(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088508
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】薬剤払出し装置及び薬剤量確認方法
(51)【国際特許分類】
A61J 3/00 20060101AFI20240625BHJP
【FI】
A61J3/00 310F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203726
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】寺田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】宮川 知也
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047JJ03
4C047JJ07
4C047JJ13
4C047JJ15
4C047JJ22
4C047JJ31
4C047JJ33
(57)【要約】
【課題】薬剤容器内の薬剤量を確認する作業を軽減することができる薬剤払出し装置を提供する。
【解決手段】筐体10を有し、当該筐体内に複数の薬剤容器2と、前記薬剤容器2を設置して保管する容器保管部25と、薬剤容器2に作用して薬剤容器から薬剤を排出させる薬剤排出手段と、容器移動手段28とを有し、前記容器保管部25から薬剤容器2を取り出して前記容器移動手段28で薬剤容器2を移動し、前記薬剤排出手段で薬剤容器2から薬剤を排出させる薬剤払出し装置1において、重量検知手段を有し、前記容器保管部23から薬剤容器2を取り出して前記容器移動手段28で前記重量検知手段に移動し、前記重量検知手段で薬剤容器2内の薬剤量を検知する薬剤量検知動作を実行可能であり、前記容器保管部23に設置された複数の薬剤容器2に対して前記薬剤量検知動作を順次実行する薬剤量確認モードを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体を有し、当該筐体内に複数の薬剤容器と、前記薬剤容器を設置して保管する容器保管部と、薬剤容器に作用して薬剤容器から薬剤を排出させる薬剤排出手段と、容器移動手段とを有し、
前記容器保管部から薬剤容器を取り出して前記容器移動手段で薬剤容器を移動し、前記薬剤排出手段で薬剤容器から薬剤を排出させる薬剤払出し装置において、
重量検知手段を有し、前記容器保管部から薬剤容器を取り出して前記容器移動手段で前記重量検知手段に移動し、前記重量検知手段で薬剤容器内の薬剤量を検知する薬剤量検知動作を実行可能であり、
前記容器保管部に設置された複数の薬剤容器に対して前記薬剤量検知動作を順次実行する薬剤量確認モードを備えた薬剤払出し装置。
【請求項2】
前記薬剤容器は記憶手段を有し、前記記憶手段には当該薬剤容器を特定する情報と、当該薬剤容器に収容されている薬剤の量が記憶されており、
前記記憶手段に情報を書き込む書き込み手段があり、
薬剤量検知動作で検知された薬剤量を、前記記憶手段に書き込む請求項1に記載の薬剤払出し装置。
【請求項3】
筐体を有し、当該筐体内に前記容器保管部と、薬剤排出手段と、重量検知手段と、容器移動手段が内蔵されており、
前記筐体に前記薬剤容器を出し入れする容器導入部があり、当該容器導入部に前記重量検知手段が設けられており、
前記薬剤量検知動作は、前記容器移動手段で薬剤容器を前記容器導入部の前記重量検知手段に移動し、当該重量検知手段で薬剤容器内の薬剤量を検知するものである請求項1に記載の薬剤払し装置。
【請求項4】
分配皿と、容器載置装置を有し、当該容器載置装置に前記薬剤排出手段があり、前記容器移動手段で薬剤容器を容器載置装置に移動し、前記薬剤排出手段によって薬剤容器から排出された薬剤を直接的に又は他の部材を介して前記分配皿に薬剤を投入するものであり、
前記容器載置装置に前記重量検知手段が設けられており、
前記薬剤量検知動作は、前記容器移動手段で薬剤容器を前記容器載置装置に移動し、当該重量検知手段で薬剤容器内の薬剤量を検知するものである請求項1に記載の薬剤払出し装置。
【請求項5】
処方情報が入力され、当該処方情報に応じて容器保管部から必要な薬剤容器を取り出して薬剤を排出する処理を行うものであり、
薬剤を排出するのに要する時間を比較する比較手段を有し、
少なくとも二つの処方情報を対象として前記比較手段で薬剤を排出するのに要する時間を比較し、
前記要する時間が短い処方情報を先に処理する請求項1に記載の薬剤払出し装置。
【請求項6】
筐体と、表示手段と、分配皿と、分配皿の近傍に配された容器載置装置と、分配皿に投入された薬剤を分配皿から掻き出す掻出装置と、掻き出された薬剤を包装する包装装置とを有し、前記筐体内に前記分配皿と、前記容器載置装置と、前記掻出装置と、前記包装装置があり、
前記容器載置装置に前記薬剤排出手段があり、
前記容器保管部から薬剤容器を取り出して前記容器移動手段で薬剤容器を容器載置装置に移動し、前記薬剤排出手段によって薬剤容器から排出された薬剤を前記分配皿に投入する自動分包モードと、
前記筐体の外部で薬剤を秤量し、当該薬剤を別途用意の薬剤容器に収容し、手動または前記移動装置によって薬剤容器を前記筐体内の前記容器載置装置に移動し、前記薬剤排出手段によって薬剤容器から排出された薬剤を前記分配皿に投入する手差し分包モードを実施することが可能であり、
仮想的な処方あるいは現実の処方を一定回数に渡って前記自動運転モードで処理した場合に要する時間と、仮想的な処方を一定回数に渡って前記手差し分包モードで処理した場合に要する時間及び/又はその差を前記表示手段に表示することが可能である請求項1に記載の薬剤払出し装置。
【請求項7】
請求項1に記載の薬剤払出し装置を使用し、前記容器保管部に設置された複数の薬剤容器内の薬剤量を確認する薬剤量確認方法であって、
前記筐体の外部で別途用意の薬剤容器に散薬を充填し、手動または前記移動装置によって薬剤容器を前記容器保管部に設置し、
前記薬剤量確認モードを実行して前記容器保管部に設置された複数の薬剤容器内の薬剤量を検知する薬剤量確認方法。
【請求項8】
請求項1に記載の薬剤払出し装置を使用し、前記容器保管部に設置された複数の薬剤容器内の薬剤量を確認する薬剤量確認方法であって、
前記容器保管部に設置されている前記薬剤容器の一部又は全部を前記筐体の外に取り出し、必要に応じて一又は複数の薬剤容器に散薬を充填し、
手動または前記移動装置によって薬剤容器を前記容器保管部に戻して設置し、
前記薬剤量確認モードを実行して前記容器保管部に設置された複数の薬剤容器内の薬剤量を検知する薬剤量確認方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薬剤払出し装置に関するものであり、特に散薬を排出する薬剤払出し装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、薬棚から所望の散薬が入った薬瓶を取り出す作業と、薬瓶から所定量の散薬を量り出す作業を自動化した薬剤払出し装置を開発し、特許文献1に開示した。
特許文献1に開示した薬剤払出し装置は、複数の薬剤容器を収容する容器保管部と、ロボット(容器移動手段)を備えている。また分配皿の周囲には容器載置装置がある。容器載置装置は、薬剤容器を振動させて薬剤容器から散薬を排出する機能と、薬剤容器の重量を監視する機能を備えている。
特許文献1に開示した薬剤払出し装置では、容器保管部に収容された薬剤容器から医師の処方箋に合致した散薬が充填された薬剤容器を選び出し、ロボットで薬剤容器を取り出して容器載置装置に載置する。
そして容器載置装置を振動させて薬剤容器から散薬を排出すると共に、薬剤容器の重量を監視し、間接的に薬剤容器から排出される散薬の重量を監視する。
薬剤容器から所定量の散薬が排出されると、掻出装置を駆動して散薬を分配皿から掻き出し、包装装置で包装する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2015/076266 A1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示した薬剤払出し装置を使用するには、予め薬剤容器に薬剤を充填し、当該薬剤容器を容器保管部に収容しておく必要がある。
例えば薬剤払出し装置が新たに病院等に設置された場合には、多数の薬剤容器にそれぞれ必要な薬剤を充填し、容器保管部に装着する必要がある。その際に、薬剤容器内の薬剤量を確認しておくことが望ましい。
しかしながら、容器保管部に装着される薬剤容器は数が多い。そのため薬剤容器内の薬剤量を確認する作業は、相当の時間を要し、面倒である。
本発明は、薬剤容器内の薬剤量を確認する作業を軽減することができる薬剤払出し装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した課題を解決するための態様は、筐体を有し、当該筐体内に複数の薬剤容器と、前記薬剤容器を設置して保管する容器保管部と、薬剤容器に作用して薬剤容器から薬剤を排出させる薬剤排出手段と、容器移動手段とを有し、前記容器保管部から薬剤容器を取り出して前記容器移動手段で薬剤容器を移動し、前記薬剤排出手段で薬剤容器から薬剤を排出させる薬剤払出し装置において、重量検知手段を有し、前記容器保管部から薬剤容器を取り出して前記容器移動手段で前記重量検知手段に移動し、前記重量検知手段で薬剤容器内の薬剤量を検知する薬剤量検知動作を実行可能であり、
前記容器保管部に設置された複数の薬剤容器に対して前記薬剤量検知動作を順次実行する薬剤量確認モードを備えた薬剤払出し装置である。
【0006】
本態様の薬剤払出し装置は、複数の薬剤容器と、容器保管部と、薬剤排出手段と、重量検知手段と、容器移動手段とを有している。これらの部材は筐体内に配されている。
薬剤払出し装置の基本的な動作は、容器保管部から薬剤容器を取り出して容器移動手段で薬剤容器を移動し、薬剤排出手段で薬剤容器から薬剤を排出させるものである。
