(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088584
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】流量推定システム
(51)【国際特許分類】
G01F 1/00 20220101AFI20240625BHJP
G06N 20/00 20190101ALI20240625BHJP
G06N 3/04 20230101ALI20240625BHJP
G06N 3/08 20230101ALI20240625BHJP
G01F 1/20 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
G01F1/00 H
G06N20/00
G06N3/04
G06N3/08
G01F1/20 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023171723
(22)【出願日】2023-10-03
(31)【優先権主張番号】P 2022203421
(32)【優先日】2022-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(72)【発明者】
【氏名】時岡 良宜
【テーマコード(参考)】
2F030
【Fターム(参考)】
2F030CA04
2F030CC12
2F030CE04
2F030CE09
(57)【要約】
【課題】測定装置の計算リソースが小さい場合であっても、ドレン流量を適切に推定できるシステムを提供する。
【解決手段】流量推定システム100は、測定装置10と情報処理装置20とを有する。測定装置10は、第1推定部41を有する。情報処理装置20は、第2推定部51を有する。第1推定部41は、測定情報を第1推定モデルM1に入力して、ドレン流量を推定する。第1推定モデルM1は、振動情報を入力としドレン流量を出力とする教師データを用いた深層学習とは異なる機械学習により生成される。ユーザからの指示を受けた場合に、第2推定部51は、振動情報を第2推定モデルM2に入力して、ドレン流量を推定する。第2推定モデルM2は、振動情報を入力とし、ドレン流量を出力とする教師データを用いた深層学習により生成される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドレントラップのドレン流量を推定する流量推定システムであって、
振動情報を測定する測定装置であって、
前記ドレントラップの振動情報を検出する検出部と、
前記振動情報を入力とし前記ドレン流量を出力とする教師データを用いた深層学習とは異なる機械学習により生成された第1推定モデルに、前記検出部によって検出された前記振動情報を入力して、前記ドレン流量を推定する第1推定部と、
外部に前記振動情報を送信する通信部と、
を有する、測定装置と、
ユーザからの指示を受けた場合に、前記振動情報を入力とし前記ドレン流量を出力とする教師データを用いた深層学習により生成された第2推定モデルに、前記通信部によって送信された前記振動情報を入力して、前記ドレン流量を推定する第2推定部と、
を備える、流量推定システム。
【請求項2】
請求項1に記載の流量推定システムにおいて、
前記第1推定モデルを生成するための機械学習、及び、前記第2推定モデルを生成するための深層学習を実行する学習部、
をさらに備える、流量推定システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の流量推定システムにおいて、
前記測定装置とデータ通信可能な情報処理装置、
をさらに備え、
前記通信部は、前記情報処理装置に前記振動情報を送信可能である、流量推定システム。
【請求項4】
請求項2に記載の流量推定システムにおいて、
前記測定装置とデータ通信可能な情報処理装置と、
前記情報処理装置とデータ通信可能なサーバ装置、
をさらに備える、
前記サーバ装置は、前記学習部を有する、流量推定システム。
【請求項5】
請求項4に記載の流量推定システムにおいて、
前記サーバ装置は、
前記ドレントラップの前記振動情報と、前記振動情報が検出されたときの前記ドレントラップの作動状態から診断員が判定したドレン流量とが互いに関連付けられた現場データを蓄積する蓄積部、
をさらに有し、
前記学習部は、前記現場データを教師データとして用いる、流量推定システム。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の流量推定システムにおいて、
前記測定装置は、
前記検出部によって検出された前記振動情報を外部に送信するための入力操作を受け付ける入力部、
をさらに有し、
前記通信部は、前記入力部が前記入力操作を受け付けた場合に前記振動情報を外部に送信する、流量推定システム。
【請求項7】
請求項3に記載の流量推定システムにおいて、
前記情報処理装置は、前記第2推定部を有する、流量推定システム。
【請求項8】
請求項4に記載の流量推定システムにおいて、
前記サーバ装置は、前記第2推定部を有し、
前記サーバ装置は、前記第2推定部によって出力された前記ドレン流量を、前記情報処理装置に送信し、
前記情報処理装置は、前記サーバ装置によって送信された前記ドレン流量を前記測定装置に送信する、流量推定システム。
【請求項9】
ドレントラップのドレン流量を推定する流量推定システムであって、
ドレントラップの振動情報を入力としドレン流量を出力とする教師データを用いた機械学習により生成された第1推定モデルに、検出部によって検出された振動情報を入力してドレン流量を推定する第1推定部と、
