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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088586
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】積層型キャパシタおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20240625BHJP
【FI】
H01G4/30 201F
H01G4/30 201G
H01G4/30 201C
H01G4/30 201D
H01G4/30 311E
H01G4/30 513
H01G4/30 516
H01G4/30 517
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023176748
(22)【出願日】2023-10-12
(31)【優先権主張番号】10-2022-0179230
(32)【優先日】2022-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0018667
(32)【優先日】2023-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】朴 耕模
(72)【発明者】
【氏名】尹 炯悳
(72)【発明者】
【氏名】姜 正模
(72)【発明者】
【氏名】田 鎬仁
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC03
5E001AC09
5E001AE01
5E001AE02
5E001AE03
5E001AF06
5E001AH09
5E001AJ03
5E082AA01
5E082AB03
5E082BC19
5E082EE04
5E082EE23
5E082EE35
5E082FF05
5E082FG26
5E082GG10
5E082GG11
5E082GG12
5E082GG28
5E082JJ03
5E082JJ06
5E082JJ12
5E082JJ13
5E082JJ23
5E082PP06
(57)【要約】
【課題】耐湿特性が改善した積層型キャパシタを提供する。
【解決手段】誘電体層および内部電極を含むキャパシタボディ、そしてキャパシタボディの外側に配置される外部電極を含み、外部電極は、キャパシタボディの外側に配置され、導電性金属およびガラスを含む第1層を含み、第1層は、誘電体層との界面部分に位置し、ガラスを含むガラス部を含み、ガラス部は、誘電体層と内部電極との間に沿ってキャパシタボディ内部に延長された延長部分を有する、積層型キャパシタを開示する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層および内部電極を含むキャパシタボディと、
前記キャパシタボディの外側に配置される外部電極とを含み、
前記外部電極は、前記キャパシタボディの外側に配置され、導電性金属およびガラスを含む第1層を含み、
前記第1層は、前記誘電体層との界面部分に位置し、前記ガラスを含むガラス部を含み、
前記ガラス部は、前記誘電体層と前記内部電極との間に沿って前記キャパシタボディ内部に延長された延長部分を有する、
積層型キャパシタ。
【請求項2】
前記内部電極は、前記第1層との界面部分に位置し、合金を含む第1合金部を含む、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項3】
前記第1層は、前記内部電極との界面部分には前記ガラス部を含まない、請求項2に記載の積層型キャパシタ。
【請求項4】
前記第1合金部は、前記第1層に含まれている導電性金属と、前記内部電極に含まれている金属との合金を含む、請求項2に記載の積層型キャパシタ。
【請求項5】
前記導電性金属は、銅(Cu)を含み、前記内部電極に含まれている金属は、ニッケル(Ni)を含む、請求項4に記載の積層型キャパシタ。
【請求項6】
前記第1層は、前記内部電極との界面部分に位置し、合金を含む第2合金部を含む、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項7】
前記第2合金部は、前記ガラス部とこれに隣接した他のガラス部との間に位置する、請求項6に記載の積層型キャパシタ。
【請求項8】
前記ガラス部の延長部分は、前記第1合金部と前記誘電体層との間に位置する、請求項2に記載の積層型キャパシタ。
【請求項9】
前記ガラス部は、前記誘電体層の端部を囲む、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項10】
前記誘電体層は、前記ガラスが前記誘電体層内部に拡散されたガラス拡散領域を含む、請求項2に記載の積層型キャパシタ。
【請求項11】
前記ガラス部の延長部分は、前記第1合金部と前記誘電体層のガラス拡散領域との間に位置する、請求項10に記載の積層型キャパシタ。
【請求項12】
前記ガラスは、バリウム(Ba)、シリコン(Si)、ホウ素(B)、亜鉛(Zn)、カルシウム(Ca)およびアルミニウム(Al)を含む酸化物を含む、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項13】
前記ガラスは、前記バリウム(Ba)の重量比率(前記ガラス全体重量に対する前記バリウム(Ba)の重量%)が前記シリコン(Si)の重量比率(前記ガラス全体重量に対する前記シリコン(Si)の重量%)より大きい、請求項12に記載の積層型キャパシタ。
【請求項14】
前記ガラスは、前記バリウム(Ba)の重量比率が前記シリコン(Si)の重量比率より2倍以上大きい、請求項13に記載の積層型キャパシタ。
【請求項15】
前記誘電体層は、BaTiO 100モルに対してTbを0.2モル以上1モル未満含む、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項16】
前記外部電極は、前記第1層の外側に位置し、樹脂および導電性金属を含む第2層をさらに含む、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項17】
前記外部電極は、前記第1層の外側に位置し、メッキ金属を含む第3層をさらに含む、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項18】
焼成後に誘電体層となる誘電体グリーンシート表面に、焼成後に内部電極となる導電性ペースト層を形成するステップと、
前記導電性ペースト層が形成された誘電体グリーンシートを積層して誘電体グリーンシート積層体を製造するステップと、
前記誘電体グリーンシート積層体を焼成してキャパシタボディを製造するステップと、
前記キャパシタボディの外側に導電性金属およびガラスフリットを含む導電性ペーストを塗布した後、700℃乃至1000℃で焼結させて第1層を含む外部電極を形成するステップと、を含み、
前記第1層は、前記誘電体層との界面部分に位置し、前記ガラスフリットを含むガラス部を含み、
前記ガラス部は、前記誘電体層と前記内部電極との間に沿って前記キャパシタボディ内部に延長された延長部分を有する、
積層型キャパシタの製造方法。
【請求項19】
前記ガラスフリットは、BaO 23.2モル%乃至33.2モル%、SiO 2.2モル%乃至12.2モル%、B 19モル%乃至29モル%、ZnO23.3モル%乃至33.3モル%、 CaO 3.6モル%乃至13.6モル%、およびAl0モル%乃至8.8モル%を含む第1ガラスフリットである、請求項18に記載の積層型キャパシタの製造方法。
【請求項20】
前記ガラスフリットは、BaO 32.3モル%乃至42.3モル%、SiO4.5モル%乃至14.5モル%、B26.8モル%乃至36.8モル%、ZnO0モル%乃至10モル%、CaO 6.3モル%乃至16.3モル%、およびAl0モル%乃至5モル%を含む第2ガラスフリットである、請求項18に記載の積層型キャパシタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本記載は、積層型キャパシタおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1990年代にPdの価格上昇により、内部電極材料がニッケル(Ni)に変更されて以降、積層型キャパシタ(multi-layer ceramic capacitor、MLCC)の耐湿特性の低下原因およびその改善方法は最近まで継続して研究されてきた。
