踏段及び前記手摺ベルトを間欠的に走行させる除菌運転モードのいずれかで、複数の前記踏段及び前記手摺ベルトを走行させる運転制御部と、
前記手摺ベルトを除菌する除菌装置と、
前記検知部からの入力に基づいて各踏段への乗り込み人数を記録する記憶部と、
を備え、
前記除菌装置は、
前記手摺ベルトの軌道の一部に対面して配置され、前記手摺ベルトに対して除菌処理を施す除菌部と、
前記除菌部を制御する除菌制御部と、
を含み、
前記手摺ベルトは、各々が複数の前記踏段のいずれかに対応する複数のベルト要素からなり、
前記運転制御部は、前記除菌運転モードで複数の前記踏段及び前記手摺ベルトを走行させる間、乗り込み人数が所定の人数以上の踏段に対応するベルト要素が前記除菌部に対面する位置に配置されると、複数の前記踏段及び前記手摺ベルトを所定時間長だけ停止させ、
前記運転制御部が前記除菌運転モードで複数の前記踏段及び前記手摺ベルトを走行させる間、前記除菌制御部は、複数の前記踏段及び前記手摺ベルトが停止すると除菌部を作動させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態による乗客コンベアの構成を模式的に示す側面図である。
【
図2】
図2は、除菌装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す手摺ベルト及び除菌部の、手摺ベルトの走行方向に垂直な断面を示す図である。
【
図4】
図4は、記憶部に格納されたタイムテーブルの一例である。
【
図5】
図5は、変形例によるタイムテーブルの一例である。
【
図6】
図6は、他の変形例によるタイムテーブルの一例である。
【
図7】
図7は、
図6に示す変形例において、記憶部に格納された各踏段の乗り込み人数を示す表の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明による乗客コンベアの実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態による乗客コンベア1の構成を、模式的に示す側面図である。
図2は、除菌装置40の構成を示すブロック図である。
図3は、除菌部41を示す断面図である。
【0011】
乗客コンベア1は、例えばエスカレータまたは動く歩道である。乗客コンベア1は、長手方向DLを有し、第1乗降口2から第2乗降口3へ、又は第2乗降口3から第1乗降口2へ、長手方向DLに沿って乗客を搬送する。
図1に示す例において、乗客コンベア1は、エスカレータであり、建築物の異なる2つの階床F1,F2間に掛け渡されている。第1乗降口2は、下階F1に設けられている。第2乗降口3は、上階F2に設けられている。
【0012】
図1に示すように、乗客コンベア1は、長手方向DLに沿って延びるトラス4と、トラス4内を走行する複数の踏段5と、トラス4の両側に立設された一対の欄干20と、を有している。トラス4は、下階F1と上階F2との間に跨がって延びている。トラス4は、内部空間6を有する。トラス4は、一対の端部4a,4bと、一対の端部4a,4bの間を延びる傾斜部4cと、を有する。端部4aは、下階F1に配置されている。端部4bは、上階F2に配置されている。傾斜部4cは、異なる階床F1,F2間を延びている。各端部4a,4bは、乗降板7で覆われている。端部4aの上方に第1乗降口2が形成されている。端部4bの上方に第2乗降口3が形成されている。端部4b内には、機械室8が形成されている。トラス4の内部空間6には、踏段5を案内する案内レール9が配置されている。複数の踏段5は、長手方向DLに沿って並んでいる。踏段5は、踏段チェーン10を介して環状に連結されている。踏段5は、環状に形成された案内レール9上を循環走行する。上方から見て、踏段5は、一対の欄干20の間を、欄干20に沿って走行する。乗客は、踏段5に乗ることで、一対の欄干20の間を、第1乗降口2から第2乗降口3、或いは第2乗降口3から第1乗降口2へ搬送される。図示された例では、乗客は、第1乗降口2から第2乗降口3へ搬送される。
【0013】
各欄干20は、
図1に示すように、長手方向DLに沿って延びている。各欄干20は、長手方向DLに沿って延びる欄干パネル21と、欄干パネル21に取り付けられたハンドレール24と、欄干20の下部に設けられたスカートガード25と、を有している。スカートガード25の下方にトラス4が位置している。ハンドレール24は、環状の手摺ベルト30を案内する。ハンドレール24は、欄干パネル21の縁部22(より具体的には、側縁部22a,22b及び上縁部22c)に沿って延びている。ハンドレール24に案内されることで、手摺ベルト30は欄干パネル21の縁部22の周囲を走行する。言い換えると、手摺ベルト30は、欄干パネル21の縁部22の周囲において、環状の軌道38上を走行する。
【0014】
スカートガード25は、長手方向DLに沿って延びている。スカートガード25は、内部空間26を有する。スカートガード25の内部空間26は、トラス4の内部空間6と連通している。スカートガード25の第1乗降口2側の端部には、第1開口27が形成されている。スカートガード25の第2乗降口3側の端部には、第2開口28が形成されている。手摺ベルト30は、ハンドレール24に沿って移動した後、第1開口27又は第2開口28を通じてスカートガード25及びトラス4の内部空間26,6に進入する。その後、手摺ベルト30は、第2開口28又は第1開口27を通じてトラス4及びスカートガード25の内部空間6,26から出て、再びハンドレール24に沿って移動する。
【0015】
