(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088588
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】中間基板接続部を有するカンチレバー構造体
(51)【国際特許分類】
B81B 3/00 20060101AFI20240625BHJP
H04R 7/00 20060101ALI20240625BHJP
H04R 7/18 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
B81B3/00
H04R7/00 330
H04R7/18
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023179923
(22)【出願日】2023-10-19
(31)【優先権主張番号】63/433,763
(32)【優先日】2022-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/476,343
(32)【優先日】2023-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521287935
【氏名又は名称】エクスメムス ラブズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】任 頡
(72)【発明者】
【氏名】ジェム ユエ リヤーン
(72)【発明者】
【氏名】陳 文健
【テーマコード(参考)】
3C081
5D016
5D019
【Fターム(参考)】
3C081AA01
3C081BA03
3C081BA22
3C081BA43
3C081BA48
3C081BA53
3C081BA54
3C081BA55
3C081CA13
3C081DA02
3C081DA03
3C081DA09
3C081EA01
3C081EA03
3C081EA21
3C081EA22
3C081EA23
5D016FA03
5D019AA26
5D019BB02
5D019DD01
5D019DD03
5D019FF01
(57)【要約】
【課題】カンチレバー構造体のアンカー部が少なくとも1つの突出部を有し、製造プロセスのばらつきに対していくつかの特性の変化が少なくなるようにしたカンチレバー構造体および関連装置を提供することを課題とする。
【解決手段】カンチレバー構造体は、アンカー部とフィルム構造体とを含む。フィルム構造体は、キャビティを覆い、キャビティ内で振動する。フィルム構造体の長さは、フィルム構造体の幅よりも小さい。アンカー部は、キャビティに向かって突出する少なくとも1つの突出部を含み、フィルム構造体は、少なくとも1つの突出部によってアンカー部上に固定される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カンチレバー構造体であって、
アンカー部と、
フィルム構造体と
を備え、
前記フィルム構造体は、キャビティを覆い、前記キャビティ内で振動し、
前記フィルム構造体の長さは、前記フィルム構造体の幅よりも小さく、
前記アンカー部は、前記キャビティに向かって突出する少なくとも1つの突出部を含み、前記フィルム構造体は、前記少なくとも1つの突出部によって前記アンカー部上に固定される、
カンチレバー構造体。
【請求項2】
基板をさらに備え、前記キャビティが前記基板内に形成される、請求項1に記載のカンチレバー構造体。
【請求項3】
前記基板は、前記キャビティと、前記少なくとも1つの突出部を有する前記アンカー部とを形成するようにエッチングされる、請求項2に記載のカンチレバー構造体。
【請求項4】
前記フィルム構造体は、フィルム層内に形成され、
前記フィルム層には、前記フィルム構造体を囲むように少なくとも1つのスリットが形成されている、
請求項1に記載のカンチレバー構造体。
【請求項5】
前記アンカー部は、複数の突出部を含む、請求項1に記載のカンチレバー構造体。
【請求項6】
前記フィルム構造体は、前記アンカー部上に固定されたアンカー側を含み、
前記複数の突出部は、前記アンカー側に均等に分布している、
請求項5に記載のカンチレバー構造体。
【請求項7】
前記フィルム構造体の幅は、前記フィルム構造体の長さの2倍より大きい、請求項1に記載のカンチレバー構造体。
【請求項8】
前記少なくとも1つの突出部の各々は、第1の部分と第2の部分とを含み、前記第1の部分の第1の厚さは、前記第2の部分の第2の厚さよりも大きい、請求項1に記載のカンチレバー構造体。
【請求項9】
前記フィルム構造体は、前記第1の部分に直接接続されており、前記フィルム構造体は、前記第2の部分に直接接続されていない、請求項8に記載のカンチレバー構造体。
【請求項10】
前記フィルム構造体は、前記第2の部分と前記フィルム構造体との間の内側スリットによって前記第2の部分から分離される、請求項8に記載のカンチレバー構造体。
【請求項11】
前記第2の部分は、前記第1の部分と前記フィルム構造体との間にある、請求項8に記載のカンチレバー構造体。
【請求項12】
前記アンカー部は、ブロック状部分を含み、前記少なくとも1つの突出部は、前記ブロック状部分から前記キャビティに向かって突出し、前記第1の部分は、前記第2の部分と前記ブロック状部分との間にある、請求項8に記載のカンチレバー構造体。
【請求項13】
前記第1の部分は、上面図において前記第2の部分内に突出する、請求項8に記載のカンチレバー構造体。
【請求項14】