本態様の薬剤払出し装置では、薬剤量検知動作を複数の薬剤容器に対して順次実行することができる。ここで薬剤量検知動作は、容器保管部から薬剤容器を取り出して容器移動手段で重量検知手段に移動し、薬剤容器内の薬剤量を検知する動作である。本態様の薬剤払出し装置には、薬剤量確認モードがあり、当該薬剤量確認モードを実施すると、容器保管部に収容されている薬剤容器が順次取り出されて薬剤容器内の薬剤量が順次検知される。
薬剤量確認モードの実行は、例えば薬剤払出し装置を新規に購入して、新規に薬剤容器を収容する場合に行われることが望ましい。
この場合は、外部で薬剤容器に薬剤を充填し、その薬剤容器を容器保管部に収容する。そして薬剤量確認モードを実行することにより、容器保管部に収容されている薬剤容器が順次取り出されて薬剤容器内の薬剤量が順次検知される。
また薬剤量確認モードの実行は、始業前の薬剤補充や、棚卸の様に、既に容器保管部に収容されている薬剤容器を一旦全て外に取り出し、薬剤払出し装置内の複数の薬剤容器に対して一括して薬剤を充填してその薬剤容器を容器保管部に再度戻した場合に行われることが望ましい。
また薬剤量確認モードの実行は、薬剤容器内の在庫量が所定量より減少したり欠品したために、薬剤払出し装置内の複数の薬剤容器に対して一括して薬剤を充填する場合にも行われることが望ましい。
これらの場合は、必要に応じて外部で薬剤容器に薬剤を追加し、全ての薬剤容器を容器保管部に戻す。即ち全ての薬剤容器を容器保管部に再度収容する。そして容器保管部に収容されている薬剤容器が順次取り出されて薬剤容器内の薬剤量が順次検知される。
【0007】
上記した態様において、前記薬剤容器は記憶手段を有し、前記記憶手段には当該薬剤容器を特定する情報と、当該薬剤容器に収容されている薬剤の量が記憶されており、前記記憶手段に情報を書き込む書き込み手段があり、薬剤量検知動作で検知された薬剤量を、前記記憶手段に書き込むことが望ましい。
【0008】
本態様によると、薬剤容器内の薬剤量を記憶手段に記憶させることができる。
【0009】
上記した態様において、筐体を有し、当該筐体内に前記容器保管部と、薬剤排出手段と、重量検知手段と、容器移動手段が内蔵されており、前記筐体に前記薬剤容器を出し入れする容器導入部があり、当該容器導入部に前記重量検知手段が設けられており、前記薬剤量検知動作は、前記容器移動手段で薬剤容器を前記容器導入部の前記重量検知手段に移動し、当該重量検知手段で薬剤容器内の薬剤量を検知するものであることが望ましい。
【0010】
本態様の薬剤払出し装置では、容器導入部に取り付けられた重量検知手段を利用して薬剤容器内の薬剤量を検知する。容器導入部は、筐体に設けられた窓であることが望ましい。
【0011】
上記した態様において、分配皿と、容器載置装置を有し、当該容器載置装置に前記薬剤排出手段があり、前記容器移動手段で薬剤容器を容器載置装置に移動し、前記薬剤排出手段によって薬剤容器から排出された薬剤を直接的に又は他の部材を介して前記分配皿に薬剤を投入するものであり、前記容器載置装置に前記重量検知手段が設けられており、前記薬剤量検知動作は、前記容器移動手段で薬剤容器を前記容器載置装置に移動し、当該重量検知手段で薬剤容器内の薬剤量を検知するものであることが望ましい。
【0012】
本態様の薬剤払出し装置では、容器載置装置に取り付けられた重量検知手段を利用して薬剤容器内の薬剤量を検知する。
【0013】
上記した態様において、処方情報が入力され、当該処方情報に応じて容器保管部から必要な薬剤容器を取り出して薬剤を排出する処理を行うものであり、薬剤を排出するのに要する時間を比較する比較手段を有し、少なくとも二つの処方情報を対象として前記比較手段で薬剤を排出するのに要する時間を比較し、前記要する時間が短い処方情報を先に処理するものであることが望ましい。
【0014】
本態様によると、処理時間を全体的に短くすることができる。
【0015】
上記した態様において、筐体と、表示手段と、分配皿と、分配皿の近傍に配された容器載置装置と、分配皿に投入された薬剤を分配皿から掻き出す掻出装置と、掻き出された薬剤を包装する包装装置とを有し、前記筐体内に前記分配皿と、前記容器載置装置と、前記掻出装置と、前記包装装置があり、前記容器載置装置に前記薬剤排出手段があり、前記容器保管部から薬剤容器を取り出して前記容器移動手段で薬剤容器を容器載置装置に移動し、前記薬剤排出手段によって薬剤容器から排出された薬剤を前記分配皿に投入する自動分包モードと、前記筐体の外部で薬剤を秤量し、当該薬剤を別途用意の薬剤容器に収容し、手動または前記移動装置によって薬剤容器を前記筐体内の前記容器載置装置に移動し、前記薬剤排出手段によって薬剤容器から排出された薬剤を前記分配皿に投入する手差し分包モードを実施することが可能であり、仮想的な処方あるいは現実の処方を一定回数に渡って前記自動運転モードで処理した場合に要する時間と、仮想的な処方を一定回数に渡って前記手差し分包モードで処理した場合に要する時間及び/又はその差を前記表示手段に表示することが可能であることが望ましい。
【0016】
本態様によると、自動運転モードで処理した場合に要する時間と、手差し分包モードで処理した場合に要する時間の差が明確になる。
【0017】
前記した薬剤払出し装置内の薬剤量を確認する方法は、前記した薬剤払出し装置を使用し、前記容器保管部に設置された複数の薬剤容器内の薬剤量を確認する薬剤量確認方法であって、前記筐体の外部で別途用意の薬剤容器に充填し、手動または前記移動装置によって薬剤容器を前記容器保管部に設置し、前記薬剤量確認モードを実行して前記容器保管部に設置された複数の薬剤容器内の薬剤量を検知する薬剤量確認方法である。
【0018】
本薬剤量確認方法は、例えば薬剤払出し装置を新規に購入して、新規に薬剤容器を収容する場合に推奨される方法である。
【0019】
前記した薬剤払出し装置内の薬剤量を確認する他の方法は、前記した薬剤払出し装置を使用し、前記容器保管部に設置された複数の薬剤容器内の薬剤量を確認する薬剤量確認方法であって、前記容器保管部に設置されている前記薬剤容器の一部又は全部を前記筐体の外に取り出し、必要に応じて一又は複数の薬剤容器に薬剤を充填し、手動または前記移動装置によって薬剤容器を前記容器保管部に戻して設置し、前記薬剤量確認モードを実行して前記容器保管部に設置された複数の薬剤容器内の薬剤量を検知する薬剤量確認方法である。
【0020】
本薬剤量確認方法は、例えば薬始業前の薬剤補充や、棚卸の様に、既に容器保管部に収容されている薬剤容器を一旦全て外に取り出し、薬剤払出し装置内の複数の薬剤容器に対して一括して薬剤を充填する場合に推奨される方法である。
本薬剤量確認方法は、薬剤容器内の在庫量が所定量より減少したり欠品したたために、薬剤払出し装置内の複数の薬剤容器に対して一括して薬剤を充填する場合にも推奨される方法である。
【発明の効果】
【0021】
本発明の薬剤払出し装置によると、薬剤容器内の薬剤量を確認する作業を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態に係る薬剤払出し装置の斜視図である。
【
図2】
図1の本体装置の筐体を透過して示す斜視図である。
【
図3】
図2の薬剤分割領域を拡大して示す斜視図である。
【
図4】薬剤フィーダの斜視図であり、密閉型の薬剤容器が容器載置装置に載置された状態を示す。
【
図5】
図4で示す密閉型の薬剤容器の断面図であり、(a)は蓋部材が開いた状態を示し、(b)は蓋部材が閉じた状態を示す。
【
図6】(a)(b)は、開放型の薬剤容器を示す斜視図である。
【
図7】清掃装置の斜視図であり、清掃用アームが屈曲した状態を示す。
【
図8】掻出用アームの掻出機構を清掃しているブラシの縦断面図である。
【
図10】
図1の薬剤払出し装置に設けられた薬剤容器仮置部の斜視図である。
【
図11】袋収容部の斜視図であり、(a)は、袋収容部に集塵袋が装着された状態を示し、(b)は、集塵袋が無い状態を示し、(c)は、袋収容部の変形例を示す。
【
図12】分配皿と残薬検知センサーの関係を模式的に示す説明図である。
【
図13】掻出装置確認動作の様子を模式的に示す説明図であり、(a)は、掻出装置確認動作の実行前の様子を示し、(b)は、掻出機構を下降させた状態であってシール部材の摩耗が進んでいない状態を示し、(c)は、掻出機構を下降させた状態であってシール部材の摩耗が進んでいる状態を示し、(d)は、シール部材が取り付けられていない状態で掻出機構を下降させた状態を示す。
【
図14】操作表示部に表示されるシミュレーション画面である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について説明する。
最初に本実施形態の薬剤払出し装置1の基本構成について説明する。
薬剤払出し装置1は、
図1の様に本体部を構成する筐体10と、操作表示部(表示手段)3を備えている。
薬剤払出し装置1には多数の薬剤容器2が収容されている。
【0024】
薬剤容器2は、密閉型の薬剤容器である。薬剤容器2は、外形が略直方体状の容器であり、内部に散薬を収容することができる。薬剤容器2は、
図4、
図5の様に容器本体6と蓋73によって構成されている。蓋73は容器本体6から取り外すことができる。本実施形態では、容器本体6から蓋73を外して容器本体6の一端側を大きく開口させ、散薬を充填する。
また
図5(a)の様に蓋73には本体部に蓋部材78が揺動可能に取り付けられており、蓋部材78を開いて一部を開口することができる。蓋部材78を開くことによって形成される開口(薬剤排出部)72から内部の散薬を排出することができる。
また薬剤容器2には、異なる二面にそれぞれ鉄板70、71が取り付けられている。一方の面に設けられた鉄板70は、アーム部30で薬剤容器2を保持する際、アーム部30の磁石に吸着させるための部分である。また、他方の面に設けられた鉄板71は、後述する容器載置装置36に設置するとき、容器載置装置36の電磁石(図示せず)に吸着させるための部分である。
【0025】
図4の様に、薬剤容器2には、バーコードやRFID(Radio Frequency IDentification)等の記憶手段15が設けられている。本実施形態では、記憶手段15として、RFIDのチップが取り付けられている。記憶手段15には、薬剤容器2を区別する識別番号と、薬剤容器2に充填されている薬剤の種類と、現状の薬剤量が記録されている。
【0026】