踏段5や手摺ベルト30は、機械室8に設置されたモータ11や制御盤12、スプロケット13~15等によって駆動される。モータ11は、踏段チェーン10を駆動する。制御盤12は、乗客コンベア1の運転を制御する運転制御部12aを有する。運転制御部12aは、例えばモータ11の駆動を制御する。第1~第2スプロケット13,14には、踏段チェーン10が掛け渡されている。モータ11が踏段チェーン10を駆動すると、第1~第2スプロケット13,14が回転する。第3スプロケット15には、手摺ベルト30が掛け渡されている。第3スプロケット15は、図示しない伝達チェーンによって第1スプロケット13に連結され、第1スプロケット13の回転に従って回転する。このため手摺ベルト30は、踏段5と同期して走行する。図示された例では、踏段5及び手摺ベルト30は、30m/分で走行する。
【0016】
手摺ベルト30は、踏段5と同じ数の複数のベルト要素31から成る。各ベルト要素31は、いずれかの踏段5に対応する。各ベルト要素31は、手摺ベルト30のうち、当該ベルト要素31に対応する踏段5に乗った乗客によって把持されることが予想される領域である。例えば、踏段5-1に対応するベルト要素31はベルト要素31-1であり、踏段5-2に対応するベルト要素31はベルト要素31-2である。複数のベルト要素31は、互いに同じ長さを有している。複数のベルト要素31は、手摺ベルト30の延びる方向に沿って並んでいる。各ベルト要素31は、手摺ベルト30の軌道38上を走行する。各ベルト要素31は、前端部31aと後端部31bとを有する。前端部31aは、ベルト要素31の走行方向DBにおいて前方に位置する端部である。後端部31bは、ベルト要素31の走行方向DBにおいて後方に位置する端部である。
【0017】
図示された例では、乗客コンベア1は、更に、各乗客の踏段5への乗り込みを検知する検知部29を含む。検知部29は、各乗客の踏段5への乗り込みを検知可能な装置であれば特に限られない。検知部29は、例えば、光電センサや、赤外線センサ、マイクロ波センサ等であってよい。検知部29は、カメラを含んでよく、カメラで撮像した画像に基づいて、各乗客の踏段5への乗り込みを検知するものであってもよい。検知部29は、節電等を目的として乗客コンベア1に通常搭載されているものであってよい。より詳しくは、検知部29は、乗客コンベア1への乗客の乗り込みが一定期間無い場合に踏段5の走行速度を低下させたり踏段5を停止させることで乗客コンベア1の節電を行うために、乗客コンベア1への乗客の乗り込みの有無を検知することを目的として乗客コンベア1に設けられたものであってよい。この場合、検知部29として既存の検知部(センサなど)を用いることができる。言い換えると、後述する除菌装置40を作動させるための追加の検知部(センサなど)を必要としない。図示された例では、検知部29は、スカートガード25の第1乗降口2側の端部に設けられているが、これに限られない。検知部29は、例えば、第1乗降口2の上方に位置する天井に設置されていてもよい。検知部29は、客の踏段5への乗り込みを検知すると、後述する除菌制御部45に信号を入力する。
【0018】
また、図示された例では、乗客コンベア1は、更に、手摺ベルト30を除菌する除菌装置40を含む。
図2に示すように、除菌装置40は、手摺ベルト30に対して除菌処理を施す除菌部41と、除菌部41を制御する除菌制御部45と、を含む。
【0019】
除菌部41は、スカートガード25又はトラス4の内部空間26又は6内において、手摺ベルト30の軌道38の一部に対面して配置されている。除菌部41が対面する軌道31の一部を、以下では「除菌領域39」とも称する。除菌領域39は、前端部39aと後端部39bを有する。前端部39aは、ベルト30の走行方向DBにおいて、前方に位置する端部である。後端部39bは、手摺ベルト30の走行方向DBにおいて、後方に位置する端部である。
【0020】
図3に示す例では、除菌部41は、手摺ベルト30の表面に紫外線を照射することにより手摺ベルト30の表面を除菌するものである。除菌部41は、LEDモジュールMを有している。除菌部41が作動すると、LEDモジュールMから紫外線が射出される。LEDモジュールMは、手摺ベルト30を取り囲むように配置されてよい。なお、除菌部41がスカートガード25又はトラス4の内部空間26又は6に配置されていることにより、LEDモジュールMから射出される紫外線が利用者の目に入射することが防止される。
【0021】
除菌制御部45は、検知部29からの入力を受けて除菌部41を制御する。上述したように、検知部29が乗客の踏段5への乗り込みを検知すると、除菌制御部45に、検知部29から信号が入力される。除菌制御部45は、検知部29からの各入力から第1時間長経過後に、除菌部41を第2時間長にわたって作動させる。例えば、検知部29から除菌制御部45に第1の入力があると、第1の入力から第1時間長経過後に、除菌部41を第2時間長にわたって作動させる。また、検知部29から除菌制御部45に第2の入力があると、第2の入力から第1時間長経過後に、除菌部41を第2時間長にわたって作動させる。
【0022】
第1時間長は、検知部29から除菌制御部45への各入力が行われた時点から、当該入力が行われる原因となった乗客が乗り込んだ踏段5に対応するベルト要素31が、除菌領域39に到達するまでにかかる時間長に応じた時間長である。除菌制御部45が、検知部29からの各入力が行われた時点から第1時間長経過後に除菌部41を作動させることにより、各入力に対応するベルト要素31に、除菌部41による除菌処理を施すことができる。
【0023】
図示された例では、第1時間長は、検知部29から除菌制御部45への入力が行われた時点から、当該入力に対応するベルト要素31の前端部31aが、除菌領域39の後端部39bに到達するまでにかかる時間長である。第1時間長は、軌道38の長さや手摺ベルト30の走行速度、検知部29及び除菌部41の設置位置などに基づいて計算される。例えば、第1時間長は120秒である。
【0024】
第2時間長は、各ベルト要素31が除菌領域39を通過するのにかかる時間長に応じた時間長である。除菌制御部45が除菌部41を第2時間長にわたって作動させることにより、各入力に対応するベルト要素31の全域に、除菌部41による除菌処理を施すことができる。