前記第2の部分の前記第2の厚さは、前記フィルム構造体の厚さと同じである、請求項8に記載のカンチレバー構造体。
【請求項15】
前記第2の部分および前記フィルム構造体は、フィルム層内に形成され、前記第2の部分と前記フィルム構造体との間の内側スリットは、前記フィルム層上に形成される、請求項8に記載のカンチレバー構造体。
【請求項16】
前記フィルム構造体は、複数のサブ部分を含み、前記複数のサブ部分のうちの隣接する2つの間に前記少なくとも1つの突出部のうちの1つがある、請求項1に記載のカンチレバー構造体。
【請求項17】
前記フィルム構造体は、複数のサブ部分を含み、前記複数のサブ部分のうちの隣接する2つの間にスリットがあり、前記スリットは、前記少なくとも1つの突出部のうちの1つに対応する、請求項1に記載のカンチレバー構造体。
【請求項18】
装置であって、
アンカー部上に固定された第1のフィルム構造体を含む第1のカンチレバー構造体と、
前記アンカー部上に固定された第2のフィルム構造体を含む第2のカンチレバー構造体と
を備え、
前記装置内にキャビティが形成され、
前記第1のフィルム構造体および前記第2のフィルム構造体は、前記キャビティを覆い、前記キャビティ内で振動し、
前記第1のフィルム構造体の長さは、前記第1のフィルム構造体の幅よりも小さく、前記第2のフィルム構造体の長さは、前記第2のフィルム構造体の幅よりも小さく、
前記アンカー部は、前記キャビティに向かって突出する複数の突出部を含み、前記第1のフィルム構造体および前記第2のフィルム構造体は、前記複数の突出部によって前記アンカー部上に固定され、
前記第1のフィルム構造体は、前記第2のフィルム構造体に隣接し、対向している、
装置。
【請求項19】
前記装置は、超音波搬送周波数で振幅変調された空気圧変動を生成し、前記超音波搬送周波数と同期した開口レートで開口部を形成し、
前記装置は、前記振幅変調された超音波空気圧変動にしたがって、前記超音波搬送周波数のパルスレートで複数の空気パルスを生成する、
請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記第1のフィルム構造体および前記第2のフィルム構造体は、コモンモード運動およびディファレンシャルモード運動を行うように作動され、
前記コモンモード運動は、前記超音波搬送周波数で振幅変調された超音波空気圧変動を形成することであり、
前記ディファレンシャルモード運動は、前記超音波搬送周波数と同期した前記開口レートで前記開口部を形成することである、
請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記装置が空気パルス発生装置である、請求項18に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、カンチレバー構造体および装置に関し、より詳細には、製造プロセスによる製造ばらつきに対して変化の少ない特性を有するカンチレバー構造体および関連装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カンチレバー構造体は、音響部品、空気パルス発生部品、センサ、発振器、または他の適切な部品などの様々な電子部品に広く使用することができる。場合によっては、カンチレバー構造体をMEMS(Micro Electro Mechanical System)構造として小型化を図ることができるので、カンチレバー構造体を含む電子部品のサイズが大幅に縮小され、それによって、多様な電子装置に広く使用することができる。
【0003】
しかしながら、カンチレバー構造体のいくつかの特性(例えば、共振周波数、剛性、および初期撓み)は、製造プロセスによって引き起こされる製造ばらつきにより変化する。これらの特性の変化が大きい場合、これらの特性はそれらの設計値からかけ離れるので、カンチレバー構造体の性能は低下することになる。したがって、カンチレバー構造体の構造を改善して、製造ばらつきによって引き起こされるその特性の変化を低減する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
したがって、本発明の主な目的は、カンチレバー構造体のアンカー部が少なくとも1つの突出部(protrusion)を有し、製造プロセスのばらつきに対していくつかの特性(例えば、共振周波数、剛性および初期撓み)の変化が少なくなるようにしたカンチレバー構造体を提供することである。本発明は、関連装置も提供する。
【0005】
本発明の一実施形態は、アンカー部とフィルム構造体とを含むカンチレバー構造体を提供する。フィルム構造体は、キャビティを覆い、キャビティ内で振動する。フィルム構造体の長さは、フィルム構造体の幅よりも小さい。アンカー部は、キャビティに向かって突出する少なくとも1つの突出部を含み、フィルム構造体は、少なくとも1つの突出部によってアンカー部上に固定される。
【0006】
本発明の別の実施形態は、第1のカンチレバー構造体と第2のカンチレバー構造体とを含む装置を提供する。第1のカンチレバー構造体は、アンカー部上に固定された第1のフィルム構造体を含む。第2のカンチレバー構造体は、アンカー部上に固定された第2のフィルム構造体を含む。装置内にキャビティが形成される。第1のフィルム構造体および第2のフィルム構造体は、キャビティを覆い、キャビティ内で振動する。第1のフィルム構造体の長さは、第1のフィルム構造体の幅よりも小さく、第2のフィルム構造体の長さは、第2のフィルム構造体の幅よりも小さい。アンカー部は、キャビティに向かって突出する複数の突出部を含み、第1のフィルム構造体および第2のフィルム構造体は、複数の突出部によってアンカー部上に固定される。第1のフィルム構造体は、第2のフィルム構造体に隣接し、対向している。
