(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088494
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】健康管理システム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/60 20180101AFI20240625BHJP
【FI】
G16H20/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203705
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】518366544
【氏名又は名称】株式会社ウェルナス
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小山 正浩
(72)【発明者】
【氏名】山口 翔平
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】個人差を考慮して健康を管理することができるようにする。
【解決手段】健康管理システムであって、ユーザが摂取した食成分の摂取量とユーザのバイタルデータとの多変量解析により作成されたバイタルデータを予測するための推定モデルを記憶するモデル記憶部と、ユーザのバイタルデータの現在値及び目標値ならびにユーザが予定する頻度を記憶する設定情報記憶部と、ユーザが摂取する予定の献立を取得する献立取得部と、目標値及び現在値の差に応じて、推定モデルに含まれる、バイタルデータを改善又は悪化させる食成分である改善食成分又は悪化食成分を特定し、取得した献立において改善食成分を増やすこと及び悪化食成分を減らすことの少なくともいずれかを行うように、頻度に応じた食数分の献立を変更する献立変更部と、を備えることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが摂取した食成分の摂取量と前記ユーザのバイタルデータとの多変量解析により作成された前記バイタルデータを予測するための推定モデルを記憶するモデル記憶部と、
前記ユーザの前記バイタルデータの現在値及び目標値ならびに前記ユーザが予定する頻度を記憶する設定情報記憶部と、
前記ユーザが摂取する予定の献立を取得する献立取得部と、
前記目標値及び前記現在値の差に応じて、前記推定モデルに含まれる、前記バイタルデータを改善又は悪化させる前記食成分である改善食成分又は悪化食成分を特定し、取得した前記献立において前記改善食成分を増やすこと及び前記悪化食成分を減らすことの少なくともいずれかを行うように、前記頻度に応じた食数分の前記献立を変更する献立変更部と、
を備えることを特徴とする健康管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の健康管理システムであって、
前記ユーザから前記頻度の指定を受け付けて設定情報記憶部に登録する設定情報登録部を備えること、
を特徴とする健康管理システム。
【請求項3】
請求項1に記載の健康管理システムであって、
食物ごとに前記食物に含まれる前記食成分の含有量を記憶する食物記憶部を備え、
前記献立変更部は、前記食物記憶部を参照して前記改善食成分及び前記悪化食成分の少なくともいずれかを含む前記食物を特定し、
前記献立変更部は、
前記献立に前記改善食成分を含む前記食物を追加し、又は前記献立に含まれる前記改善食成分を含む前記食物の量を増やすこと、及び、
前記献立から前記悪化食成分を含む前記食物を削除し、又は前記献立に含まれる前記悪化食成分を含む前記食物の量を減らすこと、
の少なくともいずれかを行うこと、
を特徴とする健康管理システム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の健康管理システムであって、
前記献立変更部は、前記献立のカロリーを維持するように、前記献立を変更すること、
を特徴とする健康管理システム。
【請求項5】
請求項3に記載の健康管理システムであって、
前記ユーザの前記バイタルデータの現在値及び目標値を記憶する設定情報記憶部を備え、
前記献立変更部は、前記献立に含まれる前記食成分の前記含有量を前記推定モデルに与えて求められる前記バイタルデータの予測値が、前記現在値及び前記目標値に応じて前記バイタルデータを改善すると判定されるように、前記改善食成分を含む前記食物を前記献立に追加し、又は前記献立に含まれる、前記改善食成分を含む前記食物の量を増やすこと、及び、前記献立から前記悪化食成分を含む前記食物を削除し、又は前記献立に含まれる前記悪化食成分を含む前記食物の量を減らすこと、の少なくともいずれかを行うこと、
を特徴とする健康管理システム。
【請求項6】
請求項3に記載の健康管理システムであって、
前記ユーザの前記バイタルデータの現在値及び目標値を記憶する設定情報記憶部を備え、
前記献立変更部は、前記献立に含まれる前記食成分の前記含有量を前記推定モデルに与えて求められる前記バイタルデータの予測値と前記目標値との差が所定範囲内に入るように、前記改善食成分を含む前記食物を前記献立に追加し、又は前記献立に含まれる、前記改善食成分を含む前記食物の量を増やすこと、及び、前記献立から前記悪化食成分を含む前記食物を削除し、又は前記献立に含まれる前記悪化食成分を含む前記食物の量を減らすこと、の少なくともいずれかを行うこと、
を特徴とする健康管理システム。
【請求項7】
請求項5に記載の健康管理システムであって、
前記推定モデルは、前記摂取量及び前記ユーザによる食事の頻度と前記バイタルデータとの多変量解析により作成され、
前記設定情報記憶部は、前記ユーザが予定する前記頻度、前記現在値及び前記目標値を記憶し、
前記献立変更部は、前記献立に含まれる前記食成分の前記含有量及び前記設定情報記憶部が記憶する前記頻度を前記推定モデルに与えて求められる前記バイタルデータの予測値が、前記現在値及び前記目標値に応じて前記バイタルデータを改善すると判定されるように、前記改善食成分を含む前記食物を前記献立に追加し、又は前記献立に含まれる、前記改善食成分を含む前記食物の量を増やすこと、及び、前記献立から前記悪化食成分を含む前記食物を削除し、又は前記献立に含まれる前記悪化食成分を含む前記食物の量を減らすこと、の少なくともいずれかを行うこと、
を特徴とする健康管理システム。
【請求項8】
請求項5に記載の健康管理システムであって、
前記推定モデルは、前記摂取量及び前記ユーザによる食事の頻度と前記バイタルデータとの多変量解析により作成され、
前記設定情報記憶部は、前記ユーザが予定する前記頻度、前記現在値及び前記目標値を記憶し、
前記献立変更部は、前記献立に含まれる前記食成分の前記含有量及び前記設定情報記憶部が記憶する前記頻度を前記推定モデルに与えて求められる前記バイタルデータの予測値と前記目標値との差が所定範囲内に入るように、前記改善食成分を含む前記食物を前記献立に追加し、又は前記献立に含まれる、前記改善食成分を含む前記食物の量を増やすこと、及び、前記献立から前記悪化食成分を含む前記食物を削除し、又は前記献立に含まれる前記悪化食成分を含む前記食物の量を減らすこと、の少なくともいずれかを行うこと、
を特徴とする健康管理システム。