【0025】
図示された例では、第2時間長は、ベルト要素31の前端部31aが除菌領域39の後端部39bに到達してから、当該ベルト要素31の後端部31bが除菌領域39の前端部3aに到達するまでにかかる時間長である。第2時間長は、除菌領域39の長さを手摺ベルト30の走行速度で除した値である。例えば、第2時間長は5秒である。
【0026】
また、図示された例では、除菌制御部45は、検知部29からの各入力が行われた時点から第1時間長が経過した後さらに第3時間長が経過すると、再び除菌部41を第2時間長にわたって作動させる。例えば、検知部29から除菌制御部45に第1の入力があると、第1の入力が行われた時点から第1時間長経過後に、除菌部41を第2時間長にわたって作動させ、また、第1の入力から第1時間長と第3時間長との和である第4時間長が経過すると、再び除菌部41を第2時間長にわたって作動させる。また、検知部29から除菌制御部45に第1の入力とは異なる第2の入力が行われると、第2の入力が行われた時点から第1時間長経過後に、除菌部41を第2時間長にわたって作動させ、また、第2の入力が行われた時点から第4時間長(第1時間長と第3時間長との和)が経過すると、再び除菌部41を第2時間長にわたって作動させる。
【0027】
第3時間長は、手摺ベルト30が軌道38を一周するのにかかる時間長である。第3時間長は、軌道38の長さを手摺ベルト30の走行速度で除した値である。例えば、第3時間長は240秒である。除菌制御部45が、検知部29からの入力が行われた時点から第4時間長が経過すると再び除菌部41を作動させることにより、当該入力に対応するベルト要素31に対して、再び除菌部41による除菌処理を施すことができる。これにより、当該ベルト要素31が効果的に除菌される。
【0028】
とりわけ図示された例では、除菌制御部45は、検知部29からの各入力が行われてから第1時間長が経過した時点から、第3時間長間隔で複数回(例えば30回)、除菌部41を第2時間長にわたって作動させる。例えば、検知部29から除菌制御部45に第1の入力が行われると、第1の入力から第1の時間長が経過した時点から第3の時間長間隔で複数回、除菌部41を第2時間長にわたって作動させる。また、検知部29から除菌制御部45に第2の入力が行われると、第2の入力から第1の時間長が経過した時点から第3の時間長間隔で複数回、除菌部41を第2時間長にわたって作動させる。
【0029】
除菌制御部45が、検知部29からの入力から第1時間長が経過した時点から第3時間長間隔で複数回(例えば30回)、除菌部41を作動させることにより、当該入力に対応するベルト要素31に複数回、除菌部41による除菌処理を施すことができる。これにより、当該ベルト要素31がさらに効果的に除菌される。
【0030】
図示された例では、乗客コンベア1は、検知部29からの各入力に対応して除菌部41を作動させるタイミングを記憶する記憶部46を有する。記憶部46には、例えば
図4に示すようなタイムテーブル47が格納されている。タイムテーブル47には、検知部29からの各入力に対応して除菌部41を作動させるタイミングが記録されている。タイムテーブル47は、検知部29から新たな入力がある度に、更新される。また、乗客コンベア1は、踏段5及び手摺ベルト30の走行が開始された時点から計時を行うタイマー49を有する。
図2に示す例では、除菌制御部45が記憶部46及びタイマー49を有するが、これに限られない。例えば、運転制御部12aが、記憶部46及び/またはタイマー49を有していてもよい。
【0031】
次に、
図4を参照して乗客コンベア1の作用について説明する。まず、運転制御部12aへの入力によりモータ11の運転が開始され、踏段5及び手摺ベルト30が走行を開始する。また、モータ11の運転が開始されるのと同時に、タイマー49による計時が開始される。このとき、記憶部46には除菌部41を作動させるタイミングは記録されていない。
【0032】
次に、検知部29が第1の乗客の第i踏段5への乗り込みを検知すると、検知部29は、除菌制御部45に、第1の入力を行う。
図4に示す例では、タイマー49が60秒を計時した後に、検知部29から除菌制御部45に、第1の入力が行われる。
【0033】
検知部29から除菌制御部45に第1の入力が行われると、記憶部46に、第1の入力に対応して除菌部41を作動させるタイミングが記録される。具体的には、第1の入力から第1時間長が経過した時点から、第3時間長間隔で複数回、除菌部41を作動させることが記録される。図示された例では、第1の入力に対応して、タイマー49が60秒(第1の入力が行われた時点)+120秒(第1時間長)=180秒を計時した時点から240秒(第3時間長)間隔で30回、除菌部41を作動させることが、タイムテーブル47に記録される。
【0034】
また、検知部29が第2の乗客の第k踏段5への乗り込みを検知した場合、検知部29から除菌制御部45に第2の入力が行われ、記憶部46に、第2の入力に対応して除菌部41を作動させるタイミングが記録される。具体的には、第2の入力から第1時間長が経過した時点から、第3時間長間隔で複数回、除菌部41を作動させることが記録される。
図4に示す例では、タイマー49が120秒を計時した後に、検知部29から除菌制御部45に、第2の入力が行われる。第2の入力に対応して、タイマー49が120秒(第2の入力が行われた時点)+120秒(第1時間長)=240秒を計時した時点から240秒(第3時間長)間隔で30回、除菌部41を作動させることが、タイムテーブル47に記録される。
【0035】
より一般的には、検知部29から除菌制御部45に第nの入力が行われた場合、記憶部46に、第nの入力に対応して除菌部41を作動させるタイミングが記録される。具体的には、第nの入力から第1時間長が経過した時点から、第3時間長間隔で複数回、除菌部41を作動させることが記録される。ここで、「n」は1以上の自然数である。