【0007】
本発明のこれらおよび他の目的は、様々な図および図面に示される好ましい実施形態の以下の詳細な説明を読めば、当業者には疑いなく明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1の実施形態によるカンチレバー構造体を示す概略図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態によるカンチレバー構造体を示す概略図である。
【
図3】
図1の断面線A-A´に沿って見たときの構造を示す断面図の概略図である。
【
図4】
図1の断面線B-B´に沿って見たときの構造を示す断面図の概略図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態によるカンチレバー構造体を示す概略図である。
【
図6】本発明の一実施形態による装置を示す概略図である。
【
図7】
図6に示される装置を示す上面図の概略図である。
【
図8】
図6に示される装置を示す底面図の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
当業者に本発明のより良い理解を提供するために、重要な構成要素のための好ましい実施形態および典型的な材料または範囲パラメータが、以下の説明において詳述される。本発明のこれらの好ましい実施形態は、達成されるべき内容および効果について詳述するために、番号付けされた要素とともに添付の図面に示される。図面は簡略化された概略図であり、重要な構成要素の材料およびパラメータの範囲は、現在の技術に基づいて例示的であり、したがって、本発明の基本的な構造、実装または動作方法についてのより明確な説明を提供するために、本発明に関連付けられた構成要素および組み合わせのみを示すことに留意されたい。構成要素は、実際にはより複雑であり、使用されるパラメータまたは材料の範囲は、技術が将来進歩するにつれて発展し得る。加えて、説明を容易にするために、図面に示される構成要素は、それらの実際の数、形状、および寸法を表していない場合があり、詳細は、設計要求事項にしたがって調整され得る。
【0010】
以下の説明および特許請求の範囲において、「含む(include)」、「備える(comprise)」、および「有する(have)」という用語は、オープンエンド方式で使用され、したがって、「~を含むが、これに限定されない(include, but not limited to...)」を意味するものと解釈されるべきである。したがって、「含む(include)」、「備える(comprise)」、および/または「有する(have)」という用語が本発明の説明で使用される場合、対応する特徴、エリア、ステップ、動作および/または構成要素の存在が指し示されるが、1つまたは複数の対応する特徴、エリア、ステップ、動作および/または構成要素の存在に限定されない。
【0011】
以下の説明および特許請求の範囲において、「A1構成要素がB1によって/から形成される」とき、B1はA1構成要素の形成において存在するか、またはB1はA1構成要素の形成において使用され、A1構成要素の形成において、1つまたは複数の他の特徴、エリア、ステップ、動作および/または構成要素の存在および使用が除外されるものではない。
【0012】
以下の説明および特許請求の範囲において、「実質的に(substantially)」という用語は、一般に、小さな偏差が存在しても存在しなくてもよいことを意味する。例えば、「実質的に平行(substantially parallel)」および「実質的に沿って(substantially along)」という用語は、2つの構成要素間の角度が、特定の角度しきい値、例えば、10度、5度、3度、または1度以下であり得ることを意味する。例えば、「実質的に位置合わせされた(substantially aligned)」という用語は、2つの構成要素間の偏差が、特定の差分しきい値、例えば、2μmまたは1μm以下であり得ることを意味する。例えば、「実質的に同じ(substantially the same)」という用語は、偏差が、例えば、所与の値もしくは範囲の10%以内であることを意味するか、または所与の値もしくは範囲の5%、3%、2%、1%、もしくは0.5%以内であることを意味する。
【0013】
本説明および以下の特許請求の範囲において、「水平方向(horizontal direction)」という用語は、一般に、水平面に平行な方向を意味し、「水平面(horizontal plane)」という用語は、一般に、図面における方向Xおよび方向Yに平行な面を意味し(すなわち、本発明の方向Xおよび方向Yは、水平方向とみなされ得る)、「垂直方向(vertical direction)」および「上面図方向(top-view direction)」という用語は、一般に、図面における方向Zに平行で、水平方向に垂直な方向を意味し、方向X、方向Y、および方向Zは互いに垂直である。本説明および以下の特許請求の範囲において、「上面図(top view)」という用語は、一般に、垂直方向に沿って見た表示結果を意味する。本説明および以下の特許請求の範囲において、「底面図(bottom view)」という用語は、一般に、上面図に関係する垂直方向とは反対の別の垂直方向に沿って見た表示結果を意味する。本説明および以下の特許請求の範囲において、「断面図(cross-sectional view)」という用語は、一般に、垂直方向に沿って切断した構造を水平方向に沿って見た表示結果を意味する。
