(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008855
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】相並んで配設された照射ユニットを備えた自動車投光器用の照射装置
(51)【国際特許分類】
F21S 41/20 20180101AFI20240112BHJP
F21S 41/153 20180101ALI20240112BHJP
F21S 41/143 20180101ALI20240112BHJP
F21W 102/10 20180101ALN20240112BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240112BHJP
【FI】
F21S41/20
F21S41/153
F21S41/143
F21W102:10
F21Y115:10
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023100658
(22)【出願日】2023-06-20
(31)【優先権主張番号】22183552.3
(32)【優先日】2022-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】593045569
【氏名又は名称】ツェットカーヴェー グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】ニーナ ブラウナー
(72)【発明者】
【氏名】スンジュン パク
(72)【発明者】
【氏名】クリスティジャン ヴェレビト
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク ゴッツマン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】相並んで配設された照射ユニットを備えた自動車投光器用の照射装置において、保持要素内への光の入射を防止又は減少する。
【解決手段】照射ユニットは、それぞれ、光源と、一次光学装置(12、22)と、二次光学装置とを有する。一次光学装置(12、22)は、透明なボディ部(110)から構成された共通の保持要素内に保持されている。ボディ部(110)には、過結合防止装置が設けられており、過結合防止装置の通過開口部(201)は、2つの側面部(211、212)により画定されており、側面部(211、212)は、光偏向手段(220、230)を有し、光偏向手段は隣接する照射ユニット内に入射しないように又は隣接する照射ユニットの二次光学装置に当たらないように偏向させるために設けられている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車投光器用の照射装置(1)であって、前記照射装置(1)は、相並んで配設された少なくとも2つの照射ユニット(10、20)を含み、
各前記照射ユニット(10、20)は、それぞれ、
- 少なくとも1つの光源(11、21)と、
- 少なくとも1つの前記光源(11、21)に割り当てられた透明な一次光学装置(12、22)と、
- 透明な二次光学装置(31、32)とを含み、
各前記照射ユニット(10、20)の前記一次光学装置(11、22)は、前記照射ユニット(10、20)の前記二次光学装置(31、32)により少なくとも1つの配光が生成されるように、前記一次光学装置(12、22)に割り当てられた少なくとも1つの前記光源(11、21)により放出された光を前記二次光学装置(31、32)に向けて導くために設けられており、前記照射装置(1)は、保持要素(100)を有し、前記保持要素(100)は、前記照射ユニット(10、20)の前記一次光学装置(12、22)を保持し、前記保持要素(100)は、透明な材料から成るボディ部(110)から構成されており、前記ボディ部(110)は、相並んで位置する受容通過開口部(101、102)を有し、前記受容通過開口部(101、102)内には、それぞれ前記一次光学装置(12、22)が配設されており、前記一次光学装置(12、22)は、それぞれ、隣接する前記受容通過開口部(101、102)の方を向いた前記受容通過開口部(101、102)の少なくとも1つの境界面(101a、101b、102a、102b)に取り付けられており、前記受容通過開口部(101、102)は、互いに離間されている構成であり、
前記ボディ部(110)には、相並んで位置する2つの前記受容通過開口部(101、102)の間に過結合防止装置(200)が配設されており、前記過結合防止装置(200)は、前記ボディ部(110)における通過開口部(201)から構成されており、前記過結合防止装置(200)の前記通過開口部(201)は、2つの側面部(211、212)により画定されており、これらの前記側面部(211、212)は、前記一次光学装置(12、22)が配設されている前記受容通過開口部(12、22)の方に向けられており、また前記側面部(211、212)の少なくとも1つ、即ち当該側面部に向き合った前記受容通過開口部(101、102)の前記境界面が前記受容通過開口部(101、102)内に配設された前記一次光学装置(12、22)により接触されている1つ又は複数の側面部(11、12)が、光偏向手段(220、230)を有し、前記光偏向手段(220、230)は、前記側面部(211、212)の方に向けられており且つ向き合った前記境界面に接触する前記一次光学装置(12、22)から前記ボディ部(110)内に入射して前記側面部(211、212)に当たる光線の少なくとも一部分を、好ましくは全てを、光線のこの部分が、隣接する前記照射ユニット(10、20)内に入射しないように又は隣接する前記照射ユニット(10、20)の前記二次光学装置(31、32)に当たらないように偏向させるために設けられていること、
を特徴とする照射装置。