【0036】
そして、タイマー49が記憶部46に記録されたタイミングを計時すると、除菌部41が第2時間長にわたって作動される。図示された例では、第1の入力に対しては、タイマー49が180秒を計時したとき、420秒を計時したとき、660秒を計時したとき、・・・、及び、6960秒を計時したとき、除菌部41が5秒間(第2時間長)作動される。これにより、第1の入力に対応する第iベルト要素31に、除菌部41による除菌処理が30回施される。また、図示された例では、第2の入力に対しては、タイマー49が240秒を計時したとき、480秒を計時したとき、720秒を計時したとき、・・・、及び、7020秒を計時したとき、除菌部41が5秒間(第2時間長)作動される。これにより、第2の入力に対応する第kベルト要素31に、除菌部41による除菌処理が30回施される。すなわち、第iベルト要素31及び第kベルト要素31に除菌処理を30回施すために、除菌部41は、タイマー49が180秒を計時したとき、240秒を計時したとき、420秒を計時したとき、480秒を計時したとき、660秒を計時したとき、720秒を計時したとき、・・・、6960秒を計時したとき、及び、7020秒を計時したとき、それぞれ5秒間作動される。
【0037】
次に、運転制御部12aへの入力によりモータ11の運転が停止すると、タイマー49が計時を終了する。このとき、記憶部46に記録された除菌部41を作動させるタイミングが消去される。このようにして、乗客コンベア1の運転が停止される。
【0038】
なお、上述してきた一実施の形態に対して、様々な変更を加えることが可能である。
【0039】
<変形例1>
図5は、変形例1による除菌装置40の動作を説明するためのタイムテーブル47である。変形例1では、運転制御部12aは、踏段5及び手摺ベルト30の走行速度を制御する。具体的には、運転制御部12aは、踏段5及び手摺ベルト30を、通常運転モードまたは除菌運転モードで走行させる。通常運転モードでは、運転制御部12aは、踏段5及び手摺ベルト30を所定速度(例えば30m/分)で走行させる。除菌運転モードでは、運転制御部12aは、踏段5及び手摺ベルト30を上記所定速度よりも低速(例えば1m/分)で走行させる。通常運転モードと除菌運転モードとの間の切り替えは、例えば乗客コンベア1の管理者等による運転制御部12aへの入力を契機として行われる。運転制御部12aは、管理者等による入力に応じて、踏段5及び手摺ベルト30の運転モードを、通常運転モードと除菌運転モードとの間で切り替える。除菌運転モードでの踏段5及び手摺ベルト30の運転は、例えば乗客コンベア1が設置された施設(例えば駅等)の閉鎖時間中など、踏段5及び手摺ベルト30を低速で走行させても支障がない時間帯に、行われることが好ましい。
【0040】
変形例1では、運転制御部12aが踏段5及び手摺ベルト30を通常運転モードで運転させている間、除菌制御部45は、除菌部41を、
図1~
図4に示す実施例と同様に作動させてもよい。一方、運転制御部12aが踏段5及び手摺ベルト30を除菌運転モードで運転させている間は、除菌制御部45は、除菌部41を作動させ続ける。これにより、手摺ベルト30に、除菌部41による除菌処理を連続して施すことができる。とりわけ、踏段5及び手摺ベルト30を一周以上させるのに十分な時間長だけ除菌運転モードが継続されれば、手摺ベルト30の全周に、除菌部41による除菌処理を連続して施すことができる。
図5に示す例では、手摺ベルト30の運転モードが通常運転モードから除菌運転モードに切り替えられた時点(タイマー49がN秒を計時した時点)から、7200秒間、除菌部41を作動させる。そして、タイマー49がN+7200秒を計時した時点で、除菌部41の作動が終了されるとともに、モータ11の運転が停止される。このとき、記憶部46に記録された除菌部41を作動させるタイミングが消去される。このようにして、乗客コンベア1の運転が停止される。
【0041】
なお、除菌運転モードでは、通常運転モードと比較して手摺ベルト30が低速で走行する。このため、通常運転モードで手摺ベルト30が走行している場合と比較して、各ベルト要素31が除菌領域39を通過するのにかかる時間が長い。このため、手摺ベルト30が一周する間に各ベルト要素31に除菌部41による除菌処理が施される時間が、長い。図示された例では、除菌運転モードで各ベルト要素31が除菌領域39を通過するのにかかる時間は、通常運転モードで手摺ベルト30が除菌領域39を通過するのにかかる時間の30倍である。したがって、手摺ベルト30を除菌運転モードで走行させている場合、手摺ベルト30を一周させるだけで、手摺ベルト30を通常運転モードで走行させている場合に手摺ベルト30を30周させるのと同様の除菌効果を得ることができる。
【0042】
なお、除菌運転モードでは、運転制御部12aは、踏段5及び手摺ベルト30を間欠的に走行させてもよい。例えば、各ベルト要素31が除菌領域39で所定時間(例えば150秒間)だけ停止するように、手摺ベルト30を走行させてもよい。より具体的には、運転制御部12aは、手摺ベルト30を走行させて、第1ベルト要素31を除菌領域39に移動させる。次に、運転制御部12aは、手摺ベルト30を所定時間だけ停止させる。次に、運転制御部12aは、手摺ベルト30を走行させ、第1ベルト要素31の後端部31bに接続する第2ベルト要素31を、除菌領域39に配置する。次に、運転制御部12aは、手摺ベルト30を所定時間だけ停止させる。運転制御部12aは、全てのベルト要素31が除菌領域39で所定時間停止するまで、この操作を繰り返す。この場合も、除菌運転モードにおいて手摺ベルト30を低速で走行させる場合と同様の除菌効果を、得ることができる。
【0043】
<変形例2>