ユーザからの指示を受けた場合に、振動情報を入力としドレン流量を出力とする教師データを用いた深層学習により生成された第2推定モデルに、検出部によって検出された振動情報を入力してドレン流量を推定する第2推定部と、を備える、流量推定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される主題は、流量推定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドレントラップの弁を通過する流体の流量を推定する装置が知られている。例えば、特許文献1に開示された測定装置は、弁の振動を検出し、あらかじめ記憶されている流量と振動との相関関係から、実際の流量を推定する。また、特許文献2に開示された推定装置は、スチームトラップの振動情報を入力とし、ドレン流量を出力とする教師データを用いて機械学習させた推定モデルを有している。推定装置は、現場で検出された振動情報を当該推定モデルに入力して、ドレン流量を推定する。特許文献2では、推定精度を向上させるため、深層学習を利用することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-196716号公報
【特許文献2】特許第7072131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、深層学習によって生成される推定モデルは、一般的に、深層学習とは異なる機械学習によって生成される推定モデルよりも、多くの計算リソースを必要とする。一方で、特許文献1のような測定装置は、現場での使用を考慮すると、小型であることが求められる。このため、測定装置において、深層学習による推定モデルを実用レベルで稼働させる計算リソースを確保することは困難であった。
【0005】
本発明の目的は、測定装置の計算リソースが小さい場合であっても、ドレン流量を適切に推定できるシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、第1態様は、ドレントラップのドレン流量を推定する流量推定システムであって、前記ドレントラップの振動情報を検出する検出部と、前記振動情報を入力とし前記ドレン流量を出力とする教師データを用いた深層学習とは異なる機械学習により生成された第1推定モデルに、前記検出部によって検出された前記振動情報を入力して、前記ドレン流量を推定する第1推定部と、外部に前記振動情報を送信する通信部と、を有する、測定装置と、ユーザからの指示を受けた場合に、前記振動情報を入力とし前記ドレン流量を出力とする教師データを用いた深層学習により生成された第2推定モデルに、前記通信部によって送信された前記振動情報を入力して、前記ドレン流量を推定する第2推定部とを備える。
【0007】
第2態様は、第1態様の流量推定システムにおいて、前記第1推定モデルを生成するための機械学習、及び、前記第2推定モデルを生成するための深層学習を実行する学習部をさらに備える。
【0008】
第3態様は、第1態様または第2態様の流量推定システムにおいて、前記測定装置とデータ通信可能な情報処理装置、をさらに備え、前記通信部は、前記情報処理装置に前記振動情報を送信可能である。
【0009】
第4態様は、第2態様の流量推定システムにおいて、前記測定装置とデータ通信可能な情報処理装置と、前記情報処理装置とデータ通信可能なサーバ装置、をさらに備える、前記サーバ装置は、前記学習部を有する。
【0010】
第5態様は、第4態様の流量推定システムにおいて、前記サーバ装置は、前記ドレントラップの前記振動情報と、前記振動情報が検出されたときの前記ドレントラップの作動状態から診断員が判定したドレン流量とが互いに関連付けられた現場データを蓄積する蓄積部、をさらに有し、前記学習部は、前記現場データを教師データとして用いる。
【0011】
第6態様は、第1態様または第2態様の流量推定システムにおいて、前記測定装置は、前記検出部によって検出された前記振動情報を外部に送信するための入力操作を受け付ける入力部、をさらに有し、前記通信部は、前記入力部が前記入力操作を受け付けた場合に前記振動情報を外部に送信する。
【0012】
第7態様は、第3態様の流量推定システムにおいて、前記情報処理装置は、前記第2推定部を有する。
【0013】
第8態様は、第4態様の流量推定システムにおいて、前記サーバ装置は、前記第2推定部を有し、前記サーバ装置は、前記第2推定部によって出力された前記ドレン流量を、前記情報処理装置に送信し、前記情報処理装置は、前記サーバ装置によって送信された前記ドレン流量を前記測定装置に送信する。
【発明の効果】
【0014】
第1態様から第8態様の流量推定システムによれば、測定装置は、深層学習とは異なる機械学習により生成される第1推定モデルを用いてドレン流量を推定する。これにより、計算リソースを充分に確保することが困難な測定装置であっても、ドレン流量を推定できる。また、第2推定部は、深層学習によって生成された第2推定モデルを用いてドレン流量を推定する。このため、測定装置から送信される振動情報に基づいて、第2推定部がドレン流量を高精度に推定できる。したがって、測定装置の計算リソースが小さい場合であっても、状況に応じてドレン流量を適切に推定できる。
【0015】
第2態様の流量推定システムによれば、第1推定モデルM1及び第2推定モデルM2を生成できる。
【0016】
第3態様の流量推定システムによれば、情報処理装置に振動情報を送信できる。
【0017】
第4態様の流量推定システムによれば、サーバ装置によって、第1推定モデル及び第2推定モデルを生成できる。
【0018】
第5態様の流量推定システムによれば、サーバ装置によって、現場データを蓄積できる。