【0014】
第1、第2、第3などの用語は、多様な構成要素を説明するために使用され得るが、そのような構成要素は、それらの用語によって限定されるものではない。これらの用語は、本明細書においてある構成要素を他の構成要素と区別するためにのみ使用され、本明細書に記載がない場合、これらの用語は製造順序に関係しない。特許請求の範囲は、同じ用語を使用しないことがあるが、代わりに、要素が請求される順序に関して、第1、第2、第3などの用語を使用することがある。したがって、以下の説明では、第1の構成要素は、請求項における第2の構成要素であってもよい。
【0015】
以下で説明される異なる実施形態における技術的特徴は、本発明の趣旨から逸脱することなく、別の実施形態を構成するために、互いに置き換えられ、組み替えられ、または混合され得ることに留意されたい。
【0016】
本発明では、カンチレバー構造体が提供され、カンチレバー構造体は、任意の適切な部品で使用され得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、カンチレバー構造体は、音響波(例えば、音波および/または超音波)に関係する音響部品に適用され得る。場合によっては、音響部品のカンチレバー構造体は、音響波に直接関連し得る。例えば、音響部品(またはカンチレバー構造体)は、音響波を発生させるかまたは音響波を受信してもよいし、音響部品は、音響波が通過する経路であってもよい。例えば、音響部品(またはカンチレバー構造体)は、音響部品を有する音響装置を使用するユーザの体験を向上させ得る。
【0018】
音響部品(またはカンチレバー構造体)は、信号によって制御されてもよいし、音響波にしたがって信号を生成してもよく、信号は、電気信号または他の適切なタイプの信号であり得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、音響部品は、音響変換を行う(例えば、カンチレバー構造体が音響変換を行う)ように構成された音響トランスデューサであってもよく、音響変換は、信号(例えば、電気信号)を音響波に変換してもよし、音響波を他の適切なタイプの信号(例えば、電気信号)に変換してもよいが、これに限定されない。例えば、音響トランスデューサは、電気信号を音響波に変換するために、音生成部品、スピーカ、マイクロスピーカ、または他の適切な装置であってもよいが、これに限定されない。例えば、音響トランスデューサは、音響波を電気信号に変換するために、音測定装置、音響圧力感知装置、マイクロホン、または他の適切な装置であってもよいが、これに限定されない。
【0020】
いくつかの実施形態では、音響部品は、音響装置内の通気部品であってもよく、通気部品の通気口のサイズは、電気信号によって制御されてもよい(例えば、通気口は、カンチレバー構造体によってもたらされる)。例えば、通気部品は、音響装置(例えば、インイヤーイヤホン、オンイヤーイヤホンまたはオーバーイヤーイヤホンなど)の動作中のオクルージョン効果を抑制するように構成され得る。オクルージョン効果は、外耳道の容積が密閉されることでユーザ(すなわち、聴取者)によって知覚される音圧が大きくなることが原因である。場合によっては、オクルージョン効果は、ユーザが、骨伝導音を発生させる特定の動作(複数可)(例えば、歩く、ジョギングする、話す、食べる、音響トランスデューサに触れる、など)を行い、ユーザの外耳道に充填された音響装置を使用している間に発生し、オクルージョン効果により、ユーザにはオクルージョンノイズが聞こえ、それによってユーザのリスニング品質が低下する。したがって、通気部品があることで、通気部品の通気口が開放されたときに外耳道の容積が密閉されないので、オクルージョン効果が抑制され得、それによって音響装置の性能および音響装置を使用するユーザの体験を向上させることができる。
【0021】
いくつかの実施形態では、カンチレバー構造体は、MEMS部品内のMEMS(Micro Electro Mechanical System)構造であってもよいが、これに限定されない。また、いくつかの実施形態では、カンチレバー構造体を含む音響部品は、MEMS(Micro Electro Mechanical System)部品であってもよいが、これに限定されない。すなわち、上記の構成要素(例えば、音響トランスデューサ、通気部品、または音響に関する他の適切な部品)は、上記の構成要素内の微細構造がMEMS構造となり得るように、半導体プロセスによって形成されてもよいが、これに限定されない。
【0022】
いくつかの実施形態では、カンチレバー構造体は、パッケージ構造内にパッケージ化され得る。したがって、カンチレバー構造体を含む音響部品は、パッケージ構造であってもよいが、これに限定されない。
【0023】
以下では、例えば、カンチレバー構造体は、音響波を発生させ、それにより、カンチレバー構造体を含む音響部品は、音響波を生成する音響トランスデューサとすることができ、カンチレバー構造体は、MEMS部品内のMEMS構造であってもよいが、これに限定されない。
【0024】
図1~
図4を参照すると、
図1および
図2は、本発明の第1の実施形態によるカンチレバー構造体を示す概略図であり、
図3は、
図1の断面線A-A´に沿って見たときの構造を示す断面図の概略図であり、
図4は、
図1の断面線B-B´に沿って見たときの構造を示す断面図の概略図である。
図1~