【請求項9】
請求項1に記載の健康管理システムであって、
前記推定モデル記憶部は、前記ユーザによる食事の頻度ごとに、前記推定モデルを記憶し、
前記設定情報記憶部は、前記ユーザが予定する前記頻度、前記現在値及び前記目標値を記憶し、
前記献立変更部は、前記設定情報記憶部が記憶する前記頻度に対応する前記推定モデルを前記モデル記憶部から取得すること、
を特徴とする健康管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
食生活習慣を改善するようなアドバイスを提供することが行われている。たとえば、特許文献1には、食事情報やバイタルデータを分析してアドバイスを提供するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のシステムでは、事前にデータベースとしてアドバイスを準備しておく必要があるため、個人差を考慮することは難しい。
【0005】
本発明はこのような背景を鑑みてなされたものであり、個人差を考慮して健康を管理することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の主たる発明は、健康管理システムであって、ユーザが摂取した食成分の摂取量と前記ユーザのバイタルデータとの多変量解析により作成された前記バイタルデータを予測するための推定モデルを記憶するモデル記憶部と、前記ユーザの前記バイタルデータの現在値及び目標値ならびに前記ユーザが予定する頻度を記憶する設定情報記憶部と、前記ユーザが摂取する予定の献立を取得する献立取得部と、前記目標値及び前記現在値の差に応じて、前記推定モデルに含まれる、前記バイタルデータを改善又は悪化させる前記食成分である改善食成分又は悪化食成分を特定し、取得した前記献立において前記改善食成分を増やすこと及び前記悪化食成分を減らすことの少なくともいずれかを行うように、前記頻度に応じた食数分の前記献立を変更する献立変更部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、個人差を考慮して健康を管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る健康管理システムの全体構成例を示す図である。
【
図2】ユーザ端末1のハードウェア構成例を示す図である。
【
図3】ユーザ端末1のソフトウェア構成例を示す図である。
【
図4】提案装置2のハードウェア構成例を示す図である。
【
図5】第1の実施形態に係る提案装置2のソフトウェア構成例を示す図である。
【
図6】バイタルデータ記憶部231の構成例を示す図である。
【
図7】食成分記憶部232の構成例を示す図である。
【
図8】第1の実施形態に係る健康管理システムにおいて実行される処理を示す図である。
【
図9】ユーザ端末1が表示する食情報の一例を示す図である。
【
図10】第2の実施形態に係る提案装置2のソフトウェア構成例を示す図である。
【
図11】食事摂取基準記憶部234の構成例を示す図である。
【
図12】第2の実施形態に係る健康管理システムにおいて実行される処理を示す図である。
【
図13】第2の実施形態においてユーザ端末1が表示する食情報の一例を示す図である。
【
図15】第3の実施形態に係る提案装置2のソフトウェア構成例を示す図である。
【
図16】機能性食品情報記憶部235の構成例を示す図である。
【
図17】第3の実施形態に係る健康管理システムにおいて実行される処理を示す図である。
【
図18】第3の実施形態においてユーザ端末1が表示する食情報の一例を示す図である。
【
図19】本発明による食の個人最適化のイメージ図である。
【
図20】
図19の被験者5を例にした個人最適食を算出するイメージである。
【
図21】本発明による健康寿命の延伸を実現するためのステップのイメージ図である。
【
図22】本発明による健康寿命の延伸を実現するためのステップの他のイメージ図である。
【
図23】本発明による最適食の決定のフローを示す全体図である。
【
図27】本発明による基準食情報と最適食情報との差分から献立の生成のフローを示す全体図である。
【
図28】本発明による最適食情報のみから献立の生成のフローを示す全体図である。
【
図29】第6の実施形態に係る提案装置2のソフトウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<発明の概要>
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明は、たとえば、以下のような構成を備える。
[項目1]
ユーザが摂取した食成分の摂取量と前記ユーザのバイタルデータとの多変量解析により作成された前記バイタルデータを予測するための推定モデルを記憶するモデル記憶部と、
前記ユーザの前記バイタルデータの現在値及び目標値ならびに前記ユーザが予定する頻度を記憶する設定情報記憶部と、
前記ユーザが摂取する予定の献立を取得する献立取得部と、
前記目標値及び前記現在値の差に応じて、前記推定モデルに含まれる、前記バイタルデータを改善又は悪化させる前記食成分である改善食成分又は悪化食成分を特定し、取得した前記献立において前記改善食成分を増やすこと及び前記悪化食成分を減らすことの少なくともいずれかを行うように、前記頻度に応じた食数分の前記献立を変更する献立変更部と、
を備えることを特徴とする健康管理システム。
[項目2]
項目1に記載の健康管理システムであって、
前記ユーザから前記頻度の指定を受け付けて設定情報記憶部に登録する設定情報登録部を備えること、
を特徴とする健康管理システム。
[項目3]
項目1に記載の健康管理システムであって、
食物ごとに前記食物に含まれる前記食成分の含有量を記憶する食物記憶部を備え、
前記献立変更部は、前記食物記憶部を参照して前記改善食成分及び前記悪化食成分の少なくともいずれかを含む前記食物を特定し、
前記献立変更部は、
前記献立に前記改善食成分を含む前記食物を追加し、又は前記献立に含まれる前記改善食成分を含む前記食物の量を増やすこと、及び、
前記献立から前記悪化食成分を含む前記食物を削除し、又は前記献立に含まれる前記悪化食成分を含む前記食物の量を減らすこと、
の少なくともいずれかを行うこと、
を特徴とする健康管理システム。
[項目4]
項目1ないし3のいずれか1項に記載の健康管理システムであって、
前記献立変更部は、前記献立のカロリーを維持するように、前記献立を変更すること、
を特徴とする健康管理システム。
[項目5]
項目3に記載の健康管理システムであって、
前記ユーザの前記バイタルデータの現在値及び目標値を記憶する設定情報記憶部を備え、
前記献立変更部は、前記献立に含まれる前記食成分の前記含有量を前記推定モデルに与えて求められる前記バイタルデータの予測値が、前記現在値及び前記目標値に応じて前記バイタルデータを改善すると判定されるように、前記改善食成分を含む前記食物を前記献立に追加し、又は前記献立に含まれる、前記改善食成分を含む前記食物の量を増やすこと、及び、前記献立から前記悪化食成分を含む前記食物を削除し、又は前記献立に含まれる前記悪化食成分を含む前記食物の量を減らすこと、の少なくともいずれかを行うこと、
を特徴とする健康管理システム。
[項目6]