【0019】
第6態様の流量推定システムによれば、入力操作に基づいて、測定装置が振動情報を外部に送信することによって、第2推定部にドレン流量を推定させることができる。
【0020】
第7態様の流量推定システムによれば、情報処理装置において、測定装置によって送信された振動情報から、ドレン流量を推定できる。
【0021】
第8態様の流量推定システムによれば、サーバ層において、測定装置によって送信された振動情報から、ドレン流量を推定できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施形態に係る流量推定システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1に示される流量推定システムの機能を示すブロック図である。
【
図3】蓄積部によって蓄積される現場データを示す図である。
【
図4】
図1に示される流量推定システムにおけるドレン流量の推定処理の流れを示す図である。
【
図5】測定装置のディスプレイにおける表示態様の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、この実施形態に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0024】
<1. 実施形態>
図1は、実施形態に係る流量推定システム100の概略構成を示すブロック図である。
図2は、
図1に示される流量推定システム100の機能を示すブロック図である。流量推定システム100は、例えば、蒸気システムに備えられたスチームトラップ91のドレン流量を推定するシステムである。スチームトラップ91は、ドレントラップの一例であり、ドレン配管92に設けられている。スチームトラップ91は、ドレン配管92から流入してきたドレン(凝縮水)を下流側へ流出させる。また、スチームトラップ91は、ドレン配管92から蒸気が流入してきた場合には、その蒸気の流出を阻止する。スチームトラップ91は、いわゆる自動弁である。
【0025】
図1に示されるように、流量推定システム100は、測定装置10と、情報処理装置20と、サーバ装置30とを備える。測定装置10は、情報処理装置20と、データ通信可能である。情報処理装置20は、ネットワーク95を介してサーバ装置30とデータ通信可能である。なお、測定装置10は、サーバ装置30とネットワーク95を介してデータ通信可能であってもよい。
【0026】
測定装置10は、スチームトラップ91におけるドレン流量、すなわち、スチームトラップ91を通過しているドレン流量を推定する携帯用の装置である。測定装置10は、装置本体11と、プローブ13とを有する。
【0027】
プローブ13は、スチームトラップ91の振動情報を検出する。振動情報は、例えば、振動レベルである。プローブ13は、スチームトラップ91に押し当てられた状態で、スチームトラップ91の振動情報を検出する。プローブ13は、装置本体11の筐体に取り付けられている。プローブ13は、検出した振動情報を装置本体11に出力する。プローブ13は、「検出部」の一例である。なお、プローブ13は、ケーブルを介して装置本体11と接続されていてもよい。また、プローブ13は、装置本体11と無線接続されていてもよい。
【0028】
装置本体11は、プローブ13によって検出された振動情報に基づいて、スチームトラップ91のドレン流量を推定する。装置本体11は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ111と、RAM(Random Access Memory)などのメモリ112と、記憶部113と、通信部114と、ディスプレイ115と、入力部116と、を有する。メモリ112、記憶部113、通信部114,ディスプレイ115、入力部116は、プロセッサ111とバスを介して電気的に接続されている。
【0029】
記憶部113は、記憶媒体であって、プログラムP1及び各種データを記憶する。記憶部113は、不揮発性メモリであって、具体的には、HDD(Hard Disc Drive)などの磁気記憶装置、SSD(Solid State Drive)などの半導体メモリ、または、CD-ROMなどの光ディスクなどである。
【0030】
図2に示されるように、測定装置10は、第1推定部41と、修正部43と、送信制御部45とを有する。第1推定部41、修正部43及び送信制御部45は、プロセッサ111がプログラムP1を実行すること、及び、記憶部113が必要なデータを記憶することによって実現される測定装置10の機能である。
【0031】
図1に示されるように、記憶部113は、第1推定モデルM1を記憶する。第1推定モデルM1は、
図2に示されるサーバ装置30の学習部63によって生成される学習済みモデルである。
【0032】
通信部114は、情報処理装置20の通信部204との間で、データの送受信を行う。通信部114,214間は、無線接続されてもよいし、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)などのバス規格によって有線接続されてもよい。
【0033】
ディスプレイ115は、各種情報を表示する。ディスプレイ115は、例えば、第1推定部41によって推定されたドレン流量を表示する。また、ディスプレイ115は、ドレン流量の確信度を表示する。ドレン流量の確信度は、記憶部113に記憶されている第1推定モデルM1の正解率を示す情報である。なお、確信度は、ドレン流量の程度毎に設定されていてもよい。すなわち、ドレン流量の程度が「大」「中」「小」である場合、「大」「中」「小」のそれぞれについての確信度(正解率)が設定されていてもよい。