図6は、変形例2による除菌装置40の動作を説明するためのタイムテーブル47である。変形例2においても、運転制御部12aは、踏段5及び手摺ベルト30を、通常運転モードまたは除菌運転モードで走行させる。通常運転モードでは、運転制御部12aは、踏段5及び手摺ベルト30を所定速度(例えば30m/分)で走行させる。除菌運転モードでは、運転制御部12aは、踏段5及び手摺ベルト30を間欠的に走行させる。運転制御部12aに入力があったとき、運転制御部12aは、踏段5及び手摺ベルト30の運転モードを、通常運転モードと除菌運転モードとの間で切り替える。
【0044】
記憶部46には、検知部29からの入力に基づいて各踏段5への乗り込み人数が記録されている。例えば、記憶部46には、
図7に示すような表48が格納されている。
【0045】
ここで、各ベルト要素31には、当該ベルト要素31に対応する踏段5に乗り込んだ乗客の数(乗り込み人数)と同じ人数の乗客が接触したものと考えられる。したがって、各踏段5の乗り込み人数と、当該踏段5に対応するベルト要素31に接触した乗客の人数(接触人数)は、同じであると考えられる。すなわち、乗り込み人数が所定の人数以上の踏段5に対応するベルト要素31の接触人数は、当該所定の人数以上であると考えられる。このようなベルト要素31は、とくに念入りに除菌処理を行う必要がある。変形例2では、次のようにして除菌装置40を動作させることにより、接触人数の多いベルト要素31に、特に除菌処理を施す。
【0046】
すなわち、運転制御部12aは、除菌運転モードで踏段5及び手摺ベルト30を走行させる間、乗り込み人数が所定の人数(例えば500人)以上の踏段5に対応するベルト要素31が除菌領域39に配置されると、踏段5及び手摺ベルト50の走行を、所定時間(例えば150秒)停止させる。除菌制御部45は、除菌運転モードで踏段5及び手摺ベルト30が走行される間、乗り込み人数が所定の人数以上の踏段5に対応するベルト要素31が除菌領域39に配置されると、所定時間長(例えば150秒)、除菌部41を作動させる。これにより、乗り込み人数が所定の人数以上の踏段5に対応するベルト要素31に、所定時間長、除菌部41による除菌処理が施される。
【0047】
より具体的には、
図6及び
図7に示す例において、踏段5及び手摺ベルト30の運転モードが通常運転モードから除菌運転モードに切り替えられると、運転制御部12aは、記憶部46に記憶された
図7に示す表を参照する。次に、運転制御部12aは、各踏段5の乗り込み人数に基づいて、乗り込み人数が所定の人数以上の踏段5に対応するベルト要素31が除菌領域39に到達する時間を算出する。図示された例では、第k踏段5及び第m踏段5の乗り込み人数が所定の人数(ここでは、500人)より多く、第k踏段5及び第m踏段5に対応する第kベルト要素31及び第mベルト要素31の接触人数が上記所定の人数以上である。そこで、運転制御部12aは、第kベルト要素31を除菌領域39まで移動させるのにかかる時間長と、第kベルト要素31を除菌領域39で停止させる時間長と、第kベルト要素31が除菌領域39からの移動を開始してから第mベルト要素31が除菌領域39まで移動するのにかかる時間長を算出する。さらに、運転制御部12aは、タイマー49が何秒を計時した時に、第kベルト要素31及び第mベルト要素31が除菌領域39に到達するかを算出する。そして、算出結果を、除菌制御部45に渡す。
図6に示す例では、第kベルト要素31及び第mベルト要素31は、それぞれ、タイマー49がP秒及びR秒を計時した時に除菌領域39に到達する。
【0048】
そして、運転制御部12aは、タイマー49がP秒を計時した時点から所定時間長(ここでは150秒間)、モータ11の運転を停止させる。また、除菌制御部45は、タイマー49がP秒を計時した時点から所定時間長(ここでは150秒間)、除菌部41を作動させる。さらに、運転制御部12aは、タイマー49がQ秒を計時した時点から所定時間長(ここでは150秒間)、モータ11の運転を停止させる。除菌制御部45は、タイマー49がQ秒を計時した時点から所定時間長(ここでは150秒間)、除菌部41を作動させる。これにより、第kベルト要素31及び第mベルト要素31に、除菌部41による除菌処理が150秒間施される。
【0049】
なお、変形例2においても、運転制御部12aが踏段5及び手摺ベルト30を通常運転モードで運転させている間、除菌制御部45は、除菌部41を、
図1~
図4に示す実施例と同様に作動させてよい。また、変形例2においても、通常運転モードと除菌運転モードとの間の切り替えは、例えば乗客コンベア1の管理者等による運転制御部12aへの入力を契機として行われる。また、変形例2においても、除菌運転モードでの踏段5及び手摺ベルト30の運転は、例えば乗客コンベア1が設置された施設(例えば駅等)の閉鎖時間中など、踏段5及び手摺ベルト30を間欠的に走行させても支障がない時間帯に、行われることが好ましい。
【0050】
以上に説明した一実施の形態及びその変形例において、乗客コンベア1は、第1乗降口2から第2乗降口3に向かって、又は、第2乗降口3から第1乗降口2に向かって、長手方向DLに沿って乗客を搬送する乗客コンベアである。乗客コンベア1は、欄干20と、複数の踏段5と、手摺ベルト30と、検知部29と、除菌装置40と、を備えている。欄干20は、長手方向DLに延びる。複数の踏段5は、環状に連結され、欄干20に沿って循環走行する。手摺ベルト30は、環状に形成され、欄干20の縁部22の周囲を、複数の踏段5と同期して循環走行する。検知部29は、各乗客の踏段5への乗り込みを検知する。除菌装置40は、手摺ベルト30を除菌する。除菌装置40は、除菌部41と、除菌制御部45と、を有する。除菌部41は、手摺ベルト30の軌道38の一部39に対面して配置され、手摺ベルト30に対して除菌処理を施す。除菌制御部45は、除菌部41を制御する。検知部29は、踏段5への乗客の乗り込みを検知すると、除菌制御部45に信号を入力する。除菌制御部45は、検知部29からの各入力から第1時間長が経過すると、除菌部41を第2時間長にわたって作動させる。このような乗客コンベア1によれば、手摺ベルト30のうち乗客が接触したと考えられる部分だけを除菌する。このため、手摺ベルト30を効果的に除菌しつつ、除菌装置40の作動時間を低減させることができる。
