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  • 特開-サイホン排水構造 図1
  • 特開-サイホン排水構造 図2
  • 特開-サイホン排水構造 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088542
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】サイホン排水構造
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/122 20060101AFI20240625BHJP
【FI】
E03C1/122 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203781
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永井 敏朗
【テーマコード(参考)】
2D061
【Fターム(参考)】
2D061AA04
2D061AA05
2D061AB10
2D061AC01
(57)【要約】
【課題】本開示は、水廻り器具から排出される水が少ない場合においてもサイホン力が発生しやすいサイホン排水構造の技術の開示を目的とする。
【解決手段】サイホン排水構造20は、水廻り器具12から排出される水を流す管体であって、水平方向に延びる一般部48と、一般部48の下流側において上流側から下流側にかけて鉛直方向上方に向かって傾斜し、一般部48における管体の内径未満の高低差がついた逆勾配部50とを有する横引き管42と、横引き管42の下流側に接続され、水廻り器具12から排出された水を流下させることにより、横引き管42にサイホン力を発生させる竪管46と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水廻り器具から排出される水を流す管体であって、水平方向に延びる一般部と、前記一般部の下流側において上流側から下流側にかけて鉛直方向上方に向かって傾斜し、前記一般部における管体の内径未満の高低差がついた逆勾配部と、を有する横引き管と、
前記横引き管の下流側に接続され、水廻り器具から排出された水を流下させることにより、前記横引き管にサイホン力を発生させる竪管と、
を備えた、
サイホン排水構造。
【請求項2】
前記水廻り器具と前記横引き管との間に配置され、前記水廻り器具からの排出された水を一時貯留する一時貯留槽をさらに備える、
請求項1に記載の、サイホン排水構造。
【請求項3】
前記横引き管は、前記逆勾配部よりも上流側において、上流側から下流側にかけて鉛直方向の下方に向かって傾斜し、前記管体の内径未満の高低差がついた勾配部をさらに有する、
請求項1又は請求項2に記載の、サイホン排水構造。
【請求項4】
前記横引き管は、前記勾配部と前記逆勾配部との間に水平方向に延びる水平部をさらに有する、
請求項3に記載の、サイホン排水構造。
【請求項5】
前記水平部における水平方向の長さは、前記逆勾配部における水平方向の長さ、及び前記勾配部における水平方向の長さよりも長い、
請求項4に記載の、サイホン排水構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、サイホン排水構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、小口径排水管により形成されて且つ排水器具に接続された排水立管を有する排水管を備え、サイホンの原理を利用した当該排水管内を流れる排水を処理する排水管構造であって、排水管の上流側の端部は、前記排水器具から排水立管に向けて流れる排水に当該排水よりも下流に滞留する排水と空気のいずれか一方又は両方を排水立管に向けて押出す水頭圧を付与する水頭圧取得手段を介して前記排水器具に接続されている排水管構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-150220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の排水構造では、水廻り器具から排出される水が少ない場合、サイホン力が発生せず、排水管内部に汚れが蓄積する可能性がある。
【0005】