【0034】
入力部116は、診断員の入力操作を受け付ける。診断員は、測定装置10のユーザであって、測定装置10を用いてスチームトラップ91の診断を行う者である。入力部116は、入力操作に応じた入力信号をプロセッサ111に出力する。入力部116は、例えばボタンである。なお、ディスプレイ115をタッチパネルとして、ディスプレイ115が入力部116の機能を有してもよい。
【0035】
図1に示されるように、情報処理装置20は、CPUなどのプロセッサ201と、RAMなどのメモリ202と、記憶部203と、通信部204と、ディスプレイ205と、入力部206とを備える。情報処理装置20は、例えば、ラップトップコンピュータである。
【0036】
記憶部203は、プログラムP2及び各種データを記憶する、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体である。記憶部203は、例えば、HDD、SSD、または、CD-ROMなどの光ディスクなどの不揮発性メモリである。
【0037】
図2に示されるように、情報処理装置20は、第2推定部51を有する。第2推定部51は、プロセッサ201がプログラムP2を実行すること、及び、記憶部203が必要なデータを記憶することによって実現される、情報処理装置20の機能である。
【0038】
記憶部203は、第2推定モデルM2を記憶する。第2推定モデルM2は、
図2に示されるサーバ装置30の学習部63によって生成される学習済モデルである。
【0039】
通信部204は、測定装置10の通信部114、及び、サーバ装置30の通信部304とデータの送受信を行う。通信部204,304間は、ネットワーク95を介して接続される。ネットワーク95は、例えば、インターネットなどの広域通信ネットワークである。
【0040】
ディスプレイ205は、各種情報を表示する。ディスプレイ205は、例えば、第2推定部51によって推定されたドレン流量を表示する。また、ディスプレイ205は、ドレン流量の確信度を表示する。ドレン流量の確信度は、記憶部203に記憶されている第2推定モデルM2の正解率を示す情報である。
【0041】
入力部206は、診断員の入力操作を受け付ける。入力部206は、入力操作に応じた入力信号をプロセッサ201に出力する。入力部206は、例えばキーボードまたはマウスである。なお、ディスプレイ205をタッチパネルとして、ディスプレイ205が入力部206の機能を有してもよい。
【0042】
図1に示されるように、サーバ装置30は、CPUなどのプロセッサ301と、RAMなどのメモリ302と、記憶部303と、通信部304と、ディスプレイ305と、入力部306とを備える。サーバ装置30は、例えば、クラウドサーバである。
【0043】
記憶部303は、プログラムP3と現場データD1とを記憶する。
図2に示されるように、サーバ装置30は、蓄積部61と、学習部63とを有する。蓄積部61及び学習部63は、プロセッサ301がプログラムP3を実行すること、及び、記憶部303が必要なデータを記憶することによって実現される、サーバ装置30の機能である。
【0044】
蓄積部61は、現場データD1を蓄積する。現場データD1は、スチームトラップ91の現場において診断員が測定したスチームトラップ91の振動情報と、診断員が判定したドレン流量とを関連付けたデータである。スチームトラップ91の現場は、スチームトラップ91が実際に設置されて稼働している場所である。
【0045】
診断員は、現場におけるスチームトラップ91の点検時またはメンテナンス時において、スチームトラップ91の作動状態を診断し、その診断結果を客先等へ報告している。例えば、診断員は、スチームトラップ91を診断するため、測定装置10のプローブ13によって、スチームトラップ91の振動情報を測定する。また、診断員は、振動情報が測定されたときの、スチームトラップ91の作動状態に基づいて、ドレン流量を判定する。スチームトラップ91の作動状態は、例えば、スチームトラップ91の作動音、または、ドレンの流れ状態である。スチームトラップ91の作動音は、例えば、聴診器によって測定される。また、ドレンの流れ状態は、スチームトラップ91の下流に接続されたドレン配管92の内を目視することで把握される。各現場にて取得された、スチームトラップ91の振動情報及びドレン流量が、現場データD1として蓄積部61に蓄積されていく。
【0046】
なお、ドレン流量は、流量測定器によって測定することも考えられる。ただし、流量測定器は高価であり、また、流量測定器のドレン配管92への取り付け作業が手間である。このため、診断員によりドレン流量を判定することが効果的である。
【0047】
図3は、蓄積部61によって蓄積される現場データD1を示す図である。
図3に示されるように、現場データD1は、振動情報と、当該振動情報に関連付けされたドレン流量とを有する。詳細には、現場データD1は、振動情報と、圧力と、ドレン流量とが互いに関連付けされている。圧力は、診断員が振動情報を測定したときのスチームトラップ91の流体圧力である。流体圧力は、スチームトラップ91の入口圧力であって、例えば、スチームトラップ91の入り口側のドレン配管92に取り付けられた圧力計によって測定される。ドレン流量は、数値ではなく、複数段階の程度で表される。
図3に示される例では、ドレン流量の程度は、「大」「中」及び「小」の3段階で表されている。なお、ドレン流量の程度は、2段階または4段階以上で表されてもよい。
【0048】
