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▶ エスエムヴェー アウトブローク シュパンジステーメ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008847
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】振れ止め
(51)【国際特許分類】
   B23Q 1/76 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
B23Q1/76 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023092552
(22)【出願日】2023-06-05
(31)【優先権主張番号】22183451
(32)【優先日】2022-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】596007164
【氏名又は名称】エスエムヴェー アウトブローク シュパンジステーメ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】SMW-Autoblok Spannsysteme GmbH
【住所又は居所原語表記】Wiesentalstrasse 28, D-88074 Meckenbeuren, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】エックハート マウラー
(72)【発明者】
【氏名】トビアス シュナイダー
【テーマコード(参考)】
3C048
【Fターム(参考)】
3C048BB15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、押圧要素の位置のより正確でより簡単な検出を提供する可能性と、侵入する液体の問題をさらに排除する可能性とを提供する。
【解決手段】押圧要素の位置を検出し、流出孔を介して水抜きされている距離センサの使用により、流出孔は、運転中、遮断空気操作式の流出弁を用いて閉鎖され、これによって、遮断空気は運転中には流出孔を通って逃げることができないが、休止状態では、それでもなお侵入した液体は流出孔を通って流出する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械に工作物(2)を保持するための振れ止めであって、実質的に垂直方向に作動可能な操作ピストン(7)を備え、該操作ピストン(7)の両側方に2つのアングルレバー(6)が配置されており、前記操作ピストン(7)は、ハウジング(3)の内部で押圧要素(8)を介して前記アングルレバー(6)と協働し、前記ハウジング(3)に、液体の侵入を回避するための遮断空気供給路が割り当てられている、振れ止めにおいて、
前記押圧要素(8)の作動位置が、前記押圧要素(8)の最も低い位置よりも下方で前記ハウジング(3)に割り当てられた距離センサを用いて検出可能であり、前記距離センサの前置キャビティ(13)が、該前置キャビティ(13)の水抜きのために、遮断空気操作式の流出弁(15)を介して閉鎖可能な流出孔(14)を有することを特徴とする、振れ止め。
【請求項2】
前記距離センサは、前記操作ピストン(7)に対して平行に方向付けられており、前記押圧要素(8)は、前記距離センサから発信された距離信号(10)を反射するための、前記距離センサに向かい合って位置している反射面(9)を有することを特徴とする、請求項1記載の振れ止め。
【請求項3】
前記流出弁(15)に、無圧状態で前記流出孔(14)を開放するばね操作式の遮断ピストン(16)が割り当てられていることを特徴とする、請求項1または2記載の振れ止め。
【請求項4】
前記遮断ピストン(16)に操作側で、別個の遮断空気ポート(18)が割り当てられていることを特徴とする、請求項3記載の振れ止め。
【請求項5】
前記遮断ピストン(16)はその操作側で、遮断空気が供給されるハウジング部分に結合されていることを特徴とする、請求項3記載の振れ止め。
【請求項6】
前記距離センサと、前記前置キャビティ(13)と、前記流出孔(14)と、前記流出弁(15)とは、前記ハウジング(3)から解離可能な水抜きハウジング(11)内に収容されていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の振れ止め。
【請求項7】
前記ハウジング(3)に、該ハウジング(3)内に形成されたハウジングキャビティ(4)の少なくとも局所的な測地学的に低い地点で、少なくとも1つの遮断空気ポート(5)が割り当てられていることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の振れ止め。