【0003】
それにも拘わらず、積層型キャパシタにおける耐湿特性の低下原因についてはまだ明確にされていない。耐湿試験での安定性とは、積層型キャパシタの使用環境が高湿であっても故障が発生せず、絶縁特性を維持することを意味する。したがって、外部からの水分子の浸透を防止すれば耐湿特性が改善されると仮定して外部電極の材料や形状を変更したり、チップ表面に耐湿性の高い膜を形成させる方法などが提案されている。
【0004】
このような方法は、追加の工程が必要であり、製造費用を増加させるという問題がある。積層型キャパシタの価格は、初期開発以降、時間とともに持続的に低下するため、できる限り最小限の工程を通じて耐湿特性を改善する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の一側面は、外部電極、誘電体層、および内部電極が互いに会う境界の空いた空間を全て緻密に埋めることにより、水分が浸透することができる経路を根本的に遮断して耐湿特性を改善させた積層型キャパシタを提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一側面による積層型キャパシタは、誘電体層および内部電極を含むキャパシタボディとー、キャパシタボディの外側に配置される外部電極とを含み、外部電極は、キャパシタボディの外側に配置され、導電性金属およびガラスを含む第1層を含み、第1層は、誘電体層との界面部分に位置し、ガラスを含むガラス部を含み、ガラス部は、誘電体層と内部電極との間に沿ってキャパシタボディ内部に延長された延長部分を有する。
【0007】
内部電極は、第1層との界面部分に位置し、合金を含む第1合金部を含むことができる。
第1層は、内部電極との界面部分にはガラス部を含まなくてもよい。
【0008】
第1合金部は、第1層に含まれている導電性金属と、内部電極に含まれている金属との合金を含むことができる。
【0009】
導電性金属は、銅(Cu)を含むことができる。
内部電極に含まれている金属は、ニッケル(Ni)を含むことができる。
【0010】
第1層は、内部電極との界面部分に位置し、合金を含む第2合金部を含むことができる。
第2合金部は、ガラス部とこれに隣接した他のガラス部との間に位置することができる。
【0011】
ガラス部の延長部分は、第1合金部と誘電体層との間に位置することができる。
ガラス部は、誘電体層の端部を囲むことができる。
【0012】
誘電体層は、ガラスが誘電体層内部に拡散されたガラス拡散領域を含むことができる。
ガラス部の延長部分は、第1合金部と誘電体層のガラス拡散領域との間に位置することができる。
【0013】
ガラスは、バリウム(Ba)、シリコン(Si)、ホウ素(B)、亜鉛(Zn)、カルシウム(Ca)およびアルミニウム(Al)を含む酸化物を含むことができる。
【0014】
ガラスは、バリウム(Ba)の重量比率(ガラス全体重量に対するバリウム(Ba)の重量%)がシリコン(Si)の重量比率(ガラス全体重量に対するシリコン(Si)の重量%)より大きくてもよい。
【0015】
ガラスは、バリウム(Ba)の重量比率がシリコン(Si)の重量比率より2倍以上大きくてもよい。
【0016】
誘電体層は、BaTiO 100モルに対してTbを0.2モル以上1モル未満含むことができる。
【0017】
外部電極は、第1層の外側に位置し、樹脂および導電性金属を含む第2層をさらに含むことができる。
【0018】
外部電極は、第1層の外側に位置し、メッキ金属を含む第3層をさらに含むことができる。
【0019】
他の側面による積層型キャパシタの製造方法は、焼成後に誘電体層になる誘電体グリーンシート表面に、焼成後に内部電極になる導電性ペースト層を形成し、導電性ペースト層が形成された誘電体グリーンシートを積層して誘電体グリーンシート積層体を製造し、誘電体グリーンシート積層体を焼成してキャパシタボディを製造し、そしてキャパシタボディの外側に導電性金属およびガラスフリットを含む導電性ペーストを塗布した後、700℃乃至1000℃で焼結させて第1層を含む外部電極を形成し、第1層は、誘電体層との界面部分に位置し、ガラスフリットを含むガラス部を含み、ガラス部は、誘電体層と内部電極との間に沿ってキャパシタボディ内部に延長された延長部分を有する。
【0020】
ガラスフリットは、BaO 23.2モル%乃至33.2モル%、SiO 2.2モル%乃至12.2モル%、B 19モル%乃至29モル%、ZnO23.3モル%乃至33.3モル%、 CaO 3.6モル%乃至13.6モル%、およびAl0モル%乃至8.8モル%を含む第1ガラスフリットであり得る。
【0021】
ガラスフリットは、BaO 32.3モル%乃至42.3モル%、SiO4.5モル%乃至14.5モル%、B26.8モル%乃至36.8モル%、ZnO0モル%乃至10モル%、CaO 6.3モル%乃至16.3モル%、およびAl0モル%乃至5モル%を含む第2ガラスフリットであり得る。
【0022】
ガラスフリットは、第1ガラスフリットと第2ガラスフリットを1:0.1乃至1:100の体積比で含むことができる。
【発明の効果】
【0023】
一側面による積層型キャパシタによれば、外部電極、誘電体層、および内部電極が互いに会う境界の空いた空間を全て緻密に埋めることにより、水分が浸透することができる経路を根本的に遮断して耐湿特性を改善させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】一実施例による積層型キャパシタを示す斜視図である。
図2図1のI-I’線に沿って切断した積層型キャパシタの断面図である。
図3図1のキャパシタボディで内部電極の積層構造を示した分離斜視図である。
図4図2のIII領域を拡大した断面図である。
図5】実施例1および実施例2で使用されたガラスフリットの温度によるアルミナ(Al)基板に対する接触角を測定した結果を示す写真である。
図6】比較例1、および実施例1乃至3で使用されたガラスフリットの焼成温度による拡散長さを測定した結果を示す写真である。
図7】比較例1、および実施例1乃至3で使用されたガラスフリットの焼成温度による拡散長さを測定した結果を示すグラフである。
図8】比較例1-1で製造された積層型キャパシタのカバレージ測定結果を示す写真である。
図9】比較例1-2で製造された積層型キャパシタのカバレージ測定結果を示す写真である。
図10】実施例3で製造された積層型キャパシタのカバレージ測定結果を示す写真である。
図11】比較例1-1で製造された積層型キャパシタの走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
図12】実施例3で製造された積層型キャパシタの走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付した図面を参照して本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように本発明の実施例を詳しく説明する。図面において、本発明を明確に説明するために、説明上不要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付した。また、添付した図面は、本明細書に開示された実施例を容易に理解できるようにするためのものに過ぎず、添付した図面により本明細書に開示された技術的な思想が制限されず、本発明の思想および技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むものと理解されなければならない。
【0026】
第1、第2などのように序数を含む用語は、多様な構成要素を説明することに使用され得るが、前記構成要素は前記用語により限定されない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみで使用される。
【0027】
ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いるか、または「接続されて」いると言及された時には、その他の構成要素に直接的に連結されているか、接続されているか、または対向していることもできるが、中間に他の構成要素が存在することもできると理解されなければならない。反面、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」いるか、または「直接接続されて」いると言及された時には、中間に他の構成要素が存在しないと理解されなければならない。
【0028】
明細書全体において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段層、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段層、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないものと理解されなければならない。したがって、ある部分がある構成要素を「含む」という時、これは特に反対になる記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0029】
図1は一実施例による積層型キャパシタ100を示す斜視図であり、図2図1のI-I’線に沿って切断した積層型キャパシタ100の断面図であり、図3図1のキャパシタボディ110で内部電極の積層構造を示した分離斜視図である。
【0030】
本実施例を明確に説明するために方向を定義すれば、図面に表示されたL軸、W軸およびT軸は、それぞれキャパシタボディ110の長さ方向、幅方向および厚さ方向を示す。ここで、厚さ方向(T軸方向)は、シート形状の構成要素の広い面(周面)と垂直な方向であり得、一例として誘電体層111が積層される厚さ方向と同一の概念で使用することができる。長さ方向(L軸方向)は、シート形状の構成要素の広い面(周面)と平行に延長される方向であって、厚さ方向(T軸方向)とほぼ垂直な方向になり得、一例として両側に第1および第2外部電極131、132が位置する方向であり得る 。幅方向(W軸方向)は、シート形状の構成要素の広い面(周面)と平行に延長される方向であって、厚さ方向(T軸方向)および長さ方向(L軸方向)とほぼ垂直な方向であり得、シート形状の構成要素の長さ方向(L軸方向)の長さは幅方向(W軸方向)の長さより長くてもよい。
【0031】
図1乃至図3を参照すれば、本実施例による積層型キャパシタ100は、キャパシタボディ110、そしてキャパシタボディ110の長さ方向(L軸方向)に対向する両端に配置される第1および第2外部電極131、132を含むことができる。
キャパシタボディ110は、一例として、ほぼ六面体形状であり得る 。
【0032】
本実施例では、説明の便宜のために、キャパシタボディ110で厚さ方向(T軸方向)に互いに対向する両面を第1および第2面、第1および第2面と連結され、長さ方向(L軸方向)に互いに対向する両面を第3および第4面、第1および第2面と連結され、第3および第4面と連結され、幅方向(W軸方向)に互いに対向する両面を第5および第6面と定義する。一例として、下面である第1面が実装方向に向かう面になることができる。
【0033】
キャパシタボディ110の形状、サイズおよび誘電体層111の積層数は、本実施例の図面に示されたものに限定されるものではない。
【0034】
キャパシタボディ110は、複数の誘電体層111を厚さ方向(T軸方向)に積層した後に焼成したものであり、複数の誘電体層111と、誘電体層111を間に置いて厚さ方向(T軸方向)に交互に配置される複数の第1および第2内部電極121、122を含む。この時、第1および第2内部電極121、122は互いに異なる極性を有することができる。
【0035】
この時、キャパシタボディ110の互いに隣接するそれぞれの誘電体層111の間の境界は、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認し難い程度に一体化され得る。
【0036】
また、キャパシタボディ110は、アクティブ領域とカバー部112、113を含むことができる。
【0037】
アクティブ領域は、積層型キャパシタ100の容量形成に寄与する部分である。一例として、アクティブ領域は、厚さ方向(T軸方向)に沿って積層される第1および第2内部電極121、122が重なった(overlap)領域であり得る。
【0038】
カバー部112、113は、マージン部として厚さ方向(T軸方向)にアクティブ領域の第1面および第2面側にそれぞれ位置することができる。このようなカバー部112、113は、単一の誘電体層111または2個以上の誘電体層111がアクティブ領域の上面および下面にそれぞれ積層されたものであり得る。
【0039】
また、キャパシタボディ110は、側面カバー領域をさらに含むことができる。側面カバー領域は、マージン部として幅方向(W軸方向)にアクティブ領域の第5面および第6面側にそれぞれ位置することができる。このような側面カバー領域は、誘電体グリーンシート表面に内部電極形成用導電性ペースト層を塗布する時、誘電体グリーンシート表面の一部領域にのみ導電性ペースト層を塗布し、誘電体グリーンシート表面の両側面には導電性ペースト層を塗布していない誘電体グリーンシートを積層した後、焼成することにより形成され得る。
【0040】
カバー部112、113と側面カバー領域は、物理的または化学的ストレスによる第1および第2内部電極121、122の損傷を防止する役割を果たす。
【0041】
一例として、誘電体層111は、高誘電率のセラミック材料を含むことができる。例えば、セラミック材料は、BaTiO、CaTiO、SrTiO、またはCaZrOなどの成分を含む誘電体セラミックを含むことができる。また、これら成分にMn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物、Ni化合物などの補助成分をさらに含むことができる。例えば、BaTiO系誘電体セラミックにCa、Zrなどが一部固溶された(Ba1-xCa)TiO、Ba(Ti1-yCa)O、(Ba1-xCa)(Ti1-yZr)OまたはBa(Ti1-yZr)Oなどを含むことができる。
【0042】
また、誘電体層111にはセラミック粉末と共に、セラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤および分散剤などがさらに添加され得る。セラミック添加剤は、例えば遷移金属酸化物または遷移金属炭化物、希土類元素、マグネシウム(Mg)またはアルミニウム(Al)などを使用することができる。
一例として、誘電体層111の平均厚さは、0.5μm乃至10μmであり得る。
【0043】
第1および第2内部電極121、122は、互いに異なる極性を有する電極であり、誘電体層111を間に置いて厚さ方向(T軸方向)に沿って互いに対向するように交互に配置され、一端がキャパシタボディ110の第3および第4面を通じてそれぞれ露出することができる。
【0044】
第1および第2内部電極121、122は、中間に配置された誘電体層111により互いに電気的に絶縁され得る。
【0045】
キャパシタボディ110の第3および第4面を通じて交互に露出する第1および第2内部電極121、122の端部は、第1および第2外部電極131、132とそれぞれ接続されて電気的に連結され得る。
【0046】
第1および第2内部電極121、122は、導電性金属を含み、例えばNi、Cu、Ag、Pd、またはAuなどの金属やこれらの合金、例えばAg-Pd合金を含むことができる。
【0047】
また、第1および第2内部電極121、122は、誘電体層111に含まれるセラミック材料と同一の組成系の誘電体粒子を含むこともできる。
【0048】
第1および第2内部電極121、122は、導電性金属を含む導電性ペーストを使用して形成され得る。導電性ペーストの印刷方法は、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを利用することができる。
【0049】
一例として、第1および第2内部電極121、122の平均厚さは、0.1μm乃至2μmであり得る。
【0050】
第1および第2外部電極131、132は、互いに異なる極性の電圧が提供され、第1および第2内部電極121、122の露出する部分とそれぞれ接続されて電気的に連結され得る。
【0051】
