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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088573
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/12 20230101AFI20240625BHJP
【FI】
G06Q40/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023119289
(22)【出願日】2023-07-21
(31)【優先権主張番号】P 2022203799
(32)【優先日】2022-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】513040384
【氏名又は名称】株式会社マネーフォワード
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀 哲也
【テーマコード(参考)】
5L040
5L055
【Fターム(参考)】
5L040BB63
5L055BB63
(57)【要約】
【課題】効率よく企業の会計データのインポートを実行可能な情報処理方法を提供する。
【解決手段】単体の企業についての会計データである個別会計データに基づいて連結財務諸表データを作成する場合、コンピュータは、個別会計データを受け付ける工程と、受け付けた個別会計データ内の勘定科目を、個別会計データで使用される勘定科目である個別勘定科目と前記連結財務諸表で使用される勘定科目である連結勘定科目との対応関係を記憶する科目変換マスタに登録する登録画面の画面情報を出力する工程と、登録画面への入力情報に基づいて、科目変換マスタを更新すると共に受け付けた個別会計データのインポートを実行する工程と、を実行する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単体の企業についての会計データである個別会計データをインポートして連結財務諸表データを作成する情報処理方法であって、コンピュータが、
個別会計データを受け付ける工程と、
前記受け付けた個別会計データ内の勘定科目を、個別会計データで使用される勘定科目である個別勘定科目と前記連結財務諸表で使用される勘定科目である連結勘定科目との対応関係を記憶する科目変換マスタに登録する登録画面の画面情報を出力する工程と、
前記登録画面への入力情報に基づいて、前記科目変換マスタを更新すると共に前記受け付けた個別会計データのインポートを実行する工程と、を実行する、
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項2】
前記コンピュータは、前記個別会計データとして、勘定科目コード、勘定科目名、金額を含んだ残高試算表データを受け付ける、
ことを特徴とする請求項1記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記コンピュータは、前記登録画面において、前記受け付けた個別会計データの勘定科目のうち、前記科目変換マスタに登録されていない勘定科目のみを表示可能、及び/又は、前記受け付けた個別会計データの勘定科目のうち、前記科目変換マスタに登録されていない勘定科目が前記科目変換マスタに既に登録されている勘定科目よりも上位に表示可能に、前記画面情報を作成する、
ことを特徴とする請求項1記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記コンピュータは、前記受け付けた個別会計データの勘定科目の内、前記科目変換マスタに登録されていない勘定科目と、前記科目変換マスタに既に登録されている勘定科目と、が異なる表示態様で表示されるように、前記画面情報を作成する、
ことを特徴とする請求項1記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記コンピュータは、ユーザから前記個別会計データを受け付けることに応じて、前記画面情報を出力し、
前記登録画面には、前記個別勘定科目の表示欄、前記連結勘定科目の入力欄、前記個別会計データのインポート実行ボタン、が表示され、
前記連結勘定科目の入力欄において、プルダウンメニューにより複数の連結勘定科目から一つの連結勘定科目を選択可能であり、
前記コンピュータは、インポート実行ボタンの操作に応じて、前記登録画面にて規定された前記個別勘定科目と前記連結勘定科目との対応関係を前記科目変換マスタへ登録し、かつ、前記受け付けた個別会計データのインポートを実行する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記コンピュータは、前記受け付けた個別会計データの勘定科目のうち、前記科目変換マスタに登録されていない勘定科目と対応する連結勘定科目を、大規模言語モデルを用いて推定し、前記登録画面に表示する、
ことを特徴とする請求項1記載の情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有価証券報告書を提出している企業や、大会社には、連結決算を行うことが、会社法によって義務付けられている。連結決算では、国内外の子会社及び関連会社を含めた企業グループ全体として決算が行われ、企業グループ全体の貸借対照表や損益計算書などの連結財務諸表が作成される。
【0003】
上記連結財務諸表は、各会社ごとの個別財務諸表を合算して作成されるが、この合算作業を行う前提として、上記個別財務諸表の勘定科目を連結財務諸表にて使用される連結勘定科目に統一する必要がある。
【0004】