【請求項8】
前記ハウジング(3)または前記水抜きハウジング(11)に、前記距離センサの領域、好ましくは前記距離センサの前記前置キャビティ(13)の領域で、遮断空気ポート(5)が割り当てられていることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の振れ止め。
【請求項9】
前記距離センサは超音波センサ(12)であることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の振れ止め。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械に工作物を保持するための振れ止めであって、実質的に垂直方向に作動可能な操作ピストンを備えており、この操作ピストンの両側方に2つのアングルレバーが配置されていて、操作ピストンは、ハウジングの内部で押圧要素を介してアングルレバーと協働し、ハウジングに、液体の侵入を回避するための遮断空気供給路が割り当てられている、振れ止めに関する。
【0002】
このような振れ止めは、既に独国特許発明第102007025924号明細書に基づいて公知である。押圧要素の位置を検出するための、ひいては振れ止めの緊締位置を監視するための距離発信器として、同明細書は、位置固定の巻上げ装置を用いて巻上げおよび繰出しを行うことができるケーブルを設けている。位置検出は、巻上げ装置の回動位置に関して行われ、この回動位置はポテンショメータを介してピックアップすることができる。ポテンショメータで測定された抵抗に関連して、操作ピストンのそれぞれの緊締位置を推測することができる。
【0003】
振れ止めは、緊締すべき工作物に3つの側から接近する3つの保持部材から成っている。緊締工程の範囲内では、操作ピストンが作動させられ、工作物にその下側から接近する真ん中の保持部材を有している。操作ピストンの両側には2つのアングルレバーが設けられており、両アングルレバーは、旋回軸線を中心にして回動可能に支持されていて、操作ピストンに結合された押圧要素の上昇によって、開放位置から閉鎖位置に移動することができる。そのために、押圧要素は転動面を有しており、この転動面で転動手段が、アングルレバーの、ハウジング内に位置している端部に支持されていて、転動面を介してアングルレバーは、操作ピストンの緊締位置に関連して変位可能となる。
【0004】
このような構成では、ケーブルのための巻上げ装置は、操作ピストンがアングルレバーと内部で協働するハウジングの外側に位置している。この構成では、工作物の加工の範囲内で発生する飛沫水、例えば冷却潤滑剤が、ハウジング内に侵入する可能性がある。ケーブルは、確かに最も低い地点でハウジングから導出されるのではないが、それにもかかわらず、ケーブルに沿って液体が下方に向かってハウジングから流出し、巻上げ装置内に侵入し、巻上げ装置に継続的に損傷を与えるということが判明している。
【0005】
このような背景を出発点として、本発明の根底にある課題は、正確な位置検出を可能にし、しかも、侵入する液体による損害および損傷を可能な限り十分に回避する、工作物を保持するための振れ止めを提案することである。
【0006】
この課題は、独立請求項1の特徴による、工作物を保持するための振れ止めによって解決される。このような振れ止めの重要な改良形態は、請求項1に続く従属請求項から認めることができる。
【0007】
本発明によれば、工作機械に工作物を保持するための振れ止めであって、実質的に垂直方向に作動可能な操作ピストンを備え、操作ピストンの両側方に2つのアングルレバーが配置されており、操作ピストンは、ハウジングの内部で押圧要素を介してアングルレバーと協働し、ハウジングに、液体の侵入を回避するための遮断空気供給路が割り当てられている、振れ止めが特定されている。このような振れ止めは、既に公知の従来技術に比べて、押圧要素の作動位置が、押圧要素の最も低い位置よりも下方でハウジングに割り当てられ距離センサを用いて検出可能であり、距離センサの前置キャビティが、前置キャビティの水抜きのために、遮断空気操作式の流出弁を介して閉鎖可能な流出孔を有する点で優れている。
【0008】
この構成には、工作機械の運転中に、つまり、液体が発生するおそれがある間に、液体がハウジング内に侵入することを防止する、好ましくは0.5~1.0バールの過圧の範囲内の遮断圧がハウジングに加えられているという利点がある。運転後に遮断空気が遮断されると、万が一なお存在している液体は、確かにハウジング内にさらに侵入するおそれがあるが、しかしながら、最も低い地点に集まり、そこで排出することができる。このような最も低い地点は、例えば距離センサの位置であってもよい。なぜならば、距離センサは、押圧要素の全移動距離を検出できるようにするために、押圧要素の最も低い移動位置よりもさらに下方に配置されていなければならないからである。
