(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088519
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】フロー制御方法、フロー制御プログラム、および情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0633 20230101AFI20240625BHJP
【FI】
G06Q10/0633
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203749
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】堀田 真路
(72)【発明者】
【氏名】倉木 健介
(72)【発明者】
【氏名】沢崎 直之
(72)【発明者】
【氏名】猪又 明大
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA07
5L049AA07
(57)【要約】
【課題】ワークフローの生成効率の向上を図ること。
【解決手段】フロー制御装置は、施策フロー620における脱落予測者P1,P2,P5,P6の分散状態に基づいて、介入ノード群X(N21,N22)を特定する。フロー制御装置は、施策フロー620における新たな条件分岐B23の挿入位置を、介入ノード群X(N21,N22)を包含する最下位の位置Bに決定する。新たな条件分岐B23は、脱落予測者P1,P2,P5,P6を非脱落予測者P3,P4,P7,P8と分離するための条件である。フロー制御装置は、決定した位置Bに、新たな条件分岐B23を挿入する。フロー制御装置は、新たな条件分岐B23の分岐先802に、新たなノードを挿入する。
【選択図】
図8B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
条件分岐と有向エッジにより接続されるノードを含むワークフローに基づき複数の対象をいずれかのノードに割り当てた結果に基づいて、前記複数の対象のうち第1の条件を満たす第1の対象を抽出し、
抽出した前記第1の対象の前記ワークフローにおける分散状態に基づいて、前記ワークフローにおける新たな条件分岐の挿入位置を決定し、
決定した前記挿入位置よりも下位のノードにおける、前記第1の対象を前記第1の条件を満たさない対象と分離するような第2の条件を前記新たな条件分岐として前記挿入位置に挿入し、
前記新たな条件分岐の分岐先に新たなノードを挿入する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とするフロー制御方法。
【請求項2】
前記挿入位置を決定する処理は、
前記ワークフローにおける前記第1の対象が割り当てられたノードを包含する最下位の位置に前記挿入位置を決定する、ことを特徴とする請求項1に記載のフロー制御方法。
【請求項3】
前記複数の対象それぞれの複数種類の特徴量を記憶する記憶部を参照して、決定した前記挿入位置よりも下位のノードに割り当てられた対象それぞれの複数種類の特徴量に基づいて、前記第2の条件を決定する、処理を前記コンピュータが実行し、
前記新たな条件分岐を挿入する処理は、
決定した前記第2の条件を前記新たな条件分岐として前記挿入位置に挿入する、ことを特徴とする請求項1に記載のフロー制御方法。
【請求項4】
前記複数の対象それぞれの複数種類の特徴量を記憶する記憶部を参照して、前記第1の対象の複数種類の特徴量に基づいて、複数種類のノードの中から、前記第1の対象が第3の条件を満たすようなノードを前記新たなノードに決定する、処理を前記コンピュータが実行し、
前記新たなノードを挿入する処理は、
決定した前記新たなノードを前記分岐先に挿入する、ことを特徴とする請求項1に記載のフロー制御方法。
【請求項5】
前記ワークフローは、目標達成のための施策を表し、
前記ノードは、前記目標達成のための介入を表す、ことを特徴とする請求項1に記載のフロー制御方法。
【請求項6】
前記新たなノードを挿入した前記ワークフローを出力する、
処理を前記コンピュータが実行することを特徴とする請求項1~5のいずれか一つに記載のフロー制御方法。
【請求項7】
条件分岐と有向エッジにより接続されるノードを含むワークフローに基づき複数の対象をいずれかのノードに割り当てた結果に基づいて、前記複数の対象のうち第1の条件を満たす第1の対象を抽出し、
抽出した前記第1の対象の前記ワークフローにおける分散状態に基づいて、前記ワークフローにおける新たな条件分岐の挿入位置を決定し、
決定した前記挿入位置よりも下位のノードにおける、前記第1の対象を前記第1の条件を満たさない対象と分離するような第2の条件を前記新たな条件分岐として前記挿入位置に挿入し、
前記新たな条件分岐の分岐先に新たなノードを挿入する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とするフロー制御プログラム。
【請求項8】
条件分岐と有向エッジにより接続されるノードを含むワークフローに基づき複数の対象をいずれかのノードに割り当てた結果に基づいて、前記複数の対象のうち第1の条件を満たす第1の対象を抽出し、
抽出した前記第1の対象の前記ワークフローにおける分散状態に基づいて、前記ワークフローにおける新たな条件分岐の挿入位置を決定し、
決定した前記挿入位置よりも下位のノードにおける、前記第1の対象を前記第1の条件を満たさない対象と分離するような第2の条件を前記新たな条件分岐として前記挿入位置に挿入し、
前記新たな条件分岐の分岐先に新たなノードを挿入する、
制御部を有することを特徴とする情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロー制御方法、フロー制御プログラム、および情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、目標達成のための施策を立案する場合がある。施策としては、例えば、ある自治体において腎臓病のリスクがある住民をフォローして、慢性腎臓病の罹患率を低下させるといったものがある。施策は、例えば、条件分岐とノードとを含むワークフローの形式で表される。
【0003】
先行技術としては、起点ノードの内容を解析し、起点ノードの特徴を抽出し、起点ノードからリンクが張られた2次ノードの内容を解析し、2次ノードの特徴を抽出し、起点ノードの特徴と2次ノードの特徴とを比較し、起点ノードに対する2次ノードの類似性を判定し、類似であるとされた2次ノードを起点ノードに合成するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、施策を実施する側と施策を受ける側との両方の観点を考慮して、目標を達成するような施策を表すワークフローを生成することが難しい。
【0006】
一つの側面では、本発明は、ワークフローの生成効率の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの実施態様では、条件分岐と有向エッジにより接続されるノードを含むワークフローに基づき複数の対象をいずれかのノードに割り当てた結果に基づいて、前記複数の対象のうち第1の条件を満たす第1の対象を抽出し、抽出した前記第1の対象の前記ワークフローにおける分散状態に基づいて、前記ワークフローにおける新たな条件分岐の挿入位置を決定し、決定した前記挿入位置よりも下位のノードにおける、前記第1の対象を前記第1の条件を満たさない対象と分離するような第2の条件を前記新たな条件分岐として前記挿入位置に挿入し、前記新たな条件分岐の分岐先に新たなノードを挿入する、フロー制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一側面によれば、ワークフローの生成効率の向上を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態にかかるフロー制御方法の一実施例を示す説明図である。
【
図2】
図2は、情報処理システム200のシステム構成例を示す説明図である。
【
図3】
図3は、フロー制御装置201のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、特徴量テーブル220の記憶内容の一例を示す説明図である。
【
図5】
図5は、フロー制御装置201の機能的構成例を示すブロック図である。
【
図6A】
図6Aは、脱落予測者の分散状態の一例を示す説明図(その1)である。
【
図6B】
図6Bは、脱落予測者の分散状態の一例を示す説明図(その2)である。
【
図7A】
図7Aは、新たな条件分岐の挿入位置の決定例を示す説明図(その1)である。
【
図7B】
図7Bは、新たな条件分岐の挿入位置の決定例を示す説明図(その2)である。
【
図8A】
図8Aは、新たな条件分岐の挿入例を示す説明図(その1)である。
【
図8B】
図8Bは、新たな条件分岐の挿入例を示す説明図(その2)である。
【
図9】
図9は、新たな条件分岐とする第2の条件の決定例を示す説明図である。
【
図11】
図11は、新たなノードの決定例を示す説明図(その1)である。
【
図12】
図12は、新たなノードの決定例を示す説明図(その2)である。
【
図13A】
図13Aは、新しい施策フローを生成する際の第1の動作例を示す説明図(その1)である。
【
図13B】
図13Bは、新しい施策フローを生成する際の第1の動作例を示す説明図(その2)である。
【
図14】
図14は、新しい施策フローを生成する際の第2の動作例を示す説明図である。
【
図15】
図15は、施策フローが多段のノードを含む場合の動作例を示す説明図である。
【
図16】
図16は、フロー制御装置201のフロー制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照して、本発明にかかるフロー制御方法、フロー制御プログラム、および情報処理装置の実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
(実施の形態)
図1は、実施の形態にかかるフロー制御方法の一実施例を示す説明図である。
図1において、情報処理装置101は、施策の立案を支援するコンピュータである。施策は、目標を達成するために対象に対して施される策である。対象は、例えば、個人、組織などである。施策は、条件分岐と有向エッジにより接続されるノードを含むワークフローで表される。
【0012】
ノードは、例えば、目標達成のための介入を表す。介入は、例えば、サービス、方策、処置、提案などである。例えば、自治体における住民の慢性腎臓病の罹患率を低下させるという目標に対する施策の場合、介入は、例えば、「腎臓病専門医による治療」、「主治医による保健指導」、「糖尿病専門医による治療」などである。
【0013】
従来、施策立案の現場では、立案者の勘、経験、思い込みで施策案が作られることが多く、施策指標の目標を達成することが難しい。施策指標は、例えば、KPI(Key Performance Indicator)である。このため、施策立案の段階で、エビデンスベースのKPI予測に基づき、施策を実施する側と施策を受ける側との両方の観点から、施策を立案することが望ましい。