そこで、従来、親会社の連結勘定科目および連結子会社の個社勘定科目を紐付けした科目変換マスタを備え、この科目変換マスタに基づいて、個社勘定科目を連結勘定科目へ変換を行う連結会計システムが案出されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-196719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の連結会計システムでは、連結子会社の個社仕訳データを取り込むには、当該個社仕訳データの取り込み前に、科目変換マスタに当該個社仕訳データの個社勘定科目と連結勘定科目との対応関係を登録する必要があり、多数の個社勘定科目と連結勘定科目との対応関係を科目変換マスタに登録する作業は、ユーザにとって大きな負担となっていた。
【0007】
そこで、本発明の一つの目的は、効率よく企業の会計データのインポートを実行可能な情報処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、単体の企業についての会計データである個別会計データをインポートして連結財務諸表データを作成する情報処理方法であって、コンピュータが、個別会計データを受け付ける工程と、前記受け付けた個別会計データ内の勘定科目を、個別会計データで使用される勘定科目である個別勘定科目と前記連結財務諸表で使用される勘定科目である連結勘定科目との対応関係を記憶する科目変換マスタに登録する登録画面の画面情報を出力する工程と、前記登録画面への入力情報に基づいて、前記科目変換マスタを更新すると共に前記受け付けた個別会計データのインポートを実行する工程と、を実行する、ことを特徴とする情報処理方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれは、効率よく企業の会計データのインポートを実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施の形態に係る会計処理システムのブロック図。
図2】本実施の形態に係る連結精算表作成サービスの流れを示すフロー図。
図3】残高試算表を示す模式図。
図4】登録画面を示す図。
図5図4とは異なる登録画面を示す図。
図6】個別会計データのインポート処理のフローチャート図。
図7】換算前の個別財務諸表画面を示す図。
図8】換算後の個別財務諸表画面を示す図。
図9図4及び図5とは異なる登録画面を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に沿って本発明の実施の形態について説明する。なお、本実施の形態において、会計データとは、財務諸表データや取引明細データなどのデータを含む概念である。また、財務諸表とは、試算表、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書等を含む概念である。更に、親会社を含む子会社・関連会社などの企業グループ内の単独の企業の会計データを個別会計データといい、単独の企業の財務諸表を個別財務諸表というものとする。
【0012】
(会計処理システムの概略構成)
まず、本実施の形態に係る会計処理システム1の構成について説明をする。会計処理システム1は、図1に示すように、ユーザに対して連結財務諸表作成サービス及び連結精算表作成サービスを含む会計処理サービスを提供するシステムであり、会計処理サーバ2と、端末装置5と、を備えている。これら会計処理サーバ2及び端末装置5は、インターネット等のネットワーク6を介して通信可能に接続されており、上記会計処理サービスは、ユーザがインターネットを介し会計処理サーバ2にアクセスすることによって、いわゆるクラウドサービスとして提供される。
【0013】
端末装置5は、例えば、パーソナルコンピュータや携帯端末等のユーザ端末であり、ウェブブラウザや専用のアプリによって会計処理サーバ2にアクセスすることができる。当該端末装置5は、ディスプレイ等の表示部51を備えており、会計処理サーバ2にアクセスすることにより、会計処理サーバ2がインポートした個別会計データや、会計処理サーバ2が作成した連結財務諸表、連結精算表などを表示部51の画面上に表示することができるように構成されている。
【0014】
会計処理サーバ2は、各連結グループ会社の個別会計データを取り込んで連結財務諸表及び連結精算表を作成可能な会計処理システムであり、制御部10と、記憶部20と、通信部30と、を備えた複数又は単体のコンピュータによって構成されている。通信部30は、ネットワーク6を介して端末装置5と暗号化された通信を行うための通信インターフェースである。
【0015】
記憶部20は、制御部10が実行するためのプログラムや、各種会計データなどを記憶しており、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などによって構成されている。記憶部20は、個別会計データ記憶部21と、マスタ記憶部22と、連結修正仕訳記憶部23と、連結会計データ記憶部24と、を備えており、個別会計データ記憶部21には、連結グループ会社ごとの個別会計データなどが記憶される。
【0016】
マスタ記憶部22には、個別会計データで使用されている勘定科目である個別勘定科目と連結財務諸表にて使用される連結勘定科目との対応関係を記憶した科目変換マスタが記憶される。
【0017】
連結修正仕訳記憶部23には、連結財務諸表を作成する際に行われた連結修正仕訳(なお、以下、単に連結仕訳ともいう)の内容を記憶した連結修正仕訳データが記憶される。
【0018】
連結会計データ記憶部24には、上述した個別会計データ、連結修正仕訳データなどに基づいて作成された連結財務諸表データ及び連結精算表データが記憶される。
【0019】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)などから構成されており、記憶部20に記憶されているプログラムを実行することにより、会計データ取得部11、連結財務諸表生成部12、連結精算表生成部13、画面生成部14として機能する。