薬剤払出し装置1は、操作表示部(表示手段)3を操作することにより、所望の薬剤容器2を選び出し、薬剤容器2に収容された散薬を自動的に取り出して計量し、所定数に分割して分包する装置である。
【0027】
薬剤払出し装置1は、
図2の様に、筐体10内に各種機器が内蔵されている。具体的には、
図2で示されるように、筐体10の内部が容器配置領域200、薬剤分割領域201、薬剤包装領域202に区分されている。
【0028】
筐体10の容器配置領域200の外側壁面を形成する部分には、
図1に示されるように、正面ドア34と、窓(容器導入部)16、及び小扉33が設けられている。
【0029】
筐体10の容器配置領域200には、
図2で示されるように、薬剤容器2を保持する容器保管部23が設けられている。
容器保管部23は、直立した姿勢で設置されたドラム部材25を備えた装置である。
【0030】
ドラム部材25の外周面には、複数の容器設置部が設けられており、この容器設置部に薬剤容器2が保持される。薬剤容器2は、
図4の様に、容器載置装置36と組み合わされて薬剤フィーダ8を構成するものである。容器保管部23に保持される薬剤容器2は、密閉型の薬剤容器である。
【0031】
またドラム部材25の近傍にはRFIDリーダ等の情報読み書き装置(図示せず)が設けられている。
本実施形態では、情報読み書き装置(図示せず)を動作させ、個々の薬剤容器2に取り付けられたRFID(記憶手段15)からそれぞれの薬剤容器2の識別番号と、薬剤容器2に収容された薬剤の種類を読み取り、図示しない制御装置に記憶する。即ち、薬剤容器2が装着されている位置と、内蔵されている薬剤とを関連付けて、制御装置に記憶する。
またRFID(記憶手段15)から読み出された情報は、図示しない制御装置に既に記憶されている情報を書き換えたり、内容を確認する用途に供される。
【0032】
容器配置領域200から薬剤分割領域201に至る領域には、容器移動手段28が設けられている。容器移動手段28は一種のロボットであり、アーム部30と昇降機構31及びハンド部47を有している。
【0033】
ハンド部47には、薬剤容器2を吸着するための電磁石(図示せず)が設けられている。
【0034】
薬剤分割領域201には、
図3で示されるように、薬剤投入溝32を有する分配皿35R、35Lと、容器載置装置(薬剤排出手段)36と、掻出装置37と、清掃装置38と、薬剤投入口39と、残薬検知センサー67が設けられている。
薬剤分割領域201には、分配皿方式によって薬剤を所望の個数に分割する機器が配置されている。
本実施形態では、薬剤分割領域201に分配皿35R、35Lが2個、並列して設置されている。
分配皿35R、35Lの数は限定されるものではなく、一個であってもよいが、複数の分配皿35を有することが望ましい。
【0035】
それぞれの分配皿35R、35Lの周辺には、容器載置装置36と、掻出装置37と、清掃装置38が設けられている。具体的には、1つの分配皿35に、3つの容器載置装置36と、1つの掻出装置37と、1つの清掃装置38が対応付けられている。
掻出装置37は、公知のそれと同様であり、掻出用アーム26と掻出用アーム26の先端に設けられた掻出機構27によって構成されている。
【0036】
図8、
図13の様に掻出機構27は、掻寄板57と、掻出板58と、仕切板65とを有する部材である。掻寄板57、掻出板58、仕切板65は、一体に構成されている。掻寄板57は、薄板で作られた円盤である。仕切板65は掻出部42を挟んで掻寄板57と平行に配された薄板であり、扇型に近い形状をしている。
【0037】
図13の様に、掻寄板57の周囲には分配皿35の薬剤投入溝32と密接する様にゴム又は樹脂の弾性部材61が設けられている。また掻出板58の端辺にも薬剤投入溝32と密接する様にゴム又は樹脂の掻出用シール部材(図示せず)が設けられている。
掻寄板57は、動力によって回転する。
【0038】
2つの分配皿35の間には、薬剤包装領域202に一包分ずつ散薬を供給するための薬剤投入口39が設けられている。なお、
図2、
図3では、薬剤投入口39に蓋17が設けられている。蓋17は、薬剤投入口39に薬剤を投入する際に、自動的に開く。
分配皿35には、円環状に連続する薬剤投入溝32が設けられている。分配皿35は図示しない回転機構によって、回転可能である。回転機構はモータを含んでいる。
【0039】
容器載置装置36は、
図4の様に、薬剤容器2と組み合わされて薬剤フィーダ8を構成するものである。
容器載置装置36は、
図4の様に、振動台50と、重量検知手段52とを備えている。振動台50には加振手段51が設けられており、加振手段51に通電することによって振動台50が振動する。振動台50は、薬剤容器2に作用して薬剤容器2から薬剤を排出させるものであり、薬剤排出手段として機能する。
【0040】
振動台50には、薬剤容器2を保持するための容器保持手段が設けられている。なお、本実施形態では、容器保持手段として磁石(電磁石 図示せず)を採用している。
重量検知手段(排出量検知手段)52は、薬剤容器2の重量を直接又は間接的に測定するものである。
【0041】
本実施形態では、容器載置装置36に薬剤容器2を載置して薬剤容器2を振動させ、薬剤容器2に収容された散薬を分配皿35に排出することが可能である。そしてこの散薬の排出に伴う薬剤容器2の重量変化を重量検知手段52によって検知可能である。本実施形態では、重量検知手段52が排出量検知手段として機能し、薬剤容器2の重量変化によって散薬の排出量が検出される。
【0042】
図3の様に、容器載置装置36の近傍に情報読み書き装置18が設けられている。
【0043】
薬剤包装領域202には、
図2の様に、薬剤包装装置53と、印字手段(図示せず)とが設けられている。
薬剤包装装置53は、薬剤を一包分ずつ包装するための機械であり、シート供給装置と、シール装置によって形成されている。
【0044】
清掃装置38は、
図8の様に清掃ブラシ62を有している。清掃ブラシ62は、モータによって回転するものであり、ブラシカバー63で覆われている。
【0045】
次に本実施形態の薬剤払出し装置1の基本的な動作について説明する。
【0046】
本実施形態の薬剤払出し装置1は、処方に関する情報が入力され、その処方情報に基づいて散薬を一服用分ずつ包装する分包動作を実施することができるものである。
本実施形態の薬剤払出し装置1では動作モードとして、自動分包モードと手差し分包モードを選択することができる。
【0047】
以下、自動分包モードについて説明する。
自動分包モードは、
図4、
図5に示す様な密閉型の薬剤容器2を使用するものである。即ち自動分包モードは、容器保管部23に収容されている薬剤容器2を使用する自動分配動作を実施する運転モードである。
自動分包モードでは、容器保管部23から薬剤容器2を取り出す動作、取り出した薬剤容器2を分配皿35の近傍に移動させる動作、薬剤容器2を容器載置装置36に載置して薬剤フィーダ8を構成させる動作、所定量の薬剤を分配皿35に投入する動作、分配皿35から薬剤を一服用分ずつ薬剤包装装置53に供給する動作、薬剤容器2を容器保管部23に戻す動作を自動的に行う。尚、これらの各動作は、図示しない制御部によって制御される動作である。
【0048】
準備段階として、薬剤容器2に散薬が充填され、その幾つかが容器配置領域200の容器保管部23に装着される。
【0049】
本実施形態の薬剤払出し装置1は、処方に関する情報が入力され、その情報に基づいて分包作業が自動的に実行される。
【0050】
即ち自動分包モードでは、処方情報に基づいて、必要な散薬が充填された薬剤容器2が選択され、容器移動手段28によって必要な薬剤容器2が容器保管部23から容器載置装置36に運搬される。
そして振動台(薬剤排出手段)50に内蔵された電磁石(図示せず)によって薬剤容器2が保持される。薬剤容器2は、電磁石(図示せず)によって容器載置装置36と一体化され、薬剤フィーダ8が構成される。
続いて加振手段51に一定周波数の電流を通電して振動を発生させ、この振動によって振動台50を振動させる。
また振動開始と前後して分配皿35を回転させる。
【0051】
振動開始と前後して、薬剤容器2の重量が重量検知手段52で測定される。薬剤容器2の重量は、重量検知手段52の検知重量から、一定値を引いたものである。
振動台(薬剤排出手段)50に設置直後の薬剤容器2の重量は、原重量Gとして記憶される。また薬剤容器2の重量は、常時監視される。即ち薬剤容器2の現在の重量は、現重量gとして監視される。
【0052】
振動台(薬剤排出手段)50が振動を開始すると、薬剤容器2が振動する。その結果、薬剤容器2に貯留された散薬が、開口72側に向かってゆっくりと移動し開口72から排出されて落下する。
【0053】
散薬が落下中であることは、薬剤容器2の重量が低下することによって確認される。また散薬の排出量が重量検知手段52で検知される。即ち本実施形態では、散薬が薬剤容器2の開口72から落下中においても、薬剤容器2の現在の重量(現重量g)が、重量検知手段52によって監視され続けている。そして振動台(薬剤排出手段)50に設置直後の薬剤容器2の原重量Gと、現重量gとを比較し、散薬の落下量H(Gマイナスg)を常時演算している。
そして散薬の総落下量Hが所望の重量となったところで、振動台50の振動を停止する。
即ち重量検知手段52が測定する薬剤容器2の現重量gが、重量検知手段52によって測定された振動開始前の原重量Gに対して所望の重量だけ少なくなり、薬剤フィーダ8から目標量の散薬が排出されると、振動台50の振動を停止する。
【0054】
その後に分配皿35の回転を停止する。そして、掻出装置37の掻出用アーム26を揺動させ、先端側を降下させて掻出機構27を下げ、掻出機構27のディスク状の掻寄板57を分配皿35の薬剤投入溝32内に入れる。
さらに分配皿35を分配個数に応じた角度だけ回転させて、掻寄板57にかき寄せる。続いて掻寄板57を回転し、掻出板58で散薬をすくい上げて分配皿35から排出し、薬剤投入口39に薬剤を投入する。
【0055】
原則的に一服用分の散薬を一回のかき寄とすくい上げによって薬剤投入口39に薬剤を投入するが、一服用分の散薬を、複数回のかき寄とすくい上げに分けて薬剤投入口39に薬剤を投入する場合もある。