【0014】
ここで、ワークフロー110は、施策を表すワークフローの一例である。ワークフロー110は、条件分岐111~113と、ノード114~117とを含む。ノード114~117は、有向エッジにより条件分岐111~113のいずれかと接続される。条件分岐同士(例えば、条件分岐111と条件分岐112)や介入ノード同士が有向エッジによって接続される場合がある。
【0015】
ワークフロー110は、例えば、慢性腎臓病の罹患率を低下させるという目標を達成するための施策を表す。各ノード114~117は、目標達成のための介入を表す。複数の対象120は、施策対象となる個人である。複数の対象120の各対象に対してどの介入を施すかは、例えば、各対象の属性などの特徴に応じて、ワークフロー110の最上位から条件分岐を順に辿っていき、どのノードに割り当てるのかによって決定される。例えば、対象121は、矢印122に沿ってノード117に割り当てられる。ノード117は、例えば、「腎臓病専門医による治療」などの介入(フォロー)を表す。
【0016】
ここで、施策候補に対して、様々な種類のデータを含む統合データから施策のKPIを予測し、施策立案者の意思決定を支援する技術がある(従来技術1)。例えば、施策目標を「対象地域の成人の肥満罹患率を25%にまで減らす」とし、施策候補を「地域住民の若年層を対象として、内科医が運動・栄養の指導を実施する」とし、KPIを「地域内の成人の肥満罹患率」とする。
【0017】
この場合、従来技術1により、施策候補を実行した場合に、対象地域の各個人に対して、3年以内に肥満になる確率を予測して、施策立案者の意思決定を支援することが考えられる。予測に使用される統合データは、例えば、対象地域の各個人の日常健康情報、診断結果の履歴、生活習慣の履歴、検査結果の履歴などである。
【0018】
しかしながら、従来技術1では、立案者側の観点から施策が設計されるため、施策によって割り当てられる介入が、各個人にとって適切なものとは限らない。このため、現実には、対象が介入に応答せずに受け付けない事象が多発し、予定と実績に乖離が生じて、施策目標を満たせない場合がある。
【0019】
以下の説明では、介入を受け付けない事象を「脱落」と表記する場合がある。例えば、ノード117が表す介入が対象121にとって適切なものではなく、対象121が介入に応答せず受け付けない事象(脱落)が発生する場合がある。このような事象が多発すると、予定と実績に乖離が生じて、施策が目標達成を満たせないものとなる。
【0020】
一方、割り当てられた介入に対して個人が受け付けるか否かを、個人の様々なデータから予測する技術がある(従来技術2)。データは、例えば、個人の属性、受診歴、外来予約歴、処方薬歴、検査歴などの情報である。しかしながら、従来技術2では、各介入に対する脱落を予測できても、その脱落を踏まえてワークフローをどう変えればよいか判断することができない。
【0021】
なお、従来技術2については、例えば、「Hisashi Kurasawa, PhD1,2, Katsuyoshi Hayashi, PhD1,2,Akinori Fujino, PhD2, Koichi Takasugi, PhD1,2, Tsuneyuki Haga, ME2,Kayo Waki, MD, MPH, PhD1, Takashi Noguchi, MD, PhD1, andKazuhiko Ohe, MD, PhD1、 「Machine-Learning-Based Prediction of a Missed Scheduled Clinical Appointment」、Journal of Diabetes Science and Technology2016, Vol. 10(3) 730-736」を参照することができる。
【0022】
そこで、本実施の形態では、施策を表すワークフローの生成効率を向上させて、目標達成のための施策の立案作業を支援するフロー制御方法について説明する。ここで、情報処理装置101の処理例(下記(1)~(4)の処理に対応)について説明する。
【0023】
(1)情報処理装置101は、条件分岐と有向エッジにより接続されるノードを含むワークフローに基づき複数の対象をいずれかのノードに割り当てた結果に基づいて、複数の対象のうち第1の条件を満たす第1の対象を抽出する。ここで、ワークフローは、例えば、目標達成のための施策を表すグラフ構造の情報である。ノードは、例えば、目標達成のための介入を表す。最初の段階では、ワークフローは、例えば、施策を実施する側(立案者)の観点で作成される。
【0024】
複数の対象それぞれのノードへの割り当ては、例えば、複数の対象それぞれの複数種類の特徴量に基づき行われる。対象の特徴量は、例えば、対象の性別、年齢などの属性や、対象の受診歴、外来予約歴、処方薬歴、検査歴などを表す。第1の条件は、任意に設定可能である。
【0025】
第1の条件としては、例えば、割り当てられたノードが表す介入の効果が低いといえる対象を判別するための条件が設定される。例えば、第1の条件は、割り当てられたノードが表す介入を受け付けない予測確率(脱落確率)が閾値以上であるという条件であってもよい。介入を受け付けない予測確率は、既存の技術(例えば、従来技術2)を利用して、対象の複数種類の特徴量から求めることができる。
【0026】
図1の例では、第1の条件を「割り当てられたノードが表す介入を受け付けない予測確率が閾値以上」という条件とする。また、対象121に割り当てられたノード117が表す介入を、対象121が受け付けない予測確率が「90%」であったとする。また、閾値を「70%」とする。この場合、対象121が第1の対象として抽出される。
【0027】
(2)情報処理装置101は、抽出した第1の対象のワークフローにおける分散状態に基づいて、ワークフローにおける新たな条件分岐の挿入位置を決定する。新たな条件分岐は、例えば、第1の対象を別ノード(割り当てられたノードとは異なる他のノード)に誘導するためにワークフローに挿入される。
【0028】
具体的には、例えば、情報処理装置101は、新たな条件分岐の挿入位置を、ワークフローにおける第1の対象が割り当てられたノードより上位の位置に決定する。より詳細に説明すると、例えば、情報処理装置101は、新たな条件分岐の挿入位置を、ワークフローにおける第1の対象が割り当てられたノードを包含する最下位の位置に決定する。
【0029】
図1の例では、新たな条件分岐の挿入位置が、ワークフロー110における対象121が割り当てられたノード117を包含する最下位の位置130に決定された場合を想定する。
【0030】
(3)情報処理装置101は、決定した挿入位置よりも下位のノードにおける、第1の対象を第1の条件を満たさない対象と分離するような第2の条件を新たな条件分岐として、決定した挿入位置に挿入する。第2の条件は、例えば、複数の対象それぞれの複数種類の特徴量のうち、決定した挿入位置よりも下位のノードに割り当てられた対象それぞれの特徴量に基づき決定される。
【0031】
図1の例では、ワークフロー110における位置130に、新たな条件分岐140が挿入された場合を想定する。例えば、対象121は、ノードへの再割り当ての際に、新たな条件分岐140により、ノード117とは異なる分岐先に誘導される。
【0032】
(4)情報処理装置101は、新たな条件分岐の分岐先に新たなノードを挿入する。ここで、新たな条件分岐の分岐先は、例えば、第2の条件を満たす場合の分岐先であり、第1の対象の誘導先である。また、新たなノードは、例えば、あらかじめ用意された複数種類のノードの中から決定される。
【0033】
具体的には、例えば、情報処理装置101は、複数の対象それぞれの複数種類の特徴量のうち、第1の対象の特徴量に基づいて、複数種類のノードのうち、第1の対象が第3の条件を満たすようなノードを新たなノードに決定してもよい。第3の条件は、任意に設定可能であり、第1の対象に対する介入の効果が高いといえるノードを判別するための条件である。
【0034】
例えば、第3の条件は、割り当てられたノードが表す介入を受け付けない予測確率(脱落確率)が閾値未満であるという条件であってもよい。また、新たなノードが表す介入の内容は、例えば、新たな条件分岐の分岐先に新たなノードが挿入された後に、人手(立案者)により第1の対象の特徴量などをもとに決定されてもよい。
【0035】
図1の例では、ワークフロー110における新たな条件分岐140の分岐先に新たなノード150が挿入された場合を想定する。新たなノード150は、例えば、対象121が介入を受け付けない予測確率が閾値未満となるノードである。
【0036】
このように、情報処理装置101によれば、既存の施策(例えば、ワークフロー110)に基づき割り当てられる介入の効果が低いといえる第1の対象、例えば、介入に応答せずに受け付けない対象121を抽出することができる。また、情報処理装置101によれば、新たな分岐点(条件分岐)を作って、第1の対象(例えば、対象121)を新たなノードに誘導するようにフロー構造を更新することができる。
【0037】
これにより、情報処理装置101は、各対象(例えば、複数の対象120の各対象)が介入を受け付けないような事象の発生を抑えたワークフローを生成しやすくして、目標達成のための施策を表すワークフローの生成効率を向上させることができる。
【0038】
図1の例では、情報処理装置101は、施策を実施する側の観点で作成されたワークフロー110のフロー構造を、施策を受ける側の観点を考慮して更新することができる。具体的には、例えば、情報処理装置101は、対象121を別ノードに誘導して、対象121が受け付けるような適切な介入を割り当て可能にすることができる。これにより、情報処理装置101は、施策を実施する側と施策を受ける側との両方の観点を考慮した施策の立案を支援することができる。
【0039】
なお、ノード117の内容を変更することで、対象121が脱落しないような介入とすることも考えられる。しかしながら、あるノードに割り当てられた対象の数が多いほど、その対象すべてにとって適切な介入とすることは難しい。これに対して、情報処理装置101は、元のノードが表す介入では脱落するような対象(例えば、対象121)を、別ノードに誘導して、脱落しない対象と分離することで、適切な介入を見つけやすくすることができる。
【0040】
(情報処理システム200のシステム構成例)
つぎに、
図1に示した情報処理装置101を含む情報処理システム200のシステム構成例について説明する。以下の説明では、
図1に示した情報処理装置101を、情報処理システム200内のフロー制御装置201に適用した場合を例に挙げて説明する。情報処理システム200は、例えば、目標達成のための施策の立案作業を支援するサービスに適用される。
【0041】
図2は、情報処理システム200のシステム構成例を示す説明図である。