図3に示されるように、現場データD1では、振動情報及びドレン流量に対して、「診断員レベル」が関連付けされている。診断員レベルは、現場においてスチームトラップ91のドレン流量を判定した診断員の熟練度を示す情報である。診断員レベルは、複数段階の程度で表される。
図3に示される例では、診断員レベルは、熟練度が高い順に「1」、「2」、「3」の3段階で表されている。なお、診断員レベルは、2段階または4段階以上の程度で表されてもよい。一般的には、診断員の熟練度が高いほど、、ドレン流量の判定精度は高い。このため、診断員レベルは、ドレン流量の精度を示す情報として利用し得る。
【0049】
図3に示されるように、現場データD1においては、互いに関連付けされた振動情報、圧力、ドレン流量及び診断員レベルは、フロート式、バケット式及びディスク式など、スチームトラップ91の型式毎に区分されている。
【0050】
測定装置10の修正部43がドレン流量を修正した場合、蓄積部61は、修正後のドレン流量を振動情報と関連付けした現場データD1を蓄積する。第1推定部41によって推定されたドレン流量が、診断員の入力操作によって修正された場合、修正後のドレン流量が現場データD1として蓄積される。そのため、第1推定部41によって推定されたドレン流量が適切でないと診断員が判断した場合、診断員が判定したドレン流量が蓄積部61の現場データD1に反映される。
【0051】
学習部63は、現場データD1における振動情報を入力とし、ドレン流量を出力とする教師データを用いた機械学習により第1推定モデルM1及び第2推定モデルM2を生成する。学習部63は、データ選択部631と、モデル生成部633とを有する。
【0052】
データ選択部631は、第1推定モデルM1及び第2推定モデルM2の生成に使用される教師データを、蓄積部61に蓄積された現場データD1から選択する。詳細には、データ選択部631は、蓄積部61の現場データD1における振動情報及び圧力を入力とし、現場データD1におけるドレン流量を出力とする教師データを作成する。
【0053】
データ選択部631は、スチームトラップ91の型式毎に、第1推定モデルM1及び第2推定モデルM2を生成するため、スチームトラップ91の型式毎に教師データを作成してもよい。
【0054】
データ選択部631は、蓄積部61に蓄積された現場データD1のうち、所定の熟練度以上の診断員レベルが関連付けされた現場データD1を、教師データとして選択してもよい。例えば、蓄積部61に蓄積された現場データD1のうち、診断員レベルが「2」以上、すなわち、診断員レベルが「1」及び「2」の現場データD1を対象として、教師データが作成されてもよい。この場合、低い診断員レベルを含む全診断員レベルの現場データD1を対象として教師データが作成されるときと比べて、ドレン流量の精度が高い教師データが作成される。
【0055】
モデル生成部633は、データ選択部631によって作成された教師データを用いた機械学習により第1推定モデルM1及び第2推定モデルM2を生成する。第1推定モデルM1及び第2推定モデルM2は、振動情報及び圧力を入力とし、ドレン流量を出力とする。第1推定モデルM1及び第2推定モデルM2は、振動情報及び圧力と、ドレン流量との関係を学習させる教師あり機械学習により生成される学習済モデルである。
【0056】
モデル生成部633は、深層学習以外の教師あり機械学習アルゴリズムを利用して、第1推定モデルM1する。以下、深層学習以外の教師あり機械学習を、「非深層学習」と称する。非深層学習は、例えば、一般化線型モデル、勾配ブースティング決定木、サポートベクタマシン、または、入力層と出力層を含む3層以下(すなわち、中間層が1層)のニューラルネットワークのアルゴリズムを用いる機械学習である。
【0057】
モデル生成部633は、教師ありの深層学習によって第2推定モデルM2を生成する。深層学習は、入力層と出力層とを含む4層以上(すなわち、中間層が2層以上)の深層ニューラルネットワークのアルゴリズムを用いる機械学習である。
【0058】
データ選択部631は、例えば定期的に、教師データを更新する。モデル生成部633は、更新された教師データを用いた機械学習を行うことによって、第1推定モデルM1及び第2推定モデルM2を更新する。
【0059】
サーバ装置30は、学習部63によって生成された第1推定モデルM1及び第2推定モデルM2を、情報処理装置20に送信する。情報処理装置20は、サーバ装置30から送信された第2推定モデルM2を、記憶部203に記憶させる。これにより、情報処理装置20の記憶部203には、スチームトラップ91の各型式に対応する複数種類の第2推定モデルM2が格納される。また、情報処理装置20は、サーバ装置30から送信された第1推定モデルM1を測定装置10に送信する。測定装置10は、情報処理装置20から送信された第1推定モデルM1を記憶部113に記憶させる。これにより、測定装置10の記憶部113には、スチームトラップ91の各型式に対応する複数種類の第1推定モデルM1が格納される。
【0060】
測定装置10の第1推定部41は、プローブ13によって測定されたスチームトラップ91の振動情報、及び、入力部116によって入力された圧力を、スチームトラップ91の型式に対応する第1推定モデルM1に入力することで、ドレン流量を推定する。また、情報処理装置20の第2推定部51は、プローブ13によって測定されたスチームトラップ91の振動情報、及び、入力部116によって入力された圧力を、スチームトラップ91の型式に対応する第2推定モデルM2に入力することによって、ドレン流量を推定する。
【0061】
修正部43は、第1推定部41によって出力されたドレン流量を、入力部116における所定の入力操作に応じて修正する。修正部43は、診断員により、入力部116を介してドレン流量が入力されると、第1推定部41によって出力されたドレン流量を、入力部116を介して入力されたドレン流量に修正する。