図4に示すように、カンチレバー構造体100は基板SBを含み得、基板SBは、要件(複数可)に基づいて任意の適切な材料を含み得る。いくつかの実施形態では、カンチレバー構造体100は、MEMS部品(例えば、MEMSチップ)内のMEMS構造であるので、基板SBの材料は、半導体プロセスによって形成および/またはエッチングされ得る。この場合、例えば、基板SBは、シリコン(例えば、単結晶シリコンまたは多結晶シリコン)、シリコン化合物(例えば、炭化シリコン、酸化シリコン)、ゲルマニウム、ゲルマニウム化合物、ガリウム、ガリウム化合物(例えば、窒化ガリウムまたはガリウムヒ素)、任意の他の適切な材料、またはそれらの組み合わせを含み得る。基板SBの法線方向は、Z方向と平行であり得ることに留意されたい。
【0025】
図1~
図4に示すように、基板SBは、基板SB内にキャビティCVを形成するようにエッチングされ(すなわち、キャビティCVがカンチレバー構造体100内に形成され)、基板SBに含まれるフィルム層FLおよびブロック状構造体BKが対応して形成され、フィルム層FLがキャビティCVを覆い(すなわち、フィルム層FLは、キャビティCVに対応し、方向ZにおいてキャビティCVと重なり)、ブロック状構造体BKは、フィルム層FLの外側に配置され、フィルム層FLに直接接続され、ブロック状構造体BKの第1の厚さT1は、フィルム層FLの第2の厚さT2よりも大きい。例えば、
図1において、フィルム層FLおよびキャビティCVは、ブロック状構造体BKによって囲まれ得るが、これに限定されない。フィルム層FLは、方向Zにおいて基板SBの除去された部分に対応し、ブロック状構造体BKは、基板SBのエッチングされていない部分である。
【0026】
別の態様では、
図1~
図4に示すように、キャビティCVを形成した後、基板SBに含まれるフィルム構造体110およびアンカー部120も対応して形成され、フィルム構造体110はアンカー部120上に固定され、キャビティCVを覆い(すなわち、フィルム構造体110はキャビティCVに対応し、方向ZにおいてキャビティCVと重なり)、アンカー部120は、フィルム構造体110の外側に配置されている。例えば、
図1において、フィルム構造体110は、アンカー部120によって囲まれ得るが、これに限定されない。
【0027】
図1~
図4において、フィルム構造体110およびアンカー部120の一部はフィルム層FLに属し(すなわち、フィルム構造体110およびアンカー部120の一部はフィルム層FL内に形成され)、アンカー部120の別の一部はブロック状構造体BKに属する。アンカー部120は、フィルム層FLに属する部分と、ブロック状構造体BKに属する別の部分とを有するため、アンカー部120は、2つの異なる厚さを有することに留意されたい。
【0028】
カンチレバー構造体100の動作において、フィルム構造体110は、キャビティCV内で運動および振動するように作動され得、アンカー部120は固定され得る。すなわち、アンカー部120は、カンチレバー構造体100の動作中、フィルム構造体110に対して固定端(または固定されたエッジ)であり得る。いくつかの実施形態では、フィルム構造体110は、上方および下方に移動するように作動されてもよいが、これに限定されない。本発明では、「上方に移動する(move upwards)」および「下方に移動する(move downwards)」という用語は、フィルム構造体110が実質的に方向Zに沿って移動することを表す。
【0029】
図1において、フィルム構造体110は、それをアンカー部120上に固定するためのアンカー側110aが1つだけであり、フィルム構造体110の他の側は非アンカー側である。すなわち、フィルム構造体110は、1つのカンチレバーであり得る。
【0030】
図1において、アンカー部120はアンカーエッジ120aを含み、アンカー部120のアンカーエッジ120a上にフィルム構造体110のアンカー側110aが固定され、フィルム構造体110をアンカー部120上に固定させる。
図1において、アンカー部120のアンカーエッジ120aは、ブロック状構造体BKのエッジである。すなわち、アンカー部120のアンカーエッジ120aは、第1の厚さT1を有するブロック状構造体BKの境界である。
【0031】
図1~
図4に示すように、アンカー部120は、ブロック状部分122と、ブロック状部分122からキャビティCVに向かって突出する少なくとも1つの突出部124とを含む。ブロック状部分122は、ブロック状構造体BKに属しており、第1の厚さT1を有する。各突出部124は、互いに直接接続された第1の部分124aおよび第2の部分124bを含み、第1の部分124aは、ブロック状構造体BKに属し、実質的に第1の厚さT1を有し、第2の部分124bは、フィルム層FLに属し、実質的に第1の厚さT1よりも小さい第2の厚さT2を有する(すなわち、フィルム層FLにおいて、第2の部分124bおよびフィルム構造体110は、実質的に同じ厚さを有する)。ブロック状構造体BKの境界であるアンカー部120のアンカーエッジ120aは、少なくとも1つの突出部124が存在するため、少なくとも1つの突出部分を有するエッジである(すなわち、アンカー部120のアンカーエッジ120aは、ブロック状部分122と突出部124の第1の部分124aとによって形成される)ことに留意されたい。
【0032】
図1および
図4に示すように、突出部124の第1の部分124aは、突出部124の第2の部分124bとブロック状部分122との間にあり、突出部124の第2の部分124bは、突出部124の第1の部分124aとフィルム構造体110との間にある。
図1および