【0020】
会計データ取得部11は、連結グループ会社の個別財務諸表データなどの会計データを取得するように構成されている。具体的には、会計データ取得部11は、CSVデータなどによって端末装置5から入力された個別会計データなどのデータを受け付け、個別会計データ記憶部21に記憶させる。
【0021】
連結財務諸表生成部12及び連結精算表生成部13は、上記個別会計データ、科目変換マスタ、連結修正仕訳データを用いて、それぞれ連結財務諸表データ及び連結精算表データを作成し、連結会計データ記憶部24に記憶するように構成されている。
【0022】
画面生成部14は、個別勘定科目を科目変換マスタに登録する登録画面80(図4及び図5参照)を端末装置5の表示部51に表示させる画面データを生成する。また、画面生成部14は、インポートした個別会計データに基づいて生成された個別財務諸表画面(図6及び図7参照)を端末装置5の表示部51に表示させる画面データを生成する。更に、画面生成部14は、上記連結財務諸表データに基づいて、連結財務諸表が表示された連結財務諸表画面を端末装置5の表示部51に表示させる画面データを生成する。加えて、画面生成部14は、上記連結精算表データに基づいて、連結精算表が表示された連結精算画面を端末装置5の表示部51に表示させる画面データを生成する。
【0023】
本実施の形態に係る会計処理システム1は、このように構成されているため、図2に示すように、端末装置5から連結グループ会社の個別会計データが会計処理サーバ2に送信されると(図2のステップS1)、会計処理サーバ2の制御部10は、会計データ取得部11として機能し、送信された個別会計データを受け付ける(ステップS2)。
【0024】
個別会計データを受け付けると、会計処理サーバ2の制御部10は、受け付けた個別会計データのインポートを実行する(ステップS3及びS4)。なお、詳しくは後述するが、本実施の形態では、一連の個別会計データのインポート処理において、インポートされる個別会計データの個別勘定科目と連結勘定科目との対応付け、即ち、個別勘定科目の科目変換マスタへの登録が同時に実行される。
【0025】
各関連会社の個別会計データのインポートが完了すると、科目変換マスタに基づいて個別勘定科目が連結勘定科目に変換されると共に、これら個別会計データに基づいて生成された個別財務諸表が合算される。また、会計処理サーバ2は、上記個別会計データを参照して、単純に個別財務諸表を合算しただけでは、企業集団の実態を正しく表せない項目について、あるべき数値に置き換えるために連結修正仕訳処理を行う(S5)。
【0026】
なお、具体的には、上記連結修正仕訳処理は、資本連結処理、内部取引消去処理、未実現利益消去処理、持分法仕訳処理、その他連結仕訳処理を実施することによって実行され、資本連結処理とは、親会社の小会社/関連会社に対する投資と、これに対応する小会社/関連会社の資本を相殺消去する処理である。内部取引消去処理とは、連結グループ会社間の取引を相殺消去する処理である。未実現利益消去処理とは、連結グループ会社内の取引から生じた利益のうち、実現していない利益を消去する処理である。持分法仕訳処理とは、持分法適用会社が利益を獲得した場合に、投資会社側が計上した損益分、連結グループ会社株式の簿価を増減させる処理である。その他連結仕訳処理は、上記資本連結処理、内部取引消去処理、未実現利益消去処理、持分法仕訳処理のいずれにも属さない連結修正仕訳処理である。
【0027】
また、ユーザ側では、会計処理サーバ2側にて上記個別会計データに基づいて自動で行われた連結修正仕訳処理の確認が行われ、必要があれば、連結修正仕訳の内容の修正や、追加の連結修正仕訳が入力される(S6)。
【0028】
連結修正仕訳処理が完了すると、会計処理サーバ2は、上記単純合算された個別財務諸表に連結修正仕訳処理の内容を反映させることによって、連結財務諸表データを作成する(S7)。また、勘定科目が連結勘定科目に変換された個別財務諸表データ及び連結修正仕訳処理の内容を記憶した連結修正仕訳データに基づいて連結精算表データを作成する(S8)。
【0029】
そして、会計処理サーバ2は、これら作成された連結財務諸表データ/連結精算表データに基づいて、連結財務諸表画面/連結精算画面の画面データを作成し、当該画面データを端末装置5に送信する。端末装置5が上記画面データに基づいて、連結財務諸表画面/連結精算画面を表示部51上にて再生することによって、上述した連結財務諸表作成サービス/連結精算表作成サービスがユーザに対して提供される(S9)。
【0030】
(個別会計データのインポート処理)
ついで、個別会計データのインポート処理(情報処理方法)について、詳しく説明をする。なお、以下の説明においては、個別会計データの一例として、残高試算表がインポートされる場合を例にして説明をする。図3は、海外子会社の残高試算表70を示しており、残高試算表70には、勘定科目コード71、勘定科目名72、金額73の情報が含まれている。
【0031】
会計処理サーバ2の制御部10は、この残高試算表70のデータを受け付けると、画面生成部14として機能し、図4に示す登録画面80を端末装置5の表示部51に表示させる画面データを出力する。登録画面80は、受け付けた残高試算表70の個別勘定科目を科目変換マスタに登録させるための登録画面であり、個別勘定科目コード81、個別勘定科目名82、連結勘定科目名及び連結勘定科目コード83の表示欄が設けられている。
【0032】