項目3に記載の健康管理システムであって、
前記ユーザの前記バイタルデータの現在値及び目標値を記憶する設定情報記憶部を備え、
前記献立変更部は、前記献立に含まれる前記食成分の前記含有量を前記推定モデルに与えて求められる前記バイタルデータの予測値と前記目標値との差が所定範囲内に入るように、前記改善食成分を含む前記食物を前記献立に追加し、又は前記献立に含まれる、前記改善食成分を含む前記食物の量を増やすこと、及び、前記献立から前記悪化食成分を含む前記食物を削除し、又は前記献立に含まれる前記悪化食成分を含む前記食物の量を減らすこと、の少なくともいずれかを行うこと、
を特徴とする健康管理システム。
[項目7]
項目5に記載の健康管理システムであって、
前記推定モデルは、前記摂取量及び前記ユーザによる食事の頻度と前記バイタルデータとの多変量解析により作成され、
前記設定情報記憶部は、前記ユーザが予定する前記頻度、前記現在値及び前記目標値を記憶し、
前記献立変更部は、前記献立に含まれる前記食成分の前記含有量及び前記設定情報記憶部が記憶する前記頻度を前記推定モデルに与えて求められる前記バイタルデータの予測値が、前記現在値及び前記目標値に応じて前記バイタルデータを改善すると判定されるように、前記改善食成分を含む前記食物を前記献立に追加し、又は前記献立に含まれる、前記改善食成分を含む前記食物の量を増やすこと、及び、前記献立から前記悪化食成分を含む前記食物を削除し、又は前記献立に含まれる前記悪化食成分を含む前記食物の量を減らすこと、の少なくともいずれかを行うこと、
を特徴とする健康管理システム。
[項目8]
項目5に記載の健康管理システムであって、
前記推定モデルは、前記摂取量及び前記ユーザによる食事の頻度と前記バイタルデータとの多変量解析により作成され、
前記設定情報記憶部は、前記ユーザが予定する前記頻度、前記現在値及び前記目標値を記憶し、
前記献立変更部は、前記献立に含まれる前記食成分の前記含有量及び前記設定情報記憶部が記憶する前記頻度を前記推定モデルに与えて求められる前記バイタルデータの予測値と前記目標値との差が所定範囲内に入るように、前記改善食成分を含む前記食物を前記献立に追加し、又は前記献立に含まれる、前記改善食成分を含む前記食物の量を増やすこと、及び、前記献立から前記悪化食成分を含む前記食物を削除し、又は前記献立に含まれる前記悪化食成分を含む前記食物の量を減らすこと、の少なくともいずれかを行うこと、
を特徴とする健康管理システム。
[項目9]
項目1に記載の健康管理システムであって、
前記推定モデル記憶部は、前記ユーザによる食事の頻度ごとに、前記推定モデルを記憶し、
前記設定情報記憶部は、前記ユーザが予定する前記頻度、前記現在値及び前記目標値を記憶し、
前記献立変更部は、前記設定情報記憶部が記憶する前記頻度に対応する前記推定モデルを前記モデル記憶部から取得すること、
を特徴とする健康管理システム。
【0011】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る健康管理システムの全体構成例を示す図である。同図に示すように、第1の実施形態に係る健康管理システムは、ユーザ端末1及び提案装置2を含んで構成される。ユーザ端末1と提案装置2とは通信ネットワーク3を介して通信可能に接続される。通信ネットワーク3は、たとえばインターネットであり、イーサネット(登録商標)や公衆電話回線網、専用電話回線網、携帯電話回線網、無線通信路などにより構築される。
【0012】
ユーザ端末1は、健康管理の対象となるユーザが操作するコンピュータである。ユーザ端末1は、たとえばスマートフォンやタブレットコンピュータ、パーソナルコンピュータなどである。ユーザ端末1は、バイタルセンサ4と通信可能に接続される。ユーザ端末1とバイタルセンサ4との間は、たとえばBluetooth(登録商標) Low Energy(BLE)やシリアル通信などにより通信が行われる。本実施形態において、バイタルセンサ4は、血圧計を想定している。
【0013】
提案装置2は、ユーザに対して食事に関する情報を提供するコンピュータである。提案装置2は、たとえば、パーソナルコンピュータやワークステーションなどである。提案装置2は、クラウドコンピューティングによる仮想的なコンピュータとして構成することもできる。
【0014】
本実施形態に係る健康管理システムは、ユーザが摂取している栄養素等の食成分と、ユーザのバイタルデータとに応じて食事に関する提案を行おうとするものである。第1の実施形態では、バイタルデータ、とくに収縮期血圧の安定又は上昇に影響する食成分を特定して出力することにより、食事のメニューを検討する際の参考にすることができる。本実施の形態によるバイタルデータは、身長、体重、BMI、体脂肪率、筋肉量、骨密度、血圧、脈拍、脈波、体温、心電図、血中酸素濃度、呼吸数などを含み得るがこれに限られない。
【0015】
図2は、ユーザ端末1のハードウェア構成例を示す図である。ユーザ端末1は、CPU101、メモリ102、記憶装置103、通信インタフェース104、タッチパネルディスプレイ105、カメラ106を備える。記憶装置103は、各種のデータやプログラムを記憶する、たとえばハードディスクドライブやソリッドステートドライブ、フラッシュメモリなどである。通信インタフェース104は、通信ネットワーク3に接続するためのインタフェースであり、たとえばイーサネット(登録商標)に接続するためのアダプタ、公衆電話回線網に接続するためのモデム、無線通信を行うための無線通信機、シリアル通信のためのUSB(Universal Serial Bus)コネクタやRS232Cコネクタなどである。タッチパネルディスプレイ105は、データの入出力を行うデバイスである。カメラ106は撮影対象の画像データを生成する。
【0016】
図3は、ユーザ端末1のソフトウェア構成例を示す図である。ユーザ端末1は、バイタルデータ取得部111、食事画像撮影部112、食成分取得部113、ユーザデータ送信部114、食情報受信部115、食情報表示部116、バイタルデータ記憶部131、食成分記憶部132を備える。
【0017】
バイタルデータ取得部111は、バイタルセンサ4からバイタルデータを取得する。本実施形態では、バイタルセンサ4は血圧計を想定しており、バイタルデータ取得部111は、収縮期血圧及び拡張期血圧を取得するものとする。なお、バイタルセンサ4を複数用意して、複数のバイタルデータを取得するようにしてもよい。バイタルデータ取得部111は、取得したバイタルデータをバイタルデータ記憶部131に登録する。バイタルデータ記憶部131は、バイタルセンサ4がバイタルデータを計測した日時(あるいはバイタルデータ取得部111がバイタルセンサ4からバイタルデータを受信した日時)と、ユーザを特定する情報(以下、ユーザIDという。)と、バイタルデータの種類を識別する情報(以下、バイタルデータIDという。)とに対応付けて、バイタルデータを蓄積することができる。
【0018】
食事画像撮影部112は、ユーザが摂る食事の画像(以下、食事画像という。)を撮影する。食事画像撮影部112は、ユーザの操作によりカメラ106を起動して食事画像を取得すればよい。
【0019】