前述のような構成により、第1および第2外部電極131、132に所定の電圧を印加すると互いに対向する第1および第2内部電極121、122の間に電荷が蓄積される。この時、積層型キャパシタ100の静電容量は、アクティブ領域でT軸方向に沿って互いに重なる第1および第2内部電極121、122のオーバーラップされた面積と比例するようになる。
【0052】
第1および第2外部電極131、132は、キャパシタボディ110の第3面および第4面にそれぞれ配置されて第1および第2内部電極121、122と接続する第1接続部および第2接続部と、キャパシタボディ110の第1面および第2面と第3面および第4面とが会う角部に配置される第1バンド部および第2バンド部をそれぞれ含むことができる。
【0053】
第1バンド部および第2バンド部は、第1接続部および第2接続部でキャパシタボディ110の第1面および第2面の一部までそれぞれ延長され得る。第1バンド部および第2バンド部は、第1接続部および第2接続部でキャパシタボディ110の第5面および第6面の一部までそれぞれさらに延長され得る。第1バンド部および第2バンド部は、第1および第2外部電極131、132の固着強度を向上させるなどの役割を果たす。
【0054】
図4図2のIII領域を拡大した断面図であり、第2外部電極132とキャパシタボディ110の接合境界領域を拡大して模式的に示す断面図である。図4では第2外部電極132のみについて示しているが、第1外部電極131も図4と類似の特徴を有している。以下、図4を参照して、本実施例の第1および第2外部電極131、132について詳細に説明する。
【0055】
第1および第2外部電極131、132は、導電性金属1321aおよびガラス1321bを含む第1層1321を含む。第1および第2外部電極131、132の第1層1321は、キャパシタボディ110の外面(第3面および4面)に接して配置され得る。
【0056】
第1および第2外部電極131、132は、単一の電極層で構成されてもよく、複数の電極層を積層して構成されることもできる。一例として、複数の電極層で第1および第2外部電極131、132を構成する場合、第1および第2外部電極131、132は、キャパシタボディ110と接触する第1層1321、第1層1321を覆うように配置される第2層、および/または第3層を含むことができる。
【0057】
ガラス1321bは、SiOからなるガラス成分と、B-BaO-ZnOからなるガラス成分、例えばBaZn(BOとの混合物であり得る。また、ガラス1321bは、前述した主要元素(B、Si、Ba、Zn、O)以外に微量元素をさらに含むことができる。微量元素は、例えばAl、希土類元素、Zr、Mn、Ca、Mg、Ti、K、またはNaなどが挙げられる。微量元素の合計含有量は、酸素(O)を除いた主要元素の合計含有量1.0モル部に対して0.20モル部以下であり得る。
【0058】
一例として、ガラス1321bは、バリウム(Ba)、シリコン(Si)、ホウ素(B)、亜鉛(Zn)、カルシウム(Ca)およびアルミニウム(Al)を含む酸化物を含むことができる。
【0059】
この時、ガラス1321bは、バリウム(Ba)の重量比率がシリコン(Si)の重量比率より大きくてもよい。ここで、バリウム(Ba)の重量比率は、ガラス1321b全体重量に対するバリウム(Ba)の重量%であり、シリコン(Si)の重量比率は、ガラス1321b全体重量に対するシリコン(Si)の重量%であり得る。例えば、ガラス1321bは、バリウム(Ba)の重量比率がシリコン(Si)の重量比率より2倍、3倍、または4倍以上大きくてもよい。
【0060】
また、ガラス1321bは、ホウ素(B)の重量比率がシリコン(Si)の重量比率より大きくてもよい。ここで、ホウ素(B)の重量比率は、ガラス1321b全体重量に対するホウ素(B)の重量%であり得る。例えば、ガラス1321bは、ホウ素(B)の重量比率がシリコン(Si)の重量比率より2倍、または3倍以上大きくてもよい。
【0061】
また、ガラス1321bは、亜鉛(Zn)の重量比率がシリコン(Si)の重量比率より大きくてもよい。ここで、亜鉛(Zn)の重量比率は、ガラス1321b全体重量に対する亜鉛(Zn)の重量%であり得る。例えば、ガラス1321bは、亜鉛(Zn)の重量比率がシリコン(Si)の重量比率より2倍、3倍、または4倍以上大きくてもよい。選択的に、ガラス1321bは、亜鉛(Zn)の重量比率がシリコン(Si)の重量比率より小さくてもよい。
また、ガラス1321bは、ストロンチウム(Sr)は含まなくてもよい。
【0062】
ガラス1321bがこのような組成を有する場合、流動性およびぬれ性(wetting)に優れるようになり、そのためにガラス1321bが誘電体層111のセラミック材料との反応を通じて第1および第2外部電極131、132の第1層1321と誘電体層111とが会う部分にガラス部133を形成させ、誘電体層111と第1および第2内部電極121、122との間の空いた空間にも浸透してガラス部133の延長部分133aを形成させることができる。
【0063】
この時、誘電体層111は、BaTiO 100モルに対してTbを0.2モル以上1モル未満含むことができる。誘電体層111がTbをさらに含む場合、誘電体層111のガラス1321bに対するぬれ性を向上させて、ガラス1321bが誘電体層111と第1および第2内部電極121、122との間の空いた空間に浸透してガラス部133の延長部分133aをより良好に形成させるようにすることができる。
【0064】
第1および第2外部電極131、132、誘電体層111、および第1および第2内部電極121、122が互いに会う境界部分は、各材料の特性の違いにより空隙(pore)や欠陥(defect)などが発生しやすい部分である。このような空隙および欠陥を通じて水分子が誘電体層111内部に浸透すると絶縁抵抗を減少させて耐湿特性が低下する。
【0065】
前述のように、第1および第2内部電極121、122の金属と誘電体層111のセラミック材料とが会う境界層でガラス1321bが空いた空間を全部緻密に埋めることにより欠陥として作用し得る空いた空間を全部満たして水分が浸透することができる経路を根本的に遮断して耐湿特性を改善させることができる。
【0066】
第1層1321のガラス部133と延長部分133aは、積層型キャパシタ100の幅方向(W軸方向)と垂直ないずれか一断面、例えば幅方向の中央(1/2地点)で幅方向(W軸方向)と垂直に長さ方向(L軸方向)と厚さ方向(T軸方向)に切断した断面を走査電子顕微鏡(SEM)または走査透過電子顕微鏡(STEM)などにより観察することにより分析することができる。例えば、導電性金属1321aまたはガラス1321bの組成は、断面観察時に電子線マイクロアナライザー(EPMA)による成分分析を通じて測定することができる。成分分析は、少なくとも3個位置以上で実施して測定結果の平均値により組成を算出することができる。電子線マイクロアナライザー(EPMA)で成分分析などを行う場合、X線分光器として、EDS(エネルギー分散型分光器)、またはWDS(波長分散型分光器)などを使用することができる。
【0067】
また、導電性金属1321aの面積比率は、SEMまたはSTEMなどの断面観察により得られた断面写真を画像分析することにより測定することができる。SEMの反射電子像やSTEMのHAADF像などで第1層1321の断面を観察した場合、金属結合を有する導電性金属1321aはコントラストの明るい部分と認識することができ、ガラス1321bなどの非金属成分(その他、空隙や酸化物も含む)はコントラストの暗い部分と認識することができる。したがって、第1層1321の断面で占める導電性金属1321aの面積比率は、断面写真を二進化するなど、測定視野全体の面積に対するコントラストが明るい部分の面積比率で算出することができる。また、その測定は、少なくとも5視野以上で実施してその平均値を算出することができる。
【0068】
図4に示されているように、第1層1321と誘電体層111とが会う部分にはガラス部133が位置する。ガラス部133は、誘電体層111のL軸方向端部に位置し、第1層1321が第3および第4面から第1面および第2面または第5および第6面の一部にかけて形成されている場合、ガラス部133も第1面および第2面または第5および第6面の一部にも位置することができる。
【0069】