【0051】
また、以上に説明した一実施の形態及びその変形例において、除菌制御部45は、検知部29からの各入力から第1時間長が経過した後、さらに第3時間長が経過すると、再び除菌部41を第2時間長にわたって作動させる。この場合、手摺ベルト30のうち乗客が接触したと考えられる部分に除菌処理が2回以上、施され、当該部分が効果的に除菌される。
【0052】
また、以上に説明した一実施の形態において、除菌制御部45は、検知部29からの各入力から第1時間長が経過した後、第3時間長間隔で複数回、除菌部41を第2時間長にわたって作動させる。この場合、手摺ベルト30のうち乗客が接触したと考えられる部分に除菌処理が複数回、施され、当該部分が効果的に除菌される。
【0053】
また、以上に説明した一実施の形態において、乗客コンベア1は、検知部29からの各入力に対応して除菌部41を作動させるタイミングを記憶する記憶部46を備えている。この場合、検知部29からの複数の入力があった場合であっても、各入力に対応して除菌部41を作動させることが容易である。
【0054】
また、以上に説明した変形例1において、乗客コンベア1は、第1乗降口2から第2乗降口3に向かって、又は、第2乗降口3から第1乗降口2に向かって、長手方向DLに沿って乗客を搬送する乗客コンベアである。乗客コンベア1は、欄干20と、複数の踏段5と、手摺ベルト30と、運転制御部12aと、除菌装置40と、を備えている。欄干20は、長手方向DLに延びる。複数の踏段5は、環状に連結され、欄干20に沿って循環走行する。手摺ベルト30は、環状に形成され、欄干20の縁部22の周囲を、複数の踏段5と同期して循環走行する。運転制御部12aは、複数の踏段5及び手摺ベルト30の走行を制御する。運転制御部12aは、複数の踏段5及び手摺ベルト30を所定速度で走行させる通常運転モード並びに複数の踏段5及び手摺ベルト30を上記所定速度よりも低速でまたは間欠的に走行させる除菌運転モードのいずれかで、複数の踏段5及び手摺ベルト30を走行させる。除菌装置40は、手摺ベルト30を除菌する。除菌装置40は、除菌部41と除菌制御部45とを含む。除菌部41は、手摺ベルト30の軌道38の一部39に対面して配置され、手摺ベルト30に対して除菌処理を施す。除菌制御部45は、除菌部41を制御する。運転制御部12aが除菌運転モードで複数の踏段5及び手摺ベルト30を走行させる間、除菌制御部45は、除菌部41を作動させる。このような乗客コンベア1によれば、乗客コンベア1の運転中の一部の時間だけ除菌装置40を作動させて、手摺ベルト30の除菌を行うことができる。このため、手摺ベルト30を効果的に除菌しつつ、除菌装置40の作動時間を低減させることができる。
【0055】
また、以上に説明した変形例2において、乗客コンベア1は、第1乗降口2から第2乗降口3に向かって、又は、第2乗降口3から第1乗降口2に向かって、長手方向DLに沿って乗客を搬送する乗客コンベアである。乗客コンベア1は、欄干20と、複数の踏段5と、手摺ベルト30と、検知部29と、運転制御部12aと、除菌装置40と、記憶部46と、を備えている。欄干20は、長手方向DLに延びる。複数の踏段5は、環状に連結され、欄干20に沿って循環走行する。手摺ベルト30は、環状に形成され、欄干20の縁部22の周囲を、複数の踏段5と同期して循環走行する。検知部29は、各乗客の踏段5への乗り込みを検知する。運転制御部12aは、複数の踏段5及び手摺ベルト30の走行を制御する。運転制御部12aは、複数の踏段5及び手摺ベルト30を所定速度で走行させる通常運転モード並びに複数の踏段5及び手摺ベルト30を間欠的に走行させる除菌運転モードのいずれかで、複数の踏段5及び手摺ベルト30を走行させる。除菌装置40は、手摺ベルト30を除菌する。記憶部46は、検知部29からの入力に基づいて各踏段5への乗客の乗り込み人数を記録する。除菌装置40は、除菌部41と除菌制御部45とを有する。除菌部41は、手摺ベルト30の軌道38の一部39に対面して配置され、手摺ベルト30に対して除菌処理を施す。除菌制御部45は、除菌部41を制御する。手摺ベルト30は、各々が複数の踏段5のいずれかに対応する複数のベルト要素31からなる。運転制御部12aは、除菌運転モードで複数の踏段5及び手摺ベルト30を走行させる間、乗り込み人数が所定の人数以上の踏段5に対応するベルト要素31が除菌部41に対面する位置に配置されると、複数の踏段5及び手摺ベルト30を所定時間長だけ停止させる。運転制御部12aが除菌運転モードで複数の踏段5及び手摺ベルト30を走行させる間、除菌制御部45は、複数の踏段5及び手摺ベルト30が停止すると除菌部41を作動させる。このような乗客コンベア1によれば、乗客コンベア1の運転中の一部の時間だけ除菌装置40を作動させて、手摺ベルト30の除菌を行うことができる。このため、手摺ベルト30を効果的に除菌しつつ、除菌装置40の作動時間を低減させることができる。
【0056】
本発明の実施形態といくつかの変形例を説明したが、これらの実施形態および変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態および変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、当然のことながら、本発明の要旨の範囲内でこれらの実施形態および変形例を、部分的に適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0057】