【0056】
薬剤投入口39に投入された薬剤は、散薬投入ホッパー75(
図9)に落下して薬剤包装装置53に運ばれ、薬剤包装装置53で包装される。また薬剤包装領域202の印字手段によって、薬剤包装に所定の印刷が行われる。例えば、患者名と服用時期(朝、昼、夜、寝る前等)が印字される。
この動作を順次繰り返し、分配皿35内の薬剤を全て排出し、それぞれ薬剤包装装置53で包装される。
またこれと平行して、容器移動手段28が起動され、薬剤容器2が容器保管部23のドラム部材25に戻される。
【0057】
分配皿35内の薬剤を全て排出し終えると、溝清掃動作が実行される。即ち掻出用アーム26を揺動させ、先端側を上昇させて掻出機構27を分配皿35の薬剤投入溝32から出す。
続いて清掃装置38の清掃ブラシ62を降下させ、清掃ブラシ62を分配皿35の薬剤投入溝32内に入れる。
そして清掃ブラシ62を回転しつつ、分配皿35を回転させる。
その結果、分配皿35の薬剤投入溝32内に残っていた薬剤の残薬が清掃ブラシ62で掻き落とされ、薬剤投入溝32内が清掃される。
溝清掃動作が終了すると、清掃ブラシ62を上昇させ、清掃ブラシ62を分配皿35の薬剤投入溝32から出す。
【0058】
そしてその後に、掻出部清掃動作が実行されてもよい。
即ち掻出装置37全体を旋回させて掻出装置37の掻出機構27を清掃装置38の近傍に移動させる。
そして
図8に示す様に、清掃ブラシ62の溝C,Dに、掻出機構27の掻寄板57と、仕切板65を挿入する。その状態で、清掃ブラシ62と掻寄板57の双方を回転させる。その結果、掻出機構27にこびりついていた残薬が清掃ブラシ62で掻き落とされ、ブラシカバー63に入る。そしてブラシカバー63内の残薬がバキュームポンプ76(吸引手段)で吸引される。その結果、掻出機構27が清掃される。
【0059】
なお、清掃ブラシ62と掻寄板57の回転を開始する時期は、任意であり、清掃ブラシ62を回転させた状態で、停止状態の掻寄板57を清掃ブラシ62に近接させてもよく、清掃ブラシ62の溝C,Dに掻出機構27の掻寄板57と仕切板65を挿入した後に、清掃ブラシ62と掻寄板57を回転させてもよい。
本実施形態では、後者が採用されており、清掃ブラシ62の溝C,Dに掻出機構27の掻寄板57と仕切板65を挿入した後に、清掃ブラシ62と掻寄板57を回転させている。
【0060】
この理由は、掻出機構27の掻寄板57の弾性部材61と、掻出板58の掻出用シール部材(図示せず)の損傷を抑えるためである。
即ち、清掃ブラシ62を回転させた状態で、掻寄板57を清掃ブラシ62に近づけて清掃ブラシ62の溝C,Dに掻出機構27の掻寄板57と仕切板65を挿入すると、掻寄板57を挿入する際に、弾性部材61の一部だけが回転する清掃ブラシ62と接触し、弾性部材61のゴムの一部が必要以上に削られてしまうためである
【0061】
次に手差し分包モードについて説明する。
手差し分包モードは、
図6に示す様な開放型の薬剤容器60、86等を使用するものである。手差し分包モードでは、外部に置かれた薬剤容器60、86等を作業者の手で薬剤払出し装置1に入れる。
薬剤容器60を使用する場合には、外部で所定量の散薬を秤量して薬剤容器60に投入し、小扉33を開いて筐体10内の容器載置装置36に薬剤容器60を人手で載置する。そして振動台(薬剤排出手段)50を振動させて薬剤容器60から分配皿35に薬剤容器60内の散薬を全て落下させる。
散薬を排出し終えた薬剤容器60は、人手で筐体10から取り出す。
薬剤容器60を容器載置装置36に載置する作業及び薬剤容器60を筐体10から取り出す作業は、いずれも手作業によって行われる。
それ以外の動作は、前記した自動分包モードと同じである。
【0062】
なお、手差し分包モードに用いる開放型の薬剤容器60では、2薬品以上の薬品を秤量し混合し、一つの薬剤容器60に投入してもよい。
即ち本実施形態の薬剤払出し装置1では、一つの分配皿35R、35Lに対応する容器載置装置36が3基しかないから、同時に設置できる薬剤容器2は各3台である。これに対して4薬品以上を一つの分配皿35R、35Lに入れる必要がある場合に、手差し分包モードに用いる開放型の薬剤容器60を使用する場合がある。
一つの分配皿35R(または分配皿35L)を使用して4薬品以上(双方の分配皿35R、35Lを使用する場合は7薬品以上)を分包する場合は、薬剤師が2薬品以上を筐体10の外部で秤量して混合し、薬剤容器60に入れる。
【0063】
ここで、例えば4種類の薬剤の内、いずれを密閉型の薬剤容器2を使用して分包を行い、いずれを開放型の薬剤容器60の使用するかを迷う場合がある。
この問題を解決するため、本実施形態の薬剤払出し装置1では、薬剤の性状等を薬剤払出し装置1の図示しない制御装置や、外部の制御装置に評価を登録しておき、分配皿35R、35Lに対応する容器載置装置36の数を超える薬剤を分包する必要がある場合には、登録された評価の情報から開放型の薬剤容器60を使用することが推奨される薬剤を操作表示部3に表示し、使用者に知らせる。
評価の設定は薬品登録時に行う。例えば薬剤師が開放型の薬剤容器60を使用すべき薬剤であるか否かを判断する。そして開放型の薬剤容器60を使用するのに適しているか否かについて、例えば「適、中、不適」の評価を行う。そして開放型の薬剤容器60に2薬品以上を混合させて容器載置装置36に装着する場合は、所定の操作によって、前記した「適、中、不適」の評価を表示する。例えば、「適」に設定されている薬剤から順に表示し、開放型の薬剤容器60を使用する推奨薬品を提示する。
【0064】
「適、中、不適」の別は、ハイリスク薬品、顆粒薬、色つき薬、要冷所保管薬といった事柄を考慮し、薬剤師自らが薬品登録時に「高中低」の評価を下して設定を行う。
ここでハイリスク薬品とは麻薬、毒薬、向精神薬、劇薬などの事をさす。
もし優先順位が同率で必要以上に推奨薬品がある場合は、薬品登録順に薬剤師に最低数だけ提示を行う
【0065】
例えばハイリスク薬品の評価は「不適」であり、手差し分包モードが使用される優先順位は低い。
MS散やロートエキス散の様に飛散しやすく、開放型の薬剤容器60に収容しにくい薬剤も、評価は「不適」であり、手差し分包モード使用される優先順位は低い。
顆粒薬等は、計量しやすく開放型の薬剤容器60に秤量された量を入れやすいので、優先順位は「適」であり、手差し分包モード使用される優先順位が高い。
色つきの薬剤は、開放型の薬剤容器60が着色し他の薬品が使えなくなる恐れがあるため優先順位は「不適」であり、手差し分包モード使用される優先順位は低い。
さらに混合する薬剤の剤型(粒度)の違いにより混合しても均等に払い出せない薬剤の 組み合わせがある場合においても、処方内の薬剤の剤型(粒度)情報を確認し、推奨しない混合の組み合わせとして表示してもよい。
次に、薬剤払出し装置1のその他の構成について説明する。
【0066】
(1)薬剤容器仮置部
本実施形態の薬剤払出し装置1では、
図10の様に、筐体10内に薬剤容器仮置部80、81が設けられている。
一方の薬剤容器仮置部80は、
図10の様に窓(容器導入部)16に設けられており、窓16を開くことによって筐体10の外に突出する。窓16が閉じている場合には、薬剤容器仮置部80は、筐体10内に収納される。
もう一つの薬剤容器仮置部81は、筐体10の内壁に設置されている。
薬剤容器仮置部80、81は、載置台82と、係合レバー83と、保持部材85によって構成されている。
載置台82には薬剤容器2の重量を測定する重量検知手段87が設けられている。また薬剤容器仮置部80、81には、RFIDリーダライター等の情報読み書き装置88が設けられている。
窓(容器導入部)16に設けられた薬剤容器仮置部80は、外部から筐体10内に薬剤容器2を搬入する際に薬剤容器2を仮置きする用途に使用される。
薬剤容器仮置部80に薬剤容器2を設置して薬剤容器2の初期重量が検知される。
【0067】
本実施形態では、筐体10内に薬剤容器2を導入する際や、取り出す際、及び分包が終了して容器保管部23に薬剤容器2を戻す際に、薬剤容器2に収容された薬剤の量を計量する機能を果たす。
即ち薬剤容器2内の薬剤が不足すると、薬剤容器2を薬剤払出し装置1から取り出し、当該薬剤容器2に薬剤を補充するが、当該薬剤容器2を薬剤払出し装置1に戻す際に、薬剤容器2の重量が測定され、図示しない制御装置に薬剤容器2内の薬剤量が記憶される。また薬剤容器2に装着された記憶手段15に薬剤容器2内の薬剤量が記憶される。
具体的な手順としては、図示しないスイッチを操作して窓(容器導入部)16を開き、窓16の薬剤容器仮置部80に薬剤容器2を設置する。その後に、図示しないスイッチを操作すると、窓16が自動的に閉じ、さらに重量検知手段87で薬剤容器2の重量が測定される。そして情報読み書き装置88で薬剤容器2の記憶手段15に薬剤容器2内の薬剤量が書き込まれる。
【0068】
また分包が終了して容器保管部23に薬剤容器2を戻す際に、容器移動手段28のハンド部47で薬剤容器2を保持し、薬剤容器2を移動し、筐体10の内壁に設置された薬剤容器仮置部81に設置する。そして薬剤容器2の重量が測定される。また薬剤容器2に取り付けられている記憶手段15の情報が書き換えられる。
【0069】
なお、先の処方に基づく分包が終了し、次の処方に使用する薬剤が、先の処方と同一の薬剤である場合、使用した薬剤容器2を容器保管部23に戻さず、連続して同一の容器載置装置36を使用してもよい。あるいは、使用した薬剤容器2を容器保管部23に戻さずに他の容器載置装置36にそのまま移動して薬剤容器2の重量が測定され、一旦記録した後に当該薬剤容器2が使用されてもよい。
あるいは、処方テーブルを参照し、一括で処方データを取得する。 連続する処方間には同一の薬品が含まれるよう順序を並び替え、連続して同一の薬剤容器2を使用するようにし、上記のように容器保管部23に戻さず運用することが考えられる
【0070】
(2)集塵手段の集塵袋の収容余力の検知
本実施形態では、
図9に記載した様な集塵手段90を有している。集塵手段90は、公知のそれと同様、負圧を発生させて空気と共に塵を吸い込み、集塵袋43に塵を集めるものである。集塵手段は、