図2において、情報処理システム200は、フロー制御装置201と、クライアント装置202とを含む。情報処理システム200において、フロー制御装置201およびクライアント装置202は、有線または無線のネットワーク210を介して接続される。ネットワーク210は、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)などである。
【0042】
ここで、フロー制御装置201は、特徴量テーブル220を有し、施策の立案を支援するコンピュータである。フロー制御装置201は、例えば、サーバである。なお、特徴量テーブル220の記憶内容については、
図4を用いて後述する。
【0043】
クライアント装置202は、ユーザが使用するコンピュータである。ユーザは、例えば、施策の立案者である。クライアント装置202は、例えば、PC(Personal Computer)、タブレット端末などである。
【0044】
なお、ここではフロー制御装置201とクライアント装置202とを別体に設ける場合を例に挙げて説明するが、これに限らない。例えば、フロー制御装置201は、クライアント装置202により実現されてもよい。また、情報処理システム200には、複数のクライアント装置202が含まれてもよい。
【0045】
(フロー制御装置201のハードウェア構成例)
つぎに、フロー制御装置201のハードウェア構成例について説明する。
【0046】
図3は、フロー制御装置201のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図3において、フロー制御装置201は、CPU(Central Processing Unit)301と、メモリ302と、ディスクドライブ303と、ディスク304と、通信I/F(Interface)305と、可搬型記録媒体I/F306と、可搬型記録媒体307と、を有する。また、各構成部は、バス300によってそれぞれ接続される。
【0047】
ここで、CPU301は、フロー制御装置201の全体の制御を司る。CPU301は、複数のコアを有していてもよい。メモリ302は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびフラッシュROMなどを有する。具体的には、例えば、フラッシュROMがOSのプログラムを記憶し、ROMがアプリケーションプログラムを記憶し、RAMがCPU301のワークエリアとして使用される。メモリ302に記憶されるプログラムは、CPU301にロードされることで、コーディングされている処理をCPU301に実行させる。
【0048】
ディスクドライブ303は、CPU301の制御に従ってディスク304に対するデータのリード/ライトを制御する。ディスク304は、ディスクドライブ303の制御で書き込まれたデータを記憶する。ディスク304は、例えば、磁気ディスク、光ディスクなどである。
【0049】
通信I/F305は、通信回線を通じてネットワーク210に接続され、ネットワーク210を介して外部のコンピュータ(例えば、
図2に示したクライアント装置202)に接続される。そして、通信I/F305は、ネットワーク210と装置内部とのインターフェースを司り、外部のコンピュータからのデータの入出力を制御する。通信I/F305は、例えば、モデムやLANアダプタなどであってもよい。
【0050】
可搬型記録媒体I/F306は、CPU301の制御に従って可搬型記録媒体307に対するデータのリード/ライトを制御する。可搬型記録媒体307は、可搬型記録媒体I/F306の制御で書き込まれたデータを記憶する。可搬型記録媒体307は、例えば、CD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disk)、USB(Universal Serial Bus)メモリなどである。
【0051】
なお、フロー制御装置201は、上述した構成部のほかに、例えば、入力装置、ディスプレイなどを有してもよい。また、フロー制御装置201は、上述した構成部のうち、例えば、可搬型記録媒体I/F306、可搬型記録媒体307を有さなくてもよい。また、
図2に示したクライアント装置202についても、フロー制御装置201と同様のハードウェア構成により実現することができる。ただし、クライアント装置202は、上述した構成部のほかに、例えば、入力装置、ディスプレイなどを有する。
【0052】
(特徴量テーブル220の記憶内容)
つぎに、
図4を用いて、フロー制御装置201が有する特徴量テーブル220の記憶内容について説明する。特徴量テーブル220は、例えば、メモリ302、ディスク304などの記憶装置により実現される。
【0053】
図4は、特徴量テーブル220の記憶内容の一例を示す説明図である。
図4において、特徴量テーブル220は、IDおよび複数種類の特徴量(特徴量1,特徴量2,特徴量3,…)のフィールドを有し、各フィールドに情報を設定することで、特徴量情報(例えば、特徴量情報400-1,400-2)をレコードとして記憶する。
【0054】
ここで、IDは、施策対象の個人を一意に識別する識別子である。複数種類の特徴量は、IDにより識別される個人の特徴を表す情報である。例えば、特徴量1は、「eGFR」を示す。eGFRは、estimated Glomerular Filtration Rateの略であり、腎機能の指標である。
【0055】
また、特徴量2は、「医療受診無し期間(単位:月)」を示す。特徴量には、例えば、個人の性別、年齢、健康情報、診断結果、検査結果、生活習慣、受診歴、処方薬歴などの様々なものを含めることができる。各特徴量は、例えば、施策対象の個人の属性情報、健康情報履歴、診断結果履歴、生活習慣履歴、検査結果履歴などから抽出される。
【0056】
例えば、特徴量情報400-1は、個人P1の特徴量1「65」、特徴量2「8」、特徴量3「…」などを示す。
【0057】
(フロー制御装置201の機能的構成例)
つぎに、フロー制御装置201の機能的構成例について説明する。
【0058】
図5は、フロー制御装置201の機能的構成例を示すブロック図である。
図5において、フロー制御装置201は、取得部501と、抽出部502と、第1の決定部503と、第2の決定部504と、第3の決定部505と、挿入部506と、出力部507と、記憶部510と、を含む。取得部501~出力部507は制御部500となる機能であり、具体的には、例えば、
図3に示したメモリ302、ディスク304、可搬型記録媒体307などの記憶装置に記憶されたプログラムをCPU301に実行させることにより、または、通信I/F305により、その機能を実現する。各機能部の処理結果は、例えば、メモリ302、ディスク304などの記憶装置に記憶される。また、記憶部510は、メモリ302、ディスク304などの記憶装置により実現される。具体的には、例えば、記憶部510は、
図4に示した特徴量テーブル220を記憶する。
【0059】
取得部501は、条件分岐と有向エッジにより接続されるノードを含むワークフローを取得する。また、取得部501は、ワークフローに基づき複数の対象をいずれかのノードに割り当てた結果を取得する。ここで、ワークフローは、例えば、目標達成のための施策を表す。ノードは、例えば、目標達成のための介入を表す。
【0060】
介入は、例えば、対象に対して実施されるサービス、方策、処置、提案などである。対象は、例えば、施策対象の個人や組織などである。複数の対象それぞれのノードへの割り当ては、例えば、複数の対象それぞれの複数種類の特徴量に基づき行われる。複数種類の特徴量は、例えば、
図4に示した特徴量1,特徴量2,特徴量3などである。
【0061】
以下の説明では、目標達成のための施策を表すワークフローを「施策フロー」と表記する場合がある。また、施策フローに基づき複数の対象をいずれかのノードに割り当てた結果を「ノード割当結果」と表記する場合がある。
【0062】
取得される施策フローは、例えば、立案者によって立案された施策案を表すワークフローである。
【0063】
具体的には、例えば、取得部501は、
図2に示したクライアント装置202から受信することにより、施策フローおよびノード割当結果を取得する。また、取得部501は、不図示の入力装置を用いたユーザの操作入力により、施策フローおよびノード割当結果を取得してもよい。
【0064】
なお、複数の対象それぞれのノードへの割り当ては、例えば、フロー制御装置201において行われてもよい。具体的には、フロー制御装置201は、施策フロー(が表す施策)に基づいて、
図4に示した特徴量テーブル220を参照して、複数の対象それぞれの複数種類の特徴量に応じて、複数の対象をいずれかのノードに割り当てる。
【0065】
抽出部502は、取得されたノード割当結果に基づいて、複数の対象のうち第1の条件を満たす第1の対象を抽出する。第1の条件は、任意に設定可能である。例えば、第1の条件は、脱落確率が閾値α以上であるという条件である。脱落確率は、介入を受け付けない予測確率である。閾値αは、例えば、80%程度の値に設定される。介入は、対象に割り当てられたノードが表す介入である。
【0066】
また、第1の条件は、特定の疾患(例えば、糖尿病など)の発症例ありという条件であってもよい。また、第1の条件は、救急搬送歴ありという条件であってもよい。また、第1の条件は、年間医療費が閾値以上という条件であってもよい。第1の条件を満たすか否かは、例えば、複数の対象それぞれの複数種類の特徴量から判断される。
【0067】
ここで、第1の条件を「脱落確率が閾値α以上」という条件とする。「脱落確率が閾値α以上」は、介入からの脱落に相当する。この場合、抽出部502は、既存の技術(例えば、従来技術2)を利用して、複数の対象それぞれの複数種類の特徴量から、対象に割り当てられたノードが表す介入に対する脱落確率を予測することで、第1の対象を抽出することができる。
【0068】
より詳細に説明すると、例えば、抽出部502は、複数の対象それぞれについて、複数の対象それぞれの複数種類の特徴量(X)と各介入(i)に対する脱落有無(yi)との関係を、ロジスティック回帰などを用いて学習する。複数の対象それぞれの複数種類の特徴量(X)は、例えば、特徴量テーブル220から特定することができる。
【0069】
つぎに、抽出部502は、学習した学習モデルを用いて、複数の対象それぞれに割り当てられたノードが表す各介入からの脱落を予測する。そして、抽出部502は、複数の対象のうち、割り当てられたノードが表す介入から脱落すると予測された対象を、第1の対象として抽出する。
【0070】
第1の決定部503は、取得された施策フローにおける抽出された第1の対象の分散状態に基づいて、施策フローにおける新たな条件分岐の挿入位置を決定する。具体的には、例えば、第1の決定部503は、施策フローにおける第1の対象が割り当てられたノードを包含する最下位の位置に決定する。
【0071】
【0072】
第2の決定部504は、決定された挿入位置よりも下位のノードにおける、第1の対象を第1の条件を満たさない対象と分離するような第2の条件を決定する。具体的には、例えば、第2の決定部504は、複数の対象それぞれの複数種類の特徴量を記憶する記憶部510を参照して、決定された挿入位置よりも下位のノードに割り当てられた対象それぞれの複数種類の特徴量に基づいて、第2の条件を決定する。