食成分取得部113は、食事画像に基づいて、ユーザが摂取した栄養素やエネルギー等の食成分の量を取得する。食成分取得部113は、たとえば、食事画像を栄養士等の外部専門家に送信し、外部専門家に食成分及びその含有量を入力させて、外部専門家からこれらを受信するようにすることができる。また、食成分取得部113は、機械学習等により画像に含まれる食成分の量を学習し、食事画像を画像解析することにより食成分の含有量を推定するようにしてもよい。なお、食成分取得部113は、画像解析に依らずに、ユーザから摂取した栄養素等の入力を受け付けるようにしてもよい。食成分取得部113は、取得した食成分の摂取量を食成分記憶部132に登録する。食成分記憶部132は、たとえば、ユーザが食事を摂った日時に対応付けて、ユーザIDと、食成分を特定する情報(以下、食成分IDという。)と、当該食成分の摂取量とを記録することができる。
【0020】
ユーザデータ送信部114は、ユーザのバイタルデータと、ユーザによる食成分の摂取量とを含む情報(以下、ユーザデータという。)を提案装置2に送信する。ユーザデータ送信部114は、たとえば、1日に1回、前日分のバイタルデータと食成分の摂取量とをバイタルデータ記憶部131と食成分記憶部132とから読み出してユーザデータとして提案装置2に送信するようにしてもよいし、バイタルデータが取得される度にバイタルデータのみを含むユーザデータを提案装置2に送信し、食成分を取得する度に食成分の摂取量のみを含むユーザデータを提案装置2に送信するようにしてもよい。
【0021】
食情報受信部115は、提案装置2から送信される、ユーザの食事に関する情報(以下、食情報という。)を受信し、食情報表示部116は、食情報を表示する。
【0022】
図4は、提案装置2のハードウェア構成例を示す図である。同図に示すように、提案装置2は、CPU201、メモリ202、記憶装置203、通信インタフェース204、入力装置205、出力装置206を備える。記憶装置203は、各種のデータやプログラムを記憶する、たとえばハードディスクドライブやソリッドステートドライブ、フラッシュメモリなどである。通信インタフェース204は、通信ネットワーク3に接続するためのインタフェースであり、たとえばイーサネット(登録商標)に接続するためのアダプタ、公衆電話回線網に接続するためのモデム、無線通信を行うための無線通信機、シリアル通信のためのUSBコネクタやRS232Cコネクタなどである。入力装置205は、データを入力する、たとえばキーボードやマウス、タッチパネル、ボタン、マイクロフォンなどである。出力装置206は、データを出力する、たとえばディスプレイやプリンタ、スピーカなどである。
【0023】
図5は、第1の実施形態に係る提案装置2のソフトウェア構成例を示す図である。同図に示すように、提案装置2は、バイタルデータ取得部211、食成分取得部212、解析処理部213、食情報出力部214、バイタルデータ記憶部231及び食成分記憶部232を備える。
【0024】
バイタルデータ取得部211は、ユーザのバイタルデータを取得する。本実施形態では、バイタルデータ取得部211は、ユーザ端末1から送信されるユーザデータからバイタルデータを取得するものとする。バイタルデータ取得部211は、取得したバイタルデータをバイタルデータ記憶部231に登録する。
図6は、バイタルデータ記憶部231の構成例を示す図である。バイタルデータ記憶部231は、ユーザを識別するユーザIDに対応付けて、バイタルデータを測定した日時、バイタルデータの種類を示すバイタルデータID及びバイタルデータの測定値を対応付けて記憶する。
【0025】
食成分取得部212は、ユーザが摂取した食成分を取得する。本実施形態では、食成分取得部212は、ユーザ端末1から送信されるユーザデータから食成分を取得するものとする。食成分取得部212は、取得した食成分を食成分記憶部232に登録する。
図7は、食成分記憶部232の構成例を示す図である。食成分記憶部232は、ユーザID、ユーザが食事を摂った日時、食成分を識別する食成分ID、及び食成分の摂取量を対応付けて記憶する。
【0026】
解析処理部213は、食成分とバイタルデータとの関係を解析する。第1の実施形態では、解析処理部213は、たとえば、摂取エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミンAなどの各種食成分のそれぞれについて、バイタルデータ(収縮期血圧又は拡張期血圧など)との単回帰分析を行うことができる。
【0027】
食情報出力部214は、ユーザの食事に関する情報(以下、食情報という。)を出力する。第1の実施形態では、食情報出力部214は、各食成分の単相関係数を食情報としてユーザ端末1に送信することができる。食情報出力部214は、バイタルデータの種類に応じて、正の相関及び負の相関のいずれかを有する食成分について、バイタルデータを改善する食成分とし、正の相関及び負の相関の他方を有する食成分について、バイタルデータを悪化させる食成分として、バイタルデータを改善又は悪化させる食成分を区別して出力することができる。
【0028】
図8は、第1の実施形態に係る健康管理システムにおいて実行される処理を示す図である。ユーザ端末1において、バイタルデータ取得部111は、バイタルセンサ4からバイタルデータを取得する(S301)。食事画像撮影部112は、カメラ106を制御して食事画像を撮影し(S302)、食成分取得部113は、撮影した食事画像を解析して、食事に含まれている食成分の含有量を特定する(S303)。ユーザデータ送信部114は、バイタルデータ及び食成分の含有量を含むユーザデータを送信する(S304)。
【0029】
提案装置2はユーザデータを受信すると、バイタルデータ取得部211がユーザデータからバイタルデータを取得し、食成分取得部212はユーザデータから食成分の摂取量を取得する。解析処理部213は、各食成分とバイタルデータとの相関を解析する(S306)。食情報出力部214は、各食成分について、正又は0の相関係数である食成分を、バイタルデータを改善する成分(改善食成分)と、負の相関係数である食成分を、バイタルデータを悪化させる成分(悪化食成分)とを含む食情報をユーザ端末1に送信する(S307)。なお、バイタルデータによっては、たとえば、適正値を上回った体重や血圧などの場合であれば、正の相関係数の説明変数は悪化因子となり、負の相関係数の説明変数は改善因子となる。従って、改善/悪化の定義付けにおいては、当該ユーザの各バイタルデータが適正値よりも、過剰なのか、不足なのかを考慮すべきである。
【0030】
ユーザ端末1において、食情報受信部115は、提案装置から送信される食情報を受信し(S308)、食情報表示部116は、受信した食情報をタッチパネルディスプレイ105に表示する(S309)。
【0031】
以上のようにして、ユーザ端末1には、ユーザのバイタルデータを改善又は悪化させる食成分が出力される。したがって、ユーザの食事作成時の参考にすることができる。
【0032】
図9は、ユーザ端末1が表示する食情報の一例を示す図である。
図9(a)に示されるように、被験者13は、図示される相関係数の炭水化物やエネルギーを摂取すると体重が上昇し、たんぱく質を摂取すると体重が低下することが分かる。これに対して、