個別勘定科目コード81の欄は、受け付けられた残高試算表の個別勘定科目の科目コードを表示する欄である。個別勘定科目名82の欄は、上記個別勘定科目の名称を表示する欄である。残高試算表には、複数の個別勘定科目が含まれているため、これら個別勘定科目コード81及び個別勘定科目名82の欄には、複数の個別勘定科目に対応した個別勘定科目コード81及び個別勘定科目名82が列挙されている。
【0033】
連結勘定科目名及び連結勘定科目コード83の欄は、上記個別勘定科目に対応した連結勘定科目名及び連結勘定科目コードを入力する入力欄である。本実施の形態において、科目変換マスタは、個別勘定科目と連結勘定科目との対応関係を、個別勘定科目コードと連結勘定科目コードとの対応関係として記憶しており、個別勘定科目コード81が既に科目変換マスタに登録されている個別勘定科目については、連結勘定科目名及び連結勘定科目コード83の入力欄には、科目変換マスタにて対応付けされている連結勘定科目名及び連結勘定科目コードが自動的に入力されている。
【0034】
また、個別勘定科目コード81が科目変換マスタに登録されていない勘定科目であっても、連結勘定科目名及び連結勘定科目コード83の入力欄には、当該個別勘定科目と対応すると推定される連結勘定科目及び連結勘定科目コードが入力されている。
【0035】
より具体的には、会計処理サーバ2の制御部10は、文字列と、当該文字列に対して正解ラベルとして付与される連結勘定科目と、を機械学習することによって得られる学習済みモデルを用いて、個別勘定科目に対応する連結勘定科目を推定し、この推定した連結勘定科目名及び連結勘定科目コードを上記連結勘定科目名及び連結勘定科目コード83の欄に表示している。
【0036】
なお、制御部10は、個別勘定科目名が学習済みモデルの学習で使用された文字列の言語とは異なる言語(第2言語)であっても、当該個別勘定科目名を学習済みモデルの学習に使用された言語(第1の言語)に機械翻訳し、この翻訳結果に学習済みモデルを適用することによって、対応する連結勘定科目を推定することができる。なお、上記連結勘定科目の推測は、機械学習に限らず、予め定められたルールに基づいて連結勘定科目を推定しても良い。例えば、個別勘定科目の単語の一部一致等に基づいて、連結勘定科目を推定しても良い。
【0037】
また、登録画面80には、貸借反転チェックボックス84、ステータス85の表示欄が設けられている。貸借反転チェックボックス84は、個別勘定科目の貸方/借方を反転させるためのチェックボックスであり、当該チェックボックにチェックがされると、個別勘定科目の貸方/借方の登録が反転する。
【0038】
ステータス85の欄は、個別勘定科目が、既に科目変換マスタに登録されている勘定科目であるか、科目変換マスタに登録されていない勘定科目であるかを表示する欄である。具体的には、本実施の形態の場合、新規に科目変換マスタに登録される個別勘定科目に対して「+追加」のアイコンを表示される。なお、図4とは異なる個別会計データをインポートした際の登録画面80を示す図5に示すように、既に科目変換マスタに登録されている個別勘定科目については、何のアイコンも表示されないようになっている。
【0039】
加えて、登録画面80は、科目変換マスタに登録されていない個別勘定科目については、所定の色でハイライト表示されるように構成されている。具体的には、図4に示す登録画面80では、表示されている全ての個別勘定科目が科目変換マスタに登録されていない新規の個別勘定科目であるため、全ての個別勘定科目において、オレンジ色でハイライトされていると共に「+追加」のアイコンを表示されている。また、図5の例では、「小口現金」については、科目変換マスタに登録されていない個別勘定科目であるため、オレンジ色でハイライトされており、その他の個別勘定科目については、科目変換マスタに登録されている個別勘定科目であるため、何のハイライト表示もされていないと共に「+追加」のアイコンも表示されないようになっている。
【0040】
このように、本実施の形態に係る登録画面80では、科目変換マスタに登録されていない個別勘定科目の表示態様が、科目変換マスタに登録されている個別勘定科目の表示態様と異なるようになっており、複数ある個別勘定科目のうち、どの個別勘定科目が新規に科目変換マスタに登録されるか容易に把握できるようになっている。なお、科目変換マスタに登録されていない個別勘定科目の表示態様としては、上記ハイライト以外にも、例えば、科目変換マスタに既に登録済みの個別勘定科目とは文字色を異ならせるなど、ユーザが識別可能な態様であれば、どのような態様であっても良い。
【0041】
更に、登録画面80には、「追加・変更のみ表示」のチェックボックス86が設けられている。この「追加・変更のみ表示」のチェックボックス86は、登録画面80の表示を切り替えるためのチェックボックスであり、ユーザがこのチェックボックにチェックをすると、追加・変更のあった個別勘定科目のみ、即ち、科目変換マスタに登録されていない個別勘定科目のみが登録画面80に表示される。
【0042】
このように構成されているため、ユーザがファイル選択ボタン88を操作して、残高試算表70を会計処理サーバ2に入力すると(図6のステップS10)、会計処理サーバ2の制御部10は、登録画面80の画面情報を生成して出力し、ファイル選択ボタン88の右方の表示領域に登録画面80を表示する(図6のS20)。
【0043】
登録画面80では、上述したように残高試算表70に含まれる複数の個別勘定科目のうち、科目変換マスタに登録されていない個別勘定科目が、ハイライト及び「+追加」のアイコンが付される形で表示されており、ユーザは、これら新規に登録される個別勘定科目について、制御部10がサジェスト入力した連結勘定科目名及び連結勘定科目コード83が正しいか否かを確認する(図6のS30のNo)。なお、ユーザは、この際にチェックボックス86にチェックを入れ、新規に登録される個別勘定のみを登録画面80に表示させても良い。
【0044】