【0073】
より詳細に説明すると、例えば、第2の決定部504は、特徴量テーブル220を参照して、決定された挿入位置よりも下位のノードに割り当てられた対象それぞれの複数種類の特徴量を特定する。そして、第2の決定部504は、特定した対象それぞれの複数種類の特徴量に基づいて、決定木アルゴリズムなどの機械学習の手法を適用することにより、第2の条件を決定する。
【0074】
第2の条件の決定例については、
図9を用いて後述する。なお、第1の対象と、第1の条件を満たさない対象とを完全に分離する条件が存在しない場合がある。この場合、第2の決定部504は、例えば、第1の対象を別ノードに誘導しつつ、第1の対象と第1の条件を満たさない対象とをできるだけ分離するような条件を第2の条件として決定してもよい。
【0075】
挿入部506は、決定された第2の条件を新たな条件分岐として、決定された挿入位置に挿入する。具体的には、例えば、挿入部506は、施策フローを挿入位置で切断する。そして、挿入部506は、新たな条件分岐の入力側を切断箇所の上位側に接続し、新たな条件分岐の第2の条件を満たさない場合の分岐先を切断箇所の下位側に接続することにより、決定された挿入位置に新たな条件分岐を挿入する。
【0076】
新たな条件分岐の挿入例については、
図8Aおよび
図8Bを用いて後述する。
【0077】
第3の決定部505は、新たな条件分岐の分岐先に挿入する新たなノードを決定する。具体的には、例えば、第3の決定部505は、複数の対象それぞれの複数種類の特徴量を記憶する記憶部510を参照して、第1の対象の特徴量に基づいて、あらかじめ用意された複数種類のノードの中から、第1の対象が第3の条件を満たすようなノードを新たなノードに決定する。
【0078】
ここで、第3の条件は、任意に設定可能である。第3の条件としては、例えば、介入の効果が高いといえるノードを判別するための条件が設定される。例えば、第3の条件は、脱落確率が閾値β未満であるという条件であってもよい。閾値βは、例えば、20%程度の値に設定される。複数種類のノードは、例えば、目標達成のためのそれぞれ異なる介入を表す。
【0079】
より詳細に説明すると、例えば、第3の決定部505は、特徴量テーブル220を参照して、第1の対象の複数種類の特徴量を特定する。そして、第3の決定部505は、特定した第1の対象の複数種類の特徴量に基づいて、複数種類のノードの中から、第1の対象が第3の条件を満たすようなノードを新たなノードに決定する。
【0080】
例えば、第3の決定部505は、複数種類のノードの中から、抽出された第1の対象のすべてが第3の条件を満たすノードを、新たなノードに決定する。また、第3の決定部505は、複数種類のノードの中から、抽出された第1の対象のうち第3の条件を満たす対象の割合が最も高くなるノードを、新たなノードに決定してもよい。
【0081】
また、複数種類のノードの中に、抽出された第1の対象のすべてが第3の条件を満たす1つのノードが存在しない場合、第3の決定部505は、複数種類のノードの中から、抽出された第1の対象それぞれが第3の条件を満たすノードを含む2以上のノードを特定してもよい。
【0082】
より詳細に説明すると、例えば、第3の決定部505は、複数種類のノードの中から、抽出された第1の対象のうち、一部の対象が第3の条件を満たすノードAと、残りの対象が第3の条件を満たすノードBとを特定する。そして、第3の決定部505は、一部の対象をノードAに誘導し、残りの対象をノードBに誘導する条件分岐で接続されたノードA,Bを、新たなノードに決定してもよい。
【0083】
新たなノードの決定例については、
図11および
図12を用いて後述する。
【0084】
なお、あらかじめ用意される複数種類のノードは、例えば、施策フローに含まれるノードごとに用意されてもよい。例えば、フロー制御装置201は、施策フローに含まれるノードと対応付けて、当該ノードが表す介入に関連する、その介入とは異なる介入をあらかじめ記憶することにしてもよい。この場合、第3の決定部505は、第1の対象が割り当てられたノードに対応する複数種類のノードの中から、新たなノードを決定してもよい。
【0085】
挿入部506は、新たな条件分岐の分岐先に新たなノードを挿入する。具体的には、挿入部506は、新たな条件分岐の第2の条件を満たす場合の分岐先に、決定された新たなノードを挿入する。
【0086】
新たなノードの挿入例については、
図8Aおよび
図8Bを用いて後述する。
【0087】
出力部507は、新たなノードが挿入された施策フローを出力する。出力部507の出力形式としては、例えば、メモリ302、ディスク304などの記憶装置への記憶、通信I/F305による他のコンピュータへの送信、不図示のディスプレイへの表示、不図示のプリンタへの印刷出力などがある。具体的には、例えば、出力部507は、新たなノードが挿入された施策フローをクライアント装置202に送信してもよい。
【0088】
また、取得される施策フローは、条件分岐と有向エッジにより接続される1つのノードのみを含むものであってもよい(例えば、後述する
図13A参照)。1つのノードのみを含む施策フローは、ある1つの介入を表すノードだけが表された未完成の施策フローに相当する。
【0089】
この場合、フロー制御装置201は、新たなノードが挿入されたワークフローについて、複数の対象のうち第1の条件を満たす対象の割合が閾値γ以下となるまで、抽出部502による処理、第1の決定部503による処理、第2の決定部504による処理、および、挿入部506による処理を繰り返し実行してもよい。
【0090】
抽出部502による処理は、第1の対象を抽出する処理である。第1の決定部503による処理は、新たな条件分岐の挿入位置を決定する処理である。第2の決定部504による処理は、第2の条件を決定する処理である。挿入部506による処理は、新たな条件分岐を挿入処理および新たなノードを挿入する処理である。閾値γは、任意に設定可能であり、例えば、20%程度の値に設定される。
【0091】
これにより、フロー制御装置201は、1つのノードを起点として、条件分岐と新たなノードを追加しつつ、新しい施策フローを生成することができる。1つのノードを起点として、新しい施策フローを生成する際の動作例については、
図13Aおよび
図13Bを用いて後述する。
【0092】
また、1つのノードを起点として、新しい施策フローを生成する際の複数の対象は、例えば、取得された施策フロー(1つのノードのみを含むもの)とは異なる他の施策フローに基づきいずれかのノードに割り当てた結果、第1の条件を満たす対象の集合であってもよい。
【0093】
これにより、フロー制御装置201は、第1の条件を満たす対象の集合(例えば、脱落予測者の集合)に対して、新しい施策フローを生成することができる。第1の条件を満たす対象の集合に対して、新しい施策フローを生成する際の動作例については、
図14を用いて後述する。
【0094】
また、施策フローが、多段のノードを含む場合がある。この場合、抽出部502は、施策フローのうち最上位から初段のノードを含む範囲に基づき複数の対象をいずれかのノードに割り当てた結果に基づいて、複数の対象のうち第1の条件を満たす第1の対象を抽出してもよい。第1の決定部503は、その範囲における抽出された第1の対象の分散状態に基づいて、その範囲における新たな条件分岐の挿入位置を決定してもよい。
【0095】
また、第2の決定部504は、その範囲の決定された挿入位置よりも下位のノードにおける、第1の対象を第1の条件を満たさない対象と分離するような第2の条件を決定してもよい。そして、挿入部506は、決定された第2の条件を新たな条件分岐として、その範囲における決定された挿入位置に挿入してもよい。また、第3の決定部505は、挿入された新たな条件分岐の分岐先に挿入する新たなノードを決定してもよい。そして、挿入部506は、その範囲における新たな条件分岐の分岐先に、決定された新たなノードを挿入してもよい。
【0096】
さらに、抽出部502は、初段より下位の各段のノードを含む各範囲に基づき複数の対象のうち各段のノードの直上位のノードに割り当てられた1以上の対象をいずれかのノードに割り当てた結果に基づいて、1以上の対象から第1の条件を満たす第2の対象を抽出してもよい。そして、第1の決定部503は、抽出された第2の対象の各範囲における分散状態に基づいて、各範囲における新たな条件分岐の挿入位置を決定してもよい。
【0097】
また、第2の決定部504は、各範囲の決定された挿入位置よりも下位のノードにおける、第2の対象を第1の条件を満たさない対象と分離するような第4の条件を決定してもよい。そして、挿入部506は、決定された第4の条件を新たな条件分岐として、各範囲における決定された挿入位置に挿入してもよい。また、第3の決定部505は、各範囲に挿入された新たな条件分岐の分岐先に挿入する新たなノードを決定してもよい。そして、挿入部506は、各範囲における新たな条件分岐の分岐先に、決定された新たなノードを挿入してもよい。
【0098】
施策フローが多段のノードを含む場合の動作例については、
図15を用いて後述する。
【0099】
また、施策フローが多段のノードを含む場合、フロー制御装置201は、例えば、第1の条件を「初回の介入から最後の介入までのすべての脱落確率が閾値α以上」としてもよい。また、フロー制御装置201は、第1の条件を「初回の介入から最後の介入までのいずれかの介入の脱落確率が閾値α以上」としてもよい。
【0100】
また、フロー制御装置201は、新たなノードが挿入された施策フローに基づいて、複数の対象それぞれのノードへの再割り当てを行ってもよい。具体的には、例えば、フロー制御装置201は、新たなノードが挿入された施策フローに基づいて、特徴量テーブル220を参照して、複数の対象それぞれの複数種類の特徴量に応じて、複数の対象をいずれかのノードに割り当てる。
【0101】
この場合、フロー制御装置201は、複数の対象それぞれのノードへの再割り当て結果を出力してもよい。ただし、ノードへの再割り当ては、フロー制御装置201とは異なる他のコンピュータ(例えば、クライアント装置202)において、フロー制御装置201から出力される、新たなノードが挿入された施策フローに基づいて行われてもよい。
【0102】
(新たな条件分岐の挿入位置の決定例)
つぎに、
図6A、
図6B、
図7Aおよび
図7Bを用いて、新たな条件分岐の挿入位置の決定例について説明する。以下の説明では、第1の条件を「脱落確率が閾値α以上」とし、第1の条件を満たす第1の対象を「脱落予測者」と表記する場合がある。また、第1の条件を満たさない対象を「非脱落予測者」と表記する場合がある。また、施策フローに含まれるノードを「介入ノード」と表記する場合がある。介入ノードは、目標達成のための介入を表すノードである。
【0103】
図6Aは、脱落予測者の分散状態の一例を示す説明図(その1)である。
図7Aは、新たな条件分岐の挿入位置の決定例を示す説明図(その1)である。
図6Aにおいて、施策フロー610は、有向エッジにより接続された条件分岐B11,B12および介入ノードN11~N13を含む。対象者P1~P12は、施策対象となる複数の対象である。