図9(b)に示されるように、被験者21では、ナトリウムや鉄、ビタミンB1、ビタミンCなどを摂取すると体重が上昇し、ビタミンB2やビタミンAを摂取すると体重が低下することが分かる。このように、個々人で体重に関与する食成分が異なる。正の相関係数がより大きな食成分を減らし、負の相関係数がより小さな食成分を増加させる食事によって、効果的に体重を減少できる。食成分は、ユーザによって異なる効果を発揮するところ、本実施形態の健康管理システムでは、ユーザ端末1にどの食成分がユーザのバイタルデータに影響を与えるのかを表示することができる。
【0033】
<第2の実施形態>
第1の実施形態では、食情報としてバイタルデータに対する単回帰係数に基づく食成分を表示したが、第2の実施形態では、食情報としてバイタルデータを目的変数とし食成分を説明変数として多変量解析(重回帰分析)を行い、各食成分の係数を出力するとともに、バイタルデータの目標値を受け付け、バイタルデータが目標値を達成するような食成分の摂取量を表示する。
図10は、第2の実施形態に係る提案装置2のソフトウェア構成例を示す図である。第2の実施形態の提案装置2は、第1の実施形態の提案装置2が備える各機能部及び記憶部に加えて、目標値入力部215、摂取量決定部216、モデル記憶部233及び食事摂取基準記憶部234を備える。本実施の形態による多変量解析は、単回帰分析、重回帰分析、主成分分析、独立成分分析、因子分析、判別分析、数量化理論(I類、II類、III類、IV類)、クラスター分析、コンジョイント分析、多次元尺度構成法(MDS)を含む。
【0034】
モデル記憶部233は、バイタルデータを目的変数とし食成分を説明変数とする統計モデルを記憶する。また、モデル記憶部233には、統計モデルに適用する回帰係数や定数などのパラメータも記憶される。
【0035】
第2の実施形態において、解析処理部213は、ユーザごとに、ユーザに係るバイタルデータと当該ユーザによる食成分の摂取量とを統計モデルに適用して重回帰分析を行い、各食成分の回帰係数と定数とを推計する。解析処理部213は、推計した回帰係数と定数とをユーザIDに対応付けてモデル記憶部233に登録する。推計した回帰係数と定数とを適用した統計モデル(以下、推定モデルという。)に対して食成分を適用することにより、当該ユーザがこのような食成分を含有する食事を摂った場合の、ユーザのバイタルデータを推測することが可能となる。
【0036】
目標値入力部215は、バイタルデータの目標値の入力を受け付ける。目標値入力部215は、たとえば、ユーザ端末1においてユーザが入力した目標値を受信するようにしてもよいし、キーボードなどの入力装置205から目標値の入力を受け付けるようにしてもよい。
【0037】
食事摂取基準記憶部234は、厚生労働省が発表している、日本人の健康保持・増進、生活習慣病予防のために参照するエネルギー及び栄養素の摂取量の基準(食事摂取基準)を記憶する。なお、食事摂取基準記憶部234には、厚生労働省発表のものに代えて、任意の基準値を記憶させることができる。
図11は、食事摂取基準記憶部234の構成例を示す図である。同図に示すように、食事摂取基準記憶部234は、食成分を示す食成分ID、性別及び年齢に対応付けて、当該食成分の摂取基準量を記憶する。なお、食事摂取基準記憶部234は、性別及び年齢の少なくともいずれかに代えて又は加えて、体重やBMIなど、ユーザの属性を対応付けて基準値を記憶するようにしてもよい。また、食事摂取基準記憶部234は、ユーザごとに基準値を記憶することができる。この場合、食事摂取基準記憶部234は、例えば、ユーザが所定期間に摂取した食成分の摂取量の集計値を基準値として記憶することができる。所定期間は、例えば、過去に摂取した食成分に係るデータを取得できた全期間としてもよいし、現在から過去1週間、1カ月、1年などの任意の期間としてもよいし、過去の任意の期間としてもよい。集計値は、例えば、平均値や中央値などとすることができる。
【0038】
摂取量決定部216は、推定モデルによる計算結果のバイタルデータが、目標値入力部215の受け付けた目標値と一致し、又は最も近くなるように、各食成分の量(以下、摂取目標量という。)を決定する。摂取量決定部216は、たとえば、各食成分について、ユーザの属性に対応する基準値を食事摂取基準記憶部234から読み出して推定モデルに適用し、その結果が目標値よりも大きければ、回帰係数が正である食成分の量を減らし、回帰係数が負である食成分の量を増やして、バイタルデータを目標値に近づけるように計算を繰り返し行うことで、各食成分の摂取目標量を決定することができる。食成分の増減量は、たとえば、食成分の所定割合(たとえば、1%など任意の値とすることができる。)とすることができる。なお、摂取量決定部216は、バイタルデータが目標値に最も近づくように各食成分の摂取目標量を決定することができれば、任意のアルゴリズムを用いることができる。なお、摂取量決定部216は、現在のユーザのバイタルデータが改善すれば目標値を超えて改善するように食成分の値を決定してもよい。バイタルデータの改善とは、目標値から現在のバイタルデータを引いた値が正の場合は、バイタルデータが増加すること(例えば筋肉量を増やすこと)をいい、目標値から現在のバイタルデータを引いた値が負の場合は、バイタルデータが減少すること(例えば体重を減らすこと)をいう。
【0039】
図12は、第2の実施形態に係る健康管理システムにおいて実行される処理を示す図である。
図12の処理では、
図8に示した処理と比較した場合、ステップS306に代えて、解析処理部213は、上述したように、ユーザデータを送信したユーザに係るバイタルデータと食成分の摂取量とを統計モデルに適用して重回帰分析を行い、各食成分の回帰係数と定数とを推計する(S306’)。また、ステップS306’に続いて、目標値入力部215は、バイタルデータの目標値の入力を受け付け(S321)、摂取量決定部216は、バイタルデータが目標値に最も近づくように各食成分の摂取目標量を決定する(S322)。さらに、ステップS307に代えて、食情報出力部214は、摂取目標量を食情報としてユーザ端末1に送信する(S307’)。
【0040】
図13は、第2の実施形態においてユーザ端末1が表示する食情報の一例を示す図である。
図13の例では、バイタルデータとしての収縮期血圧に係る重回帰式が表示されている。これを参照することにより、被験者5のユーザについては、どんな食成分が収縮期血圧に影響を与えているかを容易に把握することができる。
【0041】
図14は、摂取目標量を説明する図である。
図14の例では、2018年7月12日に測定された収縮期血圧が133mmHgであり、摂取された食成分は上段の表のとおりであったところ、収縮期血圧の目標値を118mmHgとして各食成分を決定したところ、バイタルデータの予測値が117mmHg、食成分の摂取目標量は下段の表のとおりとなった。このように、バイタルデータの目標値を実現することの可能な食事(最適食)に含まれるべき食成分を示すことができるので、これを参考に、最適食の献立を容易に立案することが可能となる。
【0042】
<第3の実施形態>