【請求項2】
前記保持要素(100)と前記一次光学装置(12、22)は、一体的に構成されており、好ましくは同じ材料から成ること、
を特徴とする、請求項1に記載の照射装置。
【請求項3】
前記一次光学装置(12、22)は、前記保持要素(100)に、正に、特に向き合った、前記境界面(101a、101b、102a、102b)において接触すること、
を特徴とする、請求項1に記載の照射装置。
【請求項4】
前記光偏向手段(220、230)は、偏向された光線が、入射光線よりも大きい上下成分(z成分)を有するように、入射光線を偏向させるために設けられており、及び/又は、前記光偏向手段(220、230)は、入射光線をそれぞれの前記照射ユニット(10、20)の光放射方向(X1、X2)とは反対の方向に偏向させるために設けられていること、
を特徴とする、請求項1に記載の照射装置。
【請求項5】
前記光偏向手段(220、230)は、1つ又は複数の光偏向面(221、231)を含み、前記光偏向面(221、231)は、入射光線が、隣接する前記照射ユニット(10、20)内に入射しないように、又は隣接する前記照射ユニット(10、20)に割り当てられた前記二次光学装置(31、32)の領域に当たらないように、入射光線を偏向させること、
を特徴とする、請求項1に記載の照射装置。
【請求項6】
前記過結合防止装置(200)の前記側面部(211、212)は、それぞれ、隣接する前記照射ユニット(10、20)の前記一次光学装置(12、22)の主光放射方向(X1、X2)と平行に延在すること、
を特徴とする、請求項1に記載の照射装置。
【請求項7】
前記過結合防止装置(200)の前記側面部(211、212)は、垂直に延在すること、
を特徴とする、請求項1に記載の照射装置。
【請求項8】
前記光偏向手段(220、230)は、窪み部の形状で構成されているか、或いは溝部を含むか又は溝部の形状で構成されており、それらの前記溝部は、好ましくは水平方向に延在し、特に隣接する前記照射ユニット(10、20)の前記一次光学装置(12、22)の主光放射方向(X1、X2)に延在すること、
を特徴とする、請求項1に記載の照射装置。
【請求項9】
前記一次光学装置(12、22)の少なくとも1つ、好ましくは各前記一次光学装置(12、22)は、1つ又は複数の一次光学要素(12a、22a)を含み、好ましくは、2つ以上の前記一次光学要素(12a、22a)がある場合には、これらの前記一次光学要素(12a、22a)は、少なくとも一列に配設されていること、
を特徴とする、請求項1に記載の照射装置。
【請求項10】
少なくとも1つの前記一次光学装置(12、22)は、前記境界面と前記一次光学装置(12、22)の間に配設された楔形状の接触要素(240a、240b)を介して少なくとも1つの前記境界面(101a、101b、102a、102b)に接触し、また前記接触要素(240a、240b)のより狭い楔面(240a、240b)は、前記一次光学装置(12、22)に接触し、反対側のより広い楔面は、前記境界面に接触していること、
を特徴とする、請求項1に記載の照射装置。
【請求項11】
少なくとも、1つの前記照射ユニット(10、20)の前記光源(11、21)は、特に各前記照射ユニットの前記光源(11、21)は、LEDとして構成され、ないし発光ダイオードの形式であり、また複数の前記光源が設けられている場合には、これらの前記光源は、好ましくは一列に又は複数列に配設されていること、
を特徴とする、請求項1に記載の照射装置。
【請求項12】
少なくとも1つの前記投射光学装置(12、22)、又は少なくとも1つの前記投射光学装置(12、22)の一次光学要素(12a、22a)は、両凸状で構成されていること、
を特徴とする、請求項1に記載の照射装置。
【請求項13】
前記二次光学装置(31、32)は、1つの二次光学装置構成部材(30)として構成されていること、
を特徴とする、請求項1に記載の照射装置。
【請求項14】
少なくとも2つの前記照射ユニットの間には、シールド部材、特に壁状のシールド部材(300)が配設されており、前記シールド部材(300)は、前記保持要素(100)から前記二次光学装置に至るまで延在すること、
を特徴とする、請求項1に記載の照射装置。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の照射装置(1)を含んだ自動車投光器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の記載)
本出願は、2022年7月7日付けで出願の欧州特許出願第22183552.3号(DAS Code: 4B11)の優先権主張に基づくものであり、同出願の全記載内容は、引用をもって本明細書に組み込み記載されているものとする。
【0002】
本発明は、自動車投光器用の照射装置に関し、該照射装置は、相並んで配設された少なくとも2つの照射ユニットを含み、各照射ユニットは、それぞれ、
- 少なくとも1つの光源と、
- 少なくとも1つの光源に割り当てられた透明な一次光学装置と、
- 透明な二次光学装置とを含み、
各照射ユニットの一次光学装置は、照射ユニットの二次光学装置により少なくとも1つの配光が生成されるように、一次光学装置に割り当てられた少なくとも1つの光源により放出された光を二次光学装置に向けて導くために設けられており、照射装置は、保持要素を有し、保持要素は、照射ユニットの一次光学装置を保持し、保持要素は、透明な材料から成るボディ部から構成されており、ボディ部は、相並んで位置する受容通過開口部を有し、受容通過開口部内には、それぞれ一次光学装置が配設されており、一次光学装置は、それぞれ、隣接する受容通過開口部の方を向いた受容通過開口部の少なくとも1つの境界面に取り付けられており、受容通過開口部は、互いに離間されている。
【0003】