【0104】
ここでは、対象者P1~P12それぞれの複数種類の特徴量に基づいて、対象者P1~P4が介入ノードN11に割り当てられ、対象者P5~P8が介入ノードN12に割り当てられ対象者P9~P12が介入ノードN13に割り当てられたとする。また、対象者P1~P12のうち、対象者P1~P4の脱落が予測され、対象者P1~P4が脱落予測者として抽出された場合を想定する。
【0105】
まず、フロー制御装置201は、施策フロー610における脱落予測者P1~P4の分散状態に基づいて、介入ノード群Xを特定する。介入ノード群Xは、脱落予測者(第1の対象)が割り当てられた介入ノードであり、別の介入ノードへの誘導対象となる脱落予測者を含む介入ノードの集合である。
【0106】
例えば、フロー制御装置201は、脱落予測者がある介入ノードに集中する場合、その介入ノードのみを介入ノード群Xとして特定する。また、フロー制御装置201は、脱落予測者が複数の介入ノードに分散する場合、複数の介入ノードを介入ノード群Xとして特定する。
【0107】
図6Aの例では、脱落予測者P1~P4が介入ノードN11に集中する。この場合、フロー制御装置201は、介入ノードN11のみを介入ノード群Xとして特定する。
【0108】
つぎに、フロー制御装置201は、特定した介入ノード群Xを含むように、施策フロー610における新たな条件分岐の挿入位置を決定する。具体的には、例えば、フロー制御装置201は、新たな条件分岐の挿入位置を、施策フロー610における介入ノード群Xを包含する最下位の位置に決定する。新たな条件分岐の挿入位置は、例えば、有向エッジを指定することで決定される。
【0109】
図7Aの例では、介入ノード群Xは、介入ノードN11のみである。この場合、フロー制御装置201は、新たな条件分岐の挿入位置を、施策フロー610における介入ノード群X(N11)を包含する最下位の位置Aに決定する。位置Aは、条件分岐B1の下位側であって、条件分岐B11と介入ノードN11とを接続する有向エッジに対応する。
【0110】
図6Bは、脱落予測者の分散状態の一例を示す説明図(その2)である。
図7Bは、新たな条件分岐の挿入位置の決定例を示す説明図(その2)である。
図6Bにおいて、施策フロー620は、有向エッジにより接続された条件分岐B21,B22および介入ノードN21~N23を含む。対象者P1~P12は、施策対象となる複数の対象である。
【0111】
ここでは、対象者P1~P12それぞれの複数種類の特徴量に基づいて、対象者P1~P4が介入ノードN21に割り当てられ、対象者P5~P8が介入ノードN22に割り当てられ対象者P9~P12が介入ノードN23に割り当てられたとする。また、対象者P1~P12のうち、対象者P1,P2,P5,P6の脱落が予測され、対象者P1,P2,P5,P6が脱落予測者として抽出された場合を想定する。
【0112】
まず、フロー制御装置201は、施策フロー620における脱落予測者P1,P2,P5,P6の分散状態に基づいて、介入ノード群Xを特定する。フロー制御装置201は、脱落予測者が複数の介入ノードに分散する場合、複数の介入ノードを介入ノード群Xとして特定する。
【0113】
具体的には、例えば、フロー制御装置201は、脱落予測者が多い順に介入ノードを並べ、所定割合の脱落予測者が含まれるまで、脱落予測者を含む介入ノードを介入ノード群Xに追加していくことにより、介入ノード群Xを特定する。所定割合は、脱落予測者の総数に対する割合である。所定割合は、任意に設定可能であり、例えば、90%程度の値に設定される。
【0114】
フロー制御装置201は、例えば、所定割合を変更することで、どれだけの脱落予測者をカバーするのかを調整することができる。例えば、所定割合を100%とすると、すべての脱落予測者を含む介入ノード群Xが特定される。また、所定割合を30%とすると、全脱落予測者のうちの30%以上の脱落予測者を含む介入ノード群Xが特定される。
【0115】
図7Bの例では、脱落予測者P1,P2,P5,P6が介入ノードN21,N22に分散する。この場合、フロー制御装置201は、介入ノードN21,N22を脱落予測者が多い順に並べる。脱落予測者の数が同じ場合は、どちらの介入ノードの順序を先にしてもよい。ここでは、介入ノードN21,N22はいずれも脱落予測者の数が「2」である。
【0116】
フロー制御装置201は、例えば、介入ノードN21,N22を「介入ノードN21⇒介入ノードN22」と並べる。そして、フロー制御装置201は、所定割合の脱落予測者が含まれるまで、脱落予測者を含む介入ノードを介入ノード群Xに追加していくことにより、介入ノード群Xを特定する。
【0117】
ここで、所定割合を「90%」とする。まず、フロー制御装置201は、介入ノードN21を介入ノード群Xに追加する。この段階での脱落予測者の割合は、「50%(=2/4×100)」である。このため、フロー制御装置201は、さらに介入ノードN22を介入ノード群Xに追加する。この段階での脱落予測者の割合は、「100%(=4/4×100)」であり、所定割合を超える。この結果、介入ノードN21,22が介入ノード群Xとして特定される。
【0118】
つぎに、フロー制御装置201は、特定した介入ノード群Xを含むように、施策フロー620における新たな条件分岐の挿入位置を決定する。具体的には、例えば、フロー制御装置201は、新たな条件分岐の挿入位置を、施策フロー620における介入ノード群Xを包含する最下位の位置に決定する。
【0119】
図7Bの例では、介入ノード群Xは、介入ノードN21,N22である。この場合、フロー制御装置201は、新たな条件分岐の挿入位置を、施策フロー620における介入ノード群X(N21,N22)を包含する最下位の位置Bに決定する。位置Bは、条件分岐B21の上位側であって、条件分岐B21と条件分岐B22とを接続する有向エッジに対応する。
【0120】
(新たな条件分岐の挿入例)
つぎに、
図8Aおよび
図8Bを用いて、新たな条件分岐の挿入例について説明する。ここでは、
図8Aでは、
図7Aに示した位置A(挿入位置)に新たな条件分岐を挿入する場合について説明する。
図8Bでは、
図7Bに示した位置B(挿入位置)に新たな条件分岐を挿入する場合について説明する。
【0121】
図8Aは、新たな条件分岐の挿入例を示す説明図(その1)である。
図8Aにおいて、施策フロー610における挿入位置Aが示されている。フロー制御装置201は、施策フロー610における挿入位置Aに、新たな条件分岐B13を挿入する。これにより、フロー制御装置201は、介入ノードN11に割り当てられていた脱落予測者P1~P4を、新たな条件分岐B13の分岐先801に誘導する。
【0122】
図8Bは、新たな条件分岐の挿入例を示す説明図(その2)である。
図8Bにおいて、施策フロー620における挿入位置Bが示されている。フロー制御装置201は、施策フロー620における挿入位置Bに、新たな条件分岐B23を挿入する。これにより、フロー制御装置201は、介入ノードN21に割り当てられていた脱落予測者P1,P2および介入ノードN22に割り当てられていた脱落予測者P5,P6を、新たな条件分岐B23の分岐先802に誘導する。
【0123】
(第2の条件の決定例)
つぎに、
図9を用いて、新たな条件分岐とする第2の条件の決定例について説明する。ここでは、施策フロー620に挿入される
図8Bに示した新たな条件分岐B23とする第2の条件の決定例について説明する。
【0124】
図9は、新たな条件分岐とする第2の条件の決定例を示す説明図である。
図9において、特徴量情報900は、施策フロー620の介入ノード群X(N21,N22)に割り当てられた対象者P1~P8それぞれの複数種類の特徴量を示す。対象者P1,P2,P5,P6は、脱落予測者である。対象者P3,P4,P7,P8は、非脱落予測者である。特徴量情報900は、例えば、特徴量テーブル220から特定される。
【0125】
フロー制御装置201は、特徴量情報900を参照して、介入ノード群X(
図7Bに示した挿入位置Bよりも下位の介入ノードN21,N22)における脱落予測者P1,P2,P5,P6と非脱落予測者P3,P4,P7,P8とを分離するような第2の条件を決定する。
【0126】
第2の条件は、決定木アルゴリズムを適用することにより決定される。ここで、特徴量2に着目すると、「医療受診無し期間≧5月」という条件により、脱落予測者P1,P2,P5,P6と非脱落予測者P3,P4,P7,P8とを完全に分離することができる。このため、フロー制御装置201は、例えば、条件910「IF“医療受診無し期間”≧5月,THEN 上へ進む(脱落予測群)」を第2の条件に決定する。なお、「上へ進む(脱落予測群)」は、第2の条件を満たす場合の分岐先に相当する。
【0127】
なお、脱落予測者P1,P2,P5,P6と非脱落予測者P3,P4,P7,P8とを完全に分離する条件が見つからない場合がある。この場合、フロー制御装置201は、例えば、特徴量テーブル220(特徴量情報900)にはない新たな特徴量を導入してもよい。新たな特徴量は、例えば、各対象者P1~P8の属性情報、健康情報履歴、診断結果履歴、生活習慣履歴、検査結果履歴などから抽出されてもよく、また、人手により追加されてもよい。フロー制御装置201は、新たな特徴量を導入することで、新しい軸の条件分岐を生成することが可能になる。
【0128】
ここで、
図10を用いて、新たな条件分岐による脱落予測者の誘導例について説明する。ここでは、
図8Bに示した新たな条件分岐B23を、
図9に示した条件910「IF“医療受診無し期間”≧5月,THEN 上へ進む」とした場合について説明する。
【0129】
図10は、脱落予測者の誘導例を示す説明図である。
図10において、施策フロー620に、条件910「IF“医療受診無し期間”≧5月,THEN 上へ進む」の新たな条件分岐B23が挿入されている。
【0130】
この場合、対象者P3,P4,P7,P8は、条件910「IF“医療受診無し期間”≧5月,THEN 上へ進む」を満たさない。このため、対象者P3,P4,P7,P8は、条件分岐B21に進み、新たな条件分岐B23を挿入前と同じ介入ノードN21,N22のいずれかにそれぞれ割り当てられ、非脱落予測者となる。
【0131】
一方、脱落予測者P1,P2,P5,P6は、条件910「IF“医療受診無し期間”≧5月,THEN 上へ進む」を満たす。このため、脱落予測者P1,P2,P5,P6は、新たな条件分岐B23の上側(条件分岐B21とは異なる分岐先)に誘導され、介入ノードN21,N22に割り当てられないことになる。
【0132】
(新たなノードの決定例)
つぎに、
図11および
図12を用いて、新たな条件分岐の分岐先に挿入される新たなノード(介入ノード)の決定例について説明する。ここでは、施策フロー620に挿入された新たな条件分岐B23(
図10,11参照)の分岐先に挿入される介入ノードの決定例について説明する。
【0133】
図11は、新たなノードの決定例を示す説明図(その1)である。
図11において、脱落予測結果1100は、脱落予測者P1,P2,P5,P6の各介入A~Dに対する脱落予測結果を示す。