本開示は、水廻り器具から排出される水が少ない場合においてもサイホン力が発生しやすいサイホン排水構造の技術の開示を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一態様のサイホン排水構造は、水廻り器具から排出される水を流す管体であって、水平方向に延びる一般部と、前記一般部の下流側において上流側から下流側にかけて鉛直方向上方に向かって傾斜する逆勾配部とを有する横引き管と、前記横引き管の下流側に接続され、水廻り器具から排出された水を流下させることにより、前記横引き管にサイホン力を発生させる竪管と、を備え、前記逆勾配部は、前記一般部における管体の内径の大きさの範囲内で鉛直方向上方に向かって傾斜している。
【0007】
このサイホン排水構造によれば、水廻り器具から水が排出された場合において、横引き管の内部で水が満たされるまでにかかる時間が短くなり、サイホン力が発生するまでに要する時間が短くなる。したがって、このサイホン排水構造によれば、水廻り器具から排出される水が少ない場合においてもサイホン力が発生しやすい。
【0008】
第二態様のサイホン排水構造は、第一態様に記載のサイホン排水構造において、前記水廻り器具と前記横引き管との間に配置され、前記水廻り器具からの排出された水を一時貯留する一時貯留槽をさらに備える。
【0009】
このサイホン排水構造は、一時貯留槽を有しており、一時貯留槽に貯留された水が一気に横引き管へ流れるので、横引き管内の流路断面が水で満たされやすい。これにより、サイホン排水構造が一時貯留槽を有していない場合と比べて、サイホン力が発生しやすくなる。
【0010】
第三態様のサイホン排水構造は、第一態様又は第二態様に記載のサイホン排水構造において、前記横引き管は、前記逆勾配部よりも上流側において、上流側から下流側にかけて前記管体の内径の大きさの範囲内で鉛直方向の下方に向かって傾斜する勾配部をさらに有する。
【0011】
このサイホン排水構造は、勾配部を有しているため、竪管に近い部分である勾配部と逆勾配部との間に水を貯めやすい。これにより、横引き管に水が流れた場合に竪管に近い部分の流路が水で満たされ、サイホン力が発生しやすくなる。
【0012】
第四態様のサイホン排水構造は、第三態様に記載のサイホン排水構造において、前記横引き管は、前記勾配部と前記逆勾配部との間に水平方向に延びる水平部をさらに有する。
【0013】
このサイホン排水構造は、水平部を有しているため、竪管に近い部分である勾配部と逆勾配部との間に水を貯めやすい。これにより、水平部を有していないサイホン排水構造と比べて、横引き管に水が流れた場合に竪管に近い部分の流路断面が水で満たされ、サイホン力が発生しやすくなる。
【0014】
第五態様のサイホン排水構造は、第四態様に記載のサイホン排水構造において、前記水平部における水平方向の長さは、前記逆勾配部における水平方向の長さよりも大きい。
【0015】
このサイホン排水構造は、水平部における水平方向の長さが勾配部における水平方向の長さよりも大きい。このため、竪管に近い部分である勾配部と逆勾配部との間に水を貯めやすい。これにより、勾配部における水平方向の長さが逆勾配部における水平方向の長さよりも小さいサイホン排水構造と比べて、横引き管に水が流れた場合に竪管に近い部分の流路断面が水で満たされ、サイホン力が発生しやすくなる。
【0016】
本開示によれば、排水管を流れる水廻り器具から排出された水が少ない場合においてもサイホン力が発生しやすいサイホン排水構造の技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本開示の第一実施形態に係るサイホン排水構造を示す側面図である。
図2】本開示の第一実施形態に係る横引き管の下流側の側面図であり、図1における1A部分の拡大図である。
図3】本開示の第二実施形態に係る横引き管の下流側の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態に係る配管構造について、図面を参照しながら説明する。各図面において同一の符号を用いて示される構成要素は、同一の構成要素であることを意味する。但し、明細書中に特段の断りが無い限り、各構成要素は一つに限定されず、複数存在してもよい。また、以下の説明において、特段の断りが無い限り、各配管の断面形状は、円形である。
【0019】
また、各図面において重複する構成及び符号については、説明を省略する場合がある。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において構成を省略する又は異なる構成と入れ替える等、適宜変更を加えて実施することができる。