本明細書で使われる方向の記載に関しては、水平状態における照射装置の想定された配設状態が出発点とされる。それによりこの関連で「相並んで」とは「横に相並んで」を意味する。他の配設、例えば90°回転された配設において「相並んで」とは「上下に」又は「互いに上下に」と同じ意味であると理解することもできる。
【0004】
更に本発明は、そのような照射装置を含んだ自動車投光器に関する。
【背景技術】
【0005】
自動車投光器用ないし自動車用のそのような照射装置は、既知であり、例えば、
・ADB(グレアフリーハイビーム)、
・AFS(ロービーム稼働時及びグレアフリーハイビーム稼働時のコーナリングライト)、又は
・スタティックシステム(前域、スタティックハイビーム)
を生成するために用いられ、この際、これらの光機能を組み合わせて実現することも可能である。
【0006】
2つ以上の照射ユニットの一次光学装置を保持するためには、透明で特に透光性及び/又は光伝導性で構成されている保持要素が設けられている。この構成は、例えば一次光学装置と保持要素を一緒に射出成形プロセスで製造することを可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許出願公開第3299700号
【特許文献2】欧州特許出願公開第3521691号
【特許文献3】欧州特許出願公開第3578874号
【特許文献4】欧州特許出願公開第3611425号
【特許文献5】米国特許出願公開第2022/170607号
【特許文献6】国際公開第2017/054020号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この際、所謂エラーライト、即ち一次光学装置を介して望まれずに保持器内に入射(入射結合)される光源の光は、保持器内の全内反射により伝播し、また望まれない箇所で出射する可能性がある。例えば第1の照射ユニットの光源の光が第2の照射ユニットの領域で出射し、第2の照射ユニットの二次光学装置を介して外部空間に現れる可能性があり、この際、このことは、第2の照射ユニットにより生成される配光に悪影響をもたらすことになる。
【0009】
本発明の課題は、保持要素内への光の入射を防止又は減少することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題は、冒頭に記載した照射装置において、以下の構成により解決される。即ち本発明により、ボディ部には、相並んで位置する2つの受容通過開口部の間に過結合防止装置(オーバカップリング防止装置)が配設されており、この際、過結合防止装置は、ボディ部における通過開口部から構成されており、この際、過結合防止装置の通過開口部は、2つの側面部により画定されており、これらの側面部は、一次光学装置が配設されている受容通過開口部の方に向けられており、またこの際、側面部の少なくとも1つ、即ち当該側面部に向き合った受容通過開口部の境界面が受容通過開口部内に配設された一次光学装置により接触されている1つ又は複数の側面部が、光偏向手段を有し、光偏向手段は、側面部の方に向けられており且つ向き合った境界面に接触する一次光学装置からボディ部内に入射して側面部に当たる光線の少なくとも一部分を、好ましくは全てを、光線のこの部分が、隣接する照射ユニット内に入射しないように又は隣接する照射ユニットの二次光学装置に当たらないように偏向させるために設けられている。
【0011】
即ち本発明の第1の視点により、
自動車投光器用の照射装置であって、前記照射装置は、相並んで配設された少なくとも2つの照射ユニットを含み、
各前記照射ユニットは、それぞれ、
- 少なくとも1つの光源と、
- 少なくとも1つの前記光源に割り当てられた透明な一次光学装置と、
- 透明な二次光学装置とを含み、
各前記照射ユニットの前記一次光学装置は、前記照射ユニットの前記二次光学装置により少なくとも1つの配光が生成されるように、前記一次光学装置に割り当てられた少なくとも1つの前記光源により放出された光を前記二次光学装置に向けて導くために設けられており、前記照射装置は、保持要素を有し、前記保持要素は、前記照射ユニットの前記一次光学装置を保持し、前記保持要素は、透明な材料から成るボディ部から構成されており、前記ボディ部は、相並んで位置する受容通過開口部を有し、前記受容通過開口部内には、それぞれ前記一次光学装置が配設されており、前記一次光学装置は、それぞれ、隣接する前記受容通過開口部の方を向いた前記受容通過開口部の少なくとも1つの境界面に取り付けられており、前記受容通過開口部は、互いに離間されている構成であり、
前記ボディ部には、相並んで位置する2つの前記受容通過開口部の間に過結合防止装置が配設されており、前記過結合防止装置は、前記ボディ部における通過開口部から構成されており、前記過結合防止装置の前記通過開口部は、2つの側面部により画定されており、これらの前記側面部は、前記一次光学装置が配設されている前記受容通過開口部の方に向けられており、また前記側面部の少なくとも1つ、即ち当該側面部に向き合った前記受容通過開口部の前記境界面が前記受容通過開口部内に配設された前記一次光学装置により接触されている1つ又は複数の側面部が、光偏向手段を有し、前記光偏向手段は、前記側面部の方に向けられており且つ向き合った前記境界面に接触する前記一次光学装置から前記ボディ部内に入射して前記側面部に当たる光線の少なくとも一部分を、又は全てを、光線のこの部分が、隣接する前記照射ユニット内に入射しないように又は隣接する前記照射ユニットの前記二次光学装置に当たらないように偏向させるために設けられていること、
を特徴とする自動車投光器用の照射装置が提供される。
更に本発明の第2の視点により、前記照射装置を含んだ自動車投光器が提供される。
尚、本願の特許請求の範囲に付記された図面参照符号は、専ら本発明の理解の容易化のためのものであり、図示の形態への限定を意図するものではないことを付言する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明において、以下の形態が可能である。