1:乗客コンベア、2:第1乗降口、3:第2乗降口、4:トラス、4a,4b:トラスの端部、4c:トラスの傾斜部、5:踏段、6:トラスの内部空間、7:乗降板、8:機械室、9:案内レール、10:踏段チェーン、11:モータ、12:制御盤、12a:運転制御部、13:第1スプロケット、14:第2スプロケット、15:第3スプロケット、20:欄干、21:欄干パネル、22:縁部、24:ハンドレール、25:スカートガード、26:スカートガードの内部空間、27:第1開口、28:第2開口、29:検知部、30:手摺ベルト、31:ベルト要素、38:軌道、39:除菌領域、40:除菌装置、41:除菌部、45:除菌制御部、46:記憶部、47:タイムテーブル、49:タイマー
【手続補正書】
【提出日】2023-10-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1乗降口から第2乗降口に向かって、又は、第2乗降口から第1乗降口に向かって、長手方向に沿って乗客を搬送する乗客コンベアであって、
前記長手方向に延びる欄干と、
環状に連結され、前記欄干に沿って循環走行する複数の踏段と、
環状に形成され、前記欄干の縁部の周囲を、複数の前記踏段と同期して循環走行する手摺ベルトと、
各乗客の前記踏段への乗り込みを検知する検知部と、
前記手摺ベルトを除菌する除菌装置と、
を備え、
前記除菌装置は、
前記手摺ベルトの軌道の一部に対面して配置され、前記手摺ベルトに対して除菌処理を施す除菌部と、
前記除菌部を制御する除菌制御部と、
を含み、
前記検知部は、前記踏段への乗客の乗り込みを検知すると前記除菌制御部に信号を入力し、
前記除菌制御部は、前記検知部からの各入力から第1時間長が経過すると、前記除菌部を第2時間長にわたって作動させ、
前記除菌制御部は、前記検知部からの各入力から前記第1時間長が経過した後、さらに第3時間長が経過すると、再び前記除菌部を前記第2時間長にわたって作動させる、乗客コンベア。
【請求項2】
第1乗降口から第2乗降口に向かって、又は、第2乗降口から第1乗降口に向かって、長手方向に沿って乗客を搬送する乗客コンベアであって、
前記長手方向に延びる欄干と、
環状に連結され、前記欄干に沿って循環走行する複数の踏段と、
環状に形成され、前記欄干の縁部の周囲を、複数の前記踏段と同期して循環走行する手摺ベルトと、
各乗客の前記踏段への乗り込みを検知する検知部と、
前記手摺ベルトを除菌する除菌装置と、
を備え、
前記除菌装置は、
前記手摺ベルトの軌道の一部に対面して配置され、前記手摺ベルトに対して除菌処理を施す除菌部と、
前記除菌部を制御する除菌制御部と、
を含み、
前記検知部は、前記踏段への乗客の乗り込みを検知すると前記除菌制御部に信号を入力し、
前記除菌制御部は、前記検知部からの各入力から第1時間長が経過すると、前記除菌部を第2時間長にわたって作動させ、
前記除菌制御部は、前記検知部からの各入力から前記第1時間長が経過した後、第3時間長間隔で複数回、前記除菌部を前記第2時間長にわたって作動させる、乗客コンベア。
【請求項3】
第1乗降口から第2乗降口に向かって、又は、第2乗降口から第1乗降口に向かって、長手方向に沿って乗客を搬送する乗客コンベアであって、
前記長手方向に延びる欄干と、
環状に連結され、前記欄干に沿って循環走行する複数の踏段と、
環状に形成され、前記欄干の縁部の周囲を、複数の前記踏段と同期して循環走行する手摺ベルトと、
各乗客の前記踏段への乗り込みを検知する検知部と、
前記手摺ベルトを除菌する除菌装置と、
を備え、
前記除菌装置は、
前記手摺ベルトの軌道の一部に対面して配置され、前記手摺ベルトに対して除菌処理を施す除菌部と、
前記除菌部を制御する除菌制御部と、
を含み、
前記検知部は、前記踏段への乗客の乗り込みを検知すると前記除菌制御部に信号を入力し、
前記除菌制御部は、前記検知部からの各入力から第1時間長が経過すると、前記除菌部を第2時間長にわたって作動させ、
前記乗客コンベアは、前記検知部からの各入力に対応して前記除菌部を作動させるタイミングを記憶する記憶部を更に備えている、乗客コンベア。
【請求項4】
前記手摺ベルトは、各々が複数の踏段の各々に対応する複数のベルト要素からなり、
前記手摺ベルトの軌道は、前記除菌部と対面する領域である除菌領域を含み、
前記第1時間長は、前記検知部からの入力の原因となった乗客が乗り込んだ踏段に対応するベルト要素が当該入力から前記除菌領域に到達するまでにかかる時間長に応じた時間長であり、
前記第2時間長は、各ベルト要素が前記除菌領域を通過するのにかかる時間長に応じた時間長である、請求項1~3のいずれか一項に記載の乗客コンベア。
【請求項5】
第1乗降口から第2乗降口に向かって、又は、第2乗降口から第1乗降口に向かって、長手方向に沿って乗客を搬送する乗客コンベアであって、
前記長手方向に延びる欄干と、
環状に連結され、前記欄干に沿って循環走行する複数の踏段と、
環状に形成され、前記欄干の縁部の周囲を、複数の前記踏段と同期して循環走行する手摺ベルトと、
各乗客の前記踏段への乗り込みを検知する検知部と、
前記手摺ベルトを除菌する除菌装置と、
を備え、
前記除菌装置は、
前記手摺ベルトの軌道の一部に対面して配置され、前記手摺ベルトに対して除菌処理を施す除菌部と、
前記除菌部を制御する除菌制御部と、
を含み、
前記検知部は、前記踏段への乗客の乗り込みを検知すると前記除菌制御部に信号を入力し、
前記除菌制御部は、前記検知部からの各入力から第1時間長が経過すると、前記除菌部を第2時間長にわたって作動させ、
前記手摺ベルトは、各々が複数の踏段の各々に対応する複数のベルト要素からなり、
前記手摺ベルトの軌道は、前記除菌部と対面する領域である除菌領域を含み、
前記第1時間長は、前記検知部からの入力の原因となった乗客が乗り込んだ踏段に対応するベルト要素が当該入力から前記除菌領域に到達するまでにかかる時間長に応じた時間長である、乗客コンベア。
