(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088492
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】上着
(51)【国際特許分類】
A41D 27/28 20060101AFI20240625BHJP
A41D 1/02 20060101ALI20240625BHJP
A41D 27/00 20060101ALI20240625BHJP
A41D 27/10 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
A41D27/28 D
A41D1/02 Z
A41D27/00 A
A41D27/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203698
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】597129584
【氏名又は名称】株式会社TS DESIGN
(74)【代理人】
【識別番号】100132964
【弁理士】
【氏名又は名称】信末 孝之
(72)【発明者】
【氏名】藤原 洋明
【テーマコード(参考)】
3B031
3B035
【Fターム(参考)】
3B031AA07
3B031AA08
3B031AA20
3B031AB06
3B031AC04
3B031AC05
3B031AC13
3B035AA04
3B035AA09
3B035AB03
3B035AD16
(57)【要約】
【課題】脇底部の通気性を向上させるとともに、見栄えも良くした上着を提供する。
【解決手段】前身頃1と後見頃2との間の胴側襠部4と、袖3の内側の袖側襠部5と、胴側襠部4と袖側襠部5との対向部に形成された脇底開口部6と、脇底開口部6から内側方向に形成された袋状メッシュ部9とを有した上着である。脇底開口部6は複数に分割されており、広がった脇底開口部6からは、袋状メッシュ部9のメッシュ素材が見えるようになっている。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前身頃と後見頃との間の胴側襠部と、袖の内側の袖側襠部と、前記胴側襠部と前記袖側襠部との対向部に形成された脇底開口部と、前記脇底開口部から内側方向に形成された袋状メッシュ部とを有することを特徴とする上着。
【請求項2】
前記脇底開口部が複数に分割されていることを特徴とする請求項1に記載の上着。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上着に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、事務服や作業服等の上着は、夏場などの高温の環境下では汗をかきやすいため、薄手の通気性の良い素材が用いられているが、こうした素材を用いたとしても依然として脇の下には大量の汗をかくのが実情である。
【0003】
これに対して、特許文献1には、脇底部にスリット部を形成し、スリット部をメッシュ素材で裏面から覆って縫い付けた上着に関する発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された発明は、脇底部の通気性を良くして脇の下の汗をかきにくくするとともに、スリット部の裏側をメッシュ素材で覆うことでスリットが必要以上に開口することを阻止して体裁を良くするものである。
【0006】
しかしながら、通気性の観点からはスリットが大きく開口することが好ましく、通気性と見栄えを両立させることが望まれる。
【0007】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、脇底部の通気性を向上させるとともに、見栄えも良くした上着を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の上着は、前身頃と後見頃との間の胴側襠部と、袖の内側の袖側襠部と、前記胴側襠部と前記袖側襠部との対向部に形成された脇底開口部と、前記脇底開口部から内側方向に形成された袋状メッシュ部とを有することを特徴とする。
【0009】
また好ましくは、前記脇底開口部が複数に分割されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の上着は、前身頃と後見頃との間の胴側襠部と、袖の内側の袖側襠部と、胴側襠部と袖側襠部との対向部に形成された脇底開口部と、脇底開口部から内側方向に形成された袋状メッシュ部とを有している。そして、脇底開口部の広がりに応じて上着の内側で袋状メッシュ部が膨らむようになっているので、裏側からメッシュ素材で覆うのに比べて脇底開口部が開口しやすく通気性を向上させることができる。また、脇底開口部からはメッシュ素材が見えるだけなので見栄えも良い。
【0011】
また、脇底開口部を複数に分割することにより開口の大きさを調整することができ、通気性と見栄えをさらに両立させることができる。
【0012】
このように、本発明によれば、脇底部の通気性を向上させるとともに、見栄えも良くした上着を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係る上着を示す正面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る上着を示す背面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る上着を示す右側面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る上着を示す左側面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る上着を示す平面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る上着を示す底面図である。
【
図10】脇底部を平面状にして脇底開口部を広げた状態を示す図である。
【
図12】他の実施形態に係る
図10のC-C線拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、