第3の実施形態では、食情報に補助食品を組み合わせて提案する。本実施の形態における補助食品は、栄養成分を含有する機能性食品及び非栄養成分を含有する機能性食品の両方の一方又は両方を組み合わせて提案する。なお、以下の説明においては、栄養成分/非栄養成分を含有するものをまとめて「機能性食品」と総称する。なお、栄養成分とは、食品表示法に基づく栄養成分表示項目(熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム、飽和脂肪酸、n‐3系脂肪酸、n‐6系脂肪酸、コレステロール、糖質、糖類(単糖類又は二糖類であって、糖アルコールでないもの)、食物繊維、亜鉛、カリウム、カルシウム、クロム、セレン、鉄、銅、マグネシウム、マンガン、モリブテン、ヨウ素、リン、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、ビタミンA、B1、B2、B6、B12、C、D、E、K、葉酸)とされ、非栄養成分は、例示すればポリフェノールやGABA等、栄養成分以外及び複数成分で構成される群としての栄養成分の中で特定された成分(たとえば、食物繊維のシクロデキストリン)である。
図15は、第3の実施形態に係る提案装置2のソフトウェア構成例を示す図である。第3の実施形態に係る提案装置2は、
図10に示す各機能部及び記憶部に加えて、食事内容入力部217、機能性食品選択部218、及び機能性食品情報記憶部235を備える。
【0043】
食事内容入力部217は、摂取予定の食事の内容の入力を受け付ける。食事の内容には、食事に含まれる食成分が含まれる。また、食事の内容には、食事についての説明や画像を含めるようにしてもよい。
【0044】
機能性食品情報記憶部235は、機能性食品に関する情報を記憶する。
図16は、機能性食品情報記憶部235の構成例を示す図である。機能性食品情報記憶部235は、機能性食品を識別する情報(機能性食品ID)に対応付けて、当該機能性食品に含まれている食成分を示す食成分IDとその食成分の含有量、また機能性食品についての説明を記憶している。
【0045】
機能性食品選択部218は、ユーザに足りていない食成分を補完する機能性食品を選択する。機能性食品選択部218は、入力された食事内容に含まれている食成分の量と、上述した摂取量決定部216が決定した摂取目標量とを比較し、摂取目標量に届いていない食成分が含有されている機能性食品を機能性食品情報記憶部235から選択することができる。機能性食品選択部218は、複数の機能性食品に上記不足している食成分が含有されている場合には、たとえば、不足量以下であって最大量を含有している機能性食品を選択するようにすることができる。また、複数の機能性食品を組み合わせる場合には、機能性食品の種類が最小となるように機能性食品の組み合わせを選択することができる。
【0046】
図17は、第3の実施形態に係る健康管理システムにおいて実行される処理を示す図である。
図17に示す処理は、
図12に示した処理と比較すると、ステップS322に引き続いて、摂取量決定部216は、決定した摂取目標量を出力する(S331)。摂取量決定部216は、提案装置2の出力装置206に出力してもよいし、ユーザ端末1に摂取目標量を送信して、ユーザ端末1において摂取目標量を出力するようにしてもよい。次に食事内容入力部217は、食事内容とその食事に含有される食成分の量との入力を受け付ける(S332)。食事内容は、出力された摂取目標量を参考に決定されることを想定している。食事内容入力部217は、提案装置2の入力装置205から入力を受け付けてもよいし、ユーザ端末1において入力された食事内容と食成分の量とをユーザ端末1から受信するようにしてもよい。機能性食品選択部218は、入力された食成分の量が、最適食に係る食成分の摂取目標量よりも少ない不足食成分を特定し、不足食成分を含有している機能性食品を機能性食品情報記憶部235から選択する(S333)。ステップS307’に代えて、食情報出力部214は、入力された食事内容、摂取目標量及び機能性食品の説明を含む食情報をユーザ端末1に送信する(S307’’)。
【0047】
図18は、第3の実施形態においてユーザ端末1が表示する食情報の一例を示す図である。
図18の例では、食事の内容とともに、機能性食品が提案されている。これにより、食事だけでは不足する栄養素及び非栄養性の機能性成分を機能性食品(サプリメント)により補完させて、バイタルデータを目標値に近づけることが可能となる。
【0048】
<第4の実施形態>
上記第2及び第3の実施形態では、1人のユーザに対する摂取目標量を決定したが、複数人のユーザのグループについて摂取目標量を決定するようにしてもよい。第4の実施形態でも、目標値入力部215は、ユーザごとにバイタルデータの目標値の入力を受け付け、解析処理部213も、ユーザごとに重回帰分析を行い統計モデルのパラメータを推計する。しかし、摂取量決定部216は、各ユーザについて推定モデルに対して、全ユーザ同じ食成分の量を適用し、各ユーザのバイタルデータの推定値と目標値との差の合計が最小となるように、摂取目標量を決定する。これにより、たとえば食堂などにおいてグループの各ユーザに同じ献立の食事を提供するような場合に、全体として、バイタルデータの値が目標値に近づくように食事を提供することが可能となる。
【0049】
第4の実施形態において、解析部213は、グループについて決定する上記摂取目標量とは別に、各ユーザについての摂取目標量を決定するようにし、食事内容入力部217はグループに係る摂取目標量を出力する一方で、機能性食品選択部218はユーザ別の摂取目標量と食事に含まれる食成分の量との差を比較して不足している食成分を特定し、その不足食成分を補う機能性食品をユーザごとに選択するようにしてもよい。この場合、ユーザ別に最適な食成分の量を機能性食品により調整することができるので、各ユーザのバイタルデータが目標値に近づくことが期待される。
【0050】
<第5の実施形態>
上記第1ないし第4の実施形態では、推定モデルの説明変数は食成分のみとしたが、生活習慣に係る行動を説明変数に加えてもよい。この場合、提案装置2には、たとえば、運動、飲酒、喫煙、ストレス、睡眠などの生活習慣を示す情報の入力を受け付ける生活習慣情報入力部を設け、解析処理部213は、説明変数としてこれらの生活習慣を示す情報を加えて重回帰分析を行えばよい。これにより、ユーザの生活習慣と食成分との組み合わせがユーザのバイタルデータに及ぼす影響を考慮して最適な食情報を提供することが可能となる。
【0051】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【0052】
たとえば、本実施形態では、バイタルセンサ4は、血圧を測定するデバイスであるものとしたが、体重計や体組成計などを用いてもよいし、血液生化学検査項目(血糖、コレステロール、中性脂肪、γ-GTP、HbA1cなど)を測定するデバイスを使用してもよい。この場合にも、非侵襲性の測定デバイスを用いることが好適である。
【0053】
また、本実施形態では、食事内容の入力は、提案装置2又はユーザ端末1から行うものとしたが、摂取量決定部216は、栄養士や献立を考える調理師などの操作するコンピュータに摂取目標量を送信して、当該栄養士や調理師からの入力を受け付けるようにしてもよい。
【0054】
また、本実施形態では、回帰分析により食成分とバイタルデータとの相関を分析するものとしたが、機械学習の手法により分析を行うようにすることもできる。たとえば、食成分を入力信号とし、バイタルデータを教師信号としてニューラルネットワークを用いて学習を行うことができる。