ガラス部133は、第1および第2内部電極121、122との界面部分には位置しなくてもよい。つまり、第1および第2内部電極121、122は、ガラス部133の間を貫通して第3および第4面に露出し、露出した第1および第2内部電極121、122の端部が第1および第2外部電極131、132の第1層1321と電気的に連結され得る。ただし、T軸方向とW軸方向の面をL軸方向で観察した場合、キャパシタボディ110の第3面または第4面では、ガラス部133が第1および第2内部電極121、122のL軸方向の端部の一部を覆っている部分が存在することができる。また、第1層1321の導電性金属1321aのうちの一部がガラス部133の内部に位置することができ、ガラス部133と第1層1321に含まれているガラス1321bとの間の接合境界は不明瞭になることができる。
【0070】
一例として、ガラス部133のL軸方向の平均長さ(平均厚さ)は、1μm乃至10μmであり得、例えば3μm乃至8μmであり得る。
【0071】
ガラス部133は、誘電体層111と第1および第2内部電極121、122との間に沿ってキャパシタボディ110内部に延長された延長部分133aを有する。ただし、全てのガラス部133が延長部分133aを有するのではなく、一部のガラス部133のみが延長部分133aを有することもできる。
【0072】
一例として、ガラス部133の延長部分133aは、第1および第2外部電極131、132、誘電体層111、および第1および第2内部電極121、122が互いに会う境界部分に各材料の特性の違いにより発生した空隙や欠陥などの空いた空間を第1層1321のガラス1321bが浸透して満たすことにより形成され得る。そのために、積層型キャパシタ100のW軸方向と垂直ないずれか一断面で観察する時、ガラス部133の延長部分133aは、ガラス部133のT軸方向終端が誘電体層111と第1および第2内部電極121、122との間に沿って浸透した形状を有することができる。
【0073】
ガラス部133が第1層1321と誘電体層111とが会う部分に位置し、ガラス部133が誘電体層111と第1および第2内部電極121、122との間に沿ってキャパシタボディ110内部に延長された延長部分133aを有することにより、ガラス部133は誘電体層111の端部を囲むことができる。例えば、キャパシタボディ110の第3および第4面で第1および第2内部電極121、122の間に位置する誘電体層111のL軸方向端部とその角部は実質的にガラス部133により全て覆われ得る。そのために、T軸方向とW軸方向の面をL軸方向でみた時、第1および第2内部電極121、122の間に位置する誘電体層111はガラス部133の間に露出されないことができる。
【0074】
一方、第1層1321の導電性金属1321aは、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタニウム(Ti)、鉛(Pb)、これらの合金、またはこれらの組み合わせを含むことができ、例えば銅(Cu)は、銅(Cu)合金を含むことができる。導電性金属1321aが銅を含む場合、銅以外の金属は銅100モル部に対して5モル部以下で含まれ得る。
【0075】
第1層1321で導電性金属1321aとガラス1321bの含有量は、特に限定されないが、例えば積層型キャパシタ100のW軸方向の中央(1/2地点)でW軸方向と垂直にL軸方向およびT軸方向に切断した断面での導電性金属1321aの平均面積比率は、第1層1321の単位面積に対して30%乃至90%、または70%乃至90%であり得る。
【0076】
ここで、導電性金属1321aの平均面積比率は、前記SEMまたはSTEMなどの断面写真で第1層1321内に位置する横1μm乃至100μmおよび縦1μm乃至100μm、例えば10μm×2μmサイズの単位面積内で測定することができる。単位面積は、第1層1321内の任意の位置に位置することができ、例えば第1層1321の第1および第2接続部、第1および第2バンド部、およびこれらの間の角部に位置することができる。ただし、単位面積全体は全て第1層1321内に位置しなければならない。導電性金属1321aの平均面積比率は、第1層1321内に位置する複数の単位面積での導電性金属1321aの面積比率の算術平均値であり得、例えば第1層1321の第1および第2接続部、第1および第2バンド部、およびこれらの間の角部に位置する単位面積で測定した導電性金属1321aの面積比率の算術平均値であり得る。
【0077】
第1および第2内部電極121、122は、第1層1321との界面部分に位置する第1合金部122aを含むことができる。第1合金部122aは、第1および第2内部電極121、122のL軸方向端部に位置することができる。
【0078】
第1合金部122aは、第1層1321に含まれている導電性金属1321aと第1および第2内部電極121、122に含まれている金属との合金を含むことができる。一例として、第1層1321の導電性金属1321aが銅(Cu)を含み、第1および第2内部電極121、122がニッケル(Ni)を含む場合、第1合金部122aは、銅(Cu)とニッケル(Ni)の合金を含むことができる。第1合金部122aは、第1層1321に含まれている導電性金属1321aと第1および第2内部電極121、122に含まれている金属との合金を含むことにより、より緻密な組織を作ることで、水分浸透を防止することにより耐湿特性をより改善させることができる。
【0079】
第1合金部122aは、合金のみを含むものではなく、第1層1321に含まれている導電性金属1321aと、第1および第2内部電極121、122に含まれている金属をさらに含むことができる。第1合金部122a内で合金、第1層1321の導電性金属1321a、および第1および第2内部電極121、122に含まれている金属の含有量は変化され得る。つまり、第1合金部122aでL軸方向にキャパシタボディ110の内側により近い側は第1および第2内部電極121、122に含まれている金属をより多く含むことができ、第1層1321により近い側は第1層1321に含まれている導電性金属1321aをより多く含むことができ、これらの含有量は濃度勾配を有して漸進的に変化され得る。そのために、第1合金部122aと第1および第2内部電極121、122に含まれている金属との境界、または第1合金部122aと第1層1321との境界は不明瞭になることができる。ただし、第1合金部122aは、第1および第2内部電極121、122と第1層1321にかけて導電性金属1321aと第1および第2内部電極121、122に含まれている金属との合金を含む領域に区分され得る。
【0080】
第1合金部122aが第1層1321内部に拡散された領域を第2合金部と定義することができる。そのために、第1層1321は、内部電極121、122との界面部分に位置し、合金を含む第2合金部をさらに含むことができる。一例として、第2合金部は、ガラス部133とこれに隣接した他のガラス部133との間に位置することができ、L軸方向にガラス部133を越えて第1層1321側にさらに拡散されて、T軸方向とW軸方向の面をL軸方向でみた時、キャパシタボディ110の第3面または第4面では、第2合金部が一部ガラス部133のL軸方向の端部を覆っている部分が存在することもできる。
【0081】
一例として、第1および第2内部電極121、122のL軸方向の一側端からキャパシタボディ110の内側に第1合金部122aのL軸方向長さは、0.5μm乃至5μmであり得る。この時、第1および第2内部電極121、122のL軸方向の一側端は、例えば第1および第2内部電極121、122に隣接して位置する誘電体層111とガラス部133との境界と定義することができる。
【0082】
第1合金部122aが存在する場合、例えばガラス部133の延長部分133aは第1合金部122aと誘電体層111との間に位置することができる。第1合金部122aは、第1層1321に含まれている導電性金属1321aと第1および第2内部電極121、122に含まれている金属との合金として、より緻密な組織を作って水分浸透を防止し、ガラス部133の延長部分133aは、第1および第2内部電極121、122の金属と誘電体層111のセラミック材料とが会う境界層で空いた空間を緻密に埋めることにより欠陥として作用し得る空いた空間を全部満たして水分が浸透することができる経路を根本的に遮断して耐湿特性をより改善させることができる。
【0083】