図11中、脱落予測結果1100内の「○」は、介入を受け付ける非脱落を示す。脱落予測結果1100内の「×」は、介入を受け付けない脱落を示す。なお、介入を受け付けるか否か(脱落/非脱落)は、既存の技術(例えば、従来技術2)を利用して予測される。
【0134】
介入A~Dは、あらかじめ用意された複数種類のノードが表す介入の一例である。各介入A~Dは、施策フロー620に含まれるいずれかの介入ノードが表す介入と同じものであってもよく、また、施策フロー620に含まれる介入ノードが表す介入とは異なるものであってもよい。例えば、脱落予測者P1は、介入A,Dを受け付けず、介入B,Cを受け付けると予測されている。
【0135】
フロー制御装置201は、介入A~Dの中から、脱落予測者P1,P2,P5,P6(第1の対象)が第3の条件を満たすような介入ノードを新たな介入ノードに決定する。ここでは、第3の条件を「脱落確率が閾値β未満」という条件とする。脱落確率が閾値β未満」は、介入からの非脱落に相当する。
【0136】
この場合、フロー制御装置201は、介入A~Dの中から、脱落予測者P1,P2,P5,P6のうち脱落する者の割合が最も低くなる介入を特定する。また、フロー制御装置201は、介入A~Dの中から、脱落予測者P1,P2,P5,P6のうち脱落する者の割合が閾値以下となる介入を特定してもよい。そして、フロー制御装置201は、特定した介入を表す介入ノードを、新たな条件分岐B23の分岐先に挿入される介入ノードに決定する。
【0137】
図11の例では、介入Cは、脱落予測者P1,P2,P5,P6のすべてが受け付けると予測されている。この場合、フロー制御装置201は、介入Cを表す介入ノードN24を、新たな条件分岐B23の分岐先に挿入される介入ノードに決定する。そして、フロー制御装置201は、新たな条件分岐B23の分岐先に、介入Cを表す介入ノードN24を挿入する。
【0138】
これにより、フロー制御装置201は、新たな条件分岐B23の分岐先に誘導した脱落予測者P1,P2,P5,P6に対して、介入C(介入ノードN24)を割り当てることができる。
【0139】
図12は、新たなノードの決定例を示す説明図(その2)である。
図12において、脱落予測結果1200は、脱落予測者P1,P2,P5,P6の各介入E~Hに対する脱落予測結果を示す。
図12中、脱落予測結果1200内の「○」は、介入を受け付ける非脱落を示す。脱落予測結果1200内の「×」は、介入を受け付けない脱落を示す。
【0140】
介入E~Hは、あらかじめ用意された複数種類のノードが表す介入の一例である。例えば、脱落予測者P1は、介入E,G,Hを受け付けず、介入Fを受け付けると予測されている。
【0141】
フロー制御装置201は、介入E~Hの中から、脱落予測者P1,P2,P5,P6(第1の対象)が第3の条件を満たすような介入ノードを新たな介入ノードに決定する。ここでは、第3の条件を「脱落確率が閾値β未満」という条件とする。脱落確率が閾値β未満」は、介入からの非脱落に相当する。
【0142】
この場合、フロー制御装置201は、介入E~Hの中から、脱落予測者P1,P2,P5,P6のうち脱落する者の割合が最も低くなる介入を特定する。また、フロー制御装置201は、介入E~Hの中から、脱落予測者P1,P2,P5,P6のうち脱落する者の割合が閾値以下となる介入を特定してもよい。そして、フロー制御装置201は、特定した介入を表す介入ノードを、新たな条件分岐B23の分岐先に挿入される介入ノードに決定する。
【0143】
図12の例では、介入E~Hの中から、どの介入を1つ選択しても、脱落する者の割合は0%とならない。しかし、脱落予測者P1,P2に介入Fを割り当てて、脱落予測者P5,P6に介入Hを割り当てると、脱落する者の割合は0%となる。
【0144】
この場合、フロー制御装置201は、例えば、脱落予測者P1,P2,P5,P6それぞれの複数種類の特徴量を参照して、脱落予測者P1,P2と脱落予測者P5,P6とを分離する条件を決定する。そして、フロー制御装置201は、決定した条件を新たな条件分岐B24として、条件分岐B23の分岐先(上側の分岐先)に挿入する。
【0145】
つぎに、フロー制御装置201は、脱落予測者P1,P2が誘導される新たな条件分岐B24の分岐先に挿入する新たなノードとして、介入Fを表す介入ノードN25を決定する。そして、フロー制御装置201は、脱落予測者P1,P2が誘導される新たな条件分岐B24の分岐先に、介入ノードN25を挿入する。
【0146】
また、フロー制御装置201は、脱落予測者P5,P6が誘導される新たな条件分岐B24の分岐先に挿入する新たなノードとして、介入Hを表す介入ノードN26を決定する。そして、フロー制御装置201は、脱落予測者P5,P6が誘導される新たな条件分岐B24の分岐先に、介入ノードN26を挿入する。
【0147】
これにより、フロー制御装置201は、新たな条件分岐B24の分岐先(上側)に誘導した脱落予測者P1,P2に対して、介入F(介入ノードN25)を割り当てることができる。また、フロー制御装置201は、新たな条件分岐B24の分岐先(下側)に誘導した脱落予測者P5,P6に対して、介入H(介入ノードN26)を割り当てることができる。
【0148】
(1つのノードを起点として、新しい施策フローを生成する際の動作例)
つぎに、
図13Aおよび
図13Bを用いて、1つのノードを起点として、新しい施策フローを生成する際の動作例について説明する。ここでは、閾値γを「γ=20%」とし、複数の対象のうち脱落予測者(第1の条件を満たす対象)の割合(脱落確率)が20%以下となるまで、条件分岐と介入ノードを追加して、新しい施策フローを生成する場合について説明する。
【0149】
図13Aおよび
図13Bは、新しい施策フローを生成する際の第1の動作例を示す説明図である。
図13Aにおいて、対象者群1320(12人)は、施策対象となる複数の対象の一例である。また、施策フロー1300は、1つの介入ノード1301のみを含む未完成の施策フローである。
【0150】
この場合、対象者群1320は、介入ノード1301に割り当てられる。ここでは、介入ノード1301に割り当てられた対象者群1320に、6人の脱落予測者群1321が含まれるとする。この時点の脱落確率は、50%(=6/12×100)であり、閾値γより大きい。
【0151】
このため、フロー制御装置201は、脱落予測者群1321を非脱落予測者群1322と分離するための条件分岐1302を施策フロー1300に挿入する。これにより、脱落予測者群1321が条件分岐1302の分岐先(上側)に誘導される。
【0152】
図13Bにおいて、フロー制御装置201は、施策フロー1300における条件分岐1302の分岐先(上側)に、新たな介入ノード1303を挿入する。介入ノード1303は、脱落予測者群1321のうち脱落する者の割合が低くなるように決定される。
【0153】
対象者群(脱落予測者群)1321は、介入ノード1303に割り当てられる。ここでは、介入ノード1303に割り当てられた対象者群1321に、3人の脱落予測者群1323が含まれるとする。この時点の脱落確率は、25%(=3/12×100)であり、閾値γより大きい。
【0154】
このため、フロー制御装置201は、脱落予測者群1323を非脱落予測者群1324と分離するための条件分岐1304を施策フロー1300に挿入する。これにより、脱落予測者群1323が条件分岐1304の分岐先(上側)に誘導される。
【0155】
フロー制御装置201は、施策フロー1300における条件分岐1304の分岐先(上側)に、新たな介入ノード1305を挿入する。介入ノード1305は、脱落予測者群1323のうち脱落する者の割合が低くなるように決定される。
【0156】
対象者群(脱落予測者群)1323は、介入ノード1305に割り当てられる。ここでは、介入ノード1305に割り当てられた対象者群1323に、脱落予測者が含まれないとする。この時点の脱落確率は、0%(=0/12×100)であり、閾値γ以下となる。このため、フロー制御装置201は、施策フロー1300の生成を終了する。
【0157】
これにより、フロー制御装置201は、1つの介入ノード1301を起点として、条件分岐と介入ノードを追加して、新しい施策フロー1300を生成することができる。
【0158】
(第1の条件を満たす対象の集合に対して、新しい施策フローを生成する際の動作例)
つぎに、
図14を用いて、第1の条件を満たす対象の集合に対して、新しい施策フローを生成する際の動作例について説明する。ここでは、第1の条件を満たす対象を「脱落予測者」とする。
【0159】
図14は、新しい施策フローを生成する際の第2の動作例を示す説明図である。
図14において、施策フロー1410は、既存の施策フローである。施策フロー1410は、例えば、立案者によって人手により作成されたものであってもよく、また、フロー制御装置201によって更新されたものであってもよい。
【0160】
施策フロー1410は、条件分岐1411,1412と介入ノード1413~1415とを含む。ここでは、施策フロー1410に基づき対象者P1~P12をいずれかの介入ノードに割り当てた結果、対象者P1~P4が介入ノード1413に割り当てられた場合を想定する。
【0161】
また、対象者P5~P8が介入ノード1414に割り当てられ、対象者P9~P12が介入ノード1415に割り当てられた場合を想定する。また、介入ノード1413に割り当てられた対象者P1,P2が脱落すると予測され、介入ノード1414に割り当てられた対象者P5,P6が脱落すると予測された場合を想定する。
【0162】
この場合、対象者P1~P12のうち、非脱落予測者群P3,P4,P7~P12については、施策フロー1410に基づく施策(既存施策)の対象とする。一方、脱落予測者群P1,P2,P5,P6について、フロー制御装置201は、新規の施策フロー1420を生成する。新規の施策フロー1420を生成する具体的な処理内容は、例えば、
図13Aおよび
図13Bで説明した処理内容と同様である。
【0163】
これにより、フロー制御装置201は、既存の施策では介入に応答せず受け付けないと予測された脱落予測者群P1,P2,P5,P6のみを対象として、新しい施策フロー1420を生成することができる。例えば、フロー制御装置201は、全対象者P1~P12をカバーする1つの施策フローを作成する場合に比べて、目標達成のための施策フローの生成効率を向上させることができる。
【0164】
(施策フローが多段のノードを含む場合の動作例)
つぎに、
図15を用いて、施策フローが多段のノードを含む場合の動作例について説明する。
【0165】
図15は、施策フローが多段のノードを含む場合の動作例を示す説明図である。
図15において、施策フロー1500は、多段の介入ノードを含む施策フローの一例である。施策フロー1500は、条件分岐1501~1503と、介入ノード1504~1509とを含む。介入ノード1504~1509のうち、介入ノード1504~1506が初段の介入ノードである。また、介入ノード1507~1509が2段目の介入ノードである。
【0166】