【0055】
本実施形態では、提案装置2において解析処理を行ういわゆるサーバクライアント構成としたが、提案装置2の機能をすべてユーザ端末1が備えるようにして、ユーザ端末1のみで最適食の提案を行うように構成してもよい。
【0056】
<実施例1>
以下、上述した第1ないし第4の実施の形態を含む本発明による提案装置を利用した最適食の具体的な実施例を説明する。本実施例においては、上述した本発明による方法によって算出された最適な栄養素を、既にユーザが摂取した栄養素(平均栄養素)と比較する。たとえば、
図23に示されるように、高血圧予備軍「Cさん(血圧:129mmHg)」の「普段の摂取栄養素(観察試験時の平均摂取量)」から、Cさんの血圧上昇因子(図示されるように、エネルギー、ナトリウム、ビタミンB1)の量を減らし、血圧安定因子(図示されるように、たんぱく質、ビタミンC)の量を増やした最適栄養素(一日あたり)を算出する。
【0057】
なお、実際には、
図24に示されるように、観察期間に収集した血圧及び摂取栄養素のデータから得られる多変量解析結果と、日本人の食事摂取基準及び個人の平均栄養摂取量を参考にしつつ、被験者にとって無理のない範囲での最適食の一日あたりの栄養素量の概算値を決定する。
【0058】
この最適食栄養素概算値は、次のようにして求めることができる。ユーザ毎に取得した血圧と摂取栄養素データを重回帰分析し、血圧に影響を与える栄養素をエネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、カルシウム、鉄、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンC、食物繊維、飽和脂肪酸、ナトリウム、カリウムの中から特定し、血圧と摂取栄養素の関係式を求める。この関係式から、ユーザの平均血圧から10mmHg下回る血圧になるように、血圧に影響を与える栄養素量を求める。そして、次の1)~3)の条件を満たすように全ての栄養素量を特定する。1)日本人の食事摂取基準(2015年版)に定められた3大栄養素(炭水化物・脂質・たんぱく質)の量が、ユーザの年齢、性別における最小値以上最大値の120%未満の量である;2)耐容上限量が定められた栄養素については、それを超えない;3)特定した血圧関与成分量は、日本人の食事摂取基準における推定平均必要量又は目安量の80%以上である。
【0059】
続いて、
図25に示されるように、たとえば、弁当製造者や管理栄養士等が、基本となる朝食、昼食及び夕食の献立を用意する。使用する食材と調味料の量から、日本食品標準成分表に基づいて、この朝食、昼食及び夕食に含まれる栄養素量を求めて合算することで、合計栄養素量を特定する。この栄養素量と先に求めた最適食栄養素概算値とを栄養素毎に比較することによって過不足が特定される。
【0060】
最後に、
図26に示されるように、最適食栄養素概算値から過不足が無いように献立の変更を行い、ユーザ毎の最適食を決定する。図示される例においては変更されたものに下線を付した。
【0061】
<実施例2>
上述した実施例1においては、健康管理システムは(1)基準食(上記基本となる朝食、昼食及び夕食)の情報を取得、(2)当該基準食の栄養成分の特定、(3)最適食の栄養成分と比較、(4)当該比較結果に基づいて最適食の献立の生成、を行うこととしていた(
図27参照)。
【0062】
しかしながら、本発明はこれに限られず、たとえば、健康管理システムは、献立情報(各献立の栄養素が献立ごとに関連付けられている)を記憶した献立情報取得部を更に備えることとし、(1)最適食の栄養成分を取得、(2)献立情報取得部によって献立情報を参照して献立を決定、という2つのステップのみで献立を生成することとしてもよい(
図28)。即ち、基準食の取得(又は弁当製造者や管理栄養士等からの入力)がなされることなく、最適食の情報から直接献立情報を生成することとしてもよい。
【0063】
上述した実施例の記載は一例である。たとえば、間食や食材以外の要素(サプリメントや栄養補助ドリンク等)によって調整することとしてもよい。
【0064】
本実施例によれば、個々人の日々のライフスタイルから見つけ出した個人による血圧に影響を与える食成分の差異を検証することが可能となり、その結果、食の個人最適化、当該個人だけの健康メソッド効果を提供することができる(
図19)。たとえば、
図19における被験者5に関する個人最適食(栄養価ベース)の考え方は
図20に示されるとおりである。また、本発明の目指すところは、日々の体・食データ解析に基づく最適食ヘルスケアによる健康寿命の延伸や(
図21)、日々の体・生活習慣データ解析に基づく最適食ヘルスケアによる健康寿命の延伸(
図22)である。
【0065】
<第6の実施形態>
第6の実施形態では、ユーザのバイタルデータを改善するように献立を調整する。
【0066】
図29は、第6の実施形態に係る提案装置2のソフトウェア構成例を示す図である。第6の実施形態に係る提案装置2は、
図10に示す各機能部及び記憶部に加えて、設定情報登録部219、献立取得部220、献立変更部221、設定情報記憶部236、食物記憶部237、献立記憶部238を備える。
【0067】
設定情報記憶部236は、ユーザごとの設定情報を記憶する。設定情報には、ユーザを特定するユーザIDを含めることができる。設定情報には、ユーザのバイタルデータの現在値を含めることができる。設定情報には、ユーザのバイタルデータの目標値を含めることができる。例えば、設定情報には、ユーザの体重と、目標体重とを含めることができる。設定情報には、ユーザによる食事の頻度を含めることができる。本実施形態において、頻度とは、健康管理システムにより提案される献立(食材、単体の商品等を含む。)を摂る回数をいい、ユーザが自由に摂取する食事については頻度に考慮しないものとする。頻度は、例えば、「毎日3食」、「毎日2食」、「毎日1食」、「平日のみ毎日3食」のように、恣意的に設定されたパターンとすることができる。また、頻度に1日の平均的な(システムからの提案に基づく)食事の回数として、1、2、3などの数値を設定するようにしてもよい。
【0068】
なお、設定情報に設定される頻度は、後述するようにシステムが献立を変更する頻度であって、ユーザが実際に提案された(食成分の調整済みの)献立を摂取する頻度でなくてもよい。例えば、毎日3食分の献立についてシステムが、バイタルデータが改善するように変更を加えて提案したとしても、ユーザは、1食分については提案どおりの献立を摂取しつつ、他の2食については提案されたものではなくユーザが自由に選択したものを摂取してもよい。この場合であっても、推定モデルは日々測定されるバイタルデータに応じて更新されていくため、バイタルデータの改善は期待される。
【0069】
設定情報登録部219は、設定情報を設定情報記憶部236に登録する。設定情報登録部219は、例えば、ユーザから設定情報の項目(バイタルデータの現在値、目標値、食事の頻度など)の入力を受け付けて設定情報登録部219に登録することができる。設定情報登録部219は、例えば、定期的にバイタルセンサ4からのバイタルデータをユーザ端末1から受信して、設定情報に含まれるバイタルデータの現在値を更新するようにしてもよい。