図9の様に、薬剤投入口39の散薬投入ホッパー75に接続されている。また前記した清掃装置38にも接続されている。さらに図示しない手動ノズルを有し、必要に応じて手動で各部を清掃することができる。
負圧を発生させる手段は、バキュームポンプ76であり、具体的にはブロアの様な遠心式の送風機であって、モータによって回転される。また塵を集める集塵袋43が内蔵されている。
【0071】
本実施形態では、筐体の下部に袋収容部92があり、当該袋収容部92に集塵袋43が収納されている。袋収容部92は、筐体に形成された凹部であり、開閉扉93(
図1)が設けられている。
凹部内には,支持板96と、袋保持部材97が設けられている。支持板96は、アクリルその他の樹脂板であり、凹部の底から少し浮かせた状態で設置されている。本実施形態では、凹部の底に補強のためのリブ98が4条設けられており、当該リブ98に支持板96が載置されている。そして本実施形態では、支持板96にひずみゲージ100が取り付けられている。
【0072】
集塵袋43は、支持板96と袋保持部材97の間に設置される。そして本実施形態では、ひずみゲージ100が支持板96のひずみを検知し、それが一定の閾値を超えると、集塵袋43の収容余力が少なくなったものと判断して、集塵袋43の取り替えを促す表示を操作表示部3に表示する。
即ち、集塵袋43は、重量的な収容限界と、容積的な収容限界がある。
仮に、集塵袋43に多量のチリ等が収容され。容積限界に近づくと、集塵袋43が支持板96と袋保持部材97の間に密状態に拡大し、支持板96と袋保持部材97を押す。その結果、支持板96が押されて弾性変形し、そのひずみをひずみゲージ100が検知する。
【0073】
また集塵袋43に多量のチリ等が収容され、重量限界に近づくと、その重量によって支持板96が押されて弾性変形し、そのひずみをひずみゲージ100が検知する。
【0074】
支持板96の大きさは、限定されるものではなく、凹部の底面と同等の面積を有するものであってもよい。また支持板96を省略し、
図11(c)の様な短冊状の板101にひずみゲージ100を取り付けてもよい。
ひずみゲージ100は、集塵袋43の拡大と、重量によって変形する部材に取り付けることが望ましく、本実施形態では、支持板96にひずみゲージを設けたが、他の部材にひずみゲージをもうけてもよい。例えば、袋保持部材97や、凹部の内壁にひずみゲージ100を取り付けてもよい。
【0075】
なお、ひずみゲージは、ブリッジ回路に組み込まれて使用され、0点の補正と、ゲインの調整を行うことが望ましい。この調節は、ブリッジ回路に可変抵抗や半可変抵抗を組み入れ、手動によってこれらを調整することによって行うことができる。
また可変抵抗等に代わって、デジタルポテンショメーターを使用することも推奨される。
即ち、ひずみゲージに対して精度を維持するために、回路の校正作業を行うことが望ましい。具体的には、ひずみゲージに負荷のかかっていない0点の測定と満載時と2つの重量測定を行うことが必要であるが、校正用に設けた可変抵抗を調整する作業は、工場で行うことはできるが、出荷後の再調整が難しいという問題がある。
これに対して、可変抵抗等に代わって、デジタルポテンショメーターを使用することにより、無負荷時の0点測定と、満載時の閾値測定をソフト制御で行えるようになり、校正する際には、ユーザーは重りをひずみゲージに乗せる作業のみで実施することができる。
【0076】
(3)記憶手段の取り扱い
前記した様に、薬剤容器2には記憶手段15が設けられている。記憶手段15には、薬剤容器2に関する情報が記憶されている。例えば、薬剤容器2を識別する識別番号、薬剤容器2に収容された薬剤を特定する識別情報(薬剤名や各種コード等の情報 識別番号等)や、収容された薬剤の現在の薬剤量に関する薬剤量情報が記憶されている。記憶手段15に記憶された情報は、処方データ等と関連付けて使用可能な情報であり、記憶手段15に記憶された情報を取得することで、薬剤容器2に収容された散薬の種類を特定する動作等が可能となる。この記憶手段15は、ICタグ等のメモリであってもよい。また、一次元コード(バーコード)や二次元コードのようなコードであってもよく、コードを採用する場合、ラベルに付されていてもよい。前記した様に、本実施形態では、記憶手段15としてRFIDタグが採用されている。
【0077】
また本実施形態では、容器載置装置36の近傍に情報読み書き装置18が設けられている。そして薬剤を分包するために容器保管部23から薬剤容器2を取り出し、薬剤容器2を容器載置装置36に置いた時に薬剤容器2内の薬剤が、処方の対象薬剤であるかが確認される。
【0078】
また分配作業が終了した際、容器載置装置36の近傍に設けられた情報読み書き装置18によって、記憶手段15に記録された薬剤容器2内の薬剤の薬剤量が書き換えられる。
【0079】
また分包が終了して容器保管部23に薬剤容器2を戻す前に、薬剤容器2が薬剤容器仮置部81に設置され、薬剤容器2の重量が再度測定される。この様に本実施形態の薬剤払出し装置1では薬剤の重量が二重に確認される。
【0080】
薬剤容器仮置部81から容器保管部23に薬剤容器2を戻した後、ドラム部材25を回転させて戻された薬剤容器2を情報読み書き装置(図示しない)に近づけ、容器保管部23に戻された薬剤容器2が元の薬剤容器2であることが確認される。
【0081】
(4)薬剤容器の新規導入
前記した様に、薬剤容器2の記憶手段15には、例えば、薬剤容器2を識別する識別番号、薬剤容器2に収容された薬剤を特定する識別情報(薬剤名や各種コード等の情報 識別番号等)、収容された薬剤の現在の薬剤量等が記憶されている。
従って、薬剤払出し装置1に新たな薬剤容器2を収容する際には、薬剤容器2の記憶手段15に上記した各情報を新たに書き込む必要がある。
また薬剤払出し装置1では、図示しない制御装置の記憶手段に、収容されている全ての薬剤容器2の情報が記憶されている。即ちどの薬剤容器2にどのような薬剤が、いくらの量入っているのかという情報が、薬剤払出し装置1の制御装置に記憶されている。
従って、薬剤払出し装置1に新たな薬剤容器2を収容する際には、どの薬剤容器2にどのような薬剤が、いくらの量入っているのかという情報を、薬剤払出し装置1の制御装置に新たに書き込む必要がある。
【0082】
薬剤払出し装置1では、薬剤払出し装置1に新たに薬剤容器2を収容する際に、薬剤払出し装置1の制御装置に薬剤容器2の識別番号の登録が行われる。また薬剤容器2に収容する薬剤と薬剤容器2の関連付けが行われ、それが薬剤払出し装置1の制御装置に記憶される。即ち本実施形態の薬剤払出し装置1では、薬剤容器2の識別番号等と、当該薬剤容器2に充填されている薬剤名及び薬剤量(収容量)が薬剤払出し装置1の図示しない制御装置に記憶される。即ち、新たな薬剤容器2を収容する際には、どの薬剤容器2にどのような薬剤が入るのかという情報が、薬剤払出し装置1の制御装置に新たに書き込まれる。
【0083】
また薬剤容器2を新規に薬剤払出し装置1に導入する際には、当該薬剤容器2の記憶手段15に薬剤容器2の識別番号が記録される。
薬剤容器2に個別に薬剤を充填した際には、各薬剤容器2の記憶手段15に薬剤を特定する情報が記憶される。
【0084】
薬剤容器2を薬剤払出し装置1に新規に導入する際における最初の工程として、作業者によって、充填を行う複数の薬剤容器2が集められる。
そして薬剤容器2の記憶手段15に記憶された収容すべき薬剤名に関する情報を読み出して、薬剤容器2と薬瓶の照合を行う。具体的には、収集された薬剤容器2の記憶手段15に記憶された識別番号等と、充填すべく選択された図示しない制御装置に記憶された識別番号を照合する。充填する薬瓶や薬箱の容器にはバーコード等が付与されており、そこに薬種情報が記録されている。作業者は、バーコードリーダ等によって薬瓶や薬箱に付されたバーコード等の情報を読み取り、薬剤容器2の記憶手段に記録された識別番号に紐づけされた薬剤情報または、直接記録された薬剤情報と照合する。
そして薬剤容器2の記憶手段15に記憶された識別番号等と、充填すべく選択された図示しない制御装置に記憶された識別番号が適合し、さらに薬瓶内の薬剤が薬剤容器2に充填すべき薬剤と同じであることを条件として、薬剤払出し装置1の操作表示部(表示手段)3に承認を意味する表示がなされる。
【0085】
その後、作業者が薬剤容器2に薬剤の投入を行う。集めた充填すべき薬剤容器2の全てにおいて、薬瓶との照合と充填が完了したら、それらの薬剤容器2を順次、薬剤払出し装置1に収容する。
薬剤払出し装置1では、薬剤払出し装置1に新たに薬剤容器2を収容する方法として、次の二つの方法がある。
【0086】
a:窓(容器導入部)を利用する方法
薬剤払出し装置1に新たに薬剤容器2を収容する方法の一つとして窓16から薬剤払出し装置1内に薬剤容器2を入れる方法がある。この方法では、薬剤容器仮置部80で収容されている薬剤量を検知する。
即ち窓16から薬剤払出し装置1内に薬剤容器2を入れる方法では、薬剤容器2を一つずつ窓16の薬剤容器仮置部80に載置して薬剤量を検知する。
薬剤払出し装置1に新たに薬剤容器2を収容する際には、図示しない入力装置に薬剤容器2に収容された薬剤名等の情報を入力する。そして窓16を開いて薬剤容器仮置部80に薬剤容器2を設置し、所定のスイッチを操作することにより薬剤量の検知が実行される。即ち薬剤容器仮置部80の重量検知手段87で薬剤容器2の重量が測定され、その重量から薬剤容器2内の薬剤量が演算され、薬剤量が情報読み書き装置88によって薬剤容器2の記憶手段15に書き込まれる。また記憶手段15から薬剤の情報が読み出され、使用者が入力装置に入力した薬剤であることが確認される。
その後、容器移動手段28が起動され、薬剤容器2が容器保管部23のドラム部材25に収容される。
またいずれかのタイミングで、薬剤容器2内の薬剤量等の情報が、薬剤払出し装置1の図示しない記憶装置に記憶される。
【0087】
b:薬剤量確認モードによる方法
薬剤払出し装置1は、動作モードの一つとして薬剤量確認モードがある。
薬剤量確認モードは、薬剤払出し装置1が現に保管する薬剤の残量確認を一括して行うことができる動作モードである。また薬剤量確認モードは、単に残量確認をすることに止まらず、システム的に一括で全薬剤容器2内の薬剤量を自動で更新するモードであると言える。