確認の結果、連結勘定科目名及び連結勘定科目コード83の入力欄に表示されている連結勘定科目が正しくない場合、ユーザは、上記入力欄のプルダウンメニューから正しい連結勘定科目を選択し直す。そして、新規に登録される個別勘定科目の連結勘定科目との対応関係のチェックが終わると、科目変換マスタに登録済みの個別勘定科目の連結勘定科目との対応関係についてもチェックを行う。そして、すべての個別勘定科目について上記チェックが終了すると、ユーザは「取込」ボタン87をクリックする(図6のステップS30のYes)。
【0045】
残高試算表データ(個別会計データ)のインポート実行ボタンである「取込」ボタン87がクリックされると、登録画面80に入力された情報が会計処理サーバ2にインポートされて科目変換マスタの内容が更新されると共に、更新された科目変換マスタに基づいて個別勘定科目が連結勘定科目に変換されて、残高試算表データのインポートが実行される(図6のステップS40)。
【0046】
このように、本実施の形態では、残高試算表データの受け付け後、残高試算表データのインポートの完了前に登録画面80を表示し、科目変換マスタの更新処理を行う。このため、一連の残高試算表データのインポート処理の中で、科目変換マスタの更新処理も同時に行うことができ、ユーザは、予め科目変換マスタを更新する等の面倒な作業を行わずとも、残高試算表データのインポートを完了することができる。
【0047】
なお、上述した実施の形態では、受け付けた個別会計データの勘定科目のうち、科目変換マスタに登録されていない勘定科目のみを絞り込む例について説明しているが、例えば、科目変換マスタに登録されていない勘定科目が科目変換マスタに既に登録されている勘定科目よりも上位に表示可能にソート出来るように登録画面80を構成しても良い。また、登録画面では、インポートする個別勘定科目データを選択するように構成されても良い。
【0048】
また、例えば、科目変換マスタに登録されていない未知の個別勘定科目と対応する連結勘定科目の推定には、OpenAI社が提供する汎用的な大規模言語モデル(自然言語生成モデル、例えば、埋め込み表現生成モデル、エンベッディングモデル)を使用しても良い。この場合、AIに入力される入力側の個別勘定科目の言語は、特定の言語に縛られず、どのような言語でも使用可能となり、何語であっても個別勘定科目の記載から上述したような機械翻訳を経ずに、直接、対応する連結勘定科目を推定することができる。
【0049】
例えば、科目変換マスタが、連結勘定科目の科目名を日本語(第1言語)及び英語(第1言語とは異なる第2言語)で記憶している場合において、埋め込み表現生成モデルを用いて、ベトナム語(第1言語及び第2言語の両方と異なる第3言語)にて記載された未知の個別勘定科目に対応する連結勘定科目を推定する例について、以下、図9に基づいて説明をする。
【0050】
本例において制御部10は、まず、コード検索及び科目名検索を行い、これらコード検索及び科目名検索を行っても対応する連結勘定科目を特定することができなかった場合に、埋め込み表現生成モデルを用いた対応する連結勘定科目の推定を行う。具体的には、制御部10は、個別勘定科目に対応する連結勘定科目の科目名を特定する場合、まず、上述したように、科目変換マスタに当該個別勘定科目のコードが連結勘定科目のコードと対応する形で登録されていないかを検索する(コード検索)。そして、当該コードが登録されていた場合、当該コードと対応するコードを有する連結勘定科目を対応する連結勘定科目として特定し、連結勘定科目名及び連結勘定科目コード83の入力欄に表示する。
【0051】
コード検索で対応する連結勘定科目名が特定できない場合、制御部10は、個別勘定科目の科目名と同一もしくは類似の連結勘定科目名を検索する科目名検索を行う。より詳しくは、本例においては、制御部10は、まず、個別勘定科目の科目名が日本語であるか否かを判定し、日本語であれば、科目変換マスタに登録されている日本語の連結勘定科目の科目名に、対象の個別勘定科目の科目名と同一もしくは類似の科目名が存在していないかを検索する。そして、同一もしくは類似する連結勘定科目の科目名が発見された場合、当該連結勘定科目の科目名を、連結勘定科目名及び連結勘定科目コード83の入力欄に表示する。
【0052】
また、個別勘定科目名が日本語でない場合、制御部10は、ついで、対象の個別勘定科目の科目名が英語であるか否かを判定し、英語であれば、同一もしくは類似する英語の連結勘定科目の科目名が科目変換マスタに登録されているか否かを検索する。そして、同一もしくは類似する連結勘定科目の科目名が発見された場合、当該連結勘定科目を対応する連結勘定科目として特定し、連結勘定科目名及び連結勘定科目コード83の入力欄に表示する。
【0053】
上記コード検索及び科目名検索を行っても対応する連結勘定科目を特定できない場合、制御部10は、上述したように埋め込み表現生成モデルを用いて連結勘定科目の推定を行う。例えば、図9の個別勘定科目コード81が「64272V」の個別勘定科目の場合、上記個別勘定科目コード「64272V」は、科目変換マスタに登録されていない未知のコードであるため、上述したコード検索では対応する連結勘定科目を特定することはできず、また、個別勘定科目の科目名がインドネシア語で記載されているため、科目名検索によっても対応する連結勘定科目を特定することができない。このため、埋め込み表現生成モデルによる対応する連結勘定科目の推定が行われる。
【0054】
具体的には、制御部10は、上記「64272V」の個別勘定科目と対応する連結勘定科目を科目変換マスタに登録されている連結勘定科目の中から推定するように要求する旨のプロンプトを埋め込み表現生成モデルに送信する。より詳しくは、制御部10は、対象となる個別勘定科目の勘定科目名と類似度の高い科目名の連結勘定科目を、科目変換マスタに登録されている連結勘定科目の中から抽出するように要求する旨のプロンプトを埋め込み表現生成モデルに送信する。