図4に示すように、フィルム構造体110は、ブロック状部分122および突出部124の第1の部分124aに直接接続され(固定され)、フィルム構造体110は、突出部124の第2の部分124bに直接接続されない(固定されない)ように、突出部124の第2の部分124bから分離される。いくつかの実施形態では、
図1において、第1の部分124aは、上面図において第2の部分124b内に突出し得、第2の部分124b内に突出する第1の部分124aの突部(projecting portion)124pは、フィルム構造体110に直接接続されなくてもよいが、これに限定されない。
【0033】
突出部124は、アンカー機能も提供する中間基板接続部として機能し、その結果、幅方向に沿ったカンチレバー先端とアンカーとの間の距離は、突出部124、中間基板接続部がない場合よりも均一になることに留意されたい。
【0034】
突出部124の形状およびブロック状部分122の形状は、要件(複数可)に基づいて設計され得る。ブロック状部分122の形状は、キャビティCVを形成する適切な中空を有する適切な形状であり得、適切な形状は、多角形(例えば、矩形)、湾曲したエッジを有する形状(例えば、円形、楕円形)、または他の適切な形状であり得る。突出部124の第1の部分124aおよび第2の部分124bの形状の各々は、多角形(例えば、矩形)、湾曲したエッジを有する形状(例えば、円形、楕円形)、または他の適切な形状であり得る。例えば、
図1において、ブロック状部分122は、矩形の中空を有する矩形であり得、突出部124の第1の部分124aは、矩形であり得、突出部124の第2の部分124bと第1の部分124aの突部124pとの組み合わせは、2つの対向する直線エッジと2つの対向する曲線エッジとを有する形状であり得るが、これに限定されない。
【0035】
本発明では、突出部124(複数可)の数は、要件(複数可)に基づいて設計され得る。
図1および
図2において、アンカー部120は、複数の突出部124を含み、突出部124の配置は、要件(複数可)に基づいて設計され得る。例えば、
図1および
図2において、アンカー部120は、フィルム構造体110のアンカー側110a(アンカー部120のアンカーエッジ120a)に均一に分布した7つの突出部124を含むが、これに限定されない。
【0036】
フィルム構造体110の前述の設計を形成するために、カンチレバー構造体100は、フィルム構造体110および突出部124の第2の部分124bを画定するように、フィルム層FL上に形成され、フィルム層FLを貫通する少なくとも1つのスリットSLを含む。本発明では、スリット(複数可)SLの数は、要求(複数可)に基づいて調整され得、スリット(複数可)SLは、フィルム層FLの任意の適切な位置に配置され、任意の適切な上面図パターンを有し得る。例えば、スリットSLは、直線状のスリットであってもよいし、曲線状のスリットであってもよいし、直線状のスリットの組み合わせであってもよいし、曲線状のスリットの組み合わせであってもよいし、直線状のスリット(複数可)と曲線状のスリット(複数可)の組み合わせであってもよい。例えば、この実施形態では、カンチレバー構造体100は、フィルム層FL上に形成された複数のスリットSLを含み得る。
【0037】
図1、
図3および
図4において、スリットSLは、フィルム構造体110が非アンカー側でアンカー部120から分離されるように、フィルム構造体110を囲む複数の外側スリットSL1を含む。
図1では、外側スリットSL1が存在することにより、フィルム構造体110が形成されている。例えば、
図1では、フィルム構造体110を囲むように3つの外側スリットSL1が形成されており、各外側スリットSL1は直線状のスリットであるが、これに限定されない。
【0038】
図1および
図4において、スリットSLは、複数の内側スリットSL2を含み、各内側スリットSL2は、フィルム構造体110が内側スリットSL2によって突出部124の第2の部分124bから分離されるように、突出部124の第2の部分124bとフィルム構造体110との間にある。
図1では、内側スリットSL2が存在することにより、突出部124の第2の部分124bが形成されており、1つの内側スリットSL2は、1つの突出部124の第2の部分124bに対応する。例えば、
図1では、7つの内側スリットSL2が、フィルム層FL上に形成され、フィルム層FLを貫通しており、各内側スリットSL2は、直線状のスリット(複数可)と曲線状のスリット(複数可)との組み合わせである。例えば、
図1では、2つの外側スリットSL1が2つの内側スリットSL2にそれぞれ接続されているが、これに限定されない。
【0039】
上述の構成によれば、
図1において、フィルム構造体110は、突出部124のうちの1つおよび内側スリットSL2のうちの1つがサブ部分112のうちの隣接する2つの間にあるように、突出部124によって分割された複数のサブ部分112を含み得る(
図1では、フィルム構造体110は6つのサブ部分112を含む)。
図1ではサブ部分112は互いに接続されている(すなわち、サブ部分112は互いに分離されていない)。
【0040】
本発明において、フィルム構造体110のサイズは、要件(複数可)に基づいて設計され得る。いくつかの実施形態では、
図1において、カンチレバー構造体100を形成するように構成され、半導体プロセスによって形成されるMEMS部品(例えば、MEMSチップ)の使用を最大化するために、方向Yにおけるフィルム構造体110の長さLは、方向Xにおけるフィルム構造体110の幅Wよりも小さくてもよい。例えば、フィルム構造体110の幅Wは、フィルム構造体110の長さLの2倍よりも大きいが、これに限定されない。フィルム構造体110の長さLは、方向Yにおけるフィルム構造体110のアンカー側110a(またはアンカー部120のアンカーエッジ120a)とフィルム構造体110の自由側との間の最大距離(すなわち、カンチレバーのアンカー端と自由端との間の距離)であり、フィルム構造体110の幅Wは、長さLに垂直なフィルム構造体110のサイズであることに留意されたい。