一方、誘電体層111は、ガラス1321bが誘電体層111内部に拡散されたガラス拡散領域111aをさらに含むことができる。ガラス拡散領域111aは、誘電体層111のL軸方向端部に位置することができ、例えば誘電体層111が第1層1321のガラス部133との界面部分に位置することができる。
【0084】
一例として、ガラス拡散領域111aは、セラミック材料の結晶粒の間の空いた空間にガラス1321bが浸透した構造を有することができ、これにより誘電体層111内部に水分が浸透することができる経路を遮断して耐湿特性をより改善させることができる。
【0085】
ガラス拡散領域111a内でセラミック材料とガラス1321bの含有量は変化され得る。つまり、ガラス拡散領域111aでガラス部133と近い側からガラス部133と遠くなる方向に、つまり、キャパシタボディ110の内側方向にガラス1321bの含有量が減少することができ、例えばガラス1321bの含有量は濃度勾配を有して漸進的に減少することができる。そのために、ガラス拡散領域111aとガラス部133との間の境界は不明瞭になることができる。ただし、ガラス拡散領域111aは、誘電体層111のセラミック材料とガラス1321bとの混合物を含む領域に区分され得る。
【0086】
一例として、誘電体層111のL軸方向の一側端からキャパシタボディ110の内側にガラス拡散領域111aのL軸方向長さは、0.5μm乃至5μmであり得る。この時、ガラス拡散領域111aのL軸方向の一側端は、例えば誘電体層111と第1層1321のガラス部133との境界と定義することができる。
【0087】
ガラス拡散領域111aが存在する場合、ガラス部133の延長部分133aは、第1合金部122aとガラス拡散領域111aとの間に位置することができる。ガラス拡散領域111aは、セラミック材料の結晶粒の間の空いた空間を埋めて誘電体層111内部に水分が浸透することができる経路を遮断し、第1合金部122aは、第1層1321に含まれている導電性金属1321aと第1および第2内部電極121、122に含まれている金属との合金を含むことにより緻密な組織を作って水分浸透を防止し、ガラス部133の延長部分133aは、第1合金部122aとガラス拡散領域111aとの間の空いた空間を緻密に埋めることにより欠陥として作用し得る空いた空間を全部満たして水分が浸透することができる経路を根本的に遮断して耐湿特性をより改善させることができる。
【0088】
一例として、第1層1321は、導電性金属1321aおよびガラス1321bを含む導電性ペーストにキャパシタボディ110をディッピングして形成したり、導電性ペーストをキャパシタボディ110の表面にスクリーン印刷法またはグラビア印刷法などで印刷したり、導電性ペーストをキャパシタボディ110の表面に塗布したりまたは導電性ペーストを乾燥させた乾燥膜をキャパシタボディ110上に転写して形成することができる。
【0089】
第1層1321を前述した導電性ペーストで形成することにより、十分な導電性を維持しながらも、添加したガラス1321bにより第1および第2外部電極131、132の緻密度を高めることによりメッキ液および/または外部水分の浸透を効果的に抑制することができる。
【0090】
前述のように、第1および第2外部電極131、132は、複数の電極層を積層して構成されることもでき、例えば第1層1321を覆うように配置される第2層、および/または第3層をさらに含むことができる。
【0091】
第2層は、第1層1321の上に形成され、例えば第1層1321を完全に覆う形態に形成され得る。
【0092】
第2層は、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、またはこれらの混合物を含む導電性金属1321aとベース樹脂を含むことができる。
【0093】
第2層に含まれるベース樹脂は、接合性および衝撃吸水性を有し、導電性金属粉末と混合してペーストを作ることができるものであれば特に制限されず、例えばエポキシ系樹脂を含むことができる。
【0094】
第2層に含まれる導電性金属は、第1層1321と電気的に連結され得る材質であれば特に制限されず、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、またはこれらの混合物を含むことができる。
【0095】
第2層は、キャパシタボディ110の第1面および第2面に延長され、第2層がキャパシタボディ110の第1面および第2面に延長して配置された領域の長さは、第1層1321がキャパシタボディ110の第1面および第2面に延長して配置された領域の長さより長くてもよい。つまり、第2層は、第1層1321の上に形成され、第1層1321を完全に覆う形態に形成され得る。
【0096】
第3層は、ニッケル(Ni)を主成分として含有することができ、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、タングステン(W)、チタニウム(Ti)または鉛(Pb)などの単独またはこれらの合金をさらに含むことができる。第3層は、積層型キャパシタ100の基板との実装性、構造的信頼性、外部に対する耐久度、耐熱性および等価直列抵抗値(Equivalent Series Resistance、ESR)を改善することができる。
【0097】
一例として、第3層は、メッキにより形成され得る。第3層は、スパッタまたは電解メッキ(ElectricD eposition)により形成され得る。
【0098】
他の実施例による積層型キャパシタの製造方法は、誘電体グリーンシート表面に導電性ペースト層を形成し、誘電体グリーンシートを積層して誘電体グリーンシート積層体を製造し、誘電体グリーンシート積層体を焼成してキャパシタボディを製造し、そしてキャパシタボディの外側に外部電極を形成する。
【0099】
まず、キャパシタボディの製造について説明する。キャパシタボディの製造工程では、焼成後に誘電体層になる誘電体用ペーストと、焼成後に内部電極になる導電性ペーストとを準備する。
【0100】
誘電体用ペーストは、例えば次のような方法で製造する。セラミック材料を湿式混合などの手段により均一に混合し、乾燥させた後、所定の条件で熱処理することにより、可塑粉末を得る。得られた可塑粉末に、有機ビヒクルまたは水系ビヒクルを追加して混練して誘電体用ペーストを調製する。
【0101】
得られた誘電体用ペーストをドクターブレード法などの技法によりシート化することにより、誘電体グリーンシートを得る。また、誘電体用ペーストには、必要に応じて各種分散剤、可塑剤、誘電体、副成分化合物、またはガラスなどから選択される添加物が含まれ得る。
【0102】
内部電極用導電性ペーストは、導電性金属またはその合金からなる導電性粉末とバインダーや溶剤を、混練して調製する。内部電極用導電性ペーストには、必要に応じて共材としてセラミック粉末(例えばチタン酸バリウム粉末)が含まれ得る。共材は、焼成過程で導電性粉末の焼結を抑制する作用をすることができる。
【0103】
誘電体グリーンシート表面に、スクリーン印刷などの各種印刷法や転写法により、内部電極用導電性ペーストを所定のパターンで塗布する。そして内部電極パターンを形成した誘電体グリーンシートを複数層にかけて積層した後、積層方向にプレスすることにより誘電体グリーンシート積層体を得る。この時、誘電体グリーンシート積層体の積層方向の上面および下面には、誘電体グリーンシートが位置するように、誘電体グリーンシートと内部電極パターンを積層することができる。
【0104】
選択的に、得られた誘電体グリーンシート積層体をダイシングなどにより所定のサイズに切断することができる。
【0105】
また、誘電体グリーンシート積層体は、必要に応じて可塑剤などを除去するために固化乾燥することができ、固化乾燥後に水平遠心バレル機などを利用してバレル研磨することができる。バレル研磨では、誘電体グリーンシート積層体をメディアおよび研磨液と共に、バレル容器内に投入してそのバレル容器に対して回転運動や振動などを付与することにより、切断時に発生したバリなどの不必要な部分を研磨することができる。またバレル研磨後、誘電体グリーンシート積層体は、水などの洗浄液で洗浄して乾燥され得る。
【0106】
誘電体グリーンシート積層体を脱バインダー処理および焼成処理してキャパシタボディを得る。
【0107】