【0055】
上記プロンプトを受信すると、埋め込み表現生成モデルは、科目変換マスタ内の各連結勘定科目の科目名について、「64272V」の個別勘定科目の科目名に対する類似度を演算し、その中から上位の連結勘定科目の科目名(本例では上位3つの連結勘定科目の科目名)を制御部10へと通信する。そして、制御部10は、類似度の上位3つの連結勘定科目の内、最も類似度の高い連結勘定科目名及びその連結勘定科目コードを連結勘定科目名及び連結勘定科目コード83の入力欄にサジェスト入力する。
【0056】
「64272V」の個別勘定科目の場合、上記最も類似度の近い連結勘定科目は、「水道光熱費」であったため、図9では「水道光熱費」の連結勘定科目名及び連結勘定科目コードが入力欄に表示されている。なお、埋め込み表現生成モデルにて推定された連結勘定科目は、登録画面80上において、ハイライト及び「+追加」のアイコン800が付される形で表示されており、当該サジェスト入力された連結勘定科目名及び連結勘定科目コード83が正しいか否かをユーザが容易に確認することができるようになっている。
【0057】
また、ユーザは、「+追加」のアイコン800をクリックすると、サジェスト入力された連結勘定科目名及び連結勘定科目コード83を修正するためのダイアログ810が表示される。このダイアログ810では、サジェスト表示領域812に埋め込み表現生成モデルが類似度が高いと判断した連結勘定科目の上位3つがサジェスト表示され、これらサジェスト表示された複数の類似度の高い連結勘定科目の中から対応する連結勘定科目を選択することができる。また、ダイアログ810には、検索バー811も設けられており、この検索バー811を用いて科目変換マスタ内の連結勘定科目を検索することができる。
【0058】
このように、埋め込み表現生成モデルのような自然言語に対する生成系AIツールを用いて個別勘定科目に対応する連結勘定科目の推定を行うことによって、どのような言語の個別勘定科目であったとしても、高い精度で効率良く対応する連結勘定科目を推定して科目変換を行うことができる。また、コード検索及び科目名検索によって科目変換を行うことができない場合にのみ埋め込み表現生成モデルによる科目推定を行うため、埋め込み表現生成モデルとの間のトークンを削減して埋め込み表現生成モデルの利用に際する費用を低減することができる。
【0059】
(為替換算調整勘定の算出方法)
ついで、個別財務諸表(貸借対照表)の為替換算調整勘定の算出方法(情報処理方法)について説明をする。残高試算表データのインポートが完了すると、会計処理サーバ2の制御部10は、インポートした残高試算表データに基づいて、個別財務諸表画面データを生成し、端末装置5の表示部51に個別財務諸表画面90を表示させる。個別財務諸表画面90は、インポートされた個別会計データ(本実施の形態では例えば上述した残高試算表データ)に基づいて生成された個別財務諸表を表示する画面であり、図7に示すように、画面の左端上部に「残高試算表」、「貸借対照表」、「損益計算書」と表示された3つのアイコン91,92,93が配置され、各アイコンをクリックすることで個別財務諸表画面90に表示する個別財務諸表を「残高試算表」、「貸借対照表」、「損益計算書」の間で切り替え可能に構成されている。
【0060】
より具体的には、図7の例は、アイコン91,92,93のうち、「貸借対照表」を表示するアイコン92が選択されている状態であり、インポートされた残高試算表データから作成された貸借対照表(貸借対照表データ)が個別財務諸表画面90に表示されている。また、上記アイコン91,92,93の列方向下方には、「換算前」、「換算後」と表記されたアイコン94,95が表示されている。
【0061】
インポートされた残高資産表データが、海外子会社などの海外企業の残高試算表データであった場合、当該残高試算表データは、海外子会社の現地通貨建ての会計データとなっている。この現地通貨が連結財務諸表で使用される通貨と異なる場合、現地通貨建ての残高試算表に基づいて生成された現地通貨建ての個別財務諸表データを連結財務諸表で使用される通貨建てに為替換算する必要がある。
【0062】
個別財務諸表画面90において、上記「換算前」と表示されたアイコン94をクリックすると、為替換算前の個別財務諸表が画面に表示され、「換算後」と表示されたアイコン95をクリックすると、為替換算後の個別財務諸表が画面に表示される。なお、図7の例では、米国海外子会社の個別財務諸表を表示しているため、現地通貨は米国ドル(USD)であり、連結財務諸表で使用される通貨は日本円(JPY)である。また、図7の例では、「換算前」のアイコン94をクリックされていることから、米国ドル建ての貸借対照表(第1通貨建ての貸借対照表データの一例)が画面90に表示されている。
【0063】
更に、個別財務諸表画面90においては、アイコン94,95の行方向右方には、上記為替換算に使用されるレート98が表示されており、ARとCRの2種類の異なるレートが表示されている。ここで、AR(Average Rate)とは期中平均為替レートの意味であり、期間の平均レートを意味している。また、CR(Current Rate)とは決算時為替レートを意味であり、期末・決算時の為替レートを意味している。
【0064】
また、アイコン94,95の下方の領域96は、科目分類別の合計値等を表示する領域となっており、仕切り線を挟んで領域96の行方向右方の領域97は、個別財務諸表に係る財務データを表示する領域となっている。領域96には、貸借差額、資産、負債、純資産の項目が表示されている。なお、以下の説明では、上記資産を借方、負債及び純資産を貸方ともいう。
【0065】