【0041】
フィルム構造体110(すなわち、カンチレバー)に関して、フィルム構造体110の共振周波数、剛性、および初期撓みは、フィルム構造体110の長さL(カンチレバーの長さ)に関連する。例えば、フィルム構造体110の共振周波数は、フィルム構造体110の長さLに比例し、フィルム構造体110の剛性は、フィルム構造体110の長さLの3乗に比例する。一般に、フィルム構造体110の長さLは、製造プロセスによって引き起こされる製造ばらつき(例えば、製造ばらつきは、マスクばらつき、位置合わせばらつき、エッチングばらつき、他のばらつき、またはそれらの組み合わせである)により変化し、フィルム構造体110の共振周波数、剛性、および初期撓みは、製造ばらつきにより変化する。さらに、フィルム構造体110の長さLがフィルム構造体110の幅Wよりも小さい場合、フィルム構造体110の共振周波数、剛性、および初期撓みの変化は、フィルム構造体110の長さLの変化によってさらに影響を受けることになる。
【0042】
本発明では、フィルム構造体110を複数のサブ部分112に分割するようにアンカー部120の突出部124が存在するので、フィルム構造体110の長さLが製造ばらつきによって変化するときの、フィルム構造体110の共振周波数、剛性、および初期撓みの変化が少なくなるであろう。場合によっては、突出部124の長さは、フィルム構造体110の長さLの増減に(すなわち、製造ばらつきがフィルム構造体110のアンカー側110aで発生するのに)伴い相応に増減され、フィルム構造体110の長さLの変化によって引き起こされるフィルム構造体110の共振周波数、剛性、および初期撓みの変化を低減する。また、突出部124が第2の部分124bを有するので、製造ばらつきが突出部124の第1の部分124aの製造誤差(例えば、サイズ誤差および/またはシフト誤差)を引き起こす場合、突出部124の第2の部分124bは、この製造誤差がフィルム構造体110に与える影響を低減するためのバッファ領域として機能する。
【0043】
本発明のフィルム構造体110では、第1の比は、フィルム構造体110の長さLに対するフィルム構造体110の共振周波数の変化率(Δf/ΔL)である。第2の比は、突出部を有さない従来のフィルム構造体(すなわち、従来設計)では、この従来のフィルム構造体の長さに対するこの従来のフィルム構造体の共振周波数の変化率(Δf’/ΔL’)である。第1の比は第2の比よりも小さい。例えば、第1の比は、第2の比の半分未満であってもよいが、これに限定されない。
【0044】
例えば、本発明の一実施形態のカンチレバー構造体(例えば、
図1~
図4に示すカンチレバー構造体100)と、本発明のこのカンチレバー構造体と同様であるが突出部124を有さない従来のカンチレバー構造体との比較において、本発明のカンチレバー構造体のフィルム構造体110の第1の比は0.79kHz/μmであり得、従来のカンチレバー構造体の従来のフィルム構造体の第2の比は1.77kHz/μmであり得、第2の比に対する第1の比の比は0.446である(すなわち、本発明の突出部(複数可)124によってもたらされる改善は55.4%であり得る)が、これに限定されない。この第1の比および第2の比は実験データであり、これらの比は、本発明を限定するものではないことに留意されたい。
【0045】
カンチレバー構造体100は、任意の適切な構造および/または構成要素をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、カンチレバー構造体を含む音響部品は、音響波を発生させる音響トランスデューサであり得るので、カンチレバー構造体100は、フィルム構造体110上に配置され、フィルム構造体110を作動させるように構成されたアクチュエータを含む。例えば、アクチュエータは、方向Zにおいてフィルム構造体110上に配置されてもよいが、これに限定されない。
【0046】
アクチュエータは、Z方向に沿ったフィルム構造体110の移動に対して単調な電気機械変換機能を有する。いくつかの実施形態では、アクチュエータは、圧電アクチュエータ、静電アクチュエータ、ナノスコピック静電駆動(NED)アクチュエータ、電磁アクチュエータ、または任意の他の適切なアクチュエータを含み得るが、これに限定されない。例えば、一実施形態では、アクチュエータは、圧電アクチュエータを含み得、圧電アクチュエータは、例えば、2つの電極と、電極間に配置された圧電材料層(例えば、チタン酸ジルコン酸鉛、PZT)とを含み得、圧電材料層は、電極によって受信された駆動信号(例えば、駆動電圧および/または2つの電極間の駆動電圧差)に基づいてフィルム構造体110を作動さ得るが、これに限定されない。例えば、別の実施形態では、アクチュエータは、電磁アクチュエータ(平面コイルなど)を含み得、電磁アクチュエータは、受信した駆動信号(例えば、駆動電流)および磁場に基づいてフィルム構造体110を作動させ得る(すなわち、フィルム構造体110は、電磁力によって作動させられ得る)が、これに限定されない。例えば、さらに別の実施形態では、アクチュエータは、静電アクチュエータ(導電板など)またはNEDアクチュエータを含み得、静電アクチュエータまたはNEDアクチュエータは、受信した駆動信号(例えば、駆動電圧)および静電場に基づいてフィルム構造体110を作動させ得る(すなわち、フィルム構造体110は、静電力によって作動させられ得る)が、これに限定されない。