図1乃至
図12を参照して、本発明の実施形態に係る上着について説明する。本実施形態に係る上着は、ナイロン素材を用いた軽量の襟付き上着である。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、様々な形状、素材の上着に適用することができる。
【0015】
図1~
図6は、本実施形態に係る上着100を示す正面図、背面図、右側面図、左側面図、平面図、底面図である。上着100の胴は、前合わせ30の両側の前身頃1a,1bと、後見頃2とから形成されている。そして、前身頃1aと後見頃2との間には銅側襠部4aが、前身頃1bと後見頃2との間には銅側襠部4bが、それぞれ設けられている。また、上部には襟20が設けられている。
【0016】
上着100の胴の両側には、袖3a,3bが設けられている。そして、袖3aの内側には袖側襠部4aが、袖3bの内側には袖側襠部4bが、それぞれ設けられている。
【0017】
胴側襠部4aと袖側襠部5aとの対向部は脇底部Xaとなっており、胴側襠部4bと袖側襠部5bとの対向部は脇底部Xbとなっている。
【0018】
次に、脇底部Xa,Xbについて詳細に説明する。なお、脇底部Xa,Xbは左右対称の同一構造のため、以下の説明においては各符号の添字a,bを省略する。
【0019】
図7は、脇底部Xを平面状にした状態を示す図である。胴側襠部4は前身頃1と後見頃2との間に、縫い代8を介して縫い付けられている。同様に、袖側襠部5は袖3の内側端部の間に縫い代8を介して縫い付けられている。そして、前身頃1と袖3、後見頃2と袖3が、それぞれ縫い代8を介して縫い付けられている。なお、
図7では、前身頃1、後見頃2、袖3,3、胴側襠部4及び袖側襠部5を格子状に配置しているが、各々の部位の形状や幅などにより、複数の部位に跨る縫い代8が連続せずにずれていたり、縫い代8自体が曲がっていたりしてもよい。
【0020】
胴側襠部4と袖側襠部5との対向部には、スリット状の脇底開口部6が形成されている。そして、胴側襠部4と袖側襠部5との対向部の4箇所が、分割部7,7,7,7により部分的に縫い付けられており、これにより脇底開口部6が、胴側襠部4と袖側襠部5との対向部に沿って、6a,6b,6cの3つに分割されている。脇底開口部6a,6b,6cの各々の幅は同一であってもよいし、異なっていてもよい。なお、胴側襠部4と袖側襠部5との対向部のうち、両端の分割部7,7より外側部分は縫い付けられて閉じている。
【0021】
図8は
図7のA-A線断面図であり、
図9は
図7のB-B線拡大断面図である。脇底開口部6の内側方向(上着内部の側)には、袋状メッシュ部9が形成されている。袋状メッシュ部9は、重ねられた2枚のメッシュ素材9a,9bから構成されている。一方のメッシュ素材9aの一辺は胴側襠部4の端部(
図9における上端)に固定されており、他方のメッシュ素材9bの一辺は袖側襠部5の端部(
図9における下端)に固定されている。
【0022】
2枚のメッシュ素材9a,9bのその他の周縁部10(脇底開口部側以外の周縁部)は、縫い付けや溶着等により閉じられている。以上により、2枚のメッシュ素材9a,9bにより一辺(脇底開口部側)を開口した袋状メッシュ部9が形成されている。なお、
図8では袋状メッシュ部9を平面視矩形状としているが、これに限定されるものではなく、例えば周縁部10が曲線状であってもよい。また、
図9に示す脇底開口部6が広がる前の状態において、袋状メッシュ部9が平らではなく膨らんだ形状であってもよい。
【0023】
次に、脇底開口部6の広がりについて説明する。
図10は脇底部Xを平面状にして脇底開口部6を広げた状態を示す図であり、
図11は
図10のC-C線拡大断面図である。
【0024】
着用者の動き等により、脇底部Xにおいて胴側襠部4と袖側襠部5との対向部が離れる方向に力が加わると、脇底開口部6が広がる。このとき袋状メッシュ部9は、
図11に示すように開口部の動きに追従して膨らむので、開口部の動きを規制することない。また、広がった脇底開口部6からは、袋状メッシュ部9のメッシュ素材9a,9bが見えるようになっており、内側の衣類や素肌が直接見えることはない。
【0025】
なお、本実施形態では、4つの分割部7により脇底開口部6を3つに分割しているが、分割する数や大きさによって、開口の大きさを調整することができる。両端の距離が同じであれば、分割数が少ないほど開口は大きくなり、分割数が多いほど開口は小さくなるので、通気性と見栄えのバランスに応じて分割数を適宜決定することができる。
【0026】
本実施形態に係る上着100は、前身頃1と後見頃2との間の胴側襠部4と、袖3の内側の袖側襠部5と、胴側襠部4と袖側襠部5との対向部に形成された脇底開口部6と、脇底開口部6から内側方向に形成された袋状メッシュ部9とを有している。そして、脇底開口部6の広がりに応じて上着の内側で袋状メッシュ部9が膨らむようになっているので、裏側からメッシュ素材で覆うのに比べて脇底開口部6が開口しやすく通気性を向上させることができる。また、脇底開口部6からはメッシュ素材が見えるだけなので見栄えも良い。
【0027】
また、脇底開口部6を複数に分割することにより開口の大きさを調整することができ、通気性と見栄えをさらに両立させることができる。
【0028】
このように、本実施形態に係る上着は、脇底部の通気性を向上させるとともに、見栄えも良くしたものである。
【0029】
以上、本実施形態に係る上着について説明したが、本発明は上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。
【0030】
例えば、本実施形態においては、袋状メッシュ部9を2枚のメッシュ素材9a,9bにより構成したが、
図12に示す他の実施形態のように、1枚のメッシュ素材9cを折り返すようにして構成してもよい。
【0031】
また、脇底開口部を分割せずに、1つの開口部としてもよい。
【0032】
また、各部材の接合は、縫い付け以外の方法で行ってもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 前身頃
2 後見頃
3 袖
4 胴側襠部
5 袖側襠部
6 脇底開口部
7 分割部
8 縫い代
9 袋状メッシュ部
10 周縁部
20 襟
30 前合わせ
100 上着
X 脇底部