【0062】
送信制御部45は、プローブ13によって検出された振動情報を、通信部114に送信させる制御を行う。
【0063】
<ドレン流量の推定処理>
続いて、流量推定システム100におけるドレン流量の推定処理について、
図4を参照しつつ説明する。
図4は、
図1に示される流量推定システム100におけるドレン流量の推定処理の流れを示す図である。
【0064】
まず、現場にて、情報処理装置20は、圧力及び型式の入力を受け付ける(圧力・型式入力受付工程S1)。詳細には、情報処理装置20の入力部206は、診断員による、圧力の入力、及び、推定対象のスチームトラップ91の型式の入力を受け付ける。診断員が入力する圧力は、ドレン配管92に取り付けられた圧力計等によって計測される圧力であって、スチームトラップ91の圧力(入口圧力)である。また、診断員は、推定対象のスチームトラップ91の型式を入力部206に入力する。情報処理装置20は、入力された圧力及び型式を、記憶部203に記憶させる。また、情報処理装置20の通信部204は、入力された圧力及び型式を、測定装置10へ送信する。
【0065】
圧力・型式入力受付工程S1の後、測定装置10は、推定対象となるスチームトラップ91の振動情報を測定する(測定工程S2)。詳細には、診断員により、測定装置10のプローブ13がスチームトラップ91のケーシングに所定時間押し当てられる。そして、プローブ13が振動情報を検出する。プローブ13は、検出された振動情報を、装置本体11に出力する。
【0066】
測定工程S2の後、測定装置10の第1推定部41は、推定対象のスチームトラップ91のドレン流量を推定する(第1推定工程S3)。詳細には、第1推定部41は、圧力・型式入力受付工程S1によって入力されたスチームトラップ91の型式に対応する第1推定モデルM1を、記憶部113から読み出す。そして、第1推定部41は、測定工程S2よって測定された振動情報と、圧力・型式入力受付工程S1によって入力された圧力とを、第1推定モデルM1に入力し、第1推定モデルM1にドレン流量を出力させる。
【0067】
第1推定工程S3の後、測定装置10は、第1推定工程S3によって推定されたドレン流量を、ディスプレイ115に表示させる(第1表示工程S4)。
図5は、測定装置10のディスプレイ115における表示態様の一例を示す図である。
図5に示される例では、ドレン流量として「大」が表示されている。第1表示工程S4では、測定装置10は、第1推定部41によって出力されたドレン流量の確信度もディスプレイ115に表示させる。つまり、第1推定部41によって記憶部113から読み出された第1推定モデルM1の正解率が、ディスプレイ115に表示される。
図5に示される例では、確信度として「80%」が表示されている。
【0068】
第1表示工程S4の後、測定装置10の送信制御部45は、送信指令が入力されたか否かを判定する(送信判定工程S5)。また、送信判定工程S5の後、測定装置10の修正部43は、修正指令が入力されたか否かを判定する(修正判定工程S6)。なお、修正判定工程S6は、送信判定工程S5よりも先に実行されてもよい。
【0069】
送信指令及び修正指令は、入力部116を介して入力される情報である。
図5に示される例では、ディスプレイ115にドレン流量及び確信度とともに、確定ボタン16と、送信ボタン17と、修正ボタン18とが表示されている。確定ボタン16、送信ボタン17及び修正ボタン18は、タッチパネル式のボタンである。
【0070】
送信判定工程S5において、測定装置10の送信制御部45は、送信ボタン17が押下されたか否かを判定する。送信ボタン17が押下された場合、送信制御部45は、送信指令が入力されたと判定する。この場合(送信判定工程S5においてYes)、送信制御部45は、測定工程S2によって測定された振動情報を、情報処理装置20に送信する(送信工程S51)。
【0071】
なお、送信判定工程S5において、送信制御部45は、測定装置10と情報処理装置20との間の通信が確立しているか否かを判定してもよい。そして、通信が確立していると判定された場合、送信制御部45は、送信工程S51を実行してもよい。この場合、測定装置10と情報処理装置20との間の通信が確立していれば、振動情報が、測定装置10から情報処理装置20に自動的に送信される。
【0072】
また、圧力・型式入力工程S1において、圧力及び型式の入力が測定装置10の入力部116によって受け付けられてもよい。この場合、送信工程S51において、送信制御部45は、測定装置10から情報処理装置20へ、振動情報とともに、圧力及び型式を送信する。
【0073】
送信工程S51の後、情報処理装置20の第2推定部51は、推定対象のスチームトラップ91のドレン流量を推定する(第2推定工程S52)。詳細には、第2推定部51は、圧力・型式入力工程S1によって入力された型式に対応する第2推定モデルM2を、記憶部203から読み出す。そして、第2推定部51は、送信工程S51によって送信された振動情報、及び、圧力・型式入力工程S1によって入力された圧力を、第2推定モデルM2に入力し、第2推定モデルM2にドレン流量を出力させる。
【0074】
第2推定工程S52の後、情報処理装置20は、第2推定工程S52によって推定されたドレン流量を、測定装置10に送信する(推定値送信工程S53)。測定装置10は、情報処理装置20によって送信されたドレン流量を、記憶部113に記憶させる。また、測定装置10は、受信したドレン流量をディスプレイ115に表示させる(第2表示工程S54)。