【0020】
また、図中の矢印Zは鉛直方向の上方向を示す。
【0021】
[第一実施形態]
図1には、本実施形態に係るサイホン排水構造20の概略が示されている。サイホン排水構造20は、サイホン力を利用して水廻り器具12からの排出された水を排出するサイホン排水システムの構造である。サイホン排水構造20は、一例として、多層に形成された共同住宅10に用いられている。
【0022】
サイホン排水構造20は、水廻り器具12から排出された水を下方へ流す排水立て管22を備えている。排水立て管22は、上下方向(鉛直方向)沿って延在され、共同住宅10の各階のスラブ14を貫いている。また、排水立て管22は、共同住宅10において平面上の異なる場所に複数設けられている。排水立て管22は、例えば、共同住宅10の各階の各住居とは壁で区画された配管スペース(パイプスペース等とも称す)内に収容されている。
【0023】
共同住宅10の各住戸には、水廻り器具12が設けられている。水廻り器具12は、例えば浴室ユニットであり、浴槽12A及び洗い場12Bが一体化されて形成されている。水廻り器具12には、排水導入管24の一端が接続されている。
【0024】
排水導入管24の他端は、後述する一時貯留槽30と接続されている。これにより、排水導入管24は、水廻り器具12の浴槽12A及び洗い場12Bから排出される水を、一時貯留槽30へ導入する。なお、排水導入管24は、一時貯留槽30側が低くなるように勾配をもって配設されていることが好ましい。
【0025】
一時貯留槽30は、排水導入管24と後述する横引き管42との間に接続された、内部に水を一時的に貯留する箱体である。言い換えれば、水廻り器具12の各々から排出された水は、一時貯留槽30で合流する。
【0026】
そして、一時貯留槽30に流入した水は、さらに、水平方向に延びた横引き管42内を横方向へ流れる。次いで、水廻り器具12から排出された水は、竪管46を流下し、竪管46におけるサイホン水頭のポテンシャルエネルギ-により、サイホン力が発生する。このサイホン力により、横引き管42及び竪管46内の水が誘導され、その排水が促進される。
【0027】
横引き管42は、水廻り器具12から排出された水を水平方向に排出する。横引き管42は、例えば呼び径が25J(内径が約28mm)のポリブデン管で形成され、スラブ14上で略水平方向に延びるように配設されている。なお、ここでの水平方向に延びるとは、厳密に水平方向である必要はなく、スラブ14に沿って多少の段差や勾配のあるものを含む。この横引き管42における水平方向に延びて配設されている部分を、一般部44とする。また、後述するように、横引き管42は、一般部44に対して下流側に逆勾配部50を有している。また、横引き管42の「上流側」の端部は、一時貯留槽30と接続されている。なお、本実施形態では、横引き管の断面形状は、円形である。言い換えれば、横引き管の内径とは、横引き管の流路における鉛直方向の大きさと一致する。
【0028】
横引き管42の流路断面積は、排水導入管24の流路断面積未満であることが好ましい。横引き管42は、排水導入管24からの排水量を考慮して、必要に応じて管内を水が満流で流れるようにその断面積が設定されている。
【0029】
図1及び図2に示すように、竪管46の上流側には横引き管42が接続されている。竪管46は、排水立て管22に沿って、上下方向(鉛直方向)に配設され、横引き管42にサイホン力を発生させる。竪管46の他端は、合流部継手26に接続されている。合流部継手26は、竪管46からの排出された水を排水立て管22へ合流させる継手部材である。
【0030】
横引き管42及び竪管46は、排水立て管22へ水を導く。なお、横引き管42と竪管46との接続部は、連続したベント管として図示されているが、このベント管部分には、エルボ等の継手部材を配置してもよい。
【0031】
(逆勾配部)
ここで、本実施形態におけるサイホン排水構造20では、図1及び図2に示されるように、横引き管42の下流側に逆勾配部50を有している。逆勾配部50は、横引き管42の一般部44の下流側において、上流側から下流側にかけて鉛直方向上方に向かって傾斜する(下流に向かって上方へ徐々に傾斜する)部分であり、一般部44と同等の流路断面積を有している管体である。言い換えれば、横引き管42における水の流路の底面は、逆勾配部50の部分で上方に向かっている。
【0032】