薬剤量確認モードは、容器保管部23に設置された複数の薬剤容器2に対して薬剤量検知動作を順次実行する動作モードである。
ここで薬剤量検知動作は、容器保管部23から薬剤容器2を取り出して容器移動手段28で筐体10の内壁の薬剤容器仮置部81に移動し、重量検知手段87で薬剤容器2内の薬剤量を検知する動作である。
薬剤量確認モードでは、容器保管部23に既に収容されている薬剤容器2を一つずつ容器移動手段28で取り外して薬剤容器仮置部81に移動し、所定の処置を行った後、容器移動手段28で容器保管部23のドラム部材25に戻す動作が実行される。即ち薬剤量確認モードでは、薬剤容器2の重量が内壁の薬剤容器仮置部81の重量検知手段87で測定され、薬剤の重量が薬剤払出し装置1の図示しない記憶装置に記憶される。また薬剤容器2内の薬剤量等の情報が、薬剤容器仮置部81の情報読み書き装置88によって薬剤容器2の記憶手段15に記憶される。
この一連の動作が、容器保管部23に既に収容されている全ての薬剤容器2に対して順次実施される。
【0088】
薬剤払出し装置1は、薬剤量確認モードを利用して、薬剤払出し装置1に新たに収容された薬剤容器2について、充填された薬剤量を検知し、薬剤容器2の記憶手段15と、薬剤払出し装置1の制御装置に薬剤量を新規に記憶させることができる。
この方法においては、薬剤払出し装置1の外部で薬剤容器2に薬剤を充填し、人手で容器保管部23に薬剤容器2を直接的に装着する。薬剤払出し装置1を新規に導入した薬局等であるならば、全ての薬剤容器2に薬剤を充填し、全ての薬剤容器2を手作業で容器保管部23に装着する。
そして所定の操作によって、薬剤量確認モードを起動する。
その結果、薬剤量検知動作が繰り返し行われる。具体的には、容器保管部23に既に収容されている薬剤容器2(新たに収容された薬剤容器2)を容器移動手段28で取り外して薬剤容器仮置部81に移動し、重量測定等が行われた後、容器移動手段28で容器保管部23のドラム部材25に戻す。
また薬剤容器2内の薬剤量等の情報が、薬剤容器仮置部81の情報読み書き装置88によって薬剤容器2の記憶手段15に記憶される。さらに薬剤容器2内の薬剤量等の情報が、薬剤払出し装置1の記憶装置に記憶される。
【0089】
薬剤量確認モードを利用して、薬剤払出し装置1に新たに薬剤容器2を収容する際には、薬剤容器仮置部81に薬剤容器2が載置された際に、薬剤容器仮置部81に設置された情報読み書き装置88で薬剤容器2を特定する情報と、充填されている薬剤の種類に関する情報が読み出される。
そして薬剤容器2を特定する情報と、薬剤の種類に関する情報に基づいて、薬剤払出し装置1の記憶装置から該当する薬剤容器2を検索し、薬剤容器2内の薬剤量等の情報が、薬剤払出し装置1の記憶装置に記憶される。
【0090】
薬剤容器2に薬剤を新規に充填する際には、各薬剤容器2に充填する薬剤について、充填時には充填量を意識せず、例えば目分量で、複数の薬剤容器に薬剤を充填してゆき、充填したあとで、薬剤量確認モードを利用し、重量検知手段87を使用して順次薬剤量を更新する。
薬剤量確認モードを利用すると、個別に薬剤を秤量して薬剤容器2に投入するという作業を繰り返す方法(窓を利用する方法)よりも、効率的である。
【0091】
なお、薬剤量確認モードを利用する場合には、筐体2の外部で充填量を計量する必要はないが、筐体10の外部で別途用意の重量測定手段を使用して薬剤を秤量し、秤量後の薬剤を別途用意の薬剤容器2に収容し、手動または前記移動装置によって薬剤容器2を筐体10内に入れてもよい。
筐体10の外部で別途用意の重量測定手段を使用して薬剤を秤量することにより、薬剤容器2に充填する薬剤そのものの量を計測することができ、より高精度な在庫管理が可能となる。
【0092】
また薬剤払出し装置1は、図示しない印刷装置を有し、所定の情報を紙に印字して排出することができる。
薬剤払出し装置1で薬剤量確認モードによって、各薬剤容器2内の薬剤量を検知した後、すべての薬剤容器2の薬剤の残量を薬剤容器2の識別番号ごと、あるいは薬剤師名ごとに紙に印字したり、画面に充填明細として一覧表示することができる。
特にこのような運用は、一日の作業開始前に実行し、不足分を補充しておき、できるだけ業務時間中に欠品が発生しないようにすることができる点で有用である。そのため、前日の業務終了後に薬剤量確認モードを起動して、薬剤容器2内の残量確認を自動で実行し、紙に残量を印字しておくことで、このような業務開始前充填作業を実行することが可能となる。
【0093】
以上説明した薬剤量確認モードによる方法では、容器保管部23に既に収容されている薬剤容器2を容器移動手段28で取り外し、窓16の近傍に設けられた薬剤容器仮置部81に移動し、重量測定等を行ったが、他の重量検知手段を使用して薬剤量検知動作を行ってもよい。
例えば容器保管部23に既に収容されている薬剤容器2を容器移動手段28で取り外し、窓16に設けられた薬剤容器仮置部80に移動して薬剤量検知動作を行ってもよい。
あるいは、容器載置装置36の重量検知手段52を使用して薬剤量検知動作を行ってもよい。
この場合は、容器保管部23に既に収容されている薬剤容器2を容器移動手段28で取り外して容器載置装置36に移動し、重量検知手段52で重量測定等が行われた後、容器移動手段28で容器保管部23のドラム部材25に戻される。
また薬剤容器2内の薬剤量等の情報が、容器載置装置36近傍の情報読み書き装置18によって薬剤容器2の記憶手段15に記憶される。薬剤容器2内の薬剤量等の情報が、薬剤払出し装置1の記憶装置に記憶される。
【0094】
薬剤量確認モードは、例えば薬剤払出し装置1を新規に購入して、新規に薬剤容器2に薬剤を充填する場合に行われることが望ましい。
この場合は、筐体10の外部で別途用意した薬剤容器2に新たに散薬を充填する。
そして、手動によって全ての薬剤容器2を容器保管部23に設置する。あるいは窓16の薬剤容器仮置部80に薬剤容器2を置き、容器移動手段28を利用して全ての薬剤容器2を容器保管部23に設置する。
そして薬剤量確認モードを実行して容器保管部23に設置された複数の薬剤容器2内の薬剤量を検知する。
【0095】
(5)薬剤容器内への薬剤補充後の薬剤量の確認
前記した様に、薬剤量確認モードは、薬剤払出し装置1が現に保管する薬剤の残量確認を一括して行うことができる動作モードである。また薬剤量確認モードは、単に残量確認をすることに止まらず、システム的に一括で全薬剤容器2内の薬剤量を自動で更新するモードであると言える。
例えば、一日の作業開始前に、薬剤払出し装置1に収容されている薬剤容器2に薬剤を補充する場合がある。また棚卸の際には、薬剤払出し装置1に収容されている全ての薬剤容器2に薬剤量を確認する場合がある。
これらの場合は、例えば容器保管部23から薬剤容器2の全て、又は多くを取り出し、筐体10の外部で薬剤容器2に薬剤を補充する。
そしてこれらを手動で容器保管部23に戻し、薬剤量確認モードを実行する。
その結果、薬剤容器2内の薬剤量が自動的に更新される。
【0096】
棚卸等の場合は、例えば容器保管部に25設置されている薬剤容器2の一部又は全部を筐体10の外に取り出し、必要に応じて一又は複数の薬剤容器2に散薬を充填する。
そして手動によって全ての薬剤容器2を容器保管部23に設置する。あるいは窓16の薬剤容器仮置部80に薬剤容器2を置き、容器移動手段28を利用して全ての薬剤容器2を容器保管部23に戻して設置する。
そして薬剤量確認モードを実行して容器保管部23に設置された複数の薬剤容器2内の薬剤量を検知する。
【0097】
なお、薬剤容器2に薬剤を補充する場合には、筐体10の外部で別途用意の重量測定手段を使用して薬剤を秤量し、秤量後の薬剤を別途用意の薬剤容器2に収容し、手動または前記移動装置によって薬剤容器2を筐体10内に入れてもよい。
【0098】
(5)残薬検知センサー
本実施形態の薬剤払出し装置1は、分配皿35の近傍に、残薬検知センサー67が設けられている。分配皿35を対象とする残薬検知センサー67(以下 単に残薬検知センサー67)は、光学センサーであり、投光部と受光部が一体化されたものである。
残薬検知センサー67の投光部は、
図3、
図12の様に、分配皿35の薬剤投入溝32の幅に相当する幅のビーム105を照射する。残薬検知センサー67の投光部は固定されており、ビーム105が照射される領域は、一定の領域106に限られる。
ビーム105の照射位置に汚れや残薬が無い場合は、投光部から照射された光は、薬剤投入溝32の表面で正反射し、受光部には戻らない。
これに対してビーム105の照射位置に汚れや残薬があれば、投光部から照射された光は、残薬等に当たって乱反射し、一部が残薬検知センサー67の受光部に入光する。
そのため照射部に汚れや残薬が有るか否かを検知することができる。
【0099】
残薬の検知作業は、分配皿35を回転しつつ、残薬検知センサー67の投光部から光を照射して行う。
具体的には、清掃装置38によって分配皿35の表面を清掃した後に残薬の検知作業を実施する。
【0100】
本実施形態で採用する分配皿35は、位置を特定する機能を備えている。分配皿35は、モータによって回転するが、分配皿35自体の特定の箇所を原点とし、例えば、
図12の様に、原点位置から90度、180度といったよう位置を特定することができる。実際の位置検知手段は限定するものではないが、例えば分配皿35を回転させるモータにサーボ機能を有するものを採用したり、特定のセンサーを設けることによって実現することができる。
【0101】
本実施形態の薬剤払出し装置1では、残薬検知センサー67が残薬を検知すると、残薬の位置が記録される。例えば
図12の様に、原点から130度の位置に残薬120があることが図示しない記憶手段に記憶され、操作表示部(表示手段)3に表示される。
作業者は、操作表示部3の表示を見て、残薬120の位置を知り、清掃を行う。
本実施形態によると、短時間で清掃を終えることができる。
またより進化した構成として、残薬120の位置を知り、自動でその場所を重点的に清掃するモードを備えたものであってもよい。この構成によると、残薬が無い領域の清掃を軽くしたり省略することもでき、清掃に要する時間を短縮することができる。
【0102】
(6)弾性部材装着判別手段
本実施形態の薬剤払出し装置1は、掻寄板57の円周部に装着されている弾性部材61の状態を判定する弾性部材装着判別手段が装備されている。