(形態1)
自動車投光器用の照射装置であって、前記照射装置は、相並んで配設された少なくとも2つの照射ユニットを含み、
各前記照射ユニットは、それぞれ、
- 少なくとも1つの光源と、
- 少なくとも1つの前記光源に割り当てられた透明な一次光学装置と、
- 透明な二次光学装置とを含み、
各前記照射ユニットの前記一次光学装置は、前記照射ユニットの前記二次光学装置により少なくとも1つの配光が生成されるように、前記一次光学装置に割り当てられた少なくとも1つの前記光源により放出された光を前記二次光学装置に向けて導くために設けられており、前記照射装置は、保持要素を有し、前記保持要素は、前記照射ユニットの前記一次光学装置を保持し、前記保持要素は、透明な材料から成るボディ部から構成されており、前記ボディ部は、相並んで位置する受容通過開口部を有し、前記受容通過開口部内には、それぞれ前記一次光学装置が配設されており、前記一次光学装置は、それぞれ、隣接する前記受容通過開口部の方を向いた前記受容通過開口部の少なくとも1つの境界面に取り付けられており、前記受容通過開口部は、互いに離間されている構成であり、
前記ボディ部には、相並んで位置する2つの前記受容通過開口部の間に過結合防止装置が配設されており、前記過結合防止装置は、前記ボディ部における通過開口部から構成されており、前記過結合防止装置の前記通過開口部は、2つの側面部により画定されており、これらの前記側面部は、前記一次光学装置が配設されている前記受容通過開口部の方に向けられており、また前記側面部の少なくとも1つ、即ち当該側面部に向き合った前記受容通過開口部の前記境界面が前記受容通過開口部内に配設された前記一次光学装置により接触されている1つ又は複数の側面部が、光偏向手段を有し、前記光偏向手段は、前記側面部の方に向けられており且つ向き合った前記境界面に接触する前記一次光学装置から前記ボディ部内に入射して前記側面部に当たる光線の少なくとも一部分を、好ましくは全てを、光線のこの部分が、隣接する前記照射ユニット内に入射しないように又は隣接する前記照射ユニットの前記二次光学装置に当たらないように偏向させるために設けられていること。
(形態2)
形態1に記載の照射装置において、前記保持要素と前記一次光学装置は、一体的に構成されており、好ましくは同じ材料から成ること、が好ましい。
(形態3)
形態1又は2に記載の照射装置において、前記一次光学装置は、前記保持要素に、正に、特に向き合った、前記境界面において接触すること、が好ましい。
(形態4)
形態1~3のいずれか1つに記載の照射装置において、前記光偏向手段は、偏向された光線が、入射光線よりも大きい上下成分(z成分)を有するように、入射光線を偏向させるために設けられており、及び/又は、前記光偏向手段は、入射光線をそれぞれの前記照射ユニットの光放射方向とは反対の方向に偏向させるために設けられていること、が好ましい。
(形態5)
形態1~4のいずれか1つに記載の照射装置において、前記光偏向手段は、1つ又は複数の光偏向面を含み、前記光偏向面は、入射光線が、隣接する前記照射ユニット内に入射しないように、又は隣接する前記照射ユニットに割り当てられた前記二次光学装置の領域に当たらないように、入射光線を偏向させること、が好ましい。
(形態6)
形態1~5のいずれか1つに記載の照射装置において、前記過結合防止装置の前記側面部は、それぞれ、隣接する前記照射ユニットの前記一次光学装置の主光放射方向と平行に延在すること、が好ましい。
(形態7)
形態1~6のいずれか1つに記載の照射装置において、前記過結合防止装置の前記側面部は、垂直に延在すること、が好ましい。
(形態8)
形態1~7のいずれか1つに記載の照射装置において、前記光偏向手段は、窪み部の形状で構成されているか、或いは溝部を含むか又は溝部の形状で構成されており、それらの前記溝部は、好ましくは水平方向に延在し、特に隣接する前記照射ユニットの前記一次光学装置の主光放射方向に延在すること、が好ましい。
(形態9)
形態1~8のいずれか1つに記載の照射装置において、前記一次光学装置の少なくとも1つ、好ましくは各前記一次光学装置は、1つ又は複数の一次光学要素を含み、好ましくは、2つ以上の前記一次光学要素がある場合には、これらの前記一次光学要素は、少なくとも一列に配設されていること、が好ましい。
(形態10)
形態1~9のいずれか1つに記載の照射装置において、少なくとも1つの前記一次光学装置は、前記境界面と前記一次光学装置の間に配設された楔形状の接触要素を介して少なくとも1つの前記境界面に接触し、また前記接触要素のより狭い楔面は、前記一次光学装置に接触し、反対側のより広い楔面は、前記境界面に接触していること、が好ましい。
(形態11)
形態1~10のいずれか1つに記載の照射装置において、少なくとも、1つの前記照射ユニットの前記光源は、特に各前記照射ユニットの前記光源は、LEDとして構成され、ないし発光ダイオードの形式であり、また複数の前記光源が設けられている場合には、これらの前記光源は、好ましくは一列に又は複数列に配設されていること、が好ましい。
(形態12)
形態1~11のいずれか1つに記載の照射装置において、少なくとも1つの前記投射光学装置、又は少なくとも1つの前記投射光学装置の一次光学要素は、両凸状で構成されていること、が好ましい。
(形態13)
形態1~12のいずれか1つに記載の照射装置において、前記二次光学装置は、1つの二次光学装置構成部材として構成されていること、が好ましい。
(形態14)
形態1~13のいずれか1つに記載の照射装置において、少なくとも2つの前記照射ユニットの間には、シールド部材、特に壁状のシールド部材が配設されており、前記シールド部材は、前記保持要素から前記二次光学装置に至るまで延在すること、が好ましい。
(形態15)
形態1~14のいずれか1つに記載の照射装置を含んだ自動車投光器。
【0013】