また、逆勾配部50における、鉛直方向の高さが最も大きい部分における、一般部44に対する逆勾配部50の上昇量S1は、一般部44の内径Dよりも小さい。言い換えれば、逆勾配部50は、上流側から下流側に向かうにつれて、一般部44の内径よりも小さい範囲で、鉛直方向上方に向かって傾斜する。また言い換えれば、横引き管42における一般部44と逆勾配部50との高低差は、上昇量S1である。また言い換えれば、逆勾配部50の最も高い部分の下端50Lは、一般部44の内面の下端44Lよりも鉛直方向の上方から、一般部44の内面の上端44Hよりも鉛直方向の下方までの範囲にある。
【0033】
なお、逆勾配部50は、一般部44に対して流路の下流側に形成されていれば、どのような位置に形成されていてもよいが、横引き管42における竪管46に近いほど望ましい。本実施形態においては、横引き管42における逆勾配部50の下流側は、竪管46に接続されている。
【0034】
続いて、本実施形態に係るサイホン排水構造20の作用及び効果を説明する。
【0035】
(作用効果)
このサイホン排水構造20によれば、水廻り器具12から水が排出された場合において、横引き管42の内部で水が満たされるまでにかかる時間が短くなり、サイホン力が発生するまでに要する時間が短くなる。したがって、このサイホン排水構造20によれば、水廻り器具12から排出される水が少ない場合においてもサイホン力が発生しやすい。
【0036】
また、このサイホン排水構造20によれば、水廻り器具12から水が排出された場合において、横引き管42の内部で水が満たされるまでに必要な水の量が少なくなる。したがって、このサイホン排水構造20によれば、水廻り器具12から排出される水が少ない場合においてもサイホン力が発生しやすい。
【0037】
また、このサイホン排水構造20によれば、一般部48と逆勾配部50との高低差が、管体の内径未満とされているため、横引き管42の内部を水が流れていない状態では、一般部48における管内の上側には、空気が残る。言い換えれば、横引き管42の内部を水が流れていない状態では、横引き管42の内部が水で満たされていないため、横引き管42と竪管46とが通気する。このため、逆勾配部50を有することにより水の流れが弱い場合においても横引き管42が水に満たされるサイホン排水構造20と比べて、排水開始時における水廻り器具12から排出される水の流路抵抗が小さくなり、水の流速を増加させることができる。したがって、このサイホン排水構造20によれば、水廻り器具12から排出される水が少ない場合においてもサイホン力が発生しやすい。
【0038】
また、このサイホン排水構造20は、一時貯留槽30を有しており、一時貯留槽30に貯留された水が一気に横引き管42へ流れるので、横引き管42内の流路断面が水で満たされやすい。これにより、サイホン排水構造20が一時貯留槽30を有していない場合と比べて、竪管46によるサイホン力が発生しやすくなる。
【0039】
[第二実施形態]
次に、図3を適宜参照しながら本開示の第二実施形態に係るサイホン排水構造20について説明する。本実施形態では第一実施形態と同様の部分については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0040】
(構成)
第二実施形態におけるサイホン排水構造20では、横引き管42には、逆勾配部50よりも上流側において、上流側から下流側にかけて管体の内径の大きさの範囲内で鉛直方向の下方に向かって傾斜する勾配部52をさらに有する。また、横引き管42は、勾配部52と逆勾配部50との間に水平方向に延びる水平部54をさらに有する。
【0041】
図3に示されるように、水平部54は、勾配部52によって一般部44よりも鉛直方向の下方とされた部分であり、その内径は、一般部44と同等とされている。また、図3に示されるように、一般部44における流路の鉛直方向の下降量S2は、一般部44の内径Dよりも小さい。言い換えれば、勾配部52は、上流側から下流側に向かうにつれて、一般部44の内径よりも小さい範囲で、鉛直方向の下方に向かって傾斜する。また言い換えれば、横引き管42における一般部44と勾配部502の高低差は、下降量S2である。また言い換えれば、勾配部52の最も低い部分である、水平部54の上端54Hは、一般部44の内面の下端44Lよりも鉛直方向の上方から、一般部44の内面の上端44Hよりも鉛直方向の下方までの範囲にある。
【0042】
また、本実施形態では、逆勾配部50の水平方向の長さL1は、勾配部52の水平方向の長さL3よりも小さいほうが望ましい。また、水平部54の水平方向の長さL2は、逆勾配部50の水平方向の長さL1及び勾配部52の水平方向の長さL3と比べて大きいことが望ましい。