図8は、アイコン95がクリックされて為替換算後の貸借対照表(第2通貨建ての貸借対照表データの一例)が表示された個別財務諸表画面90である。会計基準において、為替換算は、貸借対照表のうち、資産と負債に含まれる勘定科目については、決算時為替レートCRによって円へ換算し、純資産に含まれる勘定科目については、期中平均為替レートARもしくは、取得時・取引発生時為替レート(Historical Rate、HR)で換算することが決まっている。
【0066】
また、上述したように「資産」は貸借対照表上の借方側の項目である一方、純資産は貸借対照表上の貸方側の項目であるため、上記為替換算の際、貸借対照表の貸方と、借方との少なくとも一部の勘定科目において、為替換算レートが異なる。そして、この為替換算レートの差に基づいて換算後の貸借対照表の貸方と借方の間に差額が生じてしまうため、この差額は為替換算調整勘定によって調整される。
【0067】
ここで、従来の会計システムでは、為替換算前の貸借対照表における貸借差額が「0」であることを前提としてシステムを構築しているため、為替換算後の貸借対照表における貸借差額=為替換算調整勘定として為替換算調整勘定の金額を算出していた。しかしながら、このような方法で為替換算調整勘定を算出すると、例えば、図7に示すように、為替換算前の貸借対照表に10000USDの貸借差額があるような場合であっても、為替換算後の貸借対照表では、本来的に有している貸借差額が為替換算調整勘定に組み込まれてしまい、数字上、貸借差額が0となってしまうという問題があった。
【0068】
そこで、本実施の形態では、会計処理サーバ2の制御部10は、上記為替換算に際し、貸借対照表の資産と負債と貸方に分類される勘定科目については、決算時為替レートCRで換算し、貸借対照表の純資産に分類される勘定科目については、期中平均為替レートARで換算する。
【0069】
また、会計処理サーバ2の制御部10は、換算前の貸借対照表の貸借差額(図7の貸借差額10000USD)を決算時為替レートCRで換算して換算後の貸借差額とする。そして、為替換算の貸借対照表の貸方と借方との差額から、上記換算後の貸借差額の額を引いた値を為替換算調整勘定100(図8の-2809241JPY)とすることになっている。
【0070】
このように、為替換算調整勘定を算出しているため、図8に示す個別財務諸表画面90では、領域96の貸借差額の値が1389500JPY(10000USD*138.95)と表示されている。また、領域97では、各勘定科目について、換算レートを表わす換算区分の欄、換算前金額の欄、換算後金額の欄が行方向に並んで表示されており、為替換算調整勘定100の項目では、換算区分の欄が「CR」、換算前金額の欄が「0」、換算後金額の欄が「-2809241」となっている。
【0071】
以上説明したように、本実施の形態では、為替換算後の貸借対照表において、貸借差額と、為替換算調整勘定とを区別して算出しているため、為替換算後の貸借対照表を見て貸借差額の有無を容易に判断することができる。
【0072】
また、個別財務諸表画面90において、領域97に貸借対照表に係る勘定科目単位の会計データを表示し、領域96に上記会計データに基づいて貸借対照表で使用される科目分類単位(勘定科目の分類単位)で算出された値が表示している。領域96が領域97から独立して設けられているため、ユーザは、行方向左方にある領域96を確認するだけで。科目分類単位で表示された値をチェック可能であり、当該貸借対照表のデータのどの科目分類に問題が有りそうかの目安を付けることが可能となる。特に領域96には、ユーザが最初に確認する可能性の高い貸借差額の欄が最も上位に設けられているため、ユーザは、重要な情報に容易にアクセスすることができる。加えて、行方向右方の領域97には詳細な勘定科目単位の会計データが表示されており、また、領域96の科目分類単位で、領域97に表示する勘定科目を絞り込みもしくはソートすることが可能であるため、ユーザは、数値に問題があった場合でも、容易に会計データ内の問題点を確認することができる。
【0073】
更に、領域97には、為替換算調整勘定100を表示する欄が設けられているため、ユーザは、この為替換算調整勘定100の欄を確認することによって、為替換算調整勘定100の額を確認することができる。また、画面90にアイコン94,95を設けることによって、表示される貸借対照表データを、為替換算前と為替換算後とで切り替えることができ、ユーザは、為替換算前と為替換算後の貸借対照表データを確認することができる。
【0074】
<まとめ>
(方法1)
単体の企業についての会計データである個別会計データをインポートして連結財務諸表データを作成する情報処理方法であって、コンピュータが、
個別会計データを受け付ける工程と、
前記受け付けた個別会計データ内の勘定科目を、個別会計データで使用される勘定科目である個別勘定科目と前記連結財務諸表で使用される勘定科目である連結勘定科目との対応関係を記憶する科目変換マスタに登録する登録画面の画面情報を出力する工程と、
前記登録画面への入力情報に基づいて、前記科目変換マスタを更新すると共に前記受け付けた個別会計データのインポートを実行する工程と、を実行する、
ことを特徴とする情報処理方法。
【0075】
このように、個別会計データのインポート処理の途中で、上記登録画面を表示させることによって、予め個別会計データに含まれる個別勘定科目を、科目変換マスタに登録しておく必要が無くなる。このため、ユーザは、個別会計データのインポート作業と同時に科目変換マスタの更新/メンテナンスを同時に行うことができ、効率良く個別会計データのインポートを実行することができる。
【0076】
(方法2)
前記コンピュータは、前記個別会計データとして、勘定科目コード、勘定科目名、金額を含んだ残高試算表データを受け付ける、
ことを特徴とする方法1記載の情報処理方法。