脱バインダー処理の条件は、誘電体層の主成分組成や内部電極の主成分組成により適切に調節することができる。例えば、脱バインダー処理時の昇温速度は5℃/時間乃至300℃/時間、保持温度は180℃乃至400℃、温度維持時間は0.5時間乃至24時間であり得る。脱バインダー雰囲気は空気または還元性雰囲気であり得る。
【0108】
焼成処理の条件は、誘電体層の主成分組成や内部電極の主成分組成により適切に調節することができる。例えば、焼成時の温度は1200℃乃至1350℃、または1220℃乃至1300℃であり得、時間は0.5時間乃至8時間、または1時間乃至3時間であり得る。焼成雰囲気は還元性雰囲気であり得、例えば窒素ガス(N)と水素ガス(H)の混合ガスを加湿した雰囲気であり得る。内部電極がニッケル(Ni)またはニッケル(Ni)合金を含む場合、焼成雰囲気中の酸素分圧は1.0×10-14MPa乃至1.0×10-10MPaであり得る。
【0109】
焼成処理後には、必要に応じてアニーリングを実施することができる。アニーリングは、誘電体層を再酸化させるための処理であり、焼成処理を還元性雰囲気で実施した場合には、アニーリングを実施することができる。アニーリング処理の条件も誘電体層の主成分組成などにより適切に調節することができる。例えば、アニーリング時の温度は950℃乃至1150℃であり得、時間は0時間乃至20時間であり得、昇温速度は50℃/時間乃至500℃/時間であり得る。アニーリング雰囲気は加湿した窒素ガス(N)雰囲気であり得、酸素分圧は1.0×10-9MPa乃至1.0×10-5MPaであり得る。
【0110】
脱バインダー処理、焼成処理、またはアニーリング処理において、窒素ガスや混合ガスなどを加湿するためには、例えばウェッター(wetter)などを使用することができ、この場合、水温は5℃乃至75℃であり得る。脱バインダー処理、焼成処理、およびアニーリング処理は、連続して行うこともでき、独立して行うこともできる。
【0111】
選択的に、得られたキャパシタボディの第3面および第4面に対して、サンドブラスト処理、レーザ照射、またはバレル研磨などの表面処理を実施することができる。このような表面処理を実施することにより、第3面および第4面の最表面に内部電極の端部が露出することができ、そのために外部電極と内部電極の電気的接合が良好に行われ、第1合金部が形成されやすくなり得る。
【0112】
得られたキャパシタボディの外面に、外部電極の第1層用ペーストを塗布して焼結させることにより、第1層を形成すると同時に第1層と誘電体層とが会う部分にガラス部を形成する。また、この過程で第1層に含まれている導電性金属と内部金属に含まれている金属とが会いながら合金層も形成される。
【0113】
第1層用ペーストは、導電性金属とガラスフリットを含むことができる。
導電性金属に関する説明は、前述と同様であるため、反復的な説明は省略する。
【0114】
ガラスフリットは、SiOからなるガラス成分と、B-BaO-ZnOからなるガラス成分、例えばBaZn(BOとの混合物であり得る。また、ガラスフリットは、前述した主要元素(B、Si、Ba、Zn、O)以外に微量元素をさらに含むことができる。微量元素は、例えばAl、希土類元素、Zr、Mn、Ca、Mg、Ti、K、またはNaなどが挙げられる。微量元素の合計含有量は、酸素(O)を除いた主要元素の合計含有量1.0モル部に対して0.20モル部以下であり得る。
【0115】
一例として、ガラスフリットは、BaO 23.2モル%乃至33.2モル%、SiO 2.2モル%乃至12.2モル%、B 19モル%乃至29モル%、ZnO 23.3モル%乃至33.3モル%、CaO 3.6モル%乃至13.6モル%、およびAl 0モル%乃至8.8モル%を含む第1ガラスフリットであり得る。第1ガラスフリットは、BaO 25.7モル%乃至30.7モル%、SiO 4.7モル%乃至9.7モル%、B 21.5モル%乃至26.5モル%、ZnO 25.8モル%乃至30.8モル%、CaO 6.1モル%乃至11.1モル%、およびAl 1.3モル%乃至6.3モル%、またはBaO 27.2モル%乃至29.2モル%、SiO 6.2モル%乃至8.2モル%、B 23モル%乃至25モル%、ZnO 27.3モル%乃至29.3モル%、CaO 7.6モル%乃至9.6モル%、およびAl 2.8モル%乃至4.8モル%を含むことができる。
【0116】
または、ガラスフリットは、BaO 32.3モル%乃至42.3モル%、SiO 4.5モル%乃至14.5モル%、B 26.8モル%乃至36.8モル%、ZnO 0モル%乃至10モル%、CaO 6.3モル%乃至16.3モル%、およびAl 0モル%乃至5モル%を含む第2ガラスフリットであり得る。第2ガラスフリットは、BaO 34.8モル%乃至39.8モル%、SiO 7モル%乃至12モル%、B 29.3モル%乃至34.3モル%、ZnO 2.5モル%乃至7.5モル%、CaO 8.8モル%乃至13.8モル%、およびAl 2.5モル%乃至7.5モル%、またはBaO 36.3モル%乃至38.3モル%、SiO 8.5モル%乃至10.5モル%、B 30.8モル%乃至32.8モル%、ZnO 4モル%乃至6モル%、CaO 10.3モル%乃至12.3モル%、およびAl 4モル%乃至6モル%を含むことができる。
【0117】
または、ガラスフリットは、第1ガラスフリットと第2ガラスフリットを1:0.1乃至1:100、例えば1:0.1乃至1:50、1:0.1乃至1:10、または1:1乃至1:5の体積比で含むことができる。
また、ガラスフリットは、SrOは含まなくてもよい。
【0118】
また、第1層用ペーストは、選択的にバインダー、溶剤、分散剤、可塑剤、または酸化物粉末などの副成分を含むことができる。例えば、バインダーは、エチルセルロース、アクリル、またはブチラール(butyral)などを使用することができ、溶剤は、テルピネオール、ブチルカルビトール、アルコール、メチルエチルケトン、アセトン、またはトルエンなどの有機溶剤や、水系溶剤を使用することができる。
【0119】
第1層用ペーストをキャパシタボディ外面に塗布する方法としては、ディップ法、またはスクリーン印刷などの各種印刷法、ディスペンサーなどを利用した塗布法、またはスプレーを利用した噴霧法などを使用することができる。第1層用ペーストは、少なくともキャパシタボディの第3面および第4面に塗布され、選択的に外部電極が形成される第1面、第2面、第5面、または第6面の一部にも塗布され得る。
【0120】
以降、第1層用ペーストが塗布されたキャパシタボディを乾燥させ、700℃乃至1000℃の温度で0.1時間乃至3時間焼結させて、第1層を形成する。前述のように、この時に延長部分を有するガラス部も共に形成され得る。
【0121】
選択的に、得られたキャパシタボディの外面に、第2層用ペーストを塗布した後に硬化して、第2層を形成することができる。
【0122】
第2層用ペーストは、樹脂、および選択的に導電性金属または非伝導性フィラーを含むことができる。導電性金属と樹脂に関する説明は、前述と同様であるため、反復的な説明は省略する。また、第2層用ペーストは、選択的にバインダー、溶剤、分散剤、可塑剤、または酸化物粉末などの副成分を含むことができる。例えば、バインダーは、エチルセルロース、アクリル、またはブチラール(butyral)などを使用することができ、溶剤は、テルピネオール、ブチルカルビトール、アルコール、メチルエチルケトン、アセトン、またはトルエンなどの有機溶剤や、水系溶剤を使用することができる。
【0123】
一例として、第2層の形成方法は、第2層用ペーストにキャパシタボディ110をディッピングして形成した後に硬化したり、第2層用ペーストをキャパシタボディ110の表面にスクリーン印刷法またはグラビア印刷法などで印刷したり、第2層用ペーストをキャパシタボディ110の表面に塗布した後に硬化して形成することができる。
【0124】
次に、第1層または第2層の外側に第3層を形成する。
一例として、第3層は、メッキ法により形成され得、スパッタまたは電解メッキ(Electric Deposition)により形成されることもできる。
【0125】
以下、発明の具体的な実施例を提示する。ただし、下記に記載された実施例は発明を具体的に例示したり説明するためのものに過ぎず、これにより発明の範囲が制限されてはならない。
【0126】
[製造例:積層型キャパシタの製造]
チタン酸バリウム(BaTiO)粉末を含むペーストをキャリアフィルム(carrier film)の上に塗布した後、乾燥して誘電体グリーンシートを複数個製造する。この時、セラミック原料は副成分としてTbを含む。