【0043】
なお、逆勾配部50の水平方向の長さL1、勾配部52の水平方向の長さL3、及び水平部54の水平方向の長さL2は、横引き管42の内部に溜められる水の量によって適宜決定される。一例として、逆勾配部50の水平方向の長さL1、勾配部52の水平方向の長さL3、及び水平部54の水平方向の長さL2の合計は、横引き管42の全体の長さに対して5%以上95%以下とされている。また、勾配部52が形成される位置は、横引き管42の内部に溜められる水の量によって適宜決定されるが、一例として、横引き管42全体の長さに対して、下流側から95%以下の位置に形成されている。
【0044】
なお、第一実施形態と同様に、逆勾配部50における、鉛直方向の高さが最も大きい部分における、一般部44に対する逆勾配部50の上昇量S1は、一般部44の内径Dよりも小さい。また、その他の部材の構成及び形状についても、第一実施形態と同様である。
【0045】
続いて、本実施形態に係るサイホン排水構造20の作用及び効果を説明する。
【0046】
(作用効果)
本実施形態のサイホン排水構造20は、勾配部52を有しているため、竪管46に近い部分である勾配部52と逆勾配部50との間に水を貯めやすい。これにより、横引き管42に水が流れた場合に竪管46に近い部分の流路断面が水で満たされ、サイホン力が発生しやすくなる。
【0047】
また、本実施形態のサイホン排水構造20は、水平部54を有しているため、竪管46に近い部分である勾配部52と逆勾配部50との間に水を貯めやすい。これにより、水平部54を有していないサイホン排水構造20と比べて、横引き管42に水が流れた場合に竪管46に近い部分の流路断面が水で満たされ、サイホン力が発生しやすくなる。
【0048】
また、本実施形態のサイホン排水構造20は、水平部54における水平方向の長さL2が逆勾配部50における水平方向の長さL1よりも大きい。また、水平部54における水平方向の長さL2が勾配部52における水平方向の長さL3よりも大きい。このため、竪管46に近い部分である勾配部52と逆勾配部50との間に水を貯めやすい。これにより、勾配部52における水平方向の長さL2が逆勾配部50における水平方向の長さL1よりも小さいサイホン排水構造20と比べて、横引き管42に水が流れた場合に竪管46に近い部分の流路断面が水で満たされ、サイホン力が発生しやすくなる。
【0049】
[変形例]
なお、上述の説明では、勾配部52における水平方向の長さは、逆勾配部50における水平方向の長さよりも大きいとされていたが、横引き管42の内部に水を溜めることが可能とされていれば、これに限られない。例えば、勾配部52における水平方向の長さは、逆勾配部50における水平方向の長さよりも小さくてもよく、また、水平部54の長さよりも小さくてもよい。
【0050】
また、上述の説明では、逆勾配部50と勾配部52の間には、水平部54が形成されていたが、横引き管42の内部に水を溜めることが可能とされていれば、これに限られない。例えば、横引き管42には、逆勾配と勾配部52との間に水平方向に延びる部分が無い(水平部54を有していない)形状とされていてもよい。
【0051】
また、上述の説明では、水廻り器具12と、横引き管42との間に一時貯留槽30が配置されていたが、一時貯留槽30が無くとも横引き管42にサイホン力を発生させることが可能とされていれば、一時貯留槽30を有していない構成としてもよい。
【0052】
また、上述の説明では、逆勾配部50は、竪管46と接続されていたが、横引き管42にサイホン力を発生させることが可能とされていれば、逆勾配部50と竪管46との間に、さらに横引き管42が水平方向に延びていてもよい。
【0053】
以上、添付図面を参照しながら本開示の実施形態を説明したが、本開示の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は応用例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0054】
10 共同住宅、12 水廻り器具、12A 浴槽、12B 洗い場、14 スラブ、20 サイホン排水構造、22 排水立て管、24 排水導入管、26 合流部継手、30 一時貯留槽、40 サイホン排水管、42 横引き管、46 竪管、48 一般部、50 逆勾配部、52 勾配部、54 水平部
図1
図2
図3