弾性部材装着判別手段は、
図13の様に、掻出用アーム26と一体的に動作するドグ110と、図示しないセンサーによって構成されている。
ドグ110は、掻出用アーム26の末端側から突出する棒状の部材である。
センサーは、例えば透光形の光センサーであり、
図13の四角で囲われた領域が検知領域112である。即ちセンサーは、ある程度の広さの検知領域があり、当該検知領域112にドグ110が入ると、センサーがオン状態となる。
【0103】
本実施形態の 薬剤払出し装置1では、弾性部材装着判別手段によって、掻寄板57に弾性部材61が装着されているか否かや、弾性部材61の摩耗の程度を検知することができる。
本実施形態では、掻出機構27を下降させて掻寄板57を分配皿35に着地させた際、
図13(b)の様にドグ110が検知領域112に至らず、センサーがオフ状態である場合には、弾性部材61が掻寄板57に装着されており、且つ弾性部材61の摩耗が少ないと判定する。
また掻出機構27を下降させて掻寄板57を分配皿35に着地させた際、
図13(c)の様にドグ110が検知領域102に入り、センサーがオン状態である場合には、弾性部材61が掻寄板57に装着されているが、弾性部材61の摩耗が進んでいると判定する。
さらに、掻出機構27を下降させて掻寄板57を分配皿35に着地させた際、
図13(d)の様にドグ110が検知領域112を越えてしまい、センサーがオフ状態である場合には、弾性部材61が掻寄板57に装着されていないと判定する。
【0104】
ここで、
図13(b)の様にドグ110が検知領域112に至らない場合と、
図13(d)の様にドグ110が検知領域112を越えてしまう場合は、共にセンサーがオフ状態となるが、両者の相違は、途中のセンサーのオンオフの経緯を見て判断する。
即ち
図13(a)の様に掻出機構27が待機状態であって、掻寄板57が上に上がっている状態の場合は、ドグ110は検知領域112から外れており、センサーがオフ状態となっている。
この状態から掻出機構27を下降させて掻寄板57を分配皿35に着地させた場合、仮に弾性部材61が掻寄板57に装着されており、且つ弾性部材61の摩耗が少ないのであれば、ドグ110は
図13(b)の様にドグ110が検知領域112に至らず、センサーがオフ状態を維持する。
【0105】
これに対して、仮に弾性部材61が掻寄板57に装着されていないのであれば、ドグ110は、検知領域112を通過して一時的にセンサーがオン状態となる。
する。そのため、弾性部材61が掻寄板57に装着されていないのであれば、センサーは、一時的にオン状態となり、その後にオフ状態に変わる。そしてオフ状態で安定する。
そこで本実施形態では、掻出機構27を下降させて掻寄板57を分配皿35に着地させる際に、センサーが一時的にオン状態となり、その後にオフ状態に変わった場合には、弾性部材61が掻寄板57に装着されていないと判定する。掻出機構27を下降させて掻寄板57を分配皿35に着地させる際に、センサーが一時的にオン状態となることなく、オフ状態を維持している場合には、弾性部材61が掻寄板57に装着されており、且つ弾性部材61の摩耗が少ないと判定する。
【0106】
(6)捨て包の印字省略
本実施形態の薬剤払出し装置1では分配皿35に散薬を落下させた後、掻出機構27を下降させて掻寄板57を分配皿35に着地させ、分配皿35を所定の角度ずつ回転して散薬をかき寄せ、掻出板58を回転して分配皿35から散薬を掻き出し、分配皿35に撒かれた散薬を所定の数に分割してゆく。
この構造の薬剤払出し装置1は、掻寄板57を分配皿35に着地させた際に、下の散薬が横に逃げ、第一回目の掻き出し量が少なくなる傾向がある。逆に最後に掻き出された散薬は、量が多くなる傾向がある。
中間に包装された薬剤包装は、量が安定している。そのため中間に包装されたものだけを患者に渡す場合がある。患者に手渡すことが無い薬剤包装を「捨て包」と称する。
【0107】
本実施形態では、捨て包であることが明確になる様に、捨て包に相当する薬剤包装に通常なされる印字を行わない。即ち捨て包に対しては、他の薬剤包装とは異なる印刷状態としている。
本実施形態の薬剤払出し装置1では、前記した様に印字手段が設けられており、患者に渡す薬剤包装には、例えば、患者名と服用時期(朝、昼、夜、寝る前等)が印字される。
これに対して、捨て包にはこれらの印刷がなされない。
本実施形態では、少なくとも第1包を捨て包とし、第1包には、患者名等を印刷しない。
【0108】
(7)少量処方の場合の処理
例えば幼児に対する処方では、処方される散薬の量が少ない場合がある。これに対して、薬剤払出し装置1では、分配皿35に供給する個々の散薬の量に下限がある。そのため、処方箋に記載された散薬の中に、総量が下限未満の散薬が含まれている場合には、原則として分包を行うことができない。
即ち薬剤払出し装置1では、分配皿35を回転しつつ、分配皿35に散薬を落下させ、薬剤投入溝32に散薬を均等に分散させるものであるが、薬剤の量が過度に少ない場合には、薬剤投入溝32に散薬を均等に分散させることが困難である。
【0109】
本実施形態では、散薬の総量が少ない場合には、下限以上の散薬を分配皿35に落下させる。そして分配皿35内の散薬を必要個数より多数に分割し、個々の包装に含まれる散薬の量を処方の用法の量に合わせる。
例えば、薬剤を一包中に0.1グラム包装し、これを3包作る必要があると仮定する。一方、分包可能な散薬の下限が0.5グラムであると仮定する。
この様な場合であるならば、薬剤容器2から散薬を0.5グラム落下させ、分配皿35に分散させる。
【0110】
そして分配皿35に分散された散薬を5分割し、薬剤投入口39に投入して、1包装あたり0.1グラムの薬剤包装を5個作る。
そして患者に対して、3包装を手渡す。残る2包装は、廃棄又は、包装を破って散薬を取り出し、元の薬剤容器2に戻す。
【0111】
前記した様に、第一回目の掻き出し量は少なくなる傾向があり、最後に掻き出された散薬は、量が多くなる傾向があるから、患者に渡す薬剤包装は、中間に包装されたものとすることが望ましい。即ち、前記した様に3包必要なところ、5包作った場合、最初の第一包と最後の第5包を捨て包とし、中間の第2包、第3包、第4包を患者に手渡す。
【0112】
この場合においても、捨て包であることが明確になる様に、捨て包に相当する薬剤包装に通常なされる印字を行わない。
【0113】
(8)包装紙重量を加算して印字
前記した様に、本実施形態の薬剤払出し装置1では、薬剤が一服用分ずつ個別に包装され、各包装に患者名と服用時期(朝、昼、夜、寝る前等)等が印字される。
薬剤包装は、帯状に繋がった状態で排出されるが、その一部に検薬包と称される書誌的事項を印字した領域が付属する。
【0114】
本実施形態では、検薬包に記載される項目の中に、薬剤包装の包装紙(シート)の重量に関する項目がある。
即ち本実施形態では、薬剤包装に含まれる薬剤の重量だけでなく、包装に使用された包装紙の重量に関する情報についても、検薬包に印字される。例えば、処方された薬剤量が一日当たり3グラムであり、これを朝昼寝る前、の三回に分けて服用するものとし、五日分処方されたと仮定する。この場合の薬剤の総重量は15グラムである。
またこの条件下における薬剤包装の数は、3包・5日であり、合計15包となる。仮に包装紙の重量が1グラムであると仮定すると包装紙の総重量は15グラムとなる。
本実施形態では、検薬包に薬剤の総重量たる15グラムと、包装紙の総重量たる15グラムの合計重量たる30グラムの値が印字される。
【0115】
本実施形態において、検薬包に記載される項目は、次の通りである。
【0116】
秤量開始時刻
引換券番号
年齢
体重
薬品名
一日量(理論値 実測値)
薬剤の総量(理論値 実測値)
包装紙を含む総重量(理論値 実測値)
分数
服用日数
【0117】
ここで、理論値とは処方データに基づく処方量であり、薬剤容器2から排出しなければならない目標値である。またここで実測値とは薬剤容器2から実際に排出された薬剤の量であり、載置台82の重量検知手段87で検知された量である。
【0118】
一つの薬剤包装に使用される包装紙の重量は、予め図示しない制御装置に記憶されている。
一つの薬剤包装に使用される包装紙(シート)の重量は、薬剤払出し装置1に装着されるシートロールのシートの正味重量と包装紙の全長から単位長さ当たりの包装紙(シート)の重量を演算し、それに実際に使用した包装紙の長さを掛けて算出される。
本実施経緯の薬剤払出し装置1によって払出される薬剤包装は、後に行われる鑑査が容易である。即ち、薬剤包装は、患者に渡される前に薬剤師による鑑査が行われる。
鑑査の一環として、薬剤包装に含まれる薬剤の総量と処方箋に記載された量を比較する場合がある。
ここで本実施形態で採用する検薬包には、包装紙を含む総重量が記載されている。そのため、薬剤が収容されている薬剤包装を全て別途用意の計量装置に載せて総重量を計量し、検薬包に記載された数値と比較することにより、薬剤包装に含まれる薬剤の総量と処方箋に記載された量を比較することができる。
【0119】
(8)手差し分包モードへの切り替え
本実施形態の薬剤払出し装置1は、内部に複数の薬剤容器2が収容されており、処方情報に従って、内部の薬剤容器2から薬剤が取り出され、包装されて排出される。
しかしながら、内部の薬剤容器2を使用して薬剤を払い出す予定で作業を進めていたにも関わらず、薬剤容器2を使用できない場合がある。例えば必要な薬剤容器2が外部に出されていたり、薬剤容器2内の薬剤の薬剤量が足りない場合は、薬剤容器2を使用して薬剤の払出しを行うことができない。従来は、このような場合、当該処方に掛かる薬剤をキャンセルし、再度充填した後に処方情報を入力して分包を実施するしかなかったが、本実施形態の薬剤払出し装置1では、この様な場合に、手差し分包モードに切り替えることができる。
本実施形態の薬剤払出し装置1では、手差し分包モードに切り替える切り替えスイッチ(図示せず)があり、当該切り替えスイッチを操作することにより、薬剤容器2が外部に出されていたり、薬剤容器2内の薬剤の薬剤量が足りない薬剤の薬剤等の薬剤名と処方量を紙に印字して出力し、記載された情報を、外部の散薬秤量装置(図示せず)で秤量、および鑑査を実施し、