【0127】
ニッケル(Ni)を含む導電性ペーストをスクリーン印刷を利用して誘電体グリーンシートの上に塗布して導電性ペースト層を形成する。
【0128】
導電性ペースト層の少なくとも一部が重なるようにしながら誘電体グリーンシートを複数層積層して誘電体グリーンシート積層体を製造する。
【0129】
誘電体グリーンシート積層体を個別チップの形態に切断した後、大気雰囲気で230℃、60時間維持して脱バインダーを行い、1200℃で焼成してキャパシタボディを製造する。
【0130】
次に、ガラスフリットと導電性金属として銅(Cu)を含む導電性ペーストをキャパシタボディの外面にディップ法で塗布して乾燥させる。導電性ペーストを塗布したキャパシタボディをそれぞれ735℃、760℃、800℃、830℃、および860℃で、0.5時間維持して第1層を形成する。
【0131】
また、第1層の上にニッケル(Ni)メッキ電極層を形成して、積層型キャパシタを製造する。
【0132】
この時、第1層の形成時に使用されたガラスフリットの種類を変更しながら比較例1、および実施例1乃至実施例3の積層型キャパシタを製造する。比較例1ではガラスフリットとして商業的に入手可能なナミックス社のB-275製品を使用し、実施例1では下表1のガラスフリット1を使用し、実施例2では下表1のガラスフリット2を使用し、実施例3ではガラスフリット1とガラスフリット2を1.95:7.55の体積比に混合したガラスフリットを使用する。
【0133】
【表1】
【0134】
[実験結果]
(実験例1:ガラスフリットの特性分析)
実施例1および実施例2で使用されたガラスフリット1およびガラスフリット2の400℃、450℃、500℃、550℃、600℃、650℃、700℃、750℃、800℃、および850℃でのアルミナ(Al)基板に対する接触角を測定し、その結果を図5に示す。
【0135】
また、比較例1、および実施例1乃至3で製造された積層型キャパシタをL軸方向およびT軸方向面(例えば、第5面)をW軸方向に沿って約1/2程度の深さで研磨した後、露出させた切断面で誘電体層および内部電極と、外部電極との連結部分をイオンミリング(Ion Milling)してサンプルを準備する。準備されたサンプルのバンド部で外部電極とキャパシタボディとの間の境界をSEMで観察し、EDSを利用して成分分析を行い、その結果を図6および図7に示す。
【0136】
図6および図7では使用されたガラスフリットのそれぞれに対して焼成温度が735℃、760℃、800℃、830℃、および860℃でのガラスフリットの拡散長さを確認することができる。
【0137】
図5乃至図7を参照すれば、ガラスフリットでSiの含有量が高い場合、ガラス自体の結合力が向上し、表面張力が増加して銅に対するぬれ性が減少し、そのために緻密度が低下することが分かる。
【0138】
また、ガラスフリットでBaの含有量が高い場合、ガラスの流動性が増加し、ガラスと銅との間の界面張力が減少して銅に対するぬれ性が増加し、そのために緻密度が増加することが分かる。
【0139】
また、Znは、ガラスのネットワーク(network)を生成することに助け、これはガラスフリットの粘度を減らし、ぬれ性(wetting)性を向上させることができる。
【0140】
追加的に、ガラスフリットがSiおよびZnを含む場合、導電性ペーストの焼結温度を効果的に低下させることができる。
【0141】
(実験例2:積層型キャパシタの特性分析)
実施例3および比較例1で製造された積層型キャパシタにおいて、カバレージ(coverage)測定、耐湿不良率測定、および走査電子顕微鏡(SEM)観察を実施し、その結果をそれぞれ図8乃至図11に示す。
【0142】
図8乃至図11で、比較例1-1と比較例1-2は、第1層に同じガラスフリットを使用するが、第1層の厚さが異なる場合を示す。比較例1-1は第1層の厚さが32.4±3.6μmである場合であり、比較例1-2は第1層の厚さが58.9±4.7μmである場合である。
【0143】
実施例3、比較例1-1、および比較例1-2で製造された積層型キャパシタをL軸方向およびT軸方向面(例えば、第5面)をW軸方向に沿って約1/2程度の深さで研磨した後、露出させた切断面で誘電体層および内部電極と、外部電極との連結部分をイオンミリング(Ion Milling)してサンプルを準備する。準備されたサンプルをSEMで観察し、EDSを利用して成分分析を行う。
【0144】
カバレージは、第1面および第2面と第3面および第4面とが会う角部で第1層の導電性金属の面積%を測定する。
【0145】
図8は比較例1-1で製造された積層型キャパシタのカバレージ測定結果を示す写真である。図8で32.4±3.6μmは第1層の厚さであり、85±5%はカバレージを示す。
【0146】
図9は比較例1-2で製造された積層型キャパシタのカバレージ測定結果を示す写真である。図9で58.9±4.7μmは第1層の厚さであり、89±4%はカバレージを示す。
【0147】
図10は実施例3で製造された積層型キャパシタのカバレージ測定結果を示す写真である。図10で25±2.7μmは第1層の厚さであり、95±3%はカバレージを示す。
【0148】
図8乃至図10を参照すれば、比較例1-1および比較例1-2で製造された積層型キャパシタの場合、第1層の厚さを増加させる場合にも角部カバレージが大きく向上しないが、実施例3で製造された積層型キャパシタの場合、第1層の厚さが25±2.7μmに最も小さいにも拘わらず優れたカバレージを示すことが分かる。
【0149】
耐湿不良率は、8585テストで特定温度(85℃)および湿度(85%)で適正電圧を加えて絶縁抵抗の変化を評価する方法で測定する。
【0150】
比較例1-1で製造された積層型キャパシタの耐湿不良率の測定結果、比較例1-1で製造された積層型キャパシタの不良率は2133ppmであり、不良個数は24pcsであり、評価個数は11,250である。
【0151】
比較例1-2で製造された積層型キャパシタの耐湿不良率の測定結果、比較例1-2で製造された積層型キャパシタの不良率は622ppmであり、不良個数は7pcsであり、評価個数は11,250である。
【0152】
実施例3で製造された積層型キャパシタの耐湿不良率の測定結果、実施例3で製造された積層型キャパシタの不良率は0ppmであり、不良個数は0pcsであり、評価個数は11,250である。
【0153】
つまり、実施例3で製造された積層型キャパシタは、比較例1-1および比較例1-2で製造された積層型キャパシタに比べて耐湿特性に優れていることを確認することができる。
【0154】
図11は比較例1-1で製造された積層型キャパシタの走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【0155】
図12は実施例3で製造された積層型キャパシタの走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【0156】
図11および図12を参照すれば、実施例3で製造された積層型キャパシタは、第1層と誘電体層とが会う部分に位置するガラス部を含み、ガラス部は、誘電体層と内部電極との間に沿ってキャパシタボディ内部に延長された延長部分を有することを確認することができる。また、内部電極は、第1層との界面部分に位置する第1合金部を含むことも確認することができる。
【0157】
以上を通じて本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるのではなく、特許請求の範囲と発明の説明および添付した図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属することは当然である。
【符号の説明】
【0158】
100:積層型キャパシタ
110:キャパシタボディ
111:誘電体層
111a:ガラス拡散領域
112、113:カバー領域
121:第1内部電極
122:第2内部電極
122a:第1合金部
131:第1外部電極
132:第2外部電極
1321:第1層
1321a:導電性金属
1321b:ガラスフリット
133:ガラス部
133a:延長部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12