例えば、一次光学装置は、境界面に、直接的に、特に面的に接触するか、又は後続段落で更に説明するように、接続を実現させる接触要素が設けられている。
【0014】
有利には、保持要素と一次光学装置は、一体的に構成されており、好ましくは同じ材料から成ることができる。
【0015】
好ましくは、一次光学装置は、保持要素に、正に、特に向き合った、境界面において接触することができる。
【0016】
この場合、受容通過開口部の上側の境界面と下側の境界面には、接触部は設けられてなく、それによりこれらの境界面を介して散乱光が保持要素内に入射することを回避することができる。
【0017】
特に、光偏向手段は、偏向された光線が、入射光線(衝突光線)よりも大きい上下成分(z成分)を有するように、入射光線を偏向させるために設けられており、及び/又は、光偏向手段は、入射光線をそれぞれの照射ユニットの光放射方向とは反対の方向に偏向させるために設けられていることができる。
【0018】
この際、方向の記載は、冒頭で説明したように、水平状態における照射装置の想定された配設状態に関する。この想定された配設状態に関して回転された配設状態では、勿論、それに対応して方向が変わり、例えば90°回転された配設状態では、上/下の成分から左/右の成分となる。
【0019】
従ってそれらの光線は、より強く上方に又は下方に偏向されて保持要素内を伝播し、又は、二次光学系に当たらないようにないし基本的に隣接する照射ユニット内に入射しないように、上側又は下側で上方/下方に向けられて、保持要素から出射することになる。
【0020】
特に、光偏向手段は、1つ又は複数の光偏向面を含むことができ、光偏向面は、入射光線(衝突光線)が、隣接する照射ユニット内に入射しないように、又は隣接する照射ユニットに割り当てられた二次光学装置の領域に当たらないように、入射光線を偏向させることができる。
【0021】
この際、特に有利には、全般的に光線は、これらの光線が前方には向きを変えられないように偏向され、それによりこれらの光線は、隣接する二次光学装置の二次光学系に達することはできない。
【0022】
少なくとも2つの照射ユニットの一次光学装置は、それぞれ主光放射方向を有することができ、この際、例えばこれらの主光放射方向は、実質的に同じ方向に、特に互いに平行に配向されている。
【0023】
過結合防止装置の側面部は、それぞれ、隣接する照射ユニットの一次光学装置の主光放射方向と平行に延在することができる。
【0024】
過結合防止装置の側面部は、垂直に延在することができる。
【0025】
例えば、光偏向手段は、窪み部ないし穴部の形状で構成されているか、或いは溝部を含むか又は溝部の形状で構成されていることができ、この際、それらの溝部は、好ましくは水平方向に延在し、特に隣接する照射ユニットの一次光学装置の主光放射方向に延在する。
【0026】
例えば、それらの溝部は、真っ直ぐの溝部であり、それによりそれらの溝部は、真っ直ぐの長手方向に沿って延在し、好ましくは、相並んで位置する複数の溝部は、互いに平行である。
【0027】
それらの溝部は、横断面において、特にそれらの長手方向に対して直角方向の横断面において、例えば、三角形、部分円ないし半円の形状、柱状(プリズム状)、丸くされた形状などで形成されていることが可能である。
【0028】
更に、一次光学装置の少なくとも1つ、好ましくは各一次光学装置は、1つ又は複数の投射光学要素(一次光学要素)を含み、この際、好ましくは、2つ以上の投射光学要素がある場合には、これらの投射光学要素は、少なくとも一列に配設されている。
【0029】
それらの投射光学要素の各投射光学要素は、固有の投射レンズとして構成されていることが可能である。
【0030】
各投射光学要素は、照射ユニットの配光の1つの固有部分、例えば1つの光セグメントを生成することができる。
【0031】
それらの投射光学要素は、直接的に互いに接して隣接することができ、好ましくは互いに固定的に接続され、特に一体的に構成されており、特に有利には同じ材料から構成されている。
【0032】
前記の列は、水平に延在し、またそれぞれの照射ユニットの光放射方向に対し、横方向に、特に90°のもとで延在する。
【0033】
少なくとも1つの外側の投射光学要素(一次光学要素)を用い、保持要素に対する投射光学装置(一次光学装置)の結合が行われる。
【0034】
更に、有利には、少なくとも1つの一次光学装置は、境界面と一次光学装置の間に配設された楔形状の接触要素を介して少なくとも1つの境界面に接触することができ、またこの際、接触要素のより狭い楔面(より幅狭の楔面)は、一次光学装置に接触し、反対側のより広い楔面(より幅広の楔面)は、境界面に接触している。
【0035】
接触要素は、好ましくは、保持要素及び一次光学装置と同じ材料から構成されており、好ましくは、保持要素と、接触要素と、一次光学装置とは、互いに一体的に構成されている。
【0036】
そのような接触要素の使用は、投射光学装置(一次光学装置)が保持器(保持要素)に結合されている領域の大きさをこのようにして小さく保つことができるので、追加的に散乱光の減少に寄与し、それにより光の入り込みの可能性は、僅かであり、この際、同時に接続の良好な安定性を保証することができる。
【0037】
この際、1つの接触要素ないし複数の接触要素は、特に幾何学的に、光が後方に、即ち二次光学装置から離れていく方向に偏向されるように構成されていることが可能であり、及び/又は、特に幾何学的に、1つの接触要素ないし複数の接触要素からの光出射が阻止されているように構成されていることが可能である。
【0038】
少なくとも、1つの照射ユニットの光源は、特に各照射ユニットの光源は、LEDとして構成され、ないし発光ダイオードの形式であることができ、またこの際、複数の光源が設けられている場合には、これらの光源は、好ましくは一列に又は複数列に配設されている。
【0039】