図6に示す様な開放型の薬剤容器(手差し用薬剤容器)60、86に秤量した薬剤を充填し、薬剤払出し装置1の容器載置装置36に設置することで、薬剤払出し装置1に入力された処方データをそのまま利用して、薬剤払出しを行うことができる。
【0120】
(9)処理順の入れ替え
薬剤払出し装置1における分包作業は薬剤払出し装置1に入力された処方情報の順に実施される。
ここで本実施形態の薬剤払出し装置1は、分配皿35等が2セット有るのに対し、薬剤包装装置53や印字手段は、1セットしか持たない。
そのため、異なる患者の処方にかかる薬剤が、それぞれの分配皿に分けて分配される場合、先に入力された患者の処方に基づく一つの分配皿35Rからの薬剤が包装され、排出し終えるまで、次に入力された患者の処方に基づく他方の分配皿35Lからの薬剤を包装し、印字することができない。
【0121】
そこで本実施形態の薬剤払出し装置1では、オプションとして、処理順を入れ替えることができる機能がある。
薬剤払出し装置1は、処方記憶手段を有している。また薬剤払出し装置1は、比較手段として機能するコンピュータプログラムを有している。
処方記憶手段は、処理すべき処方の情報を記憶するものである。比較手段は、処方を処理するのに要する時間を比較するものである。
薬剤払出し装置1は、連続して処理する処方が複数あった場合、先の第1処方と、次の第2処方を、処方記憶手段に一旦キープする。
薬剤払出し装置1には、薬剤の分配等に要する大まかな時間がデータベース化されており、比較手段で、前記した二つの処方を処理するのに要する時間を比較する。そして、処理に要する時間が短いものを先に処理する。
【0122】
次に、残った第2処方と、次の第3処方を処方記憶手段に一旦キープする。そして比較手段で、二つの処方を処理するのに要する時間を比較する。そして、処理に要する時間が短いものを先に処理する。
以後、この処理を続けるが、特に長時間を要する処方については、次々に後回しになってしまうことが懸念される。
そこで、何回か処理が保留された処方については、処理時間の長短に係らず分包が開始される。また患者の待ち時間を考慮して、待ち時間が一定の限度に達すると、処理が保留されていた処方を処理する方法も考えられる。先に処理された分包数が一定値を超えると保留されていた処方を処理する方法も考えられる。またあるいは、2つの処方を単位としてこのような比較作業を実施することも考えられる。
【0123】
処方を実施する際に要する時間の比較は、2処方の比較に限定されるものではなく、3以上の処方情報をキープして比較してもよい。理想的には、4処方データをキープして早いものから順に処理するのがよい。
【0124】
本実施形態の薬剤払出し装置1は、分配皿35等を2セット有しているが、分配皿が一枚の薬剤払出し装置もあり、この装置にも処理順の入れ替え機能を備えることが望ましい。
また分配皿が一枚の薬剤払出し装置にこそ、この機能を付加させることが推奨される。
【0125】
(8)シミュレーション機能
本実施形態の薬剤払出し装置1では、操作表示部3を有し、当該操作表示部3に各種の表示を表出することができる。
本実施形態の薬剤払出し装置1に特有の表示画面として、
図14のシミュレーション画面がある。
シミュレーション機能は、主に、薬剤払出し装置1の利点を説明する広告用に使用される機能であり、設例を入力することにより、処方に要する時間や、削減可能な工数等を演算し、表示することができる。またシミュレーション機能によって容器保管部23に収容することが望ましい薬剤を選定する際の参考資料を提供することができる。
【0126】
図14に示すシミュレーション画面は、大きく上下三段に分かれている。上段115には、期間入力欄があり、シミュレーションする期間等が入力される。
中段116には、処理する薬品名等が表示される。
中段116において、左側の未実装TOP欄に記載されたビオフェルミンR散等の薬剤は、密閉型の薬剤容器2に収容されておらず、当然に容器保管部23に収容されていない薬剤を示している。これらの薬剤を分包する場合は、筐体10の外部で薬剤を秤量して開放型の薬剤容器60、86等に充填し、手動等で筐体10内にいれて分包することとなる。即ち未実装TOP欄に記載された薬剤は、手差し分包モードで分包することとなる。
これに対して、中段116において、右側の実装WORST欄に記載されたオロバタシン塩酸塩粒剤等の薬剤は、密閉型の薬剤容器2に収容され、さらに筐体10内の容器保管部23に収容されている薬剤を示している。これらの薬剤については、自動分包モードで分包することができる。
【0127】
各薬剤名の右の「Rp回数」は、シミュレーションする期間に当該薬剤が使用された回数を示している。
例えば、中段116の左側の未実装TOP欄の上から二つ目のデキストロメロルファン臭化水素酸は、期間内に530回使用され、その下のエンペラシン配合錠は、期間内に196回使用されている。
また右側の実装WORST欄のカロナール細粒20%は期間内に10回使用され、カロナール細粒50%は期間内も10回使用されている。
【0128】
シミュレーション機能は、現在、開放型の薬剤容器60、86等に充填し、手動等で筐体10内にいれて分包している薬剤を密閉型の薬剤容器2に収容し、これを筐体10内の容器保管部23に収容して自動で分包し、代わっていくつかの薬剤容器2を筐体10内の容器保管部23から外して筐体10の外部で保管した場合の(作業時間)の差を表示する機能である。
要するに、開放型の薬剤容器60、86を使用して手差し分包モードで分包していた薬剤を、密閉型の薬剤容器2から排出される自動分包モードで分包することとし、さらに容器保管部23に収容する薬剤容器2を入れ替えた場合をシミュレーションし、両者の(作業時間)の差を表示する。
本実施形態では、
図14の下段117は、シミュレーションの結果が表示される。
例えば、右端に「調剤時間削減」の欄があり、「17時間54分39秒/月」と表示されている。
この時間は、選択された薬剤であって、開放型の薬剤容器60、86を使用して手差し分包モードで分包していた薬剤を、密閉型の薬剤容器2を使用してから排出される自動分包モードで分包することとし、さらに容器保管部23に収容する薬剤容器2を選択して入れ替えた場合に削減できる時間を示している。
即ち、期間入力欄で入力された期間に渡り、中段に記載された薬剤を処方することを共通条件とし、これを密閉型の薬剤容器2を使用する自動分包動作で実施した場合に要する総時間と、開放型の薬剤容器60を使用する手差し分包モードで実施した場合に要する総時間をそれぞれ演算し、両者の差を表示したものである。
【0129】
図14に沿って説明すると、新たに容器保管部23に密閉型の薬剤容器2に入れて自動分包モードで分包する薬剤の候補として、
図14の中段116の左側の「未実装TOP」欄の上から二つ目の「デキストロメロルファン臭化水素酸」という薬剤と、その下の「エンペラシン配合錠」という薬剤が選択され、容器保管部23から外される候補として、右側の「実装WORST」欄の「カロナール細粒20%」と「カロナール細粒50%」が選択されている。
この選択した薬剤について、上段115の「調剤日」という欄で設定した期間内(2021年3月3日から2022年3月3日)に発生した分包回数が、選択した薬剤名の横の「Rp回数」という欄に表示されており、「未実装TOP」欄で選択された前記薬剤の「Rp回数」の合計(726回)と、「実装WORST」欄で選択された「Rp回数」の合計(20回)の差に、任意に設定した作業時間(筐体2の外の重量計測手段により処方量を計測し開放型の薬剤容器60、86等に充填した後、当該薬剤容器60、86を手動等で筐体10内にいれて分包を実行する時間)を乗じた時間を月数で割った値が「調剤時間削減」の欄に記載された17時間54分39秒となる。
【0130】
図14の例では、上段115に1号機~4号機というタブがあり、この例のユーザーでは4台の薬剤払い出し装置1を使用していることを表しており、前記した「調剤時間削減」の欄に表示された時間は、1号機~4号機全ての合計削減時間を表示している。即ち、2号機~4号機においても、同様に特定の未実装薬剤容器と実装の薬容器が選択されており(図示せず)同様の計算が実行されており、それらの合計削減時間が
図14に表示されている。言い換えれば、1号機~4号機の各号機で実装と未実装を入れ替える薬剤容器2が存在しなければ、選択する必要がなく、計算からは除外されることとなり、除外されていない号機のみで計算された合計調剤削減時間が表示されることになる。
【0131】
図14に示す表示画面では、密閉型の薬剤容器2を使用して自動分包モードを実施した場合に要する総時間と、開放型の薬剤容器60を使用する手差し分包モードで実施した場合に要する総時間の差を表示したが、時間そのものを表示してもよい。また時間そのものと、両者の差を併記してもよい。
【0132】
以上説明した実施形態では、薬剤排出手段として振動台50を採用し、薬剤容器2を振動させて散薬を取り出した。本実施形態では、薬剤排出手段たる振動台50は、薬剤容器2に外力を加えて振動させる外力付与手段であり、外力付与手段が薬剤容器2に与える外力による振動によって薬剤容器2から散薬を排出するものである。
他の薬剤排出手段としては、器具を薬剤容器2に入れて散薬を掻き出す方法や、薬剤容器内に螺旋コンベア等を内蔵させ、外部から螺旋コンベア等を駆動する方法が考えられる。
例えば薬剤排出手段の一部として掻き出し部材や螺旋コンベアがあり、当該掻き出し部材や螺旋コンベアが薬剤容器内にある。そして外部に設けられたモータ等の外力付与手段によって薬剤容器内の掻き出し部材や螺旋コンベアを駆動することによって散薬排出部から散薬を排出する。
薬剤容器内にモータを内蔵させてもよい。また薬剤容器にモータを外付けしてもよい。空気圧や風を利用して薬剤容器から薬剤を排出してもよい。
【符号の説明】
【0133】
1 薬剤払出し装置
2 薬剤容器
10 筐体
15 記憶手段
16 窓(容器導入部)
18 情報読み書き装置
23 容器保管部
28 容器移動手段
35L 35R 分配皿
36 容器載置装置(薬剤排出手段)
52 重量検知手段
80、81 薬剤容器仮置部
82 載置台
87 重量検知手段
88 情報読み書き装置