【請求項6】
前記第2時間長は、各ベルト要素が前記除菌領域を通過するのにかかる時間長に応じた時間長である、請求項5に記載の乗客コンベア。
【請求項7】
前記第3時間長は、前記手摺ベルトが前記軌道を一周するのに要する時間長である、請求項1又は2に記載の乗客コンベア。
【請求項8】
第1乗降口から第2乗降口に向かって、又は、第2乗降口から第1乗降口に向かって、長手方向に沿って乗客を搬送する乗客コンベアであって、
前記長手方向に延びる欄干と、
環状に連結され、前記欄干に沿って循環走行する複数の踏段と、
環状に形成され、前記欄干の縁部の周囲を、複数の前記踏段と同期して循環走行する手摺ベルトと、
複数の前記踏段及び前記手摺ベルトの走行を制御する運転制御部であって、複数の前記踏段及び前記手摺ベルトを所定速度で走行させる通常運転モード並びに複数の前記踏段及び前記手摺ベルトを前記所定速度よりも低速でまたは間欠的に走行させる除菌運転モードのいずれかで、複数の前記踏段及び前記手摺ベルトを走行させる運転制御部と、
前記手摺ベルトを除菌する除菌装置と、
各乗客の前記踏段への乗り込みを検知する検知部と、
を備え、
前記除菌装置は、
前記手摺ベルトの軌道の一部に対面して配置され、前記手摺ベルトに対して除菌処理を施す除菌部と、
前記除菌部を制御する除菌制御部と、
を含み、
前記検知部は、前記踏段への乗客の乗り込みを検知すると前記除菌制御部に信号を入力し、
前記運転制御部が前記通常運転モードで複数の前記踏段及び前記手摺ベルトを走行させる間、前記除菌制御部は、前記検知部からの各入力から第1時間長が経過すると、前記除菌部を第2時間長にわたって作動させ、
前記運転制御部が前記除菌運転モードで複数の前記踏段及び前記手摺ベルトを走行させる間、前記除菌制御部は、前記除菌部を作動させる、乗客コンベア。
【請求項9】
第1乗降口から第2乗降口に向かって、又は、第2乗降口から第1乗降口に向かって、長手方向に沿って乗客を搬送する乗客コンベアであって、
前記長手方向に延びる欄干と、
環状に連結され、前記欄干に沿って循環走行する複数の踏段と、
環状に形成され、前記欄干の縁部の周囲を、複数の前記踏段と同期して循環走行する手摺ベルトと、
各乗客の前記踏段への乗り込みを検知する検知部と、
複数の前記踏段及び前記手摺ベルトの走行を制御する運転制御部であって、複数の前記踏段及び前記手摺ベルトを所定速度で走行させる通常運転モード並びに複数の前記踏段及び前記手摺ベルトを間欠的に走行させる除菌運転モードのいずれかで、複数の前記踏段及び前記手摺ベルトを走行させる運転制御部と、
前記手摺ベルトを除菌する除菌装置と、
前記検知部からの入力に基づいて各踏段への乗り込み人数を記録する記憶部と、
を備え、
前記除菌装置は、
前記手摺ベルトの軌道の一部に対面して配置され、前記手摺ベルトに対して除菌処理を施す除菌部と、
前記除菌部を制御する除菌制御部と、
を含み、
前記手摺ベルトは、各々が複数の前記踏段のいずれかに対応する複数のベルト要素からなり、
前記運転制御部は、前記除菌運転モードで複数の前記踏段及び前記手摺ベルトを走行させる間、乗り込み人数が所定の人数以上の踏段に対応するベルト要素が前記除菌部に対面する位置に配置されると、複数の前記踏段及び前記手摺ベルトを所定時間長だけ停止させ、
前記運転制御部が前記除菌運転モードで複数の前記踏段及び前記手摺ベルトを走行させる間、前記除菌制御部は、複数の前記踏段及び前記手摺ベルトが停止すると除菌部を作動させる、乗客コンベア。
【請求項10】
前記検知部は、前記踏段への乗客の乗り込みを検知すると前記除菌制御部に信号を入力し、
前記運転制御部が前記通常運転モードで複数の前記踏段及び前記手摺ベルトを走行させる間、前記除菌制御部は、前記検知部からの各入力から第1時間長が経過すると、前記除菌部を第2時間長にわたって作動させる、請求項9に記載の乗客コンベア。
【請求項11】
前記除菌制御部は、前記検知部からの各入力から前記第1時間長が経過した後、さらに第3時間長が経過すると、再び前記除菌部を前記第2時間長にわたって作動させる、請求項8又は10に記載の乗客コンベア。
【請求項12】
前記運転制御部が前記通常運転モードで複数の前記踏段及び前記手摺ベルトを走行させる間、前記除菌制御部は、前記検知部からの各入力から前記第1時間長が経過した後、第3時間長間隔で複数回、前記除菌部を前記第2時間長にわたって作動させる、請求項8又は10に記載の乗客コンベア。
【請求項13】
前記手摺ベルトは、各々が複数の前記踏段のいずれかに対応する複数のベルト要素からなり、
前記手摺ベルトの軌道は、前記除菌部と対面する領域である除菌領域を含み、
前記第1時間長は、前記検知部からの入力の原因となった乗客が乗り込んだ踏段に対応するベルト要素が当該入力から前記除菌領域に到達するまでにかかる時間長に応じた時間長であり、
前記第2時間長は、各ベルト要素が前記除菌領域を通過するのにかかる時間長に応じた時間長である、請求項8又は10に記載の乗客コンベア。
【請求項14】
前記第3時間長は、前記手摺ベルトが前記軌道を一周するのに要する時間長である、請求項11に記載の乗客コンベア。
【請求項15】
前記第3時間長は、前記手摺ベルトが前記軌道を一周するのに要する時間長である、請求項12に記載の乗客コンベア。
【請求項16】
前記検知部は光電センサ、赤外線センサ、マイクロ波センサを含む、請求項1~3、5、8及び9のいずれか一項に記載の乗客コンベア。
【請求項17】
前記検知部はカメラを含む、請求項1~3、5、8及び9のいずれか一項に記載の乗客コンベア。
【請求項18】
前記除菌部は、紫外線を前記手摺ベルトに照射するものである、請求項1~3、5、8及び9のいずれか一項に記載の乗客コンベア。
【請求項19】
前記乗客コンベアは、エスカレータ又は動く歩道である、請求項1~3、5、8及び9のいずれか一項に記載の乗客コンベア。