光源の列は、例えば、各投射光学要素(各一次光学要素)に少なくとも1つの光源/LED、好ましくは正に1つの光源/LEDが割り当てられているように、一次光学装置の列に割り当てられており、この際、好ましくは、割り当てられた光源(複数)/LEDは、この1つの投射光学要素(一次光学要素)だけに割り当てられている。
【0040】
1つの照射ユニットの光源は、好ましくは、他の照射ユニットの光源に依存しないで制御可能である。
【0041】
好ましくは、1つの照射ユニットの光源は、この照射ユニットの他の光源に依存しないで制御可能であり、又は1つの照射ユニットの光源のグループは、この照射ユニットの光源の他のグループに依存しないで制御可能である。
【0042】
一次光学要素は、例えば、レンズに関し、特に両凸状のレンズに関する。
【0043】
光源は、特にLEDは、好ましくは、それぞれ、光伝播方向で見て、その一次光学要素の焦点の手前に位置し、拡大されて結像され、この際、光源の結像は、特に仮想の結像である。
【0044】
二次光学装置は、好ましくは、その焦点が、実質的に、一次光学要素により形成される、特に仮想の、光源の拡大された結像、特にLEDの拡大された結像内に生じるように配設されている。
【0045】
例えば、二次光学装置は、投射光学系である。
【0046】
少なくとも1つの投射光学装置(一次光学装置)、又は少なくとも1つの投射光学装置(一次光学装置)の投射光学要素(一次光学要素)は、両凸状で構成されていることができる。
【0047】
この構成は、凸状の入射面を通った光入射では光束が束ねられて光学装置内に入射し、それによりこの光束は、隣接する光学系内にもはやそれほど強くは過結合(飛び越し入射)しないので、追加的な散乱防止作用を提供することが分かった。
【0048】
二次光学装置が1つの二次光学装置構成部材として構成されていると有利である。
【0049】
従って、二次光学装置は、異なる光学的に有効な領域(=二次光学装置)、好ましくはそれぞれ照射ユニットごとに(正に)1つの領域を有する唯一の構成部材として実現されている。
【0050】
更に、少なくとも2つの照射ユニットの間には、シールド部材(遮光部材)、特に壁状のシールド部材が配設されていることができ、シールド部材は、保持要素から二次光学装置に至るまで延在する。
【0051】
1つのシールド部材又は複数のシールド部材と保持要素は、好ましくは、互いに差し込むことのできる上部と下部を有する。
【0052】
例えば、シールド部材は、保持要素に接しており、それにより光が照射ユニットからシールド部材と保持要素の間の隔たりを介して隣接する照射ユニット内に入射することはない。
【0053】
1つ又は複数のシールド部材は、隣接する1つの照射ユニットの主光放射方向とほぼ平行に延在するか、又は隣接する2つの照射ユニットの主光放射方向の角の二等分線とほぼ平行に延在する。
【0054】
1つ又は複数のシールド部材は、特に平坦に構成され、実質的に垂直に延在する。
【0055】
以下、図面に基づき、本発明を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【
図1】本発明による一照射装置を斜め前方から見た斜視図として示す図である。
【
図2】
図1の保持要素を前方から見た図として示す図である。
【
図3】
図2の保持要素の一部分を僅かに回転した位置で示す図である。
【
図4】
図3に示した部分を水平断面図として示す図である。
【
図5】
図3に示した部分を改めて前方から見た図として示す図である。
【
図6】過結合防止装置の領域で保持要素の水平断面図を示す図である。
【
図7】過結合防止装置の領域で保持要素を前方から見た図として示す図である。
【実施例0057】
以下、先ず本発明による例示の照射装置1の構造を
図1~
図5に基づいて詳しく説明する。
【0058】
照射装置1は、相並んで配設された少なくとも2つ照射ユニット10、20、この具体例では4つの照射ユニット10、20を含んでいる。各照射ユニット10、20は、それぞれ、
- 少なくとも1つの光源11、21(
図4)と、
- 少なくとも1つの光源11、21に割り当てられた透明な一次光学装置12、22と、
- 透明な二次光学装置31、32とを含んでいる。
【0059】
図示の例において、一次光学装置12は、それぞれ正に1つの一次光学要素12aを含み、また一次光学装置22は、それぞれ複数の一次光学要素22aを含み、これらの一次光学要素22aは、水平方向に一列に相並んで配設されている。好ましくは、4つの一次光学装置12、22は、同様に一列に配設されている。
【0060】
これらの列は、水平方向に延在し、またそれぞれの照射ユニット10、20の(主)光放射方向X1、X2に対し、横方向に、特に90°のもとで延在する。
【0061】
これらの一次光学要素12a、22aの各々は、固有の投射レンズとして構成されていることが可能である。
【0062】
一次光学要素12a、22aは、両凸状で構成されていることができる。
【0063】
光源11、21は、好ましくはLEDとして構成されており、この際、好ましくは、各一次光学要素12a、22aには、固有のLED11、21が割り当てられている。各LED11、21は、その一次光学要素12a、22aとともに、光源の結像を生成し、特に例えば1つの光セグメントのかたちで、拡大された結像を生成することができる。
【0064】
一次光学要素22aは、直接的に互いに接して隣接することができ、好ましくは互いに固定的に接続され、特に一体的に構成され、特に有利には同じ材料から構成されている。
【0065】
1つの照射ユニット10、20の光源11、21は、好ましくは、他の照射ユニット10、20の光源11、21に依存しないで制御可能である。
【0066】
好ましくは、1つの照射ユニット20の光源21は、この照射ユニット20の他の光源21に依存しないで制御可能であり、又は1つの照射ユニット20の光源21のグループは、この照射ユニット20の光源21の他のグループに依存しないで制御可能である。