【0075】
なお、推定値送信工程S53において、情報処理装置20は、第2推定工程S52によって読み出された第2推定モデルM2の確信度を、測定装置10に送信してもよい。そして、第2表示工程S54において、測定装置10は、ドレン流量とともに、送信された確信度をディスプレイ115に表示させてもよい。
【0076】
また、情報処理装置20は、第2推定工程S52によって推定されたドレン流量をディスプレイ205に表示させてもよい。また、情報処理装置20は、ドレン流量とともに、確信度もディスプレイ205に表示させてもよい。
【0077】
診断員は、例えば、第1表示工程S4によってディスプレイ115に表示された確信度が低い場合、送信ボタン17を押下してもよい。これにより、確信度が第1推定モデルM1よりも高い第2推定モデルM2によってドレン流量が推定されるため、診断員は、精度良く推定されたドレン流量を取得できる。
【0078】
修正判定工程S6において、修正部43は、修正ボタン18が押下されたか判定する。修正ボタン18が押下された場合、修正部43は、修正指令が入力されたと判定する。この場合(修正判定工程S6においてYes)、修正部43は、ドレン流量を修正する(修正工程S61)。具体的には、修正部43は、ドレン流量の入力を受け付けるための入力画面をディスプレイ115に表示させる。診断員は、入力画面に従って、自身が診断したドレン流量を、入力部116に入力する。修正部43は診断員の入力を受け付けると、ディスプレイ115に表示されたドレン流量を、入力部116に入力されたドレン流量に修正する。具体的には、修正部43は、ディスプレイ115に表示されているドレン流量、すなわち、第1推定工程S3によって推定されたドレン流量、または、第2推定工程S52によって推定されたドレン流量を、入力部116に入力されたドレン流量に変更する。
【0079】
修正工程S61の後、測定装置10は、修正後のドレン流量を記憶部113に記憶させる(記憶工程S62)。具体的には、修正後のドレン流量は、修正前のドレン流量に対応する振動情報及び圧力と関連付けられて記憶される。また、修正後のドレン流量は、診断員レベルと関連付けられて記憶される。
【0080】
修正判定工程S6によって修正入力がないと判定された場合、または、記憶工程S62の後、測定装置10は、ドレン流量の推定処理を終了するか判定する(終了判定工程S7)。具体的には、終了判定工程S7において、測定装置10は、確定ボタン16が押下されたか否かを判定する。確定ボタン16が押下されていないと判定された場合(終了判定工程S7においてNo)、測定装置10は、送信判定工程S5を再び実行する。確定ボタン16が押下されたと判定された場合(終了判定工程S7においてYes)、蓄積部61が現場データD1を蓄積する(蓄積工程S8)。詳細には、測定装置10は、記憶工程S62によって記憶部113に記憶された現場データD1を情報処理装置20に送信し、情報処理装置20は、受信した現場データD1をサーバ装置30に送信する。サーバ装置30の蓄積部61は、受信した現場データD1を記憶部303に記憶させる。なお、蓄積するべき現場データD1がない場合、蓄積工程S8はスキップされる。蓄積工程S8が完了すると、流量推定システム100は、ドレン流量の推定処理を終了する。
【0081】
<効果>
以上のように、流量推定システム100は、測定装置10と第2推定部51とを有する。測定装置10は、検出部であるプローブ13と、第1推定部41と、通信部114とを有する。プローブ13は、ドレントラップであるスチームトラップ91の振動情報を検出する。第1推定部41は、第1推定モデルM1に、プローブ13によって検出された振動情報を入力して、ドレン流量を推定する。第1推定モデルM1は、振動情報を入力としドレン流量を出力とする教師データを用いた深層学習とは異なる機械学習により生成される。通信部114は、外部である情報処理装置20に振動情報を送信する。第2推定部51は、第2推定モデルM2に、通信部114によって送信された振動情報を入力して、ドレン流量を推定する。第2推定モデルM2は、振動情報を入力とし、ドレン流量を出力とする教師データを用いた深層学習により生成される。
【0082】
この構成によれば、測定装置10においては、深層学習とは異なる機械学習により生成される第1推定モデルM1を用いてドレン流量が推定される。これにより、計算リソースを充分に確保することが困難な測定装置10であっても、ドレン流量を推定できる。また、第2推定部51は、深層学習によって生成された第2推定モデルM2を用いてドレン流量を推定する。このため、測定装置10から第2推定部51に振動情報が送信されることによって、ドレン流量を高精度に推定できる。したがって、測定装置10の計算リソースが小さい場合であっても、状況に応じてドレン流量を適切に推定できる。
【0083】
また、流量推定システム100は、学習部63をさらに備える。学習部63は、第1推定モデルM1を生成するための機械学習、及び、第2推定モデルM2を生成するための深層学習を実行する。
【0084】
この構成によれば、第1推定モデルM1及び第2推定モデルM2を生成することができる。
【0085】
また、流量推定システム100は、測定装置10とデータ通信可能な情報処理装置20をさらに備える。通信部114は、情報処理装置20に振動情報を送信可能である。
【0086】
この構成によれば、情報処理装置20に振動情報を送信できる。
【0087】
また、流量推定システム100は、情報処理装置20とデータ通信可能なサーバ装置30をさらに備える。サーバ装置30は、学習部63を有する。
【0088】