このような場合、まず、フロー制御装置201は、例えば、初段の介入ノードを含む範囲(部分施策)を対象に、本フロー制御方法を適用する。その後、フロー制御装置201は、次段の介入ノードを含む各範囲を対象に、本フロー制御方法を適用する。介入ノードが3段以上ある場合は、フロー制御装置201は、段数分処理を繰り返す。
【0167】
図15の例では、フロー制御装置201は、施策フロー1500の最上位から初段の介入ノード1504~1506を含む範囲1510を対象に、本フロー制御方法を適用する。具体的には、例えば、フロー制御装置201は、範囲1510に基づき複数の対象者をいずれかのノードに割り当てた結果に基づいて、複数の対象者のうち脱落予測者を抽出する。
【0168】
フロー制御装置201は、範囲1510における抽出された脱落予測者の分散状態に基づいて、範囲1510における新たな条件分岐の挿入位置を決定する。フロー制御装置201は、範囲1510の決定した挿入位置よりも下位の介入ノードにおける、脱落予測者を非脱落予測者と分離するような条件を決定し、決定した条件を新たな条件分岐として、範囲1510における決定した挿入位置に挿入する。ここでは、新たな分岐条件1511が挿入されている。
【0169】
フロー制御装置201は、挿入した新たな条件分岐1511の分岐先に挿入する新たなノードを決定し、範囲1510における新たな条件分岐1511の分岐先に、決定した新たなノードを挿入する。ここでは、新たな分岐条件1511の分岐先に、新たな介入ノード1512が挿入されている。
【0170】
つぎに、フロー制御装置201は、2段目の介入ノード1507~1509を含む各範囲1520,1530を対象に、本フロー制御方法を適用する。ここでは、範囲1520を例に挙げて、フロー制御装置201の処理例について説明する。
【0171】
具体的には、例えば、フロー制御装置201は、範囲1520に基づき複数の対象者のうち介入ノード1507,1508の直上位の介入ノード1504に割り当てられた1以上の対象者をいずれかのノードに割り当てた結果に基づいて、1以上の対象者から脱落予測者を抽出する。そして、フロー制御装置201は、抽出した脱落予測者の範囲1520における分散状態に基づいて、範囲1520における新たな条件分岐の挿入位置を決定する。
【0172】
また、フロー制御装置201は、範囲1520の決定した挿入位置よりも下位の介入ノードにおける、脱落予測者を非脱落予測者と分離するような条件を決定する。そして、フロー制御装置201は、決定した条件を新たな条件分岐として、範囲1520における決定した挿入位置に挿入する。また、フロー制御装置201は、範囲1520に挿入された新たな条件分岐の分岐先に挿入する新たなノードを決定し、範囲1520における新たな条件分岐の分岐先に、決定した新たなノードを挿入する。
【0173】
これにより、フロー制御装置201は、多段の介入ノードを含む施策フローに対して本フロー制御方法を適用して、目標達成のための施策の策定を支援することができる。
【0174】
(フロー制御装置201のフロー制御処理手順)
つぎに、
図16を用いて、フロー制御装置201のフロー制御処理手順について説明する。ここでは、施策対象となる複数の対象を「複数の個人」とし、施策フローに含まれるノードを「介入ノード」とする。また、第1の条件を「脱落確率が閾値α以上」とし、第1の条件を満たす第1の対象を「脱落予測者」とし、第1の条件を満たさない対象を「非脱落予測者」とする。
【0175】
図16は、フロー制御装置201のフロー制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
図16のフローチャートにおいて、まず、フロー制御装置201は、条件分岐と有向エッジにより接続される介入ノードを含む施策フローを取得する(ステップS1601)。
【0176】
つぎに、フロー制御装置201は、特徴量テーブル220を参照して、複数の個人それぞれの複数種類の特徴量に応じて、各個人をいずれかの介入ノードに割り当てる(ステップS1602)。そして、フロー制御装置201は、ノード割当結果に基づいて、複数の個人それぞれの複数種類の特徴量から、各個人の脱落予測を実施する(ステップS1603)。
【0177】
つぎに、フロー制御装置201は、各個人の脱落予測結果に基づいて、複数の個人から脱落予測者を抽出する(ステップS1604)。そして、フロー制御装置201は、取得した施策フローにおける抽出した脱落予測者の分散状態に基づいて、誘導対象の介入ノード群を特定する(ステップS1605)。
【0178】
なお、誘導対象の介入ノード群は、上述した介入ノード群Xに対応し、別の介入ノードへの誘導対象となる脱落予測者を含む介入ノードの集合である。
【0179】
つぎに、フロー制御装置201は、特定した介入ノード群を含むように、施策フローにおける新たな条件分岐の挿入位置を決定する(ステップS1606)。そして、フロー制御装置201は、特徴量テーブル220を参照して、新たな条件分岐とする条件(第2の条件)を決定する(ステップS1607)。具体的には、例えば、フロー制御装置201は、介入ノード群(決定された挿入位置よりも下位の介入ノード)に割り当てられた個人それぞれの複数種類の特徴量に基づいて、介入ノード群における脱落予測者と非脱落予測者とを分離するような条件を決定する。
【0180】
つぎに、フロー制御装置201は、決定した条件を新たな条件分岐として、決定した挿入位置に挿入する(ステップS1608)。そして、フロー制御装置201は、新たな条件分岐の分岐先に挿入する新たな介入ノードを決定する(ステップS1609)。具体的には、例えば、フロー制御装置201は、脱落予測者の複数種類の特徴量に基づいて、あらかじめ用意された複数種類の介入ノードの中から、脱落予測者が第3の条件を満たすような介入ノードを新たな介入ノードに決定する。
【0181】
つぎに、フロー制御装置201は、新たな条件分岐の分岐先に新たな介入ノードを挿入する(ステップS1610)。そして、フロー制御装置201は、新たな介入ノードを挿入した施策フローを出力して(ステップS1611)、本フローチャートによる一連の処理を終了する。
【0182】
これにより、フロー制御装置201は、既存の施策フローを更新することで、各個人が割り当てられた介入を受け付けない事象(脱落)の発生を抑えるような施策フローを自動で生成することができる。
【0183】
なお、フロー制御装置201は、ステップS1610の後に、新たなノードが挿入された施策フローに基づいて、特徴量テーブル220を参照して、複数の個人それぞれのノードへの再割り当てを行ってもよい。この場合、フロー制御装置201は、ステップS1611において、新たなノードを挿入した施策フローと対応付けて、複数の個人それぞれのノードへの再割り当て結果を出力してもよい。
【0184】
以上説明したように、実施の形態にかかるフロー制御装置201によれば、条件分岐と有向エッジにより接続されるノードを含むワークフローに基づき複数の対象をいずれかのノードに割り当てた結果に基づいて、複数の対象のうち第1の条件を満たす第1の対象を抽出することができる。ワークフローは、例えば、目標達成のための施策を表す施策フローである。ノードは、例えば、目標達成のための介入を表す介入ノードである。第1の条件は、例えば、割り当てられたノードが表す介入を受け付けない予測確率が閾値α以上であるという条件である。
【0185】
これにより、フロー制御装置201は、既存の施策では割り当てられる介入の効果が低いといえる対象、例えば、介入に応答せずに受け付けない脱落予測者を抽出することができる。
【0186】
また、フロー制御装置201によれば、抽出した第1の対象のワークフローにおける分散状態に基づいて、ワークフローにおける新たな条件分岐の挿入位置を決定することができる。そして、フロー制御装置201によれば、決定した挿入位置よりも下位のノードにおける、第1の対象を第1の条件を満たさない対象と分離するような第2の条件を新たな条件分岐として挿入位置に挿入し、新たな条件分岐の分岐先に新たなノードを挿入することができる。また、フロー制御装置201によれば、新たなノードを挿入したワークフローを出力することができる。
【0187】
これにより、フロー制御装置201は、新たな分岐点(条件分岐)を作って、脱落予測者などを新たなノードに誘導するようにフロー構造を更新することができる。このため、フロー制御装置201は、各対象が介入を受け付けないような事象の発生を抑えたワークフローを生成しやすくして、目標達成のための施策を表すワークフローの生成効率を向上させることができる。
【0188】
また、フロー制御装置201によれば、ワークフローにおける第1の対象が割り当てられたノードを包含する最下位の位置に、新たな条件分岐の挿入位置を決定することができる。
【0189】
これにより、フロー制御装置201は、条件分岐により分離する対象の数を抑えて、例えば、脱落予測者(第1の対象)と非脱落予測者(第1の条件を満たさない対象)とを分離するための適切な条件を決定しやすくすることができる。
【0190】
また、フロー制御装置201によれば、複数の対象それぞれの複数種類の特徴量を記憶する記憶部510を参照して、決定した挿入位置よりも下位のノードに割り当てられた対象それぞれの複数種類の特徴量に基づいて、第2の条件を決定することができる。そして、フロー制御装置201によれば、決定した第2の条件を新たな条件分岐として、決定した挿入位置に挿入することができる。
【0191】
これにより、フロー制御装置201は、各対象の特徴を考慮して、例えば、脱落予測者と非脱落予測者とを分離するための条件を決定することができる。
【0192】
また、フロー制御装置201によれば、記憶部510を参照して、第1の対象の複数種類の特徴量に基づいて、複数種類のノードの中から、第1の対象が第3の条件を満たすようなノードを新たなノードに決定することができる。そして、フロー制御装置201によれば、決定した新たなノードを、新たな条件分岐の分岐先に挿入することができる。第3の条件は、例えば、割り当てられたノードが表す介入を受け付けない予測確率が閾値β未満であるという条件である。
【0193】
これにより、フロー制御装置201は、例えば、介入を受け付けない事象(脱落)が発生する可能性が低い介入など、効果の高い介入を脱落予測者に割り当てることができる。
【0194】
また、フロー制御装置201によれば、ワークフローが1つのノードのみを含む場合に、新たなノードを挿入したワークフローについて、複数の対象のうち第1の条件を満たす対象の割合が閾値γ以下となるまで、第1の対象を抽出する処理、挿入位置を決定する処理、第2の条件を決定する処理、新たな条件分岐を挿入する処理、および、新たなノードを挿入する処理を繰り返し実行することができる。
【0195】
これにより、フロー制御装置201は、1つのノードを起点として、条件分岐とノードを追加して、新しい施策フローを生成することができる。
【0196】