【0047】
本発明のカンチレバー構造体は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の他の実施形態について以下で説明する。比較を容易にするために、同じ構成要素は、以下では同じ記号がラベル付けされる。以下の説明では、各実施形態の相違点について説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0048】
図5を参照すると、
図5は、本発明の第2の実施形態によるカンチレバー構造体を示す概略図である。
図5に示すように、カンチレバー構造体200のスリットSLは、フィルム構造体110のサブ部分112の隣接する2つを分離するために、フィルム構造体110のサブ部分112の隣接する2つの間に少なくとも1つの分割スリットSL3をさらに含む。
図5において、分割スリットSL3は、1つの突出部124に対応している。例えば、1つの分割スリットSL3は、1つの突出部124の第2の部分124bに対応する1つの内側スリットSL2と1つの外側スリットSL1との間に接続されている。
【0049】
分割スリット(複数可)SL3の数は、要件(複数可)に基づいて設計され得る。例えば、スリットSLは、フィルム構造体110のすべてのサブ部分112(例えば、
図5の6つのサブ部分112)を分離するために5つの分割スリットSL3を含むが、これに限定されない。
【0050】
図5において、突出部124の第2の部分124bと第1の部分124aの突部124pとの組み合わせはピーチ形状であり得、そのため、内側スリットSL2は曲線状のスリットの組み合わせであり得るが、これに限定されない。
【0051】
本発明のカンチレバー構造体は、音響トランスデューサ、音生成装置に適用され得ることに留意されたい。具体的には、本発明のカンチレバー構造体は、出願人によって出願された米国特許出願第17/553,806号および第18/321,759号に開示されている空気パルス発生装置に適用され得る。第17/533,806号および第18/321,759号の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0052】
図6を参照すると、
図6は、本発明の一実施形態による装置60を示す概略図である。装置60は、音生成装置または空気パルス発生装置であり得、これは、中間基板接続部、突出部124をその中に組み込む、第18/321,759号に開示されている。すなわち、第18/321,759号に開示されている装置とは異なり、突出部124(中間基板接続部)が含まれる。
【0053】
図6に示すように、装置60は、カンチレバー構造体62aおよび62bを含む。カンチレバー構造体62aおよび62bは、
図5に示されるカンチレバー構造体と類似または同一の構造を有し得、
図7~
図9では異なる側面から示されている。カンチレバー構造体62a,62bは、互いに対向し、1つの外側スリットSL1によって分割されたフィルム構造体64a,64bを含む。本発明のフィルム構造体64aおよび64bは、第18/321,759号のフラップと見なすことができる。
【0054】
装置60の動作原理については、第17/533,806号および第18/321,759号を参照されたい。第17/533,806号および第18/321,759号で教示されているように、装置60内のフィルム構造体は、超音波搬送周波数で振幅変調された空気波(または空気圧変動)を生成し、超音波搬送周波数と同期した開口レートで開口部を形成する。装置60は、振幅変調された超音波空気圧変動にしたがって超音波搬送周波数のパルスレートで複数の空気パルスを生成する。フィルム構造体64aおよび64bは、単一の製作層で製作され得ることに留意されたい。
【0055】
さらに、第18/321759号で教示されているように、フィルム構造体64aおよび64bが単一の製作層内で製作されることを考慮すると、フィルム構造体64aおよび64bは、コモンモード運動およびディファレンシャルモード運動を行うように作動される。フィルム構造体64aおよび64bがコモンモード運動を行うことは、超音波搬送周波数で振幅変調された超音波空気圧変動を形成することであり、フィルム構造体64aおよび64bがディファレンシャルモード運動を行うことは、超音波搬送周波数と同期した開口レートで開口部を形成することである。
【0056】
動作原理の詳細については、本明細書で簡単に述べた第17/533,806号および第18/321,759号を参照されたい。
【0057】
本発明では、音響部品とは異なる機能を有するMEMS部品も、上記の実施形態のうちの1つのカンチレバー構造体、または上記の実施形態を組み合わせた構造を有し得る。いくつかの実施形態では、MEMS部品は、発振器、熱変換器、光変換器、慣性変換器、フィルタ、無線周波数(RF)MEMS部品、スイッチ、または他の適切なMEMS部品であり得る。
【0058】
要約すると、本発明の設計によれば、フィルム構造体の長さが製造ばらつきに起因して変化するときの、フィルム構造体のいくつかの特性(共振周波数、剛性、および初期撓み)の変化が低減される。
【0059】
当業者は、本発明の教示を保持しながら、装置および方法の多数の修正および変更を行うことができることを容易に認識するであろう。したがって、上記の開示は、添付の特許請求の範囲の境界によってのみ限定されると解釈されるべきである。