【0067】
光源11、21は、特にLEDは、好ましくは、それぞれ、光伝播方向で見て、その一次光学要素12a、22aの焦点の手前に位置し、拡大されて結像され、この際、光源11、12の結像は、特に仮想の結像(虚像)である。
【0068】
二次光学装置31、32は、好ましくは、その焦点が、実質的に、一次光学要素12a、22aにより形成される、特に仮想の、光源11、21の拡大された結像、特にLEDの拡大された結像内に生じるように配設されている。
【0069】
例えば、二次光学装置31、32は、投射光学系である。
【0070】
図示の例において、二次光学装置31、32は、1つの二次光学装置構成部材30として構成されている。従って二次光学装置31、32は、異なる光学的に有効な領域(=二次光学装置)、好ましくはそれぞれ照射ユニット10、20ごとに1つの領域を有する唯一の構成部材として実現されている。
【0071】
各照射ユニット10、20の一次光学装置12、22は、照射ユニット10、20の二次光学装置31、32により少なくとも1つの配光が生成されるように、一次光学装置12、22に割り当てられた光源11、21により放出された光を二次光学装置31、32に向けて導くために設けられている。この際、例えば、光源11、21から一次光学要素12a、22aに向けて放射された光は、一次光学要素12a、22aにより、割り当てられた二次光学装置31、32と一緒に、(部分)配光として、遠域に結像され、つまり例えば道路上に結像される。1つの照射ユニット10、20の全ての光源11、21は、このようにして、一緒になって(全体)配光を形成する。
【0072】
そのような配光ないし対応の光機能のための例は、
・ADB(グレアフリーハイビーム)、
・AFS(ロービーム稼働時及びグレアフリーハイビーム稼働時のコーナリングライト)、又は
・スタティックシステム(前域、スタティックハイビーム)
である。
【0073】
照射ユニット1は、更に保持要素100を有し、保持要素100は、照射ユニット10、20の一次光学装置12、22を保持する。保持要素100は、透明な材料から成るボディ部110から構成されており、この際、ボディ部110は、相並んで位置する受容通過開口部101、102を有し、受容通過開口部101、102内には、それぞれ一次光学装置12、22が配設されている。
【0074】
好ましくは、保持要素100と一次光学装置12、22は、一体的に構成されており、好ましくは同じ材料から成る。
【0075】
各一次光学装置12、22は、受容通過開口部101、102のそれぞれ少なくとも1つの境界面101a、101b、102a、102bと接続され、特に側方の境界面と接続されている。好ましくは、各一次光学装置12、22は、2つの、好ましくは側方の、向き合った境界面と接続されており、図示の具体例において、一次光学装置22は、境界面102a、102bと接続され、一次光学装置12は、境界面101a、101bと接続されている。上側の境界面と下側の境界面に対し、一次光学装置12、22は、それぞれ離間されている。この際、複数の一次光学要素22aを有する一次光学装置22において、保持要素100への結合は、好ましくは、少なくとも1つのないし外側の一次光学要素22aを用いて行われる。
【0076】
安定した接続を可能にするために、一次光学装置12、22と境界面101a、101b、102a、102bの間の接触領域は、ある特定の広がり/面を有し、この広がり/面を介し、光は(従来技術の保持器では)保持器内に入射し、望まれない散乱光として、例えば隣接する照射ユニット10、20内に入射することになるであろう。
【0077】
従って図示の例で例えると、受容通過開口部101の境界面101aを介し、照射ユニット10の投射光学装置(一次光学装置)12の光が、保持要素100ないしボディ部110内に入射し、それにより隣接する照射ユニット20内に望まれない散乱光として入射することになるであろう。
【0078】
同様に、受容通過開口部102の境界面102bを介し、照射ユニット20の投射光学装置(一次光学装置)22の光が、保持要素100ないしボディ部110内に入射し、それにより隣接する照射ユニット10内に望まれない散乱光として入射することになるであろう。
【0079】
それ故、本発明により、ボディ部110には、相並んで位置する2つの受容通過開口部101、102の間に過結合防止装置(オーバカップリング防止装置)200が配設されており、この際、過結合防止装置200は、ボディ部110における通過開口部201から構成されており、この際、過結合防止装置200の通過開口部201は、2つの側面部211、212により画定されており、これらの側面部211、212は、一次光学装置12、22が配設されている受容通過開口部12、22の方に向けられている。
【0080】
側面部211、212は、光偏向手段220、230を有し、光偏向手段220、230は、側面部211、212の方に向けられており且つ側面部211、212に向き合った境界面101b、102bに接触する一次光学装置12、22からボディ部110内に入射して側面部211、212に当たる光線の少なくとも一部分を、好ましくは全てを、光線のこの部分が、隣接する照射ユニット10、20内に入射しないように又は隣接する照射ユニット10、20の二次光学装置31、32に当たらないように、偏向させるために設けられている。
【0081】
図7から見てとれるように、有利には、光偏向手段220、230は、偏向された光線が、入射光線(衝突光線)よりも大きい上下成分(z成分)を有するように、入射光線を偏向させるために設けられている。
【0082】
従ってそれらの光線は、より強く上方に又は下方に偏向されて保持要素100内を伝播し、又は、二次光学系に当たらないようにないし基本的に隣接する照射ユニット10、20内に入射しないように、上側又は下側で上方/下方に向けられて、保持要素100から出射することになる。