【0070】
食物記憶部237は、食物に関する情報(食物情報)を記憶する。食物には、食材、食品、献立、商品などが含まれる。食材は、そのまま消費され、または食品の原料となるものをいう。食品は、保存や調味を目的に単一又は複数の食材を加工したものをいう。食品は料理、調味料などを含む。献立は、食事として複数の食材及び/又は食品を組み合わせたものをいう。商品は、食材、食品、料理などを販売する目的物であり、サービスを含む。食物情報には、食物を特定する情報(例えば、名称や識別情報など)に対応付けて、当該食物に含まれる食成分の含有量(食成分を示す情報と含有量とのペアとしてもよい。)が含まれる。食成分の含有量は、食物の単位量(例えばgなど)あたりの量とすることができる。
【0071】
献立記憶部238は、1食に摂る食事に係る情報(献立情報)を記憶する。本実施形態では、1食に摂る食事は献立であることを想定し、献立情報は献立に関する情報とするが、1食に1つの食材又は商品を摂取する場合には、食材、食品、料理、商品などに関する情報としてもよい。献立情報には、献立を特定する情報(例えば、名称や識別情報など)に対応付けて、当該献立に含まれる食物を特定する情報(複数可)が含まれる。なお、1食に1つの食材又は商品を摂取する場合には、食材、食品、料理、商品などを示す情報に対応付けて、当該食材、食品、料理、商品などに含まれる食物を特定する情報を含めるようにしてもよい。この場合、献立、食材、食品、料理、商品などの種別を献立情報に含めることができる。
【0072】
献立取得部220は、ユーザが摂る予定の食事(本実施形態では献立)を取得する。献立取得部220は、例えば1回分の献立の指定を受け付けるようにしてもよいし、1日分や1週間分などの献立の指定を受け付けるようにしてもよい。献立取得部220は、エンドユーザ(バイタルデータの計測対象)から献立の指定を受け付けるようにしてもよいし、管理栄養士などから献立の指定を受け付けるようにしてもよいし、例えば、1週間分の献立のテンプレートを提案装置2が備えるようにし、このテンプレートから献立を取得するようにしてもよい。
【0073】
献立変更部221は、ユーザのバイタルデータを改善するように献立を変更する。献立変更部221は、目標値と現在値との差に応じて、モデル記憶部233に登録されている推定モデルから改善食成分又は悪化食成分を特定する。推定モデルは、上述したように、あるユーザが実際に摂取した食事に含まれる食成分と、ユーザについて測定したバイタルデータとを重回帰分析して求められる予測モデルである。本実施形態では、ユーザが摂取した食事(献立)とは、提案装置2が提案した食事と、ユーザが任意に摂取した食事との両方を含む。なお、提案装置2が提案した食事のみ、あるいは、ユーザが任意に摂取した食事のみを解析対象とすることを排除するものではない。目標値が現在値以上である場合には、正の回帰係数を有する食成分が改善食成分であり、負の回帰係数を有する食成分が悪化食成分である。逆に目標値が現在値よりも小さい場合には、負の回帰係数を有する食成分が改善食成分であり、正の回帰係数を有する食成分が悪化食成分である。献立変更部221は、献立取得部220が取得した献立において改善食成分を増やすように献立を変更することができる。献立変更部221は、献立取得部220が取得した献立において悪化食成分を減らすことができる。献立変更部221は、これらの少なくともいずれかの処理を行うことができる。
【0074】
献立変更部221は、献立に含まれる食物(食材、商品、料理など)を追加又は削除したり、食物の量を加減したりすることができる。献立変更部221は、食物記憶部237から、改善食成分及び悪化食成分(の少なくともいずれか)を含む食物を特定することができる。献立変更部221は、改善食成分を含む食物について、献立に追加したり、献立に含まれる当該食物の量を増やしたりすることができる。献立変更部221は、悪化食成分を含む食物について、献立から削除したり、献立に含まれる当該食物の量を減らしたりすることができる。献立変更部221は、献立にどのような食物が含まれるかを、献立記憶部238を参照することで判断することができる。
【0075】
献立変更部221は、設定情報に含まれる頻度に応じた数の献立について変更を加えることができる。例えば、頻度が「毎日3食」の場合、1日に提案する3食分の献立の全てを変更し、「毎日2食」の場合、3食のうち2つ(例えば、朝食と夕食のみ、昼食と夕食のみ、朝食と昼食のみなど)の献立を変更し、「毎日1食」の場合、3食のうち1つ(例えば、夕食のみ、昼食のみ、朝食のみなど)の献立を変更し、「平日のみ毎日3食」の場合、献立を提案する日の曜日が平日である場合にのみ3食分全ての献立を変更するようにすることができる。
【0076】
献立変更部221は、献立を変更するにあたり、献立のカロリーを維持するようにすることができる。献立変更部221は、献立に含まれる食物を献立記憶部238から特定し、さらに追加した食物についても把握して、食物に含まれる食成分の含有量(単位量当たり)を食物記憶部237から取得し、食成分ごとに含有量を合計することができる。ここで献立変更部221は、カロリーの合計が、変化しない(変化量が所定範囲内であればよい。)ように、献立に食物を追加又は削除し、食物の量を加算又は減算することができる。
【0077】
献立変更部221は、少なくともバイタルデータが改善するように食物の追加削除、増量減量を行うことができる。献立変更部221は、現在のユーザのバイタルデータが改善すれば目標値を超えて改善するように食成分の値を決定してもよい。献立変更部221は、変化させた食成分の量をユーザに対応する推定モデルに与えて、ユーザのバイタルデータを予測し、予測したバイタルデータが現在値よりも改善される(目標値が現在値以上であれば予測値が現在値以上であり、目標値が現在値未満であれば予測値が現在値未満である)ことを制約条件として食物の追加削除、増量減量を行うことができる。
【0078】
また、献立変更部221は、バイタルデータの予測値が目標値に一致する(予測値と目標値との差の絶対値が所定値以内になる)ように食物の追加削除、増量減量を行うことができる。この場合には、推定モデルを使用したバイタルデータの予測値が目標値に一致することを制約条件として食物の追加削除、増量減量を行うことができる。
【0079】
上述した実施形態では、推定モデルは、食成分とバイタルデータとの重回帰分析により求めていたが、食成分及び食事の頻度とバイタルデータとの重回帰分析により求めるようにしてもよい。この場合、献立変更部221は、設定情報の頻度と変化させて食成分とを推定モデルに与えるようにして、バイタルデータの予測値が改善し、又は、バイタルデータの予測値が目標値と一致するように、食物の追加削除、増量減量を行うことができる。
【0080】
また、食事の頻度ごとに推定モデルを作成するようにしてもよい。この場合モデル記憶部233は、頻度に対応付けて推定モデルを記憶することができる。この場合、献立変更部221は、設定情報の頻度に対応する推定モデルを用いてバイタルデータの予測値を求めるようにすることができる。
【符号の説明】
【0081】
1 ユーザ端末
2 提案装置
3 通信ネットワーク
4 バイタルセンサ