また、フロー制御装置201によれば、ワークフローが、多段のノードを含む場合、ワークフローのうち最上位から初段のノードを含む範囲に基づき複数の対象をいずれかのノードに割り当てた結果に基づいて、複数の対象のうち第1の条件を満たす第1の対象を抽出することができる。また、フロー制御装置201によれば、抽出した第1の対象の当該範囲における分散状態に基づいて、当該範囲における新たな条件分岐の挿入位置を決定することができる。そして、フロー制御装置201によれば、当該範囲の決定した挿入位置よりも下位のノードにおける、第1の対象を第1の条件を満たさない対象と分離するような第2の条件を新たな条件分岐として挿入位置に挿入し、当該範囲における新たな条件分岐の分岐先に新たなノードを挿入することができる。
【0197】
これにより、フロー制御装置201は、多段のノードを含むワークフローについて、初段のノードを含む範囲に着目して、新たな分岐点(条件分岐)を作って、脱落予測者などを新たなノードに誘導するようにフロー構造を更新することができる。
【0198】
また、フロー制御装置201によれば、初段より下位の各段のノードを含む各範囲に基づき複数の対象のうち各段のノードの直上位のノードに割り当てられた1以上の対象をいずれかのノードに割り当てた結果に基づいて、1以上の対象から第1の条件を満たす第2の対象を抽出することができる。そして、フロー制御装置201によれば、抽出した第2の対象の各範囲における分散状態に基づいて、各範囲における新たな条件分岐の挿入位置を決定し、各範囲の決定した挿入位置よりも下位のノードにおける、第2の対象を第1の条件を満たさない対象と分離するような第4条件を新たな条件分岐として挿入位置に挿入し、各範囲における新たな条件分岐の分岐先に新たなノードを挿入することができる。
【0199】
これにより、フロー制御装置201は、多段のノードを含むワークフローについて、2段目以降の各初のノードを含む範囲に着目して、新たな分岐点(条件分岐)を作って、脱落予測者などを新たなノードに誘導するようにフロー構造を更新することができる。
【0200】
これらのことから、フロー制御装置201によれば、施策を表すワークフローの生成効率を向上させて、目標達成のための施策の策定を支援することができる。例えば、フロー制御装置201は、ある自治体において、住民の健康維持を目標として、住民の年齢、健康情報、診断結果、生活習慣などをもとに各種サービス(介入)を割り当てる施策を立案する際の作業を支援することができる。また、フロー制御装置201は、ある地域全体の使用電力量を一定量に抑えることを目標として、企業や工場の従業員数、事業内容、使用電力履歴、使用機材履歴などをもとに各種要請(介入)を割り当てる施策を立案する際の作業を支援することができる。
【0201】
なお、本実施の形態で説明したフロー制御方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することにより実現することができる。本フロー制御プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD-ROM、DVD、USBメモリ等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。また、本フロー制御プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布してもよい。
【0202】
また、本実施の形態で説明したフロー制御装置201は、スタンダードセルやストラクチャードASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの特定用途向けICやFPGAなどのPLD(Programmable Logic Device)によっても実現することができる。
【0203】
上述した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0204】
(付記1)条件分岐と有向エッジにより接続されるノードを含むワークフローに基づき複数の対象をいずれかのノードに割り当てた結果に基づいて、前記複数の対象のうち第1の条件を満たす第1の対象を抽出し、
抽出した前記第1の対象の前記ワークフローにおける分散状態に基づいて、前記ワークフローにおける新たな条件分岐の挿入位置を決定し、
決定した前記挿入位置よりも下位のノードにおける、前記第1の対象を前記第1の条件を満たさない対象と分離するような第2の条件を前記新たな条件分岐として前記挿入位置に挿入し、
前記新たな条件分岐の分岐先に新たなノードを挿入する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とするフロー制御方法。
【0205】
(付記2)前記挿入位置を決定する処理は、
前記ワークフローにおける前記第1の対象が割り当てられたノードを包含する最下位の位置に前記挿入位置を決定する、ことを特徴とする付記1に記載のフロー制御方法。
【0206】
(付記3)前記複数の対象それぞれの複数種類の特徴量を記憶する記憶部を参照して、決定した前記挿入位置よりも下位のノードに割り当てられた対象それぞれの複数種類の特徴量に基づいて、前記第2の条件を決定する、処理を前記コンピュータが実行し、
前記新たな条件分岐を挿入する処理は、
決定した前記第2の条件を前記新たな条件分岐として前記挿入位置に挿入する、ことを特徴とする付記1または2に記載のフロー制御方法。
【0207】
(付記4)前記複数の対象それぞれの複数種類の特徴量を記憶する記憶部を参照して、前記第1の対象の複数種類の特徴量に基づいて、複数種類のノードの中から、前記第1の対象が第3の条件を満たすようなノードを前記新たなノードに決定する、処理を前記コンピュータが実行し、
前記新たなノードを挿入する処理は、
決定した前記新たなノードを前記分岐先に挿入する、ことを特徴とする付記1~3のいずれか一つに記載のフロー制御方法。
【0208】
(付記5)前記ワークフローは、目標達成のための施策を表し、
前記ノードは、前記目標達成のための介入を表す、ことを特徴とする付記1~4のいずれか一つに記載のフロー制御方法。
【0209】
(付記6)前記ワークフローは、有向エッジにより条件分岐と接続される1つのノードのみを含み、
前記新たなノードを挿入した前記ワークフローについて、前記複数の対象のうち前記第1の条件を満たす対象の割合が閾値以下となるまで、前記第1の対象を抽出する処理、前記挿入位置を決定する処理、前記第2の条件を決定する処理、前記新たな条件分岐を挿入する処理、および、前記新たなノードを挿入する処理を、前記コンピュータが実行することを特徴とする付記3に記載のフロー制御方法。
【0210】
(付記7)前記ワークフローが、多段のノードを含む場合、前記ワークフローのうち最上位から初段のノードを含む範囲に基づき前記複数の対象をいずれかのノードに割り当てた結果に基づいて、前記複数の対象のうち第1の条件を満たす第1の対象を抽出し、
抽出した前記第1の対象の前記範囲における分散状態に基づいて、前記範囲における新たな条件分岐の挿入位置を決定し、
前記範囲の決定した前記挿入位置よりも下位のノードにおける、前記第1の対象を前記第1の条件を満たさない対象と分離するような第2の条件を前記新たな条件分岐として前記挿入位置に挿入し、
前記範囲における前記新たな条件分岐の分岐先に新たなノードを挿入する、
処理を前記コンピュータが実行することを特徴とする付記1~6のいずれか一つに記載のフロー制御方法。
【0211】
(付記8)前記初段より下位の各段のノードを含む各範囲に基づき前記複数の対象のうち前記各段のノードの直上位のノードに割り当てられた1以上の対象をいずれかのノードに割り当てた結果に基づいて、前記1以上の対象から前記第1の条件を満たす第2の対象を抽出し、
抽出した前記第2の対象の前記各範囲における分散状態に基づいて、前記各範囲における新たな条件分岐の挿入位置を決定し、
前記各範囲の決定した前記挿入位置よりも下位のノードにおける、前記第2の対象を前記第1の条件を満たさない対象と分離するような第4条件を前記新たな条件分岐として前記挿入位置に挿入し、
前記各範囲における前記新たな条件分岐の分岐先に新たなノードを挿入する、
処理を前記コンピュータが実行することを特徴とする付記7に記載のフロー制御方法。
【0212】
(付記9)前記第1の条件は、割り当てられたノードが表す介入を受け付けない予測確率が閾値以上であるという条件である、ことを特徴とする付記5に記載のフロー制御方法。
【0213】
(付記10)前記ワークフローは、目標達成のための施策を表し、
前記ノードは、前記目標達成のための介入を表し、
前記第3の条件は、割り当てられたノードが表す介入を受け付けない予測確率が閾値未満であるという条件である、ことを特徴とする付記4に記載のフロー制御方法。
【0214】
(付記11)前記新たなノードを挿入した前記ワークフローを出力する、
処理を前記コンピュータが実行することを特徴とする付記1~10のいずれか一つに記載のフロー制御方法。
【0215】
(付記12)条件分岐と有向エッジにより接続されるノードを含むワークフローに基づき複数の対象をいずれかのノードに割り当てた結果に基づいて、前記複数の対象のうち第1の条件を満たす第1の対象を抽出し、
抽出した前記第1の対象の前記ワークフローにおける分散状態に基づいて、前記ワークフローにおける新たな条件分岐の挿入位置を決定し、
決定した前記挿入位置よりも下位のノードにおける、前記第1の対象を前記第1の条件を満たさない対象と分離するような第2の条件を前記新たな条件分岐として前記挿入位置に挿入し、
前記新たな条件分岐の分岐先に新たなノードを挿入する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とするフロー制御プログラム。
【0216】
(付記13)条件分岐と有向エッジにより接続されるノードを含むワークフローに基づき複数の対象をいずれかのノードに割り当てた結果に基づいて、前記複数の対象のうち第1の条件を満たす第1の対象を抽出し、
抽出した前記第1の対象の前記ワークフローにおける分散状態に基づいて、前記ワークフローにおける新たな条件分岐の挿入位置を決定し、
決定した前記挿入位置よりも下位のノードにおける、前記第1の対象を前記第1の条件を満たさない対象と分離するような第2の条件を前記新たな条件分岐として前記挿入位置に挿入し、
前記新たな条件分岐の分岐先に新たなノードを挿入する、
制御部を有することを特徴とする情報処理装置。
【符号の説明】
【0217】
101 情報処理装置
110 ワークフロー
120 複数の対象
121 対象
200 情報処理システム
201 フロー制御装置
202 クライアント装置
210 ネットワーク
220 特徴量テーブル
300 バス
301 CPU
302 メモリ
303 ディスクドライブ
304 ディスク
305 通信I/F
306 可搬型記録媒体I/F
307 可搬型記録媒体
500 制御部
501 取得部
502 抽出部
503 第1の決定部
504 第2の決定部
505 第3の決定部
506 挿入部
507 出力部
510 記憶部
610,620,1300,1410,1420,1500 施策フロー
900 特徴量情報
1100,1200 脱落予測結果