【0083】
それに代わり、又は好ましくはそれに加え、有利には、更に光偏向手段220、230は、入射光線(衝突光線)をそれぞれの照射ユニット10、20の光放射方向X1、X2とは反対の方向に偏向させるために設けられていることができる(
図6)。
【0084】
特にこの際、光偏向手段220、230は、1つ又は複数の光偏向面221、231を含むことができ、光偏向面221、231は、入射光線(衝突光線)が、隣接する照射ユニット10、20内に入射しないように、又は隣接する照射ユニット10、20に割り当てられた二次光学装置31、32の領域に当たらないように、入射光線を偏向させることができ、また好ましくは、側面部211、212に当たる光線の上述の偏向特性を有する。
【0085】
過結合防止装置200の側面部211、212は、例えば垂直に位置し、またそれぞれ、隣接する照射ユニット10、20の一次光学装置12、22の主光放射方向X1、X2と平行である。
【0086】
例えば、過結合防止装置200の側面部211、212は、基本的に平坦な面として構成されており、これらの面上に光偏向手段220、230が構成されており、それにより得られる側面部211、212は、平坦な形状とは異なっている。
【0087】
例えば、光偏向手段220、230は、溝部を含むか、又は基本面に溝部の形状で構成されていることができ、この際、それらの溝部は、好ましくは水平方向に延在し、特に隣接する照射ユニット10、20の一次光学装置12、22の主光放射方向X1、X2と平行に延在する。
【0088】
図面から分かるように、一次光学要素22は、直接的に境界面102bと接続されており、即ち最も外側の一次光学要素22aが、直接的に境界面102bと接続されている。
【0089】
それに対し、一次光学装置12は、直接的には境界面101aと接続されてなく、つまり一次光学装置12は、楔形状の接触要素240aを介して境界面101aと接続されている。この例において、一次光学装置12は、外側では第2のそのような接触要素240bを用い、第2の側方の境界面101bと接続されている。
【0090】
この際、接触要素240aのより狭い楔面(より幅狭の楔面)は、一次光学装置12に接触し、それに対し、反対側のより広い楔面(より幅広の楔面)は、境界面101aに接触している。(
図6)
【0091】
接触要素240a、240bは、好ましくは、保持要素100及び一次光学装置12、22と同じ材料から構成されており、好ましくは、保持要素100と、接触要素240a、240bと、一次光学装置12、22とは、互いに一体的に構成されている。
【0092】
これに関連し、特に同じ材料から成る一体的な構成において、境界面101a、101b、102a、102bは、実際の物質的な意味で存在するのではなく、この際には想定上の面に関することを指摘しておく。
【0093】
このような接触要素240a、240bの使用は、投射光学装置(一次光学装置)が保持器(保持要素)に結合されている領域の大きさをこのようにして小さく保つことができるので、追加的に散乱光の減少に寄与する。
【0094】
また最後に
図1から、例えば2つの照射ユニット10、20の間にそれぞれシールド部材(遮光部材)、特に壁状のシールド部材300が配設されており、シールド部材300が保持要素100から二次光学装置31、32に至るまで延在することが分かる。
【0095】
1つのシールド部材300又は複数のシールド部材30と保持要素100は、好ましくは、互いに差し込むことのできる上部と下部を有する。
【0096】
例えば、シールド部材300は、保持要素100に接しており、それにより光が照射ユニット10、20からシールド部材300と保持要素100の間の隔たりを介して隣接する照射ユニット10、20内に入射することはない。
【0097】
1つ又は複数のシールド部材300は、隣接する1つの照射ユニット10、20の主光放射方向X1、X2とほぼ平行に延在するか、又は隣接する2つの照射ユニット10、20の主光放射方向X1、X2の角の二等分線とほぼ平行に延在する。
【0098】
1つ又は複数のシールド部材300は、特に平坦に構成され、実質的に垂直に延在する。
【0099】
尚、上記の特許文献ないし非特許文献の各開示は、それらの引用をもって本書に組み込まれているものとする。また本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、更にその基本的技術思想に基づいて、実施形態の変更・調整が可能である。更に本発明の全開示の枠内において、種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし選択が可能である。即ち本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想に従って当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。
前記光偏向手段(220、230)は、偏向された光線が、入射光線よりも大きい上下成分(z成分)を有するように、入射光線を偏向させるために設けられており、及び/又は、前記光偏向手段(220、230)は、入射光線をそれぞれの前記照射ユニット(10、20)の光放射方向(X1、X2)とは反対の方向に偏向させるために設けられていること、
を特徴とする、請求項1に記載の照射装置。
前記光偏向手段(220、230)は、1つ又は複数の光偏向面(221、231)を含み、前記光偏向面(221、231)は、入射光線が、隣接する前記照射ユニット(10、20)内に入射しないように、又は隣接する前記照射ユニット(10、20)に割り当てられた前記二次光学装置(31、32)の領域に当たらないように、入射光線を偏向させること、
を特徴とする、請求項1に記載の照射装置。