この構成によれば、サーバ装置30によって、第1推定モデルM1及び第2推定モデルM2を生成できる。
【0089】
サーバ装置30は、現場データD1を蓄積する蓄積部61をさらに有する。現場データD1は、スチームトラップ91の振動情報と、振動情報が検出されたときのスチームトラップ91の作動状態から診断員が判定したドレン流量とが互いに関連付けられたデータである。学習部63は、現場データD1を教師データとして用いる。
【0090】
この構成によれば、蓄積部61は、各現場において取得される現場データD1が蓄積されていく。そのような現場データD1を教師データとして学習を行うことにより、ドレン流量の推定精度を向上させることができる。したがって、例えば、経験の浅い診断員であっても、推定精度の高いドレン流量を得ることができる。
【0091】
ドレン流量の推定精度を向上させることができることから、測定装置10を用いて、ドレン流量を精度良く把握できる。そのため、例えば、スチームトラップ91が正常にドレンを排出している状態であるにも拘わらず、スチームトラップ91が蒸気漏れなどの作動不良の状態であると誤判定されることを低減できる。したがって、作動良否の判定精度を向上させることができる。
【0092】
また、流量推定システム100は、入力部116をさらに備える。入力部116は、プローブ13によって検出された振動情報を外部に送信するための入力操作を受け付ける。通信部114は、入力部116が入力を受け付けた場合に振動情報に送信する。
【0093】
この構成によれば、入力操作を行うことによって、振動情報を第2推定部51に送信できる。
【0094】
また、流量推定システム100において、情報処理装置20は第2推定部51を有する。
【0095】
この構成によれば、情報処理装置20において、測定装置10によって送信された振動情報からドレン流量を推定できる。
【0096】
<2. 変形例>
以上、実施形態について説明してきたが、本発明は上記のようなものに限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0097】
例えば、上記実施形態では、情報処理装置20が第2推定部51を有している。しかしながら、サーバ装置30が第2推定部51を有していてもよい。この場合、第2推定モデルM2は、サーバ装置30の記憶部303に記憶される。測定装置10は、プローブ13によって検出された振動情報を、情報処理装置20に送信する。そして、情報処理装置20は、測定装置10によって送信された振動情報をサーバ装置30に送信する。さらに、サーバ装置30の第2推定部51は、情報処理装置20によって送信された振動情報を第2推定モデルM2に入力することで、推定されたドレン流量を出力する。また、サーバ装置30の通信部304は、第2推定部51によって出力されたドレン流量を情報処理装置20に送信する。そして、情報処理装置20の通信部204は、サーバ装置30の通信部304によって送信されたドレン流量を測定装置10に送信する。測定装置10は、情報処理装置20によって送信されたドレン流量を、ディスプレイ115に表示させる。これにより、測定装置10を使用する診断員は、精度良く推定されたドレン流量を取得できる。
【0098】
また、上記実施形態では、情報処理装置20は、ラップトップコンピュータとしているが、スマートフォン及びタブレットなどの携帯用の通信端末であってもよい。
【0099】
また、上記実施形態では、教師データにおける入力が、振動情報と圧力とされているが、振動情報のみであってもよい。この場合、学習部63は、振動情報を入力とし、ドレン流量を出力とする教師データを用いる機械学習を行うことによって、第1推定モデルM1及び第2推定モデルM2を生成する。また、第1推定部41及び第2推定部51は、プローブ13によって検出された振動情報を、第1推定モデルM1及び第2推定モデルM2にそれぞれ入力することで、推定されたドレン流量をそれぞれ出力する。
【0100】
また、蓄積部61が蓄積する現場データD1は、圧力の代わりに作動回数が関連付けされていてもよい。作動回数は、診断員が振動情報を測定したときの、スチームトラップ91が所定時間内にドレンを排出する動作の回数である。所定時間内にドレン排出の動作回数が多くなるほど、ドレン流量は増加する傾向にある。この場合、学習部63は、振動情報及び作動回数を入力とし、ドレン流量を出力とする教師データを用いる機械学習を行うことによって、第1推定モデルM1及び第2推定モデルM2を生成する。また、第1推定部41及び第2推定部51は、プローブ13によって検出された振動情報と、スチームトラップ91の作動回数とを、第1推定モデルM1及び第2推定モデルM2にそれぞれ入力することで、推定されたドレン流量をそれぞれ出力する。
【0101】
なお、現場データD1において、スチームトラップ91の圧力及び作動回数の両方が採用されてもよい。
【0102】
また、現場データD1において、診断員レベルは省略されてもよい。
【0103】
また、現場データD1として、スチームトラップ91の温度が関連付けられていてもよい。そして、学習部63の教師データの入力として当該温度が加えられてもよい。
【0104】
この発明は詳細に説明されたが、上記の説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせたり、省略したりすることができる。
【符号の説明】
【0105】
10 測定装置
20 情報処理装置
30 サーバ装置
41 第1推定部
51 第2推定部
61 蓄積部
63 学習部
91 スチームトラップ(ドレントラップ)
100 流量推定システム
114 通信部
116 入力部
M1 第1推定モデル
M2 第2推定モデル