【0077】
個別会計データとして残高試算表データをインポートすることによって、連結財務諸表の作成に必要が会計データを一括して取り込む事ができる。
【0078】
(方法3)
前記コンピュータは、前記登録画面において、前記受け付けた個別会計データの勘定科目のうち、前記科目変換マスタに登録されていない勘定科目のみを表示可能、及び/又は、前記受け付けた個別会計データの勘定科目のうち、前記科目変換マスタに登録されていない勘定科目が前記科目変換マスタに既に登録されている勘定科目よりも上位に表示可能に、前記画面情報を作成する、
ことを特徴とする方法1又は2記載の情報処理方法。
【0079】
これにより、ユーザは、新規に科目変換マスタに登録される個別勘定科目を容易に把握することができるようになり、連結勘定科目との対応関係の確認が容易となる。
【0080】
(方法4)
前記コンピュータは、前記受け付けた個別会計データの勘定科目の内、前記科目変換マスタに登録されていない勘定科目と、前記科目変換マスタに既に登録されている勘定科目と、が異なる表示態様で表示されるように、前記画面情報を作成する、
ことを特徴とする方法1乃至3のいずれか1つに記載の情報処理方法。
【0081】
これにより、ユーザは、新規に科目変換マスタに登録される個別勘定科目を容易に把握することができるようになり、連結勘定科目との対応関係の確認が容易となる。
【0082】
(方法5)
前記コンピュータは、ユーザから前記個別会計データを受け付けることに応じて、前記画面情報を出力し、
前記登録画面には、前記個別勘定科目の表示欄、前記連結勘定科目の入力欄、前記個別会計データのインポート実行ボタン、が表示され、
前記連結勘定科目の入力欄において、プルダウンメニューにより複数の連結勘定科目から一つの連結勘定科目を選択可能であり、
前記コンピュータは、インポート実行ボタンの操作に応じて、前記登録画面にて規定された前記個別勘定科目と前記連結勘定科目との対応関係を前記科目変換マスタへ登録し、かつ、前記受け付けた個別会計データのインポートを実行する、
ことを特徴とする方法1乃至4のいずれか1つに記載の情報処理方法。
【0083】
(方法6)
前記コンピュータは、前記受け付けた個別会計データの勘定科目のうち、前記科目変換マスタに登録されていない勘定科目と対応する連結勘定科目を、大規模言語モデルを用いて推定し、前記登録画面に表示する、
ことを特徴とする方法1乃至5のいずれか1項記載の情報処理方法。
【0084】
大規模言語モデルを用いて個別勘定科目に対応する連結勘定科目を推定することによって、どのような言語の個別勘定科目であったとしても、高い精度で効率良く対応する連結勘定科目を推定して科目変換を行うことができる。
【0085】
(方法7)
第1の通貨建ての貸借対照表データを前記第1の通貨とは異なる第2の通貨建ての貸借対照表データに為替換算する情報処理方法であって、コンピュータが、
前記第1の通貨建ての貸借対照表データにおける貸借差額を決算時為替レートで換算して前記第2の通貨建ての貸借対照表データの貸借差額とする工程と、
前記第1の通貨建ての貸借対照表データの資産と負債とを前記決算時為替レートで前記第2の通貨建てに換算し、
前記第1の通貨建ての貸借対照表データの純資産を取得時・取引発生時為替レートもしくは期中平均為替レートで、前記第2の通貨建てに換算し、
前記第2の通貨建てに換算された前記資産と、前記第2の通貨建てに換算された前記負債及び純資産の合計との差額から、前記第2の通貨建てに換算された貸借差額を引いて為替換算調整勘定の額を算出する工程と、を実行する、
ことを特徴とする情報処理方法。
【0086】
このように為替換算調整勘定を貸借差額と区別して算出することによって、為替換算後であっても、貸借差額が為替換算調整勘定に組み込まれることが無い。これにより、為替換算後であっても、ユーザは貸借対照表の貸借差額を正確に把握することができる。なお、上述した実施の形態では、第1の通貨として米国ドル、第2の通貨として日本円を例示して説明をしたが、これらの通貨は、任意のどのような通貨であっても良い。更に、貸借対照表データの純資産を、期中平均為替レートARにて換算した例を説明したが、勘定科目の内容に応じて取得時・取引発生時為替レートHRで換算しても良い。
【0087】
(方法8)
前記コンピュータは、前記第2の通貨建ての貸借対照表データを表示する画面を表示部に表示させる画面データを出力する工程を備え、
前記画面には、前記第2の通貨建ての貸借差額を表示する領域が設けられている、
ことを特徴とする方法7記載の情報処理方法。
【0088】
このように貸借差額を表示する領域を独立して設けたことによって、ユーザは、為替換算後の貸借対照表をみて貸借差額の有無を容易に把握することができる。
【0089】
(方法9)
前記画面には、前記為替換算調整勘定を表示する領域が設けられている、
ことを特徴とする方法7又は8記載の情報処理方法。
【0090】
このように為替換算調整勘定を表示する領域を設けたことによって、ユーザは、為替換算調整勘定を把握することができる。
【0091】
(方法10)
前記画面には、表示する貸借対照表データを、前記第2の通貨建ての貸借対照表データから前記第1の通貨建ての貸借対照表データに切り替えるアイコンが設けられている、
ことを特徴とする方法7乃至9のいずれか1つ記載の情報処理方法。
【0092】
上記アイコンを設けることによって、ユーザは、第1の通貨建ての貸借対照表データと第2の通貨建ての貸借対照表データとを切り替えて、容易に比較することができる。
【符号の説明】
【0093】
2:コンピュータ(会計処理サーバ)、83:連結勘定科目の入力欄、87:インポート実行ボタン(「取込」ボタン)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9