【0009】
1つには、押圧要素の位置の正確な測定を可能にし、もう1つには、ハウジングに向かって液密に遮蔽することができる距離センサの前置キャビティは、捕集槽として働くことができ、この捕集槽内に、発生する液体が流入することができ、次いで、この液体は流出孔を介して流出するので、距離センサの前に液体が存在しないことが保証されている。
【0010】
休止状況と運転状況とは互いに区別する必要がある。休止状況では、発生する液体は前置キャビティ内に流入してもよい。前置キャビティは、好ましくはハウジングキャビティの絶対的な低い地点であってもよいが、しかしながら、絶対的な低い地点である必要はない。より低い地点に別の流出部が設けられていてもよい。無圧状態、つまり遮断空気が存在していない場合には、流出孔は流出弁によって開放されているので、液体は前置キャビティから流出することができる。
【0011】
これに対して運転状況では、遮断空気がハウジング内にもたらされ、これによってハウジング内に過圧が発生する。同時に遮断空気の圧力が流出弁に加えられ、これによって流出弁を操作する。これによって遮断空気は、流出孔を通って逃げることができず、遮断空気は、ハウジング内への液体の侵入を防止するために役立つ。特に前置キャビティが空の状態に保たれるので、距離センサの測定が損なわれることはない。
【0012】
具体的な改良形態では、距離センサは、操作ピストンに対して平行に方向付けられており、押圧要素は、距離センサから発信された距離信号を反射するための、距離センサに向かい合って位置している反射面を有することが特定されていてもよい。このような構造は、種々様々なセンサによる、距離センサと押圧要素との間の距離の非接触式の検出を可能にする。このような構成において好適であると見なすことができるのは、反射面は、距離センサから発信された信号が再び距離センサに反射され、反射がそこに十分な強さで入射するように、真っ直ぐに方向付けられかつ構成されているということである。
【0013】
流出弁の構成に関して言えば、流出弁に、無圧状態で流出孔を開放するばね操作式の遮断ピストンが割り当てられていてもよい。この構成では、遮断ピストンはヘッド側の拡大部を有しており、この拡大部と当接面との間に圧縮ばねが配置されている。このような構成では、遮断ピストンの操作は、圧縮ばねの力に抗してしか行うことができない。
【0014】
好ましくは、遮断ピストンに操作側で、別個の遮断空気ポートが割り当てられていてもよい。この別個の遮断空気ポートを介して、空気供給路が提供されていてもよく、この空気供給路は、遮断ピストンを圧縮ばねのばね力に抗して流出孔内に進入させることができ、これによって流出孔を、好ましくは気密に閉鎖することができる。このことには、別個の空気ポートに基づいて流出弁を操作するための十分な圧力を保証することができるという利点がある。
【0015】
しかしながら、このような構成の代わりに、遮断ピストンはその操作側で、遮断空気が供給されるハウジング部分に結合されている構成が可能である。このような構成は、確かに同様に弁に遮断空気を供給することを必要とするが、しかしながら、必ずしも別個の管路を必要としない。
【0016】
距離センサと、前置キャビティと、流出孔と、流出弁とが、ハウジングから解離可能な水抜きハウジング内に収容されていると、幾つかの利点を得ることができる。このような構成は、アセンブリ全体の置き換えによって、位置検出装置の簡単な交換を可能にする。これによって、場合により発生する故障をより簡単に排除することができる。
【0017】
好ましくは、ハウジングに、ハウジング内に形成されたハウジングキャビティの少なくとも局所的な測地学的に低い地点で、少なくとも1つの遮断空気ポートが割り当てられていてもよい。液体は、重力に基づいて最も低い地点に集まるので、まさにそこに遮断空気をもたらすことが有意であると言える。なぜならば、さもないと遮断空気によって、既に侵入した液体を再び排出することができないからである。同様にこのような地点に、別の閉鎖可能な流出管路が設けられていてもよい。
【0018】
特に有利には、ハウジングまたは水抜きハウジングに、距離センサの領域、好ましくは距離センサの前置キャビティの領域で、遮断空気ポートが割り当てられていてもよい。遮断空気が距離センサの領域に直接もたらされると、これによって、ハウジング内部でさらに流入する液体が、距離センサからより確実に遠ざけられる。このことは特に、距離センサ自体がハウジングの最も低い地点に位置している場合に有利である。
【0019】
具体的な構成では、距離センサは超音波センサであってもよい。このような構成は、正確な位置検出を可能にし、しかも僅かな汚染に対して、例えば光学式のセンサに比べて故障しにくいので、超音波センサは、距離センサが液体によって湿潤されるおそれが大いにある本発明の適用のために特に適している。
【0020】
以下に、前述した本発明を一実施例に基づき詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】隣接する水抜きハウジングを備えた、工作物を保持するための振れ止めを側方から見て示す横断面図である。
図2】閉鎖された流出弁を備えた運転状態における、図1に示した振れ止めの水抜きハウジングを示す詳細図である。
図3】開放された流出弁を備えた択一的な休止状態における、図2に示した水抜きハウジングを示す図である。
【0022】
図1に示した振れ止め1では、側方に位置する2つのアングルレバー6を押圧要素8を介して操作するために、操作ピストン7が設けられている。図1では、振れ止め1は、閉鎖された緊締状態にあり、この緊締状態で工作物2は、操作ピストン7の保持部材とアングルレバー6とによって形成された保持面の間に固定されている。振れ止め1の緊締位置を工具制御のために信号として検出できるようにするために、距離センサとしての超音波センサ12が設けられており、この超音波センサ12は、反射面9に対する距離を検出し、ひいては押圧要素8の位置および緊締状態の推測を可能にする。押圧要素7がアングルレバー6を操作するため、これによって振れ止め1の全ての緊締状態を推測することができる。
【0023】
この位置で工作物2が加工されると、例えば冷却潤滑剤の使用によって液体が、押圧要素8とアングルレバー6および操作ピストン7の下側領域とを取り囲むハウジング3内に達することがある。押圧要素8の可能なそれぞれの位置を検出できるようにするために、超音波センサは、押圧要素8の最も低い変向部よりも下方に位置している必要があるため、侵入する液体が、超音波センサ12の前に配置された前置キャビティ13内に集まり、これによって超音波センサ12の測定値を悪化させる可能性がある。ゆえに遮断空気ポート5を介して遮断空気が、ハウジング3によって形成されたハウジングキャビティ4内にもたらされ、その結果、ハウジング3内に過圧が発生する。これによって液体の侵入を少なくとも運転中に、必ずしも完全にではなくても、十分に回避することができる。
【0024】
遮断空気の遮断後になおハウジング内に侵入する液体もさらに除去するために、最も低い地点には水抜きハウジング11が設けられており、この水抜きハウジング11は、図1の詳細図としての図2に拡大して示してある。前置キャビティ13でもって、水抜きハウジングはハウジング3に開口している。前置キャビティ13を通して超音波センサ12は、その距離信号10を送信し、この距離信号10の反射を超音波センサ12は再びキャッチする。そして反射の時間ずれによって、押圧要素8の反射面9に対する距離を推測することができる。前置キャビティ13からは、下り勾配を有する流出孔14が外方に向かって延在しており、流出孔14は、流出弁15によって閉鎖されている。これは、遮断空気の進入によってハウジング3内に0.5~1.0バールの過圧が発生し、これによって液体の侵入が回避される運転状態である。このようにして流出弁15は、遮断空気が逃げることを阻止している。流出弁5が運転状態で常に操作されていることを保証するために、水抜きハウジング11は、操作側で流出弁15に開口している別個の遮断空気ポート18を有している。流出弁15は遮断ピストン16を有しており、この遮断ピストン16は、ヘッド側の拡大部を備えていて、これによって圧縮ばね17をストッパに向かって押圧する。遮断空気ポート18を介した遮断空気の導入によって、遮断ピストンは、圧縮ばね17のばね力に抗して流出孔14内に押し込まれ、流出孔14をブロックする。
【0025】
運転状態を終了したい場合には、遮断空気も同様に遮断され、遮断空気ポート18にはもはや圧力が存在しなくなる。この休止状態は図3に示してある。圧縮ばね17のばね力に基づいて、遮断ピストン16は流出孔14から押し出され、ハウジング3内に流入する液体は、液体溜めを形成する前置キャビティ13内に集まり、流出孔14を介してハウジング3から流出することができる。
【0026】
したがって、前述したように、正確な位置検出を可能にし、しかも、侵入する液体による損害および損傷を可能な限り十分に回避する、工作物を保持するための振れ止めを提案することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 振れ止め
2 工作物
3 ハウジング
4 ハウジングキャビティ
5 3の遮断空気ポート
6 アングルレバー
7 操作ピストン
8 押圧要素
9 反射面
10 距離信号
11 水抜きハウジング
12 超音波センサ
13 前置キャビティ
14 流出孔
15 流出弁
16 遮断ピストン
17 圧縮ばね
18 11の遮断空気ポート
図1
図2
